JPH06281964A - 強誘電性高分子液晶を用いた液晶光学素子の製造方法及び液晶光学素子の階調表示方法 - Google Patents

強誘電性高分子液晶を用いた液晶光学素子の製造方法及び液晶光学素子の階調表示方法

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JPH06281964A
JPH06281964A JP8945993A JP8945993A JPH06281964A JP H06281964 A JPH06281964 A JP H06281964A JP 8945993 A JP8945993 A JP 8945993A JP 8945993 A JP8945993 A JP 8945993A JP H06281964 A JPH06281964 A JP H06281964A
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JP
Japan
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liquid crystal
phase
optical element
ferroelectric
temp
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Application number
JP8945993A
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English (en)
Inventor
Hiroyuki Endo
博之 遠藤
Satoshi Hachiya
聡 蜂屋
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Idemitsu Kosan Co Ltd
Original Assignee
Idemitsu Kosan Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 強誘電性高分子液晶を用いた高速応答性を有
し、階調表示が可能な液晶表示素子の簡便な製造方法を
提供するとともに、その簡便な階調表示方法を提供す
る。 【構成】 強誘電性高分子液晶からなる液晶材料を2枚
の電極間に挟持して液晶光学素子を構成し、液晶材料が
等方相と液晶相が共存するような温度域で素子を保持し
た後冷却する液晶光学素子の製造方法。この液晶光学素
子に、印加する電圧のパルス幅又は電界強度を変化させ
て電圧を印加し、階調表示を行なう液晶光学素子の階調
表示方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ディスプレイや広告媒
体に好適な強誘電性高分子液晶を用いた液晶光学素子の
製造方法及び液晶光学素子の階調表示方法に関する。
【0002】
【従来の技術】強誘電性液晶(FLC)の双安定性を利
用した液晶光学素子がクラークとラガウォールによって
提案されている(特開昭56−107216号公報、特
開昭63−153521号公報など。)。この液晶光学
素子は、高速応答、双安定性を利用した単純マトリクス
駆動が可能などの利点があり、大容量ディスプレイへの
応用が期待されている。しかしながら、双安定性は基本
的に明又は暗状態を用いるので中間調を出せないという
欠点があり、実際のテレビやコンピューター用ディスプ
レイへ応用する際の問題点となっている。
【0003】明、暗以外の中間調を出す試みとして以下
のような提案がなされている。
【0004】特開昭62−145216号公報、同62
−150226号公報、同63−133121号公報な
どには、各画素内で液晶層の厚みに分布を持たせてしき
い値特性を変化させる方法が記載されているが、電極、
基板の加工が困難であるという問題がある。
【0005】特開昭62−244018号公報、特開平
2−184821号公報などには、複数の電極で一画素
を形成し、電極の面積比によって階調表示する方法が記
載されているが、表示容量(画素)が全体で減少し、ま
たFLCの応答時間を相当速くしなければならないとい
う問題がある。
【0006】特開昭62−265627号公報、特開平
1−52127号公報などには、2枚以上のFLC層
(パネル)を用いて階調表示を行なう方法が記載されて
いるが、液晶表示素子の構成が複雑になるという問題が
ある。
【0007】特開平1−107233号公報、同4−1
4018号公報、同4−57026号公報、同4−18
