JPH06294961A - 液晶表示素子とその製造方法 - Google Patents

液晶表示素子とその製造方法

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JPH06294961A
JPH06294961A JP5293457A JP29345793A JPH06294961A JP H06294961 A JPH06294961 A JP H06294961A JP 5293457 A JP5293457 A JP 5293457A JP 29345793 A JP29345793 A JP 29345793A JP H06294961 A JPH06294961 A JP H06294961A
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貴 杉山
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 視野角を改善できる液晶表示素子とその製造
方法に関し、視野角の特性を改善し、ラビング処理に起
因する問題を解決でき、全方向に亘ってコントラスト比
の高い液晶表示素子とその製造方法を提供することを目
的とする。 【構成】 各々が均一な配向方向を持たない一対の基板
と、該一対の基板間に挟持されたカイラルネマチック液
晶あるいはネマチック液晶を含む液晶層であって、電界
を印加しない状態で前記液晶層の液晶分子の配向方向は
基板面内方向に関して巨視的にはほぼあらゆる方向に等
確率で分布する液晶層と、前記一対の基板の外側に配置
され、光学的に負の実効的に一軸性の複屈折率を有し、
その光学軸が前記基板の垂直方向に配向された光学補償
板と、前記一対の基板および光学補償板の外側に配置さ
れた一対の偏光子とを有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は液晶表示素子とその製造
方法に関し、特に視野角を改善できる液晶表示素子とそ
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】液晶表示ディスプレイ等に使用される液
晶表示素子、いわゆる液晶セルは、液晶の特定な分子配
列を電界等の外部からの作用によって別の異なる分子配
列に変化させて、その間の光学的特性の変化を視覚的な
変化として表示に利用している。無電界(電界オフ)時
に液晶分子をある特定の配列状態にするために液晶を挟
むガラス基板の表面には配向処理を行うのが普通であ
る。
【0003】従来のツイストネマチック(TN)形液晶
セルなどでは、配向処理として、液晶を挟むガラス基板
を綿布のようなもので一方向に擦るいわゆるラビングが
採用されている。
【0004】たとえば、上下の基板間でラビング方向が
互いに直交するようにラビングの方向を調整して一対の
基板を組み立てる。液晶セルがネガ表示の場合にはセル
を挟む平行配置の偏光板をその偏光軸がどちらか一方の
ラビング方向と平行になるように配置し、またポジ表示
の場合には、直交配置の偏光板をその偏光軸が隣接する
基板のラビング方向と平行になるように配置する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このようなラビングで
配向処理をすると、液晶分子の配向方向が一様なため
に、観測者から画面を見たとき、表示が見やすい角度が
特定の角度範囲に制限される視角特性が生じる。
【0006】図5(A)はTN形液晶セルの視角特性を
表す等コントラスト曲線の一例である。図5(A)にお
いて、液晶セルの法線方向をθ=0とし、そこを中心に
放射線状に法線からの角度θを取り、水平面内の観測位
置を方位角度φで示す。その定義を図5(B)に示す。
