JPH06272650A - エンジンの点火制御における処理遅れ解消方法 - Google Patents

エンジンの点火制御における処理遅れ解消方法

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JPH06272650A
JPH06272650A JP6071693A JP6071693A JPH06272650A JP H06272650 A JPH06272650 A JP H06272650A JP 6071693 A JP6071693 A JP 6071693A JP 6071693 A JP6071693 A JP 6071693A JP H06272650 A JPH06272650 A JP H06272650A
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  • Electrical Control Of Ignition Timing (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 点火タイマセットの際の処理遅れの影響を解
消し、常に最適なタイミングで点火を行なう。 【構成】 ドエルオン待ち時間から現在の処理遅れ時間
を減算してアキュムレータAにストアし(S1572)、アキ
ュムレータBに実ドエル時間TDWLをストアする(S15
73)。そして、A>0のとき、アキュムレータAの内容
に気筒別のリタード時間を加算してタイマ初期値とし(S
1580,S1581)、アキュムレータBの内容をタイマリロー
ド値として(S1582)、点火タイマをスタートさせる(S159
5)。一方、A≦0のときには、タイマ初期値を0とし(S
1590)、アキュムレータBの内容をタイマリロード値と
して(S1591)点火タイマをスタートさせる。この時、現
在の処理遅れ時間が記録値を越えたか否かを調べ(S159
2)、記録値を越えているとき、処理遅れ記録を更新して
最大値を書換え(S1593)、この記録値による処理遅れ時
間を用いることにより、次の点火タイマセットで二度と
エラーが生じないようにする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、点火タイマセットの際
の処理遅れの影響を解消するエンジンの点火制御におけ
る処理遅れ解消方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車などの車輌にマイクロコン
ピュータが導入され、エンジン、パワートレインなどを
高精度に制御することが可能となった。このマイクロコ
ンピュータは、定電圧回路や各種周辺回路を加えた電子
制御装置(ECU)として車輌に搭載され、車輌の運転
状態を検出する各種センサ類からの信号に基づいてエン
ジンの燃料噴射制御や点火制御などを実行する。
【0003】上記ECUによる点火制御は、通常、所定
クランク角毎の割込み処理で実行され、例えば特開昭6
2−159747号公報には、所定クランク角毎の割込
みルーチンにおいて、吸入空気量及びエンジン回転数に
基づくマップの補間計算から基本点火時期を計算し、こ
の基本点火時期に、ノッキング、冷却水温などによる遅
角補正を加えて最終的な点火時期(角度)を算出した
後、この最終的な点火時期(角度)を時間に換算して点
火コイルの通電終了時刻、通電開始時刻を点火時期制御
用カウンタ(タイマ)にセットする技術が開示されてい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、所定の
クランク角割込みが起動されてから点火タイマにデータ
がセットされるまでには処理遅れ時間があり、この処理
遅れ時間の分だけ実際の点火時期がずれることになっ
て、エンジン出力性能を十分に発揮させることができな
いばかりでなく、排気ガスエミッションの悪化を招くお
それがある。
【0005】本発明は上記事情に鑑みてなされたもの
で、点火タイマセットの際の処理遅れの影響を解消し、
常に最適なタイミングで点火を行なうことのできるエン
ジンの点火制御における処理遅れ解消方法を提供するこ
とを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】第1の発明は、エンジン
の所定クランク位置毎に、クランク位置を検出する信号
の入力毎に区分した区間が点火に係る区間となったか否
かを判別し、点火に係る区間となったとき、エンジン運
転状態に応じて設定した点火コイルの通電・遮断時間か
ら処理遅れ時間を差し引いた値を点火タイマにセット
し、点火を行なうことを特徴とする。
【0007】第2の発明は、第1の発明において、上記
点火コイルの通電・遮断時間から処理遅れ時間を差し引
いた値が負となったとき、このときの処理遅れ時間の最
大値を記録し、次回の点火タイマセットの際の処理遅れ
時間とすることを特徴とする。
【0008】
【作用】第1の発明では、クランク位置を検出する信号
の入力毎に区間を区分し、所定クランク位置毎に点火に
係る区間となったか否かを判別する。そして、点火に係
る区間となったとき、点火コイルの通電・遮断時間から
処理遅れ時間を差し引いた値を点火タイマにセットし、
点火を行なう。
【0009】第2の発明は、第1の発明において点火コ
イルの通電・遮断時間から処理遅れ時間を差し引いた値
が負となったとき、このときの処理遅れ時間の最大値を
記録し、この最大値を次回の点火タイマセットの際の処
理遅れ時間として点火コイルの通電・遮断時間から差し
引く。
【0010】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の実施例を説明
する。図面は本発明の一実施例に係り、図1は点火タイ
マセットサブルーチンの部分フローチャート1、図2は
点火タイマセットサブルーチンの部分フローチャート
2、図3は0.5ms毎の定期割込み処理のフローチャ
ート、図4はクラセン割込み処理のフローチャート、図
5はジョブ優先処理のフローチャート、図6はジョブ実
行サブルーチンの部分フローチャート1、図7はジョブ
実行サブルーチンの部分フローチャート2、図8はジョ
ブ実行サブルーチンの部分フローチャート3、図9はジ
ョブ実行サブルーチンの部分フローチャート4、図10
はクランク位置算出サブルーチンのフローチャート、図
11はCCAS・RCAS判別サブルーチンのフローチ
ャート、図12は点火スケジュール作成サブルーチンの
部分フローチャート1、図13は点火スケジュール作成
サブルーチンの部分フローチャート2、図14は点火ス
ケジュール作成サブルーチンの部分フローチャート3、
図15は点火スケジュール作成サブルーチンの部分フロ
ーチャート4、図16は点火終了時割込み処理のフロー
チャート、図17はジョブの実行状態を示す説明図、図
18はジョブフラグの説明図、図19はクランク位置変
数の説明図、図20はジョブ実行中フラグとオーバーラ
ップカウンタの変化を示す説明図、図21はシステムシ
フトバッファの説明図、図22はクラセン間隔テーブル
の説明図、図23は気筒・クランク位置状態マップの説
明図、図24は点火シーケンスと点火区間変数の説明
図、図25は点火スケジュールの説明図、図26はスケ
ジュールポインタテーブルの説明図、図27は点火タイ
マセットの説明図、図28は通電状態マップの説明図、
図29は通電気筒情報と点火気筒情報との関係を示す説
明図、図30はクランク位置とエンジンの行程を示すタ
イムチャート、図31はエンジン系の概略構成図、図3
2はクランクロータとクランク角センサの正面図、図3
3はカムロータとカム角センサの正面図、図34は電子
制御系の回路構成図である。
【0011】本実施例のエンジン制御システムでは、図
34に示すマイクロコンピュータを中核とした電子制御
装置(ECU)50により図31に示すエンジン系が制
御され、燃料噴射制御、点火時期制御などが行なわれ
る。上記ECU50のマイクロコンピュータには、新し
い概念に基づくオペレーティングシステム(OS)が搭
載され、このOSにより、各センサ類からの信号入力処
理、エンジン回転数算出処理、吸入空気量算出処理、燃
料噴射量設定処理、点火時期設定処理などといった各制
御項目毎のジョブが管理されて効率的に実行されるよう
になっている。
【0012】まず、上記ECU50によって制御される
エンジン系の機器構成について説明する。
【0013】図31に示すように、エンジン1(図にお
いては水平対向4気筒型エンジンを示す)は、シリンダ
ヘッド2の吸気ポート2aにインテークマニホルド3が
連通され、このインテークマニホルド3の上流にエアチ
ャンバ4を介してスロットル通路5が連通されている。
このスロットル通路5の上流側には、吸気管6を介して
エアクリーナ7が取付けられ、このエアクリーナ7が吸
入空気の取り入れ口であるエアインテークチャンバ8に
連通されている。
【0014】また、上記排気ポート2bにエキゾースト
マニホルド9を介して排気管10が連通され、この排気
管10に触媒コンバータ11が介装されてマフラ12に
連通されている。一方、上記スロットル通路5にスロッ
トルバルブ5aが設けられ、このスロットル通路5の直
上流の上記吸気管6にインタークーラ13が介装され、
さらに、上記吸気管6の上記エアクリーナ7の下流側に
レゾネータチャンバ14が介装されている。
【0015】また、上記レゾネータチャンバ14と上記
インテークマニホルド3とを連通して上記スロットルバ
ルブ5aの上流側と下流側とをバイパスするバイパス通
路15に、アイドルスピードコントロールバルブ(IS
CV)16が介装されている。さらに、このISCV1
6の直下流側に、吸気圧が負圧のとき開弁し、またター
ボチャージャ18によって過給されて吸気圧が正圧にな
ったとき閉弁するチェックバルブ17が介装されてい
る。
【0016】上記ターボチャージャ18は、上記吸気管
6の上記レゾネータチャンバ14の下流側にコンプレッ
サが介装され、タービンが上記排気管10に介装されて
いる。さらに、上記ターボチャージャ18のタービンハ
ウジング流入口には、ウエストゲート弁19が介装さ
れ、このウエストゲート弁19には、ウエストゲート弁
作動用アクチュエータ20が連設されている。
【0017】上記ウエストゲート弁作動用アクチュエー
タ20は、ダイヤフラムにより2室に仕切られ、一方が
ウエストゲート弁制御用デューティソレノイド弁21に
連通される圧力室を形成し、他方が上記ウエストゲート
弁19を閉方向に付勢するスプリングを収納したスプリ
ング室を形成している。
【0018】上記ウエストゲート弁制御用デューティソ
レノイド弁21は、上記レゾネータチャンバ14と上記
吸気管6の上記ターボチャージャ18のコンプレッサ下
流とを連通する通路に介装されており、ECU50から
出力される制御信号のデューティ比に応じて、上記レゾ
ネータチャンバ14側の圧力と上記コンプレッサ下流側
の圧力とを調圧し、上記ウエストゲート弁作動用アクチ
ュエータ20の圧力室に供給する。
【0019】すなわち、上記ECU50によって上記ウ
エストゲート弁制御用デューティソレノイド弁21を制
御し、上記ウエストゲート弁作動用アクチュエータ20
を作動させて上記ウエストゲート弁19による排気ガス
リリーフを調整することにより、上記ターボチャージャ
18による過給圧を制御するようになっている。
【0020】また、上記インテークマニホルド3に絶対
圧センサ22が通路23を介して連通され、この通路2
3に、上記絶対圧センサ22と上記インテークマニホル
ド3あるいは大気とを選択的に連通する吸気管圧力/大
気圧切換ソレノイド弁24が介装されている。
【0021】さらに、上記インテークマニホルド3の各
気筒の各吸気ポート2aの直上流側にインジェクタ25
が臨まされ、また、上記シリンダヘッド2の各気筒毎
に、その先端を燃焼室に露呈する点火プラグ26が取付
けられ、この点火プラグ26に各気筒毎に配設された点
火コイル26aを介してイグナイタ27が接続されてい
る。
【0022】上記インジェクタ25には、燃料タンク2
8内に設けたインタンク式の燃料ポンプ29から燃料フ
ィルタ30を経て燃料が圧送され、プレッシャレギュレ
ータ31にて調圧される。
【0023】また、上記吸気管6の上記エアークリーナ
7の直下流に、ホットワイヤ式あるいはホットフィルム
式などの吸入空気量センサ32が介装され、上記スロッ
トルバルブ5aに、スロットル開度センサ33aとアイ
ドルスイッチ33bとを内蔵したスロットルセンサ33
が連設されている。
【0024】さらに、上記エンジン1のシリンダブロッ
ク1aにノックセンサ34が取付けられるとともに、こ
のシリンダブロック1aの左右両バンクを連通する冷却
水通路35に冷却水温センサ36が臨まされ、上記排気
管10の上記エキゾーストマニホルド9の集合部にO2
センサ37が臨まされている。
【0025】また、上記シリンダブロック1aに支承さ
れたクランクシャフト1bにクランクロータ38が軸着
され、このクランクロータ38の外周に、電磁ピックア
