JPH06279990A - 耐摩耗性被膜とその形成方法 - Google Patents

耐摩耗性被膜とその形成方法

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JPH06279990A
JPH06279990A JP9521293A JP9521293A JPH06279990A JP H06279990 A JPH06279990 A JP H06279990A JP 9521293 A JP9521293 A JP 9521293A JP 9521293 A JP9521293 A JP 9521293A JP H06279990 A JPH06279990 A JP H06279990A
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resistant coating
wear
film
group
coating
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JP9521293A
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Motoyuki Tanaka
素之 田中
Akira Nakayama
明 中山
Kazuo Yamagata
一夫 山縣
Yasuhisa Hashimoto
泰久 橋本
Takeshi Yoshioka
剛 吉岡
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Sumitomo Electric Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Electric Industries Ltd
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
    • C03CCHEMICAL COMPOSITION OF GLASSES, GLAZES OR VITREOUS ENAMELS; SURFACE TREATMENT OF GLASS; SURFACE TREATMENT OF FIBRES OR FILAMENTS MADE FROM GLASS, MINERALS OR SLAGS; JOINING GLASS TO GLASS OR OTHER MATERIALS
    • C03C17/00Surface treatment of glass, not in the form of fibres or filaments, by coating
    • C03C17/006Surface treatment of glass, not in the form of fibres or filaments, by coating with materials of composite character
    • C03C17/007Surface treatment of glass, not in the form of fibres or filaments, by coating with materials of composite character containing a dispersed phase, e.g. particles, fibres or flakes, in a continuous phase
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
    • C03CCHEMICAL COMPOSITION OF GLASSES, GLAZES OR VITREOUS ENAMELS; SURFACE TREATMENT OF GLASS; SURFACE TREATMENT OF FIBRES OR FILAMENTS MADE FROM GLASS, MINERALS OR SLAGS; JOINING GLASS TO GLASS OR OTHER MATERIALS
    • C03C2217/00Coatings on glass
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    • C03C2217/42Coatings comprising at least one inhomogeneous layer consisting of particles only

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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】工具、機械部品、記録媒体等に対してより優れ
