JPH06273571A - 気水分離器の部分構造及びその構造を用いた気水分離器並びにその気水分離器を用いた原子炉 - Google Patents

気水分離器の部分構造及びその構造を用いた気水分離器並びにその気水分離器を用いた原子炉

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JPH06273571A
JPH06273571A JP5058766A JP5876693A JPH06273571A JP H06273571 A JPH06273571 A JP H06273571A JP 5058766 A JP5058766 A JP 5058766A JP 5876693 A JP5876693 A JP 5876693A JP H06273571 A JPH06273571 A JP H06273571A
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義則 齋藤
Ryuhei Kawabe
隆平 川部
Hisashi Soma
尚志 相馬
Shunji Nakao
俊次 中尾
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    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E30/00Energy generation of nuclear origin
    • Y02E30/30Nuclear fission reactors

Abstract

(57)【要約】 【構成】スタンドパイプ2上端部には案内羽根4が固定
された旋回胴8を有する気水分離胴6が接続され、さら
に内胴22が固定された蒸気排出胴20が接続されてお
り、分離水排出部12に接続されるレデューサ50と旋
回胴10に固定される後退翼形案内羽根4と蒸気排出部
28に案内羽根62を固定した案内流路60と蒸気排出
口案内羽根70を設置した気水分離器の構成とした。 【効果】レデューサ,後退翼形案内羽根,蒸気排出部案
内流路と案内羽根や蒸気排出口案内羽根を気水分離器に
設置して気水分離器の水と蒸気との分離効率の向上が成
せる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は原子炉の炉内構造物に係
り、特に沸騰水型原子炉における水と蒸気の二相流分離
性能の向上および二相流圧力損失の低減を図るのに好適
な原子炉の気水分離機構に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、沸騰水型原子炉は図30に示す
ように構成されている。
【0003】即ち、冷却材である軽水を保有する原子炉
圧力容器200内にはシュラウド202が設けられてお
り、このシュラウド内部には炉心204が収納されてい
る。
【0004】そして、この原子炉圧力容器200の下部
より制御棒駆動機構206で制御棒208が炉心内に挿
入,引抜きされるように構成されている。
【0005】そして、冷却材である軽水はこの炉心20
4内の燃料で加熱されて沸騰し、水と蒸気の混合二相流
となって上昇してシュラウドヘッド212に流れる。
【0006】そしてこのシュラウドヘッド212上方に
は多数の気水分離器214が接続される。
【0007】さらにこの気水分離器214の上方には蒸
気乾燥器216が設置されている。そして、水と蒸気の
混合二相流はこの気水分離器214で水と蒸気とに分離
される。
【0008】気水分離器214を上方へ通過して分離さ
れた蒸気は蒸気乾燥器216で乾燥された後に主蒸気ノ
ズル218から原子炉圧力容器200外へ排出されて主
蒸気系の主蒸気管(図示せず)を通して発電機を駆動す
るタービン(図示せず)に送出されるように構成されて
いる。
【0009】また、気水分離器214で分離された水は
気水分離器214から原子炉圧力容器200へ戻され
る。
【0010】この気水分離器214で分離された水は、
給水ノズル220から供給される給水と原子炉圧力容器
200内と混合され、その混合された水は冷却材として
インターナルポンプ222によって炉心204の下方に
送り込まれて炉心204へ再循環させている。
【0011】そして、この気水分離器214は図29の
ごとく構成されている。
【0012】即ち、多数のスタンドパイプ302は図3
0のシュラウドヘッド212へ上方から突接される。
【0013】このスタンドパイプ302の下端部はこの
シュラウドヘッド212内に開口している。そして、図
29のこれらスタンドパイプ302の上端部にはそれぞ
れ気水分離胴306が連通接続されている。
【0014】これら気水分離胴306は外胴310とそ
の内部の旋回胴308が設置され、両胴の間には、旋回
胴308内に通じる分離水排出流路が配備されている。
【0015】そして、この旋回胴308の下端部には案
内羽根304が固定される。
【0016】この案内羽根304の下端にはスタンドパ
イプ302が連通接続される。
【0017】そして、このシュラウドヘッド212内か
らスタンドパイプ302内を上昇した水と蒸気の混合二
相流は案内羽根304によって旋回力が与えられて旋回
流となる。
【0018】旋回胴308内部では、混合二相流が旋回
することにより、混合二相流に遠心力が作用する。
【0019】この時、混合二相流のなかで蒸気と比較し
て密度の大きい水は、旋回胴308内壁面に押し付けら
れ、密度の小さい蒸気は旋回胴308の中心部付近を上
方へ流れることによって水と蒸気とに遠心分離される。
【0020】旋回胴308内部では混合二相流は環状噴
霧流の流動様式となる。旋回胴308の内周壁方向に分離
された水は、気水分離胴306の分離水排出部312よ
り分離水排出流路316を通して下方へ排出されて炉心
循環水として戻される。
【0021】一方、旋回胴308内部の中心部に分離さ
れた蒸気は、気水分離胴蒸気排出部316へ上昇して蒸
気排出胴320の内胴322内に流入する。
【0022】旋回胴308の平断面積と比較してこの蒸
気排出部314の平断面積が狭いので、旋回胴308内
の中心部分の混合二相流の旋回エネルギー成分が蒸気排
出胴320の内胴322内に入る。
【0023】そして、気水分離胴306の上部には蒸気
排出胴320が連通接続される。
【0024】この蒸気排出胴320は外胴324とその
内部に内胴322が設置される。両胴の間には、分離水
排出流路330が分離水排出部326で内胴322内に
連通している。
【0025】この内胴322は蒸気排出部314に接続
されて気水分離胴306より排出された気水分離胴30
6で未分離の水を含んだ蒸気を混合二相流として受け入
れて、内胴322内部において混合二相流の旋回により
遠心分離する。
【0026】ここで分離された水は下流の分離水排出部
326を通して蒸気排出胴分離水排出流路330を通じ
て気水分離器214外へ排出されて炉心循環水として戻
される。
【0027】また蒸気排出胴320で再分離された蒸気
は、蒸気排出胴蒸気排出流部328を上方へ通過後に蒸
気排出口360より排出される。
【0028】この蒸気排出口360より排出された蒸気
は上昇して図30の蒸気乾燥器216へと送られて乾燥蒸
気とされる。
【0029】水と蒸気の混合二相流がこの気水分離器2
14を通過する際には圧力損失を生じる。
【0030】この圧力損失が大きいと冷却材を循環駆動
するインターナルポンプ222内の動力が多く必要とな
り、不経済である。
【0031】また、この圧力損失が大きいと炉心204
を通過する冷却材流量の低流量時において冷却材の流れ
が不安定となり、炉心の制御が不安定となる。
【0032】このために従来からこの気水分離器214
の圧力損失を可能な限り小さく抑えることが望まれてい
た。
【0033】この圧力損失を小さくするための手段とし
て、気水分離胴内部の圧力損失を低減することが従来よ
り考慮されている。
【0034】例えば、特開昭62−64989 号公報の開示に
よれば、流れ方向に沿って気水分離胴内径を変化させな
いようにして気水分離胴内部での圧力損失の低減を図っ
ている。
【0035】従来の気水分離器内での圧力損失は案内羽
根304により水と蒸気の混合二相流を旋回流として急
激に流れの方向を変化させることによる二相流圧力損失
が最も大きい。
【0036】そのためこの案内羽根304において旋回
流を生じさせる際の二相流圧力損失を可能な限り小さく
抑えることも望まれていた。
【0037】この圧力損失を小さくするための手段とし
て、案内羽根の形状に検討を加えることが従来より行わ
れている。
【0038】例えば、特開昭50−38866 号公報の開示に
よれば、上向きに案内羽根を湾曲させその曲率半径をそ
の内縁端から外縁端へ増加する構造により案内羽根での
二相流圧力損失の低減を図っている。
【0039】また、特開昭62−64989 号公報の開示によ
れば、気水分離胴内の中心部にのみ流れのひねり角度を
与えたスワール型案内羽根の構造により案内羽根での二
相流圧力損失の低減を図っている。
【0040】しかしながら、二相流圧力損失の低減を図
るために流れの方向を急激に変えないように案内羽根の
湾曲の曲率半径やひねり角度を小さくすると気水分離器
内の二相流の旋回流速成分も小さくなり、水と蒸気の気
水分離性能は低下する。
【0041】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、二相流
圧力損失の低減を図るために流れの方向を急激に変えな
いように案内羽根の湾曲の曲率半径やひねり角度を小さ
くすると気水分離器内の二相流の旋回流速成分も小さく
なり、水と蒸気の気水分離性能は低下する。
【0042】従って、気水分離器の設計において最も重
要な点は、可能な限りの圧力損失の低減を図って、かつ
水と蒸気の気水分離性能の可能な限りの向上を図ること
である。
【0043】本発明の第1目的は気水分離効果の向上に
あり、第2の目的は気水分離器段階での気水分離効果を
高めた沸騰水型原子炉を提供することにある。
【0044】
【課題を解決するための手段】上記第1目的を達成する
ため第1手段は、気液二相流に旋回力を付与する案内羽
根と、前記案内羽根で旋回流とされた気液二相流を受け
入れる気水分離胴と、前記気水分離胴よりも胴径が小さ
く且つ前記気水分離胴に前記気水分離胴の中央部分の流
れを受け入れるように接続された蒸気排出胴とを備えた
気水分離器において、前記接続の手段は、前記中央部分
の流れの入り口流路面積が前記蒸気排出胴の前記流れの
受け入れ流路面積よりも広いレデューサであることを特
徴とした気水分離器の部分構造であり、同じく第2手段
は、気液二相流に旋回力を付与する案内羽根と、前記案
内羽根で旋回流とされた気液二相流を受け入れる気水分
離胴と、前記気水分離胴よりも胴径が小さく且つ前記気
水分離胴に前記気水分離胴の中央部分の流れを受け入れ
るように接続された蒸気排出胴とを備えた気水分離器に
おいて、前記案内羽根は、前記気液二相流の下流側に羽
根が後退している後退翼型を成していることを特徴とし
た気水分離器の部分構造であり、同じく第3手段は、気
液二相流に旋回力を付与する案内羽根と、前記案内羽根
で旋回流とされた気液二相流を受け入れる気水分離胴
と、前記気水分離胴よりも胴径が小さく且つ前記気水分
離胴に前記気水分離胴の中央部分の流れを受け入れるよ
うに接続された蒸気排出胴とを備えた気水分離器におい
て、前記蒸気排出胴の蒸気排出部の中央部分に、前記蒸
気排出部の高さ以上の高さに流体入り口を、前記蒸気排
出部の高さ以下の高さ流体出口を、それぞれ備えた蒸気
排出部案内流路が装備され、前記蒸気排出部案内流路の
前記流体出口に前記流体出口から下方へ出る流体に対し
て前記旋回流と同方向の旋回を付与する他の案内羽根を
備えていることを特徴とした気水分離器の部分構造であ
り、同じく第4手段は、気液二相流に旋回力を付与する
案内羽根と、前記案内羽根で旋回流とされた気液二相流
を受け入れる気水分離胴と、前記気水分離胴よりも胴径
が小さく且つ前記気水分離胴に前記気水分離胴の中央部
分の流れを受け入れるように接続された蒸気排出胴とを
備えた気水分離器において、前記蒸気排出胴の蒸気排出
部に前記旋回流を旋回方向から上方向に矯正する蒸気排
出口案内羽根を装備してあることを特徴とした気水分離
器の部分構造であり、同じく第5手段は、第1手段と第
2手段と第3手段と第4手段とのいずれか少なくとも一
つの気水分離器の部分構造を備えていることを特徴とし
た気水分離器であり、同じく第6手段は、第5手段にお
いて、蒸気排出胴は上下方向に複数個直列多段に接続さ
れて下段の蒸気排出胴の中央部分の気液二相流を上段の
蒸気排出胴が受け入れるように連通されており、前記蒸
気排出胴は上段にゆくに従い胴径が小さくされており、
前記蒸気排出胴間の前記連通接続手段は、前記中央部分
の気液二相流の入り口流路面積が前記上段の蒸気排出胴
の前記気液二相流の受け入れ流路面積よりも広い他のレ
デューサであることを特徴とした気水分離器であり、同
じく第7手段は、第6手段において、下段の蒸気排出胴
の胴長は上段の蒸気排出胴の胴長よりも相対的に長くさ
れていることを特徴とした気水分離器であり、同じく第
8手段は、第6手段において、請求項6において、下段
の蒸気排出胴の胴長は上段の蒸気排出胴の胴長よりも相
対的に短くされていることを特徴とした気水分離器であ
り、上記第2目的を達成するための第9手段は、原子炉
炉心と、前記原子炉炉心に対して抜き差し方向の移動が
可能な制御棒と、前記原子炉炉心を囲むシュラウドと、
前記シュラウドのシュラウドヘッドに林立して前記シュ
ラウド内と連通した複数のスタンドパイプと、前記スタ
ンドパイプに連通接続した複数の気水分離器と、前記複
数の気水分離器の上方に配備された蒸気乾燥器とを原子
炉圧力容器内に内蔵し、前記制御棒を前記抜き差し方向
へ駆動する制御棒駆動機構を備えている沸騰水型原子炉
において、前記気水分離器として請求項5の気水分離器
を備え、前記蒸気乾燥器は中央部が空の環状型を成して
いることを特徴とした沸騰水型原子炉であり、同じく第
10手段は、第9手段において、複数の気水分離器の水
平間隔は制御棒駆動機構の制御棒への延長部分が通過で
きる間隔とされ、前記延長部分は環状型の蒸気乾燥器の
中央部と前記間隔を通過して前記制御棒に至っているこ
とを特徴とした沸騰水型原子炉であり、上記第1目的を
達成するための第11手段は、処理対象の流体の旋回半
径領域が上段にいくに従い小径と成る遠心分離方式の気
液分離手段を上下多段に直列的に連通接続し、前記気液
分離手段に処理対象の流体を旋回状態で通す気水分離器
において、前記連通接続部分に、旋回速度の増速手段を
備えることを特徴とした気水分離器であり、同じく第1
2手段は、蒸気の通る流路の上流側に気水分離器を、下
流側に蒸気乾燥器を備えた設備において、前記気水分離
器と前記蒸気乾燥器とで除去する湿分分離量の比は30
以上で前記気水分離器が多いことを特徴とした気水分離
器である。
【0045】
【作用】第1手段によれば、案内羽根により旋回力を受
けた気液二相流が、気水分離胴内で遠心分離作用により
湿分が除去され、蒸気排出胴内へ旋回状態で入り、ここ
で再度遠心分離作用を受けて湿分が除去される。気液二
相流が蒸気排出胴内へ入る際には、レデューサを通過す
るのであるが、その通過時に、この気液二相流は下流に
いくに従いレデューサ内流路断面の旋回半径の減少する
から、旋回流速成分は増加して遠心力を増加させる。第
1手段の部分構造を採用することで、気液二相流の旋回
