JPH0629232B2 - 有機ジイソシアネートの異性体を分離する方法 - Google Patents

有機ジイソシアネートの異性体を分離する方法

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JPH0629232B2 JP62081006A JP8100687A JPH0629232B2 JP H0629232 B2 JPH0629232 B2 JP H0629232B2 JP 62081006 A JP62081006 A JP 62081006A JP 8100687 A JP8100687 A JP 8100687A JP H0629232 B2 JPH0629232 B2 JP H0629232B2
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Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、イソシアネート異性体混合物から多種の異性
体比の異なるイソシアネート異性体混合物に分離する方
法に関する。
本発明は、また、イソシアネート異性体混合物中の、特
定の異性体を極めて高濃度で含むイソシアネートの精製
法に関する。
イソシアネート化合物においては、異性体の構造によ
り、その反応性や物理的性質が異なることがよく知られ
ている。また、異性体比の異なるイソシアネート組成物
により、ポリウレタンを製造する場合の加工特性やポリ
ウレタンの物性が変化することもよく知られている。
例えば、トリレンジイソシアネート(以下、TDIとい
う)の場合、主として、2,4-TDI及び2,6-TDIの2
種の異性体より成るが、前者は後者より初期の反応速度
が大きく、また、イソシアネート基末端プレポリマーの
原料として用いた場合は、そのプレポリマーのイソシア
ネート基の反応性が逆に小さいという特徴がある。この
ため、2,4-TDI異性体比率の高いイソシアネート組成
物は、軟質フォーム原料として用いた場合、配合液混合
後より発泡硬化するまでの時間が短かく、ウレタンフォ
ームの製造が能率的に行えるという特徴がある。また、
同様のイソシアネート組成物を用いて調製したイソシア
ネート基末端プレポリマーは、注型ウレタンエラストマ
ー製造時のポットライフが長く、注型作業がやり易いと
いう特徴がある。この場合、2,6-TDIを殆んど含まな
い純粋に近い2,4-TDI(純度98%以上)を用いる
と、ポットライフが非常に延長されるため、このような
イソシアネート組成物が特に好まれて用いられる。ま
た、2,4-TDI異性体比率の高いイソシアネート組成物
は、ポリオールとのアダクトポリイソシアネートや環状
トリマー化によって製造されるポリイソシアネートの原
料として用いた場合、分子量分布の狭まいポリイソシア
ネートが製造でき、同一イソシアネート含量で比較する
と粘性の低いポリイソシアネート溶液が調製でき塗料や
接着剤の硬化剤として応用する場合都合よく用いられ
る。
2,6-TDI異性体比率の高いイソシアネート組成物で
は、軟質ウレタンフォーム処方で、反応性の高いポリオ
ールを採用した場合に、発泡がマイルドに進行するため
製造が容易になるという利点がある。また、イソシアネ
ート末端プレポリマーの原料として用いると、硬化反応
の速いプレポリマーが得られるので、速硬化性が要求さ
れる場合、有利に用いられる。また、2,6-TDI異性体
比率の高いイソシアネート組成物を用いたポリウレタン
は、2,4-TDI異性体比率の高いイソシアネート組成物
を用いた組成物のそれより耐候性で優れており、屋外で
の耐久性を重視する塗料や接着剤等の原料として好まし
い。
また、ジフェニルメタンジイソシアネート(以下、MD
Iという)は、触媒、塩酸の存在下でアニリンとホルム
アルデヒドを縮合することにより得られるメチレン架橋
ポリフェニルポリアミン混合物をホスゲン化することに
より作られるメチレン架橋ポリフェニルポリイソシアネ
ート混合物から分別して得られるものであるが、4,4′
−MDI、2,4′−MDI、2,2′−MDIあるいは、こ
れらの混合物、または、これらとポリメタリックMDI
