JPH06295866A - プラズマ反応装置 - Google Patents

プラズマ反応装置

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JPH06295866A
JPH06295866A JP8211393A JP8211393A JPH06295866A JP H06295866 A JPH06295866 A JP H06295866A JP 8211393 A JP8211393 A JP 8211393A JP 8211393 A JP8211393 A JP 8211393A JP H06295866 A JPH06295866 A JP H06295866A
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cathode electrode
plasma
high frequency
gas
discharge
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JP8211393A
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Kazuaki Tashiro
和昭 田代
Chiori Mochizuki
千織 望月
Tatsumi Shoji
辰美 庄司
Hidemasa Mizutani
英正 水谷
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Canon Inc
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 周波数によらずにグロー放電の安定性および
効率を高めることができるプラズマ反応装置を提供す
る。 【構成】 カソード電極3の外周には絶縁部材5が配置
され、絶縁部材5の周囲には真空容器と電気的に接続さ
れたアースシールド6aが設置され、アースシールド6
aはカソード電極3と絶縁部材5によって絶縁されてお
り、さらにアースシールド6aは絶縁部材5を介してカ
ソード電極3を電気的にシールドするように構成され、
アースシールド6aは分割されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高周波グロー放電を利
用して、被成膜基板表面上に薄膜を堆積する成膜用のプ
ラズマCVD装置であるプラズマ反応装置に関し、特
に、太陽電池、薄膜トランジスタ、光センサーなどの大
面積デバイスに用いられるアモルファスシリコン膜の形
成などの大面積基板に均一に成膜するために用いられる
プラズマ反応装置に関する。
【0002】また、本発明は、半導体等の製造工程に使
用される高周波スパッタ装置、高周波プラズマCVD装
置、高周波エッチング装置等の薄膜処理装置として用い
られるプラズマ反応装置に関する。
【0003】
【従来の技術】従来、非晶質シリコン薄膜(以下a−S
i薄膜と略記)の製造方法としては、モノシランガス
(SiH4 )に代表される珪素化合物を原料ガスとし
た、プラズマCVD法がある。その他、光CVD法は、
或いは、ECR−CVD法などが知られているが、この
ような製造方法のなかで、a−Si薄膜の品質、大面積
対応、価格などをバランスよく満足する成膜方法とし
て、一般的に普及しているのは13.56MHzのRF
放電によるプラズマCVD法である。このプラズマCV
D法は、多くの場合モノシランガス(SiH4 )を用
い、必要に応じて水素ガス(H2 )で希釈して、13.
56MHzのRF放電により原料ガスを分解して反応性
のある活性種を作り、被成膜基板上にa−Si膜を堆積
させるものである。13.56MHzの周波数は高周波
プラズマ反応装置にほぼ共通して用いられている。これ
はこの周波数がIMS(工業用、科学用、医療用)標準
周波数であり、これに対する政府指令の放出限界が非I
MS周波数、特に通信帯内の周波数に対して厳しくない
からである。この周波数を用いた装置が多く製造されて
おり、入手し易いのでますます有利なものとなってい
る。この種の方法により製造したa−Si薄膜は、太陽
電池、液晶テレビ、光センサーなどのあらゆる分野にお
いて利用されているが、さらなる普及を考えた場合に
は、a−Si薄膜デバイス特性を改良し、同時に歩留ま
りを向上させ、かつ、低価格を実現する必要がありその
ためには、a−Si薄膜の基本特性を向上させつつ、同
時に、高速に成膜する必要がある。
【0004】13.56MHzのRF高周波を用いるア
モルファスシリコン成膜装置では、最適な膜特性を有す
る膜を作成できる条件では1〜2Å/sec程度の成膜
速度しか得られず、製造コストを上げるという問題があ
る。そこでより高い成膜速度を得る方法が最近開発され
つつある。例えばアモルファスシリコン等の薄膜を作製
する装置に対し、30〜300MHzのVHF高周波を
利用し、高速成膜を実現しようとしている。例えば東京
工業大学の小田等は、144MHzのVHF高周波を用
い、高速成膜を実現し、良質なアモルファスシリコンの
作成できたことを報告している(“Preparation of a-S
i:H Films by VHF Plasma CVD ”Mat. Res. Soc. Symp.
Proc. 118 (1988) pp.117-122)。
【0005】高い成膜速度を得るためには、主として印
加電力を上げ、プラズマの電子濃度を高めること、ガス
の圧力を上げることが必要である。しかしながら、これ
らの条件を従来の13.56MHzの高周波で実現しよ
うとすると、気相中での反応分子の重合反応が生じ易く
なり、粉状のポリシランの生成が起こり易くなり、また
これらがダストとなり膜中に取り込まれ欠陥となる等の
問題を起こす。RF高周波で高速成膜を実現しようとす
ると、膜質の低下をもたらすという問題があり、現状の
成膜装置ではせいぜい1〜2Å/secの成膜速度を出
すのが限界であった。これに対して30〜300MHz
のVHF高周波を用いる方法では、周波数を上げること
により、プラズマ中の電子のエネルギー分布が変わり、
ガスを分解できるエネルギーを有する高エネルギー側の
プラズマの電子密度を容易に上げることができ、その結
果ガスの分解効率を上げることができると考えられる。
印加電力を上げることなく、ガスの圧力を上げることな
く、容易な条件で実現することができる。これにより高
速成膜を実現することができる。
【0006】本発明者らは、高品質を高速に作成できる
手法として、高周波グロー放電の周波数を従来の13.
