JPH06303954A - 食品の低温保存方法 - Google Patents

食品の低温保存方法

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JPH06303954A
JPH06303954A JP11777693A JP11777693A JPH06303954A JP H06303954 A JPH06303954 A JP H06303954A JP 11777693 A JP11777693 A JP 11777693A JP 11777693 A JP11777693 A JP 11777693A JP H06303954 A JPH06303954 A JP H06303954A
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JP
Japan
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food
temperature
water
container
pressure
Prior art date
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JP11777693A
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English (en)
Inventor
Mitsuo Nagai
光男 永井
Bunro Tsuda
文朗 津田
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Japan Steel Works Ltd
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Japan Steel Works Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 生鮮食品を氷点以下温度でも凍らない過冷却
状態で、安価に、安定して保存することのできる、食品
の低温保存方法を提供する。 【構成】 密閉容器10内に食品2と保存水7とを満た
して、氷点下温度におき、保存水7の一部を凍結させ、
生成した氷4、4…の体積膨張により密閉容器10内の
圧力を大気圧より高くすることにより、食品2に静圧を
かけ、食品2の凍結温度を下げて保存する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、野菜、果実類、魚介
類、畜肉などの生鮮食品を密閉容器に収納して低温状態
で保存する、食品の低温保存方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】生鮮食品を常温に放置すると、必ず酵素
により変質し、ついで細菌等の微生物により腐敗する。
すなわち発酵しそして腐敗する。このように、発酵し腐
敗する段階で食品の品質は、一般的には低下するが、ま
だ充分可食の状態にあり、時にはもとの味より向上する
こともある。しかしながら、腐敗の段階にいたると悪化
して食用に適さなくなる。このように食品を変質させ、
腐敗させて食べられなくする最大の根元は、酵素と微生
物であるので、食品の品質を低下も悪化もさせずに長期
間にわたって保存するには、酵素と微生物の作用を抑え
ればよい。そこで、生鮮食品は塩蔵、乾燥、真空等の方
法により保存されている。また温度が低くなると、酵
素、微生物等の活動が抑えられるので、低温による食品
の保存法も実施されている。低温保存方法によると、塩
蔵、乾燥法等により保存した場合に比較して、食品の品
質の劣化がない、あるいは小さいという特徴を有する。
【0003】生鮮食品の温度を低温に保って貯蔵する方
法には、低温貯蔵法すなわち調温貯蔵、低温貯蔵、人工
空気貯蔵法等があり、また冷蔵法、凍蔵法も知られてい
る。これらの方法は生鮮食品の種類、状態などによって
使い分けられているが、食品自体が冷却されているか、
あるいは凍結されているかのどちらかである。そして、
その食品自体の冷却あるいは凍結には、その食品自体を
冷たい空気やガス中に置く方法、冷水中に置く方法、食
品自体または食品表面の水分などを蒸発させその気化熱
で冷却する方法、氷や冷却された金属に食品を接触させ
る方法等に分類できる。
【0004】このように、低温保存方法には色々有る
が、生鮮食品例えば野菜、果実、肉鳥、魚介、乳卵等を
凍結した状態で保存すると、食品の種類によっては品質
が変化することがある。また、調理の前に解凍しなけれ
ばならない煩わしさもある。そこで、凍結しない状態で
生鮮食品を保存する低温保存方法が望まれるが、凍結し
ない状態は、一般に温度が高く、微生物等の活動が比較
的活発に行われ腐敗することもある。そこで、過冷却状
態で保存する方法が提案されている。一般的に生鮮食品
に含まれる水分が凍り始める温度は0゜Cより僅かに低
く、これを凍結点といい、生鮮食品の凍結点はー0.5
〜ー2.5゜C程度である。また凍り終わる温度は0゜
Cよりはるかに低く、これを共晶点といい、共晶点は、
ー60゜C?である。上記の過冷却状態で保存する方法
は、食品に含まれる水分は、冷却速度などを制御すると
過冷却状態となり、凍結点を過ぎても凍結しない状態に
なるため、その食品内部の水を過冷却状態に保ち食品を
保存する方法である。
【0005】上記のような過冷却状態で保存する具体的
な保存方法は、例えば特開平3ー47034号によって
提案されている。この方法は、プラスチック製袋で包装
した生鮮食品を、その食品の凍結点より1〜2゜C上の
温度まで急速に冷却した後、その食品の過冷却破壊点の
手前温度まで、5〜24時間経過毎に、ー0.1〜ー0.
