JPH0629122U - シート巻線変圧器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 支持材である絶縁リングと静電リング本体と
を一体形成した静電シールドの電界集中を緩和して、コ
ンパクトで絶縁強度の高いシート巻線変圧器を提供す
る。 【構成】 金属シートと絶縁シートを重ねて巻回し巻線
端部に静電シールドを配置したシート巻線変圧器におい
て、絶縁リング２の溝６に静電シールド本体３を埋め込
み前記静電シールド本体３と絶縁リング２の溝６との間
隙を導電性エラストマ４を充填し、さらに前記静電シー
ルド本体３と絶縁リング２を一体としてその外周を絶縁
テープ５で絶縁してなる静電シールド１を備えたシート
巻線変圧器。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、シート巻線変圧器の巻線端部電界緩和用の静電シールドの構造に関 するものである。

【０００２】

【従来の技術】

変圧器の巻線において、金属シートと絶縁シートを重ねて巻回したシート巻線 は巻線作業の自動化を図るための有望な巻線方式であるが、巻線端部の曲率が小 さいので、高電圧の巻線はその巻線端部に電界緩和用の静電シールドを配置する 必要がある。

【０００３】 従来のシート巻線変圧器は、図２に示すように鉄心脚１０の外周に絶縁筒１１ を介して低圧巻線１２が巻装され、さらにその外側に主絶縁１３を介して高圧巻 線１４が巻装されている。シート巻線は、金属シートとこの金属シートよりも幅 の広い絶縁シートとを重ね合せ、かつ前記金属シートの両側に配置された絶縁フ ィラーと前記金属シートで前記絶縁シートの幅に等しくなるようにして（図示し ない）巻回されている。高圧巻線１４は複数のシート巻線ブロック１５の間に冷 却ダクト１６を配置して巻装されている。

【０００４】 低圧巻線１２の上下はスペーサ１７により支持され、低圧巻線１２の外周の上 下端部には電界緩和用の静電シールド１８が配設されている。高圧巻線１４の上 下はスペーサ１９により支持され、高圧巻線１４の内周と外周の上下端部には電 界緩和用の静電シールド２０および２１が配設され、それぞれ支持材２２，２３ により支持されている。さらに巻線全体はスペーサ２４により支持されている。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、このような従来のシート巻線変圧器では、静電シールドの固定 に支持材を用いているが、静電シールドと支持材である絶縁リングとの間に三角 形状のδ間隙が生じるとその部分に電界が集中するため絶縁上の弱点となる。そ のため三角形状のδ間隙が生じないようにするには支持材の厚さを薄くする必要 があるため、静電シールドの支持構造自体が不安定になる。それを改善するため に静電シールドと支持材を一体化する方式が考えられている。

【０００６】 そのような一体化構造の従来のポルスターイソラチオン方式の構造を図３に示 す。図３において、静電シールド本体２５と支持材を兼ねた絶縁リング２６を重 ね合わせ、絶縁リング２６の巻線側に静電シールド本体２５が配置され、前記静 電シールド本体２５の絶縁リング２６側の端部は所要の曲率に形成されている。 そして前記絶縁リング２６と静電シールド本体２５との接合部の間隙を無くすた め絶縁物製の詰め物２７で埋め、この両者の全体に絶縁テープ２８を巻き付けて 絶縁している。しかし詰め物ではこの間隙を完全につぶすことはできないため、 大きな絶縁強度アップは期待できない。特にガス絶縁ではギャップ長効果（ギャ ップ長が短くなると絶縁強度が向上する）が少ないため、ポルスターイソラチオ ン方式による絶縁強度アップは殆どない。

【０００７】 本考案は以上のような点に鑑みてなされたもので、支持材である絶縁リングと 静電シールド本体との間隙を導電性エラストマ（常温付近で顕著な弾性を示す高 分子物質）により完全に充填し静電シールドへの電界集中を緩和してコンパクト で絶縁強度の高いシート巻線変圧器を提供することを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】

本考案のシート巻線変圧器においては、絶縁リングの溝に静電シールド本体を 埋め込みかつ前記静電シールド本体と絶縁リングの溝との間隙を導電性エラスト マで充填し、前記静電シールド本体と絶縁リングを一体とし、適宜その外周に絶 縁テーピングをして静電シールドとすることを特徴としている。

【０００９】

【作用】

本考案のシート巻線変圧器は、上述のごとく構成されているため、静電シール ドへの電界集中が緩和され絶縁強度が強化されるので、コンパクトで絶縁信頼性 の高いシート巻線変圧器となる。

【００１０】

【実施例】

以下、本考案の実施例を図１（Ａ）および（Ｂ）により説明する。

【００１１】 なお、この図１（Ａ）において、図２に示す従来例に対応する部分には同一の 符号を付すことにより、その詳細な説明を省略する。

【００１２】 図１（Ａ）において、高圧巻線１４の内外周の上下端部には（Ｂ）に示す本考 案の静電シールド１が配設され、この部分の電界集中を緩和している。

【００１３】 本考案における静電シールド１は、図１（Ｂ）に示すように絶縁リング２の巻 線側に静電シールド本体３が配置され、前記静電シールド本体３の絶縁リング２ 側の端部は所要の曲率に形成されている。そして前記絶縁リング２の溝６に静電 シールド本体３を嵌め込み、絶縁リング２と静電シールド本体３との間隙は導電 性エラストマ４が充填され、全体は絶縁テープ５によりテーピングして一体に形 成されている。

【００１４】

【考案の効果】

以上述べたように、本考案のシート巻線変圧器では、 （１）静電シールドを安定した構造で支持できる。

【００１５】 （２）ポルスターイソラチオン方式による電界緩和効果により絶縁強度の向上が 図れる。

【００１６】 （３）シート巻線を高電圧の巻線に適用できる。

【００１７】 （４）コンパクトで信頼性の高いシート巻線ができる。

【００１８】 などの優れた効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１Ａ】本考案のシート巻線変圧器の実施例を示す断
面図。

【図１Ｂ】本考案の静電シールドの実施例を示す断面
図。

【図２】従来のシート巻線変圧器の要部断面図。

【図３】従来の静電シールドの縦断面図。

【符号の説明】

１…静電シールド ２…絶縁リング ３…静電シールド本体 ４…導電性エラストマ ５…絶縁テープ ６…溝

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 金属シートと絶縁シートを重ねて巻回し
   て巻線を形成し、該巻線端部に静電シールドを配置して
   なるシート巻線変圧器において、前記シールドは、絶縁
   リングの溝に静電シールド本体を埋め込みこの静電シー
   ルド本体と絶縁リングの溝との間隙を導電性エラストマ
   を充填して一体的に形成したことを特徴とするシート巻
   線変圧器。