JPH06266409A - モデル予測制御装置 - Google Patents

モデル予測制御装置

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JPH06266409A
JPH06266409A JP5380793A JP5380793A JPH06266409A JP H06266409 A JPH06266409 A JP H06266409A JP 5380793 A JP5380793 A JP 5380793A JP 5380793 A JP5380793 A JP 5380793A JP H06266409 A JPH06266409 A JP H06266409A
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JP5380793A
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Minoru Iino
野 穣 飯
Yasuo Takagi
木 康 夫 高
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Toshiba Corp
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Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 外乱、ノイズ等に乱されることなく、制御対
象に対して最適制御を行なうモデル予測制御装置を提供
する。 【構成】 現在の操作量および制御量に基づいて、制御
対象の状態ベクトルを状態観測器4において推定し、こ
の状態ベクトルから予測応答計算部6において制御量予
測値を予測する。最適化計算部12において、制御量、
操作量、およびこれらの変化率が所定制約条件を満た
し、かつ制御量予測値と未来目標値との偏差、および操
作量に関する評価関数を最小にする最適操作量を求め
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、制御対象の動特性モデ
ルに基づいて制御応答の未来の動きを予測し、それを考
慮しながら最適操作量を算出するモデル予測制御装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】近年、プロセス制御の分野で、モデル予
測制御装置がしばしば用いられる。モデル予測制御の特
徴として、以下のものがあげられる。 (1) むだ時間の長い制御対象に対し安定した制御応
答を実現できる。 (2) 未来目標値を用いたフィードフォワード制御で
追従性を改善できる。 (3) 多変数制御系にも適用可能である。 (4) 制御対象の正確な動特性モデルを必要とせず、
例えばステップ応答から、制御系を容易に構成できる。 (5) 予測モデルにプラントの物理的法則や非線形特
性を含めることにより、きめの細かい制御ができる。 (6) 制御対象の運転に関する制約条件(例えば、上
下限リミッタ、変化率リミッタなど)を制御側に直接入
れられる。
【0003】これまでに、数多くの予測制御方式が提案
されてきた。これらはたとえば、 (i) 西谷:モデル予測制御の応用、計測と制御Vol.28,N
o.11,pp.996-1004(1989) (ii)D.W.Clarke & C.Mohtadi:Properties of Generaliz
es Predictive Control,Automatica 25-6 pp.859(1989) などに解説されている。
【0004】特に(ii)のD.W.Clarke & C.Mohtadeによ
れば、多種のモデル予測制御方式を包含した一般化予測
制御方式(Generalized Predictive Control: GPC)
が提案されている。これは、未来目標値y* が与えられ
たとき、プロセス(制御対象)のモデルに基づいて制御
応答未来値(未来目標値)(y(k+i),i=1,
…,Np)を予測し、制御要求を表す評価関数
【0005】
【数1】 を最小化する操作量増分Δu(k)を求める方式であ
る。
【0006】このようなモデル予測制御方式について
は、特開平4−118703号公報および特開平4−2
56102号公報などにより、既に提案されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】一般化予測制御手法で
は、制御対象のモデルとして、時系列モデル
【0008】
【数2】 を用いて、過去の操作量、制御量観測値から未来の制御