ップなどからなるクランク角センサ39が対設されてい
る。さらに、上記エンジン1のカムシャフト1cに連設
するカムロータ40に、電磁ピックアップなどからなる
気筒判別用のカム角センサ41が対設されている。尚、
上記クランク角センサ39及び上記カム角センサ41
は、電磁ピックアップなどの磁気センサに限らず、光セ
ンサなどでも良い。
【0026】上記クランクロータ38は、図32に示す
ように、その外周に突起38a,38b,38cが形成
され、これらの各突起38a,38b,38cが、各気
筒(#1,#2と#3,#4)の圧縮上死点前(BTD
C)θ1,θ2,θ3 の位置に形成されており、本実施例に
おいては、θ1 =97°CA、θ2 =65°CA、θ3
=10°CAである。
【0027】上記クランクロータ38の各突起は、上記
クランク角センサ39によって検出され、図30のタイ
ムチャートに示すように、BTDC97°,65°,1
0°のクランクパルスがエンジン1/2回転毎(180
°CA毎)に出力される。そして、各信号の入力間隔時
間がタイマによって計時され、エンジン回転数が算出さ
れる。
【0028】尚、突起38bは、点火時期設定の際の基
準クランク角となり、また、突起38cは、始動時噴射
開始時期の基準クランク角となるとともに始動時の固定
点火時期を示すクランク角となる。
【0029】また、図33に示すように、上記カムロー
タ40の外周には、気筒判別用の突起40a,40b,
40cが形成され、突起40aが#3,#4気筒の圧縮
上死点後(ATDC)θ4 の位置に形成され、突起40
bが3個の突起で構成されて最初の突起が#1気筒のA
TDCθ5 の位置に形成されている。さらに、突起40
cが2個の突起で形成され、最初の突起が#2気筒のA
TDCθ6 の位置に形成されている。本実施例において
は、θ4 =20°CA、θ5 =5°CA、θ6=20°
CAである。
【0030】そして、上記カムロータ40の各突起が上
記カム角センサ41によって検出され、各気筒の燃焼行
程順を#1→#3→#2→#4とした場合、この燃焼行
程順と、上記カム角センサ41からのカムパルスをカウ
ンタによって計数した値とのパターン(図30のタイム
チャート参照)に基づいて、気筒判別がなされる。
【0031】一方、図34に示すECU50は、燃料噴
射制御、点火時期制御などを行なうメインコンピュータ
51と、ノック検出処理を行なう専用のサブコンピュー
タ52との2つのコンピュータを中心として構成され、
各部に所定の安定化電源を供給する定電圧回路53や各
種の周辺回路が組込まれている。
【0032】上記定電圧回路53は、ECUリレー54
のリレー接点を介してバッテリ55に接続され、このバ
ッテリ55に、上記ECUリレー54のリレーコイルが
イグニッションスイッチ56を介して接続されている。
また、上記バッテリ55には、上記定電圧回路53が直
接接続され、さらに、燃料ポンプリレー57のリレー接
点を介して燃料ポンプ29が接続されている。
【0033】すなわち、上記定電圧回路53は、上記イ
グニッションスイッチ56がONされ、上記ECUリレ
ー54のリレー接点が閉となったとき、制御用電源を供
給し、また、上記イグニッションスイッチ56がOFF
されたとき、バックアップ用の電源を供給する。
【0034】上記メインコンピュータ51は、CPU5
8(以下、メインCPU58と称する)、ROM59、
RAM60、上記イグニッションスイッチ56がOFF
されたときにも上記定電圧回路53からバックアップ電
源が供給されてデータを保持するバックアップRAM6
1、カウンタ・タイマ群62、シリアル通信インターフ
ェースであるSCI63、及び、I/Oインターフェー
ス64がバスライン65を介して接続されたマイクロコ
ンピュータである。
【0035】尚、上記カウンタ・タイマ群62は、フリ
ーランカウンタ、カム角センサ(以下、適宜、カムセン
と略記する)信号の入力計数用カムセンカウンタなどの
各種カウンタ、燃料噴射タイマ、点火タイマ、後述する
0.5ms毎の定期割込みを発生させるための定期割込
みタイマ、クランク角センサ(以下、適宜、クラセンと
略記する)信号の入力間隔計時用クラセンタイマ、及
び、システム異常監視用のウオッチドッグタイマなどの
各種タイマを便宜上総称するものであり、上記メインコ
ンピュータ51においては、その他、各種のソフトウエ
アカウンタ・タイマが用いられる。
【0036】また、上記サブコンピュータ52も、上記
メインコンピュータ51と同様、CPU71(以下、サ
ブCPU71と称する)、ROM72、RAM73、カ
ウンタ・タイマ群74、SCI75、及び、I/Oイン
ターフェース76がバスライン77を介して接続された
マイクロコンピュータであり、上記メインコンピュータ
51とサブコンピュータ52とは、上記SCI63,7
5を介してシリアル通信ラインにより互いに接続されて
いる。
【0037】上記メインコンピュータ51のI/Oイン
ターフェース64には、入力ポートに、吸入空気量セン
サ32、スロットル開度センサ33a、水温センサ3
6、O2 センサ37、絶対圧センサ22、車速センサ4
2、及び、バッテリ55が、8チャンネル入力のA/D
変換器66を介して接続されるとともに、アイドルスイ
ッチ33b、クランク角センサ39、カム角センサ41
が接続されており、さらに、始動状態を検出するために
スタータスイッチ43が接続されている。
【0038】尚、本実施例においては、上記A/D変換
器66は、7チャンネル分の入力が使用され、残りの1
チャンネルは予備となっている。
【0039】また、上記I/Oインターフェース64の
出力ポートには、イグナイタ27が接続され、さらに、
駆動回路67を介して、ISCV16、インジェクタ2
5、燃料ポンプリレー57のリレーコイル、および、ウ
エストゲート弁制御用デューティソレノイド弁21、吸
気管圧力/大気圧切換ソレノイド弁24が接続されてい
る。
【0040】一方、上記サブコンピュータ52のI/O
インターフェース76は、入力ポートに、クランク角セ
ンサ39、カム角センサ41が接続されるとともに、A
/D変換器78、周波数フィルタ79、アンプ80を介
してノックセンサ34が接続されており、上記ノックセ
ンサ34からのノック検出信号が上記アンプ80で所定
のレベルに増幅された後に上記周波数フィルタ79によ
り必要な周波数成分が抽出され、上記A/D変換器78
にてデジタル信号に変換されて入力されるようになって
いる。
【0041】上記メインコンピュータ51では、各セン
サ類からの検出信号を処理し、燃料噴射パルス幅、点火
時期などを演算する。すなわち、吸入空気量センサ32
の出力信号から吸入空気量を算出し、RAM60及びバ
ックアップRAM61に記憶されている各種データに基
づき、吸入空気量に見合った燃料噴射量を演算し、ま
た、点火時期などを算出する。
【0042】そして、上記燃料噴射量に相応する駆動パ
ルス幅信号を、駆動回路67を介して所定のタイミング
で該当気筒のインジェクタ25に出力して燃料を噴射
し、また、所定のタイミングでイグナイタ27に点火信
号を出力し、該当気筒の点火プラグ26を点火する。
【0043】その結果、該当気筒に供給された混合気が
爆発燃焼し、エキゾーストマニホルド9の集合部に臨ま
されたO2 センサ37により排気ガス中の酸素濃度が検
出され、この検出信号が波形整形された後、上記メイン
CPU58で基準電圧(スライスレベル)と比較され、
エンジンの空燃比状態が目標空燃比に対し、リッチ側に
あるか、リーン側にあるかが判別され、空燃比が目標空
燃比となるようフィードバック制御される。
【0044】一方、上記サブコンピュータ52では、エ
ンジン回転数とエンジン負荷とに基づいてノックセンサ
34からの信号のサンプル区間を設定し、このサンプル
区間でノックセンサ34からの信号を高速にA/D変換
して振動波形を忠実にデジタルデータに変換し、ノック
発生の有無を判定する。
【0045】上記サブコンピュータ52のI/Oインタ
ーフェース76の出力ポートは、上記メインコンピュー
タ51のI/Oインターフェース64の入力ポートに接
続されており、上記サブコンピュータ52でのノック判
定結果がI/Oインターフェース76に出力される。そ
して、上記メインコンピュータ51では、上記サブコン
ピュータ52からノック発生有りの判定結果が出力され
ると、SCI63を介してシリアル通信ラインよりノッ
クデータを読込み、このノックデータに基づいて直ちに
該当気筒の点火時期を遅らせ、ノックを回避する。
【0046】このようなエンジン制御において、上記メ
インコンピュータ51では、各センサ類からの信号入力
処理、エンジン回転数算出、吸入空気量算出、燃料噴射
量算出、点火時期算出といった各項目毎の各種プログラ
ムが、一つのOSの管理下で効率的に実行される。この
OSは、車輌制御のための各種マネジメント機能、及
び、このマネジメント機能に密着した内部ストラテジー
を有し、各種ジョブを体系的に結合する。
【0047】上記OSのマネジメント機能としては、 (1-1)ジョブの優先処理 (1ー2)セクション定義による各ジョブの分割ファイル対
応 (1-3)スタックの使用状況モニタ機能 (1-4)異常割込み動作のモニタ機能 (1-5)ジョブ毎に固有の制約を作らない標準マップ・標
準ワークメモリ設定 などの機能があり、制御ストラテジーの開発環境を向上
させるとともに、限られたCPU能力を最大限に発揮さ
せ、デジタル制御理論の基本である等時間間隔処理を可
能な限り達成することができる。
【0048】等時間間隔処理としては、0.5ms毎の
定期割込みを基本として、2,4,10,50,250
ms毎の5種類の等間隔割込みジョブが用意されてお
り、また、エンジン回転に同期した処理として、クラン
ク角信号入力により即割込み実行される高優先クラセン
ジョブ(以下、単にクラセンジョブと称する)と、より
優先順位が高い他のジョブがないときにクランク角信号
入力により割込み実行される比較的緊急度の低い低優先
クラセンジョブとが用意されている。
【0049】これらの各ジョブには、クラセンジョブ>
2msジョブ>4msジョブ>10msジョブ>低優先
クラセンジョブ>50msジョブ>250msジョブの
順で、7〜1の優先レベルが高位側から低位側に向かっ
て付けられており、図17に示すように、高速ジョブに
対し低速ジョブが分割して処理されるとともに、各ジョ
ブの多重待ち処理が行なわれる。
【0050】また、上記OSの下で働く各プログラム
は、機能別の管理領域すなわちセクション領域毎に順番
に配列されており、各セクション領域には機能毎にセク
ション宣言によって名前が付けられている。各ストラテ
ジーファイル側で使用する主なセクション領域は、 ○変数宣言領域 ○自己ファイル名、ファイル制作時の自動記録領域 ○セッティングデータ領域 ○クラセンジョブ領域 ○2msジョブ領域 ○4msジョブ領域 ○10msジョブ領域 ○低優先クラセンジョブ領域 ○50msジョブ領域 ○250msジョブ領域 ○リセット時初期化ジョブ領域 ○エンスト時初期化ジョブ領域 ○バックグランドジョブ領域 ○プログラム本体の領域 であり、機能毎にファイルを分割してプログラム開発が
可能になるとともに、プログラムの構造化記述を可能に
する。
【0051】また、上記OSには、以上のマネジメント
機能に密着した内部ストラテジーとして、 (2-1)A/D変換処理 (2-2)クランク位置に係る各種情報の算出 (2-3)デバッグ用シミュレーション機能(エンジン回転
及びA/D変換) (2-4)点火タイマのセット (2-5)燃料噴射タイマのセット などの機能を備えており、さらに、これらの機能に係る
各種サービスルーチンが各ジョブ中に用意されている。
【0052】従来、このような機能は各ジョブレベルで
達成するようになっていたが、本システムにおいては、
すべてOS側に用意され、OS側で処理したA/D変換
結果、クランク位置情報、エンジン回転数などに基づい
て、ユーザー側の各ジョブで、燃料噴射量、点火時期な
どを設定すると、これらの指示値がOSによって燃料噴
射タイマ、点火タイマにセットされるようになってい
る。
【0053】次に、上記メインコンピュータ51の点火
制御の機能を、ジョブ処理の説明を基本として図1〜図
16のフローチャートに従って説明する。尚、サブコン
ピュータ52はノック検出処理専用のコンピュータであ
るため、その動作説明を省略する。
【0054】まず、イグニッションスイッチ56がON
されてシステムに電源が投入されると、リセットに伴う
リセット割込みが起動し、各種イニシャライズが行なわ
れるとともに、0.5ms毎に定期割込みを起動するた
めの定期割込みタイマが起動され、クランク角センサ3
9からの信号入力毎(BTDC97°,65°,10°
CA毎のエンジン1回転に6回)に起動されるクラセン
割込みが許可され、その後、バックグランドジョブの実
行状態となる。
【0055】そして、このバックグランドジョブの上
で、0.5ms毎の定期割込みと、エンジン1回転に6
回のクラセン割込みとにより、7レベルのジョブが優先
