JPH06272017A - アルミニウム合金被覆耐熱材料の製造方法 - Google Patents
アルミニウム合金被覆耐熱材料の製造方法Info
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- JPH06272017A JPH06272017A JP6177893A JP6177893A JPH06272017A JP H06272017 A JPH06272017 A JP H06272017A JP 6177893 A JP6177893 A JP 6177893A JP 6177893 A JP6177893 A JP 6177893A JP H06272017 A JPH06272017 A JP H06272017A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】
【構成】 金属基材表面にアルミニウム被覆処理を
行ったアルミニウム被覆材を、酸化性雰囲気中、400
〜600℃の温度範囲、0.5〜5時間で熱拡散処理す
ることを特徴とするアルミニウム合金被覆耐熱材料の製
造方法。 【効果】 高温下にて耐酸化性、耐窒化性および耐
溶融塩性を保有し、高温部で安定使用が可能となり、ま
た、高い寸法精度が得られる。
行ったアルミニウム被覆材を、酸化性雰囲気中、400
〜600℃の温度範囲、0.5〜5時間で熱拡散処理す
ることを特徴とするアルミニウム合金被覆耐熱材料の製
造方法。 【効果】 高温下にて耐酸化性、耐窒化性および耐
溶融塩性を保有し、高温部で安定使用が可能となり、ま
た、高い寸法精度が得られる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高温腐食性環境下で使
用される加熱炉や各種焼却炉等の各種本体、検知器保護
管や各部品に対して、耐酸化性、耐窒化性、耐溶融塩性
等の高温耐食性に優れ、密着性に優れたアルミニウム合
金被覆耐熱材料の製造方法に関する。
用される加熱炉や各種焼却炉等の各種本体、検知器保護
管や各部品に対して、耐酸化性、耐窒化性、耐溶融塩性
等の高温耐食性に優れ、密着性に優れたアルミニウム合
金被覆耐熱材料の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】高温機器で使用される耐熱材料として、
例えば加熱炉や各種焼却炉、高温反応器等の本体、各種
検知器保護管、燃焼ガスや空気等の供給ノズル等には鉄
基合金、ニッケル基合金、クロム−ニッケル系、クロム
−ニッケル−コバルト系、クロム−コバルト−鉄系合金
等が工業的に使用されている。また特殊な用途ではタン
グステン、モリブデンやその合金等の高融点金属が用い
られている。
例えば加熱炉や各種焼却炉、高温反応器等の本体、各種
検知器保護管、燃焼ガスや空気等の供給ノズル等には鉄
基合金、ニッケル基合金、クロム−ニッケル系、クロム
−ニッケル−コバルト系、クロム−コバルト−鉄系合金
等が工業的に使用されている。また特殊な用途ではタン
グステン、モリブデンやその合金等の高融点金属が用い
られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の耐熱材料であっても約1000℃以上の高温域で安定
した耐酸化性、耐窒化性、耐溶融塩性を長時間保持し得
るものはほとんどなく、短期に交換を余儀なくされてい
る。この高温腐食形態としては全面腐食形態を呈してい
るものは少なく、耐熱材料表面に形成されている保護性
被膜の欠陥や剥離部をイオウ、塩素等の腐食性ガス、溶
融塩等がアタックし、粒界腐食、孔食、メタルダスト化
等の腐食形態をとることが多い。さらに、高温クリープ
強度、脆性等の材料強度低下を伴う場合はよりきびしい
損傷を招いている。
の耐熱材料であっても約1000℃以上の高温域で安定
した耐酸化性、耐窒化性、耐溶融塩性を長時間保持し得
るものはほとんどなく、短期に交換を余儀なくされてい
る。この高温腐食形態としては全面腐食形態を呈してい
るものは少なく、耐熱材料表面に形成されている保護性
被膜の欠陥や剥離部をイオウ、塩素等の腐食性ガス、溶