た特性を発揮する耐摩耗性被膜と、これを形成する方法
とを提供する。 【構成】基材の表面の耐摩耗性を向上させるために該基
材の表面に被着される耐摩耗性被膜であって、IVa族元
素、Va族元素、VIa族元素、AlおよびSiの窒化物、酸
化物、炭化物、炭窒化物またはホウ化物から選択された
を少なくとも2種類の化合物を粒径20nm以下の結晶粒と
して混在させた超微粒子構造層を含み、全体として膜厚
が 0.1〜15μmである。成膜時に、前記基材に被着させ
る前記被膜を形成する各成分の供給を個別に行い、且
つ、連続して1回に供給する各成分の量が該基材の表面
に1層以上の被膜を形成するに足りない量になるように
該供給時間および供給量を制御し、各成分についてこの
操作を繰り返すことにより最終的な耐摩耗性被膜を得
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐摩耗性被膜とその形
成方法に関する。より詳細には、本発明は、表面に被着
させることにより、各種工具、機械部品、磁気記録媒体
等の基材の表面の耐摩耗性を著しく向上させることがで
きる新規な耐摩耗性被膜と、それを形成するための方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】基材の表面に特定の元素または特定の成
分の化合物を被着させることにより、その基材の表面の
耐摩耗性を向上させる技術が知られている。
【0003】このような技術の最も典型的な用途は、切
削、切断等に使用される機械加工々具や機械の各種摺動
部品である。即ち、この種の部品は、それ自体が硬質な
WC基等の超硬合金、TiC系等の各種サーメット、高速
度鋼等の鋼や硬質合金等により形成されるが、更にその
表面にTi、Hf、Zrの炭化物、窒化物または炭窒化物、Al
酸化物等の薄膜により形成された耐摩耗性被膜を被着さ
せることにより、その表面の耐摩耗性を向上させること
ができる。
【0004】この種の耐摩耗性被膜は、CVD法あるい
はPVD法等の方法で被着させることができるが、CV
D法は、その成膜過程において被膜の下地が不可避に高
温になるので、熱のために基材の硬度、靭性などが劣化
する場合がある。一方、PVD法は比較的低温で処理で
きるので熱による基材の劣化は生じない。そこで、特に
強度が要求されるドリル、エンドミル、フライス用スロ
ーアウェイチップ等の切削工具に対しては一般にPVD
法で耐摩耗性被膜が被着されており、Ti、Hf、Zrなどの
窒化物を主成分とする耐摩耗性被膜が最も普及してい
る。
【0005】しかしながら、PVD法では、耐摩耗性向
上の効果が著しいとされているAl酸化物については安定
に成膜する方法が未だ見出されていない。また、産業界
一般に、より一層の高速度化への要求が常にあり、従来
の耐摩耗性被膜を備えたものでも高速切削、高硬度材料
切削等の用途に対しては依然として充分な耐摩耗性が達
成されているとはいえない。即ち、特に高速切削用途で
は工具寿命が短いと言う問題が顕在化している。
【0006】また、耐摩耗性被膜の典型的な用途の他の
例として光磁気記録媒体を含む磁気記録媒体の表面保護
がある。磁気記録媒体は、それ自体は耐摩耗性が必ずし
も高くないCo−Ni、Co−P、γ−Fe2 3 等の磁気記録
材料を、真空蒸着法、イオンプレーティング法、メッキ
法、スパッタリング法等により薄膜化した記録層を備え
ている。この種の記録媒体に対する情報の記録/再生
は、磁気テープやフレキシブルディスクのように磁気ヘ
ッドを接触させる方式と、固定ディスクや光磁気ディス
クのように媒体とヘッドとを接触させない方式とがある
が、後者の場合もドライブ装置の起動時と停止時にはヘ
ッドが媒体に接触するコンタクト・スタート・ストップ
方式(CSS方式)が一般的なので、結局、いずれの方
式においても記録媒体表面に耐摩耗性が要求される。
【0007】そこで、この種の記録媒体は、表面の耐摩
耗性、基材への密着力、表面の潤滑性等の点で優れた材
料、具体的には二酸化ケイ素、窒化ケイ素、アルミナ等
の酸化物や窒化物あるいは炭素膜等による保護膜を被着
させて製品化されている。ここで、保護膜の耐摩耗性は
その表面硬度に依存する。
【0008】ところで、情報記録媒体の分野において
も、より一層の高密度化、大容量化への不断の要求があ
り、垂直磁気記録媒体等の新しい方式が提案されてい
る。この種の高密度記録方式では、情報記録には直接に
は関係のない保護膜の厚さを50nm以下と薄くすることが
求められる。ところが、従来から知られている耐摩耗性
被膜では、50nmよりも膜厚を大きくしなければ所期の硬
度、密着力、耐摩耗性、耐食性等を達成することができ
ず、通常は80nm程度の膜厚を有している。従って、膜厚
が薄く、且つ、保護膜として有効な耐摩耗性被膜の実現