5゜Cずつ段階的に温度を降下させ、食品を過冷却状態
で保存する方法である。また、例えば月刊誌「食品と開
発」Vol.25、NO.12、1990、(9)には、
加圧不凍結貯蔵という考え方が示されている。すなわち
圧力による氷点降下、例えば圧力が2000Kg/cm
2の場合の氷点は、約ー20゜Cであるが、この氷点降
下を利用した貯蔵法が示されている。この方法は、液体
を満たした圧力容器内に食品を入れ、高圧ポンプにより
圧力容器の内部に2000Kg/cm2 程度の高い靜水
圧をかけ、これにより作りだした液の中に、食品を凍結
させないで保存する方法である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、過冷却
状態にして温度を下げ、あるいは人工的に高圧ポンプに
より圧力を高めて凍結点を下げて、野菜、果実類、魚介
類、畜肉等の生鮮食品を保存すると、酵素、微生物等の
活動が抑えられ、食品を新鮮に保つことができ、また解
凍の問題もない等の利点が得られる。しかしながら、こ
れらの方法には長期にわたり鮮度を損なうことなく安価
に保存するには多くの課題がある。例えば過冷却状態
は、極めて不安定な状態であり、食品周囲の雰囲気温度
が微妙に変化すると、すぐに過冷却状態が破壊され、凍
結が始まる。このため、温度コントロールにより過冷却
状態を維持するには、食品周囲の雰囲気温度および食品
内部の温度勾配を極めて厳密にコントロールする必要が
あり、そのためには数多くの温度センサー、冷却機およ
び高度な温度コントローラーを必要とし、例えば前述の
特開平3ー47034号に開示されている、過冷却状態
にして保存する方法の実施には多くの困難が伴うと思わ
れる。
【0007】また、後者の月刊誌に示されている保存方
法によると、高圧ポンプにより圧力容器の内部に200
0Kg/cm2 程度の高い靜水圧をかけなけらばならな
いので高価な高圧ポンプを必要とし、またこのように高
圧状態に保つには密閉度の高い容器も必要とする。さら
には長期間にわたって初期の高い圧力を維持することは
極めて難しく、取扱いから見ても実用上問題がある。本
発明は、上記したような従来の問題を解決した食品の低
温保存方法、すなわち食品を氷点以下温度でも凍らない
過冷却状態で、安価に、また安定して保存することので
きる、食品の低温保存方法を提供することを目的として
いる。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するために、密閉容器内に食品と保存水とを入れて、
氷点下温度におき、保存水の一部分を凍結させ、生成し
た氷の体積膨張により密閉容器内の圧力を大気圧より高
くすることにより、食品に静圧をかけ、食品の凍結温度
を下げて保存するように構成される。請求項2記載の発
明は、請求項1記載の保存水に種氷を投入して過冷却を
破壊することにより保存水の一部分を凍結させるように
構成される。
【0009】本発明者らは、生鮮食品を長期間に渡り鮮
度を損なうことなく安価に保存することについて研究し
た結果、密閉容器内において水が凍結した場合、密閉容
器外周温度によって、密閉容器内の水が凍結した凍結量
と、凍結した氷の体積膨張により上昇する内部圧力との
間に平行状態が成り立つことを見いだした。本発明は、
この知見によりなされたものである。すなわち図3に示
されているように、容器30内に水31を、水位が
「H」になるように入れ、そして容器30の外部から容
器30内の水31を冷却すると、氷32が生成される。
ところで、生成された氷32は水より密度が小さいの
で、容積V2を占めていた水が、容積(V1+V2)の氷
32となり、水位Hは変わらない。容積V1が増加した
結果、容器30内の空間は狭められ、圧縮されたことに
なり、圧力が上昇する。その結果、氷点が下がる。本発
明は上記物理的現象を応用してなされたものである。
【0010】したがって、本発明による食品の低温保存
方法は、密閉可能な容器内に食品を入れ、この周囲に水
あるいは保存水を満たし容器を密閉する。この容器を、
氷点下温度に置き、容器内の食品周囲の水を一部分凍結
させ、生成した氷の体積膨張により容器内圧力を大気圧
より高くすることにより、食品に靜圧をかけ、食品内部
の水分を凍結させずに保存するものである。
【0011】この時、食品周囲の水は静置された状態で
あり、ある温度までは過冷却状態になりやすい。また、
生鮮食品の凍結点は、ー0.5〜ー2.5゜C程度であ
り、食品周囲の水が凍り始めたときに同時に食品までも
凍る恐れがある。そこで、食品周囲の水が0゜C以下に
なったところで種氷を投入して過冷却状態を破壊するの
が望ましい。過冷却状態を破壊することにより、食品周
囲の水を凍結させる。そうすることにより、食品周囲の
水は0゜Cとなり、その後、容器内圧力の上昇と共に食
品周囲の水温は降下する。容器内の圧力の上昇と、食品
周囲の水温の降下は、容器外周温度によってある点で平
衡に達する。一部分凍結した容器内部の水は、靜水圧媒
体の役目をなし、食品に全体から均一に靜圧をかける。
これにより、食品中の水は凍結することなく氷点以下の
温度を維持する。
【0012】本発明の実施に際しては、図1に示されて
いるように、第2の容器例えばレトルト袋1に保存すべ
き食品2を入れ、袋1の内部の空気を抜いて密封して袋
物3とした食品を、密閉可能な容器10内に入れること
もできる。袋物3を入れた容器10には、保存水7を満
杯にして蓋体11により容器10を密封する。そして前
述したように、容器10を氷点下温度に置き、容器10
内の袋物3の周囲の水7を一部分凍結させ、生成した氷
