JPH06301065A - 光学フィルタ - Google Patents

光学フィルタ

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JPH06301065A
JPH06301065A JP5113957A JP11395793A JPH06301065A JP H06301065 A JPH06301065 A JP H06301065A JP 5113957 A JP5113957 A JP 5113957A JP 11395793 A JP11395793 A JP 11395793A JP H06301065 A JPH06301065 A JP H06301065A
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JP
Japan
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optical filter
viologen
electrochromic material
filter according
electrodes
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Application number
JP5113957A
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English (en)
Inventor
Tooru Udaka
融 宇▲だか▼
Akio Yasuda
章夫 安田
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Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
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  • Electrochromic Elements, Electrophoresis, Or Variable Reflection Or Absorption Elements (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】 エレクトロクロミック材料を光学機器の光量
調節のためのフィルタ材として用い、対向電極2−3の
駆動制御(特に印加電圧)によってEC材料の着色時の
濃淡を変化させることができる特徴を利用した光学フィ
ルタ10。 【効果】 エレクトロクロミック材料を用いた光学フィ
ルタに階調をつけることが可能となり、微細で消費電力
が少なくてすみ、光量調節デバイスとして、メカニカル
に作動させていた従来の可変NDフィルタの能力以上の
フィルタを提供することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光学フィルタに関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】従来、エレクトロクロミック材料(以
下、EC材料と称することがある。)は、電圧駆動型の
表示装置に用いられ、例えば時刻を表示するデジタル時
計等に採用されている。
【0003】例えば、特開昭59−24879 号公報に開示さ
れているように、液体型エレクトロクロミック表示素子
(以下、ECDと称することがある。)として、可逆的
に着色、消色状態を形成するビオロゲン分子誘導体をE
C材料に用いるものが知られている。
【0004】ビオロゲン化合物を用いる場合、その酸化
還元反応を利用し、所定の位置に配された電極上に色素
を析出させて表示パターンに着色させることができる。
【0005】また、精密光学機器の発展に伴って、これ
までの可変NDフィルタに置きかわる微細かつ低消費電
力型の光量調節デバイスが必要となっているが、上記の
如きECDがそれに適応できるか否かの検討が必要とな
っている。
【0006】しかしながら、従来のEC材料は表示装置
用として、もっぱら単一色を得ることで満足されていた
ため、上記の要求に応えるものではなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、微細
化可能でかつ低消費電力型の光量調節デバイスとしての
光学フィルタを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、エレク
トロクロミック材料(EC材料)を含有する液(以下、