処理される。この2つの割込みにおいては、各自の処理
を実行後、共通のアドレスにジャンプし、ジョブ優先処
理を実行する。
【0056】尚、上記リセット割込みは、内部演算にお
いて0による除算を実行した場合や、無限ループが発生
した場合など、正常時には発生しない要因によっても、
起動される。
【0057】まず、図3に示す0.5ms毎の定期割込
みについて説明する。この定期割込みでは、ステップS1
00で、OS用ワークエリアを設定し、ステップS101で、
ウオッチドッグタイマを初期化すると、ステップS102へ
進んで、P−RUNフラグを20回に1回すなわち10
ms毎に反転する。このP−RUNフラグは、図示しな
い保護回路によってシステムが自動的にリセットされな
いようにするためのフラグであり、システムが正常に動
作して一定時間毎(10ms毎)に反転される限り、上
記保護回路の作動が阻止される。
【0058】次いで、ステップS103へ進み、スイッチ出
力の転写を行なう。このスイッチ出力は、各ジョブ中で
メモリに書き込んだビットのON,OFF値であり、各
ジョブからは直接I/Oインターフェース64の出力ポ
ートに出力せず、OS側で0.5ms毎にメモリの値を
出力ポートに転写する。
【0059】次に、ステップS104へ進むと、A/D変換
サブルーチンを実行してA/D変換に係る各種設定を行
ない、ステップS105で、ジョブフラグ作成サブルーチン
を実行して、2,4,10,50,250ms毎の各ジ
ョブ割込み要求を示すジョブフラグJB_FLGを作成
した後、ステップS106で、A/D変換をスタートする。
【0060】上記A/D変換は、基本的に、A/D変換
器66の8チャンネル入力が0.5ms毎に所定の変換
順番毎に処理され、4ms周期で全入力の変換が行なわ
れる。但し、特定の1つのチャンネルは、回転脈動が発
生する吸入管圧力などをA/D変換するためクランク角
90°毎に(0.5msの時間精度で)同期し、変換順
番に対して割込んだ形で処理が行なわれ、その後の入力
の順番を1つ遅れにする。
【0061】尚、エンジン回転数3750rpm以上で
は、A/D変換の最後の順番の入力が完全に停止し、7
500rpm以上では、最後から2番目の入力も停止す
るが、A/D変換の順番は、スロットル開度、吸入空気
量など変化の速いものを先として、冷却水温、電圧など
比較的変化の遅いものが後になるように設定してあり、
且つ、最後のA/D変換順番をクランク同期入力に設定
してあるため、特に支障は生じない。
【0062】また、図18に示すように、上記ジョブフ
ラグJB_FLGは、1バイト変数の各ビットを各ジョ
ブに対応するフラグとして割当てたものであり、複数の
ジョブ要求が同時に可能なようになっている。この1バ
イト変数のビット1〜ビット7は優先レベル1〜7に対
応し、それぞれ、250msジョブ、50msジョブ、
低優先クラセンジョブ、10msジョブ、4msジョ
ブ、2msジョブ、クラセンジョブのフラグに割当てら
れている。そして、所定のビットが立てられたとき、対
応する優先レベルのジョブ割込み要求がなされる。尚、
ビット0はバックグランドジョブのフラグに割当てられ
て通常は参照されない。
【0063】そして、上記ステップS105でジョブフラグ
作成サブルーチンによりジョブフラグJB_FLGを作
成し、上記ステップS106でA/D変換をスタートした後
は、ステップS107へ進み、ジョブフラグJB_FLGの
いずれかのジョブに対応するビットが立っているか否か
を調べる。
【0064】その結果、ジョブフラグJB_FLGのビ
ットが一つも立っていないときには、どのジョブからも
要求がないため割込みを終了し、ジョブフラグJB_F
LGのいずれかのビットが立っているときには、ステッ
プS108へ進んで、現状レベル(この定期割込みが実行さ
れる時点で所定の優先レベルのジョブが実行されていた
状態)以下のフラグがないか否かを調べる。
【0065】上記ステップS108で、現状レベル以下のフ
ラグがないときには、ラベルWAR_JBで示される図
5のジョブ優先処理にジャンプし、現状レベル以下のフ
ラグがあるときには、ステップS109で、現状レベル以下
のレベルのオーバーラップカウンタOLCを1増加させ
る。
【0066】上記オーバーラップカウンタOLCは、ジ
ョブ要求を記憶するためのカウンタであり、各優先レベ
ル毎に1バイト割当てられ、上記ジョブフラグJB_F
LGによるジョブ要求時にインクリメント、ジョブ終了
時にデクリメントされる。すなわち、カウンタによって
ジョブ要求を記憶することによりジョブの多重要求に対
応することができるのである。
【0067】次いで、上記ステップS109からステップS1
10へ進み、現状レベルより高いフラグがないか否かを調
べ、現状レベルより高いフラグがないときには、ルーチ
ンを抜けて割込みを終了し、現状レベルより高いフラグ
があるときには、ラベルWAR_JBのジョブ優先処理
へジャンプする。
【0068】一方、この0.5ms毎の定期割込みに対
し、図4のクラセンによる割込みでは、ステップS200
で、OS用ワークエリアを設定すると、ステップS201
で、後述するクランク位置・半回転時間算出のサブルー
チンを実行し、現在のクランク位置を判別するためのク
ランク位置変数、及び、最新の3つのクラセン間隔の和
である半回転時間を算出する。
【0069】上記クランク位置変数は、OS中で用意さ
れるシステム変数であり、図19に示すように、#1〜
#4気筒に対するクランク位置を、97°,65°,1
0°CAによって12の状態の区間に区分し、現在のク
ランク位置を表わす。
【0070】すなわち、各気筒毎に、0,1,2の数値
でクラセン入力順を示すクランク位置情報変数S_CC
AS、#1気筒を0、#3気筒を1、#2気筒を2、#
4気筒を3として気筒の燃焼順を示す気筒情報変数S_
RCAS、及び、0〜11の数値でクラセン順序及び気
筒順序を総合的に表わすクランク総合位置変数S_AC
ASの3変数によって現在のクランク位置を表わし、さ
らに、クランク位置が確証をもって正常に判別されたと
きを0、判別結果がつじつまが合わず不安の残る推定状
態を1、不明な状態を2とするエラーレベルS_ECA
Sにより、クランク位置の判別状況を表わすようになっ
ている。尚、図19においては、システム変数であるこ
とを示すS_を省略している。
【0071】次いで、上記ステップS201からステップS2
02へ進むと、クランク位置・半回転時間算出のサブルー
チンにおいてクランク位置判定が正常に終了したかある
いは判定不能であったかを、アキュムレータAにストア
されているコードを読み出すことにより調べる(エラー
コード1、正常終了コード0)。
【0072】そして、上記ステップS202で、アキュムレ
ータAの内容が1であり、クランク位置が判定不能であ
ったときには、割込みを終了し、アキュムレータAの内
容が0であり、クランク位置が正常に判定されていると
きには、ステップS203へ進み、エンストフラグを解除す
る。
【0073】尚、上記エンストフラグは、エンジンがエ
ンスト状態であることを示すフラグであり、クラセン間
隔が0.5sec以上の時間(約30rpm以下)のと
き、50msジョブに用意されているエンスト処理ルー
チンによりセットされ、このクラセン割込みによりクリ
アされてエンスト状態が解除される。
【0074】次に、ステップS204へ進むと、後述する点
火タイマセットのサブルーチンを実行し、点火シーケン
ス決定のための後述する点火スケジュールに従って点火
タイマをセットする。次いで、ステップS205で、燃料噴
射タイマセットのサブルーチンを実行し、ユーザージョ
ブ側で設定した燃料噴射量の指示値(各気筒毎の噴射
幅)に対し、燃料噴射開始時期などを燃料噴射タイマに
セットしてステップS206へ進む。
【0075】ステップS206では、このクラセンが実行さ
れた現状のジョブレベルが自身のジョブレベルであるか
否かを判別し、現状がクラセンジョブ自身のレベルであ
るときには、ステップS207、S208で、クラセンジョブ、
低優先クラセンジョブのオーバーラップカウンタOLC
を、それぞれ1増加させて割込みを終了し、現状のジョ
ブレベルがクラセンジョブのレベルでないときには、ス
テップS209で、現状のジョブレベルが低優先クラセンジ
ョブのレベル以上であるか否かを調べる。
【0076】そして、現状のジョブレベルが低優先クラ
センジョブ以上であるときには、上記ステップS209から
ステップS210へ進んで、低優先クラセンジョブのオーバ
ーラップカウンタOLCを1増加させると、ステップS2
11で、クラセンジョブのジョブフラグをセットし、ラベ
ルWAR_JBのジョブ優先処理へジャンプする。
【0077】一方、上記ステップS209で、現状のジョブ
レベルが低優先クラセンジョブ以上でないときには、上
記ステップS209からステップS212へ進み、クラセンジョ
ブのジョブフラグをセットすると、ステップS213で、低
優先クラセンジョブのジョブフラグをセットし、ラベル
WAR_JBのジョブ優先処理へジャンプする。
【0078】このジョブ優先処理では、ステップS300
で、ジョブの優先レベルを示す1バイト変数であるジョ
ブレベルJB_LEVを1つ上げると、ステップS301へ
進んで、この優先レベルに対応するジョブフラグが立っ
ていないか調べる。そして、ジョブフラグが立っていな
いときには、ステップS300へ戻ってさらにジョブレベル
JB_LEVを1つ上げ、ジョブフラグが立っていると
きには、ステップS302へ進み、ジョブフラグの立ってい
るジョブのオーバーラップカウンタOLCを初期値の0
から1にし、ステップS303へ進む。
【0079】ステップS303では、より上のジョブフラグ
があるか否かを調べ、より上のジョブがあるときには、
ステップS300へ戻って前述の処理を繰り返し、より上の
ジョブがないときには、ステップS304へ進んで、ジョブ
実行中フラグJB_RUNをセットすると、ステップS3
05で、後述するジョブ実行サブルーチンにより最上位の
ジョブを実行する。
【0080】上記ジョブ実行中フラグJB_RUNは、
ジョブの実行開始時にセットされ、終了時にクリアされ
るフラグであり、このフラグにより、処理の途中で、よ
り優先度の高いジョブによって割込まれたジョブを識別
することができる。
【0081】例えば、図20に示すように、JB_LE
V=4の10msジョブを実行中、JB_LEV=6の
2msジョブの割込み要求がなされると、10msジョ
ブの処理が中断され、より優先度の高い2msジョブ
が、JB_RUN=1、OLC=1にセットされ、実行
される。そして、この2msジョブの処理中に、JB_
LEV=5の4msジョブの割込み要求が発生すると、
この4msジョブは、JB_RUN=0、OLC=1と
されて割込みが受付けられるが、実行はされず待機状態
となる。
【0082】その後、ジョブ実行サブルーチンによるジ
ョブの実行が終了すると、上記ステップS305からステッ
プS306へ進んでオーバーラップカウンタOLCを1減ら
し、ステップS307で、オーバーラップカウンタOLCが
ゼロになったか否かを調べる。その結果、オーバラップ
カウンタOLCがゼロになっておらず、同じ優先レベル
でジョブ割込み要求が複数回あるときには、ステップS3
05へ戻ってジョブを繰返し実行し、オーバラップカウン
タOLCがゼロになったとき、ステップS307からステッ
プS308へ進んで、ジョブ実行中フラグJB_RUNをク
リアする。
【0083】次に、ステップS309へ進み、ジョブレベル
JB_LEVを1つ下げて次のジョブレベルに移ると、
ステップS310で、このジョブレベルJB_LEVがゼロ
になったか否かを調べる。そして、ジョブレベルJB_
LEVがゼロのときには、この割込みを終了し、ジョブ
レベルJB_LEVがゼロでないときには、ステップS3
11へ進んで、オーバーラップカウンタOLCがゼロか否
かを調べる。
【0084】上記ステップS311で、オーバーラップカウ
ンタOLCがゼロのときには、このレベルではジョブ要
求はないため、上記ステップS311からステップS309へ戻
って、ジョブレベルJB_LEVをさらに1つ下げて同
様の処理を繰返し、オーバーラップカウンタOLCがゼ
ロでないときには、ステップS312へ進んで、このジョブ
レベルにおいて、ジョブ実行中フラグJB_RUNがセ
ットされているか否かを調べる。
【0085】上記ステップS312で、ジョブ実行中フラグ
JB_RUNがセットされているときには、割込み前に
ジョブを実行中であったため、割込みを終了して割込み
前のジョブへ戻り、ジョブ実行中フラグJB_RUNが
セットされていなければ、ステップS304へ戻って、この
レベルのジョブを実行し、同様の処理を繰返す。
【0086】すなわち、図20において、JB_LEV
=6の2msジョブが終了し、OLC=0、JB_RU
N=0になると、ジョブレベルが1つ下げられ、JB_
LEV=5の4msジョブが、JB_RUN=0、OL
C=1の待機状態からJB_RUN=1にセットされ、
