JPH06263984A - ポリアミド樹脂組成物およびその製造方法 - Google Patents

ポリアミド樹脂組成物およびその製造方法

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JPH06263984A
JPH06263984A JP5224358A JP22435893A JPH06263984A JP H06263984 A JPH06263984 A JP H06263984A JP 5224358 A JP5224358 A JP 5224358A JP 22435893 A JP22435893 A JP 22435893A JP H06263984 A JPH06263984 A JP H06263984A
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ethylene
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 延性,靭性が高いと共に高温時,吸湿時の剛
性が改良され、かつ熱変形温度が高く、成形収縮率が小
さいポリアミド樹脂組成物を提供する。 【構成】 ポリアミド樹脂10〜89重量%と、エチレ
ン・プロピレン・ジエン類からなるエラストマー,エチ
レン・不飽和カルボン酸・不飽和カルボン酸エステルか
らなるエラストマー、およびこれらのエラストマーをグ
ラフト変性したエラストマーから選ばれる少なくとも1
種のエラストマー1〜30重量%と、非晶性でガラス転
移温度が100〜190°のエチレンと環状ポリオレフ
ィンとの共重合体10〜60重量%とから本質的にな
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は延性,靭性および高温時
・吸湿時の剛性に優れかつ成形収縮率が小さく熱変形温
度が高いポリアミド樹脂組成物、およびその製造方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】ポリアミドの靭性を改良することに関し
ては種々の方法が講じられてきた(英国特許第9984
39号、米国特許第3845163号、同第33831
86号、同第3465059号、同第3668274
号、特公昭55−44108号)。中でも特公昭55−
44108号に開示されているポリアミド樹脂組成物
は、数平均分子量が少なくとも5000のポリアミドマ
トリックス樹脂を含有する1つの相60〜99重量%
と、分岐鎖状および直鎖状の重合体からなる群から選択
される少なくとも1種の重合体粒子を含有し、0.01
〜1.0ミクロン(μm)の範囲の粒径を有しかつ該ポ
リアミドマトリックス樹脂に接着する部位を有する少な
くとも1種の他の相1〜40重量%から本質的になり、
該少なくとも1種の重合体は特定の式で表され、かつ約
1.0〜20,000psi(0.0705〜1410
kg/cm2 )の範囲の引張りモジュラスを有し、該ポ
リアミドマトリックス樹脂の引張りモジュラスと該少な
くとも1種の重合体の引張りモジュラスとの比が10:
1より大きく、該少なくとも1種の重合体は前記少なく
とも1種の他の相の少なくとも20重量%を占めるもの
であり、改良された延性または靭性を有する組成物であ
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、ポリアミド樹
脂組成物が家電分野,自動車内外装分野等種々の分野に
おいて利用されるようになったことから改良された延性
または靭性を有しかつ優れた剛性を有する熱変形温度が
高く、また、成形後のそりが小さい組成物の開発が望ま
れている。
【0004】したがって、上述したような改良された延
性または靭性を有するポリアミド樹脂組成物では、剛性
が不十分とされる場合があり、このような分野において
は、さらにガラス繊維やミネラル等を添加することによ
り剛性を強化したポリアミド樹脂組成物が用いられてい
る。
【0005】しかし、例えば自動車のホイールカバーな
どの用途においては、ガラス繊維やミネラル等で強化さ
れたポリアミド樹脂組成物では比重が大きすぎるという
問題がある。また、ガラス繊維で強化した樹脂組成物を
用いると、成形品にそりが生じるため、寸法安定性の点