EC液と称することがある。)が対向電極間にこれらの
電極に接して配され、これらの電極の駆動制御によって
前記エレクトロクロミック材料を着色又は消色するよう
に構成した光学フィルタに係るものである。
【0009】本発明の光学フィルタによれば、従来のE
C材料とは全く異なる着想に基いて、図1に例示する如
く、EC液1を光学機器の光量調節のためのフィルタ材
として用い、対向電極2−3の駆動制御(特に印加電
圧)によってEC材料の着色時の濃淡を変化させること
ができ、この特徴を利用し、光学フィルタに階調をつけ
ることが可能となったのである。従って、本発明は、E
C材料の使用によって、微細で消費電力が少なくてす
み、光量調節デバイスとして、メカニカルに作動させて
いた従来の可変NDフィルタの能力以上のフィルタを提
供することができる。
【0010】本発明の光学フィルタにおいては、上記し
た階調性又は光量調節(光透過率)制御のために、異な
る吸収波長を有する複数のEC材料が組み合わせて用い
られ、これらのEC材料が同時にそれぞれ着色されるこ
とによって可視光領域の全体に亘って光吸収が生じるよ
うにすることが望ましい。この場合、EC材料が消色状
態においては可視光領域に光吸収を示さないのがよい。
【0011】本発明に用いるEC材料は、電気化学反応
における酸化還元反応に伴い、電極表面上で着、消色を
繰り返すことのできる材料であることが望ましい。即
ち、EC材料には、分子の酸化還元反応が可逆的である
ものを選択することが必要である。
【0012】本発明では有機材料を用いることがよく、
特に、種々の有機分子の中で上記の性質を持つビオロゲ
ン系のもの(ビオロゲン類)を用いる。こうしたビオロ
ゲン分子の構造式を図7に示す。即ち、ヘプチルビオロ
ゲン及び/又はシアノフェニルビオロゲンが好適であ
る。対向電極の電位によって、ヘプチルビオロゲンは消
色状態(ほぼ透明)から赤紫に着色し、またシアノフェ
ニルビオロゲンは消色状態(ほぼ透明)から青〜青紫に
着色するものである。
【0013】本発明によれば、従来では単一色でしか作
動させていなかった有機系エレクトロクロミック材料を
用いて、駆動電圧の制御で階調性又は光透過率を可変さ
せ、特に複数の材料の混合によって新規な着色形態を得
ることができる。こうした新規な着色形態は、エレクト
ロクロミズムの駆動法を工夫することで得られる。
【0014】また、その混合着色層が全可視光領域(400
〜700nm)を吸収できる系を形成することによって、光学
機器における光透過率を効果的に制御できるフィルタを
提供できるものである。即ち、複数のEC材料を同時に
着色して可視光領域を遮蔽できるフィルタを提供でき、
特に、可視光領域で安定かつ均一な吸収特性を示し、そ
の領域での透過率変域(変化幅)を20%以内にできる。
【0015】上記において、EC材料として好適なビオ
ロゲン類の濃度として、EC液中で、ヘプチルビオロゲ
ンが 0.9〜90.0mM、シアノフェニルビオロゲンが 0.1〜
10.0mMであり、これらの比(ヘプチルビオロゲン/シア
ノフェニルビオロゲン)が0.09〜900 であるのがよい。
【0016】また、本発明に用いるEC液において、ビ
オロゲン分子の酸化還元反応による着色の消え残り効果
を抑え、かつ、対極における反応が律速状態にならない
ように、フェロシアン化カリウムを 1.0〜10.0mM、次亜
リン酸ナトリウムを 0.5〜5.0 M添加することが望まし
い。
【0017】この場合、フェロシアン化カリウムとシア
ノフェニルビオロゲン(p−CV)との反応により析出
した(p-CV)2KFe(CN)6 を再溶解させるために、塩化カリ
ウムを 0.1〜1.0mM 添加するのがよい。
【0018】本発明に用いるEC液において、電導度を
高めるために、臭化カリウムを 0.1〜1.0mM 添加するの
がよい。
【0019】また、本発明に用いるEC液には、吸収波
長領域を拡大するためにも、ヘプチルビオロゲンの包接
化合物を形成するβ−シクロデキストリンをヘプチルビ
オロゲンのほぼ倍濃度添加することが望ましい。
【0020】本発明の光学フィルタにおいては、EC材
料の着色用又は消色用の対向電極として、光学フィルタ
の動作を可能にするため、可視光領域に光吸収を示さな
い酸化インジウムスズ(ITO:酸化インジウムにスズ
をドープしたもの)が用いられるのがよい。
【0021】また、対向電極がそれぞれ複数に分割さ
れ、これらの分割された電極を個々に駆動制御すること
によって、種々に光量調節を行うことができる。
【0022】上記した複数材料の組み合わせで新規な着