4320号公報などには、配向膜の厚みを異ならせた
り、あるいは2種以上のポリマーからなる配向膜をミク
ロドメインに分離してしきい値特性を変化させ階調表示
するる方法が記載されているが、配向膜自体によって必
ずしもしきい値特性が変化できるとは限らないし、膜自
体に分布を持たせて基板につけるのが難しいという問題
がある。
【0008】特開平3−174514号公報には、電極
上に分離膜を設け異なるFLCを充填し、階調表示する
方法が記載されているが、液晶表示素子の加工が困難な
上、構成が複雑になるという問題がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は強誘電性高分
子液晶を用いた高速応答性を有し、階調表示が可能な液
晶光学素子の簡便な製造方法を提供するとともに、その
得られた液晶光学素子の階調表示方法を提供することを
目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは前記課題を
解決するため鋭意検討を行ったところ、強誘電性高分子
液晶からなる液晶材料を電極間で特定な温度域に保持し
た後、冷却することにより、しきい値特性の異なるミク
ロミクロドメインが形成され、階調表示が可能になるこ
とを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至
った。
【0011】すなわち本発明は、強誘電性高分子液晶か
らなる液晶材料を2枚の電極間に挟持して液晶光学素子
を構成し、液晶材料が等方相と液晶相が共存するような
温度域で素子を保持した後冷却することを特徴とする液
晶光学素子の製造方法を提供するものである。
【0012】上記液晶材料中には1種以上の低分子液晶
が含有されていてもよい。また、減粘剤などの液晶材料
中に含まれる各種添加剤、カイラル化合物等が含有され
ていてもよい。
【0013】本発明の液晶光学素子は素子内のミクロド
メインのしきい値特性が互いに異なることによって単一
画素内においても階調表示を行なうことが可能となる。
【0014】図1は、本発明の液晶光学素子の構成の一
例を示す断面説明図である。液晶材料5は2枚の配向膜
4を有する電極3付基板2により挟持されており、基板
2の両外側には偏光板1が配置されている。後に述べる
ようにせん断法を用いて液晶を配向させる場合には配向
膜4は不要となる。
【0015】偏光板は必要に応じて電極付基板の両外側
又は片外側に設けられ、通常の液晶光学素子に使用され
る偏光板が好適に用いられる。偏光軸方向としては特に
制限はないが、基板の両外側に偏光板を設ける場合、2
枚の偏光板の偏光軸が互いに直交していることが好まし
い。
【0016】電極付基板の基板としては、少なくとも一
方が透明性の材料からなるものであれば特に制限はな
い。例えば、ガラス、ポリエチレンテレフタレート(P
ET)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリカーボ
ネート(PC)などのプラスチックフィルムなどが挙げ
られる。本発明では高分子液晶を用いているので生産性
を向上させるためプラスチックフィルムのような可撓性
基板を用いることが好ましい。基板の厚さとしては10
μm〜10mmが好ましい。
【0017】電極としては、少なくとも一方が透明性の
材料からなるものであれば特に制限はない。例えば、酸
化インジウム又は酸化インジウムと酸化スズとの混合物
からなるITO等の透明電極を基板に蒸着したものなど
が好ましい。
【0018】本発明の液晶光学素子では、電極間に挟持
される液晶材料を一方向に配向させて光学素子として用
いる。配向方法は一般に知られているあらゆる方法を用
いることができる。配向膜を用いる場合は、ポリイミド
やポリビニルアルコールなどの高分子膜を一方向にラビ
ング処理したもの、酸化シリコンを斜方蒸着したものな
どの種々の配向膜を用いることができる。配向膜を用い
ない場合は剪断法を用いることができる。また、可撓性
基板を用いる場合には特開昭2−10322号公報に示
した方法などを用いることができる。
【0019】上記の電極付基板間に挟持される液晶材料
の強誘電性高分子液晶としては使用温度で強誘電相を示
す高分子液晶であり、素子を使用する温度以上の温度で
等方相と液晶相とが共存する温度域が存在するものであ
れば特に制限はない。特に以下に示すように2枚の電極
間に挟持し、液晶光学素子としたときに素子面内におい
て強誘電性高分子液晶が分子量の異なる複数種類のミク