は重要な課題となっている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上述のように、従来か
ら知られている耐摩耗性被膜はそれぞれに効果を挙げて
いたが近年の用途の拡大には応じ切れなくなってきてい
る。そこで、本発明は、上記従来技術の問題点を解決
し、工具、機械部品、記録媒体等に対してより優れた特
性を発揮する新規な耐摩耗性被膜と、これを形成する方
法とを提供することをその目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明に従うと、
基材の表面の耐摩耗性を向上させるために該基材の表面
に被着される耐摩耗性被膜であって、IVa族元素、Va
族元素、VIa族元素、AlおよびSiの窒化物、酸化物、炭
化物、炭窒化物またはホウ化物から選択されたを少なく
とも2種類の化合物を粒径20nm以下の結晶粒として混在
させた超微粒子構造層を含み、全体として膜厚が 0.1〜
15μmであることを特徴とする耐摩耗性被膜が提供され
る。
【0011】また、上記本発明に係る耐摩耗性被膜を形
成する方法として、本発明により、請求項1から請求項
5までの何れか1項に記載された耐摩耗性被膜を成膜す
る方法であって、成膜時に、前記基材に被着させる前記
被膜を形成する各成分の供給を個別に行い、且つ、連続
して1回に供給する各成分の量が該基材の表面に1層以
上の被膜を形成するに足りない量になるように該供給時
間および供給量を制御し、各成分についてこの操作を繰
り返すことにより最終的な耐摩耗性被膜を得ることを特
徴とする耐摩耗性被膜の形成方法が提供される。
【0012】
【作用】本発明に係る耐摩耗性被膜は、2種類以上の異
なる化合物を非常に細かい結晶粒で混在させた超微粒子
構造層を含むことにより、従来にない高硬度を実現して
いる点にその主要な特徴がある。
【0013】即ち、高分解能走査型電子顕微鏡や透過型
電子顕微鏡等による超微粒構造の観察によると、従来の
耐摩耗性被膜が結晶粒径数百nm以上の単結晶粒によって
形成されていることが判る。このような膜構造を有する
被膜の特性は、その被膜を構成する元素または化合物固
有の特性に依存し、従来の一般的な耐摩耗性被膜ではそ
のビッカース硬度(測定荷重50gf)が2000〜3000Kg/mm
2 程度であることが判っている。
【0014】これに対して、本発明に係る耐摩耗性被膜
は、結晶粒径が20nm以下の結晶により形成された層を含
んでおり、膜中で界面を形成する原子あるいは結晶粒界
に接する原子の割合が大きくなっている。このため、被
膜全体としての特性は、物質固有の特性よりも界面によ
る特性の発現が顕著になっていると考えられ、殊に、結
晶界面での格子歪エネルギーの効果等による高硬度化に
より耐摩耗性は著しく向上されている。従って、具体的
に後述するように、本願発明に係る耐摩耗性被膜は3500
kgf/mm2 以上のビッカース硬度を達成している。
【0015】上述のような独特の膜構造を反映して、耐
摩耗性被膜を形成する成分のうち、NaCl型結晶構造を持
つ結晶粒のCu−Kα線による (111)面回折線の線幅が、
構成する結晶粒の微細化によって生じる回折線幅の拡散
により2θの半価幅で 0.4度以上に拡がっていることが
確認された。
【0016】また、上述のような本発明に係る耐摩耗性
被膜は、その膜厚が 0.1μm未満の場合は耐摩耗性の有
意な向上が見られない。一方、膜厚が15μmを越える
と、膜中の残留応力が大きくなり基材との密着強度が却
って低下する。従って、特に工具に対して適用する場合
には、基材上に被着させる耐摩耗性被膜の全膜厚を 0.5
〜15μmの範囲とすることが好ましい。一方、情報記録
媒体や耐摩耗性機械部品に対する潤滑/保護膜としての
用途では5nm〜2μm程度で充分である。
【0017】ところで、上記超微粒構造層を基材表面に
直接被着させた場合、被膜の実用上の密着強度が従来の
耐摩耗性被膜よりも低くなることがある。これは、基材
と耐摩耗性被膜との界面において物性が急激に変化する
ためであると考えられる。そこで、本発明の好ましい一
実施態様に従うと、基材と超微粒構造層との間に、両者
の中間の物性を有する介在層を設けることにより、界面
における急激な特性の変化を避けられる。従って、例え
ば、被着させた耐摩耗性被膜の残留応力の影響等を緩和
できる。
【0018】尚、この介在層の膜厚は、その材料によっ
ても異なるが、一般に、膜厚が0.05μmよりも小さい場
合は密着強度の有意な向上が見出せない。また、5μm
を越えて膜厚を増加させても密着強度の更なる上昇は見
出せず、従って、0.05〜5μmの範囲が好ましい。
【0019】更に、本発明の一実施態様に従うと、本発
明に係る耐摩耗性被膜の最上層に、厚さ 0.1μm以上、
5μm以下の表面層を設けることも好ましい。即ち、耐
