JPH06280028A - プラズマ処理方法及び装置 - Google Patents

プラズマ処理方法及び装置

Info

Publication number
JPH06280028A
JPH06280028A JP5091813A JP9181393A JPH06280028A JP H06280028 A JPH06280028 A JP H06280028A JP 5091813 A JP5091813 A JP 5091813A JP 9181393 A JP9181393 A JP 9181393A JP H06280028 A JPH06280028 A JP H06280028A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
plasma
substrate
chamber
processing chamber
gas
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP5091813A
Other languages
English (en)
Inventor
Atsushi Sekiguchi
敦 関口
Akimi Tobe
了己 戸部
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Anelva Corp
Original Assignee
Anelva Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Anelva Corp filed Critical Anelva Corp
Priority to JP5091813A priority Critical patent/JPH06280028A/ja
Publication of JPH06280028A publication Critical patent/JPH06280028A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ヘリコン波高温非平衡プラズマで発生させた
活性種を、マルチカスプ磁場を形成した処理室に導い
て、高速かつ大面積の基板処理を可能にする。 【構成】 酸素ガスを流量200sccmで放電管51
に導入し、シランガスを流量100sccmで処理室3
に導入して、処理室3内の圧力を8×10-3Torrに
保つ。放電管51の内部にヘリコン波高温非平衡プラズ
マ60を発生させる。処理室3内には磁場発生機構90
によりマルチカスプ磁場を形成する。高周波電源33か
ら1500Wの電力を出力して基板ホルダ−2にバイア
ス電圧を印加し、基板1は200℃に加熱する。この条
件で、直径10インチの大面積シリコンウェーハ上にS
iO2膜を堆積し、膜厚分布2μm±3%を得た。処理
室3の内壁面はフッ素樹脂で覆い、中性活性種の減少を
防いだ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、プラズマを用いて、
基板上に膜を堆積したり基板上の膜をエッチングしたり
基板上の膜を改質したりするプラズマ処理方法及び装置
に関する。この発明のプラズマ処理方法は、例えば、プ
ラズマで気体を活性化し、これを利用して、センサ−、
光学部品、音響製品、半導体デバイス等に用いられる各
種の膜(絶縁体膜、保護膜、半導体膜、金属膜等)を生
成すること、これらの膜をエッチングすること、被処理
物の表面クリ−ニングや表面改質を行うこと、刃物やバ
イトの表面硬化処理を行うこと、などの分野に関係す
る。
【0002】
【従来の技術】気体を放電プラズマによって活性化し、
この活性種を用いて基板表面に目的物質を堆積させて薄
膜化したり、エッチングや表面改質等の処理をしたりす
る方法は、処理が低温で可能であること、従来にない処
理が可能となること、などの利点から、近年急速な進展
をみせている。活性種とは、遊離種(ラジカル)、励起
種、電子、イオン、またはこれらの混合物をいう。
【0003】ところで、センサ−や光学部品、特に半導
体デバイス等の分野では、大面積で均一かつ高速な表面
処理が求められている。このため、大面積で均一な高密
度プラズマを作製して、活性種を制御しながら表面処理
が行える装置が求められている。一方、刃物、バイト等
の硬化を目的とした表面処理においては、ダイアモンド
ライク膜やBN膜の作製を高速で行う必要性が生じてい
る。このため、活性種の濃度が高い場所に基板を設置し
て高速な表面処理を行う装置の開発が望まれるようにな
っている。
【0004】このような高速で良質な表面処理プロセス
