JP4300075B2 - 機能性食品の製造方法 - Google Patents

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本発明は、穀物や豆類から効率よく選択的に機能性食品を製造する方法に関するものである。
加熱工程の中でも蒸煮工程は水蒸気を熱媒体として原材料を加熱することを意味し、食品加工の中でも重要な工程の一つである。その目的は、蛋白質の熱変性や澱粉質の糊化を行い、組織の軟化、エキスの抽出、酵素や有害物質の失活、殺菌などを行うことである。
水蒸気を熱媒体とした加熱方法には、原料に蒸気を直接接触させる方法や、蒸気を容器内に通し伝熱により間接加熱する方法など様々あるが、直接接触方式は古くから一般的な方法である。また、加圧下の飽和水蒸気で蒸煮して、時間の短縮、効果の促進や品質の向上ができることも知られている。
従来、機能性食品や生理活性物質を製造する装置で、原料を蒸煮する場合は、特許文献1や特許文献2のように、高温・高圧の蒸気で処理する方法が一般的である。前者では、笹の葉及び稈をチップ状にした原料を180〜200℃、16〜20kg/cm2で、後者では、生理活性大麦エキス、その濃縮物又は乾燥物を158〜225℃、5〜25kg/cm2で処理している。
また、食品素材などを減圧する装置として、特許文献3は、減圧して水分の蒸発を容易にするものであり、特許文献4には、減圧を、蒸気導入のため脱気を行なうためや、乾燥と冷却を行なう方法として従来から使用されている。また、特許文献5には、殺菌の前工程として、減圧により脱気する装置が述べられている。
食品素材を低温で蒸煮する装置として、特許文献6がある。この装置は温水から発生する蒸気をエジェクタにより食品加熱室に循環させる。食品加熱室の温度センサにより、温水温度と水蒸気循環量が調整される。また、この装置は外気とつながっており密閉状態での減圧はなく、循環気体には蒸気だけではなく、空気が混在している。したがって、温度の調整に対する時間的な遅れや循環する気体中の温度むらが、必ず発生する。
特開平5-308845号公報 特開2002-371002号公報 特開昭52-69764号公報 特公昭57-52064号公報 特開昭56-15751号公報 特開平9-327380号公報
従来から一般的に行われていた100℃以上の高温蒸煮方法では、例えば、澱粉質は糊化されるが、同時に蛋白質の不可逆的な熱変性も同時に起きてしまう。米の場合、蛋白質含量は7〜8%であるが、従来の処理方法では、このほとんどが熱変性してしまう。その蛋白質の熱変性を防げれば、微生物のプロテアーゼを作用させることにより、従来の原料処理に比べて蛋白質やペプチドの機能性物質が得られ、また消化管プロテアーゼとは切断部位の異なる機能性ペプチドが得られる可能性が高くなる。
機能性ペプチドは構造や生理活性が多彩であるという特徴を持つことから、例えば新たなプラスミノーゲンアクチベーターをはじめとする血栓を溶解する線溶活性物質などが得られる可能性が高い。そして穀類中の酵素の失活が防げる利点もある。しかし、食品としての価値を高めるためには、澱粉質を糊化する必要がある。そこで蛋白質を変性させず、澱粉質だけ糊化する方法について検討した。
本発明を要約すると、農産物又はその加工物を水蒸気で蒸煮するにあたって、50〜90℃の目的とする温度で正確に蒸煮するために、蒸煮原料雰囲気から空気を排除し、該目的温度の飽和水蒸気圧を蒸煮圧力として蒸煮した後、該蒸煮物で特定の微生物を固体培養することを特徴とする低温蒸煮による機能性食品の製造方法である。蛋白質の変性温度と澱粉質の糊化温度は近接しており、課題を解決するためには、正確な温度調整と原料の均一な熱処理が必要となる。一般的に、澱粉の糊化温度は65℃以下であり、多くの蛋白質の熱変性温度は70℃より高温である。したがって、農産物又はその加工物原料、例えば、穀物の熱処理温度を70℃近辺の極狭い温度幅にコントロールすることにより、澱粉の糊化と多くの蛋白質の未変性を両立させることができる。適正な熱処理温度は蒸煮原料によって異なるがその温度範囲が50〜90℃での略飽和の水蒸気で蒸煮する低温蒸煮し、その後該蒸煮物で特定の微生物を固体培養することによって、生理活性物質を含有する機能性食品が得られるのである。
