JPH06297108A - 金属薄板連続鋳造装置の冷却ロール - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、金属薄板を製造する双ロール式の
連続鋳造装置において、冷却ロールプロフィールを所定
の形状に保ち、良質の金属薄板を得る冷却ロールを提供
する。 【構成】 冷却ロール１をそのロール軸方向にＡ，Ｂ，
Ｃの３区画に区分し、ロール表面近くに配設する冷却溝
２ａ，２ｂ，２ｃの内、端部に位置する区画Ａ，Ｃの冷
却溝２ａ，２ｃは同じ配設密度とし、ロール中央部に位
置する区画Ｂの冷却溝７ｂは、冷却溝２ａ，２ｃよりも
配設密度を密として、中央部におけるロール表面の冷却
能力を高めるように構成した冷却ロールである。 【効果】 冷却ロール表面の熱変形を制御してロールプ
ロフィールを所定の形状に維持することにより、凝固シ
ェルに全幅に亘り均等な圧下力を加えて鋳片の割れ，皺
等の欠陥の発生を防止する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、金属薄板を製造する双
ロール式の連続鋳造装置の冷却ロールにおいて、この冷
却ロール内を流れる冷却水の流量に分布を与え、ロール
プロフィールを所定の形状に保つことを可能とする冷却
ロールに関する。

【０００２】

【従来の技術】内側に向って回転する１対の冷却ロール
間に溶融金属を注入し、これを急冷凝固して金属薄板を
製造する金属薄板連続鋳造装置はベッセマー法として知
られており、この装置によるときは、従来のような多段
階にわたる熱延工程を必要とすることなく、また最終形
状にする圧延も軽度なもので済むために、工程および設
備の簡略化が可能となる。

【０００３】図３はこの連続鋳造装置の一例を示し、こ
の装置は、互いに逆方向に回転する１対の冷却ロール２
１を適当な間隔で配置し、ロール軸方向両端をサイド堰
２２で仕切って湯溜まり部２３を形成する。

【０００４】そして上方から湯溜まり部２３に溶融金属
を注入しながら互に内側に回転させると、注入された溶
融金属は冷却ロール２１と接触し、抜熱されてその結果
それぞれの冷却ロール表面に凝固シェル２４が形成され
る。この凝固シェル２４は成長しながらロールの回転に
伴って接合し、さらにロールギャップ２５にて圧下され
て所定の厚さの薄板鋳片となり、ロールの下方に送出さ
れて金属薄板２６を製造する。

【０００５】この金属薄板連続鋳造における課題の一つ
は、注入した溶融金属の保有熱によって冷却ロール２１
が加熱され、ロールプロフィールが変わり、ロールギャ
ップ２５の幅がロール軸方向に関して均一でなくなる。
このようなロールギャップ２５で凝固シェル２４を圧下
するとき、凝固シェル２４に加わる圧下力に変動が生
じ、板厚に不均一になるとともに鋳造した金属薄板２６
に割れ，皺等の欠陥が発生する原因となる。

【０００６】そこでこのロールプロフィールを所定の形
状に維持するために、サーマルクラウンを相殺するよう
に冷却ロール２１を加熱または熱収縮によって変形させ
る種々の手段が提案されている。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】特開平１−１３３６４
２号公報に開示される技術は双ロール式連続鋳造装置に
関し、これは冷却ロールの外周に内外２層のスリーブを
装着し、このスリーブ間にロールの軸方向に沿う複数の
冷却用液体流路を形成し、前記２層のスリーブのうちの
内層スリーブと冷却ロール本体との間にロール形状制御
用加圧室を設けたもので、ロール形状制御用加圧室の作
用によりロールクラウン量を制御し、さらには鋳造開始
時の過渡的なロールクラウン変化を打ち消し、幅方向の
厚み変化のない製品を生産する装置である。

【０００８】また特開平１−１８６２４６号公報に開示
される技術は金属薄板連鋳用の冷却ドラムに関し、これ
はドラムの内部に配置した冷却水路をドラム軸方向に関
して３以上のゾーンに区分し、それぞれのゾーンに供給
される冷却水の温度及び／又は流量を制御する制御機構
を各ゾーン毎に設けたもので、ドラム軸方向に関して冷
却条件を変えることによって、冷却ドラムの周面で成長
する凝固シェルの幅方向分布を自在に制御し、割れ，皺
等の欠陥のない任意の肉厚分布の金属薄板を製造する装
置である。

【０００９】ところで前者の技術は、冷却ロールに２層
のスリーブを装着し、内層スリーブと冷却ロール本体と
の間にロール形状制御用加圧室を設ける等，冷却ロール
に複雑な加工を必要とし、さらに制御用加圧室を設け、
加圧流体を必要とするなど、構造が複雑になりかつ高価
になるという欠点を有している。

