JPH06293988A - 苛性ソーダの製造方法 - Google Patents

苛性ソーダの製造方法

Info

Publication number
JPH06293988A
JPH06293988A JP31859692A JP31859692A JPH06293988A JP H06293988 A JPH06293988 A JP H06293988A JP 31859692 A JP31859692 A JP 31859692A JP 31859692 A JP31859692 A JP 31859692A JP H06293988 A JPH06293988 A JP H06293988A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
sodium
nitrate
produced
caustic soda
calcium
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP31859692A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3259024B2 (ja
Inventor
Norio Takeuchi
紀男 竹内
Masaki Okada
昌樹 岡田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Tosoh Corp
Original Assignee
Agency of Industrial Science and Technology
Tosoh Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Agency of Industrial Science and Technology, Tosoh Corp filed Critical Agency of Industrial Science and Technology
Priority to JP31859692A priority Critical patent/JP3259024B2/ja
Publication of JPH06293988A publication Critical patent/JPH06293988A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3259024B2 publication Critical patent/JP3259024B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【目的】 塩化ナトリウムを原料とし、塩素を併産しな
い苛性ソーダの製造方法を提供する。 【構成】 塩化ナトリウムと硝酸カルシウムを原料とし
て、電気透析法により硝酸ナトリウムと塩化カルシウム
を製造する。この生成した硝酸ナトリウムを原料にし
て、電気分解法により苛性ソーダと硝酸を製造する。次
に、この硝酸と前記の塩化カルシウムを使用して、電気
透析法により、硝酸カルシウムと塩酸を製造する。この
硝酸カルシウムは循環使用される。硝酸ナトリウムは、
又、金属銅と熱化学的に800〜1200℃において作
用させ、酸化ナトリウムを生成させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、塩化ナトリウム及び硝
酸カルシウムを原料とし、塩素を併産しない苛性ソーダ
の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】苛性ソーダは、合成繊維及び合成樹脂の
製造、染料及び中間物、石鹸の製造、石油の精製、パル
プの製造、等の広範囲の用途を持ち、大量の需要を有す
る。
【0003】現在の苛性ソーダの製造方法は、その殆ど
が塩化ナトリウムを電気分解することによって、苛性ソ
ーダと塩素を併産する方法である。従って、苛性ソーダ
と塩素の需給バランスが重要となる。
【0004】しかしながら、近年、フロンによるオゾン
層の破壊を発端に、環境問題より、塩素の需要にかげり
が見えることより、苛性ソーダと塩素の需給バランスの
維持が今後次第に困難となることが予想される。塩素の
需要が減少し、苛性ソーダと塩素の需給バランスが維持
できない場合は、余剰の塩素を安全に処理することが必
要となり、塩素処理にかなりのコストがかかることにな
り、塩素を併産する苛性ソーダの製造方法は、経済性に
問題を生じる。従って、苛性ソーダと塩素の需給バラン
スが維持できない場合は、塩素を併産しない苛性ソーダ
の製造法が必要となる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】解決しようとする課題
は、塩化ナトリウム及び硝酸カルシウムを原料とし、塩
素を併産することない新規な苛性ソーダの製造法を提供
することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の特徴の一つは、
塩化ナトリウムと硝酸カルシウムを原料にして、電気透
析法により塩化カルシウムと硝酸ナトリウムを生成し、
該硝酸ナトリウムを電気分解することにより苛性ソーダ
と硝酸を製造し、この硝酸と前記塩化カルシウムを使用
して、電気透析法により塩酸と硝酸カルシウムを製造
し、この硝酸カルシウムを循環使用することを特徴とす
