JPH0626552A - ２サイクルエンジンのバランサ機構 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 コストの安価な且つ保守点検に手間のかから
ない潤滑装置を備えたバランサ機構を提供することを目
的とする。 【構成】 バランスウエイト５が付設されたバランサシ
ャフト４を、クランク室Ｃと隔離形成されるバランサケ
ースＢ内に回転自在に配設した、クランク室予圧式２サ
イクルエンジンのバランサ機構において、上記バランサ
ケースＢとクランク室Ｃを連通路６で連通させ、この連
通路６にバランサケースＢからクランク室Ｃへの流れの
みを許容する逆止弁７を配設するとともに、上記バラン
サケースＢに、潤滑油を含む混合気を供給する供給手段
10に連通した吸入口９を設けることにより、バランサケ
ースＢ内を通過する混合気によりバランサ機構の潤滑を
おこなうよう構成した。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、２サイクルエンジン
のバランサ機構、特に該バランサ機構の潤滑構造に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】近年、振動の低減を企図して２サイクル
エンジンにもバランサ機構が付設される。このバランサ
機構は、ピストン等の往復動あるいはクランクシャフト
に付設されたクランクウエイトの回転動に伴う慣性力等
のアンバランスを打ち消すため、バランサシャフト上に
バランサを一体的に設け、このバランサシャフトをギヤ
等を介して上記クランクシャフトと連結し、該クランク
シャフトに対して正転あるいは逆転するよう構成されて
いる。

【０００３】そして、上記バランサ機構は、クランク室
の密閉状態が要求されるクランク室予圧式の２サイクル
エンジンでは、クランク室とは別体的に設けられたバラ
ンサケース内に配設されることになる。このような先行
技術として、特開昭58-77950号, 実開昭63-170634 号が
ある。

【０００４】一般に、上記バランサ機構を構成するバラ
ンサシャフトの軸受部等の摺動部、あるいはクランクシ
ャフト側の駆動ギヤと噛合する従動ギヤの噛合部等の潤
滑には、エンジン本体の潤滑機構とは別に、バランサ機
構のための潤滑装置が別途必要となる。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】ところで、上記バラン
サ機構の潤滑装置として、例えば、オイルバス式のもの
が考えられるが、このような潤滑装置を付設すると、該
潤滑装置の油量のチェックが必要となり、また、オイル
の冷却についても配慮することが必要となり、コスト，
保守点検の面等で手間がかかることになる。

【０００６】本発明は、このような現況に鑑みなされた
もので、コストの安価な且つ保守点検に手間のかからな
い潤滑装置を備えたバランサ機構を提供することを目的
とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明にかかる２サイク
ルエンジンのバランサ機構は、バランサシャフトにバラ
ンスウエイトが付設された、クランク室予圧式２サイク
ルエンジンのバランサ機構において、上記バランサシャ
フトを内包するバランサケースを設けるとともに、この
バランサケースとクランク室を連通路で連通し、この連
通路にバランサケースからクランク室への流れのみを許
容する逆止弁を配設するとともに、上記バランサケース
に、燃料となる混合気を供給する供給手段に連通する吸
入口を設けて、混合気によりバランサ機構の潤滑をおこ
なうよう構成したことを特徴とする。

【０００８】

【作用】しかして、本発明にかかる２サイクルエンジン
のバランサ機構によれば、エンジンの吸入行程におい
て、クランク室が負圧になるとき、バランサケースとク
ランク室を連通する連通路に配設されている逆止弁が開
き、このため、バランサケースも負圧となって該バラン
サケースの吸入口に供給手段から混合気が供給されるこ
ととなる。そして、この混合気によって、バランサケー
ス内のバランサ機構の摺動部分等が潤滑される。

【０００９】そして、エンジンの掃気行程において、ク
ランク室が正圧になるとき、クランク室は上記逆止弁に
よってバランサケース側と隔離され、クランク室内の混
合気がバランサケース内に逆流せず、２サイクルエンジ
ンの円滑な運転をおこなうことができる。

【００１０】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照しながら
説明する。

【００１１】図１は本発明の実施例にかかるクランク室
予圧式２サイクルエンジンのクランク室とバランサケー
ス部分の構成を示す縦断面図、図２(a) ，(c) はバラン
スウエイトの構成を示す図１のＩ−Ｉ矢視およびII−II
矢視断面図である。

【００１２】図１において、１はクランクシャフト、２
はクランクウエイト（ウエブともいう）、３はコネクテ
イングロッド、４はバランサシャフト、５はバランスウ
エイトである。

【００１３】本実施例にかかる２サイクルエンジンは、
エンジンの基本的構成は周知のクランク室予圧式の２サ
イクルエンジンと同じく、密閉可能なクランク室Ｃ内
に、上記クランクシャフト１に固着されたクランクウエ
イト２が回転自在に配設され、上記クランクシャフト１
のクランクピン部分にはコネクテイングロッド３の大端
部が回転自在に連結されている。そして、上記クランク
室Ｃ上方のクランクケースＣ_c に設けられた掃気ポート
（図示せず）から、ピストンの下降に起因するクランク
室Ｃ内の昇圧により、クランク室Ｃから上方のエンジン
の燃焼室（図示せず）に混合気が供給されるよう構成さ
れている。

