JPH06279397A - アミノ酸系末梢神経障害改善剤 - Google Patents

アミノ酸系末梢神経障害改善剤

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JPH06279397A
JPH06279397A JP9513293A JP9513293A JPH06279397A JP H06279397 A JPH06279397 A JP H06279397A JP 9513293 A JP9513293 A JP 9513293A JP 9513293 A JP9513293 A JP 9513293A JP H06279397 A JPH06279397 A JP H06279397A
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JP
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group
peripheral neuropathy
action
nerve
compound
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JP9513293A
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Yuzuru Sato
譲 佐藤
Mikio Sagara
幹雄 相良
Takanori Toyoda
隆謙 豊田
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Eisai Co Ltd
Original Assignee
Eisai Co Ltd
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  • Acyclic And Carbocyclic Compounds In Medicinal Compositions (AREA)
  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 末梢神経障害、糖尿病性末梢神経障害、後天
性免疫不全症候群(エイズ)、潰瘍性大腸炎、クローン
病(Crohn 病)、腎症、リューマチ、炎症などの病変に
対する、神経伝達速度改善作用・ラジカルスカベンジ作
用に基づく予防・治療・改善剤を提供する。 【構成】 下記一般式(I)で表されるシステイン誘導
体またはその薬理学的に許容できる塩を有効成分とする
末梢神経障害改善剤。 [式中Rは水素原子またはアセチル基を、Rは水素
原子または低級アルキル基を、Rは水素原子またはカ
ルボキシメチル基を意味する。]

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、末梢神経障害、糖尿病
性末梢神経障害、後天性免疫不全症候群(エイズ)、潰
瘍性大腸炎、クローン病(Crohn 病)、腎症、腎炎、リ
ューマチ、炎症などの病変に対する、神経伝達速度改善
作用・ラジカルスカベンジ作用に基づく予防・治療・改
善剤に関する。
【0002】
【発明の背景】末梢神経障害(ニューロパシー; neuro
pathy )は、遺伝、外傷、中毒、炎症、代謝異常、悪性
腫瘍、末梢神経腫瘍圧迫などの多彩な原因に基づき、知
覚障害、運動障害、筋緊張低下、反射消失、自律神経障
害などの症状を呈する疾患である。その頻度は神経内科
を受診する患者の中では、脳血管障害に次いで多く、そ
の治療に広く有効な薬剤が求められている。診断にあた
っては、自覚症状の訴えに加え、神経学的検査および生
化学検査を行って総合的に判断される。その際に神経学
的検査としては、末梢神経伝達(伝導)速度、針筋電
図、髄液検査、腓腹神経生検などが行われるが、患者に
与える苦痛がより少ない非侵襲的検査が望ましく、末梢
神経伝達速度が一般的に利用されている。
【0003】神経伝達速度は、神経の興奮が伝達(伝
導)する速度であり、一般的には軸索の太さに比例し加
齢と共に低下するが、末梢神経障害においては著しく低
下し、診断にあたり重要な指標となる。このため神経伝
達速度は神経機能の客観的指標としては最も信頼されて
おり、また末梢神経障害の進行と神経伝達速度の低下も
比例すると考えられており、しびれや疼痛等の臨床症状
との相関性も報告されている[ランセットII(Lancet I
I), 758-762,1983.]。従って末梢神経障害の治療にあ
たっては、自覚症状の改善に加え、障害度の客観的指標
である神経伝達速度の改善が、基本的に必須と考えられ
ている。
【0004】このような背景から、自覚症状改善作用と
神経伝達速度改善作用を合わせ持つ末梢神経障害改善剤
が求められてきた。
【0005】
【従来技術】国内において末梢神経障害改善剤として、
現在許可されているのは、メコバラミン(メチルビタミ
ンB12 )およびエパルレスタット(Epalrestat)の2品の
みであり、その薬理効果は、ホルモン・メタボリズム・
リサーチ(Horm.Metab.Res.),20(11),717-18,1988.ある
いは現代医療,18(増III),449-466,1986.等にそれぞれ記