摩耗性被膜の最表面は非常に苛酷な環境に曝されること
が多いので、雰囲気または直接接触しているものとの反
応が起こり易い。このため、被膜表面が変質して耐摩耗
性が劣化する場合もある。一方、超微粒子構造層を構成
する成分は必ずしも反応性の低い成分に限定されるわけ
ではないので、最表面に耐反応性に優れた層を装荷する
ことにより、表面反応に起因する特性の劣化を効果的に
防止することができる。
【0020】なお、この表面層の好ましい膜厚は材料に
よって異なるが、一般に、膜厚 0.1μm未満では有意な
効果が見出せず、一方、膜厚5μmを越えると、直下の
超微粒子構造層の耐摩耗性に優れた特性が充分に発揮で
きなくなる。従って、表面層の膜厚は、典型的な値とし
て、 0.1〜5μmの範囲内とすることが好ましい。
【0021】以上のような構成を有する本発明に係る耐
摩耗性被膜は、対象とする基材の全表面に被着させても
よいが、実際に保護すべき部分、例えば、切削工具や耐
摩耗工具の切刃部分にのみ被着させても所期の効果を挙
げることができる。
【0022】上述のような本発明に係る耐摩耗性被膜
は、基本的に、公知の各種成膜方法を利用できるが、基
材の強度を容易に維持できる点や微粒間での拡散の影響
を小さくできる点で、スパッタリングリング法やイオン
プレーティング法などのPVD法が好ましい。
【0023】更に、本発明に従うと、以下のような方法
により特性の優れた耐摩耗性被膜を成膜することができ
る。
【0024】即ち、被膜を構成する各成分の基材への供
給を個別に且つ、各成分が被膜面前面を連続して覆わな
い程度に極短時間で、即ち、成膜速度に比べて極短時間
の成膜を行い、これを連続的に繰り返す。または、被膜
を構成する各成分の比率を成膜速度に比べて極短時間に
かつ極度に変化させながら成膜する操作を行う。
【0025】これらの方法により、異成分の結晶粒が混
在した薄膜を成膜することができると同時に、複数の成
分の結晶粒が互いに影響し合って結晶粒の成長が妨げら
れ、超微粒構造の薄膜を成膜することができる。
【0026】以下、実施例を挙げて本発明をより具体的
に説明するが、以下の開示は本発明の一実施例に過ぎ
ず、本発明の技術的範囲を何ら限定するものではない。
【0027】
【実施例】図1は、本発明を実施して耐摩耗性被膜を成
膜することができる装置の具体的な構成例を示す図であ
る。
【0028】同図に示すように、この成膜装置は、給排
気手段を備えた真空槽1と、真空槽1の略中央に基材2
を保持するホルダ3と、基材2に対して側方でターゲッ
ト4a、4bを保持するターゲットホルダとを備えてい
る。ここで、ホルダ3は、成膜時に基材2を回転させる
ことができるように構成されており、且つ、外部の電源
5により基材2に直流電圧を印加することができるよう
に構成されている。また、各ターゲット4a、4bにも
アーク電源6が接続されている。このように構成された
成膜装置では、各ターゲット4a、4bとして材料の異
なるターゲットをセットし、ホルダ3を回転させつつ成
膜処理を行うことができる。このとき、基材2の成膜面
の各領域は、ターゲット4aとターゲット4bとの前を
交互に通過することになり、基材2上に異なる成分の結
晶粒が混在する薄膜を成膜することができる。
【0029】(実施例1)JIS規格P30の組成とJI
S規格SNG432 の形状とを有する切削チップを基材と
して用意し、図1に示した装置を用いて、真空アーク蒸
着法によりTi窒化物およびAl窒化物の2成分を含む被膜
をこの基材に被着させた。
【0030】即ち、図1に示した装置において、ターゲ
ット4aとしてTiターゲットを、ターゲット4bとして
Alターゲットをそれぞれセットした。また、ホルダ3に
は上述のような基材としての切削チップをセットし、25
rpm で回転させて、基材の成膜面が各ターゲットに交互
に対面するように設定した。次に、1×10-2TorrのArガ
ス雰囲気下で切削チップに−2000Vの電圧を印加して表
面を洗浄した後 500℃まで加熱した状態でArガスを排気
した。続いて、真空槽1内に 300cc/分の割合で窒素ガ
スを導入しつつ、真空アーク放電により各ターゲットを
蒸発イオン化させた。従って、各ターゲットの正面にお
いて、基材2 の表面にはTi窒化物またはAl窒化物が被着
され、所望の膜厚が得られた時点で成膜処理を停止し
た。こうして、Ti窒化物とAl窒化物とが結晶粒径20nm以
下の結晶粒として混在する被膜を備えた試料No.1が得ら
れた。更に、同様の材料と方法で、更にTi窒化物の層を
加えた積層構造の被膜を被着させた試料(試料No. 2〜
4)も作製した。各試料の仕様は、後述の評価結果を示
す表2に併せて示す。
【0031】更に、比較のために、他の試料と同じ基材
により、本発明の範囲から外れた仕様の試料(試料No.
