JPH06303961A - 製麹方法及び製麹装置 - Google Patents

製麹方法及び製麹装置

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JPH06303961A
JPH06303961A JP9128493A JP9128493A JPH06303961A JP H06303961 A JPH06303961 A JP H06303961A JP 9128493 A JP9128493 A JP 9128493A JP 9128493 A JP9128493 A JP 9128493A JP H06303961 A JPH06303961 A JP H06303961A
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JP
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koji
air
temperature
humidity
making
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JP9128493A
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Kijiro Matsuda
貴二郎 松田
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SEVEN RAISU KOGYO KK
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、製造工程における不要微生物によ
る汚染に充分対応できる製麹方法及び装置を提供するこ
とを目的とするものである。 【構成】 本発明の製麹方法は、蒸煮後の原料穀物の温
度及び雰囲気湿度を調節しながら種付け及び麹の生育を
行う製麹方法であって、空気を滅菌し温度及び湿度を制
御しながら原料穀物へ雰囲気として供給し、これにより
原料穀物の温度及び雰囲気湿度を調節することを特徴と
する。製麹装置は、原料穀物を内部に収納するためのハ
ウジングと、該ハウジング内の原料穀物に種麹を供給す
る種付け手段と、空気を滅菌する滅菌手段と、空気の温
度及び湿度を所望の温度及び湿度に調節する調節手段
と、該滅菌手段及び該調節手段を介して空気を上記ハウ
ジング内に供給する空気供給手段とを備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、清酒の醸造などに用い
られる製麹方法に関し、より詳細には、雑細菌等による
汚染を防止することにより高品質の麹が得られる製麹方
法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】麹は、穀類に糖化酵素やタンパク質分解
酵素などを産する糸状菌を生育させたもので、味噌、清
酒などの日本古来の伝統的な発酵食品の製造に用いられ
る重要な原料である。例えば、清酒は、精白米を米麹の
酵素系で消化しながら同時に清酒酵母でアルコール発酵
させて得られるもろみを濾過することによって得られ、
味噌は、大豆などの穀類に塩及び麹を添加し、耐塩性酵
母等によって発酵させることにより得られる。
【0003】従って、有害菌による麹汚染の有無、つま
り麹の品質の善し悪しは、製造される食品の品質、風味
等に影響を及ぼす。
【0004】例えば、清酒の製造において、有害菌を含
む麹を用いた場合、濾過、火入れ等の工程において菌は
分離、殺菌されるため、製品化後に生じる清酒への影響
は少ない。しかし、醸造時に悪影響を及ぼし、風味のよ
い清酒を得ることができない。
【0005】味噌は、食塩が添加されているので、汚染
微生物による変敗が起こることは希であり、保存食品と
して扱われるものであるが、近年、保健上の理由から食
塩摂取量を減少させるために味噌に添加される食塩の濃
度を低下させる傾向があり、汚染微生物の影響を無視す
ることはできなくなってきた。特に、味噌を二次加工す
ると、加工製品は微生物にとって活動し易い環境を有す
ることが多く、従って、麹の汚染による問題が生じる可
能性は大きくなる。特に、非生酸菌の桿菌には胞子をつ
くって生き続けるものがあり、商品検査で発見されるこ
とになる。
【0006】従って、不要な微生物による麹の汚染を防
止することは、発酵食品の製品衛生及び風味向上の観点