流速成分は増加して蒸気排出胴内に入るから、この蒸気
排出胴における水と蒸気の気水分離効率は向上する作用
を気水分離器に与えることが出来る。
【0046】第2手段によれば、案内羽根により旋回力
を受けた気液二相流が、気水分離胴内で遠心分離作用に
より湿分が除去され、蒸気排出胴内へ旋回状態で入り、
ここで再度遠心分離作用を受けて湿分が除去される。気
液二相流が案内羽根により旋回される際には、その案内
羽根に気液二相流の湿分が水滴となって付着し、その水
滴は気液二相流とともに気水分離胴の内周壁面側へ案内
羽根で誘導され、その誘導力は、案内羽根が後退翼型で
あるから、強く発生し、第1手段の部分構造を採用する
ことで、中央に気相としそれより外周囲に液層とする分
離効果が良く成される。
【0047】第3手段によれば、案内羽根により旋回力
を受けた気液二相流が、気水分離胴内で遠心分離作用に
より湿分が除去され、蒸気排出胴内へ旋回状態で入り、
ここで再度遠心分離作用を受けて湿分が除去される。蒸
気排出胴の蒸気排出部から排出される蒸気は旋回成分を
すくなからず備えているから、蒸気排出部の中央部でそ
の中央より外側に比べて圧力が低くなり、その蒸気排出
部内への逆流が発生しやすい。その逆流は、蒸気排出部
案内流路に導かれて蒸気排出胴内に誘導され、旋回力を
他の案内羽根により与えられた上で蒸気排出胴内に入れ
られ、蒸気排出胴内の流体の旋回力の抑制作用を低減す
る。このため、第3手段を採用すると、旋回力の抑制や
蒸気の逆流による湿分分離効果の低減が阻止出来、湿分
分離効果が向上する。
【0048】第4手段によれば、案内羽根により旋回力
を受けた気液二相流が、気水分離胴内で遠心分離作用に
より湿分が除去され、蒸気排出胴内へ旋回状態で入り、
ここで再度遠心分離作用を受けて湿分が除去される。蒸
気流が蒸気排出胴の蒸気排出部から排出される際には、
その蒸気流が蒸気排出胴の蒸気排出部において蒸気排出
口案内羽根により旋回方向から上方向に変更され、旋回
による圧力損失が低減され、案内羽根を通過する気液二
相流の速度を高めて旋回速度成分を高め、気水分離胴や
蒸気排出胴内での遠心分離効果を向上することが出来る
ようになる。第4手段を採用することにより、圧力損失
の低減と、それに基づく気水分離効果の向上作用とが得
られる。
【0049】第5手段によれば、第1手段と第2手段と
第3手段と第4手段との内、少なくとも一つの手段によ
る上述の作用を備えることにより、気水分離器の気水分
離効果の向上作用が得られる。
【0050】第6手段によれば、第5手段による作用に
加えて、直列多段の蒸気排出胴によりより良く気水分離
が成されるほかに、気液二相流がその直列多段間を通過
する際には、気液二相流は他のレデューサによる旋回速
度成分の増速作用を受けるから、なお一層遠心分離によ
る分離効果が良く成される。
【0051】第7手段によれば、第6手段による作用に
加えて、気液二相流中の液相量が少ない場合などには元
々気液二相流の平均密度が小さいから、下段の蒸気排出
胴ない気液二相流流路を長くして気水分離度合いが上段
の蒸気排出胴よりも増大させ、上段の圧力損失をより低
減する。
【0052】第8手段によれば、第6手段による作用に
加えて、気液二相流の平均密度が大きい状態で圧力損失
が大きくなりやすい下段の蒸気排出胴は気液二相流の流
路長さが短くなり、気液二相流の平均密度が小さい状態
の上段の蒸気排出胴は気液二相流の流路長さが長くなる
ので、圧力損失を低減できる。
【0053】第9手段によれば、制御棒駆動機構により
駆動される制御棒により制御された炉心により冷却材が
加熱されて気液二相流が発生しシュラウド内を上昇し、
シュラウドヘッドに至る。その気液二相流はシュラウド
ヘッドからスタンドパイプを上昇して気水分離器に流入
し、第5手段による気水分離作用を受け、その作用を受
けた蒸気は蒸気乾燥器により湿分除去作用を受ける。第
5手段による気水分離作用は従来例よりも効率が良いか
ら、蒸気乾燥器の湿分除去に関する負荷が軽減される作
用が得られ、蒸気乾燥器が簡略化できる。
【0054】第10手段によれば、第9手段による作用
に加えて、制御棒駆動機構により制御棒を原子炉圧力容
器の上方から上下に駆動できる作用が得られる。
【0055】第11手段によれば、処理対象の流体が上
段の消え貴分離手段に移行するごとに旋回速度の増速手
段で処理対象の流体の旋回速度成分が増速される作用を
受け、強力な遠心分離作用が処理対象流体に継続的に加
えられ、気液分離効率が高まる作用が得られる。
【0056】第12手段によれば、気水分離器が蒸気乾
燥器に対して湿分分離用の比が30以上と多く蒸気乾燥
器の湿分除去に関する負担を軽減する作用が得られる。
【0057】
【実施例】以下に、本発明の第1実施例を説明する。
【0058】冷却材を保有している図2の原子炉圧力容
器400内には、シュラウド402が設けられている。
【0059】そのシュラウド402内部には炉心404
が収納されている。
【0060】そして、この原子炉圧力容器400の下部
より制御棒駆動機構406で制御棒408が炉心404
内に挿入及び引抜きされるように構成されている。
【0061】そして、冷却材である軽水は、この炉心4
04内の燃料により加熱されて沸騰し、水と蒸気の混合
二相流となって上昇し、シュラウドヘッド412に流れ
る。このシュラウドヘッド412には多数のスタンドパ
イプ2が連通接続され、個々のスタンドパイプ2に一台
ずつの気水分離器414が連通接続される。
【0062】この気水分離器414郡の上方には蒸気乾
燥器416が設置されている。
【0063】そして、水と蒸気の混合二相流はこの気水
分離器414で水と蒸気とに分離され、気水分離器41
4を通過して分離された蒸気は蒸気乾燥器416で乾燥
され、その後に主蒸気ノズル418から排出されて主蒸
気系の主蒸気管(図示せず)を通してタービン(図示せ
ず)へ送り出されるように構成されている。
【0064】また、気水分離器414で分離された水は
原子炉圧力容器400内で給水ノズル420から供給さ
れる給水と混合される。この混合された水は冷却材とし
てインターナルポンプ422によって炉心404の下方
に送り出され炉心404へ再循環する。
【0065】この気水分離器414は図1のように構成
されている。
【0066】即ち、各スタンドパイプ2の下端部はシュ
ラウドヘッド412内に開口している。
【0067】そして、図2のこれらスタンドパイプ2の
上端部にはそれぞれ気水分離胴6が接続されている。
【0068】これら気水分離胴6は外胴10とその内部
の旋回胴8を備えており、両胴の間に分離水排出流路1
4が装備される。
【0069】そして、この旋回胴8の下端部には案内羽
根4が固定されており、この案内羽根4の下端にはスタ
ンドパイプ2が接続される。
【0070】そして、図2のシュラウドヘッド412内
から図1のスタンドパイプ2内を上昇した水と蒸気の混
合二相流は案内羽根4によって旋回流となり、旋回胴8
内部では混合二相流に遠心力が作用する。
【0071】この時混合二相流のうち蒸気と比較して密
度の大きい水は旋回胴8内壁面に押し付けられ、密度の
小さい蒸気は旋回胴8の中心部付近を上方へ流れること
によって水と蒸気とに遠心分離されるように構成されて
いる。
【0072】気水分離胴6で分離された水は、気水分離
胴6の分離水排出部12から分離水排出流路14を通じ
て気水分離器414から排出されて炉心循環水として戻
される。
【0073】そして、気水分離胴6の上部には蒸気排出
胴20が接続される。
【0074】この蒸気排出胴20は外胴24とその内部
の内胴22を備え、両胴の間には蒸気排出胴分離水排出
流路30が装備される。
【0075】この内胴22は、気水分離胴蒸気排出部1
6に接続されていて、気水分離胴6より排出された気水
分離胴6で未分離の水を含んだ蒸気を混合二相流として
内胴22内部に受け入れる。
【0076】内胴22内の混合二相流は旋回により遠心
分離作用を受ける。
【0077】ここで遠心分離作用で分離された水は下流
の分離水排出部26を通して蒸気排出胴分離水排出流路
30より排出されて炉心循環水として戻される。
【0078】また分離された蒸気は蒸気排出胴蒸気排出
流部28より排出される。
【0079】この蒸気は図2の蒸気乾燥器416へと送
られて乾燥蒸気とされる。
【0080】図1の気水分離器414は、内胴22と気
水分離胴蒸気排出部16との接続手段に混合二相流の旋
回力増幅手段を兼ねてレジューサ50を採用している。
【0081】具体的には、気水分離器の旋回胴10内径
と分離水排出部12の開口部内径よりも蒸気排出部内胴
22の内径を小さくし、分離水排出部12の開口部とこ
の内胴22と接続し、分離水排出部12から蒸気排出部
内胴22まで断面積を絞るレデューサ50を設置してい
る。
【0082】また、案内羽根4は、上端または下流端の
気水分離器軸方向位置が内縁端ではより下方側に、外端
では上方側にある後退翼形となっている。
【0083】また、蒸気排出胴20の上端の蒸気排出部
28の中央部に筒形の蒸気排出部案内流路60を備え
る。
【0084】その蒸気排出部案内流路60の両端の開口
部を上下方向に向けて設置し、旋回胴8に設置された案
内羽根4のひねり方向とは逆向きのひねりを持つ蒸気排
出部案内流路内案内羽根62をその蒸気排出部案内流路
60の下部内部に固定している。
【0085】また、気水分離器414内部を通過した蒸
気の旋回流を弱めるための蒸気排出口案内羽根70を蒸
気排出部28内側壁面に固定している。
【0086】これら4つの構成部品は、各々単独で気水
分離器に用いても、また複数を組み合せて気水分離器に
用いてもよい。
【0087】第1実施例の気水分離器では、上述のとお
り、これら4つの構成部品が同時に採用されている。
【0088】まず、気水分離器にレデューサ50を採用
したことにより気水分離性能が向上することを説明す
る。
【0089】この気水分離器414内で発生する混合二
相流の圧力損失Δpは数式1で与えられる。
【0090】
【数1】
【0091】ここで、ρm とvz はそれぞれ混合二相流
の平均密度と気水分離器軸方向流速成分で、Lは混合二
相流が接する流路の気水分離器軸方向長さ、C1 は比例
定数である。
【0092】スタンドパイプ2を通って送られてきた水
と蒸気の混合二相流は、まず気水分離胴6内の案内羽根
4により遠心力を受けて遠心分離され、その混合二相流
の一部の水は分離後に分離水排出部12より分離水排出
流路14を通って排出される。分離後の蒸気は、蒸気排
出胴20側に入る。
【0093】そのためにこの分離水排出部12を通過す
る前と後の混合二相流の平均密度は変化する。その混合
二相流の平均密度ρmの変化を図3に示す。
【0094】図3のように、分離水排出部12通過前の
気水分離胴6内の混合二相流の平均密度は大きく、分離
水排出部12通過後は混合二相流中の密度の大きい水の
一部が排出されているために蒸気排出胴20内の混合二
相流の平均密度は小さい。
【0095】そして、数1より気水分離胴6内の混合二
相流と比較して蒸気排出胴20内の混合二相流の平均密
度は小さいために蒸気排出胴20内の圧力損失も小さく
なる。
【0096】平均密度が小さく圧力損失も小さくなる状
態で旋回流状態の混合二相流は、気水分離胴6から蒸気
排出胴20内へレデューサ50を流路として送られる。
【0097】ここで気水分離胴6から蒸気排出胴20へ
行くに従い、レデューサ50により混合二相流の流路断
面積が狭く変化する。
【0098】このため、混合二相流の気水分離器軸方向
流速成分vz と旋回流速成分vθは変化する。その流速
変化をレデューサ50のない従来例と比較して図4に示
す。図4で、レデューサ50を設置しない場合では蒸気
排出胴20に向かって流路断面積は不変であるためにv
z は変化しないが、レデューサ50を設置した場合には
その流れ方向に向かって流路断面積は減少するためにv
z は増加して圧力損失は増加する。
【0099】しかし、レデューサ50を通って蒸気排出
胴20内へ入る混合二相流の平均密度は小さいためにそ
の圧力損失の増加は小さくなる。
【0100】また、旋回流速成分vθはレデューサ50
を設置しない場合では蒸気排出胴20に向かって旋回半
径rも不変であるためにvθはほぼ変化しないが、レデ
ューサ50を設置した場合にはその流れ方向に向かって
旋回半径は減少して遠心力を増加させる。
【0101】それとともに、旋回する混合二相流には数
式2で与えられる旋回運動における角運動量保存則が成
り立つ。
【0102】
【数2】 ω=r×rθ=一定値 …(数2) これは、旋回運動の外部より力の作用がないときには旋
回流速成分vθと旋回半径rとの商である角運動量ωは
常に保存する法則である。
【0103】この法則により混合二相流の旋回流速成分
θはレデューサ50で増加して下流の蒸気排出胴20
内において作用する遠心力も増加する。
【0104】さらに気水分離器の水と蒸気の混合二相流
に作用する遠心力Fが大きいほど二相流の分離効率ηは
増加し、このFは数式3の比例関係を持つ。
【0105】
【数3】
【0106】ここでC3 は比例定数、vθとrはそれぞ
れ混合二相流の旋回流速成分と旋回半径である。
【0107】この数式2と数式3よりレデューサ50を
設置して旋回半径rを減少させ旋回流速成分vθを増加
させた場合には気水分離器の水と蒸気の分離効率は向上
することが分かる。
【0108】以上の気水分離器内の混合二相流の圧力損
失Δpと分離効率ηの気水分離器軸方向変化をレデュー
サ50のない従来例と比較すると図5に示すようにな
り、本発明のレデューサ50を設置した気水分離器を用
いることにより圧力損失の大幅な増加を抑えて気水分離
性能の大幅な向上が得られる。
【0109】また、レデューサ50を設置した気水分離
器を用いることによりその気水分離効率が向上するた
め、従来の気水分離器と比較して旋回胴8内の案内羽根
4のひねり角度を小さくして案内羽根による二相流圧力
損失を低減することも可能であり、原子炉の炉内構造物
である気水分離器の圧力損失の低減と水と蒸気との分離
効率の向上の長所を有する。
【0110】つぎに後退翼形の案内羽根4を採用するこ
とによる気水分離性能の向上について図6,図7,図
8,図9を用いて説明する。
【0111】図6は気水分離器の案内羽根4の拡大図、
図7は図6のA−A′断面での水と蒸気の混合二相流の
軸方向速度成分vz と旋回流束成分vθの分布を示す。
【0112】また、従来例と本発明の案内羽根4付近の
水滴の運動の概略図をぞれぞれ図8,図9に示す。
【0113】従来の案内羽根304の中心部の混合二相
流の旋回流束成分vθは小さいために中心付近に付着し
た水滴500に作用する遠心力は小さい。
【0114】この水滴500の速度502の外周方向に
向かう速度成分も小さい。
【0115】また軸方向速度成分vz は大きいために案
内羽根表面に付着した水膜との摩擦は大きくこの水膜か
ら蒸気への液滴が再発生し易い。
【0116】しかし、図9に示すように気水分離器の案
内羽根4の上端または下流端の気水分離器軸方向位置が
内縁端ではより下方側に、外端では上方側にある後退翼
形の案内羽根4とすることで、この案内羽根4に付着し
た水滴500aは小さな外周方向速度でも後退翼形の案
内羽根表面をつたってゆくことが容易で、この水滴の流
速ベクトル502aは流速ベクトル503aへと案内羽
根4の外周方向に偏向され易くなる。
【0117】すなわちこの案内羽根4中央部の羽根表面
の水滴を旋回胴8の外周部へ遠心力によって誘導するこ
とが容易であり、旋回胴8内での気水分離器の水と蒸気