色形態を実現するには、異なる吸収波長を有する複数の
EC材料をそれぞれ含有する複数の液が、各対向電極間
にそれぞれ配されているのがよい。
【0023】混合系のエレクトロクロミズムを機能させ
るとき、用いる分子の酸化還元電位がかけ離れている場
合、高電析電位側の分子が反応するまでにもう一方の分
子の二次反応が進行し、不可逆的反応が進行することが
ある。不可逆的反応が進行すると、エレクトロクロミズ
ムを示さなくなることがあるので、この効果的な解決策
として、図5、図6に例示する如く、溶液が混合しない
ように各EC液1、11を容した反応系のセルを10A、10
Bに分割し、駆動法も用いる分子の特性にあわせて適応
させ、単一色を各々のセル内で獲得することにより、水
平方向(図面左右方向)からその混合色を得る。
【0024】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。
【0025】図1及び図2は、本発明の実施例による光
学フィルタ10を概略的に示すものである。
【0026】本例の光学フィルタ10によれば、セルを構
成する一対の透明基板(例えばガラス板)4と5が一定
の間隔を置いて表示窓として配置され、各基板の内面に
は、少なくとも一方が着色用電極又は消色用電極となる
作用電極(例えばITO電極)2と3とが対向して設け
られている。
【0027】また、対極6は、基板4及び5の全周にス
ペーサを兼ねて設けられ、例えば白金板が使用される。
なお、図示省略したが、参照電極としては例えばAg/
AgCl電極が設けられている。
【0028】そして、対向電極2−3間には、これらの
電極に接してエレクトロクロミック材料としての例えば
有機系のビオロゲン化合物(ビオロゲン類)、特に互い
に吸収波長の異なる複数のビオロゲン化合物を混合物と
して含有するEC液1が封入されている。対向電極2と
3のいずれか一方は陽極、他方は陰極とし、それらの間
に所定時間だけ直流の駆動電圧を印加することによっ
て、ビオロゲン化合物(V)に酸化還元反応を起こさ
せ、これによって安定なラジカルを陰極側において生じ
させ、〔V+++e→V+ 〕で示すように所定の色素を陰
極に析出させる。
【0029】こうして電極上に色素を析出させることに
よって、表示窓からはビオロゲン化合物の着色した特定
の色を観察でき、例えば赤紫色のフィルタ材となる。そ
して、この着色によるフィルタ作用、即ち、可視光の透
過率(又は着色の濃淡)は電圧の大きさ又はその印加時
間と共に変化し、これを制御することによって透過率可
変フィルタとして機能させることができる。
【0030】この光学フィルタ10は、対向電極2及び3
をセル内のほぼ全面に有していてもよいが、実際には、
例えば図3及び図4に示す如くに構成することができ
る。
【0031】即ち、透明基板4及び5に設けられるIT
Oの対向電極はそれぞれ、中心部2a、3aと、この周
りに微小間隔を置いて同心円状に配されたリング状電極
2b、3b、2c、3c、2d、3d、2e、3eとに
分割されている。最外周の対向電極2e、3eの周囲に
は電位補償用の白金の対極6A、6Bが設けられてい
る。
【0032】これらの各電極2a、3a、2b、3b、
2c、3c、2d、3d、2e、3e、6A、6Bはそ
れぞれ、各駆動電源8A、8B、8C、8D、8E、8
Fにクロム細線等からなる配線9A、9B、9C、9
D、9E、9Fによって接続されている。
【0033】そして、透明基板4−5はスペーサ7(こ
れは図1では対極6が兼ねている。)によって、所定間
隔に配置され、その間隔内にEC液1が封入されてい
る。
【0034】EC液1は、印加される電圧の大小に応じ
て酸化還元反応(即ち、濃度)が制御されるものである
から、上記した各分割電極2a−3a間、2b−3b
間、2c−3c間、2d−3d間、2e−3e間に印加
される電圧(それぞれV1 、V2 、V3 、V4 、V5
する。)によって、各分割電極の陰極上におけるEC液
からの色素の析出量を変化させることができる(なお、
対極6A−6B間にも電位補償用の電圧V6 が印加され
る)。
【0035】従って、仮にすべての電圧を等しくすれば
(V1 =V2 =V3 =V4 =V5 )、EC液1の全域に
亘って一様に着色させることができ、かつ、電圧に応じ
て濃度の程度を一様に変化させることができる。
【0036】また、各電極への印加電圧を異ならせ、例
えばV1 <V2 <V3 <V4 <V5とすれば、中心部か
ら周辺へ行くに従って着色濃度が大となる(換言すれば