56MHzのRF帯からVHF帯へ引き上げたVHF成
膜法を取り上げ、その中でも、特に最適な範囲を特許出
願している(特願平4−100219号)。また、その
他VHFに関連した検討例としては、90年秋、91年
春の応用物理学関係連合講演会(28p−MF−14、
28p−S−4)で東工大の小田などが周波数144M
Hzの高周波で放電を行い、a−Si膜を作成して評価
している。また、周波数の効果として、周波数を上げる
ことにより成膜面にわたって空間的に均一な放電を作り
出すことができ、均一な成膜速度を実現できたことが特
開平3−64466号公報に開示されている。また、特
開平2−225674号公報では、周波数1KHzから
100MHzの記述がある。また、米国特許第4933
203号明細書では、VHF帯の高周波を用いて、薄膜
の検討を行い、周波数と電極間距離との関係を最適化す
る技術が開示されているなど、現在まで種々報告されて
いる。しかしながら、VHF成膜法を実現するための基
本的な装置構造や大面積化した場合の装置構造について
の見解、特に膜厚−膜質分布に影響を及ぼす装置構造に
ついての見解はない。
【0007】図15はプラズマCVD装置の第1の従来
例を示す構成図、図16は図15のプラズマCVD装置
のカソード電極部の斜視図、図17は図15のプラズマ
CVD装置の放電周波数と成膜速度との関係を示すグラ
フである。
【0008】図15,図16に示すプラズマ反応装置
は、真空容器1と、真空容器1内に設けられた被成膜基
板4を保持するアノード電極2と、アノード電極2に対
向して設けられたカソード電極3と、カソード電極3に
接続され、高周波電力を印加してグロー放電を生起する
ための高周波電源系8と、真空容器1に接続され原料ガ
スを真空容器1内に導入する原料ガス導入系(不図示)
と、前記原料ガスを排気するための排気口7、不図示の
ターボ分子ポンプおよびロータリポンプとを具備してい
る。カソード電極3の外周には絶縁部材5が配置され、
絶縁部材5の周囲には真空容器1と電気的に接続された
導電性部材であるアースシールド6dが設置され、アー
スシールド6dはカソード電極3と絶縁部材5によって
絶縁されており、さらにカソード電極3とアノード電極
2間のみに高周波グロー放電が生起するようにアースシ
ールド6dは絶縁部材5を介して前記カソード電極を電
気的にシールドするように構成されている。アースシー
ルド6はカソード電極3周辺を囲むように設置されてい
る。不図示の高周波電源とL型整合回路により構成され
た高周波電源系8は、カソード電極3へ不図示の給電板
を介して高周波(RF)電力を給電している。原料ガス
はカソード電極3内へ供給され、カソード電極3表面よ
り分散され、排気口7より不図示のターボ分子ポンプお
よびロータリポンプを用いて排気される。アースシール
ド6は、カソード電極3と真空容器1の壁との間の異常
放電を防止するために配置されたものであり、その結
果、膜厚分布の改良と膜質の向上、さらには、異常放電
により発生するパーティクルによる歩留まり低下を防ぐ
ことを可能としている。9はカソード電極3内に導入さ
れた原料ガスの分散口である。
【0009】図18はプラズマCVD装置の第2の従来
例を示す構成図、図19は放電周波数と膜厚分布との関
係を示すグラフである。
【0010】図18において、アノード電極2の裏には
基板加熱用ヒーター33が設置されている。アノード電
極2とカソード電極3との間の放電空間は、筒状部材で
あるプラズマシールド25により形成されている。その
結果、プラズマはアノード電極2およびカソード電極3
間のみに封じ込むことができるため、真空容器1の内壁
などの膜付着を防ぐことができ、その結果、装置メンテ
ナンスが軽減でき、さらに、成膜歩留まりの向上が達成
されている。このプラズマシールド25は図18中矢印
の方向に不図示の駆動機構により駆動することができ、
また、被成膜基板4も不図示のロード室、アンロード室
および駆動機構などにより、搬入、搬出が可能である。
さらに、原料ガスは原料ガス導入管16よりカソード電
極3内へ導入され、カソード電極3表面の付図示の分散
板により、アノード電極2の被成膜基板4表面へ分散さ
れ、排気口7より排気される。高周波電力は高周波電源
38よりマッチングボックス37に至り、銅板などの給
電板31を介してカソード電極3に供給される。10は
絶縁体、32は電磁波シールドボックスである。ここ
で、通常VHF帯でのグロー放電を得るには、マッチン
グボックス37内のマッチング回路37aとの整合性を
考えると、給電板は短い方が望ましく、また、マッチン
グボックス37内に原料ガス導入管16を通過させるこ
とが困難であるため、原料ガス導入管16はカソード電
極3近傍を平行に配置している。
【0011】図20はプラズマCVD装置の第3の従来
例を示す構成図である。
【0012】図20に示すVHF高周波を用いたプラズ
マCVD装置は、高周波電源(図示せず)とこれから出
てくる高周波電力を効率よく伝達するための整合器40
1と、ステンレスからなるプラズマ発生チャンバー40
7とを備えている。高周波電源の出力インピーダンスは
一般に50オームに設定してある。カソード電極40
5、プラズマ発生チャンバー407、プラズマを含む負
荷側のインピーダンスは通常放電条件等により異なる。
高周波電力が最も効率よく伝達されるためには、高周波
電源側の出力インピーダンスと負荷側の入力インピーダ
ンスを一致させなければならない。そこでプラズマ側と
高周波電源側の間に整合器401を配し、放電毎に、こ
の整合器を調節しインピーダンスの整合を行い、高周波
電力が最も効率よくプラズマ側に伝達されるようにす
る。被成膜基板410はステンレスからなるアノード電
極411上に配置される。409はアノード電極支え、
412はヒーター、413はゲートバルブである。41
4はロータリーポンプ、415はターボ分子ポンプであ
り、プラズマ発生チャンバー407の真空引きと反応ガ
スの排気を行う。402は高周波印加部である。整合器
401から出てきたVHF高周波をここに印加する。プ
ラズマ空間はカソード電極405、アノード電極41
1、プラズマ閉じ込め用のプラズマシールド408で囲
まれた閉空間となっている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来の技術に