融塩等がアタックし、粒界腐食、孔食、メタルダスト化
等の腐食形態をとることが多い。さらに、高温クリープ
強度、脆性等の材料強度低下を伴う場合はよりきびしい
損傷を招いている。
【0004】近年、開発された純クロム加工材(例え
ば、特開平01−316435、特開平02−8875
8号公報など)は従来にない高温耐食性を示す金属材料
であるが、長時間の高温暴露下においてはその表面に形
成されている保護性酸化被膜が一部剥離を生じ、その部
位を介して浸炭、窒化等の材料劣化現象が起こり、きび
しい損傷を受ける等の問題も発生している。
ば、特開平01−316435、特開平02−8875
8号公報など)は従来にない高温耐食性を示す金属材料
であるが、長時間の高温暴露下においてはその表面に形
成されている保護性酸化被膜が一部剥離を生じ、その部
位を介して浸炭、窒化等の材料劣化現象が起こり、きび
しい損傷を受ける等の問題も発生している。
【0005】これら耐熱材料の長寿命化の手段として、
基材表面にアルミニウム系材料の被覆あるいは耐火物ラ
イニング等の処理が施される場合が多い。その製造方法
として、経済的に安価な溶融アルミニウムメッキ法、ア
ルミニウム溶射法、アルミニウム拡散浸透法がある。し
かし、これらの方法にも種々の欠点、課題がある。例え
ば、溶融アルミニウムメッキ法では、720〜770℃
の溶融アルミニウム浴中に浸漬される。アルミニウム被
覆層厚さは、浸漬時間と温度に依存し、一般に100μ
m以下に制限することが望ましいが、この厚みの制御が
困難であるため、このままの状態で高温に暴露されると
アルミニウム被覆層と基材が反応し脆い合金層が生成
し、破壊剥離や機械的特性低下を生ずることが有る。
基材表面にアルミニウム系材料の被覆あるいは耐火物ラ
イニング等の処理が施される場合が多い。その製造方法
として、経済的に安価な溶融アルミニウムメッキ法、ア
ルミニウム溶射法、アルミニウム拡散浸透法がある。し
かし、これらの方法にも種々の欠点、課題がある。例え
ば、溶融アルミニウムメッキ法では、720〜770℃
の溶融アルミニウム浴中に浸漬される。アルミニウム被
覆層厚さは、浸漬時間と温度に依存し、一般に100μ
m以下に制限することが望ましいが、この厚みの制御が
困難であるため、このままの状態で高温に暴露されると
アルミニウム被覆層と基材が反応し脆い合金層が生成
し、破壊剥離や機械的特性低下を生ずることが有る。
【0006】一方、アルミニウム浸透拡散(カロライジ
ング法)は、基材を触媒混入のアルミニウム粉末中に埋
没充填、加熱し、その表面にそれらの金属間化合物層を
形成せしめる方法である。詳しくは、アルミニウム−鉄
を主成分とした合金粉末に触媒として塩化アンモニウム
を混入し鉄容器中に密閉する。そして、1000〜11
00℃の炉内で加熱処理する。本手法は使用材料の制限
はないため有効な被覆方法であるが、熱処理温度が高い
ため拡散アルミニウム層の粒の粗大化が起こ易く、その
ままの状態で高温に暴露すると耐食性や機械強度に問題
が生じる場合が多々有る。
ング法)は、基材を触媒混入のアルミニウム粉末中に埋
没充填、加熱し、その表面にそれらの金属間化合物層を
形成せしめる方法である。詳しくは、アルミニウム−鉄
を主成分とした合金粉末に触媒として塩化アンモニウム
を混入し鉄容器中に密閉する。そして、1000〜11
00℃の炉内で加熱処理する。本手法は使用材料の制限
はないため有効な被覆方法であるが、熱処理温度が高い
ため拡散アルミニウム層の粒の粗大化が起こ易く、その
ままの状態で高温に暴露すると耐食性や機械強度に問題
が生じる場合が多々有る。
【0007】また、アルミニウム溶射法は、アルミニウ
ム線材やアルミニウム粉体を用いた電気アーク、可燃性
ガス炎溶射により300〜500μm溶射層を形成する
が、その溶射層内には2〜3%の酸素が取込まれてお
り、溶射層はポーラスであるためそのまま高温下で使用
すると、基材に対する内部酸化を生じ溶射層の剥離を招
くことがある。
ム線材やアルミニウム粉体を用いた電気アーク、可燃性
ガス炎溶射により300〜500μm溶射層を形成する
が、その溶射層内には2〜3%の酸素が取込まれてお