透過率が小となる)。これは、テレビカメラ等のCCD
(電荷結合素子)用の光学絞り等として有用であり、C
CDの集積度の向上に十分に対応できるものである。印
加電圧を上記とは逆の順にすれば、中心部から周辺にか
けて透過率が大となる。
【0037】このように、分割電極への印加電圧によっ
て、様々なパターンで濃淡若しくは階調性を制御でき、
光学フィルタとして有用となり、その使用状態の範囲が
広くなる。
【0038】図5及び図6に示す光学フィルタ10は、吸
収波長の異なる複数(ここでは2種)のEC液1と11と
を別々のセル10Aと10Bとに配し、両者が混合しないよ
うに構成している。
【0039】即ち、混合系のエレクトロクロミズムを機
能させるとき、用いる分子の酸化還元電位がかけ離れて
いる場合、高電析電位側の分子が反応するまでにもう一
方の分子の二次反応が進行し、不可逆反応が生じ易いの
で、これを防止するために、溶液が混合しないように各
EC液1及び11のセル10A及び10Bを分割し、駆動法も
用いる分子の特性にあわせて適応させ、単一色を各々の
セル内で獲得することにより、水平方向(図5では左右
方向、図6では上下方向)からその混合色を得るもので
ある。
【0040】なお、この二層分離型セルは、図5では概
念図として示したが、実際には図6の如くに構成でき
る。図6中の上部は図1に示したものと同一の構成から
なり、下部は上部と同様に透明基板(表示窓)5及び15
にそれぞれITO電極12、13を形成し、対極16をスペー
サとし、上部のEC液1とは異なるEC液11を封入して
いる。
【0041】以上に説明したように、本実施例によれ
ば、従来のEC材料とは全く異なる着想に基いて、EC
材料を光学機器の光量調節のためのフィルタ材として用
い、対向電極の駆動制御(特に印加電圧)によってEC
材料の着色時の濃淡を変化させることができ、この特徴
を利用し、光学フィルタに階調をつけることが可能とな
ったのである。従って、EC材料の使用によって、微細
で消費電力が少なくてすみ、光量調節デバイスとして、
メカニカルに作動させていた従来の可変NDフィルタの
能力以上のフィルタを提供することができる。
【0042】次に、本実施例を具体例について更に詳し
く説明する。
【0043】以下の具体例では、図1及び図2に示した
例のように構成された光学フィルタを使用し、ITO電
極を作用電極として、ポテンショスタットを用いて酸化
還元反応を電気化学的に制御しながら、ITO表面上に
着、消色させた。対極には白金板、参照電極にはAg/
AgCl電極を用いた。
【0044】EC材料には、それぞれ還元側で分子固有
の吸収波長を持つヘプチルビオロゲン及びシアノフェニ
ルビオロゲンを用いた(分子構造は図7参照)。水を溶
媒として、ヘプチルビオロゲン 9.0mM、シアノフェニル
ビオロゲン 1.0mMを溶解した。
【0045】また、ビオロゲン分子の酸化還元反応によ
る着色の消え残り効果を抑えることと、対極における反
応が律速にならないように、フェロシアン化カリウム
5.0mM、次亜リン酸ナトリウム 2.0Mを用いた。さら
に、フェロシアン化カリウムとシアノフェニルビオロゲ
ン(p−CV)の反応による(p-CV)2KFe(CN)6 析出物を
再溶解するために、塩化カリウム0.50mMを添加し、電導
度を高めるためさらに、臭化カリウムを0.20mM添加し
た。
【0046】また、ヘプチルビオロゲンは、β−シクロ
デキストリンと包接化合物を形成することにより、モノ
マー固有の発色を呈し、吸収波長領域を拡大できるとい
うことが知られている。この系に着目し、β−シクロデ
キストリンをヘプチルビオロゲンのほぼ倍量の20.0mM添
加した。
【0047】ヘプチルビオロゲンを単独でEC材料とし
て用いた場合、還元側(-600mV付近)で約 380、520 、
560nm に吸収を持つが、β−シクロデキストリンと包接
化合物を形成したとき、約 600、650nm 近傍に新しい吸
収領域が出現する。また、シアノフェニルビオロゲンは
単独で、還元側(-550mV付近)で 420〜480 、 600〜70
0nm に吸収を持つ。
【0048】そこで、両者を足し合わせることで、 400
〜700nm の波長領域の透過率を制御する試みを行った。
電析電位のアンダー側から、シアノフェニルビオロゲ
ン、ヘプチルビオロゲンと順にポテンショスタットを用
いて-600mVまで掃引速度一定(30mV/sec)で析出させる
と、ヘプチルビオロゲンの吸収が強いので、掃引速度と
駆動法を制御する試みを行った。また、上記の混合比で