る苛性ソーダの製造方法を提供することにある。
【0007】又、本発明の他の特徴の一つは、塩化ナト
リウムと硝酸カルシウムを原料として、電気透析法によ
り塩化カルシウムと硝酸ナトリウムを生成し、該硝酸ナ
トリウムに対して、金属銅を熱化学的に作用させ、酸化
ナトリウムを製造すると共に、該硝酸ナトリウムと金属
銅との反応において副生した酸化銅、一酸化窒素、酸
素、及び前記電気透析法により生成した塩化カルシウム
を原料として、金属銅及び硝酸カルシウムを熱化学的に
再生し、循環使用すると共に、塩酸を生成することを特
徴とする苛性ソーダの製造方法を提供することにある。
【0008】本発明の塩化ナトリウム及び硝酸カルシウ
ムから硝酸ナトリウム及び塩化カルシウムを製造する電
気透析法を図1により以下に説明する。
【0009】陽イオン交換膜(C)と陰イオン交換膜
(A)に挟まれた4室を一つの単位として繰り返し、一
番陽極側の中間室(例えば(1)室)に塩化ナトリウム
水溶液を流通させ、例えば(3)室に硝酸カルシウム水
溶液を流通させる。そのような状態において、電気透析
装置の両端に電圧を賦与すると、一室おきに塩化カルシ
ウム水溶液(例えば(2)室)と硝酸ナトリウム水溶液
(例えば(4)室)が以下の(1)式により生成する。
【0010】 NaCl十1/2Ca(NO32 →NaNO3 十1/2CaCl2 (1) 又、陰極室では苛性ソーダが生成し、この苛性ソーダは
製品とできる。一方、陽極室では硝酸が生成し、後述す
る様に、この硝酸及び(1)式で生成する塩化カルシウ
ムから硝酸カルシウムを再生する。
【0011】本電気透析装置に対して、現在工業的に実
施されている製塩工業等で使用されている通常の電気透
析装置が適用可能である。また一般に市販されている陽
イオン交換膜、陰イオン交換膜、陽極物質及び陰極物質
が使用可能である。
【0012】本電気透析装置に流通される塩化ナトリウ
ム水溶液の濃度は、1〜4.5mol/リットル、好ま
しくは2〜3mol/リットルである。又、硝酸カルシ
ウム水溶液の濃度は、2〜4.5mol/リットル、好
ましくは2〜4mol/リットルである。電気透析の温
度は、室温から100℃、好ましくは50〜90℃であ
る。各室の間隔は、0.1〜15mm、好ましくは0.
5〜3mmである。電流密度は、1〜100A/dm
2 、好ましくは10〜30A/dm2 である。
【0013】本発明によれば、前記反応(1)で得られ
た塩化カルシウムは後述のように塩酸及び硝酸カルシウ
ムに変換される。又、反応(1)において、塩化カルシ
ウムと共に生成した硝酸ナトリウム水溶液は、電気分解
により、苛性ソーダと硝酸を生成させる。
【0014】 NaNO3 十H2 O→NaOH+HNO3 (2) 本電気分解には、現在水や塩化ナトリウムの電気分解に
おいて使用されている電気分解装置と原理的には同様の
電気分解装置により実施可能である。一般的には、図2
に示される様な3室構造となした装置に、中間室に硝酸
ナトリウムを供給し、陰極室で苛性ソーダ、陽極室で硝
酸を生成することができる。
【0015】この苛性ソーダは製品とでき、この硝酸は
(1)式で生成する塩化カルシウムと共に硝酸カルシウ
ムの製造に使用できる。
【0016】本電気分解に供せられる電極物質及びイオ
ン交換膜には、一般の市販品が使用可能である。本電気
分解におけるイオン交換膜は、単一均一膜や、イオン交
換容量がそれぞれ異なるイオン交換膜よりなる二層不均
一膜等を用いることが考えられるが、反応(1)を前述
の電気透析法により実施した際に生成する硝酸ナトリウ
ム水溶液の濃度等の諸条件を考慮して、最も適当と考え
られるイオン交換膜を用いることが可能であり、すで
に、一般的に普及している使用方法を採用することがで
きる。
【0017】本電気分解装置に供給される硝酸ナトリウ
ム水溶液の濃度及び温度は、いずれも高いほど電流効率
が増大するが、一般的には硝酸ナトリウムの濃度は3〜
7mol/リットル、温度は60〜90℃で実施でき
る。
【0018】本発明によれぱ、前記反応(1)で得られ
た塩化カルシウムは前記反応(2)で得られた硝酸と共
に電気透析装置に導かれて、塩酸と硝酸カルシウムを生
成させる(図3)。
【0019】 1/2CaCl2 十HNO3 →1/2Ca(NO32 +HCl (3) この生成した塩酸は製品として各種用途に使用でき、硝
酸カルシウムは(1)式で表わされる硝酸ナトリウム及
び塩化カルシウムの製造に循環使用される。
【0020】本電気透析は、現在工業的に実施されつつ
ある製塩工業などで使用されている通常の電気透析装置
により実施可能である。従って、本電気透析装置に対し
ても、一般に市販されているイオン交換膜や電極物質が
使用可能である。即ち、前記した塩化ナトリウムと硝酸
カルシウムの各々の水溶液を電気透析して、硝酸ナトリ
ウムと塩化カルシウムを製造する場合と同様に、本電気
透析装置を運転することができる。
【0021】本発明により製造される塩酸が、新たに市
場に供給されると、供給が需要を一時的にないしは永続
的に超過することも将来的には予想される。そのような
状況を考慮すると塩酸の需要量の変動に対応して、その
生産量を調節できることが望ましい。
【0022】本発明によれば、前記反応(3)に従って
生産される塩酸及び硝酸カルシウムの量を調節すること
により、塩酸の市場における需給のバランスを保つこと
