JPH06264733A - 複合型メタル担体 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 １個の容器を上流側と下流側に分ける仕切り
板を設け、該仕切り板に複数個の担体を並列的に、排気
ガス流入方向に直角あるいは角度を持たせて取付け、圧
損を少くすると共に集中ガス流による触媒劣化を防止す
る。さらに外筒の加熱効果により外筒／ハニカム体間の
熱応力を緩和することにより耐久性を向上する。 【構成】 本複合型メタル担体は、メタル担体を収納す
る容器、内部を仕切る仕切り板および複数個のメタル担
体で構成する。 【効果】 担体の並列化による低圧損、排気ガスの分散
による触媒劣化防止、熱応力緩和および放射音低下。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、自動車エンジン等の内
燃機関から排出される排ガスを浄化するためのメタル担
体に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来より乗用車等の排気ガスを浄化する
ためセラミックス製触媒コンバータが使用されている
が、耐熱性、低圧損および搭載性の点より、最近はメタ
ル担体の使用が増加している。メタル担体は厚さ５０μ
ｍ程度のステンレス鋼等の耐蝕、耐熱性のある金属より
なる平箔と、この平箔をコルゲート加工した波箔とを渦
巻状に巻回あるいは交互に重ねて積層してハニカム体を
形成し、これをステンレス鋼等の耐蝕、耐熱性金属で製
造された外筒に収納して構成されている。なおこの場
合、ハニカム体内部およびハニカム体と外筒との接合
は、公知の技術であるロウ付け、電子ビーム、レーザビ
ーム、抵抗溶接あるいは拡散接合等により接合されてい
る。このメタル担体は白金、パラジュウム、ロジュウム
等の排ガス浄化用の触媒を担持された後、例えば自動車
エンジンの排ガス系に搭載使用される。

【０００３】従来のメタル担体は例えば特開昭６４−２
９２１３号に記載されているように、複数個のハニカム
体が、排ガスの流入方向に直列に取付けられている。排
ガスの担体入側における速度分布は排気ガス量と配管径
によるが、排気ガス量は中心部近傍が最も多く流れ、外
周へ行くに従って低減する。このため担体の温度は中心
部近傍が最も高く、外周へ行くに従って低くなる。また
排気ガスと接触が一番多いのも担体中心近傍と言える。

【０００４】白金、パラジュウムおよびロジュウム等の
貴金属よりなる触媒は、約３５０℃から触媒反応を開始
するが、高温になると焼結化し、また触媒を担持する活
性のガンマ−アルミナは変質し浄化能が劣化する。また
鉛等の被毒により触媒が劣化する問題があるが、これも
接触する排気ガス量に比例する。

【０００５】以上のように熱による浄化能劣化、あるい
は触媒の被毒も通過する排気ガス量に深く関わり、排ガ
ス量の通過量の多いハニカム体中心近傍は劣化しやす
い。そのため同部以外の浄化能が劣化していなくても高
価な触媒コンバータを取替えなければならない。また触
媒コンバータによる圧力損失は、通過する排気ガス流速
の自乗に比例するため、触媒コンバータの口径は大きい
方が望ましいが、余り大きくすると容積が大きくなり搭
載性が低下する問題がある。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来の触媒
コンバータが中心近傍の触媒劣化を防止し、また圧損を
低くしたメタル担体を提供することを目的とするもので
ある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明は、１個の容器の中に、容器を入側と出側に２
分割する仕切り板を設け、同仕切り板に複数個のメタル
担体を並列的に、排気ガス流入方向に直角になるように
取付けると共に、メタル担体の外筒を排気ガスで加熱す
ることを特徴とする複合型メタル担体を要旨とする。上
記複数個のメタル担体は排気ガス流入方向に対して傾け
て取付けることができ、また、上記容器は断熱材で包囲
して構成してもよい。

【０００８】以下本発明を詳細に説明する。図１は本発
明の１個の容器９の中に、容器を入側と出側に２分割す
る仕切り板６を設け、同仕切り板６に複数個のメタル担
体１を並列的に、排気ガス流入方向に直角に取付けると
共に、外筒５を排気ガスで加熱する複合型メタル担体を
示すための立体断面図である。メタル担体１は耐酸化
性、耐熱性のある厚さ５０μｍ程度の合金箔の平箔２
と、これをコルゲート加工された波箔３を巻回あるいは
積層して構成されたハニカム体４と、これを収納する外
筒５より構成されている。複数個のメタル担体１は仕切
り板６に、排気ガス流入方向Ａに直角になるように溶接
等で取付けられている。さらに複数個のメタル担体１が
取付けられた仕切り板６は容器９に取付けられている。
容器９は仕切り板６により上流側室１０と下流側室１１
に分割されており、排気ガス導入管７は上流側室１０
に、また排気ガス排出管８は下流側室１１に接続されて
いる。

