JPH0627811B2 - レーザドップラ振動計 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は，光のドップラ効果を利用して，構造物，機
械の振動を非接触で測定する振動計に関するものであ
る。

〔従来の技術〕

第２図は，振動物体の振動を光のドップラ効果を利用し
て測定する振動計の構成図であり，図において(1)は振
動物体，(2)はレーザ，(3a)はレーザ光を２分割するビ
ームスプリッタ，(4)はビームスプリッタ(3a)で２分割
された一方のレーザ光の周波数（波長）を音響光学的に
シフトする周波数シフタ，(5)は周波数シフタ(4)の周波
数シフト量に相当する発振周波数で周波数シフタ(4)を
駆動するドライバ，(3b)は周波数シフタ(4)で周波数シ
フトされたレーザ光を透過させ，かつ振動物体(1)から
の散乱光を反射させて方向を変えるビームスプリッタ，
(6)は振動物体(1)からの散乱光を集光する集光レンズ，
(7)はビームスプリッタ(3a)で２分割された周波数シフ
タ(4)を通らない他方のレーザ光の方向を変えるミラ
ー，(3c)は集光レンズ(6)で集光された振動物体(1)から
の散乱光とミラー(7)で方向を変えられたレーザ光とを
重ね合わせるビームスプリッタ，(8)はビームスプリッ
タ(3c)の光を電気信号に変換する光検出器，(9)は増幅
器，(10)は上記レーザ(2)から増幅器(9)までの構成品を
まとめる光学ケース，(11)は周波数追跡器，(12)は周波
数−電圧変換器(以下F/V変換器という)である。

第２図に示すごとく，レーザ(2)から発振した周波数f_o
のレーザ光は，ビームスプリッタ(3a)で２分割され，一
方のレーザ光は周波数シフタ(4)でもとのレーザ周波数f
_oから周波数がf_Sずれた周波数f_o＋f_sのレーザ光に変換
され，ビームスプリッタ(3b)を経由して振動物体(1)に
その振動方向に平行になるように照射されている。

振動物体(1)から散乱された光は，振動物体(1)の振動速
度ｖに応じてドップラシフトを起こす。このドップラシ
フトを受けた散乱光をビームスプリッタ(3b)で方向を変
え集光レンズ(6)で集光したものと，ビームスプリッタ
(3b)で２分割された周波数シフタ(4)を通らない他方の
レーザ光をミラー(7)で方向を変えた光とをビームスプ
リッタ(3c)で重ね合わせて光検出器(8)に導びき電気信
号に変換すると，この電気信号の中には受信光の強さに
比例する直流信号と第(1)式に示すドップラ周波数f_dの
交流信号（以下ドップラ信号という）が存在する。

ここにλ；He−Neレーザの波長 振動物体(1)は，周波数f_M，最大振動速度v_oで正弦波的
に振動しているとその振動速度ｖは第(2)式で表わせ
る。

ｖ＝v_o・sin(2πf_M・t)……(2) 但し，ｔは時間 従って，第(1)式のドップラ周波数f_dは となる。

光検出器(8)で電気信号に変換されたドップラ信号は微
弱なため増幅器(9)で増幅された後，周波数追跡器(11)
でドップラ周波数f_dを検出し，F/V変換器(12)でアナロ
グ電圧に変換すると，第(3)式の２項の交流信号として
振動物体(1)の振動速度ｖを求めることができる。

このことは公知の事実である。

〔発明が解決しようとする問題点〕

上記従来のレーザドップラ振動計は，第(3)式に示す周
波数シフタ(4)のシフト周波数f_sを含んだドップラ周波
数f_dをF/V変換器(12)でアナログ電圧に変換しているた
め，シフト周波数f_sの安定度がそのまま変動ノイズとし
て出力に重畳し、シフト周波数f_sの変動の影響を受ける
という問題を有していた。

この発明は，かかる問題点を解決するためになされたも
ので，シフト周波数f_sの変動を除去し，シフト周波数f_s
の変動の影響を受けることなく振動物体の振動速度を計
測するレーザドップラ振動計を得ることを目的とする。