が可能である。反応(3)に従う塩酸の生産を停止する
場合、反応(1)に従って、電気透析法により生成した
塩化カルシウムをそのまま市販するか、もしくは余剰の
塩化カルシウムを貯蔵することが可能である。
【0023】前記反応(3)を停止することによって塩
酸の生産を停止してしまう場合、同時に、硝酸カルシウ
ムの生産も停止される。従って、前記反応(1)におい
て使用する硝酸カルシウムを生産するために、前記反応
(2)において生成した硝酸に、次式のように、石灰石
を反応させる。石灰石は天然に、しかも大量に存在する
ので、きわめて安価である。石灰石の代りに生石灰ない
しは消石灰を使用することも可能である。
【0024】 1/2CaCO3 +HNO3 →1/2Ca(NO32 +1/2H2 O+1/2CO2 (4) 本電気分解法により、反応(3)、(4)に従って生成
した硝酸カルシウムは、図1に示される電気透析装置に
環流され、反応(1)における反応物として循環使用で
きる。
【0025】本発明は又、電気透析装置により前述の反
応(1)に従って生成した硝酸ナトリウムを原料物質と
して、熱化学的に処理することにより酸化ナトリウムを
生成させることも可能である。その際生成した酸化ナト
リウムは固体のまま製品として販売することも可能であ
るが、又、その固体酸化ナトリウムに水を添加して固体
苛性ソーダないしは、苛性ソーダ水溶液として製品とす
ることも可能である。固体酸化ナトリウムとして販売す
る場合、現在製品として大量に流通している苛性ソーダ
水溶液に比べて容積が大幅に減少するので、その運搬に
要する費用の低減を図ることができる。
【0026】硝酸ナトリウムを原料物質として、酸化ナ
トリウムを生成させるために、硝酸ナトリウムの分解剤
として、金属銅が使用される。
【0027】 NaNO3 十Cu→1/2Na2 O+CuO+NO+1/4O2 (5) この反応(5)は、700〜1400℃、好ましくは8
00〜1200℃の温度範囲で実施される。この反応で
生成した酸化ナトリウムは、前述の温度範囲において一
部が気体として存在するので、減圧吸引することによ
り、副生した固体酸化銅と容易に分離することが可能で
ある。
【0028】又、気体窒素、アルゴン等の酸化ナトリウ
ムと反応しない気体を反応系に流通させるならば、生成
した酸化ナトリウムと酸化銅を一層有利に分離すること
が可能である。いずれの場合も、反応系外に分離された
酸化ナトリウムは、反応温度以下、320℃以上の温度
範囲において固体酸化ナトリウムとして捕集することが
可能である。反応(5)によって、副生した一酸化窒素
と酸素は、共に気体であるので、同時に生成した固体酸
化銅とは容易に分離可能である。一方、生成した酸化ナ
トリウムは気体として副生した一酸化窒素と共に反応系
外に導き出されても、320℃以上、好ましくは、50
0℃以上では、一酸化窒素及び酸素及びそれらの混合気
体とは反応することなしに固化してしまう。従って、生
成した酸化ナトリウムと副生した一酸化窒素と酸素及び
それらの混合気体との分離は容易に実施可能である。
【0029】反応(5)で副生した酸化銅には気体水素
を作用させて還元し、金属銅を再生する。再生された金
属銅は再び、前記反応(5)に循環使用できる。
【0030】 CuO+H2 →Cu+H2 O (6) この反応(6)は、50℃以上、好ましくは、80℃以
上、ことに、100〜250℃の温度で有利に実施され
る。反応(6)において還元剤として使用される水素
は、図1〜3の電解槽の陰極室から得られる為、容易に
入手することが可能である。
【0031】反応(5)で副生した一酸化窒素と酸素に
は、さらに水と空気中の酸素を添加して硝酸を生成させ
る。生成した硝酸は再び前記反応(3)に循環使用でき
る。 NO+3/4O2 +1/2H2 O→HNO3 (7) 反応(5)は、常温において、現在工業的に実施されつ
つある硝酸の製造における酸化窒素の吸収過程に従って
実施できる。
【0032】
【実施例】以下、実施例を述べるが、本発明はこれに限
定されるものではない。
【0033】実施例1 図1に示した電気透析装置の一例として、図4に示す9
室からなる電解槽を用いて硝酸ナトリウムと塩化カルシ
ウムの製造を実施した。
【0034】陽極には、市販の塩素発生陽極(DSA)
を、陰極には白金を用い、膜は市販のフッ素系の陽イオ
ン交換膜及び陰イオン交換膜を用いた。
【0035】電極と膜、及び各膜間の距離は各々2mm
とし、電解面積は2dm2 とした。(1)室及び(5)
室には、4.3mol/リットルの精製食塩水を供給し
た。又(2)室には、1.2mol/リットルの硝酸ナ
トリウム水溶液を、(3)室及び(7)室には、4.8
mol/リットルの硝酸カルシウム水溶液を、(2)室
及び(6)室には、1.9mol/リットルの塩化カル
シウム水溶液を、各々供給した。又、陽極室に0.8m
ol/リットルの硝酸水溶液を、陰極室に2.5mοl
/リットルの苛性ソーダ水溶液を供給した。
【0036】電流密度30A/dm2 とし、電気透析を
実施したところ、(4)室から2.4mol/リットル
の硝酸ナトリウム水溶液が、(2)室及び(6)室か
ら、2.7mol/リットルの塩化カルシウム水溶液が
得られた。
【0037】なお、この時、各室の排出液温度が約80
℃になるように加温した。又、電解電圧は、およそ7.