を実現するためのプラズマとしてヘリコン波高温非平衡
プラズマを用いることが考えられている。ヘリコン波を
用いて高温非平衡プラズマを作成すると、低圧力で高密
度のプラズマを得ることができ、このプラズマを利用し
たプロセス技術が注目されている。なお、高速で良質な
表面処理プロセスを実現した発明として、特公平4−7
1575号公報、特開昭62−227089号公報、及
び特開昭63−166971号公報に記載されたものが
ある。これらの発明は本願出願人の出願によるものであ
り、その明細書に記載された通り、極めて良質の表面処
理を行なうことが可能である。このうち、特公平4−7
1575号公報に記載されたプラズマ処理装置は、J. V
ac. Sci.Technol. A4(3)(1986) の p.475-479に記載さ
れているように、半導体デバイス用薄膜作製装置として
重要である。なお、前記3件の公報の明細書中に「LT
Eプラズマ」という用語が出てくるが、これは本願明細
書における「高温非平衡プラズマ」と同じものである。
【0005】また、近年、たとえば半導体デバイスの作
製において、ウェーハサイズがより一層大きくなってき
ている。また、ディスプレイ関係においてもより大型の
ディスプレイが求められてきている。このように表面処
理を行う表面積が広がったため、またこれらについて高
速な表面処理も要求されるため、より一層、均一で大面
積対応の高密度プラズマ作成技術が求められている。
【0006】ところで、大面積で均一な表面処理をする
技術として、マルチカスプ磁場を利用するものが知られ
ている。例えば、プラズマ発生室にマルチカスプ磁場を
形成するものや、プラズマ発生室から処理室に至る経路
あるいは処理室自体にマルチカスプ磁場を形成するもの
などが知られている(例えば、特開昭63−19222
9号公報、特開平2−17636号公報、特開平2−2
22532号公報)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ヘリコン波プラズマに
よる低圧高密度プラズマの利点と、高温非平衡プラズマ
の活性種密度の高さと、マルチカスプ磁場による均一性
の利点とを生かすための具体的なプラズマ処理装置が望
まれている。この発明の目的は、高速かつ大面積で均一
な基板処理を実現するためのプラズマ処理方法及び装置
を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段及び作用】第1の発明は、
プラズマ発生室と、プラズマ発生室に隣接して配置され
た処理室と、処理室内に設置されて被処理基板を保持す
る基板ホルダ−と、プラズマ発生室と処理室内とを真空
に排気する排気機構と、被処理基板の表面処理に必要な
気体をプラズマ発生室と処理室の少なくとも一方に導入
する気体導入機構とを備えるプラズマ処理装置を用いて
基板を処理するプラズマ処理方法において、前記プラズ
マ発生室でヘリコン波を発生させ、このヘリコン波によ
って高温非平衡プラズマを作り気体を活性化することに
よって活性種を生成し、この活性種を処理室に導入し、
処理室の内部に形成したマルチカスプ磁場によって処理
室内部のプラズマを中央付近に閉じ込め、前記活性種に
よって基板を処理するようにしたものである。なお、こ
の明細書において「基板」とは、プラズマ処理を実施す
る対象物を意味し、薄い板状のものに限らず、任意の形
状を含む。
【0009】このプラズマ処理方法では、まず、ヘリコ
ン波を用いることによって効果的に高温非平衡プラズマ
を作り、低圧で多量の活性種を生成することができる。
そして、マルチカスプ磁場を形成した処理室にこの活性
種を導いて、基板の処理を行う。ところで、マルチカス
プ磁場は荷電粒子の動きに影響を及ぼして、プラズマを
処理室の中央付近に閉じ込めることができる。これによ
り、高密度で均一なプラズマを処理室内に維持すること
ができ、このプラズマ中に存在する活性種を用いて基板
を均一に処理することができる。なお、気体プラズマに
おける「ヘリコン波」は、別名「ホイッスラーモード」
とも呼ばれる。
【0010】また、中性の活性種が基板処理に関与する
場合も多い。中性活性種とは、電気的に中性の遊離種及
び励起種をいう。遊離種とは、もとの安定した分子から
遊離した活性的な原子または分子を指し、原則的には基
底状態にある。励起種とは、原子または分子が基底状態
から励起状態に移ったことによって活性的な状態になっ
たものである。マルチカスプ磁場は、これらの中性活性
種の挙動には直接は影響を及ぼさない。したがって、中
性活性種は、特に低い圧力領域では、処理室の内壁面に
ひんぱんに衝突することになる。処理室の内壁面に中性