5〜11)を作製した。即ち、試料No. 5〜7は、PVD
法で成膜したTiNの単層膜、TiNおよびTiCNの複合
膜、TiN、TiCNおよびTiCの複合膜をそれぞれ被着さ
せた切削チップである。試料No. 8、9は、CVD法に
より成膜した、TiCおよびTiNの複合膜、TiNおよびAl
2 3 の複合膜をそれぞれ被着させた切削チップであ
る。また、試料No. 10は、PVD法で成膜したTiAlN単
層の被膜を被着させた切削チップである。更に、試料N
o. 11は、結晶粒径30nmのTiNおよびAlNが混在する被
膜を被着された切削チップである。
【0032】以上のような各試料No.1〜11に対して、下
記の表1に示すような条件で連続切削試験と断続切削試
験とを実施し、切れ刃の逃げ面摩耗量を測定した。測定
結果を表2に併せて示す。
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】また、試料No.1および試料No.11 に対し
て、銅ターゲットおよびニッケルフィルタを用いたディ
フラクトメータでCu−Kα線の回折線をθ−2θ法で観
測し、(111)面の回折線のバックグランドに対するピー
クの高さの1/2における回折線幅をもってその半価幅を
測定した。試料No.1は2θで 0.5度、試料No.11 は2θ
で0.3 度の半価幅をそれぞれ示した。
【0036】(実施例2)実施例1と同じ基材に対し
て、実施例1と同じ条件でZrCとHfCとが混在する被膜
を被着させて試料No. 12〜15を作製した。また、比較の
ために、実施例1の比較試料と同様に試料No. 16〜22を
作製した。これらの各試料について実施例1と同じ条件
で行った評価の測定結果を表3に示す。尚、試料No.12
およびNo.22については、実施例1と同じ条件でX線回
折による半価幅も測定したところ、試料No.12 は2θで
0.4度、試料No.22 は2θで 0.3度をそれぞれ示した。
【0037】
【表3】
【0038】(実施例3)基材の材料として、重量比で
TiC37%、TiN3%、TaN20%、WC15%、Mo3C10
%、Ni10%、Co5%を主として含むサーメットを用意し
た。このサーメットにより実施例1の基材と同じ形状の
基材を作製し、実施例1と同じ条件でTiCNとAlCNと
が混在する被膜を被着させて試料No. 23〜26を作製し
た。また、比較のために、やはり実施例1の比較試料と
同様に試料No. 27〜31を作製した。これらの試料につい
て、実施例1と同じ条件で行った評価の測定結果を表4
に示す。また、試料No.23 およびNo. 31については、実
施例1と同じ条件でX線回折による半価幅も測定したと
ころ、試料No.23 は2θで 0.4度を、試料No.31 は2θ
で0.3度をそれぞれ示した。
【0039】
【表4】
【0040】(実施例4)市販のAl2 3 −TiCセラミ
ックス(重量比でAl2 3 、TiCを各々70%、30%含
む)により実施例1の基材と同じ形状の基材を作製し、
実施例1と同じ条件でTiNとCrNとが混在する被膜を被
着させて試料No. 32〜35を作製した。また、比較のため
に、やはり実施例1の比較試料と同様にして試料No. 36
〜40を作製した。これらの試料について、実施例1と同
じ条件で行った評価の測定結果を表5に示す。また、試
料No.32 およびNo. 40については実施例1と同じ条件で
X線回折による半価幅も測定したところ、試料No.32 は
2θで 0.5度、試料No.40 は2θで 0.3度をそれぞれ示
した。
【0041】
【表5】
【0042】表2〜5に示す測定結果から判るように、
本発明に従う耐摩耗性被膜は、従来の被膜と同じ組成の
材料により形成されているにもかかわらず、超微粒構造
層を含む独特の構成により、優れた耐欠損性および耐摩
耗性を発揮している。
【0043】(実施例5)γ−Fe23を記録層材料とし
た磁気記録媒体の表面にSiO2およびAl23 の混在する
本発明に係る被膜を保護層として被着させた試料No. 41
〜52を作製した。各被膜はスパッタリング法により成膜
した。尚、他の実施例と同じ方法で測定した試料No. 41
〜52のX線回折の半価幅は2θで 0.4〜0.5 度であっ
た。更に、比較試料として、SiO2 を材料とする保護膜
を被着させた試料No.53 を作製した。各試料の特性を評
価した測定結果を表6に示す。尚、本実施例において耐
摩耗性被膜により形成した保護膜は極めて薄いので、通
常の方法でピッカース硬度を測定することができない。
そこで、真空中でArビームにより薄膜をエッチングした
場合に薄膜の硬度とエッチング速度との間に正の相関が
認められるという知見に基づき、表6では、硬度に代え
てエッチング速度(加速電圧3KV)で特性を評価してい