の混合物などがある。前記のメチレン架橋ポリフェニル
ポリイソシアネート混合物を蒸溜して、これから残渣の
ポリメリックMDIを残して5〜70重量%のジイソシ
アネートを得ることができるが、これらは、4,4′−M
DI、2,4′−MDIおよび2,2′−MDI等の混合物よ
りなる。
高純度に精製された4,4′−MDIは、弾性繊維及び熱
可塑性ポリウレタンエラストマー等の機械的性質の優れ
たポリウレタンの製造に特に有用である。15重量%ま
でが2,4′−MDIからなり、残りが主として4,4′−M
DIであるイソシアネート組成物は、マイクロセルラー
物質として靴底を含む多くの用途に利用できる。また、
2,4′−MDIを10〜55重量%含み、残りが主とし
て4,4′−MDIであるイソシアネート組成物は、表面
被覆加工及びクッション材としての軟質フォーム等への
使用に適している。
従来、イソシアネート異性体混合物を分別し、イソシア
ネート異性体比の異なるイソシアネート組成物を得るの
に冷却晶析法が広く用いられてきた。本法は、イソシア
ネート異性体混合物を冷却操作により異性体の一部を結
晶化し、母液を抜き出した後、結晶を徐々に加熱する発
汗作用により、不純物を除去して純度の向上をはかり、
最終的に残った固形分を加熱融解して、高純度のイソシ
アネート異性体を得るという方法である。この方法は、
冷却及び加熱融解に多量のエネルギーを必要とし、かつ
結晶化等に長時間を必要とするため分別時や貯蔵時にイ
ソシアネートの二量体からなる不所望な沈殿物発生のお
それがある等の欠点があった。また、本法を実施するに
は大規模な装置を必要とすることも欠点であった。
本発明者らは、従来の製造方法の欠点を排除すべく、鋭
意検討した結果、以下の発明に至った。
すなわち、本発明は、トリレンジイソシアネート又はジ
フェニルメタンジイソシアネートの異性体分離方法にお
いて、該異性体混合物を1000〜1800kg/cm2
加圧状態下で、該ジイソシアネートのより凝固し易い異
性体の結晶と、それ以外の異性体を含む母液とに分離
し、母液を除去した後、圧力を徐々に下げることによ
り、結晶中のより凝固し易い異性体以外の異性体を融解
し除去することにより、異性体比の異なる2種以上の異
性体混合物に分離させることを特徴とするトリレンジイ
ソシアネート又はジフェニルメタンジイソシアネートの
異性体分離方法である。
加圧状態下で晶出させる方法(以下、圧力晶析法とい
う)は、TDI、MDIの異性体分離に応用でき、工業
的に何ら問題なく実現できることを見出した。すなわ
ち、TDIに高い圧力を加えることにより、2,4-TDI
の結晶と、2,6-TDIを含む母液とに分離させてから、
母液を抜き出した後、結晶に加えられている圧力を徐々
に下げることにより一部の結晶を融解させると、結晶中
の2,6-TDIが部分的に融解され、残った結晶は融解し
た液で洗浄され高純度の2,4-TDIが得られる。
また、圧力晶析法をMDI異性体混合物に適用し、4,
4′−MDIの結晶と2,4′−MDIを含む母液とに分
け、これを固液分離により母液を抜き出した後、結晶に
加えられている圧力を徐々に下げることにより、一部結
晶を融解させると、結晶中の2,4′−MDI等の異性体
が部分的に融解され、残った結晶は融解した液で洗浄さ
れ、高純度の4,4′−MDIが得られる。
本発明の方法は、前述した冷却晶析法を適用した方法に
比べ、結晶化させるために必要なエネルギーが少なくて
済み、また、結晶化に必要な時間が大巾に短縮される。
従ってイソシアネートの二量化等による品質低下のおそ
れがなく、また、晶析条件を温度と圧力の両方から設定
できるため、結晶性イソシアネート異性体成分の得量や
母液の異性体比を容易に変化させ得ることなどの優れた
特徴があるためポリウレタン工業に有用な多種のイソシ
アネート組成物を提供できる。
本発明におけるイソシアネート異性体混合物としては、
例えば、トルエンをジニトロ化して得られるジニトロト
ルエンを出発原料として、還元アミノ化、ホスゲン化を
経由して得られるTDI粗製品及びその揮発性塔頂留
分、塩酸の存在下でアニリンとホルムアルデヒドを縮合
させて得られるメチレン架橋ポリフェニルポリアミン混
合物のホスゲン化を経由して得られるメチレン架橋ポリ