は、それぞれ以下に記載するような問題点がある。
【0014】図15に示す従来例を用いてVHF成膜法
を実現しようとする場合は、高周波グロー放電の安定性
および効率が低下するといった基本的な欠点が発生す
る。図17に示すように、放電周波数の増加に伴い成膜
速度は一度は増加するが、その後低下し、最終的には放
電が発生しない状況になることを示している。この理由
は、第1には整合回路の調整がとれないことにより、投
入電力が効率よく伝送できないためである。つまり、V
HF帯を用いた高周波放電では、整合回路内での各素子
を接続する銅板やカソード電極へ接続する給電板などが
全てインダクタンス成分となるとともに、電極の静電容
量のインピーダンスが低下するため、原理的に整合回路
のチューニングにより調整がとれないことになる。
【0015】図18に示す従来例を用いる場合は、大面
積基板に成膜するときに膜厚、膜質の分布が大きくな
り、デバイス化した場合、例えば薄膜トランジスタで
は、閾値電圧の分布、また光センサーに対しては光導電
率の分布、太陽電池に対しては光起電力の分布などのデ
バイス特性分布として表われ、歩留まりの低下の原因と
なっている。図19により、放電周波数の増加に従い膜
厚の分布が大きくなることが確認でき、また、膜厚分布
は従来の同心円状の分布から左右上下不均一な分布とな
る。ここで膜厚分布とは基板サイズ30cm×30cm
において、最大膜厚をTmax 、最小膜厚とTmin とした
とき、膜厚分布T(%)はT=Tmin /Tma x ×100
で規定される値としている。このような状況において、
a−Si薄膜デバイスとしては、おおむねT≒90程度
までがデバイス特性分布上問題とはならない範囲であ
り、それ以下では歩留まりを低下させることになる。す
なわち、先述のようにa−Si薄膜デバイスの普及のた
めに必要なa−Si膜の基本特性を向上させつつ、同時
に、高速に成膜するといった課題を解決する手法として
VHF成膜法がある。しかし、従来とは異なる膜厚、膜
質分布が発生し、放電周波数に依存して膜厚分布が大き
くなり、その結果、歩留まりを低下させる欠点がある。
【0016】図20に示す従来例について述べる。VH
F高周波を用いる場合は、f=10MHzでは波長が約
30m、100MHzで3m、300MHzで1mの波
長となる。これは装置の大きさに比べ無視できない値と
なる。つまり高周波の波長が装置の大きさに対して無視
できない長さになると、後で述べるように装置自体が高
周波伝送回路になっており、装置自身のもっているイン
ダクタンスやキャパシタンスが無視できなくなり、さら
にこれらは分布定数として働くことになる。その結果装
置を伝達する高周波電流の位相や大きさが場所によって
異なり、これがためプラズマ放電の分布が乱される可能
性がでてくる。現在のアモルファスシリコンの成膜基板
の大きさは、ディスプレイ用では350mm×350m
m以上あり、これを同時に4枚処理できる装置も出現し
ている。このような装置のカソード電極の大きさは1m
×1m以上となり、300MHzの高周波を用いる場
合、波長程度の大きさとなり、電極の構造が、放電の安
定度や、放電の分布に影響してくる。図20のようにカ
ソード側からガスを供給するためには、これまで整合器
側からガス配管を引き回し、ガスを外部からカソード電
極に導入する方法がとられていた。しかしながら、周波
数が高くなるにしたがい、電極の構造ばかりでなく、こ
のガス配管の非対称性も問題になってくることが実験に
より明らかになった。
【0017】一般に高周波印加型の装置は、負荷を接合
した一体化同軸型伝送回路と見なすことができる。また
カソード電極は高周波から見ると、分布定数回路を形成
しており、インピーダンス分布が均一、あるいは軸対象
になるような点を有している。これを高周波中心と定義
する。例えば均質な材料で作成された円形カソード電極
は、この円の中心が高周波中心となっている。この円中
心かつ高周波中心に高周波を印加した場合、高周波は中
心から均等に表面を伝わっていく。この高周波中心に印
加された高周波はプラズマを負荷として、アノード電
極、チャンバーを通して戻ってくる。このときガス配管
もアースされているので、ここも高周波の戻りの経路の
一部となる。VHF高周波のように装置の大きさに比
べ、無視できない波長になってくると、この戻りのガス
配管の非対称性からくるこの周辺のインピーダンス分布
が大きくなり、さらにカソード電極のインピーダンスに
加わり、これが原因となって、カソード電極に均一に高
周波が印加できず、成膜した膜に膜厚分布が生じてい
た。図13は電極内での膜厚分布を示す図である。図1
3において、縦軸は電極面内の上下方向の分布を示し、
横軸は膜厚を示す。一番上のデータを100%として規
格化してある。グラフcが図20に示す従来の装置で成
膜した場合の電極内での膜厚分布である。図20に示す
従来例では、ガス配管403がカソード電極405と上
下方向で対称性が崩れた配置になっているので、このよ
うな分布が出たものと思われる。ガス配管403の配置
が変われば、この膜厚分布もそれに応じて変化すること
が確かめられている。
【0018】本発明の第1の目的は、周波数によらずに
グロー放電の安定性および効率を高めることができるプ
ラズマ反応装置を提供することにある。
【0019】本発明の第2の目的は、放電周波数に依存
しない膜厚分布を得ることができるプラズマ反応装置を
提供することにある。
【0020】本発明の第3の目的は、膜厚分布が均一な
膜を作り出せるプラズマ反応装置を提供することにあ
る。
【0021】
【課題を解決するための手段】本発明のプラズマ反応装
置は、真空容器と、該真空容器内に設けられた被成膜基
板を保持するアノード電極と、該アノード電極に対向し
て設けられたカソード電極と、該カソード電極に接続さ
れ、高周波電力を印加してグロー放電を生起するための
高周波電源系と、前記真空容器に接続され、原料ガスを
真空容器内に導入する原料ガス導入系と、前記原料ガス
を排気するための排気系とを具備し、前記カソード電極
の外周には絶縁部材が配置され、該絶縁部材の周囲には
前記真空容器と電気的に接続された導電性部材が設置さ
れ、該導電性部材は前記絶縁部材によって前記カソード
