JPH06304977A - 射出成形用樹脂の可塑化方法および射出成形用スクリューヘッド - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 摩擦リングの摩耗の問題がなく、また樹脂の
滞留もなく、色替え性も良い、射出成形用スクリューヘ
ッドを提供する。 【構成】 押金１０と、逆流防止リング２０と、摩擦リ
ング３０とを備え、可塑化時には逆流防止リング２０が
摩擦リング３０に当接して溶融樹脂が逆流防止リング２
０の内周面と軸部１２の外周面との間に形成されている
樹脂通路ａ内を通って蓄積され、射出・保圧時には逆流
防止リング２０が前記押金１０に当接して溶融樹脂の逆
流が防止されるようになっているスクリューヘッドにお
いて、樹脂通路ａを、通路面積が断面に見て広い部分ｂ
と狭い部分ｃとを有するように形成する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、スクリューの先端部に
押金と、逆流防止リングと、摩擦リングとを備えたスク
リューを回転駆動して射出成形用の樹脂材料を可塑化す
る、射出成形用樹脂の可塑化方法およびこの方法の実施
に供される射出成形用スクリューヘッドに関するもので
ある。

【０００２】

【従来の技術】射出成形用スクリューヘッドは、文献名
を挙げるまでもなく従来周知で、スクリューの先端部に
設けられている所定長さの逆流防止リングと、この逆流
防止リングを挟むようにしてその先端部に設けられてい
る摩擦リングと、その後端部に設けられている押金とか
ら概略構成されている。そして逆流防止リングの内周面
とスクリューの軸あるいは押金の軸部の外周面との間が
樹脂通路になっている。したがって、スクリューを回転
駆動して樹脂を可塑化するときは、逆流防止リングは押
金から前方に移動して、その前方に設けられている摩擦
リングに当接し、溶融樹脂は逆流防止リングの内周面と
押金の軸部の外周面との間の樹脂通路を通って計量部あ
るいは貯留部に蓄積される。蓄積された溶融樹脂を射出
するために、スクリューを軸方向に駆動すると、逆流防
止リングは、後退しその後端部が押金に当接する。この
当接により樹脂の圧縮部の方への逆流が防止され、所定
量の樹脂材料が金型に射出され、所定の圧力で保圧され
る。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】上記のように、従来の
射出成形用スクリューヘッドによっても、樹脂材料を可
塑化することも、また射出・保圧工程時に樹脂の逆流を
防止することもできるが、従来の可塑化方法あるいは射
出成形用スクリューヘッドには色々な問題点がある。例
えば、樹脂材料を可塑化するときはスクリューを回転駆
動するので、スクリューに固定されている摩擦リング
も、押金の軸部も共に回転する。これに対し、逆流防止
リングは押金の軸部との間に樹脂通路を形成するために
軸部から浮いた状態になっているので、スクリューによ
って直接駆動されることはない。しかも、逆流防止リン
グはシリンダに近接しているので、摩擦抵抗があり一層
回転しない。ところで、可塑化時には逆流防止リングの
先端部が摩擦リングに当接するので、逆流防止リングと
摩擦リングとの間には相対的な回転が生じると、摩擦リ
ングが早期に摩耗することになる。また、逆流防止リン
グの内周面と、押金の軸部の外周面との間の樹脂通路
は、軸方向に均一に形成されているので、加工性が容易
で安価である特徴は有するが、軸方向に均一であるの
で、可塑化時に樹脂通路内における樹脂の圧力に変動が
少なく、溶融樹脂が樹脂通路内にに滞留し、樹脂ヤケが
生じたり、色替え性が悪くなる欠点もある。したがっ
て、本発明は、摩擦リングの摩耗の問題がなく、また樹
脂の滞留もなく、色替え性の良い、射出成形用樹脂の可
塑化方法および射出成形用スクリューヘッドを提供する
ことを目的としている。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するために、その先端部に固定的に設けられている摩
擦リングと、軸方向に移動自在に設けられている逆流防
止リングとを備えたスクリューを回転駆動して樹脂材料
を可塑化して、前記逆流防止リングの内周面と軸部の外
周面との間の樹脂通路内を圧送するとき、該樹脂通路内
における樹指圧を、前記逆流防止リングと摩擦リングと
の間に相対的な回転が生じると大きくなるようにして、
前記逆流防止リングを摩擦リングと共廻りさせながら可
塑化するように構成される。請求項２記載の発明は、押
金と、逆流防止リングと、摩擦リングとを備え、可塑化
時には前記逆流防止リングが前記摩擦リングに当接して
溶融樹脂が前記逆流防止リングの内周面と軸部の外周面
との間に形成されている樹脂通路内を通って蓄積され、
射出・保圧時には前記逆流防止リングが前記押金に当接
して溶融樹脂の逆流が防止されるようになっているスク
リューヘッドであって、前記樹脂通路は、通路面積が断
面に見て広い部分と狭い部分とを有するように形成され
ている。