ロドメインを形成することが必要である。ミクロドメイ
ンの大きさ(直径)は1nm〜10mmが好ましい。
【0020】素子の強誘電性高分子液晶が等方相から液
晶相へ転移するときの両相の共存温度域で素子を保持
し、分子量の異なる成分へミクロ的に相分離させるため
には用いる用いる強誘電性高分子液晶の分子量分布が広
い方が好ましい。分子量分布を示す指標としてMw/M
nを用いると、この値は好ましくは1.5以上、更に好
ましくは2.0以上である。分子量分布が狭いと共存温
度域で保持しても分子量の異なる成分へ分離しにくい。
ここで液晶相とは具体的にはコレステリック相、スメク
ティックA相、カイラルスメクティックC相などを示
す。
【0021】素子を保持する時間は長い方がよいが、あ
まり長いと生産性が悪くなる。短いと分離が不十分とな
る。好ましくは1分以上、更に好ましくは10分以上で
ある。
【0022】低分子液晶を混合する場合、用いる低分子
液晶は特に制限されないが、好ましくはスメクティック
液晶が用いられる。
【0023】通常、強誘電性高分子液晶を含んだ液晶材
料の等方相−液晶相の相転移の温度幅は1〜5℃、長い
ものでは10℃を超える。この温度域で液晶材料を保持
すると、分子量の高い成分が液晶相として析出し、低い
成分が等方相として残る。ある程度の時間保持すること
により、分離が進み、平衡状態が得られるものと考えら
れる。この状態から素子を冷却すると、液晶材料は分子
量の異なるミクロなドメインに分離されるものと考えら
れる。この冷却速度は好ましくは3℃/分、更に好まし
くは10℃/分とする。
【0024】本発明において用いられる強誘電性高分子
液晶の具体例としては、例えば、ポリアクリレート系、
ポリメタクリレート系、ポリクロロアクリレート系、ポ
リオキシラン系、ポリシロキサン系、ポリエステル系等
の強誘電性高分子液晶が挙げられる。
【0025】ポリアクリレート系強誘電性高分子液晶の
繰り返し単位としては、例えば、
【0026】
【化1】 などが挙げられる。
【0027】ポリメタクリレート系強誘電性高分子液晶
の繰り返し単位としては、例えば、
【0028】
【化2】 などが挙げられる。
【0029】ポリクロロアクリレート系強誘電性高分子
液晶の繰り返し単位としては、例えば、
【0030】
【化3】 などが挙げられる。
【0031】ポリオキシラン系強誘電性高分子液晶の繰
り返し単位としては、例えば、
【0032】
【化4】 などが挙げられる。
【0033】ポリシロキサン系強誘電性高分子液晶の繰
り返し単位としては、例えば、
【0034】
【化5】 などが挙げられる。
【0035】ポリエステル系強誘電性高分子液晶の繰り
返し単位としては、例えば、
【0036】
【化6】 などが挙げられる。
【0037】なお、上記の強誘電性高分子液晶の繰り返
し単位は、側鎖の骨格がビフェニル骨格、フェニルベン
ゾエート骨格、ビフェニルベンゾエート骨格、フェニル
−4−フェニルベンゾエート骨格で置き換えられてもよ
く、これらの骨格中のベンゼン環がピリミジン環、ピリ
ジン環、ピリダジン環、ピラジン環、テトラジン環、シ
クロヘキサン環、ジオキサン環、ジオキサボリナン環で
置き換えられてもよく、フッ素、塩素などのハロゲン基
あるいはシアノ基で置換されてもよい。光学活性基は1
−メチルアルキル基、2−フルオロアルキル基、2−ク
ロロアルキル基、2−クロロ−3−メチルアルキル基、
2−トリフルオロメチルアルキル基、1−アルコキシカ
ルボニルエチル基、2−アルコキシ−1−メチルエチル
基、2−アルコキシプロピル基、2−クロロ−1−メチ
ルアルキル基、2−アルコキシカルボニル−1−トリフ
ルオロメチルプロピル基などの光学活性基でもよく、骨
格とはエーテル結合、エステル結合、単結合を介して連
絡されている。またスペーサの長さは、メチレン鎖長が
2〜30の範囲で変化してもよい。
【0038】また、下記の一般式で表わされる繰り返し
単位
【0039】
【化7】 [式中、r及びpは2〜5の整数、qは0〜3の整数、
mは1〜20の整数であり、R1
【0040】
【化8】 である。ただしR2は−COOR3、−OR3又は−OC
OR3であり、R3
【0041】
【化9】 であり、R4及びR5は−CH3又はハロゲン原子であ
り、a、dは0〜10の整数であり、bは0又は1であ
る(R5が−CH3で場合、dは0ではない。)。]から
なり、[I]と[II]のモル比がほぼ1:1である強
誘電性液晶性共重合体が好適に用いられる。この液晶性