る。
【0044】上述のような各試料を、以下のような接触
摩耗試験法により評価した。即ち、アルミニウムおよび
炭化チタンからなる焼結体(ビッカース硬度4000Kgf/mm
2 )により形成された磁気ヘッドを、荷重60gf/cm2で保
護膜表面に押し付けた後、磁気ヘッドが浮上するまで磁
気ディスクを回転させ、浮上後に回転を停止して再びヘ
ッドをディスク面に接触させる操作を10万回繰り返し
た。試験結果は表6に併せて示す。
【0045】
【表6】
【0046】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明に係
る耐摩耗性被膜は、異種材料の微細な結晶粒が混合され
たその独特の構成により、耐摩耗性のみならず、それ自
体の靭性が向上されている。従って、特に切削工具、耐
摩耗工具等への適用により、それらの摩耗、欠損を減少
させ、長寿命化を促進することができる。
【0047】更に、本発明に係る耐摩耗性被膜は、磁気
記録媒体、光磁気記録媒体等の保護膜のような電気・電
子分野の他、レンズ等の光学分野においても有利に利用
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】真空アーク蒸着法により本発明を実施すること
ができる成膜装置の構成例を模式的に示す図である。
【符号の説明】
1・・・真空槽、 2・・・基材、3・・・ホル
ダ、 4a、4b・・・ターゲット、5・・・電
源、 6・・・アーク電源
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 橋本 泰久 兵庫県伊丹市昆陽北一丁目1番1号 住友 電気工業株式会社伊丹製作所内 (72)発明者 吉岡 剛 兵庫県伊丹市昆陽北一丁目1番1号 住友 電気工業株式会社伊丹製作所内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基材の表面の耐摩耗性を向上させるために
    該基材の表面に被着される耐摩耗性被膜であって、IVa
    族元素、Va族元素、VIa族元素、AlおよびSiの窒化
    物、酸化物、炭化物、炭窒化物またはホウ化物から選択
    された少なくとも2種類の化合物を粒径20nm以下の結晶
    粒として混在させた超微粒子構造層を含み、全体として
    膜厚が 0.1〜15μmであることを特徴とする耐摩耗性被
    膜。
  2. 【請求項2】請求項1に記載された耐摩耗性被膜におい
    て、前記超微粒構造層の厚さが5nm以上、10μm以下で
    あることを特徴とする耐摩耗性被膜。
  3. 【請求項3】請求項1または請求項2に記載された耐摩
    耗性被膜において、IVa族元素、Va族元素およびVIa
    族元素から選択された金属の窒化物、炭化物、炭窒化物
    および酸化物から選択された少なくとも1種の化合物に
    より形成された、厚さ0.05μm以上、5μm以下の介在
    層を、前記基材の直上に備えることを特徴とする耐摩耗
    性被膜。
  4. 【請求項4】請求項1から請求項3までの何れか1項に
    記載された耐摩耗性被膜において、IVa族元素、Va族
    元素およびVIa族元素から選択された金属の窒化物、炭
    化物、炭窒化物および酸化物から選択された少なくとも
    1種の化合物により形成された、厚さ 0.1μm以上、5
    μm以下の表面層を、前記被膜の表面に備えることを特
    徴とする耐摩耗性被膜。
  5. 【請求項5】請求項1から請求項4までの何れか1項に
    記載された耐摩耗性被膜において、該被膜中でNaCl型結
    晶構造を有する成分のCu−Kα線による (111)面の回折
    線が、2θの半価幅で 0.4度以上の拡がりを有すること
    を特徴とする耐摩耗性被膜。
  6. 【請求項6】請求項1から請求項5までの何れか1項に
    記載された耐摩耗性被膜において、前記耐摩耗性被膜の
    表面のビッカース硬度が3500kg/mm2 以上であることを
    特徴とする耐摩耗性被膜。
  7. 【請求項7】請求項1から請求項6までの何れか1項に
    記載された耐摩耗性被膜を成膜する方法であって、 成膜時に、前記基材に被着させる前記被膜を形成する各
    成分の供給を個別に行い、且つ、連続して1回に供給す
    る各成分の量が該基材の表面に1層以上の被膜を形成す
    るに足りない量になるように該供給時間および供給量を
    制御し、各成分についてこの操作を繰り返すことにより
    最終的な耐摩耗性被膜を得ることを特徴とする耐摩耗性
    被膜の形成方法。
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