【０００５】

【作用】請求項２記載の発明は、次のように作用する。
すなわちスクリューを回転駆動して樹脂材料を可塑化す
る。このとき逆流防止リングは、前方に移動して摩擦リ
ングに当接する。溶融樹脂は、逆流防止リングの内周面
と軸部の外周面との間に形成されている樹脂通路内を通
ってスクリューの前方に蓄積される。この時、樹脂通路
は、断面に見て広い部分と狭い部分とを有するように形
成されているので、逆流防止リングは摩擦リングと共廻
りし、摩擦リングとの間に相対的な回転がなくなる、あ
るいは少なくなる。射出・保圧時には逆流防止リングは
後方に後退し、押金に当接して溶融樹脂の逆流が防止さ
れる。

【０００６】

【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。本実施例
に係わるスクリューヘッド１は、図１に示されているよ
うに、スクリュー２の先端部に取り付けられている押金
１０と、押金１０の軸部１２の外周面と所定の間隔をお
いて設けられている逆流防止リング２０と、可塑化時に
逆流防止リング２０の前方端部が当接する摩擦リング３
０と、摩擦リング３０を押さえている円錐形のスクリュ
ーヘッド部３とから概略構成されている。

【０００７】スクリュー２は、外周部に周知のネジ山
４、４、…を有する。そして可塑化時にはシリンダ５内
で周知の手段により回転駆動され、射出時には例えばラ
ムにより軸方向に駆動されるようになっている。スクリ
ュー２の先端面は平らな垂直面となり、この面から軸方
向に所定深さのメネジが形成され、このメネジに押金１
０のオネジ１５が螺合されるようになっている。

【０００８】押金１０は、射出時に、逆流防止リング２
０の後方端部が当接する比較的大径の押部１１と、この
押部１１よりも小径の軸部１２と、摩擦リング３０が装
着される先端部１３とから一体的に形成されている。軸
部１２は、所定の長さを有し、後述する逆流防止リング
２０よりも所定量長い。スクリュー２のネジ山４、４、
…は、シリンダ５の内壁に接した状態で駆動されるが、
押部１１の外周面はシリンダ５の内壁面との間には所定
の隙間がある。したがって、可塑化された樹脂は、押部
１１の外周面とシリンダ５の内周面との間を通って前方
へ送られる。本実施例によると、押金１０の押部１１
と、軸部１２は同心的に形成されている。

【０００９】逆流防止リング２０は、略筒状あるいは管
状に形成されている。しかしながら、肉厚は均一ではな
く、図１の（ロ）にも示されているように、肉厚部２１
と肉薄部２２とから形成されている。このように逆流防
止リング２０は、肉厚部２１と肉薄部２２とから形成さ
れているが、内部には押金１０の軸部１２よりも大径の
通孔２３を有する。そしてこの通孔２３に押金１０の軸
部１２が通される。逆流防止リング２０の、摩擦リング
３０に当接する前方部には円周方向に略等間隔に複数個
の切欠２４、２４、…が形成されている。逆流防止リン
グ２０の外径は、シリンダ５の内径に略等しく、全体の
長さは、押金１０の軸部１２より短い。したがって、逆
流防止リング２０は、シリンダ５の内周面に接して、あ
るいはガイドされて、押金１０の押部１１と摩擦リング
３０との間を前後方向に移動できる。本実施例による
と、押金１０の押部１１と、軸部１２は同心的に形成さ
れ、逆流防止リング２０は、肉厚部２１と肉薄部２２と
から形成されているので、組み立てたとき、軸部１２の
中心と通孔２３の中心は偏心し、逆流防止リング２０の
の内周面と軸部１２の外周面とで形成される樹脂通路ａ
は、図１の（ロ）にも示されているように、広くなって
いる部分ｂと狭い部分ｃとから構成される。