でも問題が生じる。
【0006】本発明は、このような事情に鑑み、従来の
ポリアミド樹脂組成物が有する延性または靭性を維持し
つつ、高温時・吸湿時の剛性を改良しかつ熱変形温度が
高く、成形収縮率が小さいポリアミド樹脂組成物を提供
することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成する本
発明に係る第1のポリアミド樹脂組成物は、 A ポリアミド樹脂10〜89重量%と、 B 次の(a)〜(d)の群から選ばれる1以上のエラ
ストマー1〜30重量%と、 (a)エチレン・プロピレン・ジエン類からなるエラス
トマー (b)グラフト変性したエチレン・プロピレン・ジエン
類からなるエラストマー (c)エチレン・不飽和カルボン酸・不飽和カルボン酸
エステルからなると共に少なくとも反応性を有してグラ
フト変性可能な不飽和モノマーを有するエラストマー (d)グラフト変性したエチレン・不飽和カルボン酸・
不飽和カルボン酸エステルからなるエラストマー C エチレンと環状構造を有するオレフィンとの共重合
体でありかつ非晶性でガラス転移温度が100〜190
℃であるポリオレフィン10〜60重量%とから本質的
になることを特徴とする。
【0008】また、本発明に係るポリアミド樹脂組成物
は、成分A〜Cに加え、さらに、 D カルボン酸または無水カルボン酸化合物0.01〜
10.0重量%を含有することを特徴とする。
【0009】以下、本発明を詳細に説明する。
【0010】本発明のポリアミド樹脂Aは、当該分野で
よく知られており、半結晶性樹脂および非晶性樹脂が包
含され、一般にナイロンと呼ばれている。適当なポリア
ミドとしては米国特許第2,071,250号、第2,
071,251号、第2,130,523号、第2,1
30,948号、第2,241,322号、第2,31
2,966号、第2,512,606号および第3,3
93,210号に記載されているものが含まれる。ポリ
アミド樹脂は炭素原子数4〜12個の飽和ジカルボン酸
と炭素原子数4〜14個のジアミンとを等モル量で縮合
させることによって製造される。過剰にジアミンを用い
てポリアミド末端基がカルボキシル基よりアミン基過剰
となるようにしてもよい。ポリアミドの例にはポリヘキ
サメチレンアジパミド(66ナイロン)、ポリヘキサメ
チレンアゼラアミド(69ナイロン)、ポリヘキサメチ
レンセバカミド(610ナイロン)、およびポリヘキサ
メチレンドデカノアミド(612ナイロン);ラクタム
の開環で製造されるポリアミド、すなわちポリカプロラ
クタム、ポリラウリンラクタム、ポリ−11−アミノ−
ウンデカン酸、ビス(p−アミノシクロヘキシル)メタ
ンドデカノアミドが含まれる。また、本発明では、上記
重合体の2種の共重合または上記重合体もしくはそれら
の成分の三元共重合によって製造されるポリアミド、例
えばアジピン酸、イソフタル酸ヘキサメチレンジアミン
共重合体を用いることもできる。好ましくはポリアミド
は200℃を超える融点を有する線状重合体である。
【0011】また、本発明ではポリアミド樹脂の中で、
相対粘度Rvが16〜45であるポリアミド樹脂を用い
ることにより靭性および高温時・吸湿時の剛性をさらに
改良することができる。すなわち、例えば本発明に用い
るエラストマーだけをポリアミドに添加した場合には靭
性が向上するが、このような系ではポリアミドのRvが
例えば43より小さいものを用いると、物性が低下す
る。しかし、本発明のように特定のエラストマーと非晶
性の環状ポリオレフィンとを添加した系ではポリアミド
樹脂のRvが16〜45と低い方が逆に物性が向上す
る。これは、ポリアミドが他の成分をつつみ込み易くな
るためと考えられる。なお、ここで、相対粘度RvはJ
IS K6810に基づきギ酸を溶媒として測定したも
のをいう。
【0012】さらに本発明ではアミン末端基の濃度が高
いポリアミド樹脂、具体的にはアミン末端基の濃度が6
0×10-6mol/g以上、好ましくは、60×10-6
mol/g以上で200×10-6以下のポリアミド樹脂
を用いることによりさらに優れた物性を得ることができ
る。なお、ここで、アミン末端基の濃度は、ポリアミド
樹脂をフェノール/メタノール溶液に溶解し、塩酸で滴
定することにより測定したものをいう。
【0013】本発明の組成物の10〜89重量%程度の