【0007】図5(A)の太い実線の曲線は等コントラ
スト(CR)線で、それぞれの曲線にはコントラスト値
が示されている。図5(A)で示されるように、コント
ラストの高い視角領域は特定の角度領域に偏っているこ
とがわかる。したがって、このような液晶セルはある方
向からは見えやすく、別の方向からは見えにくいといっ
た視角依存性を持つことになる。
【0008】このような視角依存性をもつ液晶セルを表
示装置として利用した場合には、表示画面に対してある
角度(図5(A)の例ではφ=180°付近)ではコン
トラストが極端に低下し、甚だしい場合には表示の明暗
が反転してしまう。
【0009】図5(A)のような視角特性を持つのは、
図6に示すように、ラビングによって液晶分子にプレチ
ルトが生じるからである。液晶分子がプレチルトを持つ
方向はラビングするベクトル方向に一致する。
【0010】液晶セルに電圧が印加されると、液晶分子
はプレチルトしている方向に立ち上がってくるために、
その方向から観測した場合に、旋光性が解消されやすく
なる。したがってベクトルの終端方向が一番見やすくな
る。
【0011】さらに、ラビングする際には、摩擦による
静電気が発生して配向膜に絶縁破壊が起きたり、その部
分の配向不良によって表示不良の原因となる場合があ
る。また、アクティブマトリックス(AM)駆動方式を
採用する液晶セルで、TFT(薄膜トランジスタ)など
の駆動素子や配線が表面に形成された基板をラビングす
る場合には、ラビングによる静電気によって素子や配線
が破壊されるという場合がある。単純マトリックスの場
合にも、細い配線の切断等が生じる場合がある。
【0012】さらに、配向膜形成時やラビング時に微小
なゴミが大量に発生し、そのゴミが静電気によって基板
に付着し、それが液晶セルのギャップ不良や黒点や白点
といった表示不良の原因となる場合がある。
【0013】本発明の目的は、視野角の特性を改善し、
ラビング処理に起因する問題を解決でき、全方向に亘っ
てコントラスト比の高い液晶表示素子とその製造方法を
提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明による液晶表示素
子は、各々が均一な配向方向を持たない一対の基板と、
該一対の基板間に挟持されたカイラルネマチック液晶あ
るいはネマチック液晶を含む液晶層であって、電界を印
加しない状態で前記液晶層の液晶分子の配向方向は基板
面内方向に関して巨視的にはほぼあらゆる方向に等確率
で分布する液晶層と、前記一対の基板の外側に配置さ
れ、光学的に負の実効的に一軸性の複屈折率を有し、そ
の光学軸が前記基板の垂直方向に配向された光学補償板
と、前記一対の基板および光学補償板の外側に配置され
た一対の偏光子とを有する。
【0015】
【作用】液晶分子は、セル全体としては配向方向がラン
ダムに変化している。カイラルネマチック液晶は入射光
の偏光軸を全体として所定角度回転させる。一対の偏光
子を用いればポジ表示等を実現できる。ラビングを行わ
ないためにラビングに基づく種々の問題は生じない。
【0016】さらに、一対の基板と一対の偏光子との間
に、厚さ方向に光軸を持つ負の一軸性複屈折率を有する
光学補償板を配置することにより、コントラスト比の方
位依存性が低減する。
【0017】
【実施例】本発明の理解を容易にするため、まず、先の
提案(特願平4−236652号)による液晶表示素子
を図2(A)、(B)、(C)と図3を参照して説明す
る。
【0018】図2(A)は液晶表示セルの模式的な断面
図である。透明ガラス基板1、2の間にカイラルネマチ
ック形の液晶分子3が挟持されている。透明ガラス基板
1、2の外側に、一対の偏光板11、12が配置され
る。
【0019】この液晶セルを製造するには、従来の技術