【００１０】摩擦リング３０は、可塑化時に逆流防止リ
ング２０を受けとめるもので、その外径は逆流防止リン
グ２０の外径よりも小さい。したがって、図示されてい
るように組み立てられると、摩擦リング３０の外周面と
シリンダ５の内周面との間にはリング状の樹脂通路が形
成される。

【００１１】本実施例に係わるスクリューヘッド１は、
次のようにして組み立てることができる。すなわちスク
リュー２の先端面に、押金１０のオネジ１５をネジ込
む。これにより押金１０は、スクリュー２に取り付けら
れる。押金１０の軸部１２に、逆流防止リング２０を、
切欠２４、２４、…が前方に位置するようにして通す。
そして摩擦リング３０を先端部１３に通し、スクリュー
ヘッド部３のオネジ６を押金１０の先端部１３に形成さ
れているメネジに螺合する。そうすると、スクリュー２
と、押金１０と、逆流防止リング２０と、摩擦リング３
０は、図１に示されているように組み立てられる。

【００１２】樹脂材料を可塑化するときは、スクリュー
２を回転駆動する。そうすると、樹脂材料は周知の態様
で混練溶融される。そして前方の貯留部に蓄積される。
このとき逆流防止リング２０の前方端は、摩擦リング３
０に当接し、逆流防止リング２０の後方端と押金１０の
押部１１との間には隙間が生じ、溶融樹脂は矢印で示さ
れているように、この隙間から軸部１２の外周面と逆流
防止リング２０の内周面とで形成されている樹脂通路ａ
から、逆流防止リング２０の切欠２４、２４、…を通っ
て前方の貯留部に送られる。射出時には、スクリュー２
を軸方向に駆動する。そうすると、逆流防止リング２０
の後端部は、押金１０の押部１１に当接して、溶融樹脂
のスクリュー２の方への逆流が阻止され、溶融樹脂は例
えば金型に射出される。そして保圧される。

【００１３】ところで本実施例によると、逆流防止リン
グ２０の内周面に形成されている樹脂通路ａは、図１の
（ロ）にも示されているように、広くなっている部分ｂ
と狭い部分ｃとから形成されているので、スクリュー２
したがって押金１０が回転駆動されるとき、逆流防止リ
ング２０が回転しないとすると、樹脂通路ａの広くなっ
ている部分ｂと狭い部分ｃとの位置が移動することにな
る。すなわち圧力が高くなっている部分が移動すること
になる。圧力が高くなっている部分が移動すると、抵抗
になるので、逆流防止リング２０が押金１０と共に、す
なわち摩擦リング３０と共に回転するようになる。した
がって、本実施例によると逆流防止リング２０と摩擦リ
ング３０との間の相対的回転数が少なくなり、摩擦リン
グ３０の摩耗が防止される。また圧力が高くなっている
部分が移動するので、あるいは圧力変動が生じるので、
樹脂通路ａ内の樹脂の置換性が良くなり、滞留による樹
脂ヤケが少なくなり、また色替え性も良くなる。

【００１４】前述した実施例においては、逆流防止リン
グ２０の肉厚が均一でないので、組み立てたとき軸部１
２の中心と通孔２３の中心は偏心し、逆流防止リング２
０の内周面と軸部１２の外周面とで形成される樹脂通路
ａは、広くなっている部分ｂと狭い部分ｃとから形成さ
れているが、偏心は相対的なものであるから、逆流防止
リング２０の肉厚を均一にして、押金１０の軸部１２を
押部１１に対して偏心させても同様な効果が得られる。
このように、軸部１２の中心と通孔２３の中心とが互い
に偏心していると、逆流防止リング２０と摩擦リング３
０との間に相対的な回転が生じるとき、樹脂通路ａの圧
力が変動して逆流防止リング２０が摩擦リング３０と共
廻りするようになり、摩擦リング３０の摩耗が防止され
る。したがって、逆流防止リング２０と摩擦リング３０
との間に相対的な回転が生じると、樹脂通路ａの圧力が
変動するように構成すると、初期の目的が達成されるこ
とになる。すなわち上記実施例では軸部１２と通孔２３
の断面は、円形に形成され、そして互いに偏心されてい
るが、円形以外の形状例えば、楕円、角型、凹凸等でも
実施できる。このように実施する場合は偏心する必要は
ない。しかしながら、これらの実施例は図には示されて
いない。さらに、本実施例は変形できる。例えば押金１
０と、軸部１２とを別体に形成することもできる。しか
しながら、この具体例も図には示されていない。