共重合体としては下記に示すような(a)〜(l)の共
重合体が挙げられる。
【0042】
【化10】
【0043】
【化11】
【0044】
【化12】
【0045】強誘電性高分子液晶の数平均分子量として
は、1000〜20万が好適である。また、強誘電性高
分子液晶には必要に応じて各種添加物が含まれていても
よい。
【0046】強誘電性高分子液晶は1種単独のみなら
ず、2種以上併用してもよい。また、液晶材料中に配合
される低分子液晶の割合は特に限定しない。液晶材料中
の高分子液晶の割合は10〜90重量%とすることが好
ましい。高分子液晶の割合が10重量%未満では階調表
示を行なおうとしても効果が著しく低下し、90重量%
を超えると電界変化に対する応答時間が長くなる。
【0047】低分子液晶としては、特に制限はないが、
高分子液晶と相溶性を有する低分子液晶、スメクチック
液晶、強誘電性液晶が好適に用いられる。低分子強誘電
性液晶の具体例を以下に示す。
【0048】
【化13】 上記の低分子強誘電性液晶化合物のほかにも以下の低分
子強誘電性液晶化合物が好適に用いられる。例えばシッ
フ塩基系低分子強誘電性液晶化合物、アゾ及びアゾキシ
系低分子強誘電性液晶化合物、ビフェニル及びアロマテ
ィックスエステル系低分子強誘電性液晶化合物、1級又
は2級アルコールを不斉源とした非シッフ塩基系低分子
強誘電性液晶化合物、ハロゲン、シアノ基等の環置換基
を導入した低分子強誘電性液晶化合物、複素環を有する
低分子強誘電性液晶化合物、乳酸誘導体又はアミノ酸誘
導体を不斉源とする低分子強誘電性液晶化合物、ハロゲ
ン又はシアノ基が不斉炭素に直結した低分子強誘電性液
晶化合物などが掲げられる。
【0049】シッフ塩基系低分子強誘電性液晶化合物と
しては、例えば、
【0050】
【化14】 などのアミルアルコールを不斉源とした化合物、
【0051】
【化15】 などの水酸基を導入したシッフ塩基系化合物、
【0052】
【化16】 などの2級アルコール等を不斉源としたシッフ塩基系化
合物、
【0053】
【化17】 などのハロゲン、シアノ基が不斉炭素に直結した化合物
などが挙げられる。
【0054】アゾ及びアゾキシ系低分子強誘電性液晶化
合物としては、例えば、
【0055】
【化18】 などが挙げられる。
【0056】ビフェニル及びアロマティックスエステル
系低分子強誘電性液晶化合物としては、例えば、
【0057】
【化19】 などの2環系化合物、
【0058】
【化20】 などの多環系化合物などが挙げられる。
【0059】1級又は2級アルコールを不斉源とした非
シッフ塩基系低分子強誘電性液晶化合物としては、例え
ば、
【0060】
【化21】 などが挙げられる。
【0061】ハロゲン、シアノ基等の環置換基を導入し
た低分子強誘電性液晶化合物としては、例えば、
【0062】
【化22】 などが挙げられる。
【0063】複素環を有する低分子強誘電性液晶化合物
としては、例えば、
【0064】
【化23】 などが挙げられる。
【0065】乳酸誘導体を不斉源とする低分子強誘電性
液晶化合物としては、例えば、
【0066】
【化24】 などが挙げられる。
【0067】ハロゲン又はシアノ基が不斉炭素に直結し
た強誘電性低分子液晶化合物としては、例えば
【0068】
【化25】
【0069】
【化26】 などが挙げられる。
【0070】また、上記化合物以外にも、例えば
【0071】
【化27】 などが挙げられる。
【0072】なお、前記化合物は、低分子強誘電性液晶
化合物の代表的な化合物であり、本発明の低分子強誘電
性液晶化合物はなんら、これらの構造のものに限定され
るものではない。
【0073】次に、本発明において用いられるスメクチ
ック液晶としては、特に制限はなく、従来公知の化合物
の中から任意のものを1種以上選択して用いることがで
きる。例えば次のような化合物が挙げられる。
【0074】
【化28】 (式中のR6及びR7は、それぞれ炭素数1〜12の直鎖
状又は分岐状のアルキル基、アルコキシ基又はアシルオ
キシであり、それらは同一であってもよいし、互いに異
なっていてもよい)などを挙げることができる。
【0075】更に、一般式
【0076】
【化29】 で表される化合物なども用いることができる。前記一般
式(III)におけるR8は炭素数7〜12のアルキル
基、炭素数6〜11アルコキシ基、炭素数6〜12のア
シルオキシ基又は炭素数6〜12のアルコキシカルボニ
ル基、R9は炭素数7〜12のアルキル基又は炭素数6
〜11のアルコキシ基である。また、一般式(IV)に
