JPH06298844A - 共役ジエン系重合体の水素化触媒、その製法および水素化方法 - Google Patents

共役ジエン系重合体の水素化触媒、その製法および水素化方法

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JPH06298844A
JPH06298844A JP9271791A JP9271791A JPH06298844A JP H06298844 A JPH06298844 A JP H06298844A JP 9271791 A JP9271791 A JP 9271791A JP 9271791 A JP9271791 A JP 9271791A JP H06298844 A JPH06298844 A JP H06298844A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 極性溶媒に可溶または部分的に可溶で取扱い
易く、水素化反応における選択性が良好で、しかも高水
素化率を達成できる共役ジエン系重合体の水素化触媒を
提供する。 【構成】 パラジウム化合物とニトリル基含有重合体と
からなる高分子錯体を含む共役ジエン系重合体の水素化
触媒。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、パラジウム化合物とニ
トリル基含有重合体とからなる高分子錯体を含む触媒、
その製法およびそれを用いる共役ジエン系重合体の水素
化方法に関する。更に詳しくは、本発明は、ニトリル基
含有重合体にパラジウムが配位した特定の構造をもつ高
分子錯体、その製法およびそれを触媒として用いる共役
ジエン系重合体の水素化方法に関する。
【0002】
【従来の技術】共役ジエン系重合体中の炭素−炭素二重
結合のみを選択的に水素化し、水素化率が高く、高度に
飽和した重合体を得る方法として、従来から種々の方法
が提案されている(例えば、特開昭59−11750
1、特開昭58−17103、特開昭62−4293
7、特開昭62−125858、特開昭62−1814
304、特開昭61−247706、特開平1−454
02、特開平1−45403、特開平1−45404、
特開平1−45405)。
【0003】一般に、鉄、コバルト、ニッケル、ルテニ
ウム、ロジウム、白金、パラジウム等の水素化能を有す
る金属を多孔性担体に担持した担持触媒を用いる場合に
は、その活性は担体の粒子径に左右され、活性を上げる
ために粒子径を小さくすると、反応後の触媒分離が困難
になる。また、重合体溶液の粘度が高いため反応効率が
悪く、高い水素化率を達成するには比較的多量の触媒を
必要とする。
【0004】一方、ニッケル、チタンなどの錯体を水素
化触媒として使用する方法が提案されている。(例え
ば、特公昭46−17130、特開昭59−13320
3、特開昭60−220147、特開昭61−3313
2等)。これらの低分子化合物からなる錯体触媒は、空
気や水、重合体中の不純物に対して不安定であり、しか
も溶媒によって分解するものがある。従って、溶媒の選
択、重合体精製、重合体溶液からの水分の除去など前処
理を十分に行わなければならない。これらの触媒は、溶
液重合で製造した重合体に引続き水素化反応を実施する
場合にはメリットがあるが、乳化重合により得た重合体
のように種々の重合副資材が残留する重合体を、溶液状
態にて水素化反応する場合には適していない。
【0005】また、ロジウムやルテニウム等の錯体触媒
を用いて、均一系にて共役ジエン系重合体を水素化する
場合には、該共重合体を溶解しうる極性溶媒中では錯体
が不安定であるため、過剰の配位子を添加する必要があ
る。そのため反応後、得られた水素化物と触媒および過
剰の配位子との分離に多大の工夫を要する。
【0006】従来から溶媒に可溶あるいは部分的に可溶
なパラジウム塩としては塩化パラジウムがあり、それを
用いた低分子化合物の水素化反応は公知であるが(例え
ば米国特許第1,023,753号)、塩化パラジウム
は高分子化合物においては水素化触媒としての活性は殆
ど無い。また、カルボン酸のパラジウム塩を用いて水素
化反応をする方法が提案されているが(特開昭59−1
17501)、水素化活性を高くするためにはヒドラジ
ンによる還元工程を併用するという煩雑さがあった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは前記の点
