JPH06284700A - サイリスタ点弧回路 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 主サイリスタのアノード極に急峻なサージ電
圧が印加されてもサイリスタを誤点弧するおそれがな
く、またカソード極に急峻なサージ電圧が印加されても
電圧抑制回路の半導体素子等が破壊されることのないサ
イリスタ点弧回路を提供すること。 【構成】 主サイリスタ(SCR) のアノード極より点弧用
電源を得て点弧エネルギーを蓄積する点弧用コンデンサ
(C2)と、その電圧を常に一定値以下に抑制する電圧抑制
回路と、点弧指令光信号を受けて導通するフォトトラン
ジスタ(PTR) とを含むサイリスタ点弧回路の電圧抑制回
路と並列に、サージアブソーバ(SA1) を接続する。また
接地線を(K) と(K1)に分離し、その間にサージアブソー
バ(SA2) を接続する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、幅広い力率の負荷に対
応する交流スイッチ制御に適したサイリスタ点弧回路に
関するものである。

【０００２】

【従来の技術】高電圧系統にサイリスタを利用した装置
においては、サイリスタ両端の電圧を利用して点弧エネ
ルギーを得たうえ、光パルスによりこの点弧エネルギー
をサイリスタのゲートに供給してサイリスタを点弧する
サイリスタ点弧回路が用いられている。この回路は図２
に示すもので、点弧エネルギーを蓄積する点弧用コンデ
ンサ(C2)、点弧用コンデンサ(C2)の電圧を常に一定値以
下に抑制する電圧抑制回路、点弧指令光信号を受けて導
通するフォトトランジスタ(PTR) を備え、主サイリスタ
(SCR) のアノード極に順方向の電圧が加わると、スナバ
用抵抗(R1)、スナバ用と兼用した分圧コンデンサ(C1)、
ダイオード(D2)を通じて点弧用コンデンサ(C2)に点弧エ
ネルギーが蓄えられる。

【０００３】そしてフォトトランジスタ(PTR) が点弧指
令光信号を受けると、フォトトランジスタ(PTR) とダー
リントン接続されたトランジスタ(TR1) のベースにフォ
トトランジスタ(PTR) を通じて電流が流れ、トランジス
タ(TR1) は0N状態となり点弧用コンデンサ(C2)に蓄えら
れていたエネルギーが主サイリスタ(SCR) のゲートに供
給されて主サイリスタ(SCR) を点弧させるものである。

【０００４】ところが、この回路では起動時の開閉サー
ジあるいはその他の現象によって主サイリスタ(SCR) の
アノード極にサージ電圧が印加されて点弧用コンデンサ
(C2)に急峻な電圧が加わると、点弧指令光信号が発せら
れていないにもかかわらず、フォトトランジスタ(PTR)
の接合容量により導通状態となり電流がトランジスタ(T
R1) のベースに流れ、トランジスタ(TR1) はONとなり、
主サイリスタ(SCR) のゲートにエネルギーが供給されて
主サイリスタ(SCR) が誤点弧するおそれがあるという問
題があった。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】本発明は上記した従来
の問題点を解決し、主サイリスタのアノード極にサージ
電圧が印加されてもフォトトランジスタが導通すること
がなく、点弧指令光信号が与えられたときにのみ主サイ
リスタを点弧することができるサイリスタ点弧回路を提
供するためになされたものである。また本発明の他の目
的は、主サイリスタのカソード極にサージ電圧が印加さ
れても電圧抑制回路が破壊されるおそれのないサイリス
タ点弧回路を提供することである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めになされた本発明は、主サイリスタのアノード極より
点弧用電源を得て点弧エネルギーを蓄積する点弧用コン
デンサと、点弧用コンデンサの電圧を常に一定以下に抑
制する電圧抑制回路と、主サイリスタのゲート極とカソ
ード極間に直付けした電圧吸収用コンデンサと、電圧抑
制回路と並列に接続したサージアブソーバと、点弧指令
光信号を受けて導通することによって点弧用コンデンサ
に蓄積された点弧エネルギーを主サイリスタのゲートに
供給するフォトトランジスタとを備え、接地線を主サイ
リスタと電圧抑制回路との間の接地線と電圧抑制回路と
サージアブソーバとの間の接地線とに分離し、これらの
間にサージアブソーバを接続したことを特徴とするもの
である。