おけるR10及びR11は、それぞれ炭素数4〜14のアル
キル基又はアルコキシ基であり、それらは同一であって
もよいし、互いに異なっていてもよい。一方、一般式
(V)におけるR12は炭素数4〜14のアルキル基、R
13は炭素数5〜14のアルキル基又は炭素数4〜14の
アルコキシ基である。
【0077】これら液晶化合物の具体例としては、
【0078】
【化30】 などが挙げられる。
【0079】なお、液晶材料の液晶相を示す温度範囲を
広げるためには、3環系の液晶化合物を用いることが好
ましい。
【0080】液晶材料の混合方法は特に制限はなく、直
接混合でも溶液混合でもよい。例えば、溶液混合として
は、強誘電性高分子液晶、低分子液晶の所定量を容器に
入れてジクロルメタン等の溶媒に溶解し、混合して溶媒
を蒸発させる方法が好適である。
【0081】本発明の液晶光学素子の階調表示方法は、
上記のようにして得られた液晶光学素子に、印加する電
圧のパルス幅又は電界強度を変化させて電圧を印加する
ことにより行なわれる。
【0082】まず、しきい値電圧について説明する。配
向させた強誘電性液晶素子に図2(a)のようなパルス
波形電圧を印加する。例えばリセットパルスで暗状態に
して書込みパルスで明状態にスイッチングしようとす
る。このときの透過光強度の変化の様子は図2(b)の
ようである。パルス波形電圧印加後の透過光強度を書込
みパルスの電圧に対してグラフにすると図2(c)のよ
うになる。図2(c)において、透過光強度の変化し始
める電圧をこのパルス幅τのパルスに対してしきい値電
圧と呼ぶ。
【0083】各々のパルスのパルス幅(時間)は強誘電
性液晶の応答時間程度にする。また、リセットパルスの
電圧は十分に強誘電性液晶が反転するように大きな電圧
(Vsat以上)とする。
【0084】このようなしきい値は同じセル厚、同じパ
ルス幅のパルスを印加したときに強誘電性液晶の種類に
よって異なっているのが通常である。これは液晶によっ
て応答時間が異なることや、基板(電極を含む)と液晶
との相互作用が異なることが理由であると考えられる。
【0085】次に階調表示の原理について説明する。強
誘電性液晶ではセル厚をうすくしていくと、双安定性を
示すようになり、分子の方向が2状態が安定になる。こ
の双安定性のため単純マトリックス駆動による光学素子
が可能となる。
【0086】しかしながら、2状態のみが安定というこ
とは明あるいは暗の2状態しか示さないことであり、中
間調を出せないという欠点にもなる。すなわち、前述し
たしきい値以下の電圧では暗状態であり、しきい値以上
の電圧では明状態である。
【0087】本発明では強誘電性高分子液晶の分子量の
異なる成分がミクロドメインに分かれて存在している。
図3に示すように単一の電極(画素)内に複数の分子量
の異なるドメインa1、a2、・・・、ai、ajがあると
き、例えば図4に示すように同じパルス幅のパルスに対
してしきい値電圧が異なっているとする。V1の電圧を
印加したときはどちらも反転せず暗状態であるが、V2
ではaiのみ反転し、画素全体で見れば、中間調、V3
は両方反転するので明状態となる。この場合、3階調が
可能となる。画素全体(ドメインa1、a2、・・・、a
n)としてのしきい値特性を図5に示す。また、印加電
圧のパルス幅を変化させて電圧を印加した場合も同様に
階調表示が可能である。
【0088】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいて説明する
が、本発明はこれに限定されるものではない。 実施例1 下記の繰り返し単位を有する強誘電性高分子液晶A(特
開平4−314784号記載の方法で合成した。)をI
TO電極付のガラス基板で挟持し、液晶光学素子とし
た。
【0089】
【化31】 (glass:ガラス状態、S C *:カイラルスメクティ
ックC相、SA:スメクティックA相、Iso:等方
相) このとき電極面積は10mm×10mm、配向膜として
はポリイミドラビング膜を用い、セルギャップ3μmと
し、120℃の等方相で液晶を注入した。このセルを9
5℃の等方相、SA相共存温度域で10分間保持し、そ
の後10℃/分の速度で冷却し、室温にした。室温で図
6のようなパルス波形を用いてしきい値特性を評価した
ところ、図7のようになった。
【0090】パルス幅4ms、電圧値を5V、15V、
20V、30Vと変化させてパルス波形を印加したとこ
ろ、クロスニコル下で透過光強度の比が1:8:15:
30となり、電圧値により階調表示が可能であることが