4、4、…の体積膨張により容器10内の圧力を大気圧
より高くすることにより、食品2に靜圧をかけ、食品2
内部の水分を凍結させずに保存することもできる。この
とき、容器10に保存水7を一杯に満たして冷却する
と、生成した氷4、4、…の体積膨張による圧力が直接
的に食品2に加わる。これに対し、満たす保存水7の量
が少なく容器10内に空間があると、空気が圧縮されて
食品2が加圧されることになる。しかしながら、いずれ
にしても食品2には靜圧がかかり、食品2内部の水分を
凍結させずに保存することができる。また、食品の種類
によっては、例えば川魚、生豆腐等な食品5、5は、図
2に示されているように、直接容器10に入れ、そして
前述したようにして保存することもできる。
【0013】「実施例1(実験例1)」 予備実験とし
て、10%グルコース液(凍結点ー0.3゜C)を容器
に満たして、容器外周温度と容器内の圧力と10%グル
コース液温度との関係を求めた。その結果を下記に示
す。 容器外周温度 容器内圧力 10%グルコース液温度 (C) (kg/cm2) (C) ー0.3 1.00 ー0.2 ー1.4 2.00 ー1.3 ー3.14 3.50 ー2.9 ー5.5 6.20 ー5.4 ー6.2 7.00 ー6.0 ー8.1 8.70 ー7.9 この表から、10%グルコース液温度は終始容器外周温
度より僅かに低い値をとることが理解される。また、容
器外温度をー5゜C±1.0゜Cに固定した場合、10
%グルコース液温度は、実験の間、0゜Cを示すことが
なく、ー5゜C±0.5゜Cの範囲で安定し、凍結は見
られなかった。温度変動は、容器外周温度より10%グ
ルコース液温度の変動の方が極めて小さかった。
【0014】「実施例2」 実験例1の結果を踏まえて
食品の保存を行った。食品には、市販の牛肉(黒毛和牛
ヒレ肉;水分量70%)を用いた。牛肉102gをレト
ルト袋に詰め、内部の空気が存在しないように真空に引
きシールしたものを使用した。容器内にこのシールした
食品を入れ、この周囲に0゜Cに近い温度の水を満たし
た。この水に種氷を5g投入して容器に空気が入らない
ように密閉し、続いてこの容器を、容器外周温度ー5゜
C±1.0゜Cにして一週間置いた。一週間後、容器を
0゜C以上に戻した後、内部圧力を大気圧まで戻し、容
器の蓋を開いて食品を取り出した。取り出した牛肉は、
肉汁などの流出はなく、保存前と色、弾力性など変化あ
るいは劣化は見られなかった。
【0015】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によると、
容器内の食品周囲の水を一部分凍結させ、生成した氷の
体積膨張により容器内圧力を大気圧より高くすることに
より、食品に靜圧をかけるため、圧力を発生させるのに
従来のように高価な高圧ポンプを用いることもなく、ま
た厳密な温度コントロールをすることもなく、過冷却状
態で保存できる。すなわち食品を凍結させることなく、
安価に過冷却状態で保存できる。したがって本発明によ
ると、食品を元のみずみずしい状態のまま、氷点以下の
温度に維持でき、鮮度が落ちるようなことはない、凍結
させていないため食品の機械的、膠質的損傷がない、容
器内から取り出したときにも解凍工程を必要としない、
という数々の効果が得られる。また本発明によると、食
品を取り囲む液体が保存水であるため、食品と接触した
場合でも人体に無害である。さらには、容器内の食品周
囲の保存水が漏れた場合でも、容器外周温度によって容
器内圧力と食品周囲の水温は元の平衡を保つため、容器
内圧力の上昇と食品周囲の水温の上昇はみられない。ま
た、容器内圧力と食品周囲の温度によって平衡を保つた
め、容器外周温度を厳密にコントロールする必要がな
く、一般的に用いられている温度コントローラーで済
み、安価に保存することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の1実施態様を示す断面図である。
【図2】 本発明の他の実施態様を示す断面図である。
【図3】 本発明の原理を示す断面図である。
【符号の説明】
1 レトルト袋 2
食品 3 袋物 4
氷 7 水 10
密閉可能な容器 11 蓋体

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 密閉容器10内に食品2と保存水7とを
    入れて、氷点下温度におき、保存水7の一部を凍結さ
    せ、生成した氷4、4…の体積膨張により密閉容器10
    内の圧力を大気圧より高くすることにより、食品2に静
    圧をかけ、食品2の凍結温度を下げて保存することを特
    徴とする食品の低温保存方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の保存水に種氷を投入して
    過冷却を破壊することにより保存水の一部を凍結させ
    る、食品の低温保存方法。
JP11777693A 1993-04-21 1993-04-21 食品の低温保存方法 Pending JPH06303954A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1454541A1 (en) * 2001-12-13 2004-09-08 Morinaga Milk Industry Co., Ltd. Method of preserving food, and method of producing non-frozen water
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