活性種が衝突すると、内壁面の材質によっては活性状態
が失われることになる。そこで、処理室の内壁面の材質
を工夫することによって、中性活性種が衝突しても、で
きるだけ活性状態のままで中性活性種が処理室の内部に
戻るようにすることが望ましい。しかしながら、処理室
の内壁面がプラズマにさらされると、内壁面の材質の選
択の幅が限られ、有効な中性活性種反射部材を用いるこ
とが不可能になる。そこで、この発明のようにマルチカ
スプ磁場を用いていると、プラズマが処理室の内壁面か
ら離れているので、最適な中性活性種反射部材を選択で
きる利点がある。中性活性種反射部材の材質としてはフ
ッ素樹脂または酸化物が好ましい。フッ素樹脂としては
ポリテトラフルオルエチレンが化学安定性及び高温安定
性に優れていて最も好ましい。酸化物としてはSiO2
系のガラスやアルミナ(Al23)などを用いることが
できる。中性活性種反射部材の材質は、使用する中性活
性種の種類に応じて選択するのが好ましい。
【0011】この発明における高温非平衡プラズマの意
味は、本願出願人の出願による特公平4−72575号
公報に記載された「LTEプラズマ」と同じである。こ
の公報に記載された通り、高温非平衡プラズマは、通常
のグロー放電プラズマと比較して多量の活性種を発生す
ることができる。
【0012】第2の発明は、第1の発明において、基板
の表面処理に必要な第1の気体をプラズマ室に導入し
て、この第1の気体をヘリコン波高温非平衡プラズマ内
を通過させて活性種を生成するとともに、基板の表面処
理に必要な第2の気体を処理室に導入して、基板を処理
するものである。
【0013】第3の発明は、プラズマ発生室と、プラズ
マ発生室に隣接して配置された処理室と、処理室内に設
置されて被処理基板を保持する基板ホルダ−と、プラズ
マ発生室と処理室内とを真空に排気する排気機構と、被
処理基板の表面処理に必要な気体をプラズマ発生室と処
理室の少なくとも一方に導入する気体導入機構とを備え
るプラズマ処理装置において、前記プラズマ発生室をヘ
リコン波高温非平衡プラズマ発生室として、前記処理室
にマルチカスプ磁場発生機構を設けたものである。
【0014】
【実施例】図1は本発明のプラズマ処理方法を実施する
ための装置の一例の正面断面図である。このプラズマ処
理装置は、主として、処理室3と、その内部の基板ホル
ダー2と、この基板ホルダー2の電位を制御するための
電位制御機構30と、排気機構40と、ヘリコン波高温
非平衡プラズマ発生機構50と、第1の気体導入機構7
0と、第2の気体導入機構80と、マルチカスプ磁場発
生機構90とから構成されている。以下、各部の構造を
詳細に説明する。
【0015】処理室3内には基板ホルダー2があり、こ
の基板ホルダー2上に、表面処理を行う基板1が保持さ
れる。処理室3はオ−ステナイト系ステンレス鋼製で、
内径が約45cm、高さが30cmである。基板ホルダ
−2の直径は約30cmである。処理室3の材質はアル
ミニウム系の金属を用いてもよい。
【0016】基板ホルダ−2には温度調整機構20が設
けられている。熱電対21は基板ホルダー2の温度を測
定する。基板ホルダー2は加熱用ヒーター22で加熱さ
れ、また、冷却パイプ23内を流れる冷却媒体によって
冷却される。冷却媒体としては、圧縮空気やHe等の気
体、あるいは水が使われる。熱電対21で測定した基板
ホルダ−2の温度に基づいて、図示しない温度調整器に
より、ヒ−タ−22への供給電力や、冷却パイプ23内
の冷却媒体の温度や供給量を調整し、目的とする基板温
度に設定することができる。
【0017】基板ホルダ−2には、また、基板の電位を
制御するための電位制御機構30が設けられている。基
板ホルダ−2と処理室3との間には絶縁体31があり、
両者を電気的に絶縁している。基板ホルダー2には、コ
ンデンサ−32を通して高周波電源33から高周波電力
を印加する。例えば周波数13.562MHzの高周波
を電力1500Wに調節して基板ホルダ−2に印加す
る。コンデンサ−32は、高周波印加時のインピ−ダン
スを整合する。整合回路として一般に知られているT型
回路を用いると、このようなコンデンサー32が必然的
に形成されるが、このコンデンサ−32は、高周波電力
の印加によって生じる基板1のセルフバイアス(直流の
バイアス成分)が接地されないようにする役割を果た
す。このセルフバイアスは、一般に負の直流成分であ
り、これによって、処理室3内に存在する活性種のうち
正電荷を有するものが基板1に向かって加速される。ま
た、周波数がkHzオーダーの高周波電源を用いること
も可能で、この場合は、セルフバイアス成分のみならず