の分離効率が後退翼形の案内羽根4にても向上する。
【0118】つぎに蒸気排出部案内流路60と蒸気排出
部案内流路内案内羽根62を採用したことによる気水分
離性能の向上について図10,図11,図12,図1
3,図14,図15を用いて説明する。
【0119】図29の従来例の気水分離器の蒸気排出部
328付近の拡大図を図10に、気水分離器の中心軸と
垂直なB−B′断面での蒸気の旋回流束成分vθの分布
を図11に、B−B′断面の圧力分布を図12に、蒸気
排出部328付近の気水分離器中心軸を含む断面におけ
る蒸気の流速ベクトルを図13に示す。
【0120】また、本発明の蒸気排出部案内流路60と
蒸気排出部案内流路内案内羽根62を設置した蒸気排出
部28の拡大図を図14に、図14における蒸気排出胴
20のC−C′断面およびD−D′断面での蒸気の旋回
流束成分vθの分布を図15に示す。
【0121】従来の気水分離器の蒸気排出部328にお
いて水と蒸気の混合二相流は図11に示す流速分布の旋
回流であるために、図12のように蒸気排出部328の
中心部の圧力は低下して、図13のようにこの蒸気排出
部328の中心部で気水分離器の上流側向きの逆流が発
生する。
【0122】また、蒸気排出部328の中心部では混合
二相流の旋回流速と遠心力は小さくなるために、この出
口中心部付近の水と蒸気は分離されにくい。
【0123】しかし、本発明では、図14の蒸気排出部
案内流路60により蒸気排出部28の中央部の逆流を蒸
気排出部の内胴22内へ誘導して、気水分離器の案内羽
根4と逆ひねりの蒸気排出部案内流路案内羽根62によ
り強い旋回を与えることが可能である。
【0124】これにより図15のように蒸気排出部28
の中央部の混合二相流の旋回流速成分を増加させて、逆
流で入ってきた混合二相流の水液滴を遠心力で外周部へ
押しやり水と蒸気との分離効率の向上を図る。
【0125】つぎに蒸気排出口案内羽根70を採用した
ことによる圧力損失の低減効果につき図16を用いて説
明する。
【0126】図16は、蒸気排出口案内羽根70を設置
した場合の蒸気排出部28付近の拡大図で、この案内羽
根70の通過前後の混合二相流中の水滴はそれぞれ52
0と521で、通過前の水滴520の速度ベクトル53
0は通過後の水滴521の速度ベクトル531に案内羽
根70で強制的に変更させる。
【0127】蒸気排出口案内羽根70を通過前の水滴速
度の旋回成分u1θは大きいが、気水分離器の蒸気排出
部28に気水分離器内部を通過した蒸気の旋回流を低減
するための蒸気排出口案内羽根70を蒸気排出部28の
内側壁面に固定して蒸気旋回流の方向を変えて気水分離
器の蒸気排出部28出口から排出される水滴521の速
度ベクトル531の旋回流速成分を低減できる。
【0128】そして、隣接しあう複数の気水分離器から
排出される蒸気の旋回流同志相互に作用する摩擦により
圧力損失が増加することを抑制し、また旋回流速成分の
持つ運動エネルギーの旋回付与前への回復により気水分
離器の圧力損失が低減する。次に、本発明の第2実施例
を図17に基づいて以下に説明する。
【0129】この実施例は第1実施例がベ−スと成って
おり、変更されている部分は次のとおりである。
【0130】即ち、第1実施例における蒸気排出部案内
流路60と蒸気排出部案内流路案内羽根62と蒸気排出
口案内羽根70は気水分離器の構成部品としては採用さ
れていない。
【0131】図17では2個のレデューサ50a,51
aで径が異なる2個の蒸気排出胴20a,21aが気水
分離胴6と直列と成るように接続されている。
【0132】2個の蒸気排出胴20a,21a共に第1
実施例の蒸気排出胴20と同じ構成を備えており、蒸気
排出胴21aは蒸気排出胴20aよりも全ての構成部品
が小径に構成されている。蒸気排出胴21aの内筒23
aや外筒25aや分離水排出部27aや蒸気排出部29
aは、蒸気排出胴20aの内筒22aや外筒24aや分
離水排出部26aや蒸気排出部26aよりも小径化され
ている。
【0133】スタンドパイプ2から気水分離胴6内に入
ってきた混合二相流は、後退翼型の案内羽根4により旋
回力して、気水分離胴6で遠心分離作用を受ける。
【0134】遠心分離後の混合二相流は、レデューサ5
0aで旋回速度が増速されて、内胴22a内に入り、増
速された旋回速度に基づいて遠心分離作用を受ける。
【0135】次に、蒸気排出胴20aで遠心分離後の混
合二相流は、レデューサ51aで旋回速度が再度増速さ
れて、内胴23a内に入り、再度増速された旋回速度に
基づいて遠心分離作用を受けて蒸気排出胴21aの蒸気
排出部29aから蒸気が排出される。分離後の蒸気は、
気水分離胴6や蒸気排出胴21aや蒸気排出胴20aで
の分離作用のつど貴水分離器外へ排出される。
【0136】さらに、気水分離器内を混合二相流が通過
する際に複数の分離水排出部26a,27aより水が排
出されることでスタンドパイプ2に近い上流側の蒸気排
出胴20aに比べてより下流側の蒸気排出胴21a内の
混合二相流の蒸気体積率(ボイド率)は大きくなって、
気水分離効果が向上し、この混合二相流の平均密度は小
さくなる。
【0137】このために、下流側の蒸気排出胴21aを
通過する際の流れの二相流圧力損失は低下する。このた
めに従来例よりも蒸気排出部内胴23aの半径を小さく
しても流路断面積の減少による混合二相流の流速増加に
よる圧力損失の増加を低く抑えることが可能である。
【0138】また、気水分離効率の向上が図れれば、案
内羽根4の段階で大きな旋回力を加えようとして案内羽
根4のひねり角度を無理に大きくすること無く、小さく
して案内羽根4による二相流圧力損失の低減も図れる。
案内羽根4のひねり角度の減少度合いは、案内羽根4に
よる二相流圧力損失の低減度合いと、得たい気水分離効
率の向上度合いとの兼ね合いで決めれば良い。このよう
に、案内羽根4による二相流圧力損失の低減度合いと、
得たい気水分離効率の向上度合いとの調整に自由度が広
がる。
【0139】また、本発明の第3実施例を図18に基づ
いて以下に説明する。
【0140】この実施例は、第2実施例を変更したもの
でり、その変更点は以下のとおりであり、他は第1実施
例と同じである。
【0141】即ち、図17の2組の蒸気排出胴20a,
21aの実施例に対し、図18の2組の蒸気排出胴20
b,21bとレデューサ50b,51bは、蒸気排出胴2
0bが蒸気排出胴21bよりも気水分離器の中心軸方向
において長く、レデューサ50bがレデューサ51bよ
りも気水分離器の中心軸方向において長くされている。
【0142】この構成では、気水分離胴6から蒸気排出
胴20bに入ってくる混合二相流の密度が図17の場合
と比べて小さい場合には、蒸気排出胴20bでの圧力損
失が少なくなるので、この蒸気排出胴20bを長くして
蒸気排出胴20bでより多くの水滴を分離除去し、蒸気
排出胴21bでさらに水滴を分離除去することにより、
気水分離器としての分離効果をより向上する。
【0143】また、本発明の第4実施例を図19に基づ
いて説明する。
【0144】第4実施例では、図17の第2実施例にお
ける2組の蒸気排出胴20a,21aと2個のレデューサ
50a,51aの気水分離器の中心軸方向の長さを変更
した点が特徴と成っており、他の内容は第2実施例と同
じである。
【0145】その変更点は次のとおりである。
【0146】即ち、図19の2組の蒸気排出胴20c,
21c内の平均密度が大きい混合二相流を遠心分離する
蒸気排出胴20cの気水分離器の中心軸方向の長さLn
は、平均密度が小さい混合二相流を遠心分離する蒸気排
出胴21cの気水分離器の中心軸方向の長さLn+1より
も短くされる。
【0147】同様に、図19の2組のレデューサ50
a,51aについても、レデューサ50a,51aの内
の平均密度が大きい混合二相流が通るレデューサ50a
の気水分離器の中心軸方向の長さSn は、平均密度が小
さい混合二相流が通るレデューサ51aの気水分離器の
中心軸方向の長さSn+1 よりも短くされる。
【0148】先の数式3より平均密度ρm の大きい混合
二相流が通過する流路内の圧力損失Δpは大きくなる
が、流路長さLを小さく抑えればΔpは低減できる。
【0149】平均密度ρm の大きい混合二相流の接触す
るレデューサ50cの長さ(Sn )や蒸気排出部内胴2
2cの長さ(Tn )や蒸気排出胴20cの長さ(Ln
を平均密度ρm の小さい混合二相流の接触するレデュー
サ51cの長さ(Sn+1 )や蒸気排出部内胴23cの長
さ(Tn+1)や蒸気排出胴21cの長さ(Ln+1)よりも
短くして圧力損失を低く抑える。
【0150】このようにして気水分離器が扱う混合二相
流の平均密度に応じて、第3実施例と第4実施例とを選
択して原子炉に採用すればよい。
【0151】本発明の第5実施例を図20に示す。
【0152】本実施例は第1実施例を変更したものであ
り、その変更点は次のとおりである。その他の内容は第
1実施例と同じである。
【0153】即ち、第1実施例における部品50,6
0,62,70は採用されていない。そして、蒸気排出
部内胴22dを上流側の気水分離胴6dの蒸気排出部1
6dの開口部へ延長している。
【0154】この例では、後退翼型の案内羽根4で気水
分離効果が向上する上、従来の蒸気排出部312から蒸
気排出胴320の内胴322への流路が拡大されること
無く一定であるから、混合二相流の旋回速度がその拡大
部で大幅に減速することが無い。
【0155】このため、蒸気排出胴22dにおける気水
分離作用が図29の従来例よりも向上する。
【0156】本発明の第6実施例を図21に示す。
【0157】第6実施例は、第1実施例を変更したもの
で、以下に述べる変更内容以外は第1実施例と同じであ
る。
【0158】第6実施例では、第1実施例における部品
60,62,70は採用されていない。
【0159】第1実施例で採用された後退翼型の案内羽
根4は、第6実施例では変更されて、案内羽根4eとさ
れる。
【0160】この案内羽根4eは、後退翼型の案内羽根
であり、図1の案内羽根4と比較して、図21の如く、
案内羽根4eの上端または下流端をより下流側の旋回胴
8e内部まで延長して、案内羽根4eによる気水分離効
率の向上が得られる。
【0161】また、案内羽根4eの上端または下流端を
より下流側の旋回胴8e内部まで延長してあるから、そ
の旋回胴8e内の混合二相流の旋回勢力は強く、気水分
離効果が良くなる上、その旋回力の強さは、下流側の蒸
気排出胴内にまで影響して、蒸気排出胴での気水分離効
果も良くなる。
【0162】本発明の第7実施例を図22に第8実施例
を図23に示す。
【0163】これらの例は、第1実施例である図1の案
内羽根4に以下に述べる変更を加えているものであっ
て、その他は第1実施例と同じである。
【0164】即ち、図1の案内羽根4と比較して、図2
2の案内羽根4fの下端または上流端をより下流側へ後
退させて案内羽根4fの気水分離器軸方向の幅をその内
周部と外周部とで同一にしている。
【0165】図23の案内羽根4gでは、その下端また
は上流端を、図22以上により下流側へ後退させて案内
羽根4gの気水分離器軸方向の幅をその内周部に比べて
外周部ではより細くしている。
【0166】このようにすれば図1と同様に気水分離効
率の向上の効果が得られるとともに、大きな後退角で、
あるいはそれに加えて先細りの翼形状により気水分離器
の混合二相流とこの後退翼形の案内羽根との接触面積が
低下して案内羽根における二相流摩擦損失の低減も可能
である。
【0167】本発明の第9実施例を図24に示す。
【0168】第9実施例は、第1実施例を変更したもの
で、以下に述べる変更内容以外は第1実施例と同じであ
る。
【0169】第9実施例では、第1実施例における部品
60,62,70は採用されていない。
【0170】第9実施例では、図24の如く、後退翼型
の案内羽根4hの外周径と、スタンドパイプ2hと気水
分離胴の旋回胴8hとの内径を同一として、構造上及び
製作上の簡略化を果たしている。
【0171】この例でも、図1と同様に後退翼型の案内
羽根4hやレデューサの採用により気水分離効率の向上
の効果が得られる。
【0172】本発明の第10実施例を図25に、第11
実施例を図26にそれぞれ示す。
【0173】第10,11実施例は、第1実施例を変更
したもので、以下に述べる変更内容以外は第1実施例と
同じである。
【0174】第10実施例にあっては、第1実施例の蒸
気排出部案内流路60と蒸気排出部案内流路内案内羽根
62とが変更されている。
【0175】第1実施例に比較して、図25では蒸気排
出部案内流路60iの下端位置は蒸気排出部案内流路内
案内羽根62iの下端位置と同一の位置としている。
【0176】第1実施例に比較して、図26では蒸気排
出部案内流路60jの上端位置は蒸気排出部案内流路内
案内羽根62jの上端位置と同一の位置としている。こ
のようにしても図1の第1実施例と同様に気水分離効率
の向上の効果が得られる。
【0177】本発明の第12実施例を図27に示して以
下に説明する。
【0178】第1実施例から第11実施例までのいずれ
かの実施例による複数の気水分離器414を沸騰水型原
子炉圧力容器内に組み込んだ実施例を図27に示す。
【0179】前記の本発明による気水分離器の分離効率
の向上の作用により、原子炉圧力容器400内の上部構
造物である蒸気乾燥器416Kの負担が軽減され、蒸気
乾燥器416Kを構成している蒸気乾燥ユニット数を低
減できる。
【0180】このため、原子炉の圧力容器400の内周
部に近い蒸気乾燥ユニットを環状に配置した環状型蒸気
乾燥器416kにすることが出来る。
【0181】この炉内構造物の簡略化が図られることに
よる原子炉の保守性の向上や、原子炉圧力容器のより高
い安全性と信頼性を確保することも可能である。
【0182】本発明の第13実施例を図28に示して以
下に説明する。
【0183】第1実施例から第11実施例までのいずれ
かの実施例による複数の気水分離器414mを沸騰水型
原子炉圧力容器内に組み込んだ実施例を図28に示す。
【0184】図28では、蒸気乾燥器が図27と同様の
環状蒸気乾燥器416mとしてある。
【0185】さらに気水分離器414mは従来に比べて
気水分離効率が高いから、従来の原子炉圧力容器と比較
して気水分離器414mの装備密度はより少なくてす
み、従来よりもまばらな配置と成っている。
【0186】そのまばらな気水分離器414mの間と環
状蒸気乾燥器416mの中空部を利用して、原子炉圧力
容器400の上部より制御棒駆動機構406mの下方延
長部を通して、制御棒408mを上下に駆動する上部挿
入型制御棒による原子炉制御が行える様になる。
【0187】遠心力により気液を分離する軸流遠心式の
気水分離器においては、回転により液滴に作用する遠心
力と中心に向かう気流の抗力とのバランスによって分離
できる液滴径の限界が定まる。
【0188】この分離限界液滴径Dは数式4で与えられ
る。
【0189】
【数4】
【0190】ここで、Vt は周方向速度、Vr は径方向
速度、μは蒸気の粘性係数、ρは液体の密度、rは旋回
胴の半径である。従来のBWRプラント(1350MW
e級)に用いられる気水分離器では、蒸気の粘性係数及
び液体の密度は70気圧飽和状態の蒸気及び水の値であ
り、旋回胴の半径は100mm程度である。
【0191】また、スタンドパイプ内の平均流速約10
m/sの二相流を45度の案内羽根で各速度成分に分配
している。従って、数4によると従来の気水分離器の分
離限界液滴径は約90mmとなり、これより小さい液滴は
蒸気乾燥器において除去し蒸気乾燥器の出口湿り度0.