載されている。
【0006】一方開発途上にあるものとしてはアルドー
ス還元酵素阻害剤が圧倒的に多い。これは、糖尿病にお
いては高血糖状態が続くことによりブドウ糖から果糖に
至るポリオール代謝経路が亢進し、末梢神経組織内にソ
ルビトールが蓄積して神経伝達機能障害が起こると考え
られており[アメリカン・レビュー・オブ・メディスン
(Am.Rev.Med.),26,521,1975.など]、このポリオール代
謝経路における律速酵素であるアルドース還元酵素の阻
害剤が有効と推定されるためである。上記エパルレスタ
ット以外に具体的には、例えば下記のものを挙げること
ができる。 (1) パナルレスタット(Panalrestat) [ブリティッシュ
・ジャーナル・オブ・ファーマコロジー(Br.J.Pharmaco
l),107(4),939-44,1992.、ジャーナル・オブ・クリニカ
ル・インベスティゲーション(J.Clin.Invest.),85(5),1
410-20,1990.など] (2) SNK-860 [メタボリズム・クリニカル・エクスペリ
メント(Metab.Clin.Exp.),41(10),1081-6,1992. ] (3) イミレスタット(Imirestat) [ディアベトロジア(D
iabetologia),34(6),397-401,1991.] (4) ソルビニール(Sorbinil)[ニュー・イングランド・
ジャーナル・オブ・メディスン(New Eng.J.Med.),319
(9),548-555.、ディアベトロジア(Diabetologia), 29
(3),168-74,1986.、ディアベテス(Diabetes), 31(9),78
9-94,1982.など] (5) スタチル(Statil)[糖尿病,33(6),485-7,1990.、メ
タボリズム・クリニカル・エクスペリメント(Metab.,Cl
in.Exp.), 41(7),778-82,1992.など]
【0007】アルドース還元酵素阻害剤以外で開発中の
先行技術は少ないが、以下の化合物も挙げることができ
る。 (1) 4−メチルカテコール[エクスペリメンタル・ニュ
ーロロジー(Exp.Neurol.),115(2),292-6,1992.]、 (2) ガングリオシド(Ganglioside) [アーシーブ・イン
ターナショナール・ド・ファーマコダイナミー・エ・ド
・テラピー(Arch.Int.Pharmacodyn.Ther.),287(2),211-
23,1987.] (3) シクランデレート(Cyclandelate), [アクタ・ニュ
ーロロジー・スカンジナビア(Acta Neurol.Scand.), 8
4,483-486,1991.]
【0008】
【本発明が解決しようとする問題点】前記のように、国
内においてはメコバラミン(メチルビタミンB12 )およ
びエパルレスタット(Epalrestat)の2品が、末梢神経障
害改善剤として許可されているが、メコバラミンの神経
伝達速度改善作用は強力な部類とは言えず、自覚症状の
改善が中心となる。
【0009】一方エパルレスタットの神経伝達速度改善
作用は、統計学的にも臨床上も有意な作用であり有用な
薬剤と言えるが、前述のようにその作用機序はアルドー
ス還元酵素阻害に基づくため、糖尿病性を除く他の末梢
神経障害に対しては無効である。末梢神経障害において
糖尿病性が占める割合は少なくはないが、最初に述べた
ように、末梢神経障害は、遺伝、外傷、中毒、炎症、代
謝異常、悪性腫瘍、末梢神経腫瘍圧迫などの多彩な原因
に基づく病態であり、幅広い対象に臨床上の有効性が求
められる。従ってエパルレスタットに加え、他の多くの
開発中のアルドース還元酵素阻害剤についても、その作
用機序から同様に、適応症は糖尿病性末梢神経障害に限
定され、広く末梢神経障害すべてに対する有効性を期待
することはできない。
【0010】また4−メチルカテコールは神経成長因子
(NGF) の産生促進剤であるが、構造的に、ドーパミン、
ノルアドレナリン、アドレナリン等の神経伝達物質と類
似しており、依然として神経伝達物質受容体との親和性
を有する。このため神経成長因子の産生促進に基づく神
経伝達速度改善作用以外にも、神経興奮作用、心脈管作
用などの多くの薬理作用が同時に発現し、医薬品として
の臨床応用は非常に難しいと言える。
【0011】ガングリオシドはウシの脳から抽出された
糖脂質であり、神経細胞の再生・分化・新生に関与し、
神経線維の再生促進作用がある。しかし経口投与では吸
収されず、静脈内投与では速やかに代謝されるため、投
与経路が筋肉内注射に限定され、長期間投与には向かな
い欠点がある。
【0012】シクランデレートは、脳・末梢血流促進剤
として既に許可され臨床応用されている薬剤であるが、
血液の流動性(レオロジー)を改善するため、末梢神経
に対する血液循環量を増加させ、神経伝達速度改善作用
を発現すると期待された。しかし、プラセボ(偽薬)を
比較対象とする二重盲検試験を糖尿病患者に実施した結
果、その有効性を見出すことはできなかった。[アクタ
・ニューロロジー・スカンジナビア(Acta Neurol.Scan
d.), 84,483-486,1991.]