電極と絶縁されており、さらに前記カソード電極と前記
アノード電極間のみに高周波グロー放電が生起するよう
に前記導電性部材は前記絶縁部材を介して前記カソード
電極を電気的にシールドするように構成され、前記導電
性部材は、前記カソード電極の外周全面に対する面積比
が100%より小さいことを特徴とする。
【0022】好ましくは、導電性部材は分割されている
か、開口部が設けられているか、または切り欠きが形成
されている。
【0023】また、本発明のプラズマ反応装置は、真空
容器と、該真空容器内に設けられた被成膜基板を保持す
るアノード電極と、該アノード電極に対向して設けられ
たカソード電極と、該カソード電極に接続され、高周波
電力を印加してグロー放電を生起するための高周波電源
系と、前記真空容器に接続され、原料ガスを真空容器内
に導入する原料ガス導入系と、前記原料ガスを排気する
ための排気系と、前記アノード電極と前記カソード電極
とにより形成される放電空間を囲み、放電時には前記ア
ノード電極と電気的かつ空間的に接続され、前記放電空
間内にプラズマを封じ込めることができる筒状部材とを
具備し、前記原料ガスが放電空間内に直接原料ガス導入
管より導入されるように、前記原料ガス導入管が前記筒
状部材を介して前記放電空間に達しており、前記原料ガ
スが前記排気系へ向けて排気されるように、前記筒状部
材に開口部が設けられていることを特徴とする。
【0024】また、本発明のプラズマ反応装置は、減圧
可能な容器内にプラズマを発生させ、該プラズマ中で処
理を行うプラズマ反応装置において、前記容器内に設け
られ、中心軸に対して点対称の構造を有するカソード電
極と、該カソード電極に高周波電力を印加する整合器
と、電気的にアースされ、前記容器内にガスを供給する
ガス供給部とを備え、該ガス供給部は、前記カソード電
極および整合器の間の中心軸の周囲に配置されているこ
とを特徴とする。
【0025】好ましくは、ガス供給部が中空のガス溜の
構造を有しており、また、高周波中心に対して同心円状
にガス供給パイプが配置された構造を有している。
【0026】また好ましくは、高周波が30〜300M
Hzの周波数のVHFである。
【0027】
【作用】まず、本発明の第1のプラズマ反応装置につい
て説明する。本発明によれば、従来真空容器の壁とカソ
ード電極間での異常放電を防ぐために設置されていたア
ースシールドを、カソード電極の周囲を部分的にまたは
不連続に囲むことにより、異常放電を防ぐ機能を持たせ
たまま、カソード電極の静電容量を低減させ、その結
果、VHF成膜法での放電を安定に効率よく発生させる
ことを可能としたものである。本発明のプラズマCVD
装置では、電力投入は、高周波電源より同軸ケーブル
で、真空容器に設置されているマッチングボックス内の
整合回路を経てカソード電極に接続されている。接続は
通常銅板などの給電板により行われている。この給電板
は、装置構造上ある一定長さ以下にすることはできな
い。いい換えれば、インダクタンス成分として整合回路
にのることになる。その結果、放電周波数が増加する
と、徐々に原理的に整合がとれなくなることになる。例
えばここで具体的に投入電力Pf に対して、反射波電力
r の比、すなわち、投入電力効率Peff をPeff
(1−Pr /Pf )×100とした場合、Peff ≧70
となる放電周波数を限界周波数Fe (MHz)とする
と、カソード電極の静電容量C(PF)を下げることに
よりその限界周波数Fe (MHz)を上げることができ
る。本発明者らは特に静電容量が低いエクスターナル型
のカソード電極を用い、さらにアースシールドを改良す
ることによりカソード電極の静電容量を下げたものであ
る。
【0028】次に、本発明の第2のプラズマ反応装置に
ついて説明する。本発明者等の検討の結果によれば、従
来発生していた膜厚、膜質分布の原因は主に原料ガス導
入配管によるものと確認できた。従来の原料ガス導入管
は、絶縁体を介してカソード電極に直接接続されている
が、放電周波数がVHF帯になるとその原料ガス導入管
が電流経路となり、その影響がカソード電極に表われ、
成膜に影響を及ぼすと本発明者等は推定している。そこ
で、従来の原料ガス導入管をプラズマシールドに直接フ
レキシブル管で接続し、さらに、原料ガスが排気口へ向
けて流れるようにプラズマシールドに開口部を設けるこ
とにより、従来、VHF帯を使用したプラズマCVD法
において発生していた膜厚、膜質分布を改良し、高品質
なa−Si膜を高速にかつ歩留まり良く作成可能とした
ものである。なお、原料ガス導入管を真空容器に接続
し、プラズマシールド内へ間接的に原料ガスを導入する
場合、すなわち、プラズマシールドに原料ガス流入口と
流出口を設けて流入口近傍に原料ガス導入管を設け、流
出口近傍に排気口を設ける構成があるが、原料ガスの流
れは主に真空容器とプラスマシールドとの間となり、さ
らに、プラズマシールドのガス流入口近傍の膜厚が厚く
なるといった膜厚分布が生じた。
【0029】続いて、本発明の第3のプラズマ反応装置
について説明する。本発明の第3のプラズマ発生装置で
は、減圧可能な容器内にプラズマを発生させ、プラズマ
中で処理を行うプラズマ反応装置において、カソード電
極表面を均一に高周波が伝わるようにカソード電極の高
周波中心に高周波を印加し、自身のインピーダンス分布
が高周波中心の回りのインピーダンス分布を乱さないよ
うな電気的にアースされたガス供給部をカソード電極と
整合器の間に持つものとした。またこのときプラズマを
発生させるために周波数f=30〜100MHzのVH
F高周波を用いた。上記の高周波中心に対してインピー
ダンス分布が均一となるような構造を有するガス供給部
として、配管構造を持たないガス溜を採用し、これをカ
ソード電極と整合器の間に配置し、これを電気的にアー
スした。このガス溜からカソード電極内へガスを供給す
る構造とした。また上記の高周波中心に対してインピー
ダンス分布が均一となるような構造を有するガス供給部
として、ガス供給部が高周波中心に対して同心円状にガ
ス供給パイプを配置した構造を採用した。
【0030】一般に高周波印加型の装置は、負荷を接合
した一体化同軸伝送回路と見なすことができる。印加さ
れた高周波は、往路としてカソード電極表面を伝わり、
プラズマを負荷として、復路としてアノード電極、チャ