1wt% を満足させて、主蒸気系へ放出する。
【0192】本発明において、案内羽根及び旋回胴を従
来と同一とし、レデューサ後の内胴の半径を76mm(流
路面積旋回胴の1/2)とした場合には、角運動量の保
存則から遠心力の効果が大きくなり、分離限界液滴径は
約50mmとなり従来例に比べより小さな液滴まで気水分
離器において除去できる。更に内胴半径を小さくし、5
4mm(流路面積旋回胴の1/4)とした場合には、分離
限界液滴径は約30mmとなり、蒸気乾燥器の入口湿り度
の更なる低減が図れる。
【0193】ここで、気水分離器内での液滴径分布を環
状噴霧流に関する液滴径に関する植田の式で仮定した場
合、従来例では、流入液滴の約93%を気水分離器で除
去し、残りの約7%を蒸気乾燥器において除去すること
になる。本発明において、内胴半径を76mmとした場合
は、気水分離器で流入液滴の約97%,蒸気乾燥器で約
3%を除去する。この時気水分離器と蒸気乾燥器とで除
去する湿分分離量の比は30以上となる。また、内胴半
径を54mmとした場合には、気水分離器において約9
9.5%,蒸気乾燥器において約0.5% 液滴を除去す
ることになる。この時気水分離器と蒸気乾燥器とで除去
する湿分分離量の比は約200となる。
【0194】ここでは、水の密度ρ=750(Kg/
3),蒸気の粘性係数μ=18.80/106(Pa・
s)として、計算しており、表1の本発明(1)とある
のが湿分分離量の比が30以上の例であり、表1の本発
明(2)とあるのが湿分分離量の比が約200の例であ
る。
【0195】
【表1】
【0196】いずれの例も、第1実施例における気水分
離器の構造から部品60,62,70を削除した構成を
基本モデルとしている。
【0197】気水分離器の分離性能が向上した分、蒸気
乾燥器の簡素化が図れる。例えば、蒸気乾燥器の入口湿
り度の低下により蒸気乾燥器の流路面積の低減が可能で
あり、従来約2mあった蒸気乾燥器を約1mに縮小で
き、その縮小に伴ってそれを格納する原子炉圧力容器の
小型化が可能となる。あるいは、蒸気乾燥器を環状にす
ることによって制御棒の上部挿入が可能となる。
【0198】
【発明の効果】請求項1の発明によれば、気液二相流に
たいして気水分離途中で再度旋回速度成分を増強させて
気液分離効果を向上させる作用を気水分離器に与えるこ
とが出来るという効果が得られる。
【0199】請求項2の発明によれば、気液二相流に旋
回力を与える案内羽根が水滴を外周方向に誘導しやすい
から気液分離効果を向上させる作用を気水分離器に与え
ることが出来るという効果が得られる。
【0200】請求項3の発明によれば、気水分離器の蒸
気出口部における逆流を利用して気水分離器内の流体の
旋回を助長するから、遠心分離作用が強化されて、気液
分離効果を向上させる作用を気水分離器に与えることが
出来るという効果が得られる。
【0201】請求項4の発明によれば、気水分離器の排
出蒸気を旋回方向から上方向に整流するから、旋回によ
る圧力損失が少なくて気水分離器を通る流体の速度を上
げることが出来、案内羽根による旋回方向偏向後の旋回
速度も大きくなって、遠心分離作用が強化されて、気液
分離効果を向上させる作用を気水分離器に与えることが
出来るという効果が得られる。
【0202】請求項5の発明によれば、請求項1と請求
項2と請求項3と請求項4との内、少なくとも一項の発
明による効果を有して気液分離効果の向上した気水分離
器が提供できる効果が得られる。
【0203】請求項6の発明によれば、請求項5の発明
による効果に加えて、気液二相流の旋回速度成分を途中
で増速しながら、気液分離を蒸気排出胴で繰返し実行す
ることにより、気液分離効果の向上した気水分離器が提
供できる効果が得られる。
【0204】請求項7の発明によれば、請求項6の発明
による効果に加えて、気水分離胴から蒸気排出胴内に入
ってくる気液二相流の平均密度が小さい場合に、圧力損
失を多く受けない内に下段の蒸気排出胴で気液分離を促
進しするという、蒸気排出胴内に入ってくる気液二相流
の平均密度が小さい場合に合理的な気水分離器が提供で
きる。
【0205】請求項8の発明によれば、請求項6の発明
による効果に加えて、気水分離胴から蒸気排出胴内に入
ってくる気液二相流の平均密度が大きい場合に、圧力損
失を多く受け易い下段の蒸気排出胴の流路を短くして圧
力損失を抑制して、蒸気排出胴内に入ってくる気液二相
流の平均密度が大きい場合に合理的な気水分離器が提供
できる。
【0206】請求項9の発明によれば、原子炉圧力容器
内の蒸気乾燥器の簡略化が成せる沸騰水型原子炉を提供
できるという効果が得られる。
【0207】請求項10の発明によれば、請求項9の発
明による効果に加えて、上方から制御棒を操作すること
の出来る沸騰水型原子炉を乾燥蒸気内の湿分を極力増加
させないで提供できるという効果が得られる。
【0208】請求項11の発明によれば、気水分離器の
流路と中で処理流体の旋回速度成分を増速させることが
出来るから、気水分離器の流路過程で遠心分離作用の低
下を極力抑制して気液分離効果の高い気水分離器を提供
できる。
【0209】請求項12の発明によれば、気水分離器と
蒸気乾燥器との湿分分離量の比を従来になく高めて蒸気
乾燥器の湿分除去に関する負担を軽減できるという効果
が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例による気水分離器の縦断面
図である。
【図2】本発明の第1実施例による沸騰水型原子炉の縦
断面図である。
【図3】本発明の第1実施例による気水分離器内の気液
二相流の平均密度の分布図である。
【図4】本発明の第1実施例による気水分離器内の気液
二相流の平均軸方向流速と平均旋回流速との分布図であ
る。
【図5】本発明の第1実施例による気水分離器内の気液
二相流の圧力損失と分離効率との分布図である。
【図6】図1に示した案内羽根の拡大縦断面図である。
【図7】図6のA−A′断面の軸方向流速成分と旋回流
速成分の分布図である。
【図8】従来例の案内羽根付近の水滴運動の概略的表示
図である。
【図9】図1に示した案内羽根付近の水滴運動の概略的
表示図である。
【図10】従来例の気水分離器の蒸気排出部付近の拡大
図である。
【図11】図10のB−B′断面の旋回流速成分の分布
図である。
【図12】図10のB−B′断面の圧力分布図である。
【図13】図10の蒸気排出部付近の蒸気流速ベクトル
図である。
【図14】図1の蒸気排出部付近の拡大縦断面図であ
る。
【図15】図14のC−C′断面とD−D′断面との旋
回流速成分の分布図である。
【図16】図1における蒸気排出口案内羽根付近の拡大
縦断面図である。
【図17】本発明の第2実施例による気水分離器の縦断
面図である。
【図18】本発明の第3実施例による気水分離器の縦断
面図である。
【図19】本発明の第4実施例による気水分離器の縦断
面図である。
【図20】本発明の第5実施例による気水分離器の縦断
面図である。
【図21】本発明の第6実施例による気水分離器の縦断
面図である。
【図22】本発明の第7実施例による気水分離器の一部
分の縦断面図である。
【図23】本発明の第8実施例による気水分離器の一部
分の縦断面図である。
【図24】本発明の第9実施例による気水分離器の縦断
面図である。
【図25】本発明の第10実施例による気水分離器の一
部分の縦断面図である。
【図26】本発明の第11実施例による気水分離器の一
部分の縦断面図である。
【図27】本発明の第12実施例による沸騰水型原子炉
の縦断面図である。
【図28】本発明の第13実施例による沸騰水型原子炉
の縦断面図である。
【図29】従来の気水分離器の断面図である。
【図30】図29の気水分離器を用いた従来の沸騰水型
原子炉の縦断面図である。
【符号の説明】
2…スタンドパイプ、4…案内羽根、6…気水分離胴、
14,30…分離水排出流路、20…蒸気排出胴、28
…蒸気排出部、50…レデューサ、60…蒸気排出部案
内流路、62…蒸気排出部案内流路案内羽根、70…蒸
気排出部案内羽根、400…原子炉圧力容器、402…
シュラウド、404…炉心、406m…制御棒駆動機
構、408m…制御棒、412…シュラウドヘッド、4
14,414m…気水分離器、416…蒸気乾燥器、416
m…環状蒸気乾燥器。
【手続補正書】
【提出日】平成5年4月14日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 気水分離器の部分構造及びその構造を
用いた気水分離器並びにその気水分離器を用いた原子炉
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は原子炉の炉内構造物に係
り、特に沸騰水型原子炉における水と蒸気の二相流分離
性能の向上および二相流圧力損失の低減を図るのに好適
な原子炉の気水分離機構に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、沸騰水型原子炉は図30に示す
ように構成されている。
【0003】即ち、冷却材である軽水を保有する原子炉
圧力容器200内にはシュラウド202が設けられてお
り、このシュラウド内部には炉心204が収納されてい
る。
【0004】そして、この原子炉圧力容器200の下部
より制御棒駆動機構206で制御棒208が炉心内に挿
入,引抜きされるように構成されている。
【0005】そして、冷却材である軽水はこの炉心20
4内の燃料で加熱されて沸騰し、水と蒸気の混合二相流
となって上昇してシュラウドヘッド212に流れる。
【0006】そしてこのシュラウドヘッド212上方に
は多数の気水分離器214が接続される。
【0007】さらにこの気水分離器214の上方には蒸
気乾燥器216が設置されている。そして、水と蒸気の
混合二相流はこの気水分離器214で水と蒸気とに分離
される。
【0008】気水分離器214を上方へ通過して分離さ
れた蒸気は蒸気乾燥器216で乾燥された後に主蒸気ノ
ズル218から原子炉圧力容器200外へ排出されて主
蒸気系の主蒸気管(図示せず)を通して発電機を駆動す
るタービン(図示せず)に送出されるように構成されて
いる。
【0009】また、気水分離器214で分離された水は
気水分離器214から原子炉圧力容器200へ戻され
る。
【0010】この気水分離器214で分離された水は、
給水ノズル220から供給される給水と原子炉圧力容器
200内と混合され、その混合された水は冷却材として
インターナルポンプ222によって炉心204の下方に
送り込まれて炉心204へ再循環させている。
【0011】そして、この気水分離器214は図29の
ごとく構成されている。
【0012】即ち、多数のスタンドパイプ302は図3
0のシュラウドヘッド212へ上方から突接される。
【0013】このスタンドパイプ302の下端部はこの
シュラウドヘッド212内に開口している。そして、図
29のこれらスタンドパイプ302の上端部にはそれぞ
れ気水分離胴306が連通接続されている。
【0014】これら気水分離胴306は外胴310とそ
の内部の旋回胴308が設置され、両胴の間には、旋回
胴308内に通じる分離水排出流路が配備されている。
【0015】そして、この旋回胴308の下端部には案
内羽根304が固定される。
【0016】この案内羽根304の下端にはスタンドパ
イプ302が連通接続される。
【0017】そして、このシュラウドヘッド212内か
らスタンドパイプ302内を上昇した水と蒸気の混合二
相流は案内羽根304によって旋回力が与えられて旋回
流となる。
【0018】旋回胴308内部では、混合二相流が旋回
することにより、混合二相流に遠心力が作用する。
【0019】この時、混合二相流のなかで蒸気と比較し
て密度の大きい水は、旋回胴308内壁面に押し付けら
れ、密度の小さい蒸気は旋回胴308の中心部付近を上
方へ流れることによって水と蒸気とに遠心分離される。
【0020】旋回胴308内部では混合二相流は環状噴
霧流の流動様式となる。旋回胴308の内周壁方向に分離
された水は、気水分離胴306の分離水排出部312よ
り分離水排出流路316を通して下方へ排出されて炉心
循環水として戻される。
【0021】一方、旋回胴308内部の中心部に分離さ
れた蒸気は、気水分離胴蒸気排出部316へ上昇して蒸
気排出胴320の内胴322内に流入する。
【0022】旋回胴308の平断面積と比較してこの蒸
気排出部314の平断面積が狭いので、旋回胴308内
の中心部分の混合二相流の旋回エネルギー成分が蒸気排
出胴320の内胴322内に入る。
【0023】そして、気水分離胴306の上部には蒸気
排出胴320が連通接続される。
【0024】この蒸気排出胴320は外胴324とその
内部に内胴322が設置される。両胴の間には、分離水
排出流路330が分離水排出部326で内胴322内に
連通している。
【0025】この内胴322は蒸気排出部314に接続
されて気水分離胴306より排出された気水分離胴30
6で未分離の水を含んだ蒸気を混合二相流として受け入
れて、内胴322内部において混合二相流の旋回により
遠心分離する。
【0026】ここで分離された水は下流の分離水排出部
326を通して蒸気排出胴分離水排出流路330を通じ