によるプロセスをそのまま利用できる。但し、ラビング
は行なわない。ラビング等の積極的配向処理を行なわな
い時、片側の基板面上において、微小領域を見れば、少
なくとも近似的にある一定の方向にほぼ液晶分子が揃っ
た形で平行配向しているものと考えられる。なお、プレ
チルト角はあっもなくてもよい。
【0020】より広い範囲を全体として見た場合は、こ
れらの微小領域(ミクロドメイン)が多数(マルチ)存
在していて、そのマルチドメイン内の配向方向はあらゆ
る方向であり、全ての方向が同じ確率で存在するものと
考えられる。
【0021】つまり、セル全体の界面分子の配向方向を
考えた場合は、全ての方向を向いていることになり、各
微小ドメイン内を見た場合はある一定の方向を向いてい
ると近似できることになる。
【0022】カイラルネマチック液晶は、図2(B)に
示すように、厚さp(カイラルピッチ)で液晶分子の配
向方向が360度回転する。液晶層3が厚さdを有する
とする。液晶分子は一方の基板表面から離れるに従っ
て、次第に旋回し、他方の基板表面上ではd/pで規定
される角度まで旋回するツイスト構造をとる。なお、ネ
マチック液晶の場合はp=∞である。液晶分子は、マル
チドメイン毎に同じようなツイストを示すので、反対側
の界面ではあるツイスト角だけ配向方向が回転したと同
様のマルチドメイン状の配向をする。
【0023】もちろん、アクティブ駆動方式の場合に
は、図2(C)に示すように、アモルファスSiや多結
晶Siを用いた薄膜トランジスタ(TFT)のような駆
動素子QやCr等の金属で形成した配線W、インジウム
−錫酸化物(ITO)等で形成した透明画素電極P等が
ガラス基板1や2に形成される。これらの表面を絶縁保
護膜13で覆うことが好ましい。
【0024】さらに、ブラックストライプやカラーフィ
ルタ等を形成してもよい。対向基板上には、全面に共通
電極を形成する。単純マトリックスの場合は、一対の基
板上に互に交差する配線群を形成する。絶縁保護膜ない
し配向膜については、基板1,2上に形成することは必
ずしも必要ないが、形成してもかまわない。ただし、ラ
ビングは行なわない。
【0025】たとえば、d/p=0.25とした場合、
各ドメイン内では2枚の基板間で液晶分子が90°ツイ
ストした配列をとる。しかし、多数のドメインを含むマ
ルチドメイン内の界面での配向は、あらゆる方向を向い
ている。
【0026】バルク(外部から何らの配向規制力を与え
ない状態)の液晶の性質がマルチドメインを形成するこ
とを考えれば、一般的に配向規制力のないセル内ではマ
ルチドメイン構造をとるであろうことは予想される。特
に、液晶をN−I点以上に保って注入するときほどマル
チドメイン構造をとる傾向が強く、しかもマルチドメイ
ンの各ドメインサイズ等がより揃ったものになると考え
られる。
【0027】なお、液晶セルの外側に配置する偏光板1
1、12の偏光軸の配置は、ポジ表示の場合には直交、
ネガ表示の場合には平行とする。一般的なツイストネマ
チック液晶表示素子の場合には、液晶の配向方向により
偏光板の偏光軸の角度が一義的に決まってしまうが、こ
の配向構造のない液晶表示素子では、液晶セル全体とし
ては配向方向がランダム(全ての方向が同じ確率)であ
るので、配向方向と偏光板の偏光軸とを揃える必要はな
い。
【0028】d/p=0.25の場合、マルチドメイン
のうち、界面の液晶分子の配向方向が入射偏光の偏光方
向と平行、若しくは垂直の関係にあるドメインにおいて
は、通常のTNセルと同様にその旋光能により出射偏光
の偏光方向は90°ツイストしたものとなる。
【0029】これに対して、入射偏光方向と平行および
垂直の関係にないものは、旋光能プラスリターデーショ
ン(△n・d:△nは液晶の屈折率異方性)により出射
光のツイスト角が決まり、しかもそれは波長依存性を持