フェニルポリイソシアネート及びその揮発性塔頂留分な
どである。これらの中、TDI粗製品及びメチレン架橋
ポリフェニルポリイソシアネートの揮発性塔頂留分が晶
析分離を行う対象として、ポリウレタン工業で重要であ
るため、特に好ましく使用できるものである。
圧力晶析の実施態様を示す工程としては、まず、イソシ
アネート異性体混合物を必要に応じて予備冷却装置に仕
込み、大気圧での凝固点よりも5〜10℃高い所に±2℃
の精度で調温後、晶析筒とプランジャーとよりなる圧力
晶析装置内に注入する。次にプランジャーにより内溶液
を1000〜1800kg/cm2に加圧し、結晶を析出させ、分離
・圧搾して母液を晶析筒外に抜き出す。晶析筒内の結晶
固体は、降圧時の部分融解による精製工程を経由し、ま
たは、経由しないで除圧後、固体状態で製品タンクに送
られる(温度条件によっては、晶析筒内で融解させてス
ラリー状態で取出す)。本工程は、基本的にはバッチ操
作であるが、シークエンス制御等による切換システムに
より半連続操作も可能である。
上記工程等により、イソシアネート異性体比の異なるポ
リウレタン工業に有用である種々なイソシアネート組成
物を効率よく製造できる。
次に実施例によって本発明を更に具体的に説明する。但
し、本発明は、これらの実施例のみに限定されるもので
はない。なお、実施例中の「%」は、全て重量%を表わ
す。
実施例1. 2,4-TDI80%、2,6-TDI20%の異性体混合物を、晶
析筒とプランジャーとよりなる圧力晶析装置内に注入
し、30℃で1,800kg/cm2まで加圧して結晶化させ、この
状態で先ず母液を抜き出し、続いて徐々に600kg/cm2
で減圧して融解した母液を取り除き、2,4-TDI100%
の結晶を得た。
本2,4-TDIは、速乾性塗料用ポリイソシアヌレートポ
リイソシアネート製造に適していた。
母液は2,4-TDI65%、2,6-TDI35%よりなり、軟質
フォーム、塗料用アダクトタイプポリイソシアネートの
製造に適していた。
実施例2. 2,4-TDI80%、2,6-TDI20%の異性体混合物を、晶
析筒とプランジャーとよりなる圧力晶析装置内に注入
し、25℃で1,600kg/cm2まで加圧して結晶化させた後、
その状態で母液を抜き出し、続いて500kg/cm2まで減圧
し、融解した母液を取り除き、2,4-TDI99.0%の結晶
を得た。
本2,4-TDIは、速乾性塗料用ポリイソシアヌレートポ
リイソシアネート製造に適していた。
母液は2,4-TDI60%、2,6-TDI40%よりなり、軟質
フォーム、塗料用アダクトタイプポリイソシアネートの
製造に適していた。
実施例3. 2,4-TDI80%、2,6-TDI20%の異性体混合物を、晶
析筒とプランジャーとよりなる圧力晶析装置内に注入
し、25℃で1,300kg/cm2まで加圧して結晶化させた後、
この状態で母液を抜き出し、続いて500kg/cm2まで減圧
して融解した母液を取り除き、2,4-TDI98%の純粋結
晶を得た。
本2,4-TDIは、注型ウレタンエラストマー用イソシア
ネート基末端プレポリマーの製造に適していた。
母液は、2,4-TDI63%、2,6-TDI37%よりなり軟質
フォームの製造に適していた。
実施例4. 2,4-TDI80%、2,6-TDI20%の異性体混合物を、晶
析筒とプランジャーとよりなる圧力晶析装置内に注入
し、25℃で1,500kg/cm2まで加圧して結晶化させた後、
この状態で母液を分離し、続いて徐々に500kg/cm2まで
減圧して融解した母液を取り除き、2,4-TDI95%の結
晶を得た。
本2,4-TDIは、速乾性塗料用ポリイソシアヌレートポ
リイソシアネート製造に適していた。
母液は、2,4-TDI58%、2,6-TDI42%よりなり、軟
質フォーム、塗料用アダクトタイプポリイソシアネート
の製造に適していた。
実施例5. 4,4′−MDI90%、2,4′−MDI10%の異性体混合物
を、晶析筒とプランジャーとよりなる圧力晶析装置内に
注入し、40℃で1,500kg/cm2まで加圧して結晶化させた
後、この状態で母液を分離し、続いて徐々に400kg/cm2
に減圧して融解した母液を取り除き、4,4′−MDI99.