て気水分離器214外へ排出されて炉心循環水として戻
される。
【0027】また蒸気排出胴320で再分離された蒸気
は、蒸気排出胴蒸気排出流部328を上方へ通過後に蒸
気排出口360より排出される。
【0028】この蒸気排出口360より排出された蒸気
は上昇して図30の蒸気乾燥器216へと送られて乾燥蒸
気とされる。
【0029】水と蒸気の混合二相流がこの気水分離器2
14を通過する際には圧力損失を生じる。
【0030】この圧力損失が大きいと冷却材を循環駆動
するインターナルポンプ222内の動力が多く必要とな
り、不経済である。
【0031】また、この圧力損失が大きいと炉心204
を通過する冷却材流量の低流量時において冷却材の流れ
が不安定となり、炉心の制御が不安定となる。
【0032】このために従来からこの気水分離器214
の圧力損失を可能な限り小さく抑えることが望まれてい
た。
【0033】この圧力損失を小さくするための手段とし
て、気水分離胴内部の圧力損失を低減することが従来よ
り考慮されている。
【0034】例えば、特開昭62−64989 号公報の開示に
よれば、流れ方向に沿って気水分離胴内径を変化させな
いようにして気水分離胴内部での圧力損失の低減を図っ
ている。
【0035】従来の気水分離器内での圧力損失は案内羽
根304により水と蒸気の混合二相流を旋回流として急
激に流れの方向を変化させることによる二相流圧力損失
が最も大きい。
【0036】そのためこの案内羽根304において旋回
流を生じさせる際の二相流圧力損失を可能な限り小さく
抑えることも望まれていた。
【0037】この圧力損失を小さくするための手段とし
て、案内羽根の形状に検討を加えることが従来より行わ
れている。
【0038】例えば、特開昭50−38866 号公報の開示に
よれば、上向きに案内羽根を湾曲させその曲率半径をそ
の内縁端から外縁端へ増加する構造により案内羽根での
二相流圧力損失の低減を図っている。
【0039】また、特開昭62−64989 号公報の開示によ
れば、気水分離胴内の中心部にのみ流れのひねり角度を
与えたスワール型案内羽根の構造により案内羽根での二
相流圧力損失の低減を図っている。
【0040】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、二相流
圧力損失の低減を図るために流れの方向を急激に変えな
いように案内羽根の湾曲の曲率半径やひねり角度を小さ
くすると気水分離器内の二相流の旋回流速成分も小さく
なり、水と蒸気の気水分離性能は低下する。
【0041】従って、気水分離器の設計において最も重
要な点は、可能な限りの圧力損失の低減を図って、かつ
水と蒸気の気水分離性能の可能な限りの向上を図ること
である。
【0042】本発明の第1目的は気水分離効果の向上に
あり、第2の目的は気水分離器段階での気水分離効果を
高めた沸騰水型原子炉を提供することにある。
【0043】
【課題を解決するための手段】上記第1目的を達成する
ため第1手段は、気液二相流に旋回力を付与する案内羽
根と、前記案内羽根で旋回流とされた気液二相流を受け
入れる気水分離胴と、前記気水分離胴よりも胴径が小さ
く且つ前記気水分離胴に前記気水分離胴の中央部分の流
れを受け入れるように接続された蒸気排出胴とを備えた
気水分離器において、前記接続の手段は、前記中央部分
の流れの入り口流路面積が前記蒸気排出胴の前記流れの
受け入れ流路面積よりも広いレデューサであることを特
徴とした気水分離器の部分構造であり、同じく第2手段
は、気液二相流に旋回力を付与する案内羽根と、前記案
内羽根で旋回流とされた気液二相流を受け入れる気水分
離胴と、前記気水分離胴よりも胴径が小さく且つ前記気
水分離胴に前記気水分離胴の中央部分の流れを受け入れ
るように接続された蒸気排出胴とを備えた気水分離器に
おいて、前記案内羽根は、前記気液二相流の下流側に羽
根が後退している後退翼型を成していることを特徴とし
た気水分離器の部分構造であり、同じく第3手段は、気
液二相流に旋回力を付与する案内羽根と、前記案内羽根
で旋回流とされた気液二相流を受け入れる気水分離胴
と、前記気水分離胴よりも胴径が小さく且つ前記気水分
離胴に前記気水分離胴の中央部分の流れを受け入れるよ
うに接続された蒸気排出胴とを備えた気水分離器におい
て、前記蒸気排出胴の蒸気排出部の中央部分に、前記蒸
気排出部の高さ以上の高さに流体入り口を、前記蒸気排
出部の高さ以下の高さ流体出口を、それぞれ備えた蒸気
排出部案内流路が装備され、前記蒸気排出部案内流路の
前記流体出口に前記流体出口から下方へ出る流体に対し
て前記旋回流と同方向の旋回を付与する他の案内羽根を
備えていることを特徴とした気水分離器の部分構造であ
り、同じく第4手段は、気液二相流に旋回力を付与する
案内羽根と、前記案内羽根で旋回流とされた気液二相流
を受け入れる気水分離胴と、前記気水分離胴よりも胴径
が小さく且つ前記気水分離胴に前記気水分離胴の中央部
分の流れを受け入れるように接続された蒸気排出胴とを
備えた気水分離器において、前記蒸気排出胴の蒸気排出
部に前記旋回流を旋回方向から上方向に矯正する蒸気排
出口案内羽根を装備してあることを特徴とした気水分離
器の部分構造であり、同じく第5手段は、第1手段と第
2手段と第3手段と第4手段とのいずれか少なくとも一
つの気水分離器の部分構造を備えていることを特徴とし
た気水分離器であり、同じく第6手段は、第5手段にお
いて、蒸気排出胴は上下方向に複数個直列多段に接続さ
れて下段の蒸気排出胴の中央部分の気液二相流を上段の
蒸気排出胴が受け入れるように連通されており、前記蒸
気排出胴は上段にゆくに従い胴径が小さくされており、
前記蒸気排出胴間の前記連通接続手段は、前記中央部分
の気液二相流の入り口流路面積が前記上段の蒸気排出胴
の前記気液二相流の受け入れ流路面積よりも広い他のレ
デューサであることを特徴とした気水分離器であり、同
じく第7手段は、第6手段において、下段の蒸気排出胴
の胴長は上段の蒸気排出胴の胴長よりも相対的に長くさ
れていることを特徴とした気水分離器であり、同じく第
8手段は、第6手段において、請求項6において、下段
の蒸気排出胴の胴長は上段の蒸気排出胴の胴長よりも相
対的に短くされていることを特徴とした気水分離器であ
り、上記第2目的を達成するための第9手段は、原子炉
炉心と、前記原子炉炉心に対して抜き差し方向の移動が
可能な制御棒と、前記原子炉炉心を囲むシュラウドと、
前記シュラウドのシュラウドヘッドに林立して前記シュ
ラウド内と連通した複数のスタンドパイプと、前記スタ
ンドパイプに連通接続した複数の気水分離器と、前記複
数の気水分離器の上方に配備された蒸気乾燥器とを原子
炉圧力容器内に内蔵し、前記制御棒を前記抜き差し方向
へ駆動する制御棒駆動機構を備えている沸騰水型原子炉
において、前記気水分離器として請求項5の気水分離器
を備え、前記蒸気乾燥器は中央部が空の環状型を成して
いることを特徴とした沸騰水型原子炉であり、同じく第
10手段は、第9手段において、複数の気水分離器の水
平間隔は制御棒駆動機構の制御棒への延長部分が通過で
きる間隔とされ、前記延長部分は環状型の蒸気乾燥器の
中央部と前記間隔を通過して前記制御棒に至っているこ
とを特徴とした沸騰水型原子炉であり、上記第1目的を
達成するための第11手段は、処理対象の流体の旋回半
径領域が上段にいくに従い小径と成る遠心分離方式の気
液分離手段を上下多段に直列的に連通接続し、前記気液
分離手段に処理対象の流体を旋回状態で通す気水分離器
において、前記連通接続部分に、旋回速度の増速手段を
備えることを特徴とした気水分離器であり、同じく第1
2手段は、蒸気の通る流路の上流側に気水分離器を、下
流側に蒸気乾燥器を備えた設備において、前記気水分離
器と前記蒸気乾燥器とで除去する湿分分離量の比は30
以上で前記気水分離器が多いことを特徴とした気水分離
器である。
【0044】
【作用】第1手段によれば、案内羽根により旋回力を受
けた気液二相流が、気水分離胴内で遠心分離作用により
湿分が除去され、蒸気排出胴内へ旋回状態で入り、ここ
で再度遠心分離作用を受けて湿分が除去される。気液二
相流が蒸気排出胴内へ入る際には、レデューサを通過す
るのであるが、その通過時に、この気液二相流は下流に
いくに従いレデューサ内流路断面の旋回半径の減少する
から、旋回流速成分は増加して遠心力を増加させる。第
1手段の部分構造を採用することで、気液二相流の旋回
流速成分は増加して蒸気排出胴内に入るから、この蒸気
排出胴における水と蒸気の気水分離効率は向上する作用
を気水分離器に与えることが出来る。
【0045】第2手段によれば、案内羽根により旋回力
を受けた気液二相流が、気水分離胴内で遠心分離作用に
より湿分が除去され、蒸気排出胴内へ旋回状態で入り、
ここで再度遠心分離作用を受けて湿分が除去される。気
液二相流が案内羽根により旋回される際には、その案内
羽根に気液二相流の湿分が水滴となって付着し、その水
滴は気液二相流とともに気水分離胴の内周壁面側へ案内
羽根で誘導され、その誘導力は、案内羽根が後退翼型で
あるから、強く発生し、第1手段の部分構造を採用する
ことで、中央部での液滴の発生を防止することにより、
分離効果が良く成される。
【0046】第3手段によれば、案内羽根により旋回力
を受けた気液二相流が、気水分離胴内で遠心分離作用に
より湿分が除去され、蒸気排出胴内へ旋回状態で入り、
ここで再度遠心分離作用を受けて湿分が除去される。蒸
気排出胴の蒸気排出部から排出される蒸気は旋回成分を
すくなからず備えているから、蒸気排出部の中央部でそ
の中央より外側に比べて圧力が低くなり、その蒸気排出
部内への逆流が発生しやすい。その逆流は、蒸気排出部
案内流路に導かれて蒸気排出胴内に誘導され、旋回力を
他の案内羽根により与えられた上で蒸気排出胴内に入れ
られ、蒸気排出胴内の中央部の流体の旋回力の増加を促
進する。このため、第3手段を採用すると、旋回力の抑
制や蒸気の逆流による湿分分離効果の低減が阻止出来、
湿分分離効果が向上する。
【0047】第4手段によれば、案内羽根により旋回力
を受けた気液二相流が、気水分離胴内で遠心分離作用に
より湿分が除去され、蒸気排出胴内へ旋回状態で入り、
ここで再度遠心分離作用を受けて湿分が除去される。蒸
気流が蒸気排出胴の蒸気排出部から排出される際には、
その蒸気流が蒸気排出胴の蒸気排出部において蒸気排出
口案内羽根により旋回方向から上方向に変更され、旋回
による圧力損失が低減され、案内羽根を通過する気液二
相流の速度を高めて気水分離胴及び蒸気排出胴内におけ
る二相流の旋回速度成分を高め、気水分離胴や蒸気排出
胴内での遠心分離効果を向上することが出来るようにな
る。第4手段を採用することにより、圧力損失の低減
と、それに基づく気水分離効果の向上作用とが得られ
る。
【0048】第5手段によれば、第1手段と第2手段と
第3手段と第4手段との内、少なくとも一つの手段によ
る上述の作用を備えることにより、気水分離器の気水分
離効果の向上作用が得られる。
【0049】第6手段によれば、第5手段による作用に
加えて、直列多段の蒸気排出胴により良く気水分離が成
されるほかに、気液二相流がその直列多段間を通過する
際には、気液二相流は他のレデューサによる旋回速度成
分の増速作用を受けるから、なお一層遠心分離による分
離効果が良く成される。
【0050】第7手段によれば、第6手段による作用に
加えて、気液二相流中の液相量が少ない場合などには元
々気液二相流の平均密度が小さいから下段での圧力損失
はより小さくなり、下段の蒸気排出胴内の気液二相流流
路を長くして気水分離度合いが上段の蒸気排出胴よりも
増大し、上段長さを下段よりも相対的に小さくして上段
の圧力損失をより低減する。
【0051】第8手段によれば、第6手段による作用に
加えて、気液二相流の平均密度が大きい状態で圧力損失
が大きくなりやすい下段の蒸気排出胴は気液二相流の流
路長さが短くなり、気液二相流の平均密度が小さい状態
の上段の蒸気排出胴は気液二相流の流路長さが長くなる
ので、圧力損失を低減できる。
【0052】第9手段によれば、制御棒駆動機構により
駆動される制御棒により制御された炉心により冷却材が
加熱されて気液二相流が発生しシュラウド内を上昇し、
シュラウドヘッドに至る。その気液二相流はシュラウド
ヘッドからスタンドパイプを上昇して気水分離器に流入
し、第5手段による気水分離作用を受け、その作用を受
けた蒸気は蒸気乾燥器により湿分除去作用を受ける。第
5手段による気水分離作用は従来例よりも効率が良いか
ら、蒸気乾燥器の湿分除去に関する負荷が軽減される作
用が得られ、蒸気乾燥器が簡略化できる。
【0053】第10手段によれば、第9手段による作用
に加えて、制御棒駆動機構により制御棒を原子炉圧力容
器の上方から上下に駆動できる作用が得られる。
【0054】第11手段によれば、処理対象の流体が上
段の気液分離手段に移行するごとに旋回速度の増速手段
で処理対象の流体の旋回速度成分が増速される作用を受
け、強力な遠心分離作用が処理対象流体に継続的に加え
られ、気液分離効率が高まる作用が得られる。
【0055】第12手段によれば、気水分離器が蒸気乾
燥器に対して湿分分離量の比が30以上と多く蒸気乾燥
器の湿分除去に関する負担を軽減する作用が得られる。
【0056】
【実施例】以下に、本発明の第1実施例を説明する。