つものになる。
【0030】したがって、これらのマルチドメインおよ
び反対側の偏光板を通過した光は色付くことになる。し
かし、これらのマルチドメイン内の配向方向は全ての方
向に対して等確率で存在しているため、出射光の波長依
存性は全体としてほぼ打ち消されてしまい、ポジ表示に
おいては、OFF時は色付きのない透過状態を示すもの
と考えられる。
【0031】図3に、以上説明した方法で製作した液晶
セルの視角特性を示す。製造条件としては、液晶の複屈
折率の屈折率差△n=0.093、ネマチック液晶相−
等方相間の相転移温度(N−I点)TNI=98℃のTF
T用の一般的な液晶を用い、ギャップ5.5μmの透明
電極(インジウム錫酸化物ITO)膜を設けたテスト用
セルに液晶を封入した。
【0032】配向膜はなしで、液晶注入は液晶及び基板
の両方をN−I点以上の温度に保って行なった。ニュー
トラル高偏光タイプ(日東電工G−1220)の一対の
偏光板の偏光軸を直交させて配置し、前後それぞれの偏
光軸を(0°−180°)方向及び(90°−270
°)方向に配置してポジ表示とした。液晶表示セルに
5.5Vのスタティック電圧を印加して測定を行った。
【0033】図3から明らかなように、全体的に平均化
され、全方位にわたって良好なコントラスト比が得られ
ている。図5(A)の従来の液晶セルで見られるよう
な、特定の角度から見た時のコントラストの悪化が見ら
れない。
【0034】この液晶セルの組織を偏光顕微鏡で観察し
てみたところ、セル全面にわたって微小なマルチドメイ
ンが観察された。これが視角依存性がなくなった理由で
あると考えられる。
【0035】すなわち、表示面内に多数のドメインが発
生し、全体として基板と平行な面内にあらゆる配向の液
晶分子が分布すると、入射光の偏光軸がどのようなもの
であっても、出射光の全体としての偏光軸は90度回転
したものとなる。90度の偏光軸回転と直交偏光子との
組合せにより、表示が可能となる。また、マルチドメイ
ンによって角度依存性が低減する。
【0036】偏光板の偏光軸の角度は、マルチドメイン
構造であるため、任意になる。実際、偏光板の角度を変
化させても、特性面での差は観察されなかった。なお、
平行配置の偏光板を用いたネガ表示の場合、先に述べた
波長依存性のため、OFF時の黒が充分に出にくい傾向
があった。すなわち、ポジ表示がより好ましい。
【0037】図3の視角特性は、図5の視角特性と比べ
るとかなり改善されているが、方位角依存性は残ってい
る。たとえば、CR=10の曲線を見ると、上下、左右
の偏光子の偏光軸に平行な方向においては、約40度の
方位角に達しているが、これらの方向の中間(45°、
135°、225°、315°)の方位角においては、
30°程度である。
【0038】図1は、本発明の実施例による液晶表示素
子を示す。図1(A)は液晶表示素子の構成を断面図で
概略的に示す。一対の透明基板1、2は、上述した先の
提案による液晶表示素子の透明基板と同様である。
【0039】すなわち、基板上の液晶に電界を印加する
ための電極構造やスイッチ構造を有するが、たとえ配向
膜を形成していても配向膜にラビング処理は施されてい
ない。このような一対の透明基板1、2間にカイラルネ
マチック液晶3が挟まれている。一対の透明基板1、2
の両側に、直交偏光子5a、5bが配置されている。以
上説明した構造は、先の提案による液晶表示素子と同等
のものとなる。
【0040】カイラルネマチック液晶のカイラルピッチ
をpとし、ガラス基板で挟持される方向の液晶層の厚み
をdとしたときに、0(<または≒)d/p(<または
≒)0.75なる条件を満たすようにする。ここで、
「A<または≒B」は、AがBとほぼ等しいかBより小
さいことを表す。好ましくは、0.15<d/p<0.