から非常に重要である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、麹の
製造において微生物汚染を十分に防止することは重要な
課題である。
【0008】本発明は、この様な従来技術の課題を解決
するためになされたもので、製造工程における不要微生
物による汚染に充分対応できる製麹方法を提供すること
を目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明者は鋭意研究を重ねた結果、製造工程中の雰
囲気を滅菌することにより得られる麹の品質が向上する
ことを見いだし、本発明の製麹方法及び製麹装置を発明
するに至った。
【0010】本発明の製麹方法は、蒸煮後の原料穀物の
温度及び雰囲気湿度を調節しながら種付け及び麹の生育
を行う製麹方法であって、空気を滅菌し温度及び湿度を
制御しながら原料穀物へ雰囲気として供給し、これによ
り原料穀物の温度及び雰囲気湿度を調節することを特徴
とする。
【0011】更に、本発明の製麹方法は、上述の製麹方
法によって製造される麹に、滅菌及び除湿した空気を供
給して麹を乾燥させることを備えることを特徴とする。
【0012】又、本発明の製麹装置は、原料穀物を内部
に収納するためのハウジングと、該ハウジング内の原料
穀物に種麹を供給する種付け手段と、空気を滅菌する滅
菌手段と、空気の温度及び湿度を所望の温度及び湿度に
調節する調節手段と、該滅菌手段及び該調節手段を介し
て空気を上記ハウジング内に供給する空気供給手段とを
備える。
【0013】以下、本発明をさらに詳細に説明する。
【0014】麹の原料は種々の穀類であり、原料によっ
て、米麹、麦麹等と呼ばれる。一般的な麹の製造工程
を、米麹の場合を例として、以下に概略的に説明する。
【0015】米を洗浄後、水に浸漬して水を吸収させ、
蒸米機などを用いて十分に蒸す。そして、蒸し米を35
℃前後まで冷却し、麹室に取り込み(引き込み工程)、
種麹の胞子を散布する(種付け工程)。次に、菌体の生
育に適するように種付け後の蒸し米の品温を管理しなが
ら静置する(製麹工程)。製麹中、必要に応じて米をほ
ぐしたり配置し直したりする(床揉み、盛り、切返し、
積み替え、仲仕事、仕舞仕事)。温度及び湿度を制御可
能な製麹装置を用いる場合は、コンベア上に均一に均さ
れて種付けされた蒸し米を装置内で搬送する。約2昼夜
の製麹後、麹室あるいは製麹装置から米は取り出され
(出麹工程)、冷却し、製品麹が得られる。
【0016】麹を味噌の製造に使用する場合は、穀物の
タンパク質を利用してうまみをつくるためにプロテアー
ゼ(タンパク質分解酵素)の強いものが必要とされるの
で、このような麹を製造するために、種付け後の製麹温
度は30〜35℃程度の低温に保たれる。
【0017】清酒の製造に使用される場合は、穀物の澱
粉質の糖化を目的をしているため、グルコアミラーゼ
(糖化酵素)の強いものが使用され、このような麹を製
造するためには、種付け後の温度は出麹まで40〜45
℃程度に設定される。
【0018】上述の麹を製造するプロセスにおける雑菌
汚染は、原料穀物の処理工程から製麹機内での製麹工程
における一連の工程での雑菌の付着、及び、付着した雑
菌の製麹工程中の増殖を経由して起こる。雑菌の付着に
関しては、米を蒸煮する段階では存在する菌の殆どが殺
菌されると考えられることから、とりわけ、蒸し煮後の
冷却及び製麹の段階における周囲環境中の雑菌の付着防
止が製品麹の汚染防止のために重要である。
【0019】環境に由来する雑菌付着の因子として、装
置等に付着する汚れが挙げられる。又、有機物は菌の栄
養源となるため、装置の洗浄を怠ることは雑菌の繁殖を
招くことになる。蒸し米の接触する器具を拭き取り法に
よって調べると、器具との接触による汚染が麹の雑菌汚
染の一要因であることが理解される。装置の汚れに対し
ては、一般に高圧洗浄機による水洗が行われる。洗浄に
よる効果は完璧なものではなく、特に、洗浄後の水分除
去が不十分な場合、効果が得られなかったり逆効果とな
ることがある。密閉できる容器であれば、蒸気加熱殺
菌、ガス殺菌により殺菌が可能である。しかし、殺菌効
果は持続しないので、その都度行う必要がある。浸漬で
きる容器は、液体薬品による殺菌方法を採用することが
できる。
【0020】雑菌付着のもう1つの要因として、飛散す
る塵埃がある。上述の殺菌方法により装置を殺菌して
も、製麹中の作業や温度制御のための送風、換気によっ