【0013】このように、アルドース還元酵素阻害剤を
中心とする、糖尿病性末梢神経障害に限定された末梢神
経障害改善剤はあるが、対象を限定されず、他の多くの
原因に基づく幅広い末梢神経障害に対しても有効な薬剤
はないのが現状である。このため、臨床で有用性の高い
医薬品が強く望まれていた。
【0014】
【課題を解決するための手段】N−アセチルシステイン
は、気道粘液溶解剤(去痰剤)として、これまで長年臨
床使用されている化合物であるが、ラジカルスカベンジ
作用を有するグルタチオン(Glutathione) の生合成前駆
体でもあり、マウスを用いた実験において腫瘍壊死因子
(TNFα)の産生を抑制すること、および糖尿病状態にお
いては生体内のグルタチオン産生が低下することがすで
に知られている[セルラー・イムノロジー(Cellular Im
munology), 140,390-399,1992.など]。従って糖尿病に
おいては腫瘍壊死因子(TNFα)の産生が亢進していると
考えられ、本発明者らは自然発症糖尿病ラットにおい
て、内因性腫瘍壊死因子(TNFα)の産生が亢進している
ことを確認し、報告した[クリニカル・イムノロジー・
アンド・イムノパソロジー(Clin.Immuno.Immunopatho
l.),62,258,1992.]。
【0015】内因性腫瘍壊死因子(TNFα)は、血管内皮
増殖作用や逆の血管内皮障害作用等の薬理作用を有して
おり、糖尿病性合併症を促進すると考えられている。こ
れより糖尿病性細小血管障害や大血管障害などに対す
る、N−アセチルシステインの有効性が期待されてき
た。しかし末梢神経障害に対する有効性はこれまで全く
知られていなかった。
【0016】本発明者らは長年N−アセチルシステイン
の薬理作用について研究を行ってきたが、意外にも本発
明化合物(I) は神経伝達速度改善作用も有することを、
初めてin vivo 実験で見出し本発明を完成した。本発明
にかかるシステイン誘導体(I) は、アルドース還元酵素
阻害剤とは作用機序が全く異なるため、幅広い末梢神経
障害に対して有効である。
【0017】従って本発明の目的は、臨床的有用性が高
く、対象の広い末梢神経障害剤を提供することにある。
具体的には一般式(I) で表されるシステイン誘導体また
はその薬理学的に許容できる塩を有効成分とする、末梢
神経障害、糖尿病性末梢神経障害、後天性免疫不全症候
群(エイズ)、潰瘍性大腸炎、クローン病(Crohn
病)、腎症、腎炎、リューマチ、炎症などの病変に対す
る、神経伝達速度改善作用・ラジカルスカベンジ作用に
基づく予防・治療・改善剤に関する。
【0018】次に本発明にかかるシステイン誘導体は、
下記一般式(I) で表される。
【0019】
【化2】
【0020】式中R1 は水素原子またはアセチル基を、
2 は水素原子または低級アルキル基を、R3 は水素原
子またはカルボキシメチル基(-CH2COOH)を意味する。
【0021】R2 における低級アルキル基とは、例えば
メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-
ブチル基、i-ブチル基、t-ブチル基、アミル基、ヘキシ
ル基等のC1〜C6のアルキル基を挙げることができる。
【0022】また本発明にかかるシステイン誘導体は不
斉炭素原子を1個有し、それぞれ2種類の光学異性体が
存在するが、本発明においては限定されず、D-体または
L-体のいずれでもよく、また両者の混合物であってもよ
い。
【0023】またこれらの化合物の中でも好ましい化合
物の1例としては、下記化合物を挙げることができる
が、本発明はこれらの化合物には限定されない。
【0024】(1) システイン
【0025】
【化3】
【0026】(2) N−アセチルシステイン
【0027】
【化4】
【0028】(3) メチルシステイン
【0029】
【化5】
【0030】(4) エチルシステイン
【0031】
【化6】
【0032】(5) カルボキシメチルシステイン
【化7】
【0033】さらに薬理学的に許容できる塩とは、本発
明化合物と塩を形成可能なものであれば限定されない
が、例えばナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金
属の付加塩、カルシウム塩、マグネシウム塩などのアル