高周波電界によっても正電荷を運動させることができ、
活性種の照射と負電荷の活性種の照射を任意に選択する
ことが可能となる。さらに、高周波電源33の代わりに
直流電源または50〜60Hzの商用周波数電源を用い
ることもできる。この場合は、コンデンサ−32は取り
除くことになる。
【0018】次に、排気機構40について説明する。処
理室3内の気体は、メインバルブ41を通してタ−ボ分
子ポンプ42で排気する。油回転ポンプ43はタ−ボ分
子ポンプ42の差動排気を行なうためのものである。処
理室3内の圧力を精密に制御する必要がある場合は、メ
インバルブ41とタ−ボ分子ポンプ42との間にバリア
ブルコンダクタンスバルブ(図示しない)を設置すると
有効である。処理室3に設けた圧力計(図示しない)か
らの信号に基づいてバリアブルコンダクタンスバルブの
コンダクタンスを変化させることにより、処理室3内の
圧力を一定に保つことができる。また、基板交換時のよ
うに、処理室3を大気圧からタ−ボ分子ポンプ42の動
作可能圧力(約1Torr)まで排気するためには、図
示しない荒引き排気系が必要である。荒引き排気系に
は、ル−ツポンプと油回転ポンプを併用することが有効
である。
【0019】次に、ヘリコン波高温非平衡プラズマ発生
機構50について説明する。プラズマ発生室は石英ガラ
ス(SiO2)製の放電管51で形成される。この放電
管51は、石英ガラスの2重管としてあり、その間に水
を流して冷却している。これにより、プラズマ加熱によ
る放電管51の溶解を防止している。なお、フッ素ラジ
カルがプラズマ発生室内にある場合は、放電管51の温
度が高くなるほどフッ素ラジカルによる石英ガラスのエ
ッチングレ−トが増加し、石英ガラスのダメ−ジが大き
くなるが、上述の冷却手段はこれを阻止するにも有効で
ある。
【0020】放電管51の周囲にはアンテナ52aが配
置されている。アンテナ52aの周囲には電磁石55か
らなる磁場発生機構がある。高周波電源53から発せら
れた交番電力は、図示しない整合回路を通してアンテナ
52aに印加される。プラズマ発生室に気体を導入し
て、上述の交番電力と磁場と放電管51の内径等が所定
の条件を満足すると、ヘリコン波高温非平衡プラズマ6
0が発生する。スイッチ54は、アンテナ52aの接地
の方向を選択するものである。なお、アンテナ52aの
両端を浮遊電位としてもよく、あるいは、上端または下
端を接地する構成としてもよい。
【0021】図4(A)はヘリコン波プラズマ発生機構
50のアンテナ52aの形状を示す。このアンテナ52
aは、二つのリングを上下方向に間隔をあけて配置した
ような形状になっている。ただし、これらのリングは1
本の導体で連続している。この形状のアンテナを用いる
と、高いイオン密度のヘリコン波高温非平衡プラズマを
発生させることができる。図6(B)は同様のアンテナ
の別の実施例であり、アンテナ52bの根元の部分は同
軸ケーブル52cとなっている。
【0022】図5は高温非平衡プラズマの特定波長の発
光強度を示すグラフである。このグラフは、放電管51
に窒素ガスを導入してヘリコン波高温非平衡プラズマを
発生させ、4種類の特定波長についてその発光強度の電
力依存性を測定したものである。電力が60Wを越える
と高温非平衡プラズマが発生する。図6はプラズマ中の
気体温度を測定した一例であり、高温となっていること
がわかる。
【0023】次に気体導入機構について説明する。この
実施例は第1の気体導入機構70と第2の気体導入機構
80を備えている。第1の気体導入機構70において、
第1の気体は、図示しない気体ボンベから減圧弁を通
り、流量コントロ−ラによって流量制御され、バルブ7
1を通して矢印72の方向から放電管51の内部に導入
される。この第1の気体はヘリコン波高温非平衡プラズ
マ60により活性化され、これにより高濃度の活性種4
が生じる。
【0024】第2の気体導入機構80において、第2の
気体は、図示しない気体ボンベから減圧弁を通り、流量
コントロ−ラによって流量制御され、バルブ81を通し
て矢印82の方向から処理室3内に導入される。第2の
気体は、ド−ナツ形のガス吹き出しリング83に設けた
多数の小孔84を通して、処理室3の内部に導入され
る。
【0025】第2の気体のみではヘリコン波高温非平衡
プラズマ60が不安定となる場合に第1の気体としてア
ルゴン等を用いると、ヘリコン波高温非平衡プラズマ6
0を安定化させることが可能となり、制御性の良い、良
質な表面処理が可能となる。
【0026】次に、マルチカスプ磁場発生機構90につ
いて説明する。図2(A)は図1のA−A線断面図であ
る。処理室3の外壁の周囲に多数の磁石91を配置する