て雰囲気中の雑菌が付着する可能性は非常に高い。麹の
製造においては、麹の生育中に炭酸ガスが発生するた
め、適時換気を行って炭酸ガスの放出する必要があり、
麹室又は装置の外の空気が必然的に麹の周囲に送られ
る。このような起因による汚染を許してしまうと、製麹
中、特に、雑菌の汚染を受け易い種付け後から発芽初期
にかけて、雑菌の増殖が激しく進行し、麹の菌体の生育
自体も妨げられる。
【0021】上述の点を検討した結果、本願発明者は、
製麹中に雰囲気から雑菌の汚染を受けるのを防止するこ
とにより、製品麹の品質向上に大きな効果が得られるこ
とを見出した。即ち、本発明に係る製麹方法は、蒸し米
の冷却工程から製麹工程迄を滅菌空気雰囲気下で行うこ
とに特徴がある。即ち、原料穀物の温度及び雰囲気の湿
度管理に使用される空気として滅菌空気が用いられる。
【0022】空気の滅菌は、加熱殺菌、紫外線殺菌、無
菌濾過、あるいはこれらの組合せによって行うことがで
きるが、ミクロフィルターを用いた無菌濾過が特に好ま
しい。この理由としては、蒸し米の冷却や温度調整に用
いる空気量がかなり大量であるので、フィルター濾過が
効率的であること、及び、空気中の有機物などに付着し
た胞子状態の細菌は、殺菌が難しく、濾過の方が確実性
が高いことが挙げられる。滅菌した空気は、温度及び湿
度を適宜調整して麹室に送風される。
【0023】ミクロフィルターとしては、グラスファイ
バー繊維をバインダー樹脂で固めた平均ボアサイズ3〜
4μm程度のフィルターが特に好ましく、このようなフ
ィルターにおいては、ボアサイズの最大は9μm程度に
迄及ぶが、十分に菌体が除去でき、且つ、効率よく空気
を濾過することができる。もちろん、これに限られるわ
けではなく、ボアサイズのよく揃った菌体除去が可能な
ものであればよい。又、濾過の程度については、必ずし
も完全な無菌化が必要とされるわけではなく、麹の生
育、製造した麹を用いた発酵製品の製造工程及び発酵製
品の品質等に影響を与えない程度に除菌がなされればよ
い。ボアサイズが小さいと除菌が確実であるが、空気の
濾過抵抗が大きくなり、大量の空気を除菌処理するのが
難しくなる。
【0024】滅菌された空気は、温度、湿度を調整し
て、蒸し米の冷却用空気、蒸し米の輸送空気及び麹菌体
の生育時の雰囲気として用いられる。
【0025】本発明に係る製麹方法では、まず、蒸し米
を滅菌空気を用いて種付け温度まで冷却し、種麹を均一
に接種する。次に、種付け後の米を、滅菌空気を用いた
空気輸送により麹室へ輸送する。種付け及び製麹工程を
同じ場所で行うこともでき、その場合は空気輸送は省か
れる。そして、麹の育成に適するように温度、湿度を調
整した滅菌空気下での製麹工程を経て、製品麹が得られ
る。
【0026】種付け工程において、均一に種麹を接種す
ると、雑菌が蒸し米に付着した場合であってもその増殖
を抑制することができる。又、雑菌の増殖に先行して麹
を生育させると雑菌の増殖が難しくなるので、種麹の接
種量を多くすることは、汚染防止に効果がある。
【0027】製麹中の蒸し米を不均一に配置すると、呼
吸熱が発散されずに温度上昇し易い部分が生じ、製品の
品質が安定しない。又、製麹雰囲気の調整にかかるコス
トも増加する。従って、滅菌空気によって温度及び水分
調整が行い易いように、蒸し米を均して配置するのが望
ましい。麻布のような殺菌作業が容易で通気性のよい布
を麹室内のネット上に引き、その上に蒸し米を均すと好
適である。
【0028】又、前述の一般的製麹方法では、均一な麹
の生育を目的として、仕舞仕事など、製麹中の穀物配置
のし直し作業を行うが、本発明では、温度及び湿度を調
整した滅菌空気を穀物に送風するため、穀物の温度、湿
度の管理を充分均一に行うことが可能である。従って、
そのような配置作業を必要とせず、穀物を静置したまま
で製麹することができる。むしろ、不要な外界との接触
による雑菌混入を避けるために、静置状態で製麹する方
が好ましい。
【0029】製麹工程において雑菌が若干蒸し米に付着
している場合、雑菌の増殖は、製麹中の蒸し米の品温及
び水分量によって異なる。表1に示すように、品温及び
水分量が低い方が雑菌の増殖を抑えることができる。し
かし、過分に品温及び水分量を下げることは、麹の生育
をも妨げることになり、製麹温度によって得られる製品
麹の品質も変化する。従って、製麹中の品温及び水分量
は、所望の品質の麹を得るに適した条件の範囲内で低め
に設定するのが望ましい。