り、溶射層はポーラスであるためそのまま高温下で使用
すると、基材に対する内部酸化を生じ溶射層の剥離を招
くことがある。
【0008】以上、上記で述べたように従来法ではアル
ミニウム被覆層に亀裂、剥離等の問題が生じ十分な耐久
性を有するものは未だ見出されていないのが現状であ
る。高温下に於いて十分な耐食性を維持するには耐熱材
表面に形成されたアルミニウム被覆層が高温耐食性、酸
化防止層として機能すると同時に、被覆層に亀裂や剥離
を生じることなく、基材を確実に高温腐食性環境から遮
断し得るものでなければならない。
ミニウム被覆層に亀裂、剥離等の問題が生じ十分な耐久
性を有するものは未だ見出されていないのが現状であ
る。高温下に於いて十分な耐食性を維持するには耐熱材
表面に形成されたアルミニウム被覆層が高温耐食性、酸
化防止層として機能すると同時に、被覆層に亀裂や剥離
を生じることなく、基材を確実に高温腐食性環境から遮
断し得るものでなければならない。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者等は上記の諸問
題を解決するため、アルミニウムの被覆製造方法につい
て検討した結果、基材表面に高温耐食性、均一厚み、良
好な密着性を有するアルミニウム合金層を形成するため
に適正範囲の熱処理工程を加えたアルミニウム合金被覆
耐熱材料の製造方法を見出し、本発明を完成した。
題を解決するため、アルミニウムの被覆製造方法につい
て検討した結果、基材表面に高温耐食性、均一厚み、良
好な密着性を有するアルミニウム合金層を形成するため
に適正範囲の熱処理工程を加えたアルミニウム合金被覆
耐熱材料の製造方法を見出し、本発明を完成した。
【0010】即ち、本願発明は、金属基材表面にアルミ
ニウム被覆処理を行ったアルミニウム被覆材を、酸化性
雰囲気中、400〜600℃の温度範囲、0.5〜5時
間で熱拡散処理することを特徴とするアルミニウム合金
被覆耐熱材料の製造方法に関する。以下、本発明を詳細
に説明する。
ニウム被覆処理を行ったアルミニウム被覆材を、酸化性
雰囲気中、400〜600℃の温度範囲、0.5〜5時
間で熱拡散処理することを特徴とするアルミニウム合金
被覆耐熱材料の製造方法に関する。以下、本発明を詳細
に説明する。
【0011】本願発明でいう金属基材とは、クロム、コ
バルト、鉄、モリブデン、ニッケル、タングステンおよ
びそれらの合金であるが、特にクロム、モリブデン、タ
ングステンおよびそれらの合金が本発明に有効である。
バルト、鉄、モリブデン、ニッケル、タングステンおよ
びそれらの合金であるが、特にクロム、モリブデン、タ
ングステンおよびそれらの合金が本発明に有効である。
【0012】まず、これらの金属基材表面に対して、必
要に応じてスケール除去を施す。例えば鉄系、ニッケル
系基材では熱間または冷間圧延されるものが多く表面に
ミルスケールが生成する。そのため約60℃、10%硫
酸溶液または強アルカリ液でミルスケール等を除去後、
30%塩酸水溶液で中和処理および表面活性化処理を行
う。
要に応じてスケール除去を施す。例えば鉄系、ニッケル
系基材では熱間または冷間圧延されるものが多く表面に
ミルスケールが生成する。そのため約60℃、10%硫
酸溶液または強アルカリ液でミルスケール等を除去後、
30%塩酸水溶液で中和処理および表面活性化処理を行
う。
【0013】次に、金属基材にアルミニウム被覆する方
法として、例えば溶融メッキ法、溶射法がある。溶融メ
ッキ法では、例えば、300〜350℃の塩化亜鉛と塩
化リチウムとの溶融フラックスに10〜20秒浸漬し酸
化防止処理を施し、次に約700℃で数分間予熱後、6
50〜750℃のアルミニウム浴に数分〜10分間浸漬
して溶融メッキする。
法として、例えば溶融メッキ法、溶射法がある。溶融メ
ッキ法では、例えば、300〜350℃の塩化亜鉛と塩
化リチウムとの溶融フラックスに10〜20秒浸漬し酸
化防止処理を施し、次に約700℃で数分間予熱後、6
50〜750℃のアルミニウム浴に数分〜10分間浸漬
して溶融メッキする。
【0014】溶射法では、グリットブラスト処理等によ
り金属基材表面を粗面化した後、アルミニウム線材を電