量を予測している。その予測式は、例えば y(k)=−a1・y(k−l)−a2・y(k−2)−… −an・y(k−n)+b1・u(k−1) +b2・u(k−2)+…+bm・u(k−m) …(3) という形になり、過去の高々n個の制御量観測値と過去
の高々m個の操作量観測値から予測応答を求めているこ
とがわかる。このために、観測される制御量にセンサー
ノイズや未知外乱が含まれる場合、予測応答が大きく乱
されるという問題がある。
【0009】本発明はこのような点を考慮してなされた
ものであり、ノイズや外乱に対して大きな影響を受ける
ことなく制御量予測値を求めることができ、これによっ
て最適なモデル予測制御を行なうことができるモデル予
測制御装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、制御対象に対
しその特性モデルに基づいて最適操作量を求めるモデル
予測制御装置において、現在の操作量および現在の制御
量に基づいて制御対象の特性モデルを用いて制御対象の
状態ベクトルを推定する状態観測器と、この状態観測器
で推定された状態ベクトルから、制御対象の特性モデル
を用いて制御量予測値を予測する予測応答計算部と、制
御量、操作量、およびこれらの変化率が所定制約条件を
満たし、かつ制御量予測値と未来目標値との偏差、およ
び操作量に関する評価関数を最小にするような最適操作
量を求める最適化計算部と、を備えたことを特徴とする
モデル予測制御装置である。
【0011】なお、本発明を上記のほか、制御対象は1
つ以上の操作量および1つ以上の制御量を有するととも
に、状態観測器は各々の制御量に対応して個別に設けら
れ、各状態観測器は他の状態観測器と異なるサンプリン
グ周期で得られた制御量および操作量に基づいて状態ベ
クトルを推定することを特徴とする上記記載のモデル予
測制御装置、制御対象は1つ以上の操作量および1つ以
上の制御量を有するとともに、制御対象は各操作量およ
び対応したむだ時間を有し、各操作量毎に前記むだ時間
に合わせた遅延回路を設けるとともに、各操作量は前記
遅延回路を経た後、前記状態観測器に送られることを特
徴とする上記記載のモデル予測制御装置、状態観測器
は、制御対象の状態空間モデルをバランス変換し、積分
要素を一つ付加したモデルを用いて、現在の操作量の増
分および現在の制御量から制御対象の現在の状態ベクト
ルを推定することを特徴とする上記記載のモデル予測制
御装置、および状態観測器に、状態ベクトルから算出し
た制御量予測値を現在の制御量に一致させるよう状態ベ
クトルをリセットするリセット機能を接続したことを特
徴とする上記記載のモデル予測制御装置として構成する
こともできる。
【0012】
【作用】状態観測器において現在の操作量および現在の
制御量に基づいて制御対象の状態ベクトルを推定し、こ
の状態ベクトルから予測応答計算部において制御量予測
値を予測する。最適化計算部において、制御量、操作
量、およびこれらの変化率が所定制約条件を満たし、か
つ制御量予測値と未来目標値との偏差、および操作量に
関する評価関数を最小にするような最適操作量を求め、
この最適操作量に基づいて制御対象を制御する。
【0013】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の実施例につい
て説明する。
【0014】基本的原理 はじめに、本発明の基本的原理について説明する。
【0015】本発明のモデル予測制御装置では、図1に
示すように現在の操作量および制御量から状態観測器4
を用いて制御対象1の現在の状態ベクトルを推定し、そ
の状態ベクトルから予測応答計算部6において制御量予
測値を予測する。
【0016】また複数の制御量を有する制御対象1で
は、各制御量に対し、個別に複数の状態観測器4を有
し、各制御量に対応する状態観測器4は他と異なるサン
プリング周期で観測された制御量および操作量に基づき
状態ベクトルの推定を行なう。
【0017】また、複数の操作量を有する制御対象1に
おいて、それぞれの操作量が異なるむだ時間を有する場
合、それぞれのむだ時間に対応した複数の遅延回路を有
し、それを通過させた複数の仮想操作量を用いて、状態
観測器4により状態ベクトルを推定する。これにより複
数のむだ時間を考慮して制御量予測値を求めることがで
きる。
【0018】一般化予測制御方式では、操作量増分を出
力しその積分値を操作量とすることにより操作量が連続
になるバンプレス構造を実現している。これと同様に状
態観測器4についても制御量予測値が連続になるバンプ
レス構造が必要となる。そこで、本実施例では制御対象
への操作量ラインの最終段に積分器13を設け、積分器
13を状態観測器4に接続して操作量増分から状態ベク
トルを推定している。また状態観測器4の内部演算を安
定に実行するために、制御対象1の特性モデルをバラン