ンバーを通り戻ってくる。このとき従来の構造のガス配
管もアースされ、チャンバー側と接続しているので、こ
こも高周波の戻りの経路の一部となる。VHF高周波の
ように装置の大きさに比べ、無視できない波長になって
くると、この戻りのガス配管の非対称性からくるこの周
辺のインピーダンス分布が大きくなっていたのである
が、このガス配管の構造、配置を工夫することにより、
このインピーダンスの分布をなくそうとするものであ
る。本発明のようにガス配管をも高周波中心に対して自
身の持つインピーダンス分布が均一となるような構造と
すればよい。もっとも簡単な構造として中空のガス溜を
作り、これを電気的にアースし電力供給側とカソード電
極の間の高周波中心回りに配することにより、ガスのカ
ソード電極側からの供給を実現しながら、高周波中心回
りのインピーダンスの分布を均一にし、カソード電極に
均一な高周波電力を供給することができる。これにより
VHF高周波を印加しても十分均一な放電を実現するこ
とができ、被成膜基板内の膜厚分布も十分に均一なもの
を作り出すことができる。
【0031】
【実施例】
第1実施例 図1は本発明のプラズマ反応装置の第1実施例のカソー
ド電極部の斜視図、図2は本実施例のアースシルド6の
面積比率R(%)、すなわち、カソード電極の外周全面
に対するアースシールド6の面積比と、そのときのカソ
ード電極3の静電容量C(PF)との関係、および放電
可能周波数Fe との関係を示すグラフ、図3は最良条件
と考えられるアースシールド面積比が30%の場合の放
電周波数と成膜速度との関係を示すグラフである。図1
に示すプラズマ反応装置は、図15、図16に示すプラ
ズマ反応装置のアースシールド6dに代えて、分割され
たアースシールド6aを備えている。その他は図15、
図16に示すプラズマ反応装置と同様の構成となってい
る。
【0032】本実施例のプラズマ反応装置を用いて放電
確認を行った。図2において、放電可能周波数Fe
は、先述の投入電力効率Peff が70%以上であり、か
つ、異常放電が発生しない最大周波数である。図2では
不図示であるが、放電周波数が120MHzを越える
と、アースシールド6aにおいて異常放電が発生するた
め、本実施例では周波数は120MHzまでが限度であ
る。いい換えれば、広い高周波帯で放電するためにはア
ースシールド6aの面積比率をできるだけ下げ、かつ放
電時に異常放電を発生しない面積比率とすべきであるの
で、本実施例の構造の電極では、面積比率R(%)は好
ましくは10%〜60%、より好ましくは30%が最良
となる。図3においては周波数帯域により当然マッチン
グボックスを変えている。広い高周波領域において放電
が可能となったことが確認できる。しかし、周波数の増
加による成膜速度の低下は、一つには投入電力の損失で
ある異常放電であると推定される。
【0033】第2実施例 図4は本発明のプラズマ反応装置の第2実施例のカソー
ド電極部の斜視図である。第1実施例ではアースシール
ドを分割して取り付けているが、本発明の考え方に従え
ば、必ずしも同様な形態を取る必要はない。図4はその
一例を示したものである。それぞれの構成部材は第1実
施例と同様であるが、アースシールド6aに代えて設け
られたアースシールド6bは、分割されずに面積を減少
させるためにくりぬき部(開口部)6cがある構造であ
る。アースシールド6bは、真空容器を含めたカソード
電極構造に依存しているため、必ずしも面積比率で規定
することはできない。このほか、アースシールドをメッ
シュ状に形成したり、アースシールドに切り欠きを形成
してもよい。
【0034】第3実施例 本発明の第3実施例について説明する。図5は本発明の
プラズマ反応装置の第3実施例の構成を示す図、図6は
図5のA−A断面図、図7は本実施例のプラズマ反応装
置により得られた放電周波数と膜厚分布との関係を示す
グラフである。
【0035】図5、図6において1は真空容器、2は基
板加熱の可能なアノード電極、3はカソード電極、4は
被成膜基板である。カソード電極3には高周波電源系1
4より高周波電力が供給され、絶縁体10により真空容
器1と電気的に絶縁されている。また、アノード電極2
とカソード電極3との間の放電空間は、アノード電極2
と電気的に、かつ空間的に接し、さらに、カソード電極
3を囲むように設置された筒状部材のプラズマシールド
25により形成されている。なおこのプラズマシールド
25は不図示の駆動機構により図5中矢印方向に可動で
きる。さらに被成膜基板4は不図示のロード室およびア
ンロード室および搬送機構により、搬入、搬出が可能で
ある。原料ガスは原料ガス導入管16より真空容器1に
接続され、さらにフレキシブル管15により直接プラズ
マシールド25に接続されている。プラズマシールド2
5には排気開口部26が設けられており、導電性のメッ
シュにより電気的にシールドされている。排気口7は不
図示の排気系により排気される。
【0036】従来のプラズマ反応装置の放電周波数と膜
厚分布との関係を示す図19に比して、本実施例では、
図7に示すように、膜厚分布の改善が確認できる。本実
施例では、原料ガス導入は1ケ所より行われているが、
複数個の原料ガス導入であっても、原料ガスが均一に排
気されるようにプラズマシールドに排気開口部を設けれ
ば同様な効果を得ることができる。
【0037】第4実施例 図8は本発明のプラズマ反応装置の第4実施例の構成を
示す図、図9は図8のA−A断面図である。図10
(a)はジャケット部の拡大図である。図10(b)は
図10(a)のB方向より見た図である。第3実施例に
おいて述べたように、原料ガスは原料ガス導入管16お
よびフレキシブル管15によりプラズマシ−ルド25内
の放電空間へ導入されるが、必ずしも1点より原料ガス
が導入される必要はない。図8、図9において、フレキ
シブル管15およびプラズマシールド25間に設けられ
たジャケット部17は、シャワー状に原料ガスを分散さ
せる構造である。図10(a),(b)中18は原料ガ
ス分散口である。このジャケット部17は、原料ガスを
プラズマシールド25内により均一に分散させるための
ものであり、さらにプラズマシールド25に設けた排気
開口部26も原料ガス分散口18に合わせて原料ガスが
均一に排気されるように複数個に分割した構造としてい
る。また、ジャケット部17の大きさ、すなわち、体積