多量がポリアミドからなっていてもよいが、好適な組成
物は30〜65重量%のポリアミドを含むものである。
【0014】本発明の組成物は上述したように少なくと
も1種のエラストマーBを含有する。ここで、エラスト
マーBは上述したように、エチレン・プロピレン・ジエ
ン類からなるエラストマーあるいはエチレン・不飽和カ
ルボン酸・不飽和カルボン酸エステルからなると共に少
なくとも反応性を有してグラフト変性可能な不飽和モノ
マーを有するエラストマー、またはこれらのいずれかを
グラフト変性したエラストマーから選ばれる。好ましく
は、カルボン酸・カルボン酸無水物によって変性された
エチレン・プロピレン・ジエン類より本質的になるエラ
ストマーまたはエチレン・アクリレート・メタクリレー
ト・不飽和エポキシドから本質的になるエラストマーを
用いるのがよい。
【0015】カルボン酸・カルボン酸無水物によって変
性されたエチレン・プロピレン・ジエン類から本質的に
なるエラストマーとしては、例えばエチレン/プロピレ
ン/1,4−ヘキサジエン−g−無水マレイン酸;エチ
レン/プロピレン/1,4−ヘキサジエンとエチレン/
無水マレイン酸との混合物;エチレン/プロピレン/
1,4−ヘキサジエンとエチレン/プロピレン/1,4
−ヘキサジエン−g−無水マレイン酸との混合物;エチ
レン/プロピレン/1,4−ヘキサジエン−g−フマル
酸;エチレン/プロピレン/1,4−ヘキサジエン/ノ
ルボルナジエン−g−無水マレイン酸;エチレン/プロ
ピレン/1,4−ヘキサジエン/ノルボルナジエン−g
−無水マレイン酸モノエチルエステル;エチレン/プロ
ピレン/1,4−ヘキサジエン/ノルボルナジエン−g
−フマル酸;エチレン/プロピレン/1,4−ヘキサジ
エンとエチレン/無水マレイン酸のモノエチルエステル
との混合物;エチレン/プロピレン/1,4−ヘキサジ
エンとエチレン/マレイン酸モノブチルとの混合物;エ
チレン/プロピレン/1,4−ヘキサジエンとエチレン
/無水マレイン酸との混合物等を挙げることができる。
【0016】エチレン・アクリレート・メタクリレート
・不飽和エポキシドから本質的になるエラストマーとし
ては、例えばエチレン/アクリル酸メチル/グリシジル
メタクリレート;エチレン/アクリル酸ブチル/グリシ
ジルメタクリレート;エチレン/メタクリル酸メチル/
グリシジルアクリレート等を挙げることができる。
【0017】本発明の組成物は、エチレンと環状構造を
有するオレフィンとの共重合体で非晶性であり、ガラス
転移温度が100〜190℃のものCを含有する。かか
る非晶性の環状ポリオレフィンCは例えばチーグラー・
ナッタ触媒を使用して製造することができ、市販のもの
としては環状オレフィンコポリマー「アペル」(登録商
標:三井石油化学工業(株))などを挙げることができ
る。本発明の組成物はかかる非晶性の環状ポリオレフィ
ンを10〜60重量%含有する。
【0018】本発明の組成物は、上述したように、ポリ
アミド樹脂A 10〜89重量%に、特定のエラストマ
ーB 1〜30重量%と特定の非晶性の環状ポリオレフ
ィンC 10〜60重量%とを組合せたものなので、ポ
リアミド樹脂の靭性が強化されると共に高温時・吸湿時
の剛性が改良され、かつ熱変形温度が高く、成形収縮率
が小さいものである。
【0019】ここで、エラストマーBが上述した範囲を
越えて少ない場合には十分な靭性の強化ができず、一
方、エラストマーBが上述した範囲を越えて多い場合に
は、曲げ弾性率が小さくなり、柔らかくなりすぎ、共に
好ましくない。
【0020】非晶性環状ポリオレフィンCが上述した範
囲を越えて少ない場合には高温時・吸湿時の剛性の強化
が不十分であり、一方、非晶性環状ポリオレフィンCが
上述した範囲を越えて多い場合には、良好な組成物をつ
くるプロセス面での不都合が多くなると共に、耐熱性が
低下し、共に好ましくない。
【0021】本発明の組成物は、目的の達成を損わない
範囲で1種またはそれ以上の通常の添加剤、例えば酸
化,熱および紫外線による劣化に対する安定剤および防
止剤、滑剤および離型剤、染料および顔料を含む着色
剤、繊維状および粒状の充填剤および強化剤、核化剤、
可塑剤などで変性されていてもよい。
【0022】安定剤は本発明の組成物の製造におけるど
