JPH0628456Y2 - ノック式注出容器 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、ノック式注出容器の改良に関し、更に詳しく
は生産者から消費者に製品が渡る迄の流通過程で行われ
る内容物の詰め替えや異物混入、更には不正使用等の不
正行為を防止することができ、且つ開栓前の密封は勿論
のこと、開栓後の再密封に際しても完全なシールができ
るノック式注出容器に関する。

〔従来の技術〕 バネ附勢された上下動するノック式スライド杆を、スラ
イド杆出没用の注出口を開設した筒状ケースに離脱不能
に内装してノック式注出機構を構成し、これを容器本体
に取付けて構成したノック式注出容器としては、例えば
頭髪化粧料等の揮発性液剤を収容したエアゾール容器が
ある。

この容器はスライド杆が下向きになるよう逆倒させ、ス
ライド杆を頭皮に押しあててスライドさせることでスラ
イド杆と筒状ケースの間に間隙を形成し、この間隙を通
じて液剤を注出するものである。

〔考案が解決しようとする課題〕

これらノック式注出容器では液剤が揮発性であることが
多いことから、購入前の閉栓状態では外気との流通を完
全に遮断して完全密封されていることが理想的である
が、いまだ完全密封しているものは少ない。したがって
これら容器では、流通過程で液剤が劣化することがあ
り、又流通過程における液剤の詰替えや異物混入、更に
は不正使用も完全に防止することはできない。

又、現に密封されているものにしても、容器本体を合成
樹脂製フィルムで被覆する方法が採用されているが、該
方法では開栓後はフィルムが存在しない為、気密性の高
い再密封を行なうことはできず、一度開栓を行った後は
液剤の劣化が急速に進行するという問題があった。

〔課題を解決するための手段〕

本考案はかかる現況に鑑みてなされたものであり、流通
過程における開栓前の容器の密封を完全に行って内容物
の劣化及び内容物への改竄を防止するとともに、消費者
の手に渡った後の開栓後の再密封を完全に行なうことが
できるノック式注出容器を提供することを目的とする。

上記課題を解決した本考案のノック式注出容器は、 上部が開口した容器本体と、 大径の基部を有し、上方にバネ付勢された上下動するノ
ック式スライド杆と、 前記スライド杆をスライド可能に内装し基部を容器本体
の口部に嵌合してなる筒体であって先端側内径を縮径し
てスライド杆の基部外径より小径となすとともに先端に
前記スライド杆を出没させる注出口を開設し、且つ該注
出口外面にはスライド杆の移動方向に長くされた封止蓋
を破断可能な薄肉部を介して延設してなる筒状ケース
と、 前記筒状ケースを外装し得る有蓋筒体であって前記筒状
ケースの注出口に密嵌できる栓体を頂部内面に突設し、
破断用の薄肉部によって区画された所定幅の切除予定部
を介して容器本体に対して分離不能に嵌合したキャップ
と、 より構成されている。

キャップに設ける破断用薄肉部としてはキャップ外周全
体にわたって設けた環状薄肉部が採用でき、更にこの環
状薄肉部は高さ方向に２本設けて所定幅を有する環帯状
の切除予定部を形成するとともに、この切除予定部の側
壁に引張り用の帯片を延設してもよい。

〔作用〕

このような構成のノック式注出容器は次のようにして使
用される。

先ず閉栓状態では、スライド杆は筒状ケース内部に押し
込まれ、且つ筒状ケースの注出口は封止蓋によって密封
されており、その外側にキャップが容器本体に対して分
離不能な状態で嵌め込まれている。この状態では容器本
体内部の液剤は筒状ケースとキャップの二重構造によっ
て外気と完全に遮断されている。またキャップは容器本
体に対して分離不能に嵌め込まれていることから、液剤
の取り出しはキャップの切除予定部を取り除かない限り
不可能である。

次にこの容器を開栓しようとするときには、キャップに
形成された薄肉部によって、所定幅の切除予定部を取り
去ってキャップを容器本体から分離したうえ、次いで封
止蓋をちぎって筒状ケース先端に注出口を開口させる。
このときスライド杆が上動して注出口からスライド杆の
先端部が突出し、スライド杆基部の大径部が注出口の口
径に規制されてスライド杆の突出長さが制限される。