5%の結晶を得た。
本4,4′−MDIは、弾性繊維及び熱可塑性ポリウレタ
ンの原料として好ましいものであった。
母液は、4,4′−MDI67%、2,4′−MDI33%からな
り軟質フォームの製造に適していた。
実施例6. 4,4′−MDI90%、2,4′−MDI10%の異性体混合物
を、晶析筒とプランジャーとよりなる圧力晶析装置内に
注入し、45℃で1,000kg/cm2まで加圧して結晶化させた
後、この状態で母液を分離し、続いて徐々に350kg/cm2
まで減圧して融解した母液を取り除き、4,4′−MDI9
9.5%の結晶を得た。
本4,4′−MDIは、弾性繊維及び熱可塑性ポリウレタ
ンの原料として好ましいものであった。
母液は、4,4′−MDI60%、2,4′−MDI40%からな
り軟質フォームの製造に適していた。
実施例7. 4,4′−MDI80%、2,4′−MDI20%の異性体混合物
を、晶析筒とプランジャーとよりなる圧力晶析装置内に
注入し、45℃で1,500kg/cm2まで加圧し、結晶化させた
後、この状態で母液を分離し、続いて徐々に400kg/cm2
まで減圧して融解した母液を取り除き、4,4′−MDI9
9.8%の結晶を得た。
本4,4′−MDIは、弾性繊維及び熱可塑性ポリウレタ
ンの原料として好ましいものであった。
母液は、4,4′−MDI69.5%、2,4′−MDI30.5%か
らなり軟質フォームの製造に適していた。
実施例8. 4,4′−MDI80%、2,4′−MDI20%の異性体混合物
を、晶析筒とプランジャーとよりなる圧力晶析装置内に
注入し、45℃で1,400kg/cm2まで加圧し、結晶化させた
後、この状態で母液を分離し、続いて徐々に400kg/cm2
まで減圧して融解した母液を取り除き、4,4′−MDI9
9.7%の結晶を得た。
本4,4′−MDIは、弾性繊維及び熱可塑性ポリウレタ
ンの原料として好ましいものであった。
母液は、4,4′−MDI68%、2,4′−MDI32%からな
り軟質フォームの製造に適していた。
以上の例は、実験室規模(内容量20m)のテスト装置
での等温的操作であるが、実操業では断熱的に、4〜5
分/サイクルの速度で運転され供給原料に対して50〜60
%製品が得られることになる。
比較例1. 2,4-TDI80%、2,6-TDI20%の異性体混合物を晶析
槽に仕込み、30℃から8℃まで20分で冷却した。以後、
徐冷30分後に結晶が析出しはじめた。母液温度は10℃ま
で上昇し、以後この温度近傍に7時間保ち結晶の析出と
生長をさせた後、母液を3時間かけて抜き出した。後、
結晶を2時間かけて融解し晶析槽から抜き出し、純度9
4.0%の2,4-TDIを得た。母液は、2,4-TDI含有率
は47%であった。
比較例2. 4,4′−MDI80%、2,4′−MDI20%の異性体混合物
を晶析槽に仕込み、40℃から18℃まで5時間かけて冷却
し結晶を析出させた後、母液を抜き出した。次に晶析槽
内の結晶を38〜39℃に約5時間かけて昇温し、部分的に
融解させ(結晶の約30%を融解させる)、融解液は、先
の母液と合体させる。残留する結晶を50℃に2時間かけ
て溶融して抜き出し、純度98.6%の4,4′−MDIを得
た。母液は、4,4′−MDI55%、2,4′−MDI45%よ
りなるものであった。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】トリレンジイソシアネート又はジフェニル
    メタンジイソシアネートの異性体分離方法において、該
    異性体混合物を1000〜1800kg/cm2の加圧状態
    下で、該ジイソシアネートのより凝固し易い異性体の結
    晶と、それ以外の異性体を含む母液とに分離し、母液を
    除去した後、圧力を徐々に下げることにより、結晶中の
    より凝固し易い異性体以外の異性体を融解し除去するこ
    とにより、異性体比の異なる2種以上の異性体混合物に
    分離させることを特徴とするトリレンジイソシアネート
    又はジフェニルメタンジイソシアネートの異性体分離方
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