気アーク式、またはガス式溶射することにより厚さ30
0〜600μmの溶射層を形成する。なお、必要に応じ
て過剰アルミニウム分は遠心分離器、機械的切削により
除去してもよい。
り金属基材表面を粗面化した後、アルミニウム線材を電
気アーク式、またはガス式溶射することにより厚さ30
0〜600μmの溶射層を形成する。なお、必要に応じ
て過剰アルミニウム分は遠心分離器、機械的切削により
除去してもよい。
【0015】その後、上述のような方法にて得られたア
ルミニウム被覆金属基材に対して熱拡散処理を行なう。
その条件は400〜600℃の温度範囲で、酸化性雰囲
気中、0.5〜5時間である。この熱処理工程によりア
ルミニウム被覆層はアルミニウム合金化するが、この
際、アルミニウム合金被覆層厚みが60〜120μm
で、かつ被覆層が金属基材の形状に対し均一厚みを呈す
ることが望ましい。アルミニウム合金被覆層厚みが60
μm未満であると、腐食因子と合金層とが反応して合金
層全体が腐食生成物となったり、また、被覆層厚みが1
20μmを越えると、合金層が亀裂剥離などを生じ、下
地の金属層と腐食因子とが直接反応する場合がある。
ルミニウム被覆金属基材に対して熱拡散処理を行なう。
その条件は400〜600℃の温度範囲で、酸化性雰囲
気中、0.5〜5時間である。この熱処理工程によりア
ルミニウム被覆層はアルミニウム合金化するが、この
際、アルミニウム合金被覆層厚みが60〜120μm
で、かつ被覆層が金属基材の形状に対し均一厚みを呈す
ることが望ましい。アルミニウム合金被覆層厚みが60
μm未満であると、腐食因子と合金層とが反応して合金
層全体が腐食生成物となったり、また、被覆層厚みが1
20μmを越えると、合金層が亀裂剥離などを生じ、下
地の金属層と腐食因子とが直接反応する場合がある。
【0016】熱拡散温度が400℃未満では金属基材へ
のアルミニウム拡散が不十分であり、アルミニウム合金
層厚みが60μmに達しない可能性がある。熱処理温度
が600℃を越えると、初期の過程に於いて金属基材と
アルミニウム被覆層間の熱膨張係数の差によって熱歪を
発生し、アルミニウム被覆層に亀裂、剥離を生じ易くな
る。そのため、長時間十分な耐久性、耐食性を有するア
ルミニウム被覆金属基材を得ることはできず、また内部
酸化が進むことにより、金属基材自身の引張り強度等の
機械特性も著しく低下することになる。本熱拡散時間は
0.5〜5時間とすることが望ましく、0.5時間未満
では相互拡散不足となりアルミニウム合金層厚みが60
μmに達しない。また、5時間を越えると金属基材成分
の外方拡散およびアルミニウムの内方拡散が起こり続
け、アルミニウム合金層厚みが120μmを越えて、ア
ルミニウム合金層が粗大化し、最終的に膨れ、剥離が起
こる。熱拡散処理としての酸化性雰囲気とは10-50気
圧以上の酸素ポテンシャルを有する環境を意味する。そ
れ以下の酸素ポテンシャル環境下での熱拡散処理ではア
ルミニウム合金層の耐食性、耐熱性が劣り、十分なアル
ミニウム被覆耐熱材料を得ることができない。
のアルミニウム拡散が不十分であり、アルミニウム合金
層厚みが60μmに達しない可能性がある。熱処理温度
が600℃を越えると、初期の過程に於いて金属基材と
アルミニウム被覆層間の熱膨張係数の差によって熱歪を
発生し、アルミニウム被覆層に亀裂、剥離を生じ易くな
る。そのため、長時間十分な耐久性、耐食性を有するア
ルミニウム被覆金属基材を得ることはできず、また内部
酸化が進むことにより、金属基材自身の引張り強度等の
機械特性も著しく低下することになる。本熱拡散時間は
0.5〜5時間とすることが望ましく、0.5時間未満
では相互拡散不足となりアルミニウム合金層厚みが60
μmに達しない。また、5時間を越えると金属基材成分
の外方拡散およびアルミニウムの内方拡散が起こり続
け、アルミニウム合金層厚みが120μmを越えて、ア
ルミニウム合金層が粗大化し、最終的に膨れ、剥離が起
こる。熱拡散処理としての酸化性雰囲気とは10-50気
圧以上の酸素ポテンシャルを有する環境を意味する。そ
れ以下の酸素ポテンシャル環境下での熱拡散処理ではア