ことによってマルチカスプ磁場93を形成している。個
々の磁石91は上下方向に長く延びており(図1参
照)、処理室の内部にはライン状のマルチカスプ磁場9
3が形成される。磁石91は、サマリウム−コバルト磁
石などの強力な磁石を、小型にして密に配置するのが好
ましい。処理室3と反対側の磁極面は、フェライト系ス
テンレス鋼で作製したポ−ルピ−ス92に固定してお
り、こうすると、より効果的に磁場を発生させることが
できる。
【0027】図2(B)は処理室の壁面付近を拡大した
平面断面図である。処理室3の内壁面は中性活性種反射
部材94で覆われている。この中性活性種反射部材94
は、マルチカスプ磁場の尖点95付近には存在せず、尖
点95から離れた位置にだけ設置されている。この実施
例では中性活性種反射部材94はポリテトラフルオルエ
チレンで形成されている。この中性活性種反射部材94
は処理室3の内壁面にコーティングされている。マルチ
カスプ磁場93の存在により、処理室3内のプラズマは
処理室3の中央付近に閉じ込められ、プラズマが中性活
性種反射部材94に触れることはない。また、尖点95
付近ではプラズマは壁面に近付くことができるが、この
部分には中性活性種反射部材94は存在しないので、や
はり中性活性種反射部材94がプラズマにさらされるこ
とはない。したがって、中性活性種反射部材94がダメ
ージを受けたり、基板処理に不都合な物質が処理室内に
飛散したりすることがない。中性活性種はマルチカスプ
磁場93に閉じ込められることなく中性活性種反射部材
94に衝突することになるが、中性活性種は中性活性種
反射部材94で反射して、活性状態を維持したまま、処
理室の内部に戻ることができる。もし、中性活性種反射
部材94が存在しない場合には、中性活性種がステンレ
ス鋼の内壁面に衝突することになり、その活性が失われ
てしまう。
【0028】なお、図2(A)の例では、ポールピース
92は環状に形成されているが、図2(B)の例では、
ポールピース92bは隣り合う一対の磁石91だけを連
結するように分割されている。後者のようにすると、ポ
ールピース92bの間から処理室3の外壁に近付くこと
ができるので、のぞき窓や各種のポートを磁石91の間
に設置することができる。
【0029】次に、図1及び図2に示した装置を実際の
表面処理プロセスに応用した例を示す。図1において、
第1の気体導入機構70を通して酸素ガスを200sc
cmの流量で流す。また、第2の気体導入機構80を通
してシランガスを100sccmの流量で流す。処理室
3内の圧力は8×10-3Torrに保つ。高周波電源5
3から13.560MHz、2kWの交番電力を出力
し、放電管51の内部にヘリコン波高温非平衡プラズマ
60を発生させる。また、高周波電源33から13.5
62MHz、1500Wの交番電力を出力し、基板ホル
ダ−2にバイアス電圧を印加する。基板1は基板ホルダ
−2を通して200℃に加熱保持する。このような条件
を用いて、直径10インチの大面積シリコンウェーハ上
にSiO2膜を堆積した。その膜厚分布は2μm±3%
となり、膜厚の均一性がきわめて良好であった。
【0030】このSiO2 膜が基板に堆積するまでには
次のような現象が生じている。第1の気体導入機構70
から導入された酸素ガスはヘリコン波高温非平衡プラズ
マ60によって活性化され、多量の酸素原子(中性活性
種)が生じる。一方、シランガス(SiH4)は処理室
内のプラズマによって分解してSiH3となる。上述の
酸素原子は処理室内で広がり、加熱された基板1からの
熱エネルギーの助けを借りて、SiH3 と反応し、基板
1上にSiO2膜が堆積する。処理室3内の圧力は2×
10-2〜5×10-4Torrと低いので、その平均自由
行程は比較的長く、酸素原子は他の粒子にあまり衝突す
ることなく、処理室の内壁面付近に頻繁に到達すること
になる。酸素原子が中性活性種反射部材94(図2
(B)参照)に衝突すると、その大部分は酸素原子のま
ま(すなわち、活性状態を保ったまま)反射して、処理
室内部に戻っていく。
【0031】もし、中性活性種反射部材94が存在しな
いと、酸素原子はステンレス鋼製の処理室の内壁面に直
接衝突して、一時的に壁面金属と結合して酸化物となっ
てしまう。この部分にさらに酸素原子が衝突すると、金
属と結合していた酸素原子と反応して、酸素分子を作
る。この酸素分子が処理室内に戻っても、膜堆積反応に
寄与することはなく、単に排気されてしまうことにな
る。
【0032】結局、この実施例によれば、ヘリコン波高
温非平衡プラズマで生成された多量の酸素原子が、処理
室内で無駄に失われることなく膜堆積反応に寄与するこ