【００１０】後者の技術は、冷却水路をドラム軸方向に
３以上のゾーンに区分するとともに各ゾーンに供給され
る冷却水の温度及び／又は流量を制御する制御機構を必
要とし、前者同様に構造が複雑になりかつ高価になると
いう欠点を有している。

【００１１】本発明は上記課題に鑑みなされたもので、
簡易な機構で冷却ロール表面の熱変形を制御し、ロール
プロフィールを所定の形状に維持して、割れ，皺等の欠
陥ない良質の金属薄板を得る連続鋳造装置の冷却ロール
を提供する。

【００１２】

【課題を解決するための手段】本発明は、一対の冷却ロ
ール間に注入した溶融金属を急冷凝固して金属薄板を製
造する金属薄板連続鋳造装置の冷却ロールにおいて、該
冷却ロールの内部に配設した冷却水路をロール軸方向に
複数の区画に区分し、区分した各区画の水路配管の配設
密度を異にしてそれぞれの冷却水路を構成したことを特
徴とする金属薄板連続鋳造装置の冷却ロールである。

【００１３】あるいはまた前記冷却ロールにおいて、区
分した各区画の水路配管の径を異にしてそれぞれの冷却
水路を構成したものである。

【００１４】

【作用】金属薄板を製造する双ロール式の連続鋳造装置
においては、注入した溶融金属からの受熱によって冷却
ロールが熱変形を起こし、例えばこの場合、ロール軸方
向中央部付近は、注入ノズルから注入した溶融金属の直
接の流れを受けて大きく膨張し、その径は両端部よりも
大きくなりやすい。その結果ロールギャップはロール軸
方向にみて中央部で狭く、両端部で広い不均一な形状と
なる。

【００１５】本発明においては、先ず冷却ロールの内部
に配設した冷却水路をロール軸方向に複数の区画に区分
し、区分した各区画の水路配管の配設密度を異にしてそ
れぞれの冷却水路を構成するようにし、上記の例の場
合、高温となりやすい例えば中央部付近の区画の冷却水
路の配設密度を密として冷却ロール表面の冷却能力を高
め、その膨張を抑制して冷却ロールの全幅に亘りロール
ギャップを均一とするものである。

【００１６】また各区画の冷却水路の配設密度を異にす
る代わりに、水路配管の径を異にしてそれぞれの冷却水
路を構成するようにしてもよい。このようにして、高温
となりやすい区画の冷却水路の配管径を大として冷却ロ
ール表面の冷却能力を高めることができる。

【００１７】上記の説明では、冷却ロール表面の温度を
制御する手段として冷却水路の配設密度を密とする手
段，高温となりやすい区画の配管径を大とする手段につ
いて述べたが、さらにこれら双方の手段を適宜組み合わ
せて用いることが可能であり、このように組み合わせる
ことにより、ロールの温度制御範囲を広げ、効率よく冷
却ロール表面温度を制御することができる。

【００１８】以上述べたように本発明は、簡易な構造で
冷却ロール表面の熱変形を制御し、ロールプロフィール
を所定の形状に維持することにより、溶融金属の保有熱
に影響されることなく、全幅に亘りロールギャップを適
宜所定の寸法に制御することが可能となり、鋳片の精度
向上とともに、割れ，皺等の欠陥のない良質の金属薄板
を得ることができる。

【００１９】

【実施例】図１は冷却ロールの第１の実施例を示し、
（ａ）図は冷却ロール１の正面図，（ｂ）図はその断面
図，（ｃ）図はロール端部イ部の冷却溝の部分断面図，
（ｄ）図は中央部ロ部の冷却溝の部分断面図である。

【００２０】冷却ロール１は、そのロール軸方向にＡ，
Ｂ，Ｃの３区画に区分される。またロール内部に配設す
る冷却水路は、区分された区画Ａ，Ｂ，Ｃのロール表面
近くにそれぞれロール軸に平行に冷却溝２ａ，２ｂ，２
ｃを配設し、主軸３に同心状に穿孔または挿着した給水
管４および排水管５より、開口部６ａ，６ｂ，６ｃを介
してそれぞれの冷却溝２ａ，２ｂ，２ｃに接続して構成
される。

【００２１】冷却ロール１表面近くに埋設される冷却溝
２ａ，２ｂ，２ｃの内、端部に位置する区画Ａ，Ｃの冷
却溝２ａ，２ｃは同じ配設密度とし、ロール中央部に位
置する区画Ｂの冷却溝２ｂは、区画Ａ，Ｃの冷却溝２
ａ，２ｃよりも配設密度を密とし、ロール中央部におけ
るロール表面の冷却能力を高めるようにしている。