0Vであった。
【0038】陰極室からは7.5mol/リットルの苛
性ソーダが得られ、陽極室からは5.0mol/リット
ルの硝酸が得られた。
【0039】この、電気透析装置により生成した硝酸ナ
トリウム水溶液を、図2に示すような、3室型電気分解
装置を用いて電解を実施した。陰極、陽極は共に白金を
用い、膜は市販のフッ素系陽イオン交換膜及び陰イオン
交換膜を使用した。
【0040】又、膜間の距離は5mmとし、電極と膜は
接触させて配置した。
【0041】陽極室に0.8mol/リットルの硝酸水
溶液を、陰極室に2.5mol/リツトルの苛性ソーダ
水溶液を、又、中間室に2.4mol/リットルの硝酸
ナトリウム水溶液を供給し、電流密度30A/dm2
し、電解を行ったところ、陽極室から1.6mol/リ
ットルの硝酸水溶液が、陰極室から5mol/リットル
の苛性ソーダ水溶液が得られた。なお、この時の電解電
圧は約5.0Vであった。
【0042】次に、図3の電気透析装置の一例である図
5の5室の電気透析装置を使用して、図4の電気透析装
置から副生した2.7mol/リットルの塩化カルシウ
ム水溶液と、同様に、前述の図2の電解装置から副生し
た1.6mol/リットルの硝酸水溶液を流入させ、
2.5mol/リットルの塩酸と4.5mol/リット
ルの硝酸カルシウム溶液を製造することができた。この
硝酸カルシウム水溶液は図1の電気透析による硝酸ナト
リウムの製造に循環使用される。
【0043】実施例2 実施例1において塩化ナトリウムの電気透析により製造
された硝酸ナトリウムを蒸発乾固した。この固体硝酸ナ
トリウム20gと粒状金属銅20gを白金ボート中に入
れた。その場合、固体硝酸ナトリウムの上に金属銅を置
いたのみで、両者を混合することはしなかった。それら
の試料を入れた白金ボートを、次に石英製保謹管内に設
置して、環状電気炉中で加熱した。生成した気体酸化ナ
トリウムを固化して捕集するために、電気炉の末端より
外部に出た、450〜550℃の保護管中にニッケル製
の金網を折り曲げて管の全断面を覆うように詰込んだ。
【0044】その様な状態で、反応温度約830℃にお
いて、白金ボート中の試料上に気体窒素を流通させつつ
約30分間反応させた。その結果、得られた酸化ナトリ
ウムの量は7gであった。これは原料として反応に供さ
れた最初の硝酸ナトリウムのおよそ96%が分解して、
酸化ナトリウムとして回収されたことになる。
【0045】次に、電気炉中に放置したままの白金ボー
ト中に、生成して残留した固体酸化銅を約100℃に保
持しつつ、約20分間気体水素を流通させた。室温まで
放冷後、白金ボート中に生成した金属銅を秤量したとこ
ろ、19.9gであった。これは、硝酸ナトリウムの分
解剤として最初に使用された金属銅のほぼ100%が回
収されたことになる。
【0046】又、前記硝酸ナトリウムの分解反応に伴っ
て副生した一酸化窒素と酸素に対しては、この混合気体
に、さらに空気中の酸素を加え、水に吸収させて、硝酸
として捕集した。この硝酸を定量したところ、100w
t%硝酸に換算して、14.2gであった。これは硝酸
ナトリウムの分解反応で発生する一酸化窒素と酸素の理
論量のおよそ96%が回収されたことになる。
【0047】さらに、この硝酸を使用することによっ
て、硝酸ナトリウム製造用の硝酸カルシウムを再生する
ために、別途次のような実験を試みた。即ち、実施例1
において生成した硝酸ナトリウムの分解反応を、前述と
同様な反応条件に従って実施し、酸化ナトリウムの生成
に伴って副生した一酸化窒素と酸素を、重量比でl対1
の石灰石と水を混合した吸収瓶に導入した。その結果、
33wt%(およそ2.6mol/リットル)の濃度の
硝酸カルシウム水溶液を得た。この硝酸カルシウム水溶
液は、電気透析法による硝酸ナトリウムの製造のために
使用される。
【0048】
【発明の効果】以上説明したように本発明の苛性ソーダ
の製造法は、消費原料が実質的には塩化ナトリウムと水
のみ、ないしは塩化ナトリウムと水素と酸素(又は空
気)のみ(場合により石灰石)であり、他の反応原料は
いずれも反応系中を適当な形態で循環使用される。従っ
て、反応系からは塩化ナトリウムの分解により生成した
苛性ソーダと塩酸、そして塩化カルシウムが取り出され
るだけであり、他の副生物は反応系からはなんら排出さ
れない。従って、環境間題等による塩素の需要低減に際
して、従来の苛性ソーダの製造方法のように塩素を併産
する製法に比較して、経済的に有利な製法となり、その
産業的意義は大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】塩化ナトリウム及び硝酸カルシウムから硝酸ナ
トリウム及び塩化カルシウムを製造する電気透析電解槽
を示す図である。
【図2】硝酸ナトリウムから苛性ソーダ及び硝酸を製造
する電解槽を示す図である。
【図3】硝酸及び塩化カルシウムから硝酸カルシウム及
び塩酸を製造する電気透析電解槽を示す図である。
【図4】実施例1で使用した電気透析電解槽を示す図で
ある。
【図5】実施例1で使用した電気透析電解槽を示す図で
ある。
フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C25B 1/16 8414−4K 7/00 8414−4K (72)発明者 岡田 昌樹 山口県徳山市城ケ丘5丁目10−2−102