【0030】 表1 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 品温(℃) 水分量(wt%) 雑菌繁殖 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 1 40 35 175 2 35 35 17.7 3 30 35 1 4 30 40 18 5 30 30 0.44 (表中、雑菌繁殖は、雑菌を含む同一種麹で製麹した時の麹中の雑菌繁殖数を 、温度30℃,水分35wt%の製麹条件で得た値を1とした比率によって示す。 ) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 製麹工程によって得られる麹は、更に、水分量が7%前
後となるように乾燥すると、麹の成長を止め、長期安定
保存が可能な製品麹を得ることができる。この結果、長
距離輸送などにおいても、製品の包装に特別な工夫など
を施す必要がなく、クラフト紙の袋等を使用することが
できる。上述の製麹工程に続いて麹の乾燥工程でも、滅
菌空気を用いて行うと、雑菌やゴミなどによる麹製品の
二次的な汚染を防ぐことができる。従って、滅菌空気の
湿度を低くし、好ましくは更に温度を適度に上げて麹室
に供給してできあがった麹を乾燥するのが望ましい。
【0031】細菌汚染の検査は、麹1gを無菌水100
mlに懸濁させ、その1mlを無菌水で100mlに薄め、こ
のうちの1mlを検査用試料として行われる。必要があれ
ば、試料は、更に適宜薄めて使用する。上記のように調
整した試料は、検出対象に応じた培地に加えて培養す
る。
【0032】生酸菌及び非生酸菌の検出では、カビ発生
を抑えるためのカビサイジン(商品名、日本製薬社製抗
生物質)などを加えた細菌検出用寒天培地を用いる。検
査用試料を溶けた状態の培地に混ぜてシャーレに広げ、
ふ卵器中で30℃に2日間置き、培地上に生じたコロニ
ー数を数える。更に、生酸菌を特定するために、石灰を
混ぜた白濁培地を別に調整し、同様に検査試料を加えて
培養する。この培地においては、生酸菌の周辺が酸によ
り透明になるので、生酸菌を特定することができる。
【0033】酵母の検出は、カビ及び細菌の発生を抑え
るための抗生物質を加えた寒天培地を用いて行う。
【0034】一般的な工場製麹で頻出する麹の汚染にお
いては、麹1g(水分量28〜29wt%)中、生酸菌が
56×106 、非生酸菌が14×106 前後検出され
る。国内の製麹工場で生産された麹の50%以上におい
て、1g中、生酸菌が105 程度、非生酸菌が104
度検出される。これに対し、本発明の製麹方法で生産す
る麹において検出される菌の量は、麹1g当り、生酸菌
約102 〜不検出、非生酸菌約102 〜不検出、及び、
酵母(野生酵母)約102 〜不検出に減少させることが
可能である。
【0035】次に、上述の製麹方法を具現化する製麹装
置について説明する。
【0036】本発明に係る製麹装置は、上記説明からも
理解されるように、原料穀物を内部に収納するためのハ
ウジングと、空気を滅菌する滅菌手段と、空気の温度及
び湿度を所望の温度及び湿度に調整する調整手段と、該
滅菌手段及び該調整手段を介して空気を上記ハウジング
内に供給する空気供給手段とを備える。
【0037】ハウジングは、蒸した穀物を冷却する部分
と麹を育成する麹室部分とによる二部構成、あるいはそ
れ以上に部分による複数構成としてもよい。この場合、
各部間で原料を搬送する手段が用いられるが、原料が搬
送中に滅菌されていない外気に触れないように構成する
必要がある。
【0038】又、ハウジングに供給される空気の、滅菌
処理と温度及び湿度の調整とは、どちらを先に行うよう
に構成しても良いが、滅菌処理後に温度及び湿度の調整
を行うように構成する方が、エネルギー効率、フィルタ
ーの濾過効率などの点で好ましい。
【0039】以下、図面を参照して、本発明に係る製麹
装置の実施例を説明する。
【0040】図1は、本発明の製麹装置の一実施例を示
す構成概略図であり、装置各部間における原料穀物及び
空気の流れを説明するものである。図中、空気の流れに
関する各部の接続関係は実線で示し、原料米の流れに関
する接続関係は二重線で示している。
【0041】この実施例において、麹を収容するハウジ
ングは、冷却部及び麹室による二部構成になっている。
麹原料の浸漬米は、蒸米機Sによって蒸し煮され、本発
明に係る製麹装置1の冷却部3内に置かれて冷却され、
冷却部3内に併設された種付け器5によって種麹が蒸し