【0057】冷却材を保有している図2の原子炉圧力容
器400内には、シュラウド402が設けられている。
【0058】そのシュラウド402内部には炉心404
が収納されている。
【0059】そして、この原子炉圧力容器400の下部
より制御棒駆動機構406で制御棒408が炉心404
内に挿入及び引抜きされるように構成されている。
【0060】そして、冷却材である軽水は、この炉心4
04内の燃料により加熱されて沸騰し、水と蒸気の混合
二相流となって上昇し、シュラウドヘッド412に流れ
る。このシュラウドヘッド412には多数のスタンドパ
イプ2が連通接続され、個々のスタンドパイプ2に一台
ずつの気水分離器414が連通接続される。
【0061】この気水分離器414群の上方には蒸気乾
燥器416が設置されている。
【0062】そして、水と蒸気の混合二相流はこの気水
分離器414で水と蒸気とに分離され、気水分離器41
4を通過して分離された蒸気は蒸気乾燥器416で乾燥
され、その後に主蒸気ノズル418から排出されて主蒸
気系の主蒸気管(図示せず)を通してタービン(図示せ
ず)へ送り出されるように構成されている。
【0063】また、気水分離器414で分離された水は
原子炉圧力容器400内で給水ノズル420から供給さ
れる給水と混合される。この混合された水は冷却材とし
てインターナルポンプ422によって炉心404の下方
に送り出され炉心404へ再循環する。
【0064】この気水分離器414は図1のように構成
されている。
【0065】即ち、各スタンドパイプ2の下端部はシュ
ラウドヘッド412内に開口している。
【0066】そして、図2のこれらスタンドパイプ2の
上端部にはそれぞれ気水分離胴6が接続されている。
【0067】これら気水分離胴6は外胴10とその内部
の旋回胴8を備えており、両胴の間に分離水排出流路1
4が装備される。
【0068】そして、この旋回胴8の下端部には案内羽
根4が固定されており、この案内羽根4の下端にはスタ
ンドパイプ2が接続される。
【0069】そして、図2のシュラウドヘッド412内
から図1のスタンドパイプ2内を上昇した水と蒸気の混
合二相流は案内羽根4によって旋回流となり、旋回胴8
内部では混合二相流に遠心力が作用する。
【0070】この時混合二相流のうち蒸気と比較して密
度の大きい水は旋回胴8内壁面に押し付けられ、密度の
小さい蒸気は旋回胴8の中心部付近を上方へ流れること
によって水と蒸気とに遠心分離されるように構成されて
いる。
【0071】気水分離胴6で分離された水は、気水分離
胴6の分離水排出部12から分離水排出流路14を通じ
て気水分離器414から排出されて炉心循環水として戻
される。
【0072】そして、気水分離胴6の上部には蒸気排出
胴20が接続される。
【0073】この蒸気排出胴20は外胴24とその内部
の内胴22を備え、両胴の間には蒸気排出胴分離水排出
流路30が装備される。
【0074】この内胴22は、気水分離胴蒸気排出部1
6に接続されていて、気水分離胴6より排出された気水
分離胴6で未分離の水を含んだ蒸気を混合二相流として
内胴22内部に受け入れる。
【0075】内胴22内の混合二相流は旋回により遠心
分離作用を受ける。
【0076】ここで遠心分離作用で分離された水は下流
の分離水排出部26を通して蒸気排出胴分離水排出流路
30より排出されて炉心循環水として戻される。
【0077】また分離された蒸気は蒸気排出胴蒸気排出
流部28より排出される。
【0078】この蒸気は図2の蒸気乾燥器416へと送
られて乾燥蒸気とされる。
【0079】図1の気水分離器414は、内胴22と気
水分離胴蒸気排出部16との接続手段に混合二相流の旋
回力増幅手段を兼ねてレデューサ50を採用している。
【0080】具体的には、気水分離器の旋回胴10内径
と分離水排出部12の開口部内径よりも蒸気排出部内胴
22の内径を小さくし、分離水排出部12の開口部とこ
の内胴22と接続し、分離水排出部12から蒸気排出部
内胴22まで断面積を絞るレデューサ50を設置してい
る。
【0081】また、案内羽根4は、上端または下流端の
気水分離器軸方向位置が内縁端ではより下方側に、外端
では上方側にある後退翼形となっている。
【0082】また、蒸気排出胴20の上端の蒸気排出部
28の中央部に筒形の蒸気排出部案内流路60を備え
る。
【0083】その蒸気排出部案内流路60の両端の開口
部を上下方向に向けて設置し、旋回胴8に設置された案
内羽根4のひねり方向とは逆向きのひねりを持つ蒸気排
出部案内流路内案内羽根62をその蒸気排出部案内流路
60の下部内部に固定している。
【0084】また、気水分離器414内部を通過した蒸
気の旋回流を弱めるための蒸気排出口案内羽根70を蒸
気排出部28内側壁面に固定している。
【0085】これら4つの構成部品は、各々単独で気水
分離器に用いても、また複数を組み合せて気水分離器に
用いてもよい。
【0086】第1実施例の気水分離器では、上述のとお
り、これら4つの構成部品が同時に採用されている。
【0087】まず、気水分離器にレデューサ50を採用
したことにより気水分離性能が向上することを説明す
る。
【0088】この気水分離器414内で発生する混合二
相流の圧力損失Δpは数式1で与えられる。
【0089】
【数1】
【0090】ここで、ρm とvz はそれぞれ混合二相流
の平均密度と気水分離器軸方向流速成分で、Lは混合二
相流が接する流路の気水分離器軸方向長さ、C1 は比例
定数である。
【0091】スタンドパイプ2を通って送られてきた水
と蒸気の混合二相流は、まず気水分離胴6内の案内羽根
4により遠心力を受けて遠心分離され、その混合二相流
の一部の水は分離後に分離水排出部12より分離水排出
流路14を通って排出される。分離後の蒸気は、蒸気排
出胴20側に入る。
【0092】そのためにこの分離水排出部12を通過す
る前と後の混合二相流の平均密度は変化する。その混合
二相流の平均密度ρm の変化を図3に示す。
【0093】図3のように、分離水排出部12通過前の
気水分離胴6内の混合二相流の平均密度は大きく、分離
水排出部12通過後は混合二相流中の密度の大きい水の
一部が排出されているために蒸気排出胴20内の混合二
相流の平均密度は小さい。
【0094】そして、数1より気水分離胴6内の混合二
相流と比較して蒸気排出胴20内の混合二相流の平均密
度は小さいために蒸気排出胴20内の圧力損失も小さく
なる。
【0095】平均密度が小さく圧力損失も小さくなる状
態で旋回流状態の混合二相流は、気水分離胴6から蒸気
排出胴20内へレデューサ50を流路として送られる。
【0096】ここで気水分離胴6から蒸気排出胴20へ
行くに従い、レデューサ50により混合二相流の流路断
面積が狭く変化する。
【0097】このため、混合二相流の気水分離器軸方向
流速成分vz と旋回流速成分vθは変化する。その流速
変化をレデューサ50のない従来例と比較して図4に示
す。図4で、レデューサ50を設置しない場合では蒸気
排出胴20に向かって流路断面積は不変であるためにv
z は変化しないが、レデューサ50を設置した場合には
その流れ方向に向かって流路断面積は減少するためにv
z は増加して圧力損失は増加する。
【0098】しかし、レデューサ50を通って蒸気排出
胴20内へ入る混合二相流の平均密度は小さいためにそ
の圧力損失の増加は小さくなる。
【0099】また、旋回流速成分vθはレデューサ50
を設置しない場合では蒸気排出胴20に向かって旋回半
径rも不変であるためにvθはほぼ変化しないが、レデ
ューサ50を設置した場合にはその流れ方向に向かって
旋回半径は減少して遠心力を増加させる。
【0100】それとともに、旋回する混合二相流には数
式2で与えられる旋回運動における角運動量保存則が成
り立つ。
【0101】
【数2】 ω=r×vθ=一定値 …(数2) これは、旋回運動の外部より力の作用がないときには旋
回流速成分vθと旋回半径rとの積である角運動量ωは
常に保存する法則である。
【0102】この法則により混合二相流の旋回流速成分
θはレデューサ50で増加して下流の蒸気排出胴20
内において作用する遠心力も増加する。
【0103】さらに気水分離器の水と蒸気の混合二相流
に作用する遠心力Fが大きいほど二相流の分離効率ηは
増加し、このFは数式3の比例関係を持つ。
【0104】
【数3】
【0105】ここでC3 は比例定数、vθとrはそれぞ
れ混合二相流の旋回流速成分と旋回半径である。
【0106】この数式2と数式3よりレデューサ50を
設置して旋回半径rを減少させ旋回流速成分vθを増加
させた場合には気水分離器の水と蒸気の分離効率は向上
することが分かる。
【0107】以上の気水分離器内の混合二相流の圧力損
失Δpと分離効率ηの気水分離器軸方向変化をレデュー
サ50のない従来例と比較すると図5に示すようにな
り、本発明のレデューサ50を設置した気水分離器を用
いることにより圧力損失の大幅な増加を抑えて気水分離
性能の大幅な向上が得られる。
【0108】また、レデューサ50を設置した気水分離
器を用いることによりその気水分離効率が向上するた
め、従来の気水分離器と比較して旋回胴8内の案内羽根
4のひねり角度を小さくして案内羽根による二相流圧力
損失を低減することも可能であり、原子炉の炉内構造物
である気水分離器の圧力損失の低減と水と蒸気との分離
効率の向上の長所を有する。
【0109】つぎに後退翼形の案内羽根4を採用するこ
とによる気水分離性能の向上について図6,図7,図
8,図9を用いて説明する。
【0110】図6は気水分離器の案内羽根4の拡大図、
図7は図6のA−A′断面での水と蒸気の混合二相流の
軸方向速度成分vz と旋回流速成分vθの分布を示す。
【0111】また、従来例と本発明の案内羽根4付近の
水滴の運動の概略図をぞれぞれ図8,図9に示す。
【0112】従来の案内羽根304の中心部の混合二相
流の旋回流速成分vθは小さいために中心付近に付着し
た水滴500に作用する遠心力は小さい。
【0113】この水滴500の速度502の外周方向に
向かう速度成分も小さい。
【0114】また軸方向速度成分vz は大きいために案
内羽根表面に付着した水膜との摩擦は大きくこの水膜か
ら蒸気への液滴が再発生し易い。
【0115】しかし、図9に示すように気水分離器の案
内羽根4の上端または下流端の気水分離器軸方向位置が
内縁端ではより下方側に、外端では上方側にある後退翼
形の案内羽根4とすることで、この案内羽根4に付着し
た水滴500aは小さな外周方向速度でも後退翼形の案
内羽根表面をつたってゆくことが容易で、この水滴の流
速ベクトル502aは流速ベクトル503aへと案内羽
根4の外周方向に偏向され易くなる。
【0116】すなわちこの案内羽根4中央部の羽根表面
の水滴を旋回胴8の外周部へ遠心力によって誘導するこ
とが容易であり、旋回胴8内での気水分離器の水と蒸気
の分離効率が後退翼形の案内羽根4にても向上する。
【0117】つぎに蒸気排出部案内流路60と蒸気排出
部案内流路内案内羽根62を採用したことによる気水分
離性能の向上について図10,図11,図12,図1
3,図14,図15を用いて説明する。
【0118】図29の従来例の気水分離器の蒸気排出部
328付近の拡大図を図10に、気水分離器の中心軸と
垂直なB−B′断面での蒸気の旋回流速成分vθの分布
を図11に、B−B′断面の圧力分布を図12に、蒸気
排出部328付近の気水分離器中心軸を含む断面におけ
る蒸気の流速ベクトルを図13に示す。
【0119】また、本発明の蒸気排出部案内流路60と
蒸気排出部案内流路内案内羽根62を設置した蒸気排出
部28の拡大図を図14に、図14における蒸気排出胴
20のC−C′断面およびD−D′断面での蒸気の旋回
流速成分vθの分布を図15に示す。
【0120】従来の気水分離器の蒸気排出部328にお
いて水と蒸気の混合二相流は図11に示す流速分布の旋
回流であるために、図12のように蒸気排出部328の
中心部の圧力は低下して、図13のようにこの蒸気排出
部328の中心部で気水分離器の上流側向きの逆流が発
生する。
【0121】また、蒸気排出部328の中心部では混合
二相流の旋回流速と遠心力は小さくなるために、この出
口中心部付近の水と蒸気は分離されにくい。
【0122】しかし、本発明では、図14の蒸気排出部
案内流路60により蒸気排出部28の中央部の逆流を蒸
気排出部の内胴22内へ誘導して、気水分離器の案内羽
根4と逆ひねりの蒸気排出部案内流路案内羽根62によ
り強い旋回を与えることが可能である。
【0123】これにより図15のように蒸気排出部28
の中央部の混合二相流の旋回流速成分を増加させて、逆
流で入ってきた混合二相流の水液滴を遠心力で外周部へ
押しやり水と蒸気との分離効率の向上を図る。
【0124】つぎに蒸気排出口案内羽根70を採用した
ことによる圧力損失の低減効果につき図16を用いて説
明する。
【0125】図16は、蒸気排出口案内羽根70を設置
した場合の蒸気排出部28付近の拡大図で、この案内羽
根70の通過前後の混合二相流中の水滴はそれぞれ52
0と521で、通過前の水滴520の速度ベクトル53
0は通過後の水滴521の速度ベクトル531に案内羽
根70で強制的に変更させる。
【0126】蒸気排出口案内羽根70を通過前の水滴速