の段階でも組成物に導入することができる。好ましくは
安定剤は、組成物を保護する前に起こる劣化の開始を予
め排除するためのものが含まれるのがよい。このような
安定剤は組成物と相溶性でなければならない。
【0023】本発明の組成物に有用な酸化安定剤および
熱安定剤は一般に付加重合体に用いられるものを含む。
これらは、例えばポリアミドの重量に基づいて1重量%
までの第1族金属ハライド、例えばナトリウム,カリウ
ム,リチウムのハライドおよび第1銅のハライド、例え
ば塩化物,臭化物,沃化物,立体障害されたフェノー
ル,ハイドロキノン、並びにこれらの群の置換員誘導体
およびそれらの組合せを含む。
【0024】ポリアミドの重量に基づいて例えば2.0
%まで添加される紫外線安定剤は一般に付加重合体に用
いられているものであってよい。紫外線安定剤としては
種々の置換レゾルシノール,サリシレート,ベンゾトリ
アゾール,ベンゾフェノンなどを挙げることができる。
【0025】適当な滑剤および離型剤、例えば、組成物
の重量に基づいて1.0%までの滑剤および離型剤は、
ステアリン酸,ステアリルアルコール,ステアラミドで
あり;有機染料は例えばニトロシンなどであり;顔料
は、例えば二酸化チタン,フタロシアニン,ウルトラマ
リンブルー,カーボンブラックなどである。
【0026】繊維状および粒状の充填剤および強化剤
は、例えば炭素繊維,ガラス繊維,無定形シリカ,アス
ベスト,珪酸カルシウム,珪酸アルミニウム,炭酸マグ
ネシウム,カオリン,チョーク,粉末石英,雲母,長石
などであり、これらは組成物の重量に基づいて50%ま
での量で配合しうるが、これらは特に目的の達成を損わ
ない程度に用いる必要がある。
【0027】核化剤は、例えば滑石,弗化カルシウム,
フェニルホスフィン酸ナトリウム,アルミナおよび粉砕
ポリテトラフルオルエチレンなどであり;組成物の重量
に基づいて約20%までの量で配合しうる可塑剤は、例
えばフタル酸ジオクチル,フタル酸ジベンジル,フタル
酸ブチルベンジル,炭化水素油,N−n−ブチルベンゼ
ンスルホンアミド,o−およびp−トルエンエチルスル
ホンアミドなどである。着色剤(染料および顔料)は組
成物の重量に基づいて約5.0重量%までの量で存在し
うる。
【0028】本発明の第2のポリアミド樹脂組成物は、
さらに優れた靭性,剛性を得るためにはカルボン酸また
は無水カルボン酸化合物を添加したものである。
【0029】かかるカルボン酸または無水カルボン酸化
合物は、本発明の組成物に含有されるエラストマーある
いは非晶性の環状ポリオレフィンと反応してこれらの末
端に結合した酸無水物となり、これがさらにポリアミド
の末端と結合することになるので、良好な組成物を形成
することができる。
【0030】本発明に係るポリアミド樹脂組成物の製法
としては、公知の方法が適用できる。第1のポリアミド
樹脂組成物の製造方法としては、全成分(A〜C)を押
出機、ニーダー等で機械的にブレンドする方法、または
全成分を適当な良溶媒に同時に溶解、あるいはそれぞれ
を別々に溶解・混合した後、溶媒を除去する方法、さら
にはこれらの二つの方法を組合せて行う方法等を挙げる
ことができる。
【0031】一方、第2のポリアミド樹脂組成物の製造
方法としては、第1段階で、エラストマーB,非結晶性
の環状ポリオレフィンCおよびカルボン酸または無水カ
ルボン酸化合物Dを押出機、ニーダー等で機械的にブレ
ンドし、または成分B〜Dを適当な良溶媒に同時に溶解
するか、あるいはそれぞれを別々に溶解するかした後混
合し、かつ溶媒を除去し、第2段階で、第1段階で得た
ペレットとポリアミド樹脂Aとを、さらに押出機、ニー
ダー等で機械的にブレンドするか、または各成分を適当
な良溶媒に同時に溶解、あるいはそれぞれを別々に溶解
・混合した後、溶媒を除去するかする方法を挙げること
ができる。
【0032】しかしながら、かかる方法では、2度の混
練作業が必要であるので、樹脂の熱履歴が増え、期待す
る物性を得ることができないことがある。また、作業が
煩雑となり、時間およびコストがかかる。
【0033】よって、本発明の第2のポリアミド樹脂組
成物の製造には、上流側の第1の混練域と下流側の第2
の混練域とを有する押出機を用い、混練作業における平
均剪断速度が50sec-1以上の条件下で、前記エラス
トマーB,ポリオレフィンCおよびカルボン酸または無