容量、および原料ガス分散口18のサイズ、個数など
は、基本的には原料ガスのプラズマシールド25内での
滞留時間に比べて、ジャケット部17内での滞留時間が
大きくなるように設定されている。このようなジャケッ
ト構造を備えて装置を用いた場合においても第1実施例
と同様に膜厚分布の改善が確認できた。もちろん、原料
ガス導入管16およびジャケット部17を複数個に分割
して配置することも可能である。
【0038】第5実施例 図11は本発明のプラズマ反応装置の第5実施例である
VHFプラズマCVD装置の構成を示す図である。
【0039】図11に示すVHF高周波を用いたプラズ
マCVD装置は、高周波電源(図示せず)とこれから出
てくる高周波電力を効率よく伝達するための整合器10
1と、ステンレスからなるプラズマ発生チャンバー10
7とを備えている。111はステンレスからなるアノー
ド電極である。被成膜基板110はこのアノード電極1
11上に配置される。本実施例はロードロック方式の成
膜装置であり、ロード室とアンロード室を持っており
(図示せず)、アノード電極111は可動式になってい
る。アノード電極支え109はアノード電極111の移
動を支える構造物である。アノード電極111と被成膜
基板110は背面から基板加熱用のヒーター112の輻
射熱により加熱されるようになっている。108はプラ
ズマ閉じ込め用のプラズマシールドである。115はロ
ータリーポンプ、114はターボ分子(モルキュラー)
ポンプであり、チャンバーの真空引きと反応ガスの排気
を行う。105はカソード電極である。カソード電極は
中心軸である高周波印加部102に対して点対称の構造
を有する。こうすることにより、高周波印加部102が
高周波中心となり、VHF高周波電力は整合器101を
通して、この中心軸に印加される。103は本発明の特
徴になるガス溜を示す。このガス溜103も好適には、
高周波印加部102に対し点対称であることが望まし
い。このガス溜103は、インピーダンス分布を乱す構
造を有しておらず、このガス溜103を採用することに
より、装置全体のインピーダンス分布を均一に保ったま
ま、カソード電極105側からガスを供給することがで
きる。安全性を考えると、このガス溜103は、好適に
はプラズマ発生チャンバー107内に配置する構造にす
る方がよい。またチャンバー、アノード電極、ガス溜の
電気的アースのとり方は、十分なものにしなければなら
ない。また電源側のアースのとり方も十分なものにしな
ければならない。
【0040】反応ガスは、バルブ、流量計(図示せず)
を通って、ガス溜103に供給される。ガス溜103は
カソード電極105に絶縁物質を挟んで接続され、供給
されたガスは、拡散板(カソード電極表面上のシャワー
ヘッド)106を通りながら十分均一になって、プラズ
マ空間に放出される。プラズマ発生チャンバー107内
の圧力を所望の一定値に保ちながら、ガスはプラズマシ
ールド108に設けられた穴から、チャンバーの背面に
ある排気ポンプ(ターボ分子ポンプ114、ロータリー
ポンプ115)により排気される。このときプラズマ発
生チャンバー107とターボ分子ポンプ114の間に設
けられたゲートバルブ113は通常プラズマ発生チャン
バー107とターボ分子ポンプ114側の隔絶のために
用いられるが、圧力調整用の弁としても用いられる。こ
の弁の開閉の度合いを調整することで、この部分でのコ
ンダクタンスを変化させ、実効排気速度を任意に調節
し、流量と独立に圧力を制御することができる。
【0041】プラズマ反応装置にVHF高周波を印加し
たときの、一般的なVHF高周波の加わり方を説明す
る。図12は一般的なプラズマ反応装置に対する高周波
伝わり方を示す模式図である。高周波電源(図示せず)
からでたVHF高周波は整合器(図示せず)を通してカ
ソード電極303の高周波中心301(同軸回路の中心
導体)に供給され、高周波の伝導時の表皮効果により、
カソード電極303の周辺表面を均等に伝わって、プラ
ズマ305側に達する。プラズマ305を通ったVHF
高周波は、プラズマ305の周囲にある、電気的にアー
スされたアノード電極306とチャンバー304(同軸
回路の外部導体)を通して、電源側に戻ることになる。
一般に高周波を供給するプラズマ反応装置は一体化同軸
伝送回路に等価とみなせる。つまり高周波中心301を
含むカソード電極303が同軸伝送回路の中心導電体で
あり、これが同軸回路の絶縁物質302を挟んで、外部
導電体つまりアノード電極306とチャンバー304が
存在することになる。13.56MHzのRF高周波で
は波長が約22mであり、この同軸伝送回路のインピー
ダンス分布の不均一性は大きな問題とはならない。30
0MHzHF高周波では波長が約1mであり、この同軸
伝送回路のインピーダンス分布の不均一性が問題となる
ことがわかっている。しかしながら、従来の装置での実
験結果わかったことは、上述のようにアノード電極、プ
ラズマシールド、チャンバーばかりでなく、VHF高周
波供給側の配管系統も高周波の戻りの電極として働いて
おり、この配管構造、配置によりカソード電極のインピ
ーダンス分布が乱され、その結果放電状態が変化し、不
均一な放電分布、膜厚分布を引き起こしていることがわ
かった。
【0042】プラズマ空間はカソード電極、アノード電
極、プラズマシールドで囲まれた閉空間となっており、
ガスの流れの影響を考えるとカソード側から原料ガスの
供給を行いたい。そこで本実施例では、カソード電極側
からのガス供給を行いながら、放電分布を改善する方法
を実現した。この配管部分を対称性のよいガス溜の構造
とし、これを十分アースすることにより、この部分での
インピーダンスの分布をなくすことにした。またこの構
造は非常に簡単であり、工作も容易な構造となってい
る。
【0043】放電の分布を評価するために、ガラス基板
上にアモルファスシリコンを堆積し、その膜厚分布を測
定した。シランガス250ccmを流しながら、圧力を
0.5Torrに保ち、100WのVHF高周波電力を
投入して、アモルファスシリコンを基板温度200℃に
保持したガラス基板上に成膜した。このとき放電の様子
を観察しても、分布の偏りを示すものはなかった。図1
3は本実施例のプラズマ反応装置で成膜した膜の膜厚分
布を示す。縦軸は電極面内の上下方向の分布を示し、横