【００１４】そして、本発明にかかる２サイクルエンジ
ンのバランサ機構では、このクランク室Ｃの側部 (図１
において左側部）に該クランク室ＣとバランサケースＢ
を連通する連通路６が形成され、この連通路６の吸込口
は、逆止弁としてのロータリバルブ７が、上記バランサ
シャフト４上に一体的に配設されている。つまり、この
ロータリバルブ７は、図１のIII-III 矢視断面図である
図２(b) に図示するように、円周方向に沿った開口7aを
備えた円板状の部材で形成され、この開口7aが上記クラ
ンク室Ｃの連通路６と合致した位置で弁が「開」にな
り、その他の位置では弁が「閉」の状態になり、この場
合、エンジンの圧縮行程において上記弁が「開」の状態
になるよう取着されている。

【００１５】上記バランサシャフト４は、クランク室Ｃ
の下方位置で、両端部が軸受11により回転自在に支持さ
れ、該クランク室Ｃから一体的に延設された密閉空間と
してのバランサケースＢで内包されている。このバラン
サケースＢは、クランク室Ｃと上記ロータリバルブ７で
連通可能に隔壁されるとともに、図１において右端に形
成された吸入口９が、気化器から構成される混合気の供
給手段10に接続されている。また、このバランサケース
Ｂ内には、上記クランクシャフト１からバランサシャフ
ト４に回転を伝達する一対のギヤ12が内蔵されるととも
に、上記バランサシャフト４の両端部には、ピストンの
往復動あるいはクランクウエイトの回転による慣性力と
動的に釣り合わせるため、図１あるいは図２(a),(c) に
図示する上記バランスウエイト５が配設されている。

【００１６】しかして、このように構成された本２サイ
クルエンジンのバランサ機構は、以下のように作用す
る。

【００１７】即ち、エンジンが運転状態においては、バ
ランサ機構が作用して、バランサシャフト４は、クラン
クシャフト１と同期して回転して、エンジンの振動を低
減させる。そして、この運転中、クランク室が負圧にな
るエンジンの圧縮行程のとき上記ロータリバルブ７が
「開」になって、バランサケースＢ内を負圧の状態にす
る。このため、バランサケースＢ内には、上記供給手段
10から、潤滑油を含んだ混合気が供給されて、バランサ
ケースＢ内の上記軸受11，ギヤ12, ロータリバルブ７の
両側面は混合気によって湿潤（潤滑）されることとな
る。

【００１８】このように、本２サイクルエンジンのバラ
ンサ機構によれば、燃料として使用される混合気を利用
して、簡単に潤滑することができる。しかも、この潤滑
機構（装置）によれば、エンジンの回転数に比例してバ
ランサケースに供給される混合気の量を増加・減少させ
ることができるので、運転状態に適合した潤滑と冷却が
可能となる。

【００１９】ところで、上記実施例では、言及していな
いが、上記供給手段10の他に、クランク室Ｃに直接混合
気を供給する通常の気化器を並設してもよく、あるいは
上記供給手段10によってバランサケースＢを経てクラン
ク室Ｃに運転に必要な混合気を全て供給するよう構成し
てもよい。また、エンジンの気筒数についてはなんら言
及していないが、単気筒であっても複数の気筒数のエン
ジンについても適用できることは言うまでもない。

【００２０】また、上記実施例では、逆止弁として、ロ
ータリバルブを使用しているが、これに代えて、リード
バルブ等の他の形式のバルブ（弁）を使用してもよい。

【００２１】

【発明の効果】しかして、本発明にかかる２サイクルエ
ンジンのバランサ機構によれば、混合気の供給にエンジ
ンのクランク室内の負圧を利用しているため、別途混合
気供給のための動力源を設ける必要もないため、安価に
実施することができる。また、このバランサ機構によれ
ば、燃料として使用される混合気を利用しているので、
常に新鮮な混合気が供給されることとなるため、オイル
バス式等の他の潤滑機構のように、定期的な厄介なメン
テナンスが不要となる。

【００２２】さらに、何よりも、エンジンの回転数に比
例した最適な潤滑状態と冷却を簡単に得ることができる
ため、エンジンの振動を低減するという重要なバランサ
機構の信頼性が向上する。

【００２３】また、単に、バランサシャフト部分を内包
するバランサケースに逆止弁を備えた連通路と供給手段
に連通する吸入口を設けるだけでよいため、外形的にも
非常にコンパクトにすることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の実施例にかかるクランク室予圧式２
サイクルエンジンのクランク室とバランサケース部分の
構成を示す縦断面図である。

【図２】 (a) はバランスウエイトの構成を示す図１の
Ｉ−Ｉ矢視図、(b)はロータリバルブの構成を示す図１
のIII-III 矢視断面図、(c) はバランスウエイトの構成
を示す図１のII−II矢視断面図である。

【符号の説明】

４…バランサシャフト ５…バランスウエイト ６…連通路 ７…ロータリバルブ ９…吸入口 10…供給手段 Ｂ…バランサケース Ｃ…クランク室

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】バランスウエイトが付設されたバランサシ
   ャフトを、クランク室と隔離形成されるバランサケース
   内に回転自在に配設した、クランク室予圧式２サイクル
   エンジンのバランサ機構において、 上記バランサケースとクランク室を連通路で連通させ、
   この連通路にバランサケースからクランク室への流れの
   みを許容する逆止弁を配設するとともに、上記バランサ
   ケースに、潤滑油を含む混合気を供給する供給手段に連
   通した吸入口を設けることにより、バランサケース内を
   通過する混合気によりバランサ機構の潤滑をおこなうよ
   う構成したことを特徴とする２サイクルエンジンのバラ
   ンサ機構。