スライド杆は常態では基部の大径部が注出口を閉鎖し、
スライド杆先端が押されたときにスライド杆基部が注出
口から離れて注出口が開口して液剤の注出が可能とな
る。

更に再密封する場合は、キャップを筒状ケースに被せた
うえ押し下げることによってキャップ内面に突設した栓
体が注出口に押し込まれて密嵌される。

〔実施例〕

次に本考案の詳細を更に図示した実施例により説明す
る。第１図（イ）は本考案にかかるノック式注出容器の
一実施例を示す縦断端面図である。

本ノック式注出容器は、スライド杆１、筒状ケース２及
びキャップ３とから主として構成される注出機構Ｄを容
器本体Ｅの口部４に外嵌して構成される。

スライド杆１は、弾性附勢手段５を組み込んだ台座６の
上面に周囲に複数の突条７，７…を周設した棒体８を立
設して構成し、常に棒体８を上方へ弾性附勢している。
弾性附勢手段としては、例えば第２図（イ）に示す如
く、台座６を上部台座6aと下部台座6bから構成し、両台
座を複数の弾性帯９，９…で連結することや、第２図
（ロ）として示す如く、上部台座6aと下部台座6bを複数
の連結帯10，10…で連結するとともに両台座間にコイル
バネ11を介在させる方法等が採用される。

前記スライド杆１を上下方向にスライド可能に内装する
筒状ケース２は、スライド杆１の抜けを防止する為に、
先端側内径を縮径12してスライド杆１の台座６外径より
も小径となすとともに、先端に前記スライド杆１を出没
させる為の注出口13を開設している。

又、前記注出口13の外面には、スライド杆１の移動方向
に長くされた筒状の封止蓋14を破断可能な薄肉部15を介
して延設している。薄肉部15は、入力で破断可能な厚さ
に設定され、開栓時に封止蓋14を曲げることで、封止蓋
14を除去し得るように構成されている。注出口13外縁に
隣接する位置であって封止蓋14の側方位置には複数の突
部16，16…が円周状に設けられている。この突部16，16
…は、本容器を育毛剤用容器として使用する場合に頭皮
への刺激を与える為に用いるものであり、除去すること
も任意である。筒状ケース２の下部は容器本体Ｅの口部
４に内嵌し得る外径を有し、下端から所定長離間した筒
状ケース２の外周には、筒状ケース２を容器本体13に内
嵌したときの当たり止めとなる環状リブ17が形成されて
いる。又、筒状ケース２の内面であって環状リブ17の近
傍位置には、スライド杆１の降下を規制する為の環状の
突壁18が周設されている。

キャップ３は前記筒状ケース２を外装し得る有蓋筒体で
あり、項部19内面には筒状ケース２の注出口13に密嵌で
きる栓体20を突設し、更に該栓体20の下部外周には密嵌
時に抜け止め作用を発揮する係合突条21を設けている
又、キャップ３の長さ方向途中から下方には薄肉連結部
22を介して、拡径した封緘筒体23が連設されてキャップ
の一部を構成している。封緘筒体23は、キャップを分離
する際に切除される部分であり、その幅は当該封緘筒体
23が切除されたのちの分離したキャップが、容器本体側
に残されたキャップ残存片にあたらないように設定す
る。封緘筒体23の下部内面には間隔をおいて２本の環状
隆起部24，24が形成され、容器本体Ｅの口部４外周に設
けられた環状突部25，25と係合することで、キャップの
分離を不能にしている。又、封緘筒体23の上端外周から
は上方へ延びる引張り片26が延設されるとともに封緘筒
体22の長さ方向略中間には破断用の薄肉部27が周設され
ている。

このような構成のノック式注出容器は次のようにして用
いる。

生産者から消費者の手元に渡るまでの間の流通過程での
本容器の状態は第１図で表される。即ち、スライド杆１
は筒状ケース２内部に押し込まれ、筒状ケース２の注出
口13は封止蓋14によって密封されている。又、キャップ
３は項部19内面に形成された栓体20の下端面を封止蓋14
上端面に当接させるとともに、封緘筒体23の下部内周面
に形成された環状隆起部24，24を容器本体口部外周の環
状突部25，25に無理嵌合させることでキャップの分離を
不能としている。そして、この状態下では容器内部の液
剤は封止蓋14により密封されている上に封止蓋を含む筒
状ケースの外面全体がキャップ３により更に外装されて
いるので、外気との流通は完全に遮断されている。