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 苛性ソーダの製造法において、塩化ナト
    リウムと硝酸カルシウムを原料にして、電気透析法によ
    り塩化カルシウムと硝酸ナトリウムを生成し、該硝酸ナ
    トリウムを電気分解することにより苛性ソーダと硝酸を
    製造し、この硝酸と前記塩化カルシウムを使用して、電
    気透析法により塩酸と硝酸カルシウムを製造し、この硝
    酸カルシウムを循環使用することを特徴とする苛性ソー
    ダの製造方法。
  2. 【請求項2】 苛性ソーダの製造法において、塩化ナト
    リウムと硝酸カルシウムを原料として、電気透析法によ
    り塩化カルシウムと硝酸ナトリウムを生成し、該硝酸ナ
    トリウムに対して、金属銅を熱化学的に作用させ、酸化
    ナトリウムを製造することを特徴とする苛性ソーダの製
    造方法。
  3. 【請求項3】 請求項2の硝酸ナトリウムと金属銅との
    反応において、副生した酸化銅、一酸化窒素、酸素、及
    び請求項2の電気透析法で生成した塩化カルシウムを原
    料として、金属銅及び硝酸カルシウムを熱化学的に再生
    し、循環使用すると共に、塩酸を生成することを特徴と
    する苛性ソーダの製造方法。
JP31859692A 1992-11-27 1992-11-27 苛性ソーダの製造方法 Expired - Lifetime JP3259024B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP31859692A JP3259024B2 (ja) 1992-11-27 1992-11-27 苛性ソーダの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP31859692A JP3259024B2 (ja) 1992-11-27 1992-11-27 苛性ソーダの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH06293988A true JPH06293988A (ja) 1994-10-21
JP3259024B2 JP3259024B2 (ja) 2002-02-18