水カルボン酸化合物Dを前記第1の混練域に供給して当
該エラストマーおよびポリオレフィンをグラフト変性
し、次いで、前記第2の混練域に前記ポリアミド樹脂A
を供給して当該ポリアミド樹脂Aと前記グラフト変性さ
れたエラストマーおよびポリオレフィンとを混練するこ
とを特徴とするポリアミド樹脂組成物の製造方法を用い
るのが好ましい。かかる製造方法では目的のポリアミド
樹脂組成物が一連の混練作業のみで製造できるので、熱
履歴が減り、延性、靭性および高温時・吸温時の剛性に
優れたポリアミド樹脂組成物を製造することができる。
【0034】この製造方法において、第1の混練域に供
給するエラストマーB、非晶性の環状ポリオレフィン
C,およびカルボン酸または無水カルボン酸化合物D
は、供給前に、全てをあるいは任意の組み合わせで予め
混合してもよいし、またはそれぞれを単独で溶融注入し
てもよい。また、第1の領域には、反応開始剤として有
機過酸化物を加えてもよい。なお、有機過酸化物は樹脂
の劣化を招くことがあるので、エラストマーBと非晶性
の環状ポリオレフィンCとの合計重量に対して3%以下
が望ましい。
【0035】また、この製造方法では、カルボン酸また
は無水カルボン酸化合物DでエラストマーBおよび非晶
性の環状ポリオレフィンCを効率よくグラフト変性し、
かつ変性されたエラストマーBおよび非晶性の環状ポリ
オレフィンCをポリアミド樹脂中に適切に分散すること
により、優れた物性を得るため、混練作業における平均
剪断速度を50sec-1以上、好ましくは50sec-1
以上で150sec-1以下となるように、押出機のスク
リュー回転数を制御する必要がある。平均剪断速度が5
0sec-1より遅いとエラストマー等のポリアミド中へ
の分散が十分でないために、優れた物性が実現されず、
一方、平均剪断速度が150sec-1より速いと混練さ
れる樹脂の劣化を招き、期待される物性が得られない。
【0036】この方法においては、第1および第2の混
練域に対してそれぞれに供給口およびベントを具えた第
1および第2の領域を有する押出機(二軸以上の多軸押
出機も含む)を用いるのが好ましい。特に、余剰反応原
料を除去することを目的として、第1の領域にベントが
設けられる。第1の領域の温度は、供給口直下では50
℃以下、供給口から混練域に達する間は40〜50℃、
第1の混練域では、非晶性の環状ポリオレフィンのガラ
ス転移温度である100〜190℃より30〜150℃
高い温度、好ましくは100〜190℃より50〜10
0℃高い温度である。また、第2の領域の温度は、ポリ
アミド樹脂の融点より10〜60℃高い温度、好ましく
は融点より25〜50℃高い温度である。なお、押出機
の最終部では、適当な押出圧が得られるように温度が設
定される。また、第1の領域に設けられたベントは、4
00Torr以下、好ましくは200Torr以下、さ
らに好ましくは100Torr以下に引かれ、第2の領
域に設けられたベントは、100Torr以下、好まし
くは60Torr以下に引かれるようにする。
【0037】以上説明した本発明のポリアミド樹脂組成
物、特に上述した製造方法により一連の混練作業により
製造したポリアミド樹脂組成物は、延性,靭性および高
温時・吸湿時の剛性に優れ、かつ熱変形温度が高く、高
精度の成形品を得ることができる。例えば、本発明の組
成物を用いてホイールカバー,フェンダー等の自動車用
外板部品を成形した場合、延性,靭性および剛性に優れ
ると共にそりなどの寸法安定性の問題および比重が重す
ぎる等の問題のないものを得ることができる。なお、本
発明の組成物から成形品を得る方法は従来のポリアミド
樹脂組成物に準じて行えばよい。
【0038】
【実施例】以下に本発明を実施例により具体的に説明す
る。
【0039】(実施例1〜6および比較例1〜4)表
1,表2に示すポリアミド樹脂以外の各成分を二軸押出
機(東芝TEM35)で溶融混練し、水冷後、ペレット
を製造した。得られたペレットと表1、表2に示すポリ
アミド樹脂を二軸押出機(東芝TEM35)で溶融混練
し、水冷後、ペレットを製造した。
【0040】成形品の物性測定を行うために、各樹脂ペ
レットを射出成形機(東芝TEM35)でASTM D
638に基づいた13mm×130mm×3.2mmの