【０００７】

【実施例】以下に本発明を図１の実施例の回路図に基づ
いて詳細に説明する。図１に示す回路において、主サイ
リスタ(SCR) のアノード極とカソード極との間には、ス
ナバ用抵抗(R1)と分圧コンデンサ(C1)とゲート回路とを
直列に接続した回路が並列に接続されている。ゲート回
路内の電圧抑制回路にはシリコン等よりなるサージアブ
ソーバ(SA1) が並列に接続されている。

【０００８】主サイリスタ(SCR) に順方向の電圧が加わ
ると、電流はスナバ用抵抗(R1)、分圧コンデンサ(C1)、
抵抗(R7)、ダイオード(D2)を通じて点弧用コンデンサ(C
2)に充電される。実施例の回路においては、抵抗(R7)と
点弧用コンデンサ(C2)は積分回路を構成しているので、
サージアブソーバ(SA1) の両端に表れる電圧波形よりゆ
るやかな立ち上がりの電圧が点弧用コンデンサ(C2)の両
端に加えられるようになっている。

【０００９】点弧用コンデンサ(C2)の両端の電圧は抵抗
(R3)、抵抗(R2)により分圧され、抵抗(R2)の電圧が半導
体素子(IC)の２番ピンに印加されている。半導体素子(I
C)の２番ピンの電圧があるしきい値を越えると半導体素
子(IC)の５番ピンはＨigh 状態となりトランジスタ(TR
2) をONとするから、電流は主サイリスタ(SCR) のカソ
ード側に流されて点弧用コンデンサ(C2)に一定値以上の
電圧がかかることはない。半導体素子(IC)の２番ピンの
電圧がしきい値以下になると半導体素子(IC)の５番ピン
がＬow状態になりトランジスタ(TR2) をOFF とすること
となり、点弧用コンデンサ(C2)には常に一定の電圧が印
加されることとなる。なお、ここで使用されているサー
ジアブソーバ(SA1) は許容入力エネルギーがそれほど大
きくないため、商用周波の電圧がサージアブソーバ(SA
1) にかかり長時間電流が流れるような場合には破壊さ
れるおそれがある。このため、サージアブソーバ(SA1)
のしきい値電圧よりも抵抗(R2)、(R3)にかかる電圧すな
わち点弧用コンデンサ(C2)の充電電圧を低く設定してお
き、商用周波の電圧はトランジスタ(TR2) を介して接地
線に流すようにする。この結果サージアブソーバ(SA1)
を破壊、劣化から防ぐことができる。

【００１０】このようにして点弧用コンデンサ(C2)が充
電された状態においてフォトトランジスタ(PTR) に点弧
指令光信号が入力されると、フォトトランジスタ(PTR)
はトランジスタ(TR1) のゲートに電流を流し、トランジ
スタ(TR1) をONとするから点弧用コンデンサ(C2)に蓄積
されたエネルギーはトランジスタ(TR1) を通じて主サイ
リスタ(SCR) のゲートに供給されて主サイリスタ(SCR)
を点弧とする。

【００１１】また、サイリスタ点弧回路の起動時の開閉
サージあるいはその他の現象によって主サイリスタ(SC
R) のアノード極にサージ電圧が印加されると、サージ
アブソーバ(SA1) に高電圧が印加されるが、サージアブ
ソーバ(SA1) は非線形抵抗素子よりなるからサージアブ
ソーバ(SA1) の両端の電圧は一定値に抑えられて急峻な
高電圧が点弧用コンデンサ(C2)に加えられることがな
く、急峻な電圧によってフォトトランジスタ(PTR) が接
合容量により導通されてトランジスタ(TR1) をONとする
ことがない。このためフォトトランジスタ(PTR) への点
弧指令光信号によってのみ点弧用コンデンサ(C2)のエネ
ルギーが主サイリスタ(SCR) のゲートへ供給され主サイ
リスタ(SCR) を点弧することとなって、主サイリスタが
誤点弧することがない。

【００１２】また本発明では、主サイリスタ(SCR) のゲ
ートとカソード極間にリード線を介することなく電圧吸
収用のコンデンサ(C3)を直付けしてある。これは急峻な
電流が侵入した際、図示の撚り合わせリード線のＬ分に
より発生した電圧を主サイリスタ(SCR) に直付けされた
コンデンサ(C3)により吸収し、主サイリスタ(SCR) が誤
動作することを防止したものである。