ルミニウム合金層の耐食性、耐熱性が劣り、十分なアル
ミニウム被覆耐熱材料を得ることができない。
【0017】なお、上述した合金層の厚さは、例えばエ
ネルギー分散型X線(EDX)分析などによりアルミニ
ウムおよび下地の金属を測定すればよい。
ネルギー分散型X線(EDX)分析などによりアルミニ
ウムおよび下地の金属を測定すればよい。
【0018】
【実施例】以下に実施例を示し、本発明を更に具体的に
説明するが、本発明はこれにより制限を受けるものでは
ない。
説明するが、本発明はこれにより制限を受けるものでは
ない。
【0019】実施例1 溶融アルミニウムメッキ法を用いたアルミニウム合金被
覆クロム材を製造した。純度99.91%、粒径50〜
100μmの金属クロム粉末から粉末冶金法にて作製し
た長さ125mm、直径33mmのクロムロッド材を1
400℃、3時間で水素焼鈍しクロム材を得た。次に、
このクロム材を350℃の塩化亜鉛−塩化リチウム混合
溶融フラックスに20秒通し、鉛浴中で700℃、5分
間予熱し、710℃のアルミニウム浴に10分間浸漬し
た。その後、振動法によりクロム材表面の過剰アルミニ
ウム層を除去後、550℃、純酸素ガス中、40分間の
拡散処理を実施した。表1に熱拡散処理条件に対するア
ルミニウム合金層の諸特性を示す。EDX分析により、
アルミニウム合金層厚みは60〜120μmと均一であ
り寸法精度の高いことがわかる。また、アルミニウム合
金層とクロム基材との界面に割れ等の欠陥は認められ
ず、クロム基材自身の機械強度も急激な変化もなかっ
た。
覆クロム材を製造した。純度99.91%、粒径50〜
100μmの金属クロム粉末から粉末冶金法にて作製し
た長さ125mm、直径33mmのクロムロッド材を1
400℃、3時間で水素焼鈍しクロム材を得た。次に、
このクロム材を350℃の塩化亜鉛−塩化リチウム混合
溶融フラックスに20秒通し、鉛浴中で700℃、5分
間予熱し、710℃のアルミニウム浴に10分間浸漬し
た。その後、振動法によりクロム材表面の過剰アルミニ
ウム層を除去後、550℃、純酸素ガス中、40分間の
拡散処理を実施した。表1に熱拡散処理条件に対するア
ルミニウム合金層の諸特性を示す。EDX分析により、
アルミニウム合金層厚みは60〜120μmと均一であ
り寸法精度の高いことがわかる。また、アルミニウム合
金層とクロム基材との界面に割れ等の欠陥は認められ
ず、クロム基材自身の機械強度も急激な変化もなかっ
た。
【0020】次に、このアルミニウム合金被覆クロム材
に対する空気中での高温ガス腐食試験を行なった。試験
方法は次の通りである。
に対する空気中での高温ガス腐食試験を行なった。試験
方法は次の通りである。
【0021】熱天秤に各種材料を吊り下げ、アルゴン
ガスを流しながら1000℃にする。 アルゴンガスから空気に切換え、そのガス流量が一定
になった時点を試験開始時とする。
ガスを流しながら1000℃にする。 アルゴンガスから空気に切換え、そのガス流量が一定
になった時点を試験開始時とする。
【0022】腐食による重量変化(ここでは重量増
加)を経時的に測定する。
加)を経時的に測定する。
【0023】結果を表1に示す。表1より、アルミニウ
ム合金層厚みは100μmと均一であり、アルミニウム
合金被覆クロム材の酸化速度定数は、放物線速度定数と
して2.5×10-12(g2/cm4/秒)であり、高温
耐食性に優れていることがわかる。また、試験後のアル
ミニウム合金被覆層には剥離等の異常は認められず、機
械強度も顕著な低下はなかった。
ム合金層厚みは100μmと均一であり、アルミニウム
合金被覆クロム材の酸化速度定数は、放物線速度定数と
して2.5×10-12(g2/cm4/秒)であり、高温
耐食性に優れていることがわかる。また、試験後のアル
ミニウム合金被覆層には剥離等の異常は認められず、機
械強度も顕著な低下はなかった。
【0024】比較例1〜5 実施例1の製法と比較するため、比較例1は実施例1と
同様の方法で得られたクロム基材を用い、比較例2〜3
は溶融アルミニウムメッキ法における熱拡散温度、比較
例4〜5は熱拡散時間を変化させたアルミニウム合金被