軸は膜厚を示す。一番上のデータを100%として規格
化してある。グラフaが本実施例の装置で成膜した場合
の電極内での膜厚分布である。本実施例での膜厚分布
は、従来の装置での膜厚分布(グラフc)に比べ、電極
内で十分均一な膜を作成することができた。
【0044】本実施例ではアモルファスシリコンを成膜
するためのプラズマCVD装置を取り上げたが、VHF
高周波を利用するスパッタ装置、エッチング装置におい
ても本発明は基本的に適用できる。
【0045】第6実施例 図14(a),(b)は本発明のプラズマ反応装置の第
6実施例であるVHFプラズマCVD装置(カソード電
極部周辺のみ)を示す図である。
【0046】本実施例では、カソード電極以外の部分
は、図11、図12に示す第5実施例と共通なので省略
し、カソード電極206回りの構造を図示する。本実施
例では、カソード電極側からガス供給を行いながら、上
記ガス配管部に要求される条件を、以下の構造とするこ
とで解決した。カソード電極206は中心軸202に対
して点対称の構造を有する。こうすることにより、中心
軸202が高周波中心となり、VHF高周波電力は整合
器201を通して、この中心軸202に印加される。本
実施例においてはガス配管203をカソード電極206
の高周波中心202に対して同軸同心円上に配し、自身
の高周波中心回りのインピーダンスの分布がなくなるよ
うな構造とした。まず同心円状のパイプを配置する。好
適には、パイプ間の間隔をなるべく狭めて配置する。さ
らに中心から放射状にパイプを配置する。これらのパイ
プは電気的に十分アースをとる。また高周波を印加する
高周波中心の周囲に無孔性、低損失絶縁材料、例えばテ
フロン、石英を使って絶縁部分204を設け、この周囲
にさらに導伝性のステンレスで外部導電体部分205を
作り、これとガス配管203を接続する。こうすること
により、高周波中心回りのインピーダンス分布をさらに
均一化することができた。パイプの配置に関しては、要
するに高周波中心に対してインピーダンス分布が均一
で、カソード電極206の高周波中心回りのインピーダ
ンス分布を乱さないものであればよく、本実施例の限り
ではない。しかしながら、本実施例の構造は単純であ
り、ガス配管203の工作も容易なものであり、製造用
の装置として実現し易かった。
【0047】この配管構造を持つプラズマ反応装置で第
1の実施例と同様に、放電の分布を評価するために、ガ
ラス基板上にアモルファスシリコンを堆積、成膜し、そ
の膜厚分布を測定した。このとき放電の様子を観察して
も、肉眼で見る限り、異常放電や放電分布の偏りを示す
ものはなかった。第5実施例と同じ条件、シランガス2
50ccm、圧力を0.5Torr、100WのVHF
高周波電力を投入して、アモルファスシリコンを基板温
度200℃に保持したガラス基板上に成膜した。図13
のグラフbは本実施例のプラズマ反応装置で成膜した膜
の膜厚分布を示す。横軸は膜厚を示す。従来の装置での
膜厚分布cに比べ、電極内で十分均一な膜を作成するこ
とができた。若干波状様の分布になっているのは同軸円
心状のガス配管の密集具合が作用しているものと思われ
る。しかしながら、ガス配管の径を小さくし、密集度を
上げることにより、ほとんど均一な膜厚分布を得ること
ができた。本実施例ではアモルファスシリコンを成膜す
るためのプラズマCVD装置を取り上げたが、VHF高
周波を利用するスパッタ装置、エッチング装置において
も本発明は基本的に適用できる。
【0048】
【発明の効果】本発明は、以下に述べるような効果があ
る。
【0049】まず、請求項1記載の発明について述べ
る。VHF帯を用いたプラズマCVDでは、高品質なa
−Si膜を高速に作成できる。しかし、従来異常放電を
防止するために設けられていたアースシールドがカソー
ド電極の静電容量を上げている結果となり、そのため、
VHF帯の広い範囲での放電が困難であった。そこで、
従来のアースシールドを分割することにより、または開
口や切り欠きを設けることにより、異常放電を防止させ
る機能を持たせたまま、カソード電極の静電容量を下げ
て高周波放電を安定に効率よく発生させることができ
る。
【0050】次に、請求項2記載の発明について述べ
る。VHF帯を用いたプラズマCVDでは高品質なa−
Si膜を高速に作成できる。しかし、膜厚分布が大きい
ため、デバイス特性分布により歩留まりが低下するとい
う欠点があった。そこで、原料ガス導入管を放電空間を
規定するプラズマシールドへ直接接続することにより、
膜厚分布を改良し、a−Si薄膜デバイスの製造コスト
を下げることが可能となる。
【0051】さらに、請求項3記載の発明について述べ
る。VHF高周波のように装置の大きさに比べ、無視で
きない波長になってくると、カソード電極ばかりでな
く、その近傍のがガス管の非対称性からくるこの周辺の
インピーダンス分布の不均一性が放電分布、その結果不
均一な膜厚分布の原因となっていた。そこで、このガス
配管の構造、配置を工夫することにより、このインピー
ダンスの分布をなくし、カソード電極からのガス供給を
行いつつ、均一な放電分布、膜厚分布を実現することが
できる。プラズマ反応容器を高周波回路としては、一体
化同軸伝送回路と等価と見なせることから、本発明のよ
うにガス配管をもインピーダンス分布が均一となるよう
な構造とすればよいことが実験的に確かめられた。もっ
とも簡単な構造として中空のガス溜を作り、これを電気
的にアースし電力供給側とカソード電極の間に配するこ
とにより、ガスのカソード電極側からの供給を実現しな
がら、高周波中心回りのインピーダンスの分布を均一に
し、カソード電極に均一な高周波電力を供給することが
できた。これによりVHF高周波を印加しても十分均一
な放電を実現することができ、VHF高周波を利用し
て、高速成膜を実現しつつ、被成膜基板内の膜厚分布も
十分に均一なものを作り出せるプラズマ反応装置を開発
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のプラズマ反応装置の第1実施例のカソ
ード電極部の斜視図である。
【図2】第1実施例のアースシールド面積比と放電可能
周波数との関係を示すグラフである。
【図3】第1実施例を用いたときの放電周波数と成膜速
度関係を示すグラフである。