試験片に成形した。保持時間は5〜6分、バレル温度は
270〜280℃とし、ノズル温度は280〜290℃
とした。また、型温度は約90℃とし、成形サイクル1
0/20または20/20の成形サイクル(ラム前進の
秒/保持の秒)で実施した。得られた物性試験用成形品
について、成形直後および50%相対湿度における平衡
吸水状態において以下の各種の物性値を測定した。各物
性値の測定は次の試験法に従って行った。
【0041】 引張り強さ : ASTM D638−58T 伸び : ASTM D638−58T 曲げ弾性率 : ASTM D790−58T ノッチ付きアイゾット: ASTM D256−56 熱変形温度 : ASTM D648 また、成形収縮率については、得られた樹脂ペレットを
用いて3inch×5inch×1/8inch(7.
62cm×12.7cm×0.32cm)の板を成形
し、その成形収縮率を測定した。
【0042】これらの結果は表3,表4に示す。
【0043】(実施例7、8および比較例5、6)第1
および第2の混練域に対してそれぞれ供給域およびベン
トを具えた第1および第2の領域を有する二軸押出機
(日本製鋼所製TEX44;L/D=45.5)を用い
た。第1の領域の温度は、供給口直下で50℃、第1の
混練域で250℃に設定し、第2の領域の温度は、供給
口直下、第2の混練域ともに290℃に設定し、押出機
最終部の温度は、285℃に設定した。
【0044】ここで、表5に示すスクリュウ回転数に設
定し、表1、2に示す非晶性の環状ポリオレフィン、E
PDMラバー、無水マレイン酸および有機過酸化物希釈
物を予め混合して第1の領域の供給口から供給し、次い
で、表1、2に示すポリアミド樹脂Aを第2の領域から
供給し、混練押し出しを行った。続いて、吐出樹脂を水
冷した後、カッターを通し、樹脂ペレットを製造した。
【0045】この樹脂ペレットを用いて上述した実施例
1〜6と同様に試験片に成形し、物性値を測定した。こ
れらの結果は表5に示す。
【0046】(比較例7)表1、2に示す非晶性の環状
ポリオレフィン、EPDMラバー、無水マレイン酸およ
び有機過酸化物希釈物を、温度250℃、スクリュウ回
転数150rpmに設定した二軸押出機(東芝TEM3
5)で溶融混練し、水冷後、ペレットを製造した。得ら
れたペレット55重量%と表2に示すポリアミド樹脂A
(45重量%)とを、温度280℃、スクリュウ回転数
250rpmに設定した二軸押出機(東芝TEM35)
で溶融混練し、水冷後、樹脂ペレットを製造した。
【0047】この樹脂ペレットを用いて上述した実施例
1〜6と同様に試験片に成形し、物性値を測定した。こ
れらの結果は表5に示す。
【0048】なお、実施例および比較例で用いた樹脂は
次の通りである。
【0049】ポリアミド樹脂A:デュポン社製ナイロン
66 Rv=43 アミン末端基濃度=47.6mol/tom ポリアミド樹脂B:デュポン社製ナイロン66 Rv=
25 アミン末端基濃度=161.0mol/tom ポリアミド樹脂C:デュポン社製ナイロン66 Rv=
52 非晶性の環状ポリオレフィン:三井石油化学工業(株)
製 APEL 150R 変性EPDM(エチレン・プロピレン・ジエン・モノマ
ー)ラバー:デュポン社製 変性エチレンアクリレートラバー:デュポン社製 無水マレイン酸 :関東化学(株)製特級試薬または日
本油脂(株)製クリスタルMAN 表3,表4に示すように、実施例1〜6の組成物は、比
較例3,4と比較して靭性(特に、伸び,ノッチ付きア
イゾット参照)および剛性(特に、曲げ弾性率参照)の
バランスを保ったまま成形収縮率の値や異方性が小さ
く、そりが小さい。さらに、熱変形温度は18.5kg
/cm2 の荷重時に高い値を示し、高温剛性が改善され
ている。また、比較例1,2のラバー成分を含まない例
と比較すると、伸び,ノッチ付きアイゾットが改善され
ている。また、実施例1〜6の中で、特に相対粘度が低
く、アミン末端基の濃度が高いポリアミドBを用いた実
施例4〜6は、実施例1,2と比較してもさらに物性、
特に伸びおよびノッチ付きアイゾットが改善されてい
る。また、マレイン酸無水物を添加した実施例6は、実
施例4,5と比較しても物性、特に伸びおよびノッチ付
きアイゾットがさらに改善されている。
【0050】表5に示すように、一回の混練作業で製造