覆クロム材を作製した。表1に比較例1〜5で実施した
熱拡散処理条件に対するアルミニウム合金層の諸特性を
示す。表1よりアルミニウム合金層厚みは60〜120
μmから外れており、クロム基材とアルミニウム合金被
覆層界面も不均一であり寸法精度に乏しいと考えられ
る。また、クロム基材とアルミニウム合金被覆層との界
面にも割れ等の欠陥が認められ、内部酸化を引起こすこ
とにより引張り強度等の機械特性が低下している。
同様の方法で得られたクロム基材を用い、比較例2〜3
は溶融アルミニウムメッキ法における熱拡散温度、比較
例4〜5は熱拡散時間を変化させたアルミニウム合金被
覆クロム材を作製した。表1に比較例1〜5で実施した
熱拡散処理条件に対するアルミニウム合金層の諸特性を
示す。表1よりアルミニウム合金層厚みは60〜120
μmから外れており、クロム基材とアルミニウム合金被
覆層界面も不均一であり寸法精度に乏しいと考えられ
る。また、クロム基材とアルミニウム合金被覆層との界
面にも割れ等の欠陥が認められ、内部酸化を引起こすこ
とにより引張り強度等の機械特性が低下している。
【0025】さらに、比較例1〜5の各試料に対し実施
例1と同様な高温ガス腐食試験を行なった。結果を表1
に示す。表1より、アルミニウム合金被覆層厚みは60
〜120μmから外れており比較例1(アルミニウム被
覆無処理のクロム材)では酸化速度定数(放物線速度定
数として)が5×10-9(g2/cm4/秒)、比較例2
〜5では酸化速度定数が10-10〜10-11(g2/cm4
/秒)と実施例1に比較すると酸化速度定数が大きく高
温耐食性が完全ではない。高温ガス腐食試験後の試料表
面は、比較例1では酸化クロム皮膜が剥離しており、ク
ロム基材は若干粒界腐食形態を呈していた。比較例2〜
5では、該アルミニウム合金被覆層は、ふくれ、剥離を
生じており、内部酸化により機械特性を著しく低下して
いる。
例1と同様な高温ガス腐食試験を行なった。結果を表1
に示す。表1より、アルミニウム合金被覆層厚みは60
〜120μmから外れており比較例1(アルミニウム被
覆無処理のクロム材)では酸化速度定数(放物線速度定
数として)が5×10-9(g2/cm4/秒)、比較例2
〜5では酸化速度定数が10-10〜10-11(g2/cm4
/秒)と実施例1に比較すると酸化速度定数が大きく高
温耐食性が完全ではない。高温ガス腐食試験後の試料表
面は、比較例1では酸化クロム皮膜が剥離しており、ク
ロム基材は若干粒界腐食形態を呈していた。比較例2〜
5では、該アルミニウム合金被覆層は、ふくれ、剥離を
生じており、内部酸化により機械特性を著しく低下して
いる。
【0026】実施例2 金属アルミニウム溶射法を用いたアルミニウム合金被覆
クロム材の製造方法を示す。純度99.91%、粒径5
0〜100μmの金属クロム粉末から粉末冶金法にて作
製した長さ125mm、直径33mmのクロムロッド材
を1400℃、3時間で水素焼鈍しクロム材を得た。
クロム材の製造方法を示す。純度99.91%、粒径5
0〜100μmの金属クロム粉末から粉末冶金法にて作
製した長さ125mm、直径33mmのクロムロッド材
を1400℃、3時間で水素焼鈍しクロム材を得た。
【0027】次に、このクロム材に50μm粒子のグリ
ットブラスト処理を施し、表面を活性化し、金属アルミ
ニウム線材をガス式溶射することにより500〜600
μmの厚みの溶射層を形成した。その後、ワニス等を塗
り酸化防止処理を施した後、熱処理として純酸素ガス
中、510℃、40分間加熱し、遠心法によりクロム材
表面の過剰アルミニウム層を除去した。
ットブラスト処理を施し、表面を活性化し、金属アルミ
ニウム線材をガス式溶射することにより500〜600
μmの厚みの溶射層を形成した。その後、ワニス等を塗
り酸化防止処理を施した後、熱処理として純酸素ガス
中、510℃、40分間加熱し、遠心法によりクロム材
表面の過剰アルミニウム層を除去した。
【0028】表2に熱拡散処理条件に対するアルミニウ
ム合金層の諸特性を示す。表2よりアルミニウム合金層
厚みは60〜120μmと均一であり寸法精度の高いこ
とがわかる。クロム基材の機械強度も急激な変化もな