〔問題点を解決するための手段〕

この発明に係わるレーザドップラ振動計は，上記シフト
周波数f_sをF/V変換する第２のF/V変換器と，二つのF/V
変換器の差を取り出す差動増幅器を設けたものである。

〔作 用〕

この発明においては，シフト周波数f_sを第２のF/V変換
器でF/V変換し，従来のF/V変換器(12)の出力電圧から上
記第２のF/V変換器出力を引き算することで，シフト周
波数f_sの変動分をキャンセルする。

〔実施例〕

第１図はこの発明による一実施例を示すレーザドップラ
振動計の構成図であり，以下図面に従い説明する。

図中，(1)〜(12)は上記従来と同じものである。

(13)は周波数シフタ(4)のシフト周波数f_sをF/V変換する
第２のF/V変換器，(14)は第１のF/V変換器(12)と第２の
F/V変換器(13)の差電圧を取り出す差動増幅器である。

以上の構成のレーザドップラ振動計において，第１のF/
V変換器の出力電圧V₁は，第(3)式から ここでｋ；比例定数 となり，第２のF/V変換器の出力電圧V₂は V₂＝ｋ・f_s……(5) となる。従って，差動増幅器(14)の出力電圧Ｖは となり，シフト周波数f_sに比例した電圧がキャンセルさ
れ，シフト周波数f_sの変動の影響を受けずに振動物体の
振動速度が計測可能のレーザドップラ振動計となる。

〔発明の効果〕

以上のように，この発明によれば，シフト周波数f_sをF/
V変換するF/V変換器(13)を設け、第１のＦ／Ｖ変換器(1
2)の出力電圧から第２のF/V変換器(13)の出力電圧を差
し引くことによるシフト周波数f_sの変動分をキャンセル
し、シフト周波数f_sの変動の影響を受けることなく振動
物体の振動速度が計測可能なレーザドップラ振動計が提
供できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は，この発明の一実施例を示すレーザドップラ振
動計の構成図，第２図は従来のレーザドップラ振動計の
構成図である。図中，(13)は第２のF/V変換器，(14)は
差動増幅器である。なお，図中符一符号は同一または相
当部分を示す。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】特定の波長を出力するレーザと、上記レー
   ザの出力ビームを２分割する第１のビームスプリッタ
   と、上記２分割したレーザビームの一方のレーザ周波数
   を特定の周波数f_sだけシフトする周波数シフタと、上記
   周波数f_sを発生し、上記周波数シフタを駆動するドライ
   バと、上記周波数シフタで周波数シフトされたレーザビ
   ームを上記振動物体にその振動方向と平行になるように
   照射し、かつ上記振動物体の振動速度に応じてドップラ
   シフトを起した散乱光を受けて所定方向に反射させる第
   ２のビームスプリッタと、上記第２のビームスプリッタ
   で反射されたドップラ信号を含む散乱光を集光する集光
   レンズと、上記第１のビームスプリッタで分割された他
   方の周波数シフトを受けないレーザビームを所定の方向
   に反射させるミラーと、上記集光レンズで受信したドッ
   プラ信号を含む散乱光と上記ミラーで反射された周波数
   シフトを受けないレーザビームとを混合する第３のビー
   ムスプリッタと、上記第３のビームスプリッタで混合さ
   れた光を電気変換する光検出器と、上記光検出器の出力
   を増幅する増幅器と、上記増幅された信号からドップラ
   周波数を検出する周波数追跡器と、上記周波数追跡器の
   出力信号であるドップラ周波数から振動物体の振動速度
   に比例したアナログ電圧を出力し得る第１の周波数−電
   圧変換器と、上記ドライバで発生された周波数f_sをアナ
   ログ電圧に変換する第２の周波数−電圧変換器と、上記
   第１の周波数−電圧変換器出力と第２の周波数−電圧変
   換器出力との差電圧を取り出す手段とを備えたことを特
   徴とするレーザドップラ振動計。