した実施例7、8の組成物は、一回の混練作業であるが
平均剪断速度が遅い比較例5、6、または二回の混練作
業で製造した比較例7と比較して、特に、伸びおよびノ
ッチ付きアイゾットが改善されている。
【0051】
【表1】
【0052】
【表2】
【0053】
【表3】
【0054】
【表4】
【0055】
【表5】
【0056】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のポリアミ
ド樹脂組成物は、ポリアミドに特定のエラストマーおよ
び非晶性の環状ポリオレフィンを加えてあるので、延
性,靭性および剛性に優れ、かつ熱変形温度が高く、高
精度の成形品を提供できるものである。また、本発明の
カルボン酸または無水カルボン酸化合物を添加してなる
ポリアミド樹脂組成物の製造方法は、延性,靭性および
剛性に優れたポリアミド樹脂を製造できるものであり、
しかも作業時間を約半分に短縮できるものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 23:08 7107−4J 51:00) 7308−4J

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 A ポリアミド樹脂10〜89重量%
    と、 B 次の(a)〜(d)の群から選ばれる1以上のエラ
    ストマー1〜30重量%と、 (a)エチレン・プロピレン・ジエン類からなるエラス
    トマー (b)グラフト変性したエチレン・プロピレン・ジエン
    類からなるエラストマー (c)エチレン・不飽和カルボン酸・不飽和カルボン酸
    エステルからなると共に少なくとも反応性を有してグラ
    フト変性可能な不飽和モノマーを有するエラストマー (d)グラフト変性したエチレン・不飽和カルボン酸・
    不飽和カルボン酸エステルからなるエラストマー C エチレンと環状構造を有するオレフィンとの共重合
    体でありかつ非晶性でガラス転移温度が100〜190
    ℃であるポリオレフィン10〜60重量%とから本質的
    になることを特徴とするポリアミド樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 請求項1において、D カルボン酸また
    は無水カルボン酸化合物を0.01〜10.0重量%含
    有することを特徴とするポリアミド樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 請求項2記載のポリアミド樹脂組成物を
    押し出し成形により製造方法において、上流側の第1の
    混練域と下流側の第2の混練域とを有する押出機を用
    い、混練作業における平均剪断速度が50sec-1以上
    の条件下で、前記エラストマーB,ポリオレフィンCお
    よびカルボン酸または無水カルボン酸化合物Dを前記第
    1の混練域に供給して当該エラストマーおよびポリオレ
    フィンをグラフト変性し、次いで、前記第2の混練域に
    前記ポリアミド樹脂Aを供給して当該ポリアミド樹脂A
    と前記グラフト変性されたエラストマーおよびポリオレ
    フィンとを混練することを特徴とするポリアミド樹脂組
    成物の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1または2記載のポリアミド樹脂
    組成物を用いて成形されてなることを特徴とする自動車
    用外板部品。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008075087A (ja) * 2007-10-02 2008-04-03 Kaneka Corp 制振性樹脂組成物とそれを用いた成形品
JP2014070690A (ja) * 2012-09-28 2014-04-21 Nitta Ind Corp ジョイント用ブーツ
CN104672888A (zh) * 2013-10-03 2015-06-03 埃姆斯·帕特恩特股份有限公司 包含环烯烃共聚物的聚酰胺模塑材料

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