を解決すべく鋭意検討の結果、パラジウムとニトリル基
含有共重合体からなる高分子錯体は、極性溶媒に可溶あ
るいは部分的に可溶で取扱い易く、水素化反応における
選択性が良好で、しかも高水素化率を達成できることを
見いだし、本発明を完成するに到った。
【0008】
【課題を解決するための手段】かくして、本発明によれ
ば、(1)パラジウム化合物とニトリル基含有重合体と
からなる高分子錯体を含む共役ジエン系重合体の水素化
触媒;(2)パラジウム化合物とニトリル基含有重合体
とを溶媒の存在下で接触させることを特徴とする上記水
素化触媒の製造方法;および、溶液の状態で共役ジエン
系重合体中の炭素−炭素二重結合のみを選択的に接触水
素添加する方法において、請求項1記載の水素化触媒を
使用することを特徴とする共役ジエン系重合体の水素化
方法。
【0009】本発明で用いる高分子錯体を形成する要素
の1つであるニトリル基含有重合体は単重合体であって
も共重合体であってもよく、該重合体を構成するニトリ
ル基含有モノマーとしては、アクリロニトリル、メタク
リロニトリル、シアン化アリル、シアン化ビニリデン等
の不飽和ニトリル類が挙げられる。共重合体を構成する
他のモノマーとしては、1,3−ブタジエン、イソプレ
ン、1,3−ペンタジエン、などの共役ジエン;スチレ
ン、アルキルスチレン、ジビニルベンゼン等のビニル芳
香族(炭化水素);アクリル酸、メタクリル酸、イタコ
ン酸、マレイン酸、メチルアクリレート、ブチルアクリ
レート、2−エチルヘキシルアクリレート、トリフロロ
エチルアクリレート、メチルメタクリレート等の不飽和
カルボン酸及びそのエステル;ビニルピリジン類;酢酸
ビニル等のビニルエステル等が挙げられる。
【0010】ニトリル基含有重合体は、共重合体の場
合、ランダム共重合体、グラフト共重合体、ブロック共
重合体などのいずれの形態であってもよく、その製造法
も塊状重合、溶液重合、乳化重合のいずれであってもよ
い。
【0011】ニトリル基含有重合体の具体例としては、
ポリアクリロニトリル、ブタジエン−アクリロニトリル
共重合体(NBR)、ブタジエン−メタクリロニトリル
共重合体、イソプレン−アクリロニトリル共重合体、ア
クリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ブタ
ジエン−ブチルアクリレート−アクリロニトリル三元共
重合体、ブタジエン−n−ブチルイタコン酸−アクリロ
ニトリル三元共重合体などを挙げることができる。
【0012】本発明に用いられる高分子錯体を形成する
他の要素であるパラジウム化合物は、II価およびIV価の
パラジウム化合物であれば特に限定されず、塩、錯塩、
錯体のいずれの形態でもよい。具体的には、塩化パラジ
ウム、フッ化パラジウム、水酸化パラジウム、硝酸パラ
ジウム、硫酸パラジウム、酸化パラジウムなどの無機の
パラジウム塩類、ジクロロシクロオクタジエンパラジウ
ム、ジクロロノルボルナジエンパラジウム、テトラキス
アセトニトリルパラジウムテトラフロボレート、テトラ
キスベンゾニトリルパラジウムジテトラフロロボレー
ト、ジクロロビスアセトニトリルパラジウム、ジクロロ
ビスエチレンジアミンパラジウム、ビスアセチルアセト
ナトパラジウム、トリストリフェニルフォスフィンアセ
トニトリルパラジウムテトラフロロボレート、ジクロロ
ビストリエチルフォスフィンパラジウム、ジクロロビス
(ジメチルスルフィド)パラジウム、ジベンゾイルスル
フィドパラジウム、ビス(2,2′−ビピリジン)パラ
ジウムパークロレート、テトラキス(ピリジン)パラジ
ウムジクロライドなどが挙げられる。
【0013】これらのパラジウム化合物は、市販品とし
て手に入れるか、または「新実験化学講座」第8,12
巻(丸善1976年刊)や「貴金属の化学と応用」(講
談社サイエンティフィック1984年刊)などに従って
合成できる。
【0014】以上のニトリル基含有重合体とパラジウム
化合物より高分子錯体触媒を合成する手法は、以下の手
順で行う。まず、窒素雰囲気下で、ニトリル基含有重合
体を溶解し、かつパラジウム化合物を溶解および/また
は一部溶解する溶媒中で、両者を40℃以下で5時間以
上混合して反応させる。反応温度が高いと、ニトリル基
含有重合体がゲル化したり、得られた高分子錯体が触媒