次に本容器が消費者の手元に渡り、消費者がこれを開栓
しようとするときは、引張り片26を引張って薄肉連結部
22及び薄肉部27を破断し、キャップ３から封緘筒体23を
分離した後、筒状ケース２からキャップ３をはづす。次
いで封止蓋14を曲げて封止蓋14を薄肉部15から破断して
除去し、注出口13を開口する。スライド杆１は上方に弾
性附勢されている為、注出口13が開口すると上動して注
出口13から自動的に突出する。スライド杆１の台座６は
筒状ケース２先端側より大径とされている為、スライド
杆１はその先端を注出口13から所定長突出した状態で停
止する。このとき台座６は注出口13に連通する筒状ケー
ス２先端側の開口を閉鎖するので、液剤と外気との接触
はある程度遮断される。この状態は第３図（イ）で示さ
れる。

次いで液剤の使用は次のようにして行われる。容器を倒
立させるとともにスライド杆１先端を例えば頭皮等に押
し当てて、スライド杆１を筒状ケース２内奥側へスライ
ドさせ、第３図（ロ）で示す如く、スライド杆１と筒状
ケース２内面との間に形成された間隙を通じて液剤をス
ライド杆１の側壁に導き、続いて該スライド杆１の側壁
を伝って外部へ導出する。尚、注出口13外周に設けた突
部16，16…は頭皮に当たって頭皮に刺激を与える役目を
果たす。

使用後は第３図（ハ）で示す如く、キャップ３を筒状ケ
ース２に外嵌するとともに、下方へ強く押し込み、スラ
イド杆１を下方へ押し下げながらキャップ項部19内面の
栓体20を注出口13に密に内嵌する。内嵌後は栓体20外周
の係合突条21が注出口13内面に係合して栓体20の離脱を
強固に防止する。この状態では、注出口13は栓体19で密
封された上に筒状ケース２の上部外面をキャップ３で外
装しているので液剤と外気との流通はほぼ完全に断たれ
る。

以上のように本考案にかかるノック式注出容器は、生産
者から消費者の手に渡る迄の流通過程にある間は注出口
13は封止蓋14とキャップ３で二重に密封されているの
で、液剤は外気との流通を完全に遮断されている。しか
も、封止蓋14もキャップ３も共に薄肉部を破断しない限
り除去できず、又、破断後は原状回復することはできな
いので、仮に流通過程で容器内部の液剤に対する不正行
為が行われた場合は不正行為があった事実は一目瞭然と
なる。

このような構成のノック式注出容器は、育毛剤等の頭髪
化粧料を収容する容器として利用できる他、揮発性イン
クを収容した筆器具に用いる等任意である。

第４図及び第５図として示すものは、本考案の他の実施
例である。

第４図として示すものは、キャップ3aの長さ方向中間に
一定間隔を隔てて、２本の薄肉部28，28を形成し、両薄
肉部28，28により区画された環状帯29外面適所に径方向
に引張り片30を突設した場合である。

第５図として示すものは、筒状ケース２を容器本体Ｅの
口部４に分離不能に無理嵌合するとともに封緘手段は筒
状ケース２に設けた封止蓋14のみとし、キャップと容器
本体Ｅ間の封緘手段を排除した場合である。又、キャッ
プ3b内面には一定間隔離間して、二本の係止用の環状突
部31，31が形成されており、筒状ケース２外面に形成し
た突部32と係合させることで、開栓前のキャップ3bの固
定と再密封時のキャップ3bの固定を共に確実にしてい
る。

〔考案の効果〕

本考案のノック式注出容器は上述の構成としたので、以
下列記する本願固有の効果を有する。

先ず、本容器を用いた商品が消費者の手に渡る迄の流
通過程にあるときには、注出口は封止蓋によって完全密
封され、且つその外側には容器本体に対して分離不能な
状態のキャップが存在し、封止蓋とキャップの二重構造
によって容器内液剤を外気から完全に遮断されているの
で、ノック式注出容器内液剤として使用されることが多
い揮発性液剤の変質や揮散を防止でき、長時間にわたっ
て商品品質を維持できる。

また、容器内液剤は封止蓋とキャップの二重封止構造に
より固く防護されているので容器内液剤に対する異物混
入等の不正行為は行い得ない。そしてキャップの切除予
定部及び封止蓋はちぎらない限り除去できないから、仮
に容器内液剤に対して手が加えられていれば、その状態
は容器外観の改変としてあらわれ、容器内液剤に対して
不正行為があったことが誰の眼にも明らかとなる。