ここで、農産物又はその加工物原料とは、穀物、豆類であり、精白米、玄米、玄麦、精白麦、そば、大豆、発芽玄米、発芽大豆、コーン、野菜類、果物などである。
更に、本発明ではこのような農産物又はその加工物を50〜90℃での略飽和の水蒸気で低温蒸煮した後、その蒸煮物で特定の微生物を培養すると、従来の高温蒸煮物に比べて、格段に生理活性物質が増加したり、食品の機能性が向上する。ここで、特定の微生物とは、糸状菌、細菌、酵母などの微生物である。
本発明の機能性食品の製造方法において、好ましい略飽和の水蒸気の蒸煮圧力は略飽和蒸気圧である。略飽和蒸気圧は、絶対圧力で 92.5〜525.8mmHg(50〜90℃)の範囲がよく、実用的に効果が高いのは149.2〜355.2mmHg(60〜80℃)の範囲である。
この蒸煮方法で処理された穀物原料を基質として用いて、上記の糸状菌、細菌、酵母などの微生物による培養を行えば、微生物が生産する安全で機能性の高い多くの生理活性物質を見つけ出す可能性を高めることになる。
ここで、正確に熱処理温度を安定させる技術が必要となる。熱処理法としては一般的に、熱風、遠赤外線、電磁波、蒸気等の処理法があるが、このうち熱風による方式は、熱風自体の正確な温度調整ができないだけでなく、湿潤した原料に乾燥した熱風を当てると蒸発潜熱による冷却作用が起こることにより原料の温度管理ができない問題や原料が乾燥するという問題がある。また遠赤外線や電磁波は原料の均一な熱処理が困難である。本発明では、これを、略飽和の水蒸気による蒸煮を採用することで、好ましくは蒸煮圧力が略飽和蒸気圧であることによって、機能性食品における生理活性物質の含有量を高めることに成功したのである。
本発明によれば、農産物又はその加工物中のタンパク質の不可逆的な熱変性が起こらないため、従来の原料処理に比べてタンパク質やペプチド由来の機能性物質が得られ、例えば線溶活性等の、原料由来の機能性の高い食品素材が得られる。また蒸煮後の原料に残存する酵素の活性を生かして、酵素活性の高い食品素材や、機能性物質を高濃度に含有した食品素材を得ることが可能となる。
以下、図面により、本発明の低温蒸煮方法を具体的に説明する。図1は本発明の低温蒸煮方法のフロー図である。
本発明の低温蒸煮方法は、農産物又はその加工物を50〜90℃の略飽和水蒸気で蒸煮することを特徴とする。また、蒸煮後、特定の微生物を培養することを特徴とする。
このような方法を実現する装置としては、原料1をその内部で蒸煮、培養する蒸煮培養缶2と、蒸煮培養缶2へ飽和蒸気供給手段3と、蒸煮培養装置内部を吸引減圧する吸引減圧手段4と、微生物を培養するため外気を導入する送風手段5と、導入した外気の温湿度を調整する空調手段6とを設けている。
蒸煮培養缶は、ジャケット構造とし、原料の低温蒸煮時や培養時にはその温度に対応した温水を循環させ、外部との熱交換による弊害を少なくしている。また、蒸煮培養缶には蒸気温度、すなわち原料の蒸煮温度を測定する温度センサを設けている。
飽和蒸気供給手段3には蒸気ボイラ32を使用し、蒸煮培養缶2の温度センサ21で測定した値に応じ、温度調節計31が蒸気ボイラ32から蒸煮培養缶2に供給する飽和蒸気量をコントロールすることで、100℃以下でも正確に設定された温度の飽和蒸気を作り出し、原料への均一な熱処理が可能である。また、このとき同時に吸引減圧手段4の吸引量をコントロールすれば、飽和蒸気供給量を最小限にすることができる。ここで、調節計によるコントロールは、原料の蒸煮温度を基準にしても蒸煮圧力を基準にしても、飽和蒸気の温度と圧力は正確に対応しているので、同じことである。