Family

ID=18100906

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP31859692A Expired - Lifetime JP3259024B2 (ja) 1992-11-27 1992-11-27 苛性ソーダの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3259024B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2020022357A1 (ja) * 2018-07-24 2020-01-30 株式会社クレアテラ 液体状の食品から塩類を除去する装置、方法、及び塩類が除去された液体状の食品
KR20200095953A (ko) * 2019-02-01 2020-08-11 한국화학연구원 질소산화물로부터 질산암모늄 제조를 위한 전기화학 반응기 및 제조방법

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2020022357A1 (ja) * 2018-07-24 2020-01-30 株式会社クレアテラ 液体状の食品から塩類を除去する装置、方法、及び塩類が除去された液体状の食品
WO2020021641A1 (ja) * 2018-07-24 2020-01-30 株式会社クレアテラ 液体状の食品から塩類を除去する装置、方法、及び塩類が除去された液体状の食品
JPWO2020022357A1 (ja) * 2018-07-24 2021-08-02 株式会社クレアテラ 液体状の食品から塩類を除去する装置、方法、及び塩類が除去された液体状の食品
KR20200095953A (ko) * 2019-02-01 2020-08-11 한국화학연구원 질소산화물로부터 질산암모늄 제조를 위한 전기화학 반응기 및 제조방법

Also Published As

Publication number Publication date
JP3259024B2 (ja) 2002-02-18

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US4806215A (en) Combined process for production of chlorine dioxide and sodium hydroxide
US5174868A (en) Chlorine dioxide generation from chloric acid
US5198080A (en) Electrochemical processing of aqueous solutions
TWI736732B (zh) 過硫酸銨的製造方法
AU606495B2 (en) Combined process for production of chlorine dioxide and sodium hydroxide
JPS5920483A (ja) 電解セル塩水からのクロレ−トの除去方法
US5419818A (en) Process for the production of alkali metal chlorate
EP0646095B1 (en) Process for producing chlorine dioxide
US5131989A (en) Process for producing perchloric acid and ammonium perchlorate
JP3259024B2 (ja) 苛性ソーダの製造方法
US4776930A (en) Process for the preparation of potassium nitrate
CA2084183C (en) Electrochemical processing of aqueous solutions
JP3198297B2 (ja) 苛性ソーダの製造方法
RU1836493C (ru) Способ получени диоксида хлора
US3726937A (en) Process for the recovery of iodine
US5284553A (en) Chlorine dioxide generation from chloric acid
US4643808A (en) Method for controlling chlorates
RU2091509C1 (ru) Способ получения гидроокиси щелочного металла
Hine et al. Combination of the amalgam cell and the membrane cell processes for chlor-alkali production
CH652755A5 (en) Process for the electrolysis of alkali metal chlorides at reduced pressure
JPS5831393B2 (ja) エンカアルカリヨウエキノ デンカイホウホウ
JPH06293513A (ja) 苛性ソーダの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
EXPY Cancellation because of completion of term