JPH0629021B2 - 管内流体中の移動装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上に利用分野〕 この発明は管内流体中の移動装置に関し、外部動力を使
わずに流体中を該流体の流れに沿って或いは逆らって移
動する際に該装置が受ける抵抗にも拘らず安定的に走行
できる構成を提供せんとするものである。

〔従来の技術及びその課題〕 管内の気体や液体等の流体中を何らかの物体を移動させ
る場合、その推進力をどこから得るかという問題と、流
体の流れに逆らって管内走行を行なう場合、その抵抗か
ら管内壁に接する駆動輪がスリップしてしまい、走行不
可能になるという問題もあった。

本発明は従来技術の以上の様な問題に鑑み創案されたも
ので、流体の流れに逆らって管内走行する場合にスリッ
プ等せずに安定して走行できる移動装置を提供せんとす
るものである。

〔課題を解決するための手段〕

そのため本発明の移動装置は、管内流体の流れを受けて
回転するプロペラと、管内面を走行する走行用車輪と、
該車輪の車輪軸と前記プロペラの回転軸とを連動させ
て、プロペラの回転を車輪の駆動力として伝達する駆動
力伝達機構と、該車輪を管内面に対し所定の圧力で弾性
押圧せしめる弾性体支持装置とを備えたことを基本的特
徴としている。

〔作用〕

上記構成では、まず管内流体の流れを変換して走行用の
駆動力を得て管内走行が行なわれることになり、従って
外部から推進力を加える必要は全くない。しかし、管内
における流体の流れに逆らって走行する場合、その流れ
を推進力に利用できるからといって常に安定して前進で
きるわけではない。即ち、管内流体の流速が速い場合、
それだけ大きい推進力も得られることになるが、管内面
に駆動輪等の車輪がしっかり接地されていなければその
流速に負けて車輪がスリップしてしまい、走行すること
は不可能である。そこで本発明では上記弾性体支持装置
を備えることによって車輪が管内面に対し所定の圧力で
弾性押圧せしめられるようにしておき、上記のような条
件の中でも安定して走行ができるようにした。

更に、構造的な要求から管径が変化する場合や管内面に
付着物が堆積し、その内面に凹凸が生じた場合、上記の
様な弾性体支持装置を備えていれば、管内走行が阻止さ
れたり、走行中に強い衝撃が加わったりすることも防止
されることになる。

〔実施例〕

以下添付図面に基づいて本発明の実施例を説明する。

第１図は海水取水管内を走行し、その内面に貝付着等を
阻止する本発明の実施例に係る移動装置の構成が示され
ている。

火力発電所等では、ボイラーで蒸気化したものを水に戻
す復水器が設けられている。この復水器は効率をあげる
ために、通常冷却水で冷却されるが、この冷却水には海
水を利用するのが一般的である。この海水を採取する取
水管は貝等が付着し、その内径が小さくなり設計通りの
冷却能力が得られなくなるという問題が生じている。こ
の貝付着を防止するためには、従来より種々の方法や装
置の開発が試みられているが、本発明者らは、取水管の
管壁流速が所定以上となると貝付着が生じないという知
見に基づいて本発明装置構成を貝付着防止用に適用した
ものである。

第１図はその正面図、第２図は側面図である。プロペラ
(1)は取水管(B)より若干小径となっており管(B)と同心
に接地され、その回転により管壁流速を増大させると共
に乱流を起こして貝付着を防止するようになっている。
プロペラ(1)は走行体(5)に軸(15)を介して回転可能に支
持されている。走行体(5)は正面図において若干末広が
りのＨ字状を成しており、その中央にケーシング(50)(5
0)を有し、ここでプロペラ(1)を挾み、軸支する構成と
なっている。Ｈ字状の４端部には夫々走行用車輪(51a)
(51b)(51c)(51d)が装着され、これら車輪(51)は管(B)内
壁に回転可能に接触している。そのうち車輪(51a)(51b)
はＨ字状の走行体(5)の先端側に、バネ(52)により構成
される伸縮自在の弾性体支持装置を介して装着され、従
って全ての車輪(51)はこのバネ(52)により管(B)内壁に
押圧されるようになっている。

プロペラ(1)の回転軸は一方のケーシング(50)から突出
し、その先端にウォームギヤ(60)が設けられている。ウ
ォームギヤ(60)には歯車(61)が噛合し、該歯車(61)と同
軸にプーリ(62)が装着されている。前記車輪(51d)にも
プーリ(63)が設けられており、ベルト(64)によりプーリ
(62)と連結している。これら各部材(60)〜(64)により、
プロペラ(1)の回転を走行体(5)の駆動力として伝達する
駆動力伝達機構を構成し、プロペラ(1)の回転により車
輪(51d)を回動させ走行体(5)を走行させるようになって
いる。

なお、プロペラ(1)の回転の反作用により走行体(5)が回
転する懸念があれば、管(B)にレール(C)を設けて、この
回転を止めれば良い。またレール(C)に代えて溝等を形
成しても良いし、或は走行体(5)の形状を変え、車輪の
数量を増して回転を止めるようにしても良い。

以上の構成において、取水管(B)内を流れる海水により
プロペラ(1)が回転し、この回転力により車輪(51d)が回
転し走行体(5)が管(B)内を走行する。そしてプロペラ
(1)の回転により同時に管壁流速を増大し、かつ乱流を
起こすから管(B)内壁の貝付着が防止される。

そして、管(B)内の海水の流れに逆らって走行する場合
でも前記バネ(52)の弾性体支持装置で全車輪(51)が管内
面にしっかり接地されるため、スリップせずに安定した
走行が可能となる。又この管(B)内壁に貝が付着してい
て凹凸部分が生じていても、該バネ(52)が伸縮すること
でこの凹凸を吸収することになり、走行に何らの支障も
生じない。

なお、プロペラ(1)の角度やウォームギヤ(60)の螺旋方
向等は走行体(5)の移動方向（上流方向か下流方向か）
に応じて決めれば良い。また駆動力伝達機構に適当な方
向切換装置を設け、ストライカ等により適宜走行方向を
切換えるようにしても良い。

〔発明の効果〕

以上説明したように本発明によれば、管内の流体の流れ
を利用して走行でき、且つその流れに逆らって走行する
場合でも弾性体支持装置により車輪が管内面に確実に接
地されることになるため、安定した走行が可能となる。
又この弾性体支持装置の働きにより、管径の変化や管内
面の凹凸を吸収しながら走行できることになり、走行が
できなくなったり、走行中に余計な衝撃が加わることも
ない。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例構成を示す正面図、第２図は
その側面図である。 (1)……プロペラ、(2)……走行体

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐藤 卓雄 東京都台東区谷中２−３―16 (72)発明者 浅野 庄治 神奈川県厚木市栄町２−７―17―202 (56)参考文献 実開 昭49−64906（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭51−135399（ＪＰ，Ｕ)

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】管内流体の流れを受けて回転するプロペラ
   と、管内面を走行する走行用車輪と、該車輪の車輪軸と
   前記プロペラの回転軸とを連動させ、プロペラの回転を
   車輪の駆動力として伝達する駆動力伝達機構と、該車輪
   を管内面に対し所定の圧力で弾性押圧せしめる弾性体支
   持装置とを備えたことを特徴とする管内流体中の移動装
   置。