蒸煮培養装置内部を吸引減圧する吸引減圧手段4には真空ポンプ41と汽水分離器42を設け、装置内部の空気を吸引し、設定した温度の水蒸気分圧まで下げる。このとき、蒸気ボイラ32から飽和蒸気を供給し、装置内部の空気と置換させると共に真空ポンプ41の吸引や結露による水蒸気の消費を補足する。吸引した水蒸気の結露水は汽水分離器42により除去され、真空ポンプ41へは蒸気のみ吸引される。
原料の蒸煮後、微生物を植菌するため接種タンク7を使用する。接種タンク7へ種菌溶液を投入し、除菌した加圧エアーの圧力により蒸煮培養缶2内にシャワーノズル22で噴霧する。このとき、接種タンクへの種菌溶液の投入は、投入時、火炎により投入口を包囲し、中からは除菌された加圧エアーが噴出しており、その中で種菌溶液を入れた容器の蓋が開けられるので落下菌などに汚染されるおそれはない。
微生物培養のため、送風機51により外気を導入しているが、粗フィルター、中性能フィルター、高性能フィルターの三段階の空気フィルタ52により塵埃や微生物を除去している。導入した外気の空調であるが、温度は電気ヒーターとウォーターコイルでそれぞれ加熱冷却を行う。風温の調節計は、設定値と現在値との関係に応じて、電気ヒーターの出力量とウォーターコイルへの水バルブの開度をコントロールする。また、加湿は加圧エアーと水による二流体ノズルで行なう。加圧エアーと水は除菌フィルターを通しているので、汚染の心配はない。
培養時は、品温のパターン設定がプログラムでき、原料の種類等により連続送風か断続通風か2種類の制御を選択できる。また、温度調節計31に設定した送風温度と品温の関係に応じて、送風量が自動的に制御される。
以上のような蒸煮装置を用いて、本発明の機能性食品を製造するのであるが、その製造方法を採用する低温蒸煮方法は、農産物又はその加工物の蒸煮方法であって、蒸気発生量と蒸煮圧力を減圧下でコントロールし、正確に原料ごとに温度設定された飽和蒸気を作り出して、各原料を低温蒸煮処理する方法である。
蒸気処理では、表1の水蒸気分圧表に見られるように、例えば温度が70℃のときの水蒸気分圧は正確に233.7mmHgになる。この圧力と蒸気温度の原理をもとに、減圧しながら蒸気発生量をコントロールし、完全な飽和蒸気とすることにより、蒸気温度、すなわち原料の蒸煮温度が安定し、正確で均一な熱処理が可能となる。
Figure 0004300075
更に、図2により、この低温蒸煮を実現する装置の原理について説明する。真空ポンプ41により装置内の空気を吸引し、目的とする温度の水蒸気分圧まで圧力を下げる。このとき、外部から飽和蒸気を供給し、ポンプの吸引や結露による水蒸気の消費を補足する。温度調節計31により蒸気の温度又は原料1の温度が安定するように、真空ポンプ41の吸引量や水蒸気の発生量、供給量をコントロールする。
この方法は、原料品温を安定させるため、装置を密閉可能とし、中に空気など水蒸気以外の気体を残らないようにしなければならない。空気などが蒸気と混在した場合でも混合気体の温度を正確に制御できれば原料の蒸煮は可能ではあるが、その場合には、蒸煮圧力の設定では蒸煮温度を制御できないし、また、空気混在により発生する部分的な温度ムラの解消は容易にはできない。したがって、正確な温度による蒸煮はできないのである。ここでは、連続した真空ポンプ41の吸引により、装置内の空気がすべて水蒸気によって置換される。