【０００９】この結果、排気ガス導入管７より上流側室
１０に流入した排気ガスは、複数個のメタル担体１を経
由して下流側室１１に流入し、排気ガス排出管８より容
器９から流出する。この間、排気ガスはメタル担体１の
ハニカム体４に担持された触媒により浄化無害化され
る。

【００１０】図２は複数個のメタル担体１を、排気ガス
流入方向に角度を持たせて、仕切り板６に取付けた状態
を示す。排気ガスの方向変換度が少なくて、抵抗が減少
し圧損がさらに小さくなる。仕切り板６へのメタル担体
１の取付け角度θは、３０°〜４５°が望ましい。

【００１１】以上のようにメタル担体１は排気ガスの流
入方向に直角あるいは角度を持って、仕切り板６に取付
けられているため、流れが平均化されるので、ハニカム
体中心部近傍の触媒が過熱あるいは被毒により他の部分
より早く劣化することはなく長期間使用できる。

【００１２】また複数個のメタル担体１が並列的に取付
けられているため、ハニカム体４への流入断面が増加す
るので圧損が小さくなる。

【００１３】さらに複数個のメタル担体１の側面が、流
入した排気ガスに曝されるため加熱され、始動時のハニ
カム体４の昇温が速やかに行われるため、エンジン始動
時の浄化が速やかに行われる。それと共に外筒５が排気
ガスの温度と同期している結果、ハニカム体４との温度
差が小さくなり、ハニカム体４に発生する熱応力が小さ
くなり耐久性が向上する。

【００１４】

【実施例】図３に示す従来のメタル担体（符号は、図１
と同様であるので説明は省略する。）と、同じ体積のハ
ニカム体よりなる本発明によるメタル担体の特性を比較
した。各担体の仕様は表１に示す通りである。

【００１５】

【表１】

【００１６】上記の各メタル担体を触媒担持した後、２
０００ccのエンジンの排気系に取付け回転数３０００RP
M における圧損、およびハニカム体入側中心部とハニカ
ム体中央部最外周における温度を測定した。その結果を
表２に示す。

【００１７】

【表２】

【００１８】以上のように、本発明のメタル担体は従来
のメタル担体に比較して圧損が小さく、またハニカム体
の中央部中心部のピーク温度が低くなり、逆に最外周の
温度が高くなっている。この結果、過熱による触媒の熱
劣化が防止でき、また中心部と最外周部の温度差が小さ
くなることより外筒とハニカム体間の熱応力が小さくな
るため耐久性が向上する。なおハニカム体内部およびハ
ニカム体と外筒間の接合方法は、熱応力が小さくなるた
め、ロウ付け、拡散接合、液相接合、電子ビーム溶接あ
るいは抵抗溶接等を採用できる。また接合構造について
も公知の接合構造が採用できる。

【００１９】

【発明の効果】以上のように本発明によれば、従来のメ
タル担体に比べ圧損が小さいため、エンジン出力のロス
が少く、またハニカム体への熱集中度およびハニカム体
と外筒間の温度差が小さいため、触媒およびメタル担体
の耐久性を向上でき、効果は多大である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のメタル担体の一例を一部断面にした説
明図。

【図２】本発明のメタル担体の他の例の説明図。

【図３】従来のメタル担体の外観透視説明図。

【符号の説明】

１ メタル担体 ２ 平箔 ３ 波箔 ４ ハニカム体 ５ 外筒 ６ 仕切り板 ７ 排気ガス導入管 ８ 排気ガス排出管 ９ 容器 １０ 上流側室 １１ 下流側室 Ａ 排気ガスの流入方向を示す矢印

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中川 俊和 愛知県東海市東海町５−３ 新日本製鐵株 式会社名古屋製鐵所内

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 １個の容器の中に、容器を入側と出側に
   ２分割する仕切り板を設け、該仕切り板に複数個のメタ
   ル担体を並列的に、排気ガス流入方向に直角になるよう
   に取付けると共に、メタル担体の外筒を排気ガスで加熱
   することを特徴とする複合型メタル担体。
2. 【請求項２】 複数個のメタル担体を排気ガス流入方向
   に対して傾けて取付けることを特徴とする請求項１に記
   載のメタル担体。
3. 【請求項３】 容器を断熱材で包囲したことを特徴とす
   る請求項１あるいは２に記載のメタル担体。