ス変換法により最小実現の状態空間モデルに変換する。
バランス変換に関しては、Mooreの方法が代表的で
あり、例えば、計測自動制御学会学術図書「数値解析手
法による制御系設計」安藤、田沼、梶原、兼田、名取、
藤井著、昭和61年10月30日発行p.136〜14
3に解説されている。
【0019】また、状態観測器4により推定された状態
ベクトルが外乱などの影響で一時的に乱された場合、あ
るいは推定を開始したばかりの状態では、推定精度は悪
いので、これをリセットするリセット機能が各状態観測
器4に設けられている。リセット方法としてはリセット
をかけた時点での現在の制御量観測値に制御量予測値が
一致するよう状態ベクトルの一部を調整する方法が考え
られる。
【0020】本発明によるモデル予測制御装置では、現
在の操作量および制御量から状態観測器4を用いて制御
対象1の現在の状態ベクトルを推定し、その状態ベクト
ル1から予測応答計算部6により制御量予測値を予測す
るため、状態観測器4のパラメータにより決定される周
波数特性に応じて、ある周波数より高周波のノイズに推
定が影響されにくくなる。従って、制御量予測値がノイ
ズに対して強くなり、制御系全体の特性もノイズに対し
て強くなる。特に、ノイズのスペクトルがわかっている
場合は、状態観測器4としてカルマンフィルタを用いれ
ば、そのノイズに対し推定誤差が最小となる最適な応答
予測ができ、その結果最適な制御が実現できる。
【0021】また複数の制御量を有する制御対象1で
は、個々の制御量が受ける外乱の大きさ、周波数帯域が
違う場合、それぞれの状態ベクトルを推定するための最
適な状態観測器4は異なる。そこで、各制御量に対し個
別に複数の状態観測器を設け、各状態観測器4は他と異
なるサンプリング周期で観測された制御量、操作量に基
づき状態ベクトルの推定を行なう。
【0022】このことにより、それぞれの制御量の周波
数特性に見合った最適な制御量予測値を求めることがで
きる。例えば、ある制御量が1時間の時定数でゆっくり
とした動きを示す一方で、他の制御量が数秒で変化して
いくような制御対象1の場合、前者を1分周期でサンプ
リングした制御量に基づき、後者を1秒周期でサンプリ
ングした制御量に基づき、各々個別の状態観測器4を用
いて推定することにより、それぞれの制御量の持つ周波
数帯域の推定精度を向上させることができる。
【0023】また、プロセス制御では、制御対象が長い
むだ時間を有する場合が多く、それらを補償する必要が
ある。しかし、複数の操作量を有する制御対象1におい
て、制御対象1がそれぞれの操作量に対応するむだ時間
を有する場合、状態観測器4の構成が煩雑になる。そこ
で、この場合、それぞれのむだ時間に合わせた複数の遅
延回路を設け、それを通過させた複数の仮想操作量を求
める。そして仮想操作量を状態観測器に入力することに
より、状態観測器4で求めた状態ベクトルおよび予測応
答計算部で求めた制御量予測値は、結局むだ時間を含ん
だ制御対象に対する状態ベクトルおよび制御量予測値と
なる。このような操作により、極めてむだ時間の長い制
御対象、あるいは複数のむだ時間を有する制御対象につ
いても十分対応することができる。
【0024】さらに、状態観測器4も制御量予測値が連
続になるバンプレス構造を実現しているために、制御対
象1のモデルをある時点で変更しても制御量予測値は連
続的に変わる。このため制御対象1からの制御量を乱す
ことなく、制御量予測値を予測することができる。この
ようなバンプレス構造は、制御対象1への操作量ライン
の最終段に積分器13を設け、操作量の代わりに操作量
増分を入力信号と考えることにより、容易に構成でき
る。
【0025】具体的には、制御対象1が X(k+1)=AX(k)+Bu(k) ……(4) y(k) =CX(k) ……(5) なる離散時間状態空間モデルで表現されているとする。
ここで、積分要素を制御量側に付加し、操作量uをその
増分Δuで置き換えると、 Xs(k+1)=AsXs(k)+BsΔu(k) ……(6) y(k) =CsXs(k) ……(7) なる新たな状態空間モデルが構成できる。
【0026】ただし、式(6)(7)において、
【0027】
【数3】 である。
【0028】またCs=[0・・・0 1]、xs はス
カラーである。
【0029】このようなモデルの変換を図4に示す。こ
の新たな対象モデルに合わせて状態観測器4を設けるこ
とにより、容易にバンプレス型の予測制御装置が得られ
る。また、式(4)の状態空間モデルをバランス変換に
より最小実現しておくことにより、状態観測器4の内部
演算を安定に実行できる。
【0030】さらに、個々の状態観測器4にリセット機
能5を接続することにより、オペレータの判断によりい