また、この方法は、装置内の水蒸気圧を常に一定に保たなければならず、前述のとおり温度調節計31により自動的に水蒸気の補足量が決定されるが、真空ポンプ41の能力が高すぎる場合には、ポンプの手前側に補助バルブ43を設け外気を取り入れながら吸引することで相対的なポンプの能力を低下させ、ポンプと水蒸気圧のバランスを取り易くできる。装置内の減圧量が少なくてよいのであれば、真空ポンプ41の代わりに排風機などで吸引することも考えられる。また、装置内の空気がすべて水蒸気に代われば、装置を密閉し、結露などによる水蒸気の消費のみ補充してもよい。装置を二重ジャケット構造とし温水や別途蒸気などにより所定温度に保温することで装置内の温度が安定し、供給飽和蒸気量は少なくてよい。飽和蒸気の供給は外部からだけでなく、装置内に水を入れ、電気ヒーターなどで加熱して蒸気を発生させる方法が考えられる。
温度調節計31は、蒸煮蒸気温度を測定しても、蒸煮原料の温度を測定してもよいし、また蒸気の圧力を測定しても良く、設定数値に応じて飽和蒸気の供給量やヒーター出力量などを制御するのである。
蛋白質の種類によっては熱変性の温度が異なるし、場合によっては、澱粉の糊化の程度と蛋白質の未変性の程度を最適に調整するために、70℃より低い特定の温度や70℃より高い特定の温度で均一に蒸煮することが必要となる。したがって温度範囲として50〜90℃が求められているが、実用的に効果の高い好ましい温度範囲は60〜80℃である。
また、前述した目的以外の農産物又はその加工物を蒸煮する場合においても、この低温蒸煮原理を用いることにより、100℃より低い温度で安定した蒸煮が実現できる。前述のように、農産物又はその加工物には、精白米、玄米、玄麦、精白麦、そば、大豆、発芽玄米、発芽大豆、コーン、野菜類、果物が含まれる。
原料を低温蒸煮した後、特定の微生物を培養することも可能である。その場合、穀物などの原料由来の微生物について、殺菌の必要がある。低温性菌、中温性菌は60〜70℃の処理で死滅するが、高温性菌の場合、特に芽胞子菌が胞子を形成した場合には、完全に死滅させるためには150〜160℃で乾熱殺菌するか加圧水蒸気下(1気圧121℃)で15〜20分間加熱する方法が一般的である。そのため、この装置ではコッホサイクル法を用いる。コッホサイクル法は間欠滅菌とも言われ、3日間連続で20〜30分の繰返し滅菌を行う。これにより芽胞子菌の胞子が発芽するので、低温でも滅菌が可能となる。また、原料浸漬時に、pH調整により、例えば乳酸と酢酸を1%以上含む溶液で加水し、pHを低くすることにより、一般生菌数を効果的に抑制できる。
原料を蒸煮した後、密閉状態の装置へ外気を導入し、目的の種菌を接種する。外気は高性能フィルターにより塵埃や微生物を除去しており、また加熱装置、冷却装置、加湿装置を備え、温度と湿度を調整して適正な培養空気を供給する。
低温蒸煮技術は、また、様々な応用が可能である。例えば、小麦粉を100℃で蒸煮した場合にαアミラーゼは活性を失うが、65℃で蒸煮した場合にαアミラーゼ活性の残存率は18%ある。原料を蒸煮処理しながら、αアミラーゼやプロテアーゼなどの酵素を残存させることで、蒸煮後培養する麹の酵素活性を、更に高めることができる。
微生物培養のため、送風機51により外気を導入しているが、粗フィルター、中性能フィルター、高性能フィルターの三段階のフィルターにより塵埃や微生物を除去している。導入した外気の空調であるが、温度は電気ヒーターとウォーターコイルでそれぞれ加熱冷却を行う。風温の調節計は、設定値と現在値との関係に応じて、電気ヒーターの出力量とウォーターコイルへの水バルブの開度をコントロールする。また、加湿は加圧エアーと水による二流体ノズルで行なう。加圧エアーと水は除菌フィルターを通しているので、汚染の心配はない。
培養時は、品温のパターン設定がプログラムでき、原料の種類等により連続送風か断続通風か2種類の制御を選択できる。また、温度調節計31に設定した送風温度と品温の関係に応じて、送風量が自動的に制御される。