【００１５】図２に本発明の第２実施例が示されてい
る。前述した実施例と同様な部材には同じ参照数字を付
けて重複説明はしないが、本実施例によると、逆流防止
リング２０の前方端は、面積の小さい先端部２５の一部
でのみ摩擦リング３０に当接するようになっている。し
たがって、可塑化するとき、先端部２５で逆流防止リン
グ２０全体が受けられ、押圧力が先端部２５に集中し逆
流防止リング２０が摩擦リング３０と共廻りする摩擦力
が付加される。これにより、さらに摩擦リング３０の摩
耗が防止される。先端部２５の形成位置は格別限定され
ないが、本実施例によると、先端部２５は逆流防止リン
グ２０の肉厚部２１側に形成されている。すなわち先端
部２５は、樹脂通路ａの狭い部分ｃに位置している。こ
のような位置に設けると、可塑化時には広くなっている
部分ｂの圧が高くなり、逆流防止リング２０は先端部２
５の方へ傾く力を受け、片当たり力を受けやすくなる。
本実施例においても軸部１２と通孔２３の断面は、円形
以外の楕円、角型、凹凸等でも実施できることは明らか
である。

【００１６】

【発明の効果】以上のように、本発明によると、逆流防
止リングを備えたスクリューを回転駆動して樹脂材料を
可塑化して、逆流防止リングの内周面と軸部の外周面と
の間の樹脂通路内を圧送するとき、該樹脂通路内におけ
る樹指圧を、逆流防止リングと摩擦リングとの間に相対
的な回転が生じると大きくなるようにして、逆流防止リ
ングを摩擦リングと共廻りさせながら可塑化するので、
あるいは樹脂通路の面積が断面において広い部分と狭い
部分とを有するように形成されているので、樹脂通路内
における樹指圧は、逆流防止リングと摩擦リングとの間
に相対的な回転が生じると大きくなる。したがって、逆
流防止リングが摩擦リングと共廻りし、摩擦リングの摩
耗が防止されるという、本発明特有の効果が得られる。
また、樹脂通路の通路面積が断面に見て広い部分と狭い
部分とを有するように形成されているので、逆流防止リ
ングと摩擦リングとの間の相対的な回転が生じると、圧
力が高くなっている部分が移動することになり、あるい
は圧力変動が生じるので、樹脂通路内の樹脂の置換性が
良くなり、滞留による樹脂ヤケが少なくなり、また色替
え性も良くなる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の第１実施例を示す図で、その（イ）
は軸方向の断面図、（ロ）はその横断面図である。

【図２】 本発明の第２実施例を示す軸方向の断面図で
ある。

【符号の説明】

２ スクリュー ３ スク
リューヘッド部 １０ 押金 １２ 軸部 ２０ 逆流防止リング ３０ 摩擦
リング ａ 樹脂通路 ｂ 広い部分 ｃ 狭い部分

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 その先端部に固定的に設けられている摩
   擦リング３０と、軸方向に移動自在に設けられている逆
   流防止リング２０とを備えたスクリュー２を回転駆動し
   て樹脂材料を可塑化して、前記逆流防止リング２０の内
   周面と軸部１２の外周面との間の樹脂通路ａ内を圧送す
   るとき、該樹脂通路ａ内における樹指圧を、前記逆流防
   止リング２０と摩擦リング３０との間に相対的な回転が
   生じると大きくなるようにして、前記逆流防止リング２
   ０を前記摩擦リング３０と共廻りさせながら可塑化する
   ことを特徴とする樹脂材料の可塑化方法。
2. 【請求項２】 押金１０と、逆流防止リング２０と、摩
   擦リング３０とを備え、可塑化時には前記逆流防止リン
   グ２０が前記摩擦リング３０に当接して溶融樹脂が前記
   逆流防止リング２０の内周面と軸部１２の外周面との間
   に形成されている樹脂通路ａ内を通って蓄積され、射出
   ・保圧時には前記逆流防止リング２０が前記押金１０に
   当接して溶融樹脂の逆流が防止されるようになっている
   スクリューヘッドであって、 前記樹脂通路ａは、通路面積が断面に見て広い部分ｂと
   狭い部分ｃとを有するように形成されていることを特徴
   とする射出成形用スクリューヘッド。