実行される。さらに、4msジョブが終了すると、JB
_LEV=4に移り、JB_RUN=1(ジョブ実行
中)の状態から、2msジョブ及び4msジョブによっ
て中断されていた10msジョブの処理が再開される。
【0087】このように、0.5ms毎の定期割込み、
クラセン割込みを基本タイミングとして、各ジョブの優
先レベル及び実行タイミングを知らせるジョブフラグJ
B_FLGを作成するため、可能な限り正確に、等時間
間隔処理、エンジン回転同期処理を実現し、各ジョブを
効率良く処理することができる。さらに、基本タイミン
グとなる各割込み毎に更新されるジョブフラグJB_F
LGによらず、オーバーラップカウンタOLCによって
ジョブの多重要求を記憶するため、あるジョブの処理時
間が長引き、再度、同じジョブを実行すべきタイミング
となった場合においても、処理を途中で放棄することな
く、可能な限り最後まで処理を継続することができる。
【0088】次に、図6〜図9のジョブ実行サブルーチ
ンについて説明する。
【0089】まず、ステップS500で、ジョブフラグJB
_FLGを参照して実行すべきジョブがクラセンジョブ
でないか否かを調べ、クラセンジョブでないときには、
ラベルALJ10へ分岐し、クラセンジョブのときに
は、ステップS501へ進んで、気筒判別がついているか否
かを調べる。
【0090】そして、気筒判別がついていないときに
は、そのままルーチンを抜けてジョブを実行せず、気筒
判別がついているとき、上記ステップS501からステップ
S502へ進んで、オーバーラップカウンタOLCの値を参
照して多重待ち状態であるか否かを調べる。
【0091】上記ステップS502では、多重待ち状態でな
いとき、ステップS503へ進んで、クラセン割込み毎に算
出されるシステム変数S_ACAS(クランク総合位置
変数)をユーザー変数ACASとし、一方、多重待ち状
態のときには、ステップS504へ分岐し、ユーザー変数A
CASを一つ増やして12で割った剰余をとって新たな
ユーザー変数ACASとし、このユーザー変数ACAS
を0,1,2,…,11,0,1,…とソフトウエア的
に更新してゆく。
【0092】すなわち、クラセンジョブ及び低優先クラ
センジョブは、自身または優先度の高いジョブに邪魔さ
れて遅れることがあるが、クラセン割込みは正確にクラ
ンク角センサ信号に同期して実行され、システム変数S
_ACASはジョブの遅れに関係なく更新される。
【0093】従って、ジョブ中でシステム変数S_AC
ASを参照して気筒及びクランク位置に係る情報を知
り、この情報に応じた仕事を行なおうとしても、自身が
他のジョブに邪魔されて遅れた場合には、自身の仕事に
対応した気筒及びクランク位置に係る情報を知ることが
できなくなる。このため、クラセンジョブ及び低優先ク
ラセンジョブ中では、多重待ち状態でないときにOS用
のシステム変数S_ACASをユーザー用変数ACAS
として取込み、このユーザー変数ACASをジョブ実行
毎に更新して多重要求の場合にも、自身に対応した気筒
及びクランク位置に係る情報を得て適正な処理がなされ
るようにするのである。
【0094】その後、上記ステップS503あるいは上記ス
テップS504からステップS505へ進み、ジョブのワークエ
リアを設定すると、ステップS506で、レベルゼロの割込
みを許可し、ステップS507で、クラセンジョブのセクシ
ョンに移る。そして、このクラセンジョブセクションに
リンクされた処理を実行し、ステップS508で、割込みを
禁止してルーチンを抜ける。
【0095】次に、ステップS500で、これから実行すべ
きジョブがクラセンジョブでないときには、ラベルAL
J10のステップS510で、2msジョブでないか否か調
べ、2msジョブのとき、ステップS511で、ジョブのワ
ークエリアを設定すると、ステップS512で、レベルゼロ
の割込みを許可し、ステップS513で、2msジョブのセ
クションに移る。そして、このセクションにリンクされ
ているジョブ本体(ユーザー側の制御ストラテジーに基
づくルーチン、あるいは、OS側で用意したサービスル
ーチン)を実行し、ステップS514で、割込みを禁止して
ルーチンを抜ける。
【0096】一方、上記ステップS510で、実行すべきジ
ョブが2msジョブでないときには、ステップS510から
ステップS520へ分岐し、実行すべきジョブが4msジョ
ブか否かを調べる。そして、4msジョブでないときに
は、ラベルALJ30へ分岐し、4msジョブのときに
は、ステップS521で、ジョブのワークエリアを設定する
と、ステップS522へ進む。尚、この4msジョブは、A
/D変換利用ジョブであり、後述するシステムシフトバ
ッファSSHBを介してA/D変換データを利用する。
【0097】ステップS522では、レベルゼロの割込みを
許可し、次いで、ステップS523へ進むと、スイッチ入力
を読み込み、ステップS524で、4msジョブのセクショ
ンに移って、リンクされているジョブ本体を実行する。
その後、4msジョブのセクションから抜けると、ステ
ップS525で、割込みを禁止し、ステップS526へ進んで、
システムシフトバッファSSHBをシフトしてルーチン
を抜ける。
【0098】上記システムシフトバッファSSHBは、
図21に示すように、8チャンネルの各A/D変換結果
がストアされる先頭オフセットアドレス0,+8,+1
6,+24,+32,+34,+36,+38番の各メ
モリ、及び、4ms毎のクランク同期のA/D変換結果
がストアされる先頭オフセットアドレス−2番地の1ワ
ードのメモリからなり、0.5ms毎に実行される1回
のA/D変換結果が1ワード(2バイト)でストアされ
る。
【0099】先頭オフセットアドレス0番地からは、4
段のシフトメモリとなっており、90°CA毎のA/D
変換結果がストアされ、最新4データ(1回転分)をジ
ョブから参照することができる。また、先頭オフセット
アドレス+32,+34,+36,+38番地は、各1
ワードのメモリであり、なまし処理機能が選択されたと
き、A/D変換結果を加重平均した値がストアされてノ
イズ除去と精度向上を図ることができるようになってお
り、これらのメモリのデータは、低速ジョブで利用でき
る。
【0100】また、各先頭オフセットアドレス+8,+
16,+24番地からは、各4ワードのメモリであり、
4msジョブで利用するようになっている。これらの各
メモリは、最新のA/D変換結果が先頭から数えて、4
msジョブのオーバーラップカウンタOLCの値だけ後
のワードにストアされ、4msジョブ実行に際し先頭ワ
ードからデータが読出され、ジョブの終了に伴って後の
各ワードのデータが順に先頭方向にシフトされるので、
先にストアしたデータから読出されるFIFOバッファ
となっている。
【0101】すなわち、A/D変換は、0.5ms毎の
定期割込みにより4ms周期で正確に行なわれるが、4
msジョブは優先度の高いジョブに邪魔されて遅れるこ
とがある。従って、A/D変換の受渡しにFIFOバッ
ファを用い、4msジョブで+8〜,+16〜,+24
〜番地の各FIFOバッファのデータを参照後、上記ス
テップS526で、各FIFOバッファのデータを順にシフ
トするのである。
【0102】一方、上記ステップS520で、実行すべきジ
ョブが4msジョブでなく、ラベルALJ30へ分岐し
たときには、ステップS530で、実行すべきジョブが10
msジョブか否かを調べ、10msジョブのとき、ステ
ップS531で、ジョブのワークエリアを設定し、ステップ
S532で、レベルゼロの割込みを許可すると、ステップS5
33で、10msジョブのセクションに移って、ジョブ本
体を実行し、ステップS534で割込みを禁止してルーチン
を抜ける。
【0103】尚、上記10msジョブのセクションに
は、半回転時間からエンジン回転数を算出するエンジン
回転数算出サブルーチン、後述する点火スケジュール作
成サブルーチンなどがサービスルーチンとしてOS側で
用意されている。
【0104】また、上記ステップS530で、実行すべきジ
ョブが10msジョブでないときには、上記ステップS5
30からステップS540へ分岐し、実行すべきジョブが低優
先クラセンジョブであるか否かを調べる。そして、低優
先クラセンジョブでないときには、上記ステップS540か
らラベルALJ50へ分岐し、実行すべきジョブが低優
先クラセンジョブのときは、上記ステップS540からステ
ップS541へ進んで、現在の状態が多重待ち状態であるか
否かを調べる。
【0105】そして、現在の状態が多重待ち状態でない
ときには、上記ステップS541からステップS542へ進ん
で、システム変数S_ACAS(クランク総合位置変
数)をユーザー変数ACASとしてステップS544へ進
み、多重待ち状態のときには、上記ステップS541からス
テップS543へ分岐し、ユーザー変数ACASを一つ増や
して12で割った剰余をとった後、ステップS544へ進
む。
【0106】ステップS544では、ジョブのワークエリア
を設定し、ステップS545で、レベルゼロの割込みを許可
すると、ステップS546で、低優先クラセンジョブのセク
ションに移り、ジョブ本体を実行した後、ステップS547
で割込みを禁止し、ルーチンを抜ける。
【0107】さらに、ラベルALJ50では、ステップ
S550で実行すべきジョブが50msジョブであるか否か
を調べ、50msジョブのときには、ステップS551へ進
んでジョブのワークエリアを設定し、ステップS552へ進
む。
【0108】ステップS552では、レベルゼロの割込みを
許可すると、ステップS553で、50msジョブのセクシ
ョンに移り、OS側で用意したエンスト処理ルーチン、
気筒別の点火時期リタードルーチン、燃料噴射開始時期
設定ルーチンなどを実行し、また、ユーザ側の制御スト
ラテジーに基づくルーチンを実行する。そして、ジョブ
の終了後、ステップS554で割込みを禁止し、ルーチンを
抜ける。
【0109】一方、上記ステップS550で実行すべきジョ
ブが50msジョブではないときには、上記ステップS5
50からステップS560へ分岐し、ジョブのワークエリアを
設定すると、ステップS561で、レベルゼロの割込みを許
可し、ステップS562へ進んで、250msジョブのセク
ション領域へ移行し、ジョブ本体を実行後、ステップS5
63で割込みを禁止してルーチンを抜ける。
【0110】以上のジョブ優先処理においては、クラン
ク位置を常に的確に把握しておく必要があり、クラセン
割込み毎に、図10に示すクランク位置算出サブルーチ
ンが実行されて前述したクランク位置変数S_CCA
S,S_RCAS,S_ACAS,S_ECASが算出
される。尚、以下の説明においては、システム変数であ
ることを示すS_をクランク位置変数から省略する。
【0111】このクランク位置算出サブルーチンでは、
まず、ステップS600で、クラセンタイマの下2バイトを
ソフトタイマの下2バイトにストアする。このクラセン
タイマはECU50に備えられたハードウエアタイマで
あり、本実施例においては、16ビットタイマで最大2
55msまで計数が可能であるが、メモリ上に3バイト
の連続した領域を確保し、ソフトタイマとして使用す
る。
【0112】すなわち、ソフトタイマの下2バイトにク
ラセンタイマの2バイトを転写し、クラセンタイマのオ
ーバーフローにより発生する割込みで3バイト目をカウ
ントアップすることにより、クラセン間隔を最大64s
ec(255ms×256)まで計数することが可能と
なり、16ビット以上の特別なハードウエアタイマを使
用することなく、クランキング時などクラセン間隔が極
めて長い場合にも容易に対応することができる。
【0113】次に、上記ステップS600からステップS601
へ進むと、クラセン間隔が設定時間以下か否かを調べ
る。この設定時間は、最大エンジン回転数に対応するク
ラセン間隔としての時間、例えば0.3msであり、上
記ステップS601でクラセン間隔が設定時間以下のときに
は、ノイズの混入などによるクラセンタイマの計数エラ
ーとしてステップS602でアキュムレータAにエラーコー
ド1を格納し、ルーチンを抜ける。また、上記ステップ
S601で、クラセン間隔が設定時間より長いときには、ク
ラセンタイマの計数が正常であるとしてステップS603へ
進む。
【0114】ステップS603では、後述するCCAS・R
CAS判別サブルーチンを実行してクランク位置を判別
し、ステップS604で、エラーレベルECASが2である
か否か、すなわち、クランキング時などのようにクラン
ク位置が不明の状態であるか否かを調べ、ECAS=2
のときには、ステップS605へ分岐してアキュムレータA
にエラーコード1を格納し、ルーチンを抜ける。
【0115】一方、上記ステップS604で、ECAS≠2
のときには、ステップS606へ進み、ソフトタイマの3バ
イト目を0とする。そしてステップS607へ進み、クラン
ク位置情報変数CCASが1であるか否か、すなわち、
現在のクランク位置がBTDC65°CA〜10°CA