く、アルミニウム合金層とクロム基材の界面には割れ等
の欠陥は認められなかった。
ム合金層の諸特性を示す。表2よりアルミニウム合金層
厚みは60〜120μmと均一であり寸法精度の高いこ
とがわかる。クロム基材の機械強度も急激な変化もな
く、アルミニウム合金層とクロム基材の界面には割れ等
の欠陥は認められなかった。
【0029】続いて、このアルミニウム合金被覆クロム
材に対する二酸化イオウ(SO2)中,1100℃,3
00時間での高温二酸化イオウガス腐食試験を行なっ
た。試験方法は次の通りである。
材に対する二酸化イオウ(SO2)中,1100℃,3
00時間での高温二酸化イオウガス腐食試験を行なっ
た。試験方法は次の通りである。
【0030】熱天秤に各種材料を吊り下げ、アルゴン
ガスを流しながら1100℃にする。 アルゴンガスから二酸化イオウガスに切換え、そのガ
ス流量が一定になった時とする。
ガスを流しながら1100℃にする。 アルゴンガスから二酸化イオウガスに切換え、そのガ
ス流量が一定になった時とする。
【0031】腐食による重量変化(ここでは重量増
加)を経時的に測定する。
加)を経時的に測定する。
【0032】結果を表2に示す。表2より、アルミニウ
ム合金層厚みは115μmであり、アルミニウム合金被
覆クロム材の高温二酸化イオウガス腐食速度定数は、放
物線速度定数として1.8×10-11(g2/cm4/
秒)であり、高温二酸化イオウガスに対する耐食性に優
れることがわかる。また、試験後のアルミニウム合金被
覆層には異常は認められず、クロム基材に内部酸化、高
温硫化等は見られず機械強度も変化なかった。
ム合金層厚みは115μmであり、アルミニウム合金被
覆クロム材の高温二酸化イオウガス腐食速度定数は、放
物線速度定数として1.8×10-11(g2/cm4/
秒)であり、高温二酸化イオウガスに対する耐食性に優
れることがわかる。また、試験後のアルミニウム合金被
覆層には異常は認められず、クロム基材に内部酸化、高
温硫化等は見られず機械強度も変化なかった。
【0033】比較例6〜9 実施例2の製造方法と比較するため、比較例6〜9では
金属アルミニウムのガス溶射法における熱拡散処理条件
を変化させアルミニウム合金被覆クロム材を作製した。
表2に比較例6〜9で実施した熱拡散処理条件に対する
アルミニウム合金層の諸特性を示す。表2よりアルミニ
ウム合金層厚みは60〜120μmから外れており、ク
ロム基材とアルミニウム合金被覆層の界面も不均一であ
り寸法精度に乏しいことがわかる。また、クロム基材と
アルミニウム合金被覆層の界面にも割れ等が発生してお
り、内部酸化により機械強度が低下すると考えられる。
比較例6〜9材に対する1100℃,300時間、二酸
化イオウガス中の高温硫化ガス腐食試験も行なった。試
験方法は前述した通りである。
金属アルミニウムのガス溶射法における熱拡散処理条件
を変化させアルミニウム合金被覆クロム材を作製した。
表2に比較例6〜9で実施した熱拡散処理条件に対する
アルミニウム合金層の諸特性を示す。表2よりアルミニ
ウム合金層厚みは60〜120μmから外れており、ク
ロム基材とアルミニウム合金被覆層の界面も不均一であ
り寸法精度に乏しいことがわかる。また、クロム基材と
アルミニウム合金被覆層の界面にも割れ等が発生してお
り、内部酸化により機械強度が低下すると考えられる。
比較例6〜9材に対する1100℃,300時間、二酸
化イオウガス中の高温硫化ガス腐食試験も行なった。試
験方法は前述した通りである。
【0034】結果を表2の比較例6〜9に示す。表2よ
り、アルミニウム被覆合金層厚みは60〜120μmを
外れており、比較例6〜9材の高温硫化試験結果とし
て、腐食速度定数は約10-9(g2/cm4/秒)程度で
ある。高温硫化試験後のアルミニウム合金被覆クロム材
表面は、比較例6〜9とも、アルミニウム合金被膜層の
変色、ふくれ、剥離が観察され、クロム基材の内部酸
化、硫化が発生し機械強度を低下させている。
り、アルミニウム被覆合金層厚みは60〜120μmを
外れており、比較例6〜9材の高温硫化試験結果とし
て、腐食速度定数は約10-9(g2/cm4/秒)程度で