75となる条件を満たすように液晶セルを形成する。す
なわち、角度に直すと54度から270度の旋光性を有
するようにpとdを定める。
【0041】たとえば、平行に配置したギャップdの透
明ガラス基板1と2の間にd/p=0.25(90°ツ
イストに対応)でそのカイラルピッチpが規定されたカ
イラルネマチック液晶を注入して封止する。
【0042】液晶材料としては、たとえば、知られてい
るネマチック液晶、コレステリック液晶のいずれをも用
いることができる。ツイストを持たせる場合は、ネマチ
ック液晶にカイラル剤を添加すればよい。
【0043】もちろん、アクティブ駆動方式の場合に
は、図2(C)に示すように、アモルファスSiや多結
晶Siを用いた薄膜トランジスタ(TFT)のような駆
動素子QやCr等の金属で形成した配線W、インジウム
−錫酸化物(ITO)等で形成した透明画素電極P等が
ガラス基板1や2上に形成される。これらの表面を絶縁
保護膜13で覆うことが好ましい。
【0044】さらに、ブラックストライプやカラーフィ
ルタ等を形成してもよい。対向基板上には、全面に共通
電極を形成する。単純マトリックスの場合は、一対の基
板上に互に交差する配線群を形成する。絶縁保護膜ない
し配向膜については、基板1,2上に形成することは必
ずしも必要ないが、形成してもかまわない。ただし、ラ
ビングは行なわない。
【0045】本実施例においては、一対の透明基板1、
2と、一対の偏光子5a、5bとの間に、負の光学異方
性(複屈折性)を有する光学補償板4が挟まれている。
すなわち、光学補償板4の面内方向の屈折率はほぼ等し
く、厚さ方向の屈折率よりも大きい。なお、図示の状態
においては、一方の基板2と一方の偏光子5bとの間
に、光学補償板4を挟んでいるが、他方の透明基板1と
他方の偏光子5aの間、または2枚に分けて透明基板
1、2の内側に配置することもできる。
【0046】一方の偏光子5aが図示のようにx方向の
偏光軸Paを有し、他方の偏光子5bがy方向の偏光軸
Pbを有するとする。光学補償板4は、面内方向ではほ
ぼ等方的で、負の光学異方性を有し、光軸が厚さ方向に
配置されている。このような光学補償板は、たとえばエ
チレン−メタクリル酸共重合体を金属イオンで架橋した
アイオノマ樹脂を用いて作成することができる。延伸し
たアイオノマ樹脂のシートを2枚用意し、延伸方向を直
交させて重ね合わせ、加圧下で融点以上に加熱して光学
補償を作成することができる。
【0047】一対の基板1、2を用意し、その間に液晶
層3を注入して液晶セルを作る。なお、液晶を注入する
際に、液晶の温度を液晶のN−I(N:ネマティック,
I:アイソトロピック)相転移点以上の温度に保ちなが
らアイソトロピック相で注入して、N−I点以下まで徐
々に温度を下げて液晶相とし、液晶セルを製作した方
が、表示素子としての表示が綺麗になる。
【0048】さらに、液晶のみならず、液晶注入前の基
板の温度も液晶のN−I点以上に保ちながら液晶を注入
して、徐々にN−I点以下に温度を下げることが好まし
い。このように液晶セルを製作した方が表示品質はさら
に向上する。
【0049】液晶層に電界を印加して液晶分子を基板に
垂直方向に配置させると、液晶層3は基板垂直方向を光
軸とする正の光学異方性を示す。光学補償板4は、液晶
層3と絶対値が等しく、符号が逆のリターデーション値
を持つように設定する。
【0050】図1(B)は、図1(A)に示す液晶表示
素子の視角特性を示すグラフである。基板間に5.5V
のスタティック電圧を印加して測定した。基板法線から
の角度を同心円状にとり、方位角を放射線状に示してい
る。
【0051】図1(A)の構成により得られた図1
(B)の特性は、図3の特性と比較すると明らかなよう
に、視角特性がより等方的に改善されている。光学補償
板が存在しない場合、入射偏光方向と平行および垂直の
関係にない入射光に対するコントラスト比が悪くなる
が、厚さ方向に光軸方向を有する負の複屈折率を有する
光学補償板を用いると、図1(B)に示すような視角特
性の改良が得られる。
【0052】以上説明した実施例は、積極的配向処理を