つでも制御量予測値を現在の制御量に一致させるようリ
セットをかけることができる。このため、例えば一時的
に大きな外乱により制御が乱れた場合、直ちに制御量予
測値および制御状態を正常に戻すことができる。リセッ
トは、式(6)(7)に示す表現のモデルでは、状態ベ
クトルの最後の要素xs を制御量観測値(現在の制御
量)y(k)に xs =y(k) と一致させるだけで、容易に実行できる。この意味にお
いても、式(4)(5)から式(6)(7)へのモデル
変換は有用性が高い。
【0031】以上のような種々の手段の作用により、異
なるむだ時間を持つ多入力多出力プロセスに対し、ノイ
ズに強く、バンプレス構造およびリセット機能を備え
た、制御応答予測機能およびモデル予測制御装置が実現
できる。
【0032】具体的構成 次に本発明のモデル予測制御装置の具体的構成を示す。
図1に示すように、制御対象1の操作量増分Δu(k)
を取り込み、操作量のむだ時間に相当する時間だけ遅延
させる遅延回路3が設けられている。そして遅延回路3
からの出力Δu(k−L)と制御対象1の制御量y
(k)から状態観測器4によって現在の制御対象1の状
態ベクトルXが推定される。
【0033】状態観測器4のパラメータは、状態観測器
パラメータ決定手段7で決定され状態観測器4に入力さ
れる。状態観測器4で求めた状態ベクトルXは、予測応
答計算部6に入力され、この予測応答計算部6におい
て、制御量予測値yが算出される。
【0034】一方、目標値応答発生部9では、未来目標
値y* が発生し、この未来目標値y* は評価関数設定部
8に入力され、評価関数設定部8において、最適化計算
のための評価関数が設定される。評価関数設定部8で設
定される評価関数に含まれるパラメータは、ステップ応
答計算部10から出力される制御対象1のステップ応答
から求められる。
【0035】また、制約条件設定部11が設けられ、こ
の制約条件設定部11では、制御量、操作量、およびこ
れらの変化率に関する制約条件が設定される。これらの
制約条件の下で、評価関数設定部8で設定された評価関
数を最小化する最適操作量Δμ* が最適化計算部12に
おいて2次計画法を用いて算出される。次に最適化計算
部12において求められた最適操作量Δu* から最適操
作量増分Δu(k)が取り出され、積分器13により最
適操作量増分Δu(k)から操作量u(k)が求めら
れ、制御対象1に入力される。
【0036】次にこのような構成からなる本実施例の作
用について説明する。
【0037】図1において、サンプラ20、遅延回路
3、状態観測器4および予測応答計算部6から制御量予
測手段2が構成される。この制御量予測手段2を図2に
示す。図2において、制御対象1はp本の制御量、q本
の操作量を有する多入出力系の制御対象となっている。
この場合、第i本目の制御量yiに対する予測値
【0038】
【数4】 は次のようにして求められる。
【0039】制御対象1の離散時間伝達関数モデルは次
式で表わされる。
【0040】
【数5】 式(8)において、
【0041】
【数6】 である。
【0042】この時、yiに対する状態空間表現モデル
は、 xi(k+1)=Aixi(k)+Biu ……(9) yi(k) =Cixi(k) ……(10) で表わされる。
【0043】式(9)(10)において、 xi(k)=[xi1(k),…,xiq(k)]T Ai=diag{Ai1,…,Aiq} Bi=diag{Bi1,…,Biq} Ci=[Ci1,…,Ciq] u=[u1(k−Li1),…,uq(k−Liq)]
T であり、また、
【0044】
【数7】 である。
【0045】ここで、式(9)(10)に示す状態空間
モデルをバランス変換し、さらに、前述の式(4)
(5)から式(6)(7)への変換に従って、 Xsi(k+1)=AsiXsi(k)+BsiΔu ……(11) yi(k) =CsiXsi(k) ……(12) を求める。
【0046】式(11)(12)において、
【0047】
【数8】 これに対応する状態観測器4は、離散時間Riccat
i方程式 0=P−AsiPAsiT +AsiPCsiT (R+CsiPCsiT -1CsiPAsiT −Q ……(13) (Q,Rは対象正定な重み係数行列) の正定解行列Pに対し、 Ki=−PCsiT (CsiPCsiT +R)-1 ……(14) なるゲインベクトルを求め、 Xsi(k+1)=AsiXsi(k)+BsiΔu+Ki(y(k) −CsiXsi(k)) ……(15) yi(k) =CsiXsi(k) ……(16) により、状態ベクトルXsiを推定する状態観測器4が
実現できる。
【0048】図1または図2の状態観測器の中では、式
(15)(16)の計算が逐次実行され、各時刻kにお