作製した溶液を用いて、-800mV〜800mV まで掃引させた
とき得られたサイクリックボルタンメトリー曲線を図8
に示す。
【0049】次に駆動法の一例を挙げると、図9に示す
如く、まず第一段階として、-600mVまで掃引速度50mV/s
ecで掃引し、-600mVで5秒間保ち、次に第二段階とし
て、-600mVからステップ電位的に-550mVに運び、20秒間
その電位を保つ。このことは、作用電極表面上に最初に
ヘプチルビオロゲンに電子の授受を行わせ、-550mV付近
でしばらく一定に保つことでシアノフェニルビオロゲン
が電極表面上に到達し、電子授受が行われる(シアノフ
ェニルビオロゲンの吸収とみられるスペクトルが出現し
た)。
【0050】そのときのITO電極の透過率を基準にし
て、透過率は図10に示すように約42〜30%まで低下させ
ることができ、吸収波長が約 400〜700nm の範囲でかな
りフラットなスペクトルを得ることができた。図10中、
左側には測定開始からの経過時間を、左下に駆動方式を
示した(以下、同様)。この駆動系では、上記の吸収を
得るまでおよそ20秒程度を必要としたが、さらに、反応
系の改善又は駆動方式の多用化によって、着色速度を上
げることは可能である。
【0051】なお、消色時は、図11に示すように、可視
光領域全体に亘ってほぼ光吸収をもたず、 400nm近傍に
数%の遮蔽を残すのみで、ほぼ可逆反応は達成した。但
し、500mVで20秒間保持後、104mV/sec の掃引速度で0m
Vとした。
【0052】このように、還元側で分子固有の吸収波長
をもつヘプチルビオロゲンとシアノフェニルビオロゲン
は、各々の分子の持つ酸化還元電位は異なり、両分子を
同時に着色することは困難であるが、分子が着色すると
酸化されない限り消色しないという特徴を利用し、電気
化学反応の駆動法を種々に変化させることによって、同
一基板上に着、消色することができたのである。
【0053】この結果、全可視光領域を吸収することの
できる系を構築し、同一基板上に着、消色させて光学フ
ィルタとして動作させることができるようになった。
【0054】そして、上記具体例に示したフィルタ材を
図3及び図4の例や、図5及び図6の例にも適用すれ
ば、駆動方法及びフィルタ性能において一層変化のある
使用形態を実現することができる。
【0055】以上、本発明の実施例を説明したが、上述
の実施例は本発明の技術的思想に基いて更に変形が可能
である。
【0056】例えば、上述したEC材料の種類や組み合
わせ等は種々変更してよく、3種若しくはそれ以上のE
C材料を独立した各セル又は混合物として併用すること
ができる。
【0057】また、ITO電極パターンを含む光学フィ
ルタの構造をはじめ、各構成部分の材質、更には駆動方
法も上述したものに限定されることはない。例えば、フ
ィルタ構造として、図3に示した如き電極パターンをス
トライプ状、格子状等のように種々に変化させてもよい
し、各分割電極毎に異なるEC液のセルを分割して並置
することもできる。
【0058】また、本発明による光学フィルタは、可視
光領域用としてだけでなく、他の波長域にも使用可能と
なるようにEC材料等を選択することができる。或い
は、公知の他のフィルタ材(例えば液晶、エレクトロル
ミネッセンス材)と組み合わせる等も可能である。ま
た、本発明による光学フィルタは、CCDの光学絞り用
をはじめ、各種光学系、更には電子写真複写機や光通信
機器等の光量調節用としても広く適用可能である。
【0059】
【発明の作用効果】本発明による光学フィルタは上述し
た如く、従来のEC材料とは全く異なる着想に基いて、
EC液を光学機器の光量調節のためのフィルタ材として
用い、対向電極の駆動制御(特に印加電圧)によってE
C材料の着色時の濃淡を変化させることができ、この特
徴を利用し、光学フィルタに階調をつけることが可能と
なる。従って、本発明は、EC材料の使用によって、微
細で消費電力が少なくてすみ、光量調節デバイスとし
て、メカニカルに作動させていた従来の可変NDフィル
タの能力以上のフィルタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例による光学フィルタの概略断面
図である。
【図2】同光学フィルタの概念図である。
【図3】同光学フィルタの具体例のITO電極パターン
図である。
【図4】同具体例の光学フィルタの概略断面図である。
【図5】本発明の他の実施例による光学フィルタの概念
図である。
【図6】同光学フィルタの概略断面図である。
【図7】本発明の実施例に使用するエレクトロクロミッ