度の旋回成分u1θは大きいが、気水分離器の蒸気排出
部28に気水分離器内部を通過した蒸気の旋回流を低減
するための蒸気排出口案内羽根70を蒸気排出部28の
内側壁面に固定して蒸気旋回流の方向を変えて気水分離
器の蒸気排出部28出口から排出される水滴521の速
度ベクトル531の旋回流速成分を低減できる。
【0127】そして、隣接しあう複数の気水分離器から
排出される蒸気の旋回流同志相互に作用する摩擦により
圧力損失が増加することを抑制し、また旋回流速成分の
持つ旋回運動エネルギ−から、気水分離器軸方向の運動
エネルギ−への回復により気水分離器の圧力損失が低減
する。
【0128】次に、本発明の第2実施例を図17に基づ
いて以下に説明する。
【0129】この実施例は第1実施例がベ−スと成って
おり、変更されている部分は次のとおりである。
【0130】即ち、第1実施例における蒸気排出部案内
流路60と蒸気排出部案内流路案内羽根62と蒸気排出
口案内羽根70は気水分離器の構成部品としては採用さ
れていない。
【0131】図17では2個のレデューサ50a,51
aで径が異なる2個の蒸気排出胴20a,21aが気水
分離胴6と直列と成るように接続されている。
【0132】2個の蒸気排出胴20a,21a共に第1
実施例の蒸気排出胴20と同じ構成を備えており、蒸気
排出胴21aは蒸気排出胴20aよりも全ての構成部品
が小径に構成されている。蒸気排出胴21aの内筒23
aや外筒25aや分離水排出部27aや蒸気排出部29
aは、蒸気排出胴20aの内筒22aや外筒24aや分
離水排出部26aや蒸気排出部26aよりも小径化され
ている。
【0133】スタンドパイプ2から気水分離胴6内に入
ってきた混合二相流は、後退翼型の案内羽根4により旋
回力して、気水分離胴6で遠心分離作用を受ける。
【0134】遠心分離後の混合二相流は、レデューサ5
0aで旋回速度が増速されて、内胴22a内に入り、増
速された旋回速度に基づいて遠心分離作用を受ける。
【0135】次に、蒸気排出胴20aで遠心分離後の混
合二相流は、レデューサ51aで旋回速度が再度増速さ
れて、内胴23a内に入り、再度増速された旋回速度に
基づいて遠心分離作用を受けて蒸気排出胴21aの蒸気
排出部29aから蒸気が排出される。分離後の蒸気は、
気水分離胴6や蒸気排出胴21aや蒸気排出胴20aで
の分離作用のつど気水分離器外へ排出される。
【0136】さらに、気水分離器内を混合二相流が通過
する際に複数の分離水排出部26a,27aより水が排
出されることでスタンドパイプ2に近い上流側の蒸気排
出胴20aに比べてより下流側の蒸気排出胴21a内の
混合二相流の蒸気体積率(ボイド率)は大きくなって、
気水分離効果が向上し、この混合二相流の平均密度は小
さくなる。
【0137】このために、下流側の蒸気排出胴21aを
通過する際の流れの二相流圧力損失は低下する。このた
めに従来例よりも蒸気排出部内胴23aの半径を小さく
しても流路断面積の減少による混合二相流の流速増加に
よる圧力損失の増加を低く抑えることが可能である。
【0138】また、気水分離効率の向上が図れれば、案
内羽根4の段階で大きな旋回力を加えようとして案内羽
根4のひねり角度を無理に大きくすること無く、小さく
して案内羽根4による二相流圧力損失の低減も図れる。
案内羽根4のひねり角度の減少度合いは、案内羽根4に
よる二相流圧力損失の低減度合いと、得たい気水分離効
率の向上度合いとの兼ね合いで決めれば良い。このよう
に、案内羽根4による二相流圧力損失の低減度合いと、
得たい気水分離効率の向上度合いとの調整に自由度が広
がる。
【0139】また、本発明の第3実施例を図18に基づ
いて以下に説明する。
【0140】この実施例は、第2実施例を変更したもの
でり、その変更点は以下のとおりであり、他は第1実施
例と同じである。
【0141】即ち、図17の2組の蒸気排出胴20a,
21aの実施例に対し、図18の2組の蒸気排出胴20
b,21bとレデューサ50b,51bは、蒸気排出胴2
0bが蒸気排出胴21bよりも気水分離器の中心軸方向
において長く、レデューサ50bがレデューサ51bよ
りも気水分離器の中心軸方向において長くされている。
【0142】この構成では、気水分離胴6から蒸気排出
胴20bに入ってくる混合二相流の密度が図17の場合
と比べて小さい場合には、蒸気排出胴20bでの圧力損
失が少なくなるので、この蒸気排出胴20bを長くして
蒸気排出胴20bでより多くの水滴を分離除去し、蒸気
排出胴21bでさらに水滴を分離除去することにより、
気水分離器としての分離効果をより向上する。
【0143】また、本発明の第4実施例を図19に基づ
いて説明する。
【0144】第4実施例では、図17の第2実施例にお
ける2組の蒸気排出胴20a,21aと2個のレデューサ
50a,51aの気水分離器の中心軸方向の長さを変更
した点が特徴と成っており、他の内容は第2実施例と同
じである。
【0145】その変更点は次のとおりである。
【0146】即ち、図19の2組の蒸気排出胴20c,
21c内の平均密度が大きい混合二相流を遠心分離する
蒸気排出胴20cの気水分離器の中心軸方向の長さLn
は、平均密度が小さい混合二相流を遠心分離する蒸気排
出胴21cの気水分離器の中心軸方向の長さLn+1より
も短くされる。
【0147】同様に、図19の2組のレデューサ50
a,51aについても、レデューサ50a,51aの内
の平均密度が大きい混合二相流が通るレデューサ50a
の気水分離器の中心軸方向の長さSn は、平均密度が小
さい混合二相流が通るレデューサ51aの気水分離器の
中心軸方向の長さSn+1 よりも短くされる。
【0148】先の数式3より平均密度ρm の大きい混合
二相流が通過する流路内の圧力損失Δpは大きくなる
が、流路長さLを小さく抑えればΔpは低減できる。
【0149】平均密度ρm の大きい混合二相流の接触す
るレデューサ50cの長さ(Sn )や蒸気排出部内胴2
2cの長さ(Tn )や蒸気排出胴20cの長さ(Ln
を平均密度ρm の小さい混合二相流の接触するレデュー
サ51cの長さ(Sn+1 )や蒸気排出部内胴23cの長
さ(Tn+1)や蒸気排出胴21cの長さ(Ln+1)よりも
短くして圧力損失を低く抑える。
【0150】このようにして気水分離器が扱う混合二相
流の平均密度に応じて、第3実施例と第4実施例とを選
択して原子炉に採用すればよい。
【0151】本発明の第5実施例を図20に示す。
【0152】本実施例は第1実施例を変更したものであ
り、その変更点は次のとおりである。その他の内容は第
1実施例と同じである。
【0153】即ち、第1実施例における部品50,6
0,62,70は採用されていない。そして、蒸気排出
部内胴22dを上流側の気水分離胴6dの蒸気排出部1
6dの開口部へ延長している。
【0154】この例では、後退翼型の案内羽根4で気水
分離効果が向上する上、従来の蒸気排出部312から蒸
気排出胴320の内胴322への流路が拡大されること
無く一定であるから、混合二相流の旋回速度がその拡大
部で大幅に減速することが無い。
【0155】このため、蒸気排出胴22dにおける気水
分離作用が図29の従来例よりも向上する。
【0156】本発明の第6実施例を図21に示す。
【0157】第6実施例は、第1実施例を変更したもの
で、以下に述べる変更内容以外は第1実施例と同じであ
る。
【0158】第6実施例では、第1実施例における部品
60,62,70は採用されていない。
【0159】第1実施例で採用された後退翼型の案内羽
根4は、第6実施例では変更されて、案内羽根4eとさ
れる。
【0160】この案内羽根4eは、後退翼型の案内羽根
であり、図1の案内羽根4と比較して、図21の如く、
案内羽根4eの上端または下流端をより下流側の旋回胴
8e内部まで延長して、案内羽根4eによる気水分離効
率の向上が得られる。
【0161】また、案内羽根4eの上端または下流端を
より下流側の旋回胴8e内部まで延長してあるから、そ
の旋回胴8e内の混合二相流の旋回勢力は強く、気水分
離効果が良くなる上、その旋回力の強さは、下流側の蒸
気排出胴内にまで影響して、蒸気排出胴での気水分離効
果も良くなる。
【0162】本発明の第7実施例を図22に第8実施例
を図23に示す。
【0163】これらの例は、第1実施例である図1の案
内羽根4に以下に述べる変更を加えているものであっ
て、その他は第1実施例と同じである。
【0164】即ち、図1の案内羽根4と比較して、図2
2の案内羽根4fの下端または上流端をより下流側へ後
退させて案内羽根4fの気水分離器軸方向の幅をその内
周部と外周部とで同一にしている。
【0165】図23の案内羽根4gでは、その下端また
は上流端を、図22以上により下流側へ後退させて案内
羽根4gの気水分離器軸方向の幅をその内周部に比べて
外周部ではより細くしている。
【0166】このようにすれば図1と同様に気水分離効
率の向上の効果が得られるとともに、大きな後退角で、
あるいはそれに加えて先細りの翼形状により気水分離器
の混合二相流とこの後退翼形の案内羽根との接触面積が
低下して案内羽根における二相流摩擦損失の低減も可能
である。
【0167】本発明の第9実施例を図24に示す。
【0168】第9実施例は、第1実施例を変更したもの
で、以下に述べる変更内容以外は第1実施例と同じであ
る。
【0169】第9実施例では、第1実施例における部品
60,62,70は採用されていない。
【0170】第9実施例では、図24の如く、後退翼型
の案内羽根4hの外周径と、スタンドパイプ2hと気水
分離胴の旋回胴8hとの内径を同一として、構造上及び
製作上の簡略化を果たしている。
【0171】この例でも、図1と同様に後退翼型の案内
羽根4hやレデューサの採用により気水分離効率の向上
の効果が得られる。
【0172】本発明の第10実施例を図25に、第11
実施例を図26にそれぞれ示す。
【0173】第10,11実施例は、第1実施例を変更
したもので、以下に述べる変更内容以外は第1実施例と
同じである。
【0174】第10実施例にあっては、第1実施例の蒸
気排出部案内流路60と蒸気排出部案内流路内案内羽根
62とが変更されている。
【0175】第1実施例に比較して、図25では蒸気排
出部案内流路60iの下端位置は蒸気排出部案内流路内
案内羽根62iの下端位置と同一の位置としている。
【0176】第1実施例に比較して、図26では蒸気排
出部案内流路60jの上端位置は蒸気排出部案内流路内
案内羽根62jの上端位置と同一の位置としている。こ
のようにしても図1の第1実施例と同様に気水分離効率
の向上の効果が得られる。
【0177】本発明の第12実施例を図27に示して以
下に説明する。
【0178】第1実施例から第11実施例までのいずれ
かの実施例による複数の気水分離器414を沸騰水型原
子炉圧力容器内に組み込んだ実施例を図27に示す。
【0179】前記の本発明による気水分離器の分離効率
の向上の作用により、原子炉圧力容器400内の上部構
造物である蒸気乾燥器416Kの負担が軽減され、蒸気
乾燥器416Kを構成している蒸気乾燥器ユニット数を
低減できる。
【0180】このため、原子炉の圧力容器400の内周
部に近い蒸気乾燥器ユニットを環状に配置した環状型蒸
気乾燥器416kにすることが出来る。
【0181】この炉内構造物の簡略化が図られることに
よる原子炉の保守性の向上や、原子炉圧力容器のより高
い安全性と信頼性を確保することも可能である。
【0182】本発明の第13実施例を図28に示して以
下に説明する。
【0183】第1実施例から第11実施例までのいずれ
かの実施例による複数の気水分離器414mを沸騰水型
原子炉圧力容器内に組み込んだ実施例を図28に示す。
【0184】図28では、蒸気乾燥器が図27と同様の
環状蒸気乾燥器416mとしてある。
【0185】さらに気水分離器414mは従来に比べて
気水分離効率が高いから、従来の原子炉圧力容器と比較
して気水分離器414mの装備密度はより少なくてす
み、従来よりもまばらな配置と成っている。
【0186】そのまばらな気水分離器414mの間と環
状蒸気乾燥器416mの中空部を利用して、原子炉圧力
容器400の上部より制御棒駆動機構406mの下方延
長部を通して、制御棒408mを上下に駆動する上部挿
入型制御棒による原子炉制御が行える様になる。
【0187】遠心力により気液を分離する軸流遠心式の
気水分離器においては、回転により液滴に作用する遠心
力と中心に向かう気流の抗力とのバランスによって分離
できる液滴径の限界が定まる。
【0188】この分離限界液滴径Dは数式4で与えられ
る。
【0189】
【数4】
【0190】ここで、Vt は周方向速度、Vr は径方向
速度、μは蒸気の粘性係数、ρは液体の密度、rは旋回
胴の半径である。従来のBWRプラント(1350MW
e級)に用いられる気水分離器では、蒸気の粘性係数及
び液体の密度は70気圧飽和状態の蒸気及び水の値であ
り、旋回胴の半径は100mm程度である。
【0191】また、スタンドパイプ内の平均流速約10
m/sの二相流を45度の案内羽根で各速度成分に分配
している。従って、数4によると従来の気水分離器の分
離限界液滴径は約90mmとなり、これより小さい液滴は
蒸気乾燥器において除去し蒸気乾燥器の出口湿り度0.