活性を示さなくなる。高分子錯体触媒の生成は、スペク
トルを測定することにより確認される。例えば、ニトリ
ル基含有重合体が共役ジエン単量体を含有する場合、高
分子錯体をジクロルメタン溶液としてスペクトルを測定
すると、260〜300nm付近(紫外領域)360〜4
80nm付近(可視領域)に吸収ピークが現れることによ
り、確認できる。上記パラジウム錯体を触媒として使用
する際の使用量は、目標とする水素化率によって適宜決
めれば良いが、対象とする重合体あたりパラジウムとし
て2000ppm 以下、好ましくは1500ppm 以下であ
る。
【0015】本発明で水素化反応の対象として用いる共
役ジエン系重合体は、共役ジエンモノマー10〜100
重量%と、それと共重合可能なモノマー0〜90重量%
からなる。共役ジエンモノマーとしては、1,3−ブタ
ジエン、イソプレン、2,3−ジメチルブタジエン、
1,3−ペンタジエン、クロロプレン、ピペリレンなど
が挙げれる。
【0016】共重合可能なモノマーとしては、アクリロ
ニトリル、メタクリロニトリル、シアン化ビニリデン等
の不飽和ニトリル;スチレン、アルキルスチレン、ジビ
ニルベンゼン等のビニル芳香族炭化水素;アクリル酸、
メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、メチルアクリ
レート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアク
リレート、トリフロロエチルアクリレート、メチルメタ
クリレートなどの不飽和カルボン酸及びそのエステル;
ビニルピリジン類、酢酸ビニル等のビニルエステル等が
挙げられる。
【0017】代表的な共役ジエン系重合体としては、ポ
リブタジエン、ポリイソプレン、ブタジエン−スチレン
(ランダムおよびブロック)共重合体、ブタジエン−ア
クリロニトリル共重合体、ブタジエン−メタクリロニト
リル共重合体、イソプレン−アクリロニトリル共重合
体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合
体、ブタジエン−ブチルアクリレート−アクリロニトリ
ル三次共重合体、ブタジエン−n−ブチルイタコン酸−
アクリロニトリル三元共重合体などを挙げることができ
る。
【0018】水素化反応は、溶液重合で重合して得た重
合体を使用するときは重合体をそのままで、また、固形
の重合体を使用するときは重合体を溶媒に溶解した状態
で行われる。重合体溶液の濃度は、1〜70重合%好ま
しくは1〜40重量%である。
【0019】溶媒としては、高分子錯体溶媒と共役ジエ
ン系重合体の両方を溶解するものが望ましいが、触媒に
一部不溶解部分があっても差し支えない。溶媒は、触媒
の種類および重合体の種類に応じて選択されるが、ベン
ゼン、トルエン、キシレン、クロルベンセン、シクロヘ
キサノン、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケ
トン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、ジメチルホル
ムアミドなどが挙げられる。水素化反応温度は5℃〜1
50℃であり、好ましくは10℃〜100℃である。高
温では高分子錯体触媒が失活したり副反応が起こりやす
くなり、好ましくない。例えば、溶媒が水素化された
り、ニトリル基が水素化されたり、ベンゼン骨格が水素
化される場合がある。
【0020】反応時の水素の圧力は大気圧〜150kg/c
m2であり、好ましくは大気圧〜100kg/cm2である。1
50kg/cm2を超える高圧でも差し支えないが、設備が高
額となること、取扱が面倒になるという難点があり、実
用上好ましくない。
【0021】水素化反応に使用した触媒は、反応後の反
応溶液にイオン交換樹脂を添加してそれに吸着させ、そ
の後遠心分離、濾過などにより反応溶液から除去するこ
とができる。また、ニトリル基含有重合体以外の共役ジ
エン系重合体を水素化した場合には、ニトリル基含有重
合体を溶解し、水素化された重合体を溶解しないような
溶媒で、高分子触媒部分を抽出し、除去することもでき
る。さらには、触媒を除去せずに水素化した重合体中に
残存させてもよい。
【0022】反応溶液から水素化重合体を分離するに
は、通常の方法を用いればよい。例えば、重合体溶液を
水蒸気と直接接触させる水蒸気凝固法、加熱回転ドラム
