JPH06287942A - 締固め杭用のガイドパイプの設置方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】場所打ちコンクリート杭等の構築において、締
固め杭を掘削孔の孔底地盤中へ貫入するガイドパイプの
設置方法を提供する。 【構成】 位置決め治具４はガイドパイプ１を締固め杭
の施工予定位置に位置決めする複数の囲い５を形成した
枠体であり、複数の前記位置決め治具４は各々前記囲い
５を平面的に同一の配置として鉄筋篭２内の上下方向に
配置する。前記鉄筋篭２は長手方向にジョイントして掘
削孔３内に設置する。ガイドパイプ１は１本づつ長手方
向にジョイントして前記位置決め治具４の所定の囲い５
の中に通しつつ前記掘削孔３内へ挿入し、締固め杭の施
工予定位置に設置する。 【効果】 ガイドパイプ１はバラバラの単体で現場へ搬
入し、鉄筋篭２内の位置決め治具４で所定配置に拘束し
て位置決めと設置作業を行なうから、締固め杭を貫入す
るガイドパイプ１は低コストで効率よく設置することが
できる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、場所打ちコンクリー
ト杭や連続地中壁又は既成コンクリート杭を使用した埋
め込み杭等（以下、場所打ちコンクリート杭等とい
う。）の構築において、その先端支持力を増強する締固
め杭を掘削孔の孔底地盤中へ貫入することに使用するガ
イドパイプを設置する方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】建築物の高層化及び大規模化の現状下に
おいて、基礎杭として場所打ちコンクリート杭を用いる
場合の杭先端地盤の支持力の強化方法として、特公平４
ー５８８４７号公報に記載された高耐力場所打ちコンク
リート杭の施工法が公知である。この施工法は打設コン
クリートが強度を発現した後に先端地盤中に締固め杭を
貫入することを要旨とするものであり、締固め杭を地上
から孔底まで案内するためにガイドパイプを設置してい
る。

【０００３】従来のガイドパイプの設置方法は、図８に
例示したように、締固め杭と同数のガイドパイプ１を置
台１１の上に横架させ、各ガイドパイプは所定の間隔の
配置となるように結合プレート（フラットバー）１２で
相互に溶接し、かくして一体化されたガイドパイプ１の
ユニットは、図９のごとく図示を省略したクレーンで吊
り下げ、予め鉄筋篭２が設置された掘削孔３の中に挿入
し設置する手順となっている。

【０００４】

【本発明が解決しようとする課題】ガイドパイプとして
は、本来掘削孔内へ建て込む際に自重で破損せず、コン
クリート打設時のコンクリートの側圧に耐えて変形しな
い程度の強度を有しておれば条件的には十分満たされ
る。しかし、従来のようにガイドパイプを置台の上で相
互に結合しユニットに組立てる作業を行うには、置台の
上に横架させた際に自重で撓まない強度を前提として材
質及び管厚を選択することになり、本来必要な条件より
も過剰な品質・強度となっている。また、予めガイドパ
イプを地組みするには溶接に関する高度な設備と技術が
必要であり、現場で組み立てるには難しく、工場製作と
なりコストが嵩む。更に、数本のガイドパイプを一つに
まとめたユニットは大きく且つ大重量であり、運搬等す
るには多大の費用を必要とする。このように、従来のガ
イドパイプ設置方法はトータルコストが高くなるという
問題がある。

【０００５】従って、本発明の主たる目的は、高耐力場
所打ちコンクリート杭を施工するにあたり、締固め杭を
貫入するためのガイドパイプを低コストで効率よく設置
する方法を提供することである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めの手段として、本発明に係る締固め杭用のガイドパイ
プの設置方法は、場所打ちコンクリート杭における掘削
孔３の先端地盤中へ貫入される締固め杭を地上から孔底
まで案内するガイドパイプ１を設置する方法において、
位置決め治具４は所要数のガイドパイプ１を締固め杭の
施工予定位置に位置決めする複数の囲い５を鉄筋等によ
り平面的に形成した枠体であり、複数の前記位置決め治
具４は各々前記囲い５を平面的に同一の配置として鉄筋
篭２内の上下方向に配置する。

【０００７】前記鉄筋篭２は長手方向にジョイントして
掘削孔３内に設置する。ガイドパイプ１は１本づつ長手
方向にジョイントして、前記位置決め治具４の所定の囲
い５の中に通しつつ前記掘削孔３内へ挿入し、締固め杭
の施工予定位置に設置することをそれぞれ特徴とする。
本発明はまた、入口ガイド８は所要数のガイドパイプ１
を締固め杭の施工予定位置に位置決めする囲い９を平面
的に形成した枠体とし、該入口ガイドはスタンドパイプ
７の上端に前記囲い９が鉄筋篭２の位置決め治具４にお
ける囲い５と平面的に同一の配置で設置し、ガイドパイ
プ１は入口ガイド８の前記囲い９を通じて鉄筋篭２内の
位置決め治具４の所定の囲い５の中へ挿入することも特
徴とする。