本容器が消費者の手に渡り、消費者がこれを使用しよ
うとするときは、キャップの切除予定部を薄肉部によっ
て取り去るとともに、封止蓋もちぎって除去するだけで
ある。切除予定部及び封止蓋は薄肉部によって破断でき
るように構成されていることから、開栓作業は極めて簡
単である。

開栓後はスライド杆をノックすることによって液剤を
注出して使用するのであるが、ノック式注出容器である
ため、短時間の未使用状態に対しては特にキャップを被
せる必要がない。また、所定幅の切除予定部を取り除か
れたキャップはその高さが低くなっているから、容器本
体側に残るキャップ残存片に当たることなく筒状ケース
に押し込み状態で被せることができる。そしてキャップ
を押し込み状態で被せたときには、キャップ内面の栓体
が注出口に押し込まれて注出口が完全に密封され、容器
内の揮発性液剤の外気との遮断は完全になされる。しか
もその外側には完全外装状態ではないもののキャップも
存在するための外気遮断効果は極めて優れており、開栓
後の揮発性液剤の短期保存にも問題がない。

このように本願考案のノック式注出容器は、ノック式注
出容器内液剤として使用されることが多い揮発性液剤の
変質や揮散を開栓前及び開栓後の両方において防止で
き、且つ消費者の手に渡る前に容器内液剤に異物混入等
の不正行為がなされることをほぼ完全に防止できるとと
もに、万が一不正行為がなされたとしても、その痕跡を
容器外観に誰の眼にも明らかな状態であらわすことがで
きるので、商品品質と消費者の安全を共に守ることがで
きる。

【図面の簡単な説明】

第１図（イ）は本考案にかかるノック式注出容器の一実
施例の縦断端面説明図、第１図（ロ）は第１図（イ）に
おけるＡ−Ａ′端面図、第１図（ハ）は第１図（イ）に
おけるＢ−Ｂ′端面図、第２図(イ)(ロ)はスライド杆の弾
性附勢機構の実施例、第３図(イ)(ロ)(ハ)は第１図で示し
た実施例の開栓後の状態を示す説明図、第４図，第５図
は他の実施例である。 Ｄ：注出機構、Ｅ：容器本体、 １：スライド杆、２：筒状ケース、３：キャップ、４：
口部、５：弾性附勢手段、６：台座、７：突条、８：棒
体、９：弾性帯、10：連結帯、11：コイルバネ、12：縮
径、13：注出口、14：封止蓋、15：薄肉部、16：突部、
17：環状リブ、18：突壁、19：項部、20：栓体、21：係
合突条、22：薄肉連結部、23：封緘筒体、24：環状隆起
部、25：環状突部、26：引張り片、27：薄肉部、28：薄
肉部、29：環状帯、30：引張り片、31：環状突部、32：
突部。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭58−149264（ＪＰ，Ａ) 実開 昭59−138557（ＪＰ，Ｕ) 実公 昭47−34599（ＪＰ，Ｙ１) 実公 昭47−39227（ＪＰ，Ｙ１)

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】上部が開口した容器本体と、 大径の基部を有し、上方にバネ付勢された上下動するノ
   ック式スライド杆と、 前記スライド杆をスライド可能に内装し基部を容器本体
   の口部に嵌合してなる筒体であって先端側内径を縮径し
   てスライド杆の基部外径より小径となすとともに先端に
   前記スライド杆を出没させる注出口を開設し、且つ該注
   出口外面にはスライド杆の移動方向に長くされた封止蓋
   を破断可能な薄肉部を介して延設してなる筒状ケース
   と、 前記筒状ケースを外装し得る有蓋筒体であって前記筒状
   ケースの注出口に密嵌できる栓体を頂部内面に突設し、
   破断用の薄肉部によって区画された所定幅の切除予定部
   を介して容器本体に対して分離不能に嵌合したキャップ
   と、 よりなるノック式注出容器。
2. 【請求項２】キャップ外周に環状薄肉部を高さ方向に２
   本設けるとともに、両環状薄肉部で区画された環体の側
   壁から帯片を延設してなる前記実用新案登録請求の範囲
   第１項記載のノック式注出容器。