【００２２】図２は冷却ロールの第２の実施例を示し、
（ａ）図は冷却ロール１１の正面図，（ｂ）図はその断
面図，（ｃ）図はロール端部ハ部の冷却溝の部分断面
図，（ｄ）図は中央部ニ部の冷却溝の部分断面図であ
る。

【００２３】本実施例の冷却ロール１１は、表面近くに
埋設される冷却溝１２ａ，１２ｂ，１２ｃの内、端部に
位置する区画Ａ，Ｃの冷却溝１２ａ，１２ｃは同じ配管
径とし、ロール中央部に位置する区画Ｂの冷却溝１２ｂ
は、区画Ａ，Ｃの冷却溝１２ａ，１２ｃよりも配管径を
大とし、冷却溝１２ｂに流れる冷却水量を多くしてロー
ル中央部におけるロール表面の冷却能力を高めるように
している。なお１６ａ，１６ｂ，１６ｃは開口部であ
る。

【００２４】上記それぞれの実施例では、冷却水路をロ
ール軸方向に複数に区分する区画として、それぞれＡ，
Ｂ，Ｃの３区画に区分したが、冷却ロールの長さや温度
制御手段等により適宜区分数を増減してもよく、また区
画の長さも必ずしも均等にする必要はない。ただし温度
制御の容易さ等からみて、ロールの左右対称に区分する
ことが好ましい。

【００２５】これら上記した温度制御手段を講ずるに際
しては、事前に一対の冷却ロール間のロールギャップか
ら送り出された金属薄板の幅方向厚み分布を測定し、こ
の測定結果に基づき、冷却水路に適用する温度制御手
段，冷却溝の配設密度，配管径等を定める。

【００２６】以上の実施例で示したように、冷却ロール
の区分した各区画毎に、冷却溝の配設密度を異にする手
段，冷却溝の径を異にする手段，さらにこれら手段を適
宜併用してロール軸方向，すなわち鋳造する金属薄板の
幅方向に亘りロール表面の熱変形を制御することによ
り、例えば高温となりやすい中央部付近の膨張を抑制し
て、冷却ロール全幅に亘りロールギャップを均一とする
ものである。

【００２７】

【発明の効果】以上説明した如く本発明の連続鋳造装置
の冷却ロールによれば、冷却溝の配設密度，冷却溝の径
を変えるという簡単な手段で冷却ロール表面の熱変形を
制御し、ロールプロフィールを所定の形状に維持するこ
とにより、凝固シェルには全幅に亘り均等な圧下力が加
えられて鋳片の割れ，皺等の欠陥の発生が防止され、さ
らに均一な板厚の金属薄板が製造され、鋳片の精度向上
とともに良質の金属薄板を得ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】冷却ロールの第１の実施例を示し、（ａ）図は
冷却ロールの正面図，（ｂ）図はその断面図，（ｃ）図
はロール端部イ部の冷却溝の部分断面図，（ｄ）図は中
央部ロ部の冷却溝の部分断面図である。

【図２】冷却ロールの第２の実施例を示し、（ａ）図は
冷却ロールの正面図，（ｂ）図はその断面図，（ｃ）図
はロール端部ハ部の冷却溝の部分断面図，（ｄ）図は中
央部ニ部の冷却溝の部分断面図である。

【図３】金属薄板連続鋳造装置の一般的構造を示す略側
面図である。

【符号の説明】

１，１１ 冷却ロール ２ａ，２ｂ，２ｃ 冷却溝 ３ 冷却ロールの主軸 ４ 給水管 ５ 排水管 ６ａ，６ｂ，６ｃ 開口部 １２ａ，１２ｂ，１２ｃ 冷却溝 １６ａ，１６ｂ，１６ｃ 開口部 ２１ 冷却ロール ２２ サイド堰 ２３ 湯溜り部 ２４ 凝固シェル ２５ ロールギャップ ２６ 金属薄板 Ａ，Ｂ，Ｃ 冷却ロールの区分された区画

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 宮嵜 雅文 山口県光市大字島田3434 新日本製鐵株式 会社光製鐵所内 (72)発明者 脇山 洋一 広島市西区観音新町４−６−22 三菱重工 業株式会社広島製作所内 (72)発明者 佐々木 邦政 広島市西区観音新町４−６−22 三菱重工 業株式会社広島製作所内

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 一対の冷却ロール間に注入した溶融金属
   を急冷凝固して金属薄板を製造する金属薄板連続鋳造装
   置の冷却ロールにおいて、該冷却ロールの内部に配設し
   た冷却水路をロール軸方向に複数の区画に区分し、区分
   した各区画の水路配管の配設密度を異にしてそれぞれの
   冷却水路を構成したことを特徴とする金属薄板連続鋳造
   装置の冷却ロール。
2. 【請求項２】 区分した各区画の水路配管の径を異にし
   てそれぞれの冷却水路を構成した請求項１記載の金属薄
   板連続鋳造装置の冷却ロール。