【０００８】

【作用】鉄筋篭２内に位置決め治具４を設置し、前記鉄
筋篭２をジョイントしつつ掘削孔３内へ設置すると共
に、鉄筋篭２が設置された掘削孔３のスタンドパイプ７
の上に入口ガイド８を載置するので、ガイドパイプ１の
挿入ガイドは入口から掘削孔の深部まで上下方向に一連
に用意できる。現場へ搬入されたバラのガイドパイプ１
は、まず入口ガイド８の囲い９の中へ挿入し、そのまま
垂直（鉛直）に降下（挿入）させることにより、必然的
に鉄筋篭２内の位置決め治具４の所定の囲い５の中へ確
実に通すことができる。ガイドパイプ１は順次ジョイン
トして所定の深さまで挿入し設置する。入口ガイド８及
び各位置決め治具４の他の囲い５，９の中へも同様なガ
イドパイプ１を１本ずつ挿入し設置する。ガイドパイプ
１は囲い５，９に拘束されて所定の配置に位置決めさ
れ、最終的には地上で地組したのと同様に位置が固定さ
れる。

【０００９】

【実施例】以下に、本発明の実施例を図面に基づいて説
明する。まず、図１は締固め杭を貫入するための３本の
ガイドパイプ１を予定位置に固定する位置決め治具４を
内部に設置した鉄筋篭２の平面図である。図２Ａに示し
たように、鉄筋篭２は主筋１６と帯筋１７とにより掘削
孔３内に納まる円筒形状に製作される。他方、図２Ｂに
示したように位置決め治具４は帯鋼板若しくは鉄筋など
により平面形状を４個の正三角形の囲い５が集合した枠
体として形成されている。位置決め治具４の前記囲い５
は、例えば図７Ａのように軽量形鋼材の溶接組立てによ
り形成される。例えば３本のガイドパイプ１を掘削孔３
の締固め杭の貫入予定位置に設置できるように、略正三
角形に形成された外枠の面内の３つの頂点部分に小さい
正三角形状の囲い５を各々形成し、中心部分にはトレミ
ー管６の挿入用に三角形状の囲い５′が形成されてい
る。前記の位置決め治具４は前記鉄筋篭２の内径に等し
い円形のフープ筋１３に溶接又は結束され、その後主筋
１６及び帯筋１７が前記フープ筋１３の外周に組立てら
れて図１に示した鉄筋篭２が完成する。前記位置決め治
具４の取付け位置（高さ方向のピッチ及び数）は、図３
に示したように鉄筋篭２の長手方向に数ｍおきに一個ず
つ、各々は平面的に囲い５の配置を同一にして設置され
ている。

【００１０】なお、上記の位置決め治具４は、３本のガ
イドパイプ１を設置する場合のものを示しているが、４
本のガイドパイプ用として図６Ａに示した十字形状の位
置決め治具４が製作され、１本用としては図６Ｂの一文
字形状の位置決め治具４が製作され、６本用としては図
６Ｃの六差路形状の位置決め治具４が製作され、各々鉄
筋篭２の中に取り付けて使用される。要するに締固め杭
の貫入数及び配置に対応して位置決め治具４の平面形状
が任意に形成される。

【００１１】次に、施工の手順を説明する。図３に示し
たように、位置決め治具４を取り付けられた鉄筋篭２
は、まず一段目の鉄筋篭ユニット２ａを掘削孔３内へ挿
入して仮置きし、つづいて２段目の鉄筋篭ユニット２ｂ
を前記一段目の鉄筋篭ユニット２ａの直上にジョイント
して挿入と設置の作業を進める。その際、上下の鉄筋篭
ユニット２ａ，２ｂ内の位置決め治具４は、ガイドパイ
プ１を真直ぐに通せるように各々の対応する囲い５が平
面的に同一の配置とされている。図示は省略するが、鉄
筋篭２は３段目，４段目と順次ジョイントを繰り返して
所要の長さとして掘削孔３内に設置する。なお、図３中
の記号７は掘削孔３の上端のスタンドパイプである。

【００１２】鉄筋篭２の設置後に、図４に示したよう
に、スタンドパイプ７の上端に入口ガイド８を載置し、
その後にガイドパイプ１を１本づつ挿入する。挿入する
ガイドパイプ１は、まず入口ガイド８によって位置決め
治具４の所定の囲い５へと的確に誘導される。そのため
入口ガイド８は、図７Ａに示したように、Ｃ形鋼材等に
よって平面形状を位置決め治具４と略同一形状の囲い９
が集合した枠体として形成され、前記の囲い９は位置決
め治具４の対応する囲い５と平面的に同一の配置として
設置される。本実施例では入口ガイド８も３つの正三角
形状の囲い９を設けて形成し、ガイドパイプ１を入口ガ
イド８の各囲い９に通すと、下方の各位置決め治具４の
対応する囲い５に的確に通せる。入口ガイド８は、図７
Ｂに示したように、スタンドパイプ７の上端にはめるヨ
ーク型の取付ボルト１４と締付けボルト１５とによって
スタンドパイプ７の上端に取り付け固定される。１段目
のガイドパイプ１ａは挿入後その上端を入口ガイド８の
位置に仮固定し、図４Ａに示したように、２段目のガイ
ドパイプ１ｂを吊り下げて前記１段目のガイドパイプ１
ａとボルト継手等によってジョイントされる。３段目以
降も順次同様な手順でジョイントを繰り返して挿入作業
を行ない、図４ＡのＣーＣ断面を示した図４Ｂのよう
に、３本の内の１本のガイドパイプの設置が完了する。
他の２本のガイドパイプについても、同様にジョイント
しつつ挿入すれば、図５Ａ，Ｂに示したように、鉄筋篭
２内にガイドパイプ１を容易に設置できる。ガイドパイ
プ１は１本づつ挿入し、その場でジョイントするのでコ
ストの安価な生材に近い材料を選択でき、且つ予め工場
で地組する必要もない。