とができ、低い圧力においても(すなわち平均自由行程
が比較的長くて、中性活性種が壁面に衝突しやすくて
も)、高速の膜堆積処理が可能となった。
【0033】また、この実施例において、電位制御機構
30は、SiO2膜のステップカバレージを向上させる
のに役立っている。SiO2膜の堆積自体は、上述のよ
うに酸素原子が反応に寄与しているが、電位制御機構3
0を用いると処理室内の正イオンによって膜を衝撃する
ことができる。これにより、シリコンウェーハ上にあら
かじめ作製されているパタ−ンの段差部側面において、
SiO2膜の被覆性を向上させることができる。この正
イオンに対しては、マルチカスプ磁場によるプラズマ閉
じ込め作用が働いて、正イオンによる衝撃作用の効果が
大面積にわたって均一に生じることになる。電位制御機
構30を用いない場合にはステップカバレージ特性が劣
ることになる。電位制御機構30を用いた場合、ウェー
ハ上にあらかじめ存在した1μmの段差上に、SiO2
膜を約4μmの厚さで堆積することにより、表面が平坦
になった。この技術は、半導体の集積度の増加にともな
って用いられる多層配線の作製技術や微細パタ−ンの露
光技術(露光の際に必要とされる被写体深度が浅い。)
にとって特に重要である。
【0034】ところで、第1の気体導入機構70から酸
素とシランの両者を導入した場合には、主としてヘリコ
ン波プラズマ60の内部およびその近傍で反応が進んで
しまい、その結果、基板処理の均一性が悪くなり、原料
ガスの有効利用もできないという欠点がある。一方、第
2の気体導入機構80から酸素とシランの両者を導入し
た場合には、放電管51内に拡散した酸素だけがヘリコ
ン波プラズマで活性化されることになり、酸素の活性化
効率が減少して、やはり原料ガスの有効利用ができない
欠点がある。したがって、SiO2膜の堆積には、上述
のように第1の気体導入機構70と第2の気体導入機構
80とを併用することが非常に有用であった。
【0035】また、上記の膜作製条件において、第1の
気体導入機構70から酸素ガスの代わりに亜酸化窒素ガ
ス(N2O)を導入すると、窒素が少量混入したSiO2
膜(SiON膜と言うこともある。)を作製することが
できる。さらに、酸素ガスの代わりに、アンモニアガス
あるいは窒素希釈のアンモニアガスを用いるとSiN膜
を作製することができる。このSiN膜は半導体デバイ
スのパッシベ−ション用やTFT(薄膜トランジスタ)
のゲ−ト絶縁膜用として使用できる。このSiN膜の場
合、電位制御機構30を用いるとステップカバレ−ジの
みならず堆積膜のストレスをも制御することが可能であ
る。
【0036】さらに、第1の気体導入機構70から酸素
ガスを導入するだけで、第2の気体導入機構80を使用
しない場合には、フォトレジストのアッシングや有機物
除去のためのクリ−ニング、あるいは基板材質の表面酸
化等に利用することができる。たとえばフォトレジスト
のアッシングや有機物の除去のためのクリ−ニングにお
いては、基板の温度を約120℃にすると有効に処理で
きた。この場合、酸素の流量は100sccmより多量
の方が効果は大であった。この場合にも直径10インチ
のシリコンウェーハにおいて均一性の良い処理が可能で
あった。
【0037】基板材質を酸化する処理としては、酸化物
超伝導体の作製、タンタル、チタン、ルテニウム、イリ
ジウム、タングステン、アルミニウム等の金属酸化膜の
作製、シリコンの酸化膜作製などに有効である。タンタ
ルの酸化膜は半導体デバイスのキャパシタ用誘電体膜と
して利用できる。チタンは二酸化チタン半導体電極とし
て、ルテニウム、イリジウム、タングステンの酸化物は
イオン導電性膜として、各種センサ−のセンシング物質
薄膜用あるいはクロミズム用薄膜として利用できる。ア
ルミニウム酸化物は各種デバイスの絶縁体薄膜として利
用できる。これらの酸化処理の酸化層の厚さは直径10
インチの領域内で±3%の分布に収まり、非常に良好な
均一性を得ることができた。
【0038】図3は本発明の第2実施例の正面断面図で
ある。図1に示す実施例とは、マルチカスプ磁場発生機
構が異なっており、その他の部分は同じである。したが
って、図1の実施例と同じ部分には同じ符号を付けてあ
る。この実施例のマルチカスプ磁場発生機構90aは、
その側壁の外側において上下方向に磁極を交互に配置す
ることによってリング状のマルチカスプ磁場を形成して
いる。また、処理室3の上側と下側にも磁石を配置して
いる。各磁石91aは図1に示す磁石よりも小型にし
て、かつ、密に配置している。この実施例では、図1の
実施例に比べてマルチカスプ磁場発生機構の製作に手数