カリ土類金属の付加塩、アンモニウム塩、メチルアミン
塩、ジエチルアミン塩、シクロヘキシルアミン塩、エタ
ノールアミン塩などのアミンの付加塩、塩酸塩、硫酸
塩、硝酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、過塩素酸
塩、リン酸塩などの無機酸の付加塩、メタンスルホン酸
塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩な
どのスルホン酸の付加塩、シュウ酸塩、マレイン酸塩、
フマル酸塩、コハク酸塩などの有機酸の付加塩などを挙
げることができる。
【0034】なお本発明化合物(I) は、医薬、化粧品、
食品、化成品、工業原料等として広く市販されており、
容易に入手可能である。
【0035】投与剤型としては、例えば散剤、細粒剤、
顆粒剤、錠剤、被覆錠剤、カプセル剤などの経口製剤お
よび注射製剤が挙げられる。製剤化の際には、通常の製
剤担体を用いて常法により製造することができる。
【0036】すなわち経口製剤を製造するには、化合物
(I) と賦形剤、さらに必要に応じて結合剤、崩壊剤、滑
沢剤、着色剤、矯味矯臭剤などを加えた後、常法により
散剤、細粒剤、顆粒剤、錠剤、被覆錠剤、カプセル剤等
とする。
【0037】賦形剤としては、例えば乳糖、コーンスタ
ーチ、白糖、ブドウ糖、マンニトール、ソルビトール、
結晶セルロース、二酸化ケイ素などが、結合剤として
は、例えばポリビニルアルコール、ポリビニルエーテ
ル、メチルセルロース、エチルセルロース、アラビアゴ
ム、トラガント、ゼラチン、シェラック、ヒドロキシプ
ロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロー
ス、ポリビニルピロリドン、ポリプロピレングリコール
・ポリオキシエチレン・ブロックポリマー、メグルミン
などが、崩壊剤としては、例えば澱粉、寒天、ゼラチン
末、結晶セルロース、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリ
ウム、クエン酸カルシウム、デキストリン、ペクチン、
カルボキシメチルセルロース・カルシウム等が、滑沢剤
としては、例えばステアリン酸マグネシウム、タルク、
ポリエチレングリコール、シリカ、硬化植物油等が、着
色剤としては医薬品に添加することが許可されているも
のが、矯味矯臭剤としては、ココア末、ハッカ脳、芳香
散、ハッカ油、竜脳、桂皮末等が用いられる。これらの
錠剤・顆粒剤には糖衣、その他必要により適宜コーティ
ングすることはもちろん差支えない。
【0038】本発明における化合物(I) の臨床投与量
は、症状、重症度、年齢、合併症などによって異なり限
定されず、また製剤によっても異なるが、通常成人1日
あたり10〜4500mgであり、好ましくは50〜3000mgであ
り、さらに好ましくは 100〜1500mgであり、これを経口
または静脈内投与する。
【0039】次に本発明化合物の代表例として、N−ア
セチル−L-システインの急性毒性試験結果を示す。
【0040】
【急性毒性試験】
(方法)7〜8 週齢の Slc:SD 系ラットおよび ICR系マ
ウスをそれぞれ雌雄各 5匹用い、静脈内投与による単回
投与毒性試験を実施した(媒体;生理食塩水)。
【0041】(結果)LD50 値(mg/Kg) を下表にまとめ
る。また比較対照データとして、現在国内において許可
されている末梢神経障害改善剤である、エパルレスタッ
トの LD50 値(mg/Kg) も記載した。
【0042】
【表1】
【0043】表から明らかなように、本発明化合物の L
D50 値は静脈内投与での試験結果としては非常に高く、
極めて安全性が高いことが明らかである。さらに前述の
ように、本化合物は気道粘液溶解剤(去痰剤)として、
これまで長年臨床使用されている実績があり、重篤な副
作用は報告されていない。従って臨床における安全性
は、すでに確立した化合物と言える。
【0044】次に本発明を具体的に説明するため、発明
の効果として以下に実験例を掲げる。
【0045】
【発明の効果】
【0046】(方法)6週齢のウイスター(Wistar)/イ
マイチ雄ラット25匹(体重、約 200g )の尾静脈からス
トレプトゾトシン( 60mg/Kg)を投与して糖尿病ラット