【００１３】上述した実施例では、スタンドパイプ７の
上に入口ガイド８を載置したが、この入口ガイド８を省
略して実施することもできる。

【００１４】

【本発明が奏する効果】本発明に係るガイドパイプの設
置方法によれば、ガイドパイプ１をそれぞれバラバラの
単体で現場へ搬入し、鉄筋篭２内の位置決め治具４で所
定配置に拘束して位置決めと設置作業を行なうから、締
固め杭を貫入するためのガイドパイプ１を低コストで効
率よく設置することができる。即ち、管厚も薄く生材に
近いパイプをガイドパイプに採用でき、パイプの運搬及
び設置作業は効率良く、低費用となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】位置決め治具を設置した状態の鉄筋篭を示した
平面図である。

【図２】Ａ及びｂは鉄筋篭及び位置決め治具を分離して
示した平面図である。

【図３】上下の鉄筋篭をジョイントして挿入する状態を
示した断面図である。

【図４】Ａは上下のガイドパイプをジョイントして挿入
する状態を示した立面図であり、Ｂは鉄筋篭のＣ−Ｃ断
面図である。

【図５】Ａは３本のガイドパイプを設置した状態を示し
た断面図であり、Ｂは同状態の鉄筋篭の横断面図であ
る。

【図６】Ａ〜Ｃは異なるガイドパイプの数及び配置を示
した位置決め治具及び鉄筋篭の平面図である。

【図７】Ａは入口ガイドを示した斜視図であり、Ｂはス
タンドパイプへ入口ガイドを取付けた状態を示した部分
拡大図である。

【図８】従来のガイドパイプの地組作業の状態を示した
正面図である。

【図９】従来の方法でガイドパイプを掘削孔へ設置する
状態を示した断面図である。

【符号の説明】

１ ガイドパイプ ２ 鉄筋篭 ４ 位置決め治具 ５ 囲い ８ 入口ガイド ９ 囲い

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山下 清 東京都江東区南砂二丁目５番14号 株式会 社竹中工務店技術研究所内 (72)発明者 長曽我部 誠 東京都江東区南砂二丁目５番14号 株式会 社竹中工務店技術研究所内 (72)発明者 土屋 富男 東京都江東区南砂二丁目５番14号 株式会 社竹中工務店技術研究所内 (72)発明者 山田 毅 東京都江東区南砂二丁目５番14号 株式会 社竹中工務店技術研究所内 (72)発明者 佐藤 文雄 東京都江東区南砂二丁目５番14号 株式会 社竹中工務店技術研究所内 (72)発明者 福原 拓平 東京都中央区銀座八丁目21番１号 株式会 社竹中土木内

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】場所打ちコンクリート杭における掘削孔の
   先端地盤中へ貫入される締固め杭を地上から孔底まで案
   内するガイドパイプを設置する方法において、 位置決め治具は所要数のガイドパイプを締固め杭の施工
   予定位置に位置決めする複数の囲いを平面的に形成した
   枠体とし、複数の前記位置決め治具は各々の前記囲いを
   平面的に同一の配置として鉄筋篭内の上下方向に配置す
   る工程と、前記鉄筋篭は長手方向にジョイントして掘削
   孔内に設置する工程と、ガイドパイプは１本づつ長手方
   向にジョイントして、前記位置決め治具の所定の囲いの
   中に通しつつ前記掘削孔内へ挿入し、締固め杭の施工予
   定位置に設置する工程と、から成ることをそれぞれ特徴
   とする、締固め杭用のガイドパイプの設置方法。
2. 【請求項２】入口ガイドは所要数のガイドパイプを締固
   め杭の施工予定位置に位置決めする囲いを平面的に形成
   した枠体とし、該入口ガイドはスタンドパイプの上端に
   前記囲いが鉄筋篭の位置決め治具における囲いと平面的
   に同一の配置で設置し、ガイドパイプは入口ガイドの前
   記囲いを通じて鉄筋篭内の位置決め治具の所定の囲いの
   中へ挿入することを特徴とする、請求項１に記載した締
   固め杭用のガイドパイプの設置方法。