がかかるが、処理室内での活性種の利用効率を上げるこ
とができる。
【0039】上述のすべての実施例において、第1の気
体導入機構70を取り除くこともでいる。このようにす
ると、活性種の発生の観点からは上述の通り不利である
が、装置製造上の観点からは、放電管51の加工及び取
り付けが容易となる利点がある。
【0040】
【発明の効果】本発明は、ヘリコン波高温非平衡プラズ
マを用いて低圧で多量の活性種を生成するとともに、マ
ルチカスプ磁場によって処理室内のプラズマを均一に閉
じ込めることにより、高速かつ均一に大面積にわたって
良質の基板処理が可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例の正面断面図である。
【図2】図1のA−A線断面図と、処理室壁面近傍の拡
大水平断面図である。
【図3】本発明の第2実施例の正面断面図である。
【図4】アンテナの形状を示す斜視図である。
【図5】プラズマの発光強度を示すグラフである。
【図6】プラズマ中の気体温度を示すグラフである。
【符号の説明】
1…基板 2…基板ホルダ− 3…処理室 4…活性種 20…温度調整機構 30…電位制御機構 40…排気機構 50…ヘリコン波高温非平衡プラズマ発生機構 60…ヘリコン波高温非平衡プラズマ 70…第1の気体導入機構 80…第2の気体導入機構 90…マルチカスプ磁場発生機構

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プラズマ発生室と、プラズマ発生室に隣
    接して配置された処理室と、処理室内に設置されて被処
    理基板を保持する基板ホルダ−と、プラズマ発生室と処
    理室内とを真空に排気する排気機構と、被処理基板の表
    面処理に必要な気体をプラズマ発生室と処理室の少なく
    とも一方に導入する気体導入機構とを備えるプラズマ処
    理装置を用いて基板を処理するプラズマ処理方法におい
    て、 前記プラズマ発生室でヘリコン波を発生させ、このヘリ
    コン波によって高温非平衡プラズマを作り気体を活性化
    することによって活性種を生成し、この活性種を処理室
    に導入し、処理室の内部に形成したマルチカスプ磁場に
    よって処理室内部のプラズマを中央付近に閉じ込め、前
    記活性種によって基板を処理することを特徴とするプラ
    ズマ処理方法。
  2. 【請求項2】 基板の表面処理に必要な第1の気体をプ
    ラズマ室に導入して、この第1の気体をヘリコン波高温
    非平衡プラズマ内を通過させて活性種を生成するととも
    に、基板の表面処理に必要な第2の気体を処理室に導入
    して、基板を処理することを特徴とする請求項1記載の
    プラズマ処理方法。
  3. 【請求項3】 プラズマ発生室と、プラズマ発生室に隣
    接して配置された処理室と、処理室内に設置されて被処
    理基板を保持する基板ホルダ−と、プラズマ発生室と処
    理室内とを真空に排気する排気機構と、被処理基板の表
    面処理に必要な気体をプラズマ発生室と処理室の少なく
    とも一方に導入する気体導入機構とを備えるプラズマ処
    理装置において、 前記プラズマ発生室はヘリコン波高温非平衡プラズマ発
    生室であり、前記処理室にはマルチカスプ磁場発生機構
    を設けたことを特徴とするプラズマ処理装置。
JP5091813A 1993-03-29 1993-03-29 プラズマ処理方法及び装置 Pending JPH06280028A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5091813A JPH06280028A (ja) 1993-03-29 1993-03-29 プラズマ処理方法及び装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5091813A JPH06280028A (ja) 1993-03-29 1993-03-29 プラズマ処理方法及び装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH06280028A true JPH06280028A (ja) 1994-10-04

Family

ID=14037081