を作成した。糖尿病ラットを2群[ A群(n=13)、 C群(n
=12)]に分け、また計22匹の対照群も2群[ B群(n=1
1)、 D群(n=11)]に分け、 A群と B群には本発明化合物
の代表例として、N−アセチル−L-システイン(50mg/
匹/日)を水に溶解して投与した。2週ごとに体重、血
糖値、神経伝達速度を測定し比較した。神経伝達速度
は、エーテル麻酔下に左座骨神経を膝窩部および後脛骨
神経を外顆部で刺激を与え、誘発筋電図を足底部趾間よ
り導出し、複合筋活動電位(Compound muscle actionpot
ential[CAMP])を記録した。これより立ち上がり時間を
求め、近位および遠位の距離を潜時の差で除し伝達速度
を求めた。表2に各群の構成内容を示す。
【0047】
【表2】
【0048】(結果)(1) 神経伝達速度 本実験における、各群の神経伝達速度の経時変化を、図
1に示した。
【0049】
【図1】
【0050】本発明化合物の代表例であるN−アセチル
−L-システインを投与した群( A群と B群)はコントロ
ール群( D群)と同程度の神経伝達速度を維持してお
り、N−アセチル−L-システインを投与しなかった糖尿
病群( C群)と比較して有意に高かった。図1から、糖
尿病ラットにおいて本発明化合物は神経伝達速度の低下
を抑制し、末梢神経障害の予防・治療・改善効果を有す
ることが明らかである。
【0051】(2) 血糖値 本実験における、各群の血糖値の経時変化を、図2に示
した。
【0052】
【図2】
【0053】図2から明らかなように、糖尿病群( A
群、 C群)の血糖値は、非糖尿病群(B群、 D群)と比
較して有意に高く、本発明化合物の代表例であるN−ア
セチル−L-システインの投与は血糖値に影響を与えなか
った。この結果は本発明化合物が、糖尿病の改善に基づ
かない別の作用機序により神経伝達速度を改善している
ことを示唆しており、機序の1つとして、本発明化合物
(I) のラジカルスカベンジ作用が関与していることが考
えられる。
【0054】(3) 体重 本実験における、各群の体重の経時変化を、図3に示し
た。
【0055】
【図3】
【0056】図3から明らかなように、N−アセチル−
L-システイン投与群は時間と共に体重が増加しており、
毒性学的な変化は認められなかった。
【0057】
【図面の簡単な説明】
【図1】 各群の神経伝達速度の経時変化を比較した図
である。(各群とも、平均±標準偏差で示す)
【図2】 各群の血糖値の経時変化を比較した図であ
る。(各群とも、平均±標準偏差で示す)
【図3】 各群の体重の経時変化を示した図である。
(各群とも、平均±標準偏差で示す)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 A61K 31/195 ACL

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(I) で表されるシステイン誘
    導体またはその薬理学的に許容できる塩を有効成分とす
    る末梢神経障害改善剤。 【化1】 [式中R1 は水素原子またはアセチル基を、R2 は水素
    原子または低級アルキル基を、R3 は水素原子またはカ
    ルボキシメチル基を意味する。]
  2. 【請求項2】 化合物(I) がN−アセチルシステインで
    ある請求項1記載の末梢神経障害改善剤。
  3. 【請求項3】 糖尿病性末梢神経障害改善剤である請求
    項1または2記載の末梢神経障害改善剤。
  4. 【請求項4】 後天性免疫不全症候群、潰瘍性大腸炎、
    クローン病、腎症、腎炎、リューマチ、炎症からなる群
    より選ばれた疾患の予防・治療・改善剤である請求項1
    ないし3記載の末梢神経障害改善剤。
  5. 【請求項5】 請求項1記載の化合物(I) またはその薬
    理学的に許容できる塩を有効成分とする神経伝達速度改
    善作用が有効な疾患の予防・改善・治療剤。
  6. 【請求項6】 請求項1記載の化合物(I) またはその薬
    理学的に許容できる塩を有効成分とするラジカルスカベ
    ンジ作用が有効な疾患の予防・改善・治療剤。
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