の間(図19参照)であるか否かを調べ、CCAS=1
のときには、ステップS607からステップS609へジャンプ
し、CCAS≠1のときには、ステップS607からステッ
プS608へ進んで、A/D変換リクエストを1増加させ、
ステップS609へ進む。
【0116】このA/D変換リクエストは、クランク角
90°毎にクランク同期A/D変換を指示するためのフ
ラグ的な変数であり、0、1の値をとり、値が1のとき
クランク同期A/D変換を指示する。すなわち、前述し
たように、8チャンネルのA/D変換のうち1チャンネ
ルのA/D変換はクランク角90°毎に行なわれるが、
CCASが0になったとき(BTDC97°)と、CC
ASが2になったとき(BTDC10°)、クランク同
期のA/D変換リクエストをセットし、0.5ms毎の
A/D変換順番に対してクランク角90°毎のA/D変
換を割込ませるのである。
【0117】その後、ステップS609では、気筒情報変数
RCASを3倍してクランク位置情報変数CCASを加
算することによりクランク総合位置変数ACASを算出
すると(ACAS=RCAS×3+CCAS)、ステッ
プS610で、ソフトタイマを2バイトでリミットし、クラ
センタイマがオーバーフローしている場合には下2バイ
トをFFFF(255ms)としてステップS611へ進
む。
【0118】ステップS611では、クランク総合位置変数
ACAS=0,1,2,…,11を添字とする配列(の
要素)TCAS[ACAS]にクラセン間隔データをス
トアし、ステップS612で、クランク位置情報変数CCA
S=0,1,2を添字とする配列(の要素)MTCSX
[CCAS]にクラセン間隔データをストアする。
【0119】配列TCASは、図22(a)に示すよう
に、ACAS=0,1,2,…、11に対応するエンジ
ン2回転分のクラセン間隔データがストアされた12ワ
ードのクラセン間隔テーブルであり、配列MTCSX
は、図22(b)に示すように、CCAS=0,1,2
に対応する3ヶのクラセン間隔データがストアされた3
ワードのクラセン間隔テーブルである。
【0120】すなわち、上記ステップS603のCCAS・
RCAS判別サブルーチン(詳細は後述する)及びステ
ップS609により各情報変数CCAS,RCAS,ACA
Sが更新され、例えば、CCAS=1、RCAS=1、
ACAS=4に更新されて、現在、クランク位置が#3
気筒のBTDC65゜〜10゜CAのとき、クラセンタ
イマによって計時された#3気筒のBTDC97゜CA
におけるクラセン信号入力から#3気筒のBTDC65
゜CAにおけるクラセン信号入力までの時間(クラセン
間隔データ)を、ステップS611で総合位置変数ACAS
をパラメータとして配列TCASのACAS=3のアド
レスにストアすると共に、ステップS612でクランク位置
情報変数CCASをパラメータとして配列MTCSXの
CCAS=0のアドレスにストアする。
【0121】従って、クラセン入力によるクラセン割込
み毎に総合位置変数ACAS、クランク位置情報変数C
CASが更新される都度、配列TCAS,MTCSX内
のデータが順次更新されるので、配列TCASを参照す
ることにより、各気筒の各クランク位置におけるクラセ
ン間隔の変化(回転速度の変化)を知ることができ、各
気筒の失火の有無、燃焼状態などを判断することがで
き、全気筒の運転状況を把握することができる。また、
配列MTCSXを参照することにより、常に最新のクラ
セン間隔を得ることができ、現在の運転状況を迅速に把
握することができる。
【0122】次いで、ステップS613へ進むと、再び、エ
ラーレベルECASの値を調べる。ここでは、前述のス
テップS604においてECAS≠2であることを既に確認
してあるため、エラーレベルECASが1か否か、すな
わち、クランク位置の判別が不安の残る推定状態である
か否かを調べる。
【0123】上記ステップS613でECAS≠1(すなわ
ちECAS=0)であり、クランク位置が確証をもって
判別されているときには、上記ステップS613からステッ
プS614へ進んで、最新3ヶのクラセン間隔データの和
(配列MTCSXにストアされているクラセン間隔デー
タの和)を、3バイトの半回転時間MTCS18として
算出する(MTCS18=ΣMTCSX)。すなわち、
半回転時間MTCS18は、クラセン割込み毎にクラン
ク位置情報変数CCASが更新されて配列MTCSX内
のデータが更新される毎に算出され、BTDC97°,
65°,10°の各位置毎にクラセン間隔の移動和を取
ることにより常に最新のデータが得られるようになって
いる。
【0124】一方、上記ステップS613で、ECAS=1
であり、クランク位置の判別が不安の残る推定状態であ
るときには、配列MTCSXから半回転時間MTCS1
8を算出せず、ステップS615で半回転時間推定のサブル
ーチンを実行し、クランク位置情報変数CCASの値に
応じて半回転時間MTCS18を推定する。
【0125】すなわち、CCAS=0のとき、BTDC
10°〜ATDC83°(次の気筒のBTDC97゜)
間の角度93°から前回のクラセン間隔×180/93
を半回転時間MTCS18と推定し、CCAS=1のと
き、BTDC97°〜65°間の角度32°から、前回
のクラセン間隔×180/32を半回転時間MTCS1
8と推定する。さらに、CCAS=2のとき、BTDC
65°〜10°間の角度55°から前回のクラセン間隔
×180/55を半回転時間MTCS18と推定する。
【0126】そして、上記ステップS614で半回転時間M
TCS18を算出した後、あるいは、上記ステップS615
で半回転時間MTCS18を推定した後は、ステップS6
16へ進み、3バイトの半回転時間MTCS18を2バイ
トにリミットして所定の変数MTCSKにストアする
と、ステップS617で、この変数MTCSKを2倍して変
数MTCSK4にストアし、ステップS618で、正常終了
コード0をアキュムレータAに格納してルーチンを抜け
る。
【0127】そして、前述のジョブ実行サブルーチンに
おいて10ms毎にエンジン回転数が算出され、このエ
ンジン回転数は、3バイトの半回転時間MTCS18を
2バイトにリミットした変数MTCSKの逆数から算出
される。
【0128】詳述すると、毎分回転数rpmの単位時間
(1min)の半分の時間30secを半回転時間MT
CSKで割算することにより、1rpmを単位とする2
バイト単位の変数NRPM、すなわち、エンジン回転数
が算出され(NRPM=30sec/MTCSK)、こ
のエンジン回転数が基本パラメータの1つとして各種の
制御量演算処理に用いられるのである。
【0129】次に、図11に示されるCCAS・RCA
S判別サブルーチンについて説明する。このサブルーチ
ンでは、まず最初に、ステップS800で、カム角センカウ
ンタを0〜4にリミットする。このカムセンカウンタで
計数されるカム角センサ41からのカムパルスの数(ク
ラセン信号入力間のカムパルス数)は、図30に示すよ
うに、正常状態の場合0〜3であるが、ノイズなどの影
響により4以上の異常な計数値となるおそれがあるた
め、カムセンカウンタを0〜4にリミットして異常な状
態を4で代表するのである。
【0130】次に、ステップS801へ進み、カムセンカウ
ンタ(の計数値)、気筒情報変数RCAS、クランク位
置情報変数CCASから、5×4×2の組合わせ(カム
センカウンタが0〜4の5種類、気筒情報変数RCAS
が0〜3の4種類、クランク位置情報変数CCASが
0,1と2の場合の2種類)に対する状態データがスト
アされている気筒・クランク位置状態マップCCHMA
Pを読む。
【0131】この気筒・クランク位置状態マップCCH
MAPは、図23(a)及び(b)に示すように、クラ
ンク位置情報変数CCASが0あるいは1の場合と、気
筒情報変数RCASの変化点であるクランク位置情報変
数CCASが2の場合とに分け、カムセンカウンタと気
筒情報変数RCASの各組合わせの起こり得る全ての状
態に対し、正常か異常か、確定して良いか推定すべきか
を示す状態データがストアされており、現在の状態を評
価し、次にとるべき状態を知ることができる。
【0132】上記状態データは2ビットのデータであ
り、ビット0の値により確定か推定かを表わし、ビット
1の値により正常か異常かを表わす。ビット0の値は、
0のとき確定、1のとき推定を示し、図30からわかる
ように、カムセンカウンタが2,3の場合にのみ確定で
あって、それ以外は推定せざるを得ない状態である。ま
た、ビット1の値は、0のとき正常、1のとき異常を示
し、カムセンカウンタが3以下で、且つ、図19及び図
30による組合せに合致する場合のみ正常であって、そ
れ以外は異常な状態である。
【0133】例えば、CCAS=0あるいは1、すなわ
ち、ある気筒のBTDC97°〜10°に対し、カムセ
ンカウンタが0で気筒情報変数RCASが0となる組合
せは、図19及び図30からもわかるように、クランク
位置を正常に推定すれば良い状態であるため、気筒・ク
ランク位置状態マップCCHMAPの該当領域に2進数
で01(正常推定)の状態データがストアされており、
さらに、カムセンカウンタが1で気筒情報変数RCAS
が0となる組合せは、明らかに異常であって推定するし
かない状態であるため、気筒・クランク位置状態マップ
CCHMAPの該当領域に2進数で11(異常推定)の
状態データがストアされている。
【0134】また、CCAS=2、すなわち、ある気筒
のBTDC10°〜ATDC83°に対し、カムセンカ
ウンタが3で気筒情報変数RCASが0となる組合せ
は、#1気筒のTDCを挟んだクランク位置と正常に確
定できるため、気筒・クランク位置状態マップCCHM
APの該当領域に2進数で00(正常確定)の状態デー
タがストアされており、さらに、カムセンカウンタが2
で気筒情報変数RCASが0となる組合せは、明らかに
異常ではあるがカムセン入力が2ヶある以上確定せざる
を得ない状態であるため、気筒・クランク位置状態マッ
プCCHMAPの該当領域に2進数で10(異常確定)
の状態データがストアされている。
【0135】そして、上記ステップS801で気筒・クラン
ク位置状態マップCCHMAPから状態データを読込む
と、ステップS802へ進み、エラーレベルECASが2で
ないか否か、すなわち、現在の状態が気筒判別のなされ
ていない不明な状態であるか否かを調べ、ECAS=2
のときには、ステップS803で気筒・クランク位置状態マ
ップCCHMAPから読込んだ状態データのビット0が
0か否か、すなわち確定状態か否かを調べ、確定状態の
ときにはステップS804へ進み、確定状態でなく推定状態
であるときにはルーチンを抜けて確定状態となるまで待
つ。
【0136】一方、上記ステップS802でECAS≠2の
ときにはステップS804へ進んで、推定状態か否かを調
べ、確定状態、推定状態に応じてステップS805以降の処
理あるいはステップS812以降の処理へ進む。また、上記
ステップS803において確定状態でステップS804へ進んだ
ときには、ステップS805以降の処理へ進む。
【0137】まず、ステップS805以降の処理について説
明すると、このステップS805へ進んだときには、正常、
異常に拘らず気筒判別がなされた確定状態であるため、
図30のタイムチャートからもわかるように、今回のク
ラセン割込みはカムパルスが3ヶあるいは2ヶ入力され
た後のBTDC97°の割込みであるため、クランク位
置情報変数CCASを0にする。
【0138】次いで、ステップS806へ進んでカムセンカ
ウンタが3でないか否かを調べ、カムセンカウンタが3
でないとき、すなわちカムセンカウンタが2のときに
は、#2気筒の点火後であるため、ステップS807で気筒
情報変数RCASを3にしてステップS809へ進み、カム
センカウンタが3のときには、#1気筒の点火後である
ため、ステップS808で気筒情報変数RCASを1にして
ステップS809へ進む。
【0139】ステップS809では、更新したクランク位置
情報変数CCAS、気筒情報変数RCAS、及び、カム
センカウンタをパラメータとして再び気筒・クランク位
置状態マップCCHMAPから状態データを読込み、こ
の状態データのビット1が1であるか、すなわち異常状
態であるか否かを調べる。
【0140】その結果、上記ステップS809において、状
態データのビット1が1で異常状態と判定されるときに
は、クランク位置情報変数CCAS、気筒情報変数RC
ASの更新結果は不安の残る推定であるとしてステップ
S810でエラーレベルECASを1にしてルーチンを抜
け、状態データのビット1が0であり正常状態であると
きには、ステップS811でエラーレベルECASを0とし
てルーチンを抜ける。
【0141】一方、ステップS812以降の処理では、ステ
ップS812で、現在のクランク位置情報変数CCAS(前
回のクラセン割込みで算出されたクランク位置情報変数
CCAS)が2、すなわち、気筒情報変数RCASの変
化点であるか否かを調べ、CCAS=2のときには、ス
テップS812からステップS813へ進んで、気筒情報変数R