ある。高温硫化試験後のアルミニウム合金被覆クロム材
表面は、比較例6〜9とも、アルミニウム合金被膜層の
変色、ふくれ、剥離が観察され、クロム基材の内部酸
化、硫化が発生し機械強度を低下させている。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように本発明に
よれば、各種耐熱材料にアルミニウム被覆処理後、特殊
な酸化熱拡散処理を施す製造方法より密着性のよいアル
ミニウム合金被覆層が形成され以下の効果が得られる。
よれば、各種耐熱材料にアルミニウム被覆処理後、特殊
な酸化熱拡散処理を施す製造方法より密着性のよいアル
ミニウム合金被覆層が形成され以下の効果が得られる。
【0038】(1)アルミニウム合金被覆材は高温下に
て耐酸化性、耐窒化性および耐溶融塩性を保有し、高温
部で安定使用ができる。
て耐酸化性、耐窒化性および耐溶融塩性を保有し、高温
部で安定使用ができる。
【0039】(2)アルミニウム合金被覆処理による基
材強度は殆ど変化しない。
材強度は殆ど変化しない。
【0040】(3)アルミニウム合金被覆厚みが均一で
あり、加工後も高い寸法精度が得られる。
あり、加工後も高い寸法精度が得られる。
【0041】
Claims (1)
- 【請求項1】 金属基材表面にアルミニウム被覆処理を
行ったアルミニウム被覆材を、酸化性雰囲気中、400
〜600℃の温度範囲、0.5〜5時間で熱拡散処理す
ることを特徴とするアルミニウム合金被覆耐熱材料の製
造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6177893A JPH06272017A (ja) | 1993-03-22 | 1993-03-22 | アルミニウム合金被覆耐熱材料の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6177893A JPH06272017A (ja) | 1993-03-22 | 1993-03-22 | アルミニウム合金被覆耐熱材料の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06272017A true JPH06272017A (ja) | 1994-09-27 |
Family
ID=13180897
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP6177893A Pending JPH06272017A (ja) | 1993-03-22 | 1993-03-22 | アルミニウム合金被覆耐熱材料の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH06272017A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008297629A (ja) * | 2003-06-27 | 2008-12-11 | Kobe Steel Ltd | チタン材、その製造方法および排気管 |
KR20230169265A (ko) | 2021-07-14 | 2023-12-15 | 닛폰세이테츠 가부시키가이샤 | Al 도금 강판, Al 도금 강판의 제조 방법, 및 핫 스탬프 성형체의 제조 방법 |
-
1993
- 1993-03-22 JP JP6177893A patent/JPH06272017A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008297629A (ja) * | 2003-06-27 | 2008-12-11 | Kobe Steel Ltd | チタン材、その製造方法および排気管 |
KR20230169265A (ko) | 2021-07-14 | 2023-12-15 | 닛폰세이테츠 가부시키가이샤 | Al 도금 강판, Al 도금 강판의 제조 방법, 및 핫 스탬프 성형체의 제조 방법 |
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