上に重合体溶液を滴下させて溶媒を蒸発させる、あるい
は重合体溶液中の溶媒を減圧下で蒸発させる直接乾燥
法、重合体溶液に重合体の貧溶媒を添加して沈殿させる
方法等が例示される。このように重合体が分離された
後、熱風乾燥、減圧乾燥あるいは押しだし乾燥等の工程
を経て、水素化重合体として回収される。
【0023】
【発明の効果】本発明に従って、共役ジエン系重合体の
水素化反応において、水素化触媒としてパラジウム化合
物とニトリル基含有共重合体からなる高分子錯体を使用
すると、共役ジエン系重合体の中の炭素−炭素二重結合
のみを選択的にかつ高度に水素化した高飽和重合体を得
ることができる。得られた水素化重合体は、耐候性、耐
オゾン性、耐熱性、耐寒性などに優れており、広範囲の
分野で使用できる。
【0024】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明例を具体的に説
明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるも
のではない。
【0025】〔触媒の調製〕原料 1)ニトリル基含有共重合体アクリロニトリル含有量3
7重量%のアクリロニトリル−ブタジエン共重合体(以
下、「NBR」と称す、ML1+4 =50)を用いた。 2)パラジウム化合物 塩化パラジウム PdCl2 エヌ・イー・ケムキャット社製 酸化パラジウム PdO 同上 水酸化パラジウム Pd(OH)2 同上 硝酸パラジウム Pd(NO3 2 同上 3)溶媒;アセトン
【0026】触媒の調製 1)NBRを窒素雰囲気下にてアセトンに溶解し、10
重量%溶液とする。そこへ各パラジウム化合物をNBR
あたり5重量%になるように仕込み、室温、大気圧下で
攪拌する(反応時間は表1参照)。パラジウム化合物は
アセトンに不溶または難溶なため、反応初期には無色の
NBR溶液中に不溶解分が分散した状態であるが、反応
が進むにつれて、溶液が黄色ないし赤みがかかった黄色
を呈し、パラジウムの配位した高分子錯体が得られる。
反応後、窒素気流下にて0.2μmのメンブランフィル
ターを用いて溶液を濾過し、未反応のパラジウム化合物
と分離する。濾液をそのまま高分子錯体触媒溶液とし
て、水素化反応に使用する。フィルター上に残ったパラ
ジウム化合物は、再び原料として用いる。
【0027】2)高分子錯体触媒の生成は、減圧下にて
蒸発乾固した高分子錯体を、窒素気流下でジクロルメタ
ンに溶解し、紫外スペクトル(260〜300nm付
近)、可視スペクトル(360〜480nm付近)を測
定することで判定する。これらの領域における吸収は、
NBR単独もしくはO価のパラジウムでは示さないもの
である。
【0028】下記表1の触媒番号1の触媒(NBR−P
d)の紫外スペクトルを図1に、また、可視スペクトル
を図2にそれぞれ示す。比較のために、Pdが配位して
いないNBRのスペクトルも両図に示す。なお、図1の
スペクトルの左端部200〜230cm-1における大き
な吸収は溶媒に起因する。
【0029】3)得られた高分子錯体溶液中のパラジウ
ム含有量を原子吸光スペクトルにて測定し、水素化反応
に用いる触媒量を決定した。表1に各高分子錯体中のパ
ラジウム含有量を示す。
【0030】
【表1】
【0031】触媒番号2と3のように、反応時間を延長
すれば、パラジウム含有量は増加する。
【0032】(実施例1〜3)触媒1,3および4の高
分子錯体触媒溶液を用いて、そこに含まれる、Pdが配
位してないアクリロニトリル含有量37重量%のNBR
(ML1+4 =50)の炭素−炭素二重結合の水素化反応
を行った。これらの触媒のパラジウム含有量497〜5
01ppm とほぼ同一であった。
【0033】容量100mlのオートクレーブに、各パ
ラジウム錯体触媒溶液を50g仕込み、水素圧10kg
/cm2 にて3回置換したのち、水素圧50kg/cm
2 かけて温度50℃にて6時間反応させた。オートクレ
ーブを冷却、脱圧後、内容物を大量のメタノール中へ添
加し、凝固、乾燥した。得られたサンプルのヨウ素価を
JISK−0070に準じて測定し、水素化率を求め
た。結果を表2に示す。
【0034】(比較例1〜3)比較例としてPbO,P
d(OH)2 ,PdCl2 の各パラジウム塩をそのまま
水素化触媒として使用した。容量100mlのオートク
レーブに、NBR5g、アセトン45gを張り込み、系