CASを1増加させ、ステップS814でクランク位置情報
変数CCAS=0にしてステップS817へ進む。
【0142】一方、上記ステップS812で、CCAS≠2
のときには、上記ステップS812からからステップS815へ
進んでカムセンカウンタが0でないか否かを調べ、カム
センカウンタが0でないときには、前述のステップS813
へ分岐し、カムセンカウンタが0のときには、ステップ
S816でクランク位置情報変数CCASを1増加させ、ス
テップS817へ進む。
【0143】ステップS817では、更新したクランク位置
情報変数CCAS、気筒情報変数RCAS、及び、カム
センカウンタをパラメータとして再び気筒・クランク位
置状態マップCCHMAPから状態データを読込んで異
常状態であるか否かを調べ、状態データのビット1が0
であり、正常状態であるときには、そのまま(現在のエ
ラーレベルECAS=0のまま)ルーチンを抜ける。ま
た、上記ステップS817で、状態データのビット1が1で
異常状態のときには、ステップS818へ進み、クランク位
置情報変数CCAS、気筒情報変数RCASの更新結果
は不安の残る推定であるとしてエラーレベルECASを
1にし、ルーチンを抜ける。
【0144】以上の0.5ms毎の定期割込み処理とク
ラセン割込み処理により、ユーザー側の制御ストラテジ
ーに基づく各ジョブが優先処理され、例えば10msジ
ョブ中の点火時期設定ルーチンにより、吸入空気量、エ
ンジン回転数などのエンジン運転状態に応じて点火時期
の指示値(角度)IG_DEGが設定されると、この指
示点火時期IG_DEGに基づいて、OS側で用意した
点火スケジュール作成サブルーチンで点火スケジュール
が作成され、点火シーケンスが決定される。
【0145】上記指示点火時期IG_DEGは、圧縮上
死点より遅角側を負として−60°〜+97°の範囲で
設定可能であり、点火シーケンスの決定に際しては、ク
ランク位置変数を用いて点火区間変数を設定し、この点
火区間変数によって示される区間を基準として上記点火
スケジュールを作成する。
【0146】上記点火区間変数は、図24に示すよう
に、気筒情報変数RCASを用いて点火コイル26aへ
の通電、点火のシーケンスを行なう対象気筒を示す点火
気筒情報変数IGRCAS、クランク位置情報変数CC
ASを用いて通電終了すなわち点火が行なわれる区間を
示す点火クランク位置情報変数IGCCAS、クランク
位置情報変数CCASを用いて点火コイル26aへの通
電が開始されるべき区間を示すドエル開始クランク位置
情報変数DWCCASであり、上記点火クランク位置情
報変数IGCCASは、0,1,2の値をとり、上記ド
エル開始クランク位置情報変数DWCCASは、ドエル
が点火に先立って前の行程に入り込むことがあるため、
−3,−2,−1,0,1,2の値をとる(但し、点火
クランク位置情報変数IGCCASより大きな値はとれ
ない)。
【0147】さらに、上記ドエル開始クランク位置情報
変数DWCCASによって示される区間の中で、どの程
度待ってから通電を開始すべきかの通電開始待ち時間、
すなわち通電を開始する区間となってから点火コイルへ
の通電を開始するまでの時間をドエルオン待ち時間TD
W_ONで示し、上記点火クランク位置情報変数IGC
CASによって示される区間の中で、どの程度待ってか
ら通電を終了すべきかの通電終了待ち時間、すなわち点
火を実行する区間となってから点火コイルへの通電を遮
断するまでの時間をドエルオフ待ち時間TDW_OFで
示す。
【0148】そして、通電開始及び通電終了の区間デー
タと、通電開始待ち時間及び通電終了待ち時間の時間デ
ータとを点火スケジュールとして10ms毎に作成す
る。すなわち、図25に示すように、1バイトの上記ド
エル開始クランク位置情報変数DWCCAS、2バイト
の上記ドエルオン待ち時間TDW_ON、1バイトの上
記点火クランク位置情報変数IGCCAS、2バイトの
上記ドエルオフ待ち時間TDW_OFをメンバーとする
構造体変数を点火スケジュールとして所定のメモリ領域
に記録する。
【0149】この場合、上記点火スケジュールは、先頭
オフセットアドレス+0,+6,+12からの各6バイ
トのメモリ領域に、3枚の点火スケジュールIGSCD
L1,IGSCDL2,IGSCDL3がストアされる
ようになっており、後述するスケジュールポインタに従
って、10msジョブ中の点火スケジュール作成サブル
ーチンで書込みが行なわれるとともに、クラセン割込み
の点火タイマセットで使用される。尚、この場合、1つ
の点火シーケンスの途中ではスケジュール変更は行なわ
ず、後述する点火終了時割込みで最新のスケジュールが
採用される。
【0150】従来では、点火時期の指示値を設定し、こ
の指示値に基づいて点火シーケンスを決定して点火タイ
マにセットするという一連の処理は、全てクラセン割込
み時に行なっており、負荷が重いためエンジン高回転時
に支障をきたすおそれがあったが、本発明では、10m
s毎に点火スケジュールを作成し、この点火スケジュー
ルに従ってクラセン割込みで点火タイマにセットするた
め、エンジン高回転においても負荷が増大することな
く、正確に点火制御を行なうことができるのである。
【0151】次に、上記点火スケジュールの作成につい
て、図12〜図15のフローチャートに従って説明す
る。
【0152】この点火スケジュール作成サブルーチンで
は、まず、ステップS1200で、ユーザージョブ側で設定
した指示ドエル時間ITDWLを半回転時間MTCS1
8でリミットすることにより、各気筒に配設した点火コ
イル26aに対して同時に2つの点火コイルには通電し
ないようにし、リミットした値を実ドエル時間TDWL
とし、点火コイル26aに対する通電継続時間のデータ
としてRAM60の所定アドレスにストアする。
【0153】次いで、ステップS1201へ進み、処理遅れ
時間を含めたドエル時間を見かけ上のドエル時間D_T
DWLとし、ステップS1202で、処理遅れ時間に相当す
るむだ角度をDM_DEGとする。この処理遅れ時間
は、クラセン割込みが入ってから実際に点火タイマがセ
ットされるまでの処理遅れ時間であり、後述する点火タ
イマセットサブルーチンにおいて処理遅れ時間の最大値
が記録される。
【0154】次に、上記ステップS1202からステップS12
03へ進むと、エラーレベルECASがゼロでないか否
か、すなわち気筒及びクランク位置が判別されているか
否かをを調べ、ECAS≠0で気筒及びクランク位置が
判別されていないときにはルーチンを抜け、ECAS=
0のとき、ステップS1204へ進んで、新しいスケジュー
ルポインタをXレジスタに保存する。
【0155】上記スケジュールポインタは、10msジ
ョブで使用するスケジュールポインタIGSCUSと、
クラセン割込みで使用するスケジュールポインタIGS
CPTとがあり、いずれも、0,6,12の値をとる。
そして、クラセン割込みで採用されて現在実行中の点火
スケジュールを示すスケジュールポインタIGSCPT
と、前回、点火スケジュールを作成したときのスケジュ
ールポインタIGSCUSとの論理和をとり、この論理
和の値をパラメータとして図26に示すスケジュールポ
インタテーブルIGSTBLを検索し、3枚の点火スケ
ジュールIGSCDL1,IGSCDL2,IGSCD
L3のうち、新たに書込みを行なう点火スケジュールを
選択する。
【0156】例えば、現在実行されている点火スケジュ
ールへのポインタIGSCPTが0(点火スケジュール
IGSCDL1)であり、前回作成した点火スケジュー
ルへのポインタIGSCUSが6(点火スケジュールI
GSCDL2)である場合、0と6の論理和6に対応す
るスケジュールポインタテーブルIGSTBLのアドレ
スには、次にデータを書込むべき点火スケジュールIG
SCDL3を指定するポインタの値12がストアされて
おり、この12が新しいスケジュールポインタとしてX
レジスタにストアされ、点火スケジュールIGSCDL
3に書込みが行なわれた後、Xレジスタからスケジュー
ルポインタIGSCUSに保存される。
【0157】すなわち、点火スケジュールが2枚である
と、エンジン高回転においてはクラセン割込みが頻繁に
発生するため、使用していない点火スケジュールのデー
タを10msジョブで書換え中に次のクラセン割込みが
発生し、新たな点火スケジュールを採用することができ
なくなる。また、エンジン低回転では、使用していない
点火スケジュールのデータの書換えが完了してもクラセ
ン割込みが入らずに次のデータ書換え対象スケジュール
が採用中のスケジュールとなってしまう。このため、点
火スケジュールを3枚とし、10ms毎に作成した点火
スケジュールデータを非同期のクラセン割込みに対して
円滑に渡すことができるようにするのである。
【0158】その後、上記ステップS1204からステップS
1205へ進むと、BTDC10°より前に点火が指示され
ているか否かを調べるため、10から指示点火時期IG
_DEGを減算して差をアキュムレータAにストアし、
ステップS1206で、アキュムレータAの内容と処理遅れ
時間に相当するむだ角度DM_DEGとを比較する。そ
の結果、A<DM_DEGであり、処理遅れ時間を含ん
でBTDC10°より前の点火であるときには、ラベル
IGS10で示されるステップS1300以降の処理へ進
み、A≧DM_DEGであり、処理遅れ時間を含んでB
TDC10°〜ATDC83°の間の点火であるときに
は、ステップS1207へ進む。
【0159】ステップS1207では、アキュムレータAの
内容を70でリミットしてATDC60°以降では点火
が行なわれないようにし、ステップS1208で、半回転前
のクラセン間隔に基づいてドエルオフ待ち時間TDW_
OFを算出する。具体的には、クラセン間隔テーブルM
TCSXからBTDC10°〜ATDC83°の区間を
示すクランク位置情報変数CCASの値2に対応するク
ラセン間隔を読出し、アキュムレータAの内容をCCA
S=2の区間のクランク角の値93で割った値を、読出
したクラセン間隔に掛け、この値を新たなアキュムレー
タAの内容とする。そして、この新たなアキュムレータ
Aの内容をドエルオフ待ち時間TDW_OFとするので
ある。
【0160】すなわち、エンジンの回転は、大局的には
半回転周期で変動するため、同じ測定区間の最新のクラ
セン間隔を用いてドエルオフ待ち時間TDW_OFを算
出することにより、定常的なクランク角度毎の回転変動
誤差を取り除いて、燃焼の強さ、フライホイール重量、
変速比、ピストン重量などの影響を受けなくすることが
でき、正確な点火設定が可能となる。
【0161】次に、上記ステップS1208からステップS12
09へ進むと、BTDC10°〜ATDC83°の区間を
示すCCAS=2の値をアキュムレータBにストアし
て、このアキュムレータBの内容を点火クランク位置情
報変数IGCCASの値とし、ステップS1210で、アキ
ュムレータAの内容すなわちドエルオフ待ち時間TDW
_OFと見かけ上のドエル時間D_TDWLとを比較す
る。
【0162】そして、A>D_TDWLであり、同じ区
間でドエル開始が可能なとき、上記ステップS1210から
ラベルIGS90で示されるステップS1460以降の処理
へ分岐し、A≦D_TDWLであり、同じ区間でドエル
を開始できないときには、ステップS1211へ進んでアキ
ュムレータBの内容を1減算すると、ステップS1212
で、アキュムレータAの内容を、IGCCAS=1に対
応する1つ前の区間のクラセン間隔を加算した値とし、
ラベルIGS15で示されるステップS1350以降の処理
へ進む。
【0163】一方、上記ステップS1206で、A<DM_
DEGであり、処理遅れ時間を含んでBTDC10°よ
り前の点火が指示されてラベルIGS10以降の処理へ
進んだときには、ステップS1300で、BTDC65°よ
り前に点火が指示されているか否かを調べるため、65
から指示点火時期IG_DEGを減算して差をアキュム
レータAにストアし、ステップS1301で、アキュムレー
タAの内容と処理遅れ時間に相当するむだ角度DM_D
EGとを比較し、A<DM_DEGであり、処理遅れ時
間を含んでBTDC65°より前の点火であるときに
は、BTDC97°より前の点火か否かを調べるため、
さらにラベルIGS20で示されるステップS1400以降
の処理へ進み、A≧DM_DEGであり、処理遅れ時間
を含んでBTDC65°〜BTDC10°の間の点火で
あるときには、ステップS1302へ進む。
【0164】ステップS1302では、BTDC65°〜1
0°の区間を示すクランク位置情報変数CCASの値1
に対応してクラセン間隔テーブルMTCSXから読出し
たクラセン間隔に、アキュムレータAの内容をCCAS
=1の区間のクランク角の値55で割った値を掛けて新
たなアキュムレータAの内容とし、この新たなアキュム
レータAの内容をドエルオフ待ち時間TDW_OFとす
る。そして、ステップS1303で、CCAS=1の値をア
キュムレータBにストアし、このアキュムレータBの内