米に散布される。種付け後の米は、空気輸送機7を介し
て麹室9に送られ、製麹が行われる。蒸し米の冷却及び
空気輸送は、装置1外部の空気をミクロフィルター11
を通して雑菌を除去した滅菌空気を用いて行われ、滅菌
空気はファン13によって、冷却部3及び空気輸送機7
に供給される。滅菌空気は、更に、空気調整部15及び
ファン17を通して、麹室9にも供給される。空気調整
部15において、滅菌空気の温度及び湿度は、麹室9内
の麹菌体の生育段階に応じて適宜調整される。冷却部3
と麹室9との間の接続は冷却部3から麹室9への蒸し米
の搬送中に蒸し米が滅菌されていない外気に触れないよ
うに構成される。
【0042】上記実施例においては、冷却部3から麹室
9への蒸し米の搬送は空気輸送機7によってなされてい
るが、ベルトコンベア、スクリューコンベアなどを用い
て行ってもよい。又、冷却部3及び空気輸送機7を省略
し、冷却工程以下の工程をすべて麹室内で行うようにし
てもよい。更に、蒸米機Sを製麹装置1に一体的に組み
込んで構成してもよい。
【0043】図2は、図1の製麹装置の空気調整部15
の作用を説明する構成図である。図中、電気制御に関す
る接続関係は、点線で示されている。
【0044】麹室9内のネット上に、薬品浸漬等により
十分に殺菌、乾燥した布が敷かれ、その上に、空気輸送
機7によって送られる蒸し米が均一に置かれる。
【0045】ミクロフィルター11を通して取り込まれ
無菌濾過された空気は、分岐部19を通って温度湿度調
整部21へ供給され、インバータ付きのファン17を介
して麹室9の下部に送られる。麹室9内の空気は、ダク
ト23を通って分岐部25から分岐部19又は装置外へ
送られる。この間、麹室9内の蒸し米に設置された温度
検出器27が蒸し米の品温を検出し、この温度情報を制
御部29へ送る。又、麹室内に設置された検出器31に
より、湿度情報及び炭酸ガス濃度情報が制御部29へ送
られる。制御部29は、温度検出器27及び検出器31
から得た情報並びに経過時間に従って、麹室9内が適正
な温度、湿度になるように、温度湿度調整部21を制御
する。更に、制御部29は、麹室9内の実際の温度及び
/又は湿度と目標温度及び/又は湿度との差に応じてフ
ァン17の回転を制御し、麹室への送気量を調整するこ
とができる。麹菌体の生育によって麹室9内の二酸化炭
素濃度が高くなったとき、分岐部25の切り替えにより
麹室9から外への排気を調節することができる。又、実
際の麹室内の空気の状態と目標とする状態との差が少な
い時は、麹室9からの排気を分岐部19へ戻すことがで
きる。麹室の天井には結露を防ぐ温床線33が張られて
いる。更に、麹室内に殺菌灯34が取り付けられてい
る。
【0046】製麹工程が終了すると、分岐部35を切り
替えることにより、無菌濾過空気はフィルター11から
除湿加熱装置37へ送られ、分岐部39及びファン17
を介して麹室9へ供給される。麹室へ送られる無菌濾過
空気の湿度は除湿加熱装置37によって減少し、この結
果、麹室内の麹は乾燥する。麹の水分量が7%程度まで
減少した後、麹を冷却し、製麹装置から取り出して包装
する。
【0047】上記実施例では、製麹時と乾燥時とにおけ
る空気調整が異なった部分、つまり、温度湿度調整部2
1及び除湿加熱装置37によって行われるが、除湿加熱
装置37、分岐部35及び39を省略し、温度湿度調整
部21において一括して行ってもよい。又、分岐部2
5、35及び39については、手動あるいは電気制御の
いずれの弁を採用してもよい。手動で切り替える場合
は、温度、湿度、炭酸ガス濃度の情報を確かめることが
できるように制御部29に表示機能をもたせることが望
ましい。電磁弁などの電気制御可能な部材を用いる場合
は、制御部29がこれらを制御するように構成すること
により、工程が自動化される。更に、冷却部3、種付け
部5、空気輸送機及びファン13を制御部29が制御す
るように構成してもよい。又、空気の温度制御に関して
は、麹の検出温度に代えて麹室9内雰囲気の検出温度を
基にして行っても良い。この場合でも、なるべく麹に近
いところで温度を測定するのが望ましい。
【0048】
【実施例】以下、実施例及び比較例により、本発明をさ
らに詳細に説明する。
【0049】(実施例)平均ボアサイズ4μmのグラス
ファイバー(アクリル樹脂バインダー)製フィルター
(1LD−180、近藤工業株式会社、濾過効率:DO
Pテスト(0.3μ)99.97%以上)を用いて図1