しない場合であった。但し、近年ラビング処理を行わな
くても配向処理が可能なことか判った。たとえば、偏光
記憶膜を用いると、光照射によって微小領域の配向処理
が行なえる。このような配向処理を行なった基板を使用
しても上記実施例と同様なマルチドメイン構造が形成で
き、同様な効果が得られる。
【0053】なお、光偏光記憶膜としては、 (1)ジアゾアミン系染料をドープしたシリコンポリイ
ミドを用いたもの:Wayne M.Gibbons
他,NATURE Vol.351(1991)p.4
9、 (2)アゾ系染料をドープしたPVA(ポリビニルアル
コール)を用いたもの:飯村靖文他:第18回液晶討論
会−日本化学会第64秋期年会−,p.34,平成4年
9月11日発行,社団法人日本化学会。もしくは、Jp
n.J.Appl.Phys.Vol.32(199
3)pp.L93−L96、 (3)光重合フォトポリマーを用いたもの:Marti
n Schadt他,Jpn.J.Appl.Phy
s.Vol.31(1992)pp.2155−216
4等を利用することができる。
【0054】以上の実施例におけるマルチドメイン構造
を模式的に拡大図示すると図4(A)のようになる。図
4(A)はセルの平面拡大図である。多数の微小領域す
なわちミクロドメイン4が形成され、各ドメイン4の内
部の液晶分子は、矢印で示すようにある一定の方向にほ
ぼ揃った形で平行配向している。但し、セル全体として
巨視的に見るとランダムな配向をしており視角特性が実
質的に等方的であることが理解できるであろう。
【0055】先に説明した実施例における液晶セルの製
造工程において、製造条件を種々変えることによって図
4(A)のマルチドメイン構造とは異なった次のような
配向構造も得られる。
【0056】たとえば、図4(B)に示すように、液晶
分子3が連続的にその配向方向を変化している構造が形
成される。セル全体としては配向方向がランダムで、液
晶分子3は全方向に等確率で配向している。
【0057】また、図4(C)に示すように、図4
(A)と図4(B)の組み合わせのような構造も形成さ
れる。すなわち、微小領域内では一定方向に配向したミ
クロドメイン4が点在し、その間に液晶分子3が連続的
に配向方向を変化して存在している。この場合も、セル
全体としての配向方向はランダムである。
【0058】図4(A)、(B)および(C)のいずれ
の構造でも上述の効果が得られることは言うまでもな
い。以上実施例に沿って本発明を説明したが、本発明は
これらに制限されるものではない。たとえば、種々の変
更、改良、組み合わせ等が可能なことは当業者に自明で
あろう。
【0059】
【発明の効果】本発明によれば、視野特性が全方位にわ
たってほぼ均一であり、観測者の特定の観測位置によっ
てコントラストが低下することがない。
【0060】さらに、ラビング処理をしなければ、静電
気による素子や配線の破壊が起きず、ゴミの発生や付着
による表示不良を低減することができる。また、配向膜
を形成しなければ、配向膜に起因すると考えられる残像
や焼きつき等の問題がなくなる。
【0061】ラビング処理あるいは配向膜形成をしなけ
れば、それらの工程がなくなるので、製造コストの低減
が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例による液晶表示セルの断面図お
よび視角特性である。
【図2】参考例による液晶表示セルの断面図である。
【図3】参考例による液晶表示セルの視角特性である。
【図4】本発明の実施例による液晶セルの一部の拡大模
式図である。
【図5】ラビング処理を施した従来の技術による液晶表
示セルの視覚特性である。
【図6】ラビングによるプレチルトを説明する図であ
る。
【符号の説明】
1,2 ガラス基板 3 液晶分子 4 光学補償板 5 偏光板 30 ドメイン 31 液晶分子

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 各々が均一な配向方向を持たない一対の
    基板と、 該一対の基板間に挟持されたカイラルネマチック液晶あ