内を窒素置換した。そこに各パラジウム化合物を重合体
あたりパラジウム量として500ppm になるように仕込
んだ。水素化反応条件は、実施例と同様にして行った。
結果を表2に示す。
【0035】
【表2】
【0036】表2より明らかなように、パラジウム塩単
独よりもニトリル基含有重合体と錯体を形成した触媒の
方が、水素化活性が格段に高い。しかもこの高分子錯体
触媒の場合、原料パラジウム化合物の種類によらず、同
一パラジウム量であれば、同一の活性を示す。
【0037】(実施例4〜5)触媒番号5,6の高分子
錯体触媒を用いて、触媒調製で使用したものと同じ組成
をもつNBRの水素化反応を行った。これらの触媒のパ
ラジウム含有量はそれぞれ766、1100ppm であっ
たので、系内のパラジウム含有量が500ppmになるよ
うに添加するNBR量を調整した。水素化反応は実施例
1〜3と同様の条件で行なった。結果を後記表3に示
す。使用する高分子錯体触媒中に含まれるパラジウム量
が異なっていても、反応系内のパラジウム量を同一にす
れば、同一の水素化活性を示すことがわかる。
【0038】
【表3】
【0039】(実施例6〜8)前記と同じNBRを用
い、触媒番号2の高分子錯体触媒(パラジウム含有量5
500ppm )の水素化活性を評価した。NBR中のパラ
ジウム含有量を変量した場合の水素化率を測定した。結
果を表4に示す。表4より明らかなように、同一反応条
件では高分子錯体触媒の使用量を増量するに伴い、水素
化率が高くなることがわかる。
【0040】
【表4】
【0041】なお、実施例1〜8において、NBR中の
アクリロニトリル単位のニトリル基は、全く水素化され
なかった。
【0042】(実施例9〜10)触媒番号2の高分子錯
体触媒を用いてポリブタジエン(以下、BRと称する)
およびブタジエン−スチレン共重合体(以下、SBRと
称する。スチレン含有量25重量%)の水素化を行っ
た。触媒番号2の高分子錯体触媒はアセトン溶液である
ので、窒素気流下で溶媒を蒸発、乾固し、テトラヒドロ
フランに再度溶解した。実施例1と同様のオートクレー
ブを用い、窒素雰囲気下でBR、SBRのそれぞれ5g
をテトラヒドロフラン45gに溶解し、高分子錯体触媒
を重合体あたりパラジウム量として750ppm になるよ
うに添加した。水素化反応条件は実施例1と同様にして
行った。反応終了後、内容物を大量のシクロヘキサン中
へ添加し、水素化重合体を高分子錯体触媒と分離すると
ともに凝固、乾燥した。得られたサンプルのヨウ素価を
JISK−0070に準じて測定し、水素化率を求め
た。結果を表5に示す。
【0043】
【表5】
【0044】表5から明らかなように、本発明の高分子
錯体触媒は、それを構成するニトリル基含有重合体だけ
でなく、極性が異なり非相溶性である異質の重合体に対
しても、炭化−炭素二重結合を水素化する能力を持って
いる。しかも、SBRにおいてスチレンのベンゼン骨格
は水素化しないという高度な選択性を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一例である触媒の紫外スペクトルであ
る。
【図2】上記触媒の可視スペクトルである。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 パラジウム化合物とニトリル基含有重合
    体とからなる高分子錯体を含む共役ジエン系重合体の水
    素化触媒。
  2. 【請求項2】 ニトリル基含有重合体がアクリロニトリ
    ル−ブタジエン系共重合体である請求項1記載の水素化
    触媒。
  3. 【請求項3】 パラジウム化合物とニトリル基含有重合
    体とを溶媒の存在下で接触させることを特徴とする請求
    項1記載の水素化触媒の製造方法。
  4. 【請求項4】 溶液の状態で共役ジエン系重合体中の炭
    素−炭素二重結合のみを選択的に接触水素添加する方法
    において、請求項1記載の水素化触媒を使用することを
    特徴とする共役ジエン系重合体の水素化方法。
  5. 【請求項5】 共役ジエン系重合体がブタジエンおよび
    イソプレンから選ばれる少なくとも一種から導かれる単
    位を含むものである請求項4記載の水素化方法。
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