次に、本発明を実施例により詳細に説明する。
岡山県産アケボノの玄米10kgを洗米し、約20リットルの水に一昼夜浸漬し、発芽玄米とした。浸漬は、室内を25℃に温調し、その中に置いた。装置に原料を投入する1時間前にザルで浸漬水を切って、静置した。水切りした原料を低温蒸煮装置に投入し、減圧により70℃の飽和蒸気で30分間蒸煮した。
温度30℃、湿度100%の風で連続通風し、原料品温が30℃付近に下がった時点で種菌を接種した。種菌には、紅麹を液体培養したものを使用し、15分かけて間欠的にシャワーノズル22で噴霧した。培養中は、送風温度を30℃一定で、送風量は発熱の度合いに応じて上げていった。1日に1回撹拌とサンプリングを行った。原料水分を分析し、原料水分が30%近くを保つように、水分が足りない場合には加水して、足掛け17日培養を行った。培養後の紅麹には、市販製品には見られない強い線溶活性が検出された。また、105℃、30分高温蒸煮処理した発芽玄米で培養した紅麹に比べ、機能性物質のGABAの含量が4倍近い高濃度であった。
本実施例で行なった70℃、30分低温蒸煮後の発芽玄米(A群)と、比較例の浸漬条件は同じで105℃、30分高温蒸煮処理した発芽玄米(B群)の糊化度を測定した。その結果、A群の糊化度は16.6%、B群の糊化度は21.8%と、大きく変わらないものであった。また、糊化度以外に、グルタミン酸脱炭酸酵素(GAD)活性を測定したところ、A群のGAD活性は0.002U/gであり、B群のGAD活性は0U/gであった。
小麦を25℃の水に24時間浸漬し、その後脱水してC,Dの2群に分け、C群は70℃、30分低温蒸煮処理し、D群は105℃、30分高温蒸煮処理した。このときの糊化度はC群が29.3%でD群が51.0%であった。C群、D群に麹菌を植菌し、それぞれ30℃で3日間培養した。得られた麹の線溶活性はC群が11.2U/gでD群が10.2U/gであり、C群のほうが活性が高かった。また、C群、D群にテンペ菌を植菌し培養した場合、C群のみ線溶活性を生じた。
本発明の低温蒸煮処理により、農産物又はその加工物が高付加価値食品素材として各方面の食品加工分野で活用できる。得られた高付加価値食品素材は、生理活性物質原料又は機能性食品原料として、健康食品分野はもとより、医薬品製造原料としての分野でも、医薬品の収率向上が期待できる。この点は、特定の微生物培養の原料とした場合の実施例でも一部立証されている。例えば、GABAをはじめとする、アミノ酸物質の高収率な製造原料や、新規な製造方法の展開が期待できる。更に、これらの分野への高付加価値食品素材の効率的な製造のためには、本発明の目的達成のための優れた性能の低温蒸煮処理装置及びそれの処理条件制御システムなどの装置産業分野への利用も、今後大いに期待できるのである。
本発明の低温蒸煮方法のフロー図である。 本発明の低温蒸煮によるを実現する装置の原理を示す概略図である。
符号の説明
1 原料
2 蒸煮培養缶
3 飽和蒸気供給手段
4 吸引減圧手段
5 送風手段
6 空調手段
7 接種タンク
21 温度センサ
22 シャワーノズル
31 温度調節計
32 蒸気ボイラ
41 真空ポンプ
42 汽水分離器
51 送風機
52 空気フィルタ

Claims (1)

  1. 農産物又はその加工物を水蒸気で蒸煮するにあたって、50〜90℃の目的とする温度で正確に蒸煮するために、蒸煮原料雰囲気から空気を排除し、該目的温度の飽和水蒸気圧を蒸煮圧力として蒸煮した後、該蒸煮物で特定の微生物を固体培養することを特徴とする低温蒸煮による機能性食品の製造方法。
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