容を点火クランク位置情報変数IGCCASの値として
ステップS1350へ進む。
【0165】ステップS1350,S1351,S1352は、前述した
ステップS1210,S1211,1212と同様の処理であり、同じ区
間でドエル開始が可能か否かを判定して、同じ区間でド
エルを開始できるときには、ラべルIGS90以降の処
理へ分岐し、同じ区間でドエルを開始できないときに
は、ドエルオフ待ち時間TDW_OFを1つ前の区間の
クラセン間隔を加算した値とする処理である。
【0166】すなわち、ステップS1350で、アキュムレ
ータAの内容すなわちドエルオフ待ち時間TDW_OF
と見かけ上のドエル時間D_TDWLとを比較し、A>
D_TDWLのとき、ステップS1350からラベルIGS
90以降の処理へ分岐し、A≦D_TDWLのとき、ス
テップS1351でアキュムレータBの内容を1減算し(B
=0)、ステップS1352で、アキュムレータAの内容
を、点火クランク位置情報変数IGCCAS=0に対応
する区間のクラセン間隔を加算した値としてラベルIG
S25で示されるステップS1450以降の処理へ進む。
【0167】一方、ラベルIGS20で示されるステッ
プS1400以降の処理では、ステップS1400で、BTDC9
7°より前に点火が指示されているか否かを調べるた
め、97から指示点火時期IG_DEGを減算して差を
アキュムレータAにストアし、ステップS1401で、アキ
ュムレータAの内容と処理遅れ時間に相当するむだ角度
DM_DEGとを比較する。
【0168】そして、上記ステップS1401で、A<DM
_DEGであり、処理遅れ時間を含んでBTDC97°
より前の点火であるときには、上記ステップS1401から
ステップS1402へ分岐してアキュムレータAの内容を処
理遅れ時間に相当するむだ角度DM_DEGとして最大
進角を制限してステップS1403へ進み、上記ステップS14
01で、A≧DM_DEGであり、処理遅れ時間を含んで
BTDC97°〜BTDC65°の間の点火であるとき
には、ステップS1403へ進む。
【0169】ステップS1403では、BTDC97°〜6
5°の区間を示すクランク位置情報変数CCASの値0
に対応してクラセン間隔テーブルMTCSXから読出し
たクラセン間隔に、アキュムレータAの内容をCCAS
=0の区間のクランク角の値32で割った値を掛けて新
たなアキュムレータAの内容とし、この新たなアキュム
レータAの内容をドエルオフ待ち時間TDW_OFとす
る。
【0170】次いで、ステップS1404へ進み、CCAS
=0の値をアキュムレータBにストアし、このアキュム
レータBの内容を点火クランク位置情報変数IGCCA
Sの値としてステップS1450へ進む。ステップS1450以降
の処理は、先のステップS1210,S1211,S1212及びステッ
プS1350,S1351,S1352と同様、同じ区間でドエル開始が
可能か否かを判定して、同じ区間でドエルを開始できる
ときには、ラべルIGS90以降の処理へ分岐し、同じ
区間でドエルを開始できないときには、ドエルオフ待ち
時間TDW_OFを1つ前の区間のクラセン間隔を加算
した値とする処理の繰返しである。
【0171】すなわち、ステップS1450,S1451,S1452の
処理、ステップS1453,S1454,S1455の処理、ステップS14
56,S1457,S1458の処理で、A≦D_TWDLであり、ラ
べルIGS90へ分岐しないとき、アキュムレータBの
内容を、B=−1、B=−2、B=−3と順に減らして
区間を1つずつ前にし、ドエルオフ待ち時間TDW_O
Fを次々に延長してゆく。
【0172】そして、ステップS1456〜S1458を経てアキ
ュムレータBの内容が−3に達し、ステップS1459でA
>D_TDWLとなったとき、ステップS1459からラベ
ルIGS90のステップS1460へ進み、依然としてA≦
D_TDWLのときには、ステップS1459からステップS
1461へ進んで、アキュムレータAの内容を処理遅れ時間
としてステップS1462へ進む。
【0173】ラベルIGS90のステップS1460では、
ドエルオフ待ち時間TDW_OFから逆算してドエルオ
ン待ち時間TDW_ONを算出するため、アキュムレー
タAの内容すなわちドエルオフ待ち時間TDW_OFか
ら実ドエル時間TDWLを減算して新たなアキュムレー
タAの内容とし、ステップS1462へ進む。
【0174】そして、ステップS1462で、アキュムレー
タAの内容をドエルオン待ち時間TDW_ONとし、ま
た、ステップS1463で、アキュムレータBの内容をドエ
ル開始クランク位置情報変数DWCCASの値として点
火スケジュールの書換えを終了すると、ステップS1464
へ進んで、Xレジスタの値をスケジュールポインタIG
SCUSに保存し、ルーチンを抜ける。
【0175】以上の点火スケジュールが10ms毎に作
成されると、クラセン割込み時に、点火タイマがセット
される。この点火タイマは、図27に示すように、モー
ドM1の出力パターン、あるいは、モードM2の出力パ
ターンで動作し、モードM1では、初期値T1、リロー
ド値T2をタイマにセットしてスタートさせると、時間
T1が経過したとき、出力がローレベル(点火コイル非
通電)からハイレベル(点火コイル通電)となり、時間
T2経過後にローレベルとなる一方、モードM2では、
初期値T3、リロード値FFFF(時間規定せず)をタ
イマにセットして出力がハイレベルの状態でタイマをス
タートさせると、時間T3経過後に出力がローレベルと
なる。
【0176】この場合、通常のクラセン割込みでは、モ
ードM1でドエル開始時間及びドエル時間をセットする
通常の通電シーケンスが採用され、エンジン高回転時な
ど、点火の時間間隔が短くなり、クラセン割込み時に既
に点火コイル26aへの通電が行なわれている状態で点
火区間となったとき、モードM2でドエルオフ時間をセ
ットする通電シーケンスが採用される。
【0177】この通電シーケンスは、エンジン回転数の
高低、ドエル時間の大小、回転数の急変、点火時期の急
変などによって決まり、後述する点火終了時の割込み処
理において最新の点火スケジュールから現在の通電状態
が調べられ、直ちに次のドエルを開始すべきどうかを判
別することにより、2種類の通電シーケンスのいずれか
が選択される。そして、クラセン割込み時の点火タイマ
セットサブルーチンにおいて通電シーケンスが判別さ
れ、通電シーケンスに応じて点火タイマがセットされ
る。
【0178】以下、まず、点火タイマセットサブルーチ
ンについて図1及び図2のフローチャートに従って説明
する。
【0179】この点火タイマセットサブルーチンでは、
ステップS1500で、エラーレベルECASが2であるか
否か、すなわち、気筒及びクランク位置の判別がなされ
ていない不明の状態であるか否かを調べ、ECAS=2
のときには、そのままルーチンを抜け、ECAS≠2の
とき、ステップS1501へ進んで、点火時期未設定フラグ
IGTMNSがセットされているか否かを調べる。
【0180】上記点火時期未設定フラグIGTMNS
は、後述する点火終了割込みにおいて点火タイマにドエ
ルオンの時間のみがセットされ、ドエルオフの時間がセ
ットされずにドエルが開始されて点火のタイミングが未
設定の状態にあることを示すフラグであり、上記ステッ
プS1501で、点火時期未設定フラグがセットされてお
り、点火コイル26aへ通電中であるときには、ラベル
TENS30で示されるステップS1530以降の処理へ分
岐してドエルオフ待ち時間→点火のモードM2による通
電シーケンスを点火タイマに設定し、点火時期未設定フ
ラグがセットされていないときには、上記ステップS150
1からステップS1502へ進む。
【0181】ステップS1502では、後述する点火終了時
割込みにおいて採用された最新の点火スケジュールから
読出したドエル開始クランク位置情報変数DWCCAS
の指示値によるドエル開始区間を横軸、クランク総合位
置変数ACASを縦軸として通電状態マップIGCTB
Lを参照する。
【0182】上記通電状態マップIGCTBLは、点火
スケジュールが各気筒共通の点火シーケンスを表わすも
のであるに対し、図28に示すように、クランク総合位
置変数ACASと、ドエル開始クランク位置情報変数D
WCCASあるいは点火クランク位置情報変数IGCC
ASの指示値とに基づいて、ある時点での気筒毎の点火
コイル26aへの通電状態を1バイトのマップ値で表わ
したものである。
【0183】上記通電状態マップIGCTBLのマップ
値は、上位4ビットが、値0で今現在、値Fで一回遅
れ、値Eで2回遅れの遅れ状況を表わし、下位4ビット
が通電対象気筒を示すデータとして気筒情報変数RCA
Sを表わし、点火気筒情報変数IGRCASとして採用
される。例えば、ドエル開始クランク位置情報変数DW
CCASが−1で現在のクランク位置総合変数ACAS
が3であれば、マップ値はF1であり、これは、RCA
S=1すなわち#3気筒に対するドエルが1つ前の区間
で始まっているべきであったことを表わす。また、例え
ば、点火クランク位置情報変数IGCCASが2で現在
のクランク位置総合変数ACASが11であれば、マッ
プ値は03であり、これは、RCAS=3すなわち#4
気筒に対する点火が今の区間で行なわれるべきであるこ
とを表わす。
【0184】これにより、現在の区間に対してあるべき
通電状態を効率的に判別することができ、条件判断の繁
雑化によるメモリ容量の増大や処理速度の低下を抑えて
精密且つ高速な点火制御を可能とすることができるので
ある。
【0185】その後、上記ステップS1502からステップS
1503へ進むと、上記通電状態マップIGCTBLの参照
結果から今ドエル開始区間でないか否かを判断し、ドエ
ル開始区間でないときにはルーチンを抜け、ドエル開始
区間であるときには、ステップS1504へ進んで、点火タ
イマが作動中であることを示すタイマ作動中フラグFL
G_IGを参照してタイマが終了しているか否かを調
べ、タイマが終了していないときにはルーチンを抜け、
タイマが終了しているとき、ステップS1505で点火気筒
情報変数IGRCASを決定し、ラベルTENS70で
示されるステップS1570以降の処理へ進んで、待ち時間
→ドエルオン→ドエル時間→点火のモードM1による通
電シーケンスを点火タイマに設定する。
【0186】次に、ラベルTENS30以降のモードM
2による点火タイマのセット、及び、ラベルTENS7
0以降のモードM1による点火タイマのセットについて
説明する。
【0187】まず、ラベルTENS30以降では、ステ
ップS1530で、点火スケジュールの点火クランク位置情
報変数IGCCASの指示値による点火区間を横軸、ク
ランク総合位置変数ACASを縦軸として通電状態マッ
プIGCTBLを参照し、ステップS1531で、今点火区
間でないか否かを調べる。そして、点火区間でないとき
にはルーチンを抜け、点火区間のとき、ステップS1531
からステップS1532へ進んで、アキュムレータBに値F
FFFをストアし、ステップS1533で、点火タイマの出
力パターンをモードM2とする。
【0188】次に、ステップ1534へ進み、点火スケジュ
ールから読出したドエルオフ待ち時間TDW_OFに対
して現在の処理遅れ時間を減算し、その値をアキュムレ
ータAにストアすると、ステップS1535で、アキュムレ
ータAの内容が正の値であり、正常であるか否かを調べ
る。
【0189】上記ステップS1535において、A>0であ
り、正常であるときには、上記ステップS1535からステ
ップS1580へ進んで、アキュムレータAの内容を気筒別
のリタード時間を加算した新たな内容とする。この気筒
別のリタード時間は、50msジョブにおいて、気筒別
のリタード角度からリタード時間に変換されたものであ
り、このクラセン割込み時の点火タイマセットの際に加
算することにより、極めて容易に気筒別にリタードを行
なうことができる。
【0190】その後、ステップS1581へ進み、新たなア
キュムレータAの内容、すなわち気筒別のリタード時間
を加算したドエルオフ時間をタイマ初期値とし、ステッ
プS1582で、アキュムレータBの内容をタイマリロード
値として、ステップS1595で、点火タイマをスタートさ
せる。
【0191】すなわち、点火コイル通電中で点火区間と
なったクラセン割込みから、点火スケジュールのドエル
オフ待ち時間TDW_OFから現在の処理遅れ時間を減
算して気筒別のリタード時間を加算した時間に達したと
き、点火タイマの出力がハイレベルからローレベルとな
って点火(ドエルオフ)が行なわれる。尚、この場合、
点火タイマの出力がローレベルとなってからは、タイマ
リロード値がFFFFにセットされているため、ローレ
ベルの状態をそのまま継続する。
【0192】そして、点火タイマをスタートさせた後、
ステップS1596へ進み、タイマ作動中であることを示す
ためタイマ作動中フラグFLG_IGをセットすると、
ステップS1597で、点火時期未設定フラグIGTMNS
をクリアしてルーチンを抜ける。