ける制御対象1のi番目の制御量に対する状態ベクトル
推定値Xsiが推定される。
【0049】なお、制御対象1のモデルを式(8)から
式(9)(10)(11)(12)へ変換し、さらに式
(13)を解いて状態観測器4により式(16)の計算
を行なう際のパラメータを求める計算は、図1の状態観
測器パラメータ決定手段7において実行される。
【0050】また、図1に示すリセット機能5では、オ
ペレータが指示した時点で状態ベクトル推定値Xsiの
最後の要素xs にyi(k)をセットする。このことに
より、その時点の制御量予測値を観測値に一致させるこ
とができる。
【0051】また、式(11)(12)において、ベク
トルΔuの各要素は、図2の遅延回路3a…3bを経た
操作量増分Δu1(k),…,Δuq(k)から得られ
る。
【0052】一方、制御量yi(k)は、制御対象1か
ら観測された制御量yの第i要素を周期τiでサンプラ
20によりサンプリングして得られる。これらのサンプ
ラ20は、各要素yi(i=1,…,p)等に独立の周
期でサンプリングを実行できる。
【0053】次に、状態観測器4で推定された状態ベク
トルXsiから未来の制御量予測値を算出する予測応答
算出部6の作用を示す。
【0054】現在の状態ベクトルXsiに関し、再び式
(11)(12)の状態空間モデルの式に従って次のよ
うに繰り返し計算することにより、任意の未来における
制御量予測値が得られる。
【0055】
【数9】 以上の図2におけるサンプラ20、遅延回路3、状態観
測器4、予測応答計算部6からなる制御量予測手段2の
処理により、制御量予測値が得られる。
【0056】これらの制御量予測手段2は制御対象1の
各制御量yi(i=1,…,p)に対し、個別に設けら
れている。制御量予測手段2の構成を図3に示す。図3
に示すように、最大でサンプラ20がp個、遅延回路3
がp×q個、状態観測器4および予測応答計算部6がそ
れぞれp個並ぶ。ただし、各操作量に対応したむだ時間
が同一な場合、遅延回路3の数をp×q個より少なくす
ることもできる。また、複数の状態観測器4をまとめて
一つの状態観測器にすることもできる。
【0057】このようにして求められた制御量予測値
は、以下のようにまとめられる。
【0058】
【数10】 このようにしてまとめられた制御量予測値は、予測応答
ベクトルとして、次のステップへ移行する。
【0059】図1に示すように、目標値応答発生部9、
ステップ応答計算部10、評価関数設定部8、制約条件
設定部11、最適化計算部12および積分器13より制
御演算部30が構成される。
【0060】この制御演算部30の作用を以下に示す。
まず目標値応答発生部9では、所望の制御応答を表す目
標値軌道 y* =[y* (k+1)T ,…,y* (k+Np)T T ……(19) y* (k+j)=[y* 1(k+j), …,y* p(k+j)]T ……(20) が設定される。
【0061】式(19)(20)において、y* は目標
値ベクトルである。
【0062】ステップ応答計算部10では、式(8)の
制御対象モデルから各要素に対するステップ応答を並べ
たブロックステップ応答系列
【0063】
【数11】 (hijはujからyiまでのステップ応答)が算出さ
れる。
【0064】評価関数設定部8では、制御目的を表す2
次形式評価関数
【0065】
【数12】 に対応する次式の評価関数が設定される。
【0066】 J=ΔuT (GT G+λI)Δu+2(yp−y* )GΔu …(22) 式(22)において、Gはステップ応答計算部10で求
められたブロックステップ応答系列を次式のように並べ
た行列である。
【0067】
【数13】 制約条件設定部11では、制御量、その変化率、操作
量、その変化率に対し、上下限制限条件を以下の不等式
の形で設定する。
【0068】 ymin ≦y ≦ymax ……(24) Δymin≦Δy≦Δymax ……(25) umin ≦u ≦umax ……(26) Δumin≦Δu≦Δumax ……(27) 式(24)〜(27)において、y,Δy,u,Δu
は、それぞれ制御量、その変化率、操作量、その変化率
のベクトルで、各要素は、例えば y=[y(k+1)T ,…,y(k+Np)T T y(k+j)=[y1(k+j),…,yp(k+
j)]T のように並べられている。また、式(24)〜(27)
において、不等号はベクトル内の各要素毎に対する不等
号をまとめて表記したものである。
【0069】最適化計算部12では、式(22)の評価
関数を式(24)〜(27)の制約条件の下で最小化す
る最適な操作量増分ベクトル Δu* =[Δu(k+1)T ,…,Δu(k+N
p)T T Δu(k+j)=[Δu1(k+j),…,Δuq(k