【図4】本発明のプラズマ反応装置の第2実施例のカソ
ード電極部の斜視図である。
【図5】本発明のプラズマ反応装置の第3実施例の構成
を示す図である。
【図6】図5のA−A断面図である。
【図7】第3実施例に示した成膜装置により得られた放
電周波数と膜厚分布との関係を示すグラフである。
【図8】本発明のプラズマ反応装置の第4実施例の構成
を示す図である。
【図9】図8のA−A断面図である。
【図10】原料ガス導入部の拡大図である。
【図11】本発明のプラズマ反応装置の第5実施例の構
成を示す図である。
【図12】一般的なプラズマ反応装置に対する高周波伝
わり方を示す模式図である。
【図13】電極面内での膜厚分布を示す図である。
【図14】(a),(b)は本発明のプラズマ反応装置
(カソード電極部周辺のみ)の第6実施例を示す図であ
る。
【図15】プラズマCVD装置の第1の従来例を示す構
成図である。
【図16】図15のプラズマCVD装置のカソード電極
部の斜視図である。
【図17】図15のプラズマCVD装置の放電周波数と
成膜速度との関係を示すグラフである。
【図18】プラズマCVD装置の第2の従来例を示す構
成図である。
【図19】図18に示す装置での放電周波数と膜厚分布
との関係を示すグラフである。
【図20】従来のVHFプラズマCVD装置を示す図で
ある。
【符号の説明】
1 真空容器 2,111,306 アノード電極 3,105,206,303 カソード電極 4,110,410 被成膜基板 5 絶縁部材 6a,6b アースシールド 7 排気口 8,44 高周波電源系 9 分散口 10 絶縁体 15 フレキシブル管 16 原料ガス導入管 17 ジャケット部 18 原料ガス分散口 25,108 プラズマシールド 26 開口部 101,201 整合器 102 高周波印加部 103 ガス溜 104 絶縁材 106 拡散板 107 プラズマ発生チャンバー 109 アノード電極支え 112 ヒーター 113 ゲートバルブ 114 ターボ分子ポンプ 115 ロータリーポンプ 202 中心軸 203 ガス配管 204 絶縁部分 205 外部導電体部分 301 高周波中心(同軸回路の中心導体) 302 同軸回路の絶縁体 304 チャンバー(同軸回路の外部導体) 305 プラズマ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 水谷 英正 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 真空容器と、 該真空容器内に設けられた被成膜基板を保持するアノー
    ド電極と、 該アノード電極に対向して設けられたカソード電極と、 該カソード電極に接続され、高周波電力を印加してグロ
    ー放電を生起するための高周波電源系と、 前記真空容器に接続され、原料ガスを真空容器内に導入
    する原料ガス導入系と、 前記原料ガスを排気するための排気系とを具備し、 前記カソード電極の外周には絶縁部材が配置され、 該絶縁部材の周囲には前記真空容器と電気的に接続され
    た導電性部材が設置され、 該導電性部材は前記絶縁部材によって前記カソード電極
    と絶縁されており、 さらに前記カソード電極と前記アノード電極間のみに高
    周波グロー放電が生起するように前記導電性部材は前記
    絶縁部材を介して前記カソード電極を電気的にシールド
    するように構成され、 前記導電性部材は、前記カソード電極の外周全面に対す
    る面積比が100%より小さいことを特徴とするプラズ
    マ反応装置。
  2. 【請求項2】 導電性部材は分割されている請求項1記
    載のプラズマ反応装置。
  3. 【請求項3】 導電性部材は開口部が設けられている請
    求項1記載のプラズマ反応装置。
  4. 【請求項4】 導電性部材は切り欠きが形成されている
    請求項1記載のプラズマ反応装置。
  5. 【請求項5】 真空容器と、 該真空容器内に設けられた被成膜基板を保持するアノー
    ド電極と、 該アノード電極に対向して設けられたカソード電極と、 該カソード電極に接続され、高周波電力を印加してグロ
    ー放電を生起するための高周波電源系と、 前記真空容器に接続され、原料ガスを真空容器内に導入
    する原料ガス導入系と、 前記原料ガスを排気するための排気系と、 前記アノード電極と前記カソード電極とにより形成され
    る放電空間を囲み、放電時には前記アノード電極と電気
    的かつ空間的に接続され、前記放電空間内にプラズマを
    封じ込めることができる筒状部材とを具備し、 前記原料ガスが放電空間内に直接原料ガス導入管より導
    入されるように、前記原料ガス導入管が前記筒状部材を
    介して前記放電空間に達しており、 前記原料ガスが前記排気系へ向けて排気されるように、
    前記筒状部材に開口部が設けられていることを特徴とす
    るプラズマ反応装置。
  6. 【請求項6】 減圧可能な容器内にプラズマを発生さ
    せ、該プラズマ中で処理を行うプラズマ反応装置におい
    て、 前記容器内に設けられ、中心軸に対して点対称の構造を
    有するカソード電極と、 該カソード電極に高周波電力を印加する整合器と、 電気的にアースされ、前記容器内にガスを供給するガス
    供給部とを備え、 該ガス供給部は、前記カソード電極および整合器の間の
    中心軸の周囲に配置されていることを特徴とするプラズ
    マ反応装置。
  7. 【請求項7】 ガス供給部が中空のガス溜の構造を有し
    ていることを特徴とする請求項6記載のプラズマ反応装
    置。
  8. 【請求項8】 ガス供給部が高周波中心に対して同心円
    状にガス供給パイプが配置された構造を有していること
    を特徴とする請求項6記載のプラズマ反応装置。
  9. 【請求項9】 高周波が30〜300MHzの周波数の
    VHFであることを特徴とする特許請求項6,7または
    8記載のプラズマ反応装置。
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Cited By (7)

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