及び2に示される構成の装置を準備した。この装置に、
蒸し米500kgを引き込み、上記フィルターを通した無
菌濾過空気を10℃に調節して送りながら、蒸し米を3
5℃に冷却した。種麹150gを接種し、麹室に搬送し
た。温度及び湿度を32℃、99%に調整した無菌濾過
空気を供給しながら、品温を32℃に20時間保ち、そ
の後、品温及び雰囲気湿度が40℃、99%になるよう
に無菌濾過空気の温度を制御して25時間静置しなが
ら、麹菌生育による発熱を除去する送風をおこない、麹
を得た。無菌濾過空気の温度を下げて麹を冷却し、麹中
の雑菌の量を前述の方法により測定したところ、生酸菌
は102 /g以下で、非生酸菌及び野生酵母は検出され
なかった。
【0050】(比較例)実施例の製麹装置からフィルタ
ーを取り除いたことを除いては実施例と同様の方法で、
麹を製造し、麹中の雑菌の量を測定したところ、生酸菌
105 〜104/g、非生酸菌103 /g、野生酵母1
4 /gであった。
【0051】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の製麹方法
及びその装置は、製造工程中の雑菌による汚染を防ぐこ
とができるものであり、得られる製品麹は高品質であ
る。従って、その工業的価値は極めて大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る製麹装置の一実施例を示す構成概
略図である。
【図2】図1の製麹装置の空気調整部の作用を説明する
構成図である。
【符号の説明】
1 製麹装置 3 冷却部 5 種付け器 9 麹室 11 ミクロフィルター 15 空気調整部 21 温度湿度調整部 29 制御部

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 蒸煮後の原料穀物の温度及び雰囲気湿度
    を調節しながら種付け及び麹の生育を行う製麹方法であ
    って、空気を滅菌し温度及び湿度を制御しながら原料穀
    物へ雰囲気として供給し、これにより原料穀物の温度及
    び雰囲気湿度を調節することを特徴とする製麹方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の製麹方法によって製造さ
    れる麹に、更に滅菌及び除湿した空気を供給して麹を乾
    燥させることを備える、製麹方法。
  3. 【請求項3】 原料穀物を内部に収納するためのハウジ
    ングと、該ハウジング内の原料穀物に種麹を供給する種
    付け手段と、空気を滅菌する滅菌手段と、空気の温度及
    び湿度を所望の温度及び湿度に調節する調節手段と、該
    滅菌手段及び該調節手段を介して空気を上記ハウジング
    内に供給する空気供給手段とを備える製麹装置。
JP9128493A 1993-04-19 1993-04-19 製麹方法及び製麹装置 Pending JPH06303961A (ja)

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JP9128493A Pending JPH06303961A (ja) 1993-04-19 1993-04-19 製麹方法及び製麹装置

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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1579772A1 (en) * 2004-03-25 2005-09-28 Ajinomoto Co., Inc. Method for the production of koji
EP1582103A1 (en) * 2004-03-31 2005-10-05 Ajinomoto Co., Inc. Novel food and production method thereof
JP2006247297A (ja) * 2005-03-14 2006-09-21 Sharp Corp カビ又は酵母利用製造現場の浄化方法、活性化ガス発生装置及びカビ又は酵母利用製造装置
WO2019116824A1 (ja) * 2017-12-13 2019-06-20 アサヒカルピスウェルネス株式会社 培養装置

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