    るいはネマチック液晶を含む液晶層であって、 電界を印加しない状態で前記液晶層の液晶分子の配向方
    向は基板面内方向に関して巨視的にはほぼあらゆる方向
    に等確率で分布する液晶層と、 前記一対の基板の外側に配置され、光学的に負の実効的
    に一軸性の複屈折率を有し、その光学軸が前記基板の垂
    直方向に配向された光学補償板と、 前記一対の基板および光学補償板の外側に配置された一
    対の偏光子とを有する液晶表示素子。
  2. 【請求項2】 前記液晶層は、基板面内方向で多数の微
    小領域を有し、各微小領域内では液晶分子の配向方向が
    揃っている請求項1記載の液晶表示素子。
  3. 【請求項3】 前記液晶層は多数の微小領域間に液晶分
    子の配向方向が基板面内方向でほぼ連続的に変化する領
    域を含む請求項2記載の液晶表示素子。
  4. 【請求項4】 前記液晶層の液晶分子の配向方向は基板
    面内方向に関し、微視的にはほぼ連続的に変化する請求
    項1記載の液晶表示素子。
  5. 【請求項5】 前記一対の基板は前記液晶分子に対する
    積極的配向構造を有さない請求項1〜4のいずれかに記
    載の液晶表示素子。
  6. 【請求項6】 前記一対の基板は前記液晶分子に対する
    積極的配向構造を有する請求項1〜4のいずれかに記載
    の液晶表示素子。
  7. 【請求項7】 前記積極的配向構造が偏光記憶膜で形成
    されている請求項6記載の液晶表示素子。
  8. 【請求項8】 前記一対の基板がギャップdを有し、前
    記液晶層のカイラルピッチをpとしたときに、 0≒または<d/p<または≒0.75 となる条件を満たす請求項1〜7のいずれかに記載の液
    晶表示素子。
  9. 【請求項9】 前記液晶層がカイラルネマチック液晶を
    含み、前記ギャップdと前記カイラルネマチック液晶の
    カイラルピッチpが 0.15<d/p<0.75 となる条件を満たす請求項8記載の液晶表示素子。
  10. 【請求項10】 光学的に負の実効的に一軸性の複屈折
    率を有し、その光学軸が厚さ方向に配向された光学補償
    板と、一対の偏光子と、均一な配向構造を有さない一対
    の透明基板と、カイラルネマチック液晶あるいはネマチ
    ック液晶とを用意する工程と、 前記一対の透明基板間に前記カイラルネマチック液晶あ
    るいはネマチック液晶を注入する工程と、 前記光学補償板と前記一対の透明基板とを平行に配置す
    る工程と、 前記光学補償板と前記一対の透明基板との外側に前記一
    対の偏光子を平行に配置する工程とを有する液晶表示素
    子の製造方法。
  11. 【請求項11】 前記カイラルネマチック液晶あるいは
    ネマチック液晶を注入する際に、該液晶の温度を該液晶
    のN−I点以上に保ちながら注入することを特徴とする
    請求項10記載の液晶表示素子の製造方法。
  12. 【請求項12】 前記カイラルネマチック液晶あるいは
    ネマチック液晶を注入する時の該透明基板の温度を該液
    晶のN−I点以上に保持して、前記液晶を注入すること
    を特徴とする請求項11記載の液晶表示素子の製造方
    法。
  13. 【請求項13】 前記カイラルネマチック液晶あるいは
    ネマチック液晶のカイラルピッチをpとし、前記一対の
    透明基板で挟持される方向の前記液晶層の厚みをdとし
    たときに、 0≒または<d/p<または≒0.75 となる条件を満たすように前記pとdを選択した請求項
    10〜12のいずれかに記載の液晶表示素子の製造方
    法。
  14. 【請求項14】 前記液晶層カイラルネマチック液晶の
    カイラルピッチpと前記厚みdとが 0.15<d/p<0.75 となる条件を満たすように前記pとdを選択した請求項
    13記載の液晶表示素子の製造方法。
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