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP5091813A Pending JPH06280028A (ja) 1993-03-29 1993-03-29 プラズマ処理方法及び装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH06280028A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH07111261A (ja) * 1993-08-16 1995-04-25 Canon Sales Co Inc 成膜装置及び成膜方法
EP0676793A2 (en) * 1994-04-06 1995-10-11 Canon Sales Co., Inc. Substrate holder and reaction apparatus
JP2002100615A (ja) * 2000-09-26 2002-04-05 Tokyo Electron Ltd プラズマ装置
KR100611610B1 (ko) * 1997-07-02 2006-10-24 어플라이드 머티어리얼스, 인코포레이티드 Hdp-cvd시스템에서의입자성능을개선하기위한시즈닝프로세스에서의산소대실란비율조절

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH07111261A (ja) * 1993-08-16 1995-04-25 Canon Sales Co Inc 成膜装置及び成膜方法
EP0676793A2 (en) * 1994-04-06 1995-10-11 Canon Sales Co., Inc. Substrate holder and reaction apparatus
EP0676793A3 (en) * 1994-04-06 1998-01-21 Canon Sales Co., Inc. Substrate holder and reaction apparatus
KR100611610B1 (ko) * 1997-07-02 2006-10-24 어플라이드 머티어리얼스, 인코포레이티드 Hdp-cvd시스템에서의입자성능을개선하기위한시즈닝프로세스에서의산소대실란비율조절
JP2002100615A (ja) * 2000-09-26 2002-04-05 Tokyo Electron Ltd プラズマ装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7329608B2 (en) Method of processing a substrate
EP0376546B1 (en) Processes depending on plasma generation
KR101333924B1 (ko) 에칭 방법, 컴퓨터 판독 가능한 기록 매체, 및 플라즈마 처리 시스템
TWI512793B (zh) 電漿摻雜製程用摻雜物及添加物之固態導入
WO2000070117A1 (en) Low-temperature compatible wide-pressure-range plasma flow device
JP6723659B2 (ja) プラズマ処理方法及びプラズマ処理装置
JP2008147659A (ja) 弾道電子ビーム促進プラズマ処理システムにおける均一性制御方法及びシステム
JP2005531147A (ja) 基板を処理するための誘電体バリア放電装置及び方法
JPH11260596A (ja) プラズマ処理装置及びプラズマ処理方法
JP2021507517A (ja) 低周波バイアスを利用した誘電体膜の形状選択的な堆積
TW201621973A (zh) 電漿處理裝置
JP3682178B2 (ja) プラズマ処理方法及びプラズマ処理装置
JPS6136589B2 (ja)
JP4123428B2 (ja) エッチング方法
JP2000068227A (ja) 表面処理方法および装置
JPH10134995A (ja) プラズマ処理装置及びプラズマ処理方法
JPH06280028A (ja) プラズマ処理方法及び装置
JP3907444B2 (ja) プラズマ処理装置及び構造体の製造方法
JP3327618B2 (ja) プラズマ処理装置
US6506687B1 (en) Dry etching device and method of producing semiconductor devices
JP2851765B2 (ja) プラズマ発生方法およびその装置
JP2005135801A5 (ja)
JPH0855698A (ja) プラズマ処理装置及びプラズマ処理方法
JP3445657B2 (ja) ダイヤモンド薄膜のecrプラズマエッチング方法
JP2902009B2 (ja) マイクロ波プラズマ処理装置および処理方法