ク材料の構造式である。
【図8】同実施例に使用するエレクトロクロミック材料
のCV(サイクリックボルタンメトリー)曲線図であ
る。
【図9】同実施例の光学フィルタの駆動電圧のシーケン
ス図である。
【図10】同光学フィルタの着色時の印加電圧による透過
率変化を示すスペクトル図である。
【図11】同光学フィルタの消色時の印加電圧による透過
率変化を示すスペクトル図である。
【符号の説明】
1、11・・・EC液(エレクトロクロミック材料含有
液) 2、2a〜2e、3、3a〜3e、12、13・・・ITO
電極 4、5、15・・・表示窓(透明基板) 6、6A、6B、16・・・対極 7・・・サペーサ 8A〜8F・・・電源 10・・・光学フィルタ 10A、10B・・・セル

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エレクトロクロミック材料を含有する液
    が対向電極間に配され、これらの電極の駆動制御によっ
    て前記エレクトロクロミック材料を着色又は消色するよ
    うに構成した光学フィルタ。
  2. 【請求項2】 異なる吸収波長を有する複数のエレクト
    ロクロミック材料が組み合わせて用いられ、これらのエ
    レクトロクロミック材料が同時にそれぞれ着色されるこ
    とによって可視光領域の全体に亘って光吸収が生じるよ
    うにした、請求項1に記載した光学フィルタ。
  3. 【請求項3】 エレクトロクロミック材料が消色状態に
    おいては可視光領域に光吸収を示さない、請求項1又は
    2に記載した光学フィルタ。
  4. 【請求項4】 エレクトロクロミック材料が有機系のビ
    オロゲン類からなっている、請求項1〜3のいずれかに
    記載した光学フィルタ。
  5. 【請求項5】 ビオロゲン類がヘプチルビオロゲン及び
    /又はシアノフェニルビオロゲンからなっている、請求
    項4に記載した光学フィルタ。
  6. 【請求項6】 ビオロゲン類の濃度として、ヘプチルビ
    オロゲンが 0.9〜90.0mM、シアノフェニルビオロゲンが
    0.1〜10.0mMであり、これらの比(ヘプチルビオロゲン
    /シアノフェニルビオロゲン)が0.09〜900 である、請
    求項5に記載した光学フィルタ。
  7. 【請求項7】 エレクトロクロミック材料含有液に、フ
    ェロシアン化カリウムが 1.0〜10.0mM、次亜リン酸ナト
    リウムが 0.5〜5.0 M添加されている、請求項1〜6の
    いずれかに記載した光学フィルタ。
  8. 【請求項8】 エレクトロクロミック材料含有液に、塩
    化カリウムが 0.1〜1.0mM 添加されている、請求項7に
    記載した光学フィルタ。
  9. 【請求項9】 エレクトロクロミック材料含有液に、臭
    化カリウムが 0.1〜1.0mM 添加されている、請求項1〜
    8のいずれかに記載した光学フィルタ。
  10. 【請求項10】 エレクトロクロミック材料含有液に、β
    −シクロデキストリンがヘプチルビオロゲンのほぼ倍濃
    度添加されている、請求項5〜9のいずれかに記載した
    光学フィルタ。
  11. 【請求項11】 エレクトロクロミック材料の着色用又は
    消色用の対向電極として、可視光領域に光吸収を示さな
    い酸化インジウムスズが用いられている、請求項1〜10
    のいずれかに記載した光学フィルタ。
  12. 【請求項12】 対向電極がそれぞれ複数に分割され、こ
    れらの分割された電極が駆動制御される、請求項1〜11
    のいずれかに記載した光学フィルタ。
  13. 【請求項13】 異なる吸収波長を有する複数のエレクト
    ロクロミック材料をそれぞれ含有する複数の液が、各対
    向電極間にそれぞれ配されている、請求項1〜12のいず
    れかに記載した光学フィルタ。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN113196114A (zh) * 2018-12-10 2021-07-30 佳能株式会社 光控制元件
US11143870B2 (en) 2017-02-17 2021-10-12 Ricoh Company, Ltd. Display apparatus and display method

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