【0193】一方、上記ステップS1535において、アキ
ュムレータAの内容すなわちドエルオフ待ち時間TDW
_OFから現在の処理遅れ時間を減算した値が、通常起
こり得ないA≦0の状態となったときには、点火タイマ
には負の時間はセットできないため、上記ステップS153
5からステップS1590へ分岐してタイマ初期値を0とし、
ステップS1591で、アキュムレータBの内容をタイマリ
ロード値としてステップS1592へ進む。
【0194】ステップS1592では、現在の処理遅れ時間
が記録値ICTIMEを越えたか否かを調べ、記録値I
CTIMEを越えていないときには、ステップS1594で
エラーフラグをセットし、記録値ICTIMEを越えて
いるときには、ステップS1593で、処理遅れ記録を更新
して記録値ICTIMEの最大値を書換えた後、ステッ
プS1594でエラーフラグをセットし、前述のステップ159
5〜S1597を経てルーチンを抜ける。
【0195】上記記録値ICTIMEは、次の点火スケ
ジュール作成の際に用いられ、この記録値ICTIME
による処理遅れ時間を見込んでおくことにより、次の点
火タイマセットで二度とエラーが生じないようにするこ
とができる。
【0196】次に、ラベルTENS70以降の処理につ
いて説明すると、ステップS1570で、モードM1の出力
パターンを設定し、ステップS1571で、各気筒の点火コ
イル26aに対応するイグナイタ27内の駆動回路を選
択するためのロジック上のデストリビュータを選択す
る。
【0197】次いで、ステップS1572へ進み、点火スケ
ジュールから読出したドエルオン待ち時間TDW_ON
に対して現在の処理遅れ時間を減算し、その値をアキュ
ムレータAにストアすると、ステップS1573へ進んで、
アキュムレータBに実ドエル時間TDWLをストアす
る。
【0198】そして、上記ステップS1573からステップS
1574へ進み、アキュムレータAの内容すなわちドエルオ
ン時間TDW_ONが正の値で正常であるか否かを調
べ、A>0のとき、前述のステップS1580以降へ進み、
ステップS1580,S1581,S1582を経て、アキュムレータA
の内容を気筒別のリタード時間を加算した新たな内容と
してタイマ初期値とし、アキュムレータBの内容すなわ
ち実ドエル時間TDWLをタイマリロード値として点火
タイマをスタートさせ、前述のステップS1595,S1596,S1
597を経てルーチンを抜ける。
【0199】すなわち、クラセン割込み時に、点火時期
未設定フラグIGTMNSがセットされておらず点火コ
イル26aが通電されていないときには、通電状態マッ
プIGCTBLから今回のクラセン割込みの状態を判別
し、今回のクラセン割込みがドエル開始区間のとき、点
火スケジュールのドエルオン待ち時間TDW_ONから
現在の処理遅れ時間を減算して気筒別のリタード時間を
加算した時間を点火タイマにセットし、設定時間経過後
に点火タイマの出力をローレベルからハイレベルとして
点火コイル26aへの通電を開始し、実ドエル時時間T
DWLが経過した後に通電を終了して点火を行なうので
ある。
【0200】また、上記ステップS1574において、A≦
0のときには、上記ステップS1574から前述のステップS
1590以降へ進み、同様に、タイマ初期値を0、アキュム
レータBの内容をタイマリロード値として、現在の処理
遅れ時間が記録値ICTIMEを越えているとき、処理
遅れ記録を更新する。
【0201】以上の点火タイマセットサブルーチンによ
り点火タイマがセットされ、点火が行なわれると、図1
6に示す点火終了時割込みが発生する。
【0202】この点火終了時割込みでは、まず最初に、
ステップS1600でドエルオフ時であるか否かを調べ、ド
エルオフ時でないときには割込みを終了し、ドエルオフ
時のみ、ステップS1601以降へ進んで、所定の処理を行
なう。
【0203】すなわち、ステップS1601で、点火タイマ
の停止・クリアを行ない、ステップS1602で、タイマ作
動中フラグFLG_IGをクリアすると、ステップS160
3へ進み、前述の点火スケジュール作成サブルーチンに
おいて使用した最新の点火スケジュールを指示するスケ
ジュールポインタIGSCUSの値を、スケジュールポ
インタIGSCPTにコピーし、このスケジュールポイ
ンタIGSCPTによって指定されるアドレスの最新の
点火スケジュールを採用する。
【0204】次いで、ステップS1604へ進み、点火スケ
ジュールのドエル開始クランク位置情報変数DWCCA
Sと現在のクランク総合位置変数ACASとをパラメー
タとして、通電状態マップIGCTBLからマップ値を
読出して下位4ビットから現在の点火気筒情報変数IG
RCASを調査し、ステップS1605で、現在の点火気筒
情報変数IGRCASが今までと同じ値であるか否かを
調べる。
【0205】その結果、現在の点火気筒情報変数IGR
CASが今までと同じときには、同じ気筒にもう一度点
火する必要がないため、割込みを終了し、現在の点火気
筒情報変数IGRCASが今までと異なるときには、上
記ステップS1605からステップS1606へ進んで、点火気筒
情報変数IGRCASを更新し、ステップS1607へ進
む。
【0206】ステップS1607では、点火気筒情報変数I
GRCASの値をドエルの観点から見た値と点火の観点
から見た値が同じか否かを調べることにより、現在の状
況が即座にドエルを開始しなければならない状況か否か
を判別する。ここで、ドエルの観点から見た気筒情報を
RCASDWL(=IGRCAS)で示し、点火の観点で
見た気筒情報をRCASIGで示すと、図29に示すよう
な関係となり、ドエルの観点から見た気筒情報RCAS
DWL(=IGRCAS)は通電開始区間となってから次
の通電開始区間となるまで点火対象気筒を一定の値で示
すデータであり、点火の観点から見た気筒情報RCAS
IGは同一気筒に対して気筒情報RCASDWLと同じ値を
取り、通電終了区間となってから次の通電終了区間とな
るまで点火対象気筒を一定の値で示すデータである。そ
して、点火が終了したままドエルを開始する必要のない
区間でのみ両者が一致する。
【0207】すなわち、この点火終了割込みが発生した
点火終了時に、RCASDWL≠RCASIGとなり、点火
コイルの通電終了と通電開始とが同一区間の場合には、
エンジン回転数の急変、点火時期の急変などにより、あ
る気筒の点火が終了すると直ちに次の気筒のドエルを開
始しなければならない区間であることがわかる。
【0208】従って、上記ステップS1607で、点火気筒
情報変数IGRCAS(=RCASDWL)が点火から見
た値RCASIGと同じときには、点火コイルの通電終了
と通電開始とが同一区間内でなく、通常の点火終了と判
別して割込みを終了し、前述したように、クラセン割込
み毎に次のドエル開始区間を待ち、ドエル開始区間とな
ったとき、待ち時間→ドエルオン→ドエル時間→点火の
通電シーケンスを点火タイマにセットする。
【0209】また、上記ステップS1607で、点火気筒情
報変数IGRCASが点火から見た値RCASIGと異な
るときには、点火コイルの通電終了と通電開始とが同一
区間内であり即座にドエルを開始しなければならない状
況であると判別してステップS1608以降の点火タイマセ
ットの処理へ進み、待ち時間→ドエルオンのみの通電シ
ーケンスを点火タイマにセットする。
【0210】すなわち、ステップS1608で、ロジック上
のデストリビュータを選択し、ステップS1609で、タイ
マ初期値を256にすると、ステップS1610で、タイマ
リロード値をFFFFとする。尚、タイマ初期値の25
6は、点火コイル26aの一次側端子から回転信号をピ
ックアップするタコメータを採用した場合に確実な計数
を可能とする1msのオフ期間であり、他の形式のタコ
メータを採用する場合には、点火コイル26aの特性な
どに応じて設定しても良い。
【0211】そして、上記ステップS1610からステップS
1611へ進み、点火タイマの出力パターンをモードM1と
してステップS1612で点火タイマをスタートさせ、ステ
ップS1613で、タイマ作動中フラグFLG_IGをセッ
トすると、ステップS1614で、ドエルが開始されている
にも拘らずドエルオフすなわち点火のタイミングが設定
されていないことを示す点火時期未設定フラグIGTM
NSをセットし、割込みを終了する。
【0212】これにより、点火終了後、1msのオフ期
間をおいてドエルが開始され、クラセン割込み毎に点火
をすべき区間となるのを待って点火区間となったとき、
ドエルオフ時間→点火の通電シーケンスが点火タイマに
セットされる。
【0213】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、点
火コイルの通電・遮断時間から処理遅れ時間を差し引い
た値を点火タイマにセットして点火を行ない、また、処
理遅れ時間が通常よりも長くなったときにも、この処理
遅れ時間の最大値を記録して次回の点火タイマセットの
際に用いるため、処理遅れの影響を解消して常に最適な
タイミングで点火を行なうことができ、エンジン出力性
能の向上、排気ガスエミッションの改善を図ることがで
きるなど優れた効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】点火タイマセットサブルーチンの部分フローチ
ャート1
【図2】点火タイマセットサブルーチンの部分フローチ
ャート2
【図3】0.5ms毎の定期割込み処理のフローチャー
【図4】クラセン割込み処理のフローチャート
【図5】ジョブ優先処理のフローチャート
【図6】ジョブ実行サブルーチンの部分フローチャート
【図7】ジョブ実行サブルーチンの部分フローチャート
【図8】ジョブ実行サブルーチンの部分フローチャート
【図9】ジョブ実行サブルーチンの部分フローチャート
【図10】クランク位置算出サブルーチンのフローチャ
ート
【図11】CCAS・RCAS判別サブルーチンのフロ
ーチャート
【図12】点火スケジュール作成サブルーチンの部分フ
ローチャート1
【図13】点火スケジュール作成サブルーチンの部分フ
ローチャート2
【図14】点火スケジュール作成サブルーチンの部分フ
ローチャート3
【図15】点火スケジュール作成サブルーチンの部分フ
ローチャート4
【図16】点火終了時割込み処理のフローチャート
【図17】ジョブの実行状態を示す説明図
【図18】ジョブフラグの説明図
【図19】クランク位置変数の説明図
【図20】ジョブ実行中フラグとオーバーラップカウン
タの変化を示す説明図
【図21】システムシフトバッファの説明図
【図22】クラセン間隔テーブルの説明図
【図23】気筒・クランク位置状態マップの説明図
【図24】点火シーケンスと点火区間変数の説明図
【図25】点火スケジュールの説明図
【図26】スケジュールポインタテーブルの説明図
【図27】点火タイマセットの説明図
【図28】通電状態マップの説明図
【図29】通電気筒情報と点火気筒情報との関係を示す
説明図
【図30】クランク位置とエンジンの行程を示すタイム
チャート
【図31】エンジン系の概略構成図
【図32】クランクロータとクランク角センサの正面図
【図33】カムロータとカム角センサの正面図
【図34】電子制御系の回路構成図
【符号の説明】
1 エンジン 50 ECU 26a 点火コイル TDW_ON ドエルオン待ち時間(通電時間) TDW_OF ドエルオフ待ち時間(遮断時間) ICTIME 処理遅れ時間の記録値(最大値)

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エンジンの所定クランク位置毎に、クラ
    ンク位置を検出する信号の入力毎に区分した区間が点火
    に係る区間となったか否かを判別し、 点火に係る区間となったとき、エンジン運転状態に応じ
    て設定した点火コイルの通電・遮断時間から処理遅れ時
    間を差し引いた値を点火タイマにセットし、点火を行な
    うことを特徴とするエンジンの点火制御における処理遅
    れ解消方法。
  2. 【請求項2】 上記点火コイルの通電・遮断時間から処
    理遅れ時間を差し引いた値が負となったとき、このとき
    の処理遅れ時間の最大値を記録し、次回の点火タイマセ
    ットの際の処理遅れ時間とすることを特徴とする請求項
    1記載のエンジンの点火制御における処理遅れ解消方
    法。
JP06071693A 1993-03-19 1993-03-19 エンジンの点火制御における処理遅れ解消方法 Expired - Fee Related JP3384498B2 (ja)

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CN112268135A (zh) * 2020-11-06 2021-01-26 中国兵器装备集团自动化研究所 一种应用于三位五通电磁阀的控制方法及装置
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