【００１３】更に本発明では、ノイズが接地線(K1)に侵
入しそのＬ分により起電力が生じることにより主サイリ
スタ(SCR) のゲートに電圧が掛かるおそれを無くするた
め、接地線を主サイリスタ(SCR) と電圧抑制回路との間
の接地線(K1)と、電圧抑制回路とサージアブソーバ(SA
1) との間の接地線(K) とに分離したうえ、これらの両
接地線の間にサージアブソーバ(SA2) を接続してある。
このように接地線を分離したことにより上記したような
起電力が生じても主サイリスタ(SCR) のゲートに直接電
圧が掛かることがなくなり、主サイリスタ(SCR) の誤点
弧を防止することができる。

【００１４】更に本発明では、分離された両接地線の間
にサージアブソーバ(SA2) を接続してある。これは主サ
イリスタ(SCR) のカソード極にサージ電圧が印加された
ときに主サイリスタ(SCR) のカソード極と点弧回路とを
接続するリード線のＬ分により接地線(K1)と接地線(K)
との間に電圧が発生し、この電圧によって半導体素子(I
C)やトランジスタ(TR2) が破壊されることを防止するた
めのものである。このサージアブソーバ(SA2) は急峻な
電圧を抑制できるので、サージ電圧による半導体素子(I
C)やトランジスタ(TR2) の破壊が防止でき、耐サージ性
を向上させることができる。

【００１５】なお、図２のＧ，Ｋの端子と主サイリスタ
(SCR) のゲートとカソード極とを結ぶ撚り合わせリード
線の外周に上記した接地線(K1)を巻き付ければ、この接
地線(K1)がシールド効果を発揮し、撚り合わせリード線
をノイズからより確実にシールドすることができ、信頼
性を高めることができる。

【００１６】

【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば主サイリスタのアノード極とカソード極間に起
動時の開閉サージやその他の現象によるサージ電圧が印
加されてもサージアブソーバは一定以上の電圧を瞬時に
制限するため、点弧用コンデンサに急峻な電圧が印加さ
れることがない。このためサイリスタ点弧回路が誤動作
することがない。従って点弧指令光信号によってのみ主
サイリスタを確実に点弧させることができることとな
り、起動時の開閉サージ等が発生するような高電圧系統
にもサイリスタ応用品を安全に用いることができる。

【００１７】また本発明によれば、電圧吸収用のコンデ
ンサの直付けや接地線の分離により主サイリスタの誤動
作防止を図ることができ、更に分離された両接地線の間
にサージアブソーバを接続したことにより、サージ電圧
による半導体素子やトランジスタの破壊が防止でき、耐
サージ性を向上させることができる。よって本発明は従
来の問題点を解決したサイリスタ点弧回路として、産業
の発展に寄与するところは極めて大なものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例を示す回路図である。

【図２】従来のサイリスタ点弧回路の回路図である。

【符号の説明】

SCR 主サイリスタ C2 点弧用コンデンサ PTR フォトトランジスタ SA1 サージアブソーバ SA2 サージアブソーバ C3 コンデンサ K 接地線 K1 接地線

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 喜多川 正人 岐阜県羽島郡岐南町徳田９丁目237番地

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 主サイリスタ(SCR) のアノード極より点
   弧用電源を得て点弧エネルギーを蓄積する点弧用コンデ
   ンサ(C2)と、点弧用コンデンサ(C2)の電圧を常に一定以
   下に抑制する電圧抑制回路と、主サイリスタ(SCR) のゲ
   ート極とカソード極間に直付けした電圧吸収用コンデン
   サ(C3)と、電圧抑制回路と並列に接続したサージアブソ
   ーバ(SA1) と、点弧指令光信号を受けて導通することに
   よって点弧用コンデンサ(C2)に蓄積された点弧エネルギ
   ーを主サイリスタ(SCR) のゲートに供給するフォトトラ
   ンジスタ(PTR) とを備え、接地線を主サイリスタ(SCR)
   と電圧抑制回路との間の接地線(K) と電圧抑制回路とサ
   ージアブソーバ(SA1) との間の接地線(K1)とに分離し、
   これらの間にサージアブソーバ(SA2) を接続したことを
   特徴とするサイリスタ点弧回路。