わかった。
【0091】比較例 実施例1と同じ液晶Aを用いて液晶光学素子を作製し
た。120℃の等方相で液晶を注入するところまでは同
様の方法を用いた。その後、120℃から10℃/分で
冷却し、室温にした。実施例1と同様にしきい値特性を
評価したところ、図8のようになった。
【0092】実施例1と比較するとしきい値特性が急峻
であり、同様にパルス幅4ms、電圧値を5V、15
V、20V、30Vと変化させてパルス波形を印加した
ところ、透過光強度の比が1:1:30:30となり、
明暗の2値しか実現できず、階調表示ができなかった。
【0093】実施例2 下記強誘電性高分子液晶Bと低分子液晶Cとを重量比
8:2で混合した。
【0094】
【化32】 液晶B1gと液晶C0.25gを計りとり、溶媒(ジク
ロロメタン)50ccに溶解し、お互いによく攪拌した
後、約100℃で溶媒を蒸発させ、組成物(混合物)と
した。
【0095】上記組成物をITO電極付のガラス基板で
挟持し、液晶光学素子とした(配向膜なし。)。素子の
作製は、一方の基板に組成物を等方相の90℃でバーコ
ーターを用いて塗布し、3μmのシリカスペーサーを散
布した後、もう一方のガラス基板を重ね合わせた。この
素子を77℃で15分間保持し、その後、70℃まで1
0℃/分で急冷した。
【0096】70℃にで上下基板間に1mmずれるよう
に剪断を数回かけ、液晶を配向させた。その後、室温ま
で冷却した。
【0097】パルス幅5ms、電圧値5V、10V、1
5V、20V、30Vのパルス波形を印加したところ、
クロスニコル下で透過光強度の比が1:3:10:2
0:30となり、電圧値により階調表示が可能であるこ
とがわかった。
【0098】液晶Bの合成は、以下のようにして行っ
た。下記式で表わされる光学活性モノマーD2.0g及
び非光学活性モノマーE0.43gをトルエン20ml
に溶解させ系をアルゴン置換した。1,1,3,3−テ
トラメチルジシロキサン0.34gと触媒量の塩化白金
酸6水和物を加え85℃にて9時間重合させた。溶媒を
減圧留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによ
り精製し目的とする上記共重合比の高分子液晶B2.3
gを得た。(収率83%)
【0099】
【化33】
【0100】
【発明の効果】本発明により電界変化に対する高速応答
性を示し、階調表示が可能な強誘電性高分子液晶を用い
た液晶光学素子を簡便な製造方法により得ることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液晶光学素子の構成の一例を示す断面
説明図。
【図2】しきい値電圧を説明する説明図。
【図3】ミクロドメインの説明図。
【図4】電圧と透過光強度の関係を示すグラフ。
【図5】電圧と透過光強度の関係を示すグラフ。
【図6】電圧の印加方法を示す説明図
【図7】電圧と透過光強度の関係を示すグラフ。
【図8】電圧と透過光強度の関係を示すグラフ。
【符号の説明】
1 偏光板 2 基板 3 電極 4 配向膜 5 液晶材料 6 ドメインa1 7 ドメインa2 8 ドメインai 9 ドメインaj

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 強誘電性高分子液晶からなる液晶材料を
    2枚の電極間に挟持して液晶光学素子を構成し、液晶材
    料が等方相と液晶相が共存するような温度域で素子を保
    持した後冷却することを特徴とする液晶光学素子の製造
    方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の方法で製造された液晶光
    学素子。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の方法で製造された液晶光
    学素子に、印加する電圧のパルス幅又は電界強度を変化
    させて電圧を印加し、階調表示を行なうことを特徴とす
    る液晶光学素子の階調表示方法。
JP8945993A 1993-03-25 1993-03-25 強誘電性高分子液晶を用いた液晶光学素子の製造方法及び液晶光学素子の階調表示方法 Pending JPH06281964A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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