1wt% を満足させて、主蒸気系へ放出する。
【0192】本発明において、案内羽根及び旋回胴を従
来と同一とし、レデューサ後の内胴の半径を76mm(流
路面積旋回胴の1/2)とした場合には、角運動量の保
存則から遠心力の効果が大きくなり、分離限界液滴径は
約50mmとなり従来例に比べより小さな液滴まで気水分
離器において除去できる。更に内胴半径を小さくし、5
4mm(流路面積旋回胴の1/4)とした場合には、分離
限界液滴径は約30mmとなり、蒸気乾燥器の入口湿り度
の更なる低減が図れる。
【0193】ここで、気水分離器内での液滴径分布を環
状噴霧流に関する液滴径に関する植田の式で仮定した場
合、従来例では、流入液滴の約93%を気水分離器で除
去し、残りの約7%を蒸気乾燥器において除去すること
になり、この時気水分離器と蒸気乾燥器とで除去する湿
分分離量の比は約13となる。本発明において、内胴半
径を76mmとした場合は、気水分離器で流入液滴の約9
7%,蒸気乾燥器で約3%を除去する。この時気水分離
器と蒸気乾燥器とで除去する湿分分離量の比は30以上
となり、この湿分分離量の比は、従来の約2倍となる。
また、内胴半径を54mmとした場合には、気水分離器に
おいて約99.5% ,蒸気乾燥器において約0.5% 液
滴を除去することになる。この時気水分離器と蒸気乾燥
器とで除去する湿分分離量の比は約200となる。
【0194】ここでは、水の密度ρ=750(Kg/
3),蒸気の粘性係数μ=18.80/106(Pa・
s)として、計算しており、表1の本発明(1)とある
のが湿分分離量の比が30以上の例であり、表1の本発
明(2)とあるのが湿分分離量の比が約200の例であ
る。
【0195】
【表1】
【0196】いずれの例も、第1実施例における気水分
離器の構造から部品60,62,70を削除した構成を
基本モデルとしている。
【0197】気水分離器の分離性能が向上した分、蒸気
乾燥器の簡素化が図れる。例えば、蒸気乾燥器の入口湿
り度の低下により蒸気乾燥器の流路面積の低減が可能で
あり、気水分離器と蒸気乾燥器とで除去する湿分分離量
の比が30以上である表1の本発明(1)の気水分離器
を用いると従来約2mあった蒸気乾燥器を約1mに縮小
でき、その縮小に伴ってそれを格納する原子炉圧力容器
の小型化が可能、あるいは、蒸気乾燥器を環状にするこ
とによって制御棒の上部挿入が可能となる。
【0198】
【発明の効果】請求項1の発明によれば、気液二相流に
たいして気水分離途中で再度旋回速度成分を増強させて
気液分離効果を向上させる作用を気水分離器に与えるこ
とが出来るという効果が得られる。
【0199】請求項2の発明によれば、気液二相流に旋
回力を与える案内羽根が水滴を外周方向に誘導しやすい
から気液分離効果を向上させる作用を気水分離器に与え
ることが出来るという効果が得られる。
【0200】請求項3の発明によれば、気水分離器の蒸
気出口部における逆流を利用して気水分離器内の流体の
旋回を助長するから、遠心分離作用が強化されて、気液
分離効果を向上させる作用を気水分離器に与えることが
出来るという効果が得られる。
【0201】請求項4の発明によれば、気水分離器の排
出蒸気を旋回方向から上方向に整流するから、旋回によ
る圧力損失が少なくて気水分離器を通る流体の速度を上
げることが出来、案内羽根による旋回方向偏向後の旋回
速度も大きくなって、遠心分離作用が強化されて、気液
分離効果を向上させる作用を気水分離器に与えることが
出来るという効果が得られる。
【0202】請求項5の発明によれば、請求項1と請求
項2と請求項3と請求項4との内、少なくとも一項の発
明による効果を有して気液分離効果の向上した気水分離
器が提供できる効果が得られる。
【0203】請求項6の発明によれば、請求項5の発明
による効果に加えて、気液二相流の旋回速度成分を途中
で増速しながら、気液分離を蒸気排出胴で繰返し実行す
ることにより、気液分離効果の向上した気水分離器が提
供できる効果が得られる。
【0204】請求項7の発明によれば、請求項6の発明
による効果に加えて、気水分離胴から蒸気排出胴内に入
ってくる気液二相流の平均密度が小さい場合に、圧力損
失を多く受けない内に下段の蒸気排出胴で気液分離を促
進しするという、蒸気排出胴内に入ってくる気液二相流
の平均密度が小さい場合に合理的な気水分離器が提供で
きる。
【0205】請求項8の発明によれば、請求項6の発明
による効果に加えて、気水分離胴から蒸気排出胴内に入
ってくる気液二相流の平均密度が大きい場合に、圧力損
失を多く受け易い下段の蒸気排出胴の流路を短くして圧
力損失を抑制して、蒸気排出胴内に入ってくる気液二相
流の平均密度が大きい場合に合理的な気水分離器が提供
できる。
【0206】請求項9の発明によれば、原子炉圧力容器
内の蒸気乾燥器の簡略化が成せる沸騰水型原子炉を提供
できるという効果が得られる。
【0207】請求項10の発明によれば、請求項9の発
明による効果に加えて、上方から制御棒を操作すること
の出来る沸騰水型原子炉を乾燥蒸気内の湿分を極力増加
させないで提供できるという効果が得られる。
【0208】請求項11の発明によれば、気水分離器の
流路と中で処理流体の旋回速度成分を増速させることが
出来るから、気水分離器の流路過程で遠心分離作用の低
下を極力抑制して気液分離効果の高い気水分離器を提供
できる。
【0209】請求項12の発明によれば、気水分離器と
蒸気乾燥器との湿分分離量の比を従来になく高めて蒸気
乾燥器の湿分除去に関する負担を軽減できるという効果
が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例による気水分離器の縦断面
図である。
【図2】本発明の第1実施例による沸騰水型原子炉の縦
断面図である。
【図3】本発明の第1実施例による気水分離器内の気液
二相流の平均密度の分布図である。
【図4】本発明の第1実施例による気水分離器内の気液
二相流の平均軸方向流速と平均旋回流速との分布図であ
る。
【図5】本発明の第1実施例による気水分離器内の気液
二相流の圧力損失と分離効率との分布図である。
【図6】図1に示した案内羽根の拡大縦断面図である。
【図7】図6のA−A′断面の軸方向流速成分と旋回流
速成分の分布図である。
【図8】従来例の案内羽根付近の水滴運動の概略的表示
図である。
【図9】図1に示した案内羽根付近の水滴運動の概略的
表示図である。
【図10】従来例の気水分離器の蒸気排出部付近の拡大
図である。
【図11】図10のB−B′断面の旋回流速成分の分布
図である。
【図12】図10のB−B′断面の圧力分布図である。
【図13】図10の蒸気排出部付近の蒸気流速ベクトル
図である。
【図14】図1の蒸気排出部付近の拡大縦断面図であ
る。
【図15】図14のC−C′断面とD−D′断面との旋
回流速成分の分布図である。
【図16】図1における蒸気排出口案内羽根付近の拡大
縦断面図である。
【図17】本発明の第2実施例による気水分離器の縦断
面図である。
【図18】本発明の第3実施例による気水分離器の縦断
面図である。
【図19】本発明の第4実施例による気水分離器の縦断
面図である。
【図20】本発明の第5実施例による気水分離器の縦断
面図である。
【図21】本発明の第6実施例による気水分離器の縦断
面図である。
【図22】本発明の第7実施例による気水分離器の一部
分の縦断面図である。
【図23】本発明の第8実施例による気水分離器の一部
分の縦断面図である。
【図24】本発明の第9実施例による気水分離器の縦断
面図である。
【図25】本発明の第10実施例による気水分離器の一
部分の縦断面図である。
【図26】本発明の第11実施例による気水分離器の一
部分の縦断面図である。
【図27】本発明の第12実施例による沸騰水型原子炉
の縦断面図である。
【図28】本発明の第13実施例による沸騰水型原子炉
の縦断面図である。
【図29】従来の気水分離器の断面図である。
【図30】図29の気水分離器を用いた従来の沸騰水型
原子炉の縦断面図である。
【符号の説明】 2…スタンドパイプ、4…案内羽根、6…気水分離胴、
14,30…分離水排出流路、20…蒸気排出胴、28
…蒸気排出部、50…レデューサ、60…蒸気排出部案
内流路、62…蒸気排出部案内流路案内羽根、70…蒸
気排出部案内羽根、400…原子炉圧力容器、402…
シュラウド、404…炉心、406m…制御棒駆動機
構、408m…制御棒、412…シュラウドヘッド、4
14,414m…気水分離器、416…蒸気乾燥器、416
m…環状蒸気乾燥器。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中尾 俊次 茨城県日立市大みか町七丁目2番1号 株 式会社日立製作所エネルギー研究所内

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】気液二相流に旋回力を付与する案内羽根
    と、前記案内羽根で旋回流とされた気液二相流を受け入
    れる気水分離胴と、前記気水分離胴よりも胴径が小さく
    且つ前記気水分離胴に前記気水分離胴の中央部分の流れ
    を受け入れるように接続された蒸気排出胴とを備えた気
    水分離器において、前記接続の手段は、前記中央部分の
    流れの入り口流路面積が前記蒸気排出胴の前記流れの受
    け入れ流路面積よりも広いレデューサであることを特徴
    とした気水分離器の部分構造。
  2. 【請求項2】気液二相流に旋回力を付与する案内羽根
    と、前記案内羽根で旋回流とされた気液二相流を受け入
    れる気水分離胴と、前記気水分離胴よりも胴径が小さく
    且つ前記気水分離胴に前記気水分離胴の中央部分の流れ
    を受け入れるように接続された蒸気排出胴とを備えた気
    水分離器において、前記案内羽根は、前記気液二相流の
    下流側に羽根が後退している後退翼型を成していること
    を特徴とした気水分離器の部分構造。
  3. 【請求項3】気液二相流に旋回力を付与する案内羽根
    と、前記案内羽根で旋回流とされた気液二相流を受け入
    れる気水分離胴と、前記気水分離胴よりも胴径が小さく
    且つ前記気水分離胴に前記気水分離胴の中央部分の流れ
    を受け入れるように接続された蒸気排出胴とを備えた気
    水分離器において、前記蒸気排出胴の蒸気排出部の中央
    部分に、前記蒸気排出部の高さ以上の高さに流体入り口
    を、前記蒸気排出部の高さ以下の高さ流体出口を、それ
    ぞれ備えた蒸気排出部案内流路が装備され、前記蒸気排
    出部案内流路の前記流体出口に前記流体出口から下方へ
    出る流体に対して前記旋回流と同方向の旋回を付与する
    他の案内羽根を備えていることを特徴とした気水分離器
    の部分構造。
  4. 【請求項4】気液二相流に旋回力を付与する案内羽根
    と、前記案内羽根で旋回流とされた気液二相流を受け入
    れる気水分離胴と、前記気水分離胴よりも胴径が小さく
    且つ前記気水分離胴に前記気水分離胴の中央部分の流れ
    を受け入れるように接続された蒸気排出胴とを備えた気
    水分離器において、前記蒸気排出胴の蒸気排出部に前記
    旋回流を旋回方向から上方向に矯正する蒸気排出口案内
    羽根を装備してあることを特徴とした気水分離器の部分
    構造。
  5. 【請求項5】請求項1と請求項2と請求項3と請求項4
    とのいずれか少なくとも一つの気水分離器の部分構造を
    備えていることを特徴とした気水分離器。
  6. 【請求項6】請求項5において、蒸気排出胴は上下方向
    に複数個直列多段に接続されて下段の蒸気排出胴の中央
    部分の気液二相流を上段の蒸気排出胴が受け入れるよう
    に連通されており、前記蒸気排出胴は上段にゆくに従い
    胴径が小さくされており、前記蒸気排出胴間の前記連通
    接続手段は、前記中央部分の気液二相流の入り口流路面
    積が前記上段の蒸気排出胴の前記気液二相流の受け入れ
    流路面積よりも広い他のレデューサであることを特徴と
    した気水分離器。
  7. 【請求項7】請求項6において、下段の蒸気排出胴の胴
    長は上段の蒸気排出胴の胴長よりも相対的に長くされて
    いることを特徴とした気水分離器。
  8. 【請求項8】請求項6において、下段の蒸気排出胴の胴
    長は上段の蒸気排出胴の胴長よりも相対的に短くされて
    いることを特徴とした気水分離器。
  9. 【請求項9】原子炉炉心と、前記原子炉炉心に対して抜
    き差し方向の移動が可能な制御棒と、前記原子炉炉心を
    囲むシュラウドと、前記シュラウドのシュラウドヘッド
    に林立して前記シュラウド内と連通した複数のスタンド
    パイプと、前記スタンドパイプに連通接続した複数の気
    水分離器と、前記複数の気水分離器の上方に配備された
    蒸気乾燥器とを原子炉圧力容器内に内蔵し、前記制御棒
    を前記抜き差し方向へ駆動する制御棒駆動機構を備えて
    いる沸騰水型原子炉において、前記気水分離器として請
    求項5の気水分離器を備え、前記蒸気乾燥器は中央部が
    空の環状型を成していることを特徴とした沸騰水型原子
    炉。
  10. 【請求項10】請求項9において、複数の気水分離器の
    水平間隔は制御棒駆動機構の制御棒への延長部分が通過
    できる間隔とされ、前記延長部分は環状型の蒸気乾燥器
    の中央部と前記間隔を通過して前記制御棒に至っている
    ことを特徴とした沸騰水型原子炉。
  11. 【請求項11】処理対象の流体の旋回半径領域が上段に
    いくに従い小径と成る遠心分離方式の気液分離手段を上
    下多段に直列的に連通接続し、前記気液分離手段に処理
    対象の流体を旋回状態で通す気水分離器において、前記
    連通接続部分に、旋回速度の増速手段を備えることを特
    徴とした気水分離器。
  12. 【請求項12】蒸気の通る流路の上流側に気水分離器
    を、下流側に蒸気乾燥器を備えた設備において、前記気
    水分離器と前記蒸気乾燥器とで除去する湿分分離量の比
    は30以上で前記気水分離器が多いことを特徴とした気
    水分離器。
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