+j)]T を2次計画法(QP:Quadratic Programing)により求
める。具体的な解法は、例えば、岩波コンピュータサイ
エンス「最適化プログラミング」著者 茨城、福島19
91年4月10日発行p87〜p132に従って行なう
ことができる。
【0070】なお、式(24)〜(27)の不等式条件
は、次の式(28)〜(31)に変換した後用いる。
【0071】
【数14】 式(28)〜(31)において、Iは単位行列で、
【0072】
【数15】 である。
【0073】積分器13では、求められた最適操作量増
分ベクトルΔu* の中から現在の操作量増分、Δu*
(k)(i=1,…,q)を抜き出し、積分計算 ui(k)=ui(k−1)+Δui(k) (i
=1,…,q) により操作量uを更新し、制御対象1に対して出力す
る。
【0074】以上説明したように本実施例によれば、操
作量、制御量から状態観測器4を用いて制御対象1の現
在の状態ベクトルを推定し、その状態ベクトルから制御
対象の特性モデルを用いて予測応答計算部6で制御量予
測値を予測し、この制御量予測値に基づき制御演算部3
0で制御演算を行なうので、ノイズや外乱に対し応答予
測計算が影響されにくく、制御系全体の特性もノイズに
強くなる。
【0075】また複数の制御量を有する制御対象1に対
し、個別に状態観測器4および予測応答計算部6を有す
る複数の制御量予測手段2を設けたので、各々の制御量
の動きおよび受ける外乱の周波数に応じて、最適な予測
計算を個別に実行することができ、全体として最適な制
御ができる。
【0076】また、複数の操作量を有する制御対象であ
って、それぞれの操作量が異なるむだ時間を有する場合
に、各むだ時間に合わせた遅延回路を設けることによ
り、このむだ時間に対応して精度良く状態ベクトルを推
定することができる。
【0077】さらに、状態観測器4で求められる制御量
予測値が連続になるバンプレス構造を実現しているため
に、制御対象1の特性モデルをある時点で変更しても制
御量予測値は連続的に変わるため、制御応答を乱さずに
済む。
【0078】さらに、個々の状態観測器4にリセット機
能5を設けることで、オペレータの判断によりいつでも
制御量予測値を制御量観測値に一致させるようにリセッ
トをかけることができ、例えば一時的に大きな外乱によ
り制御が乱れた場合、、直ちに制御量予測値および制御
対象1に対する制御状態を正常に戻すことができる。
【0079】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
現在の操作量および制御量から状態観測器を用いて制御
対象の状態ベクトルを推定し、この状態ベクトルから予
測応答計算部で制御量予測値を求めるので、ノイズや外
乱に対して影響を受けることなく精度良く制御量予測値
を求めることができる。また、この制御量予測値を用い
て最適操作量を求め、この最適操作量に基づいて制御対
象を制御することにより、制御対象に対して最適制御を
行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるモデル予測制御装置の一実施例を
示す全体構成図。
【図2】本発明によるモデル予測制御装置の制御量予測
手段を示す詳細図。
【図3】多入出力の制御対象に対するモデル予測制御装
置の制御量予測手段を示す詳細図。
【図4】状態観測器をバンプレス構造にするための制御
対象の特定モデルを変換する方法を示す説明図。
【符号の説明】
1 制御対象 2 制御量予測手段 3 遅延回路 4 状態観測器 5 リセット機能 6 予測応答計算部 7 状態観測器パラメータ決定手段 8 評価関数設定部 9 目標値応答発生部 10 ステップ応答計算部 11 制約条件設定部 12 最適化計算部 13 積分器

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】制御対象に対しその特性モデルに基づいて
    最適操作量を求めるモデル予測制御装置において、 現在の操作量および現在の制御量に基づいて制御対象の
    特性モデルを用いて制御対象の状態ベクトルを推定する
    状態観測器と、 この状態観測器で推定された状態ベクトルから、制御対
    象の特性モデルを用いて制御量予測値を予測する予測応
    答計算部と、 制御量、操作量、およびこれらの変化率が所定制約条件
    を満たし、かつ制御量予測値と未来目標値との偏差、お
    よび操作量に関する評価関数を最小にするような最適操
    作量を求める最適化計算部と、を備えたことを特徴とす
    るモデル予測制御装置。
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