JPH06258754A - ハロゲン化銀写真感光材料 - Google Patents

ハロゲン化銀写真感光材料

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JPH06258754A
JPH06258754A JP4385793A JP4385793A JPH06258754A JP H06258754 A JPH06258754 A JP H06258754A JP 4385793 A JP4385793 A JP 4385793A JP 4385793 A JP4385793 A JP 4385793A JP H06258754 A JPH06258754 A JP H06258754A
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JP
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silver halide
emulsion
silver
added
metal complex
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JP4385793A
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English (en)
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Shinji Igari
伸治 猪狩
Tomoyuki Ozeki
智之 大関
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 分光増感色素添加による固有減感が少なく、
製造安定性のよく高感度なハロゲン化銀感光材料を提供
することにある。 【構成】 ハロゲン化銀乳剤層の少なくとも一層に含ま
れるハロゲン化銀粒子の粒子中にハロゲン化銀1モル当
たり10-7〜10-2モルの量の六シアノ金属錯塩を含有
し、かつ該六シアノ金属錯体の濃度が他の部分よりも1
0倍以上高い局在相を粒子体積の50%以下の表面相中
に有するものであり、乳剤の分散工程までに金を含有す
る少なくとも一種の化合物を添加する方法で製造する乳
剤を含むハロゲン化銀写真感光材料

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、写真用感光材料に関す
る。詳細には、硬調であり、分光増感色素添加による固
有減感が少なく、分光感度が優れた製造安定性のよいハ
ロゲン化銀乳剤を有するハロゲン化銀写真感光材料であ
る。
【0002】
【従来の技術】ハロゲン化銀写真感光材料では、高感
度、粒状性が細かい高画質でかぶりが低いことが基本性
能として求められている。それを満たす手段の一つに、
ハロゲン化銀粒子の物性を改質し、光電子を現像活性な
潜像に変化させる効率(量子感度)を上げることを目的
とした金属ドープ技術がある。金属ドープ技術とは、金
属イオン単独または配位子を含む金属錯体をハロゲン化
銀粒子内に取り込ませる(ドープする)技術である。こ
のことにより、ハロゲン化銀粒子の特性は改質され、乳
剤全体の性能を改善することができ、ハロゲン化銀写真
感光材料の高感度化、高画質化およびかぶりの減少に寄
与する。
【0003】金属ドープする技術に関して、リサーチ・
ディスクロジャー(ReserchDisclosur
e)、17643号のIA項には、粒子形成中に導入で
きる金属イオンまたは金属錯体について記載されてい
る。金属錯体をドープした技術の初期の代表的な例は、
米国特許2、448、060号に示されている白金、パ
ラジウム、イリジウム、ロジウムおよびルテニウムの金
属錯体であった。これら金属錯体は水溶性であり、金属
錯体をドープすることによりかぶり防止および安定剤と
しての効果があり、とくにパラジウム(IV価)の六配
位金属錯体を添加したときには増感もすることを開示し
ているが、六シアノ金属錯体の記載はない。米国特許第
3、690、888号には、多価金属イオンを含有する
ハロゲン化銀製造方法において、主としてアクリル系ポ
リマーからなる解膠剤の存在下にハロゲン化銀粒子を作
る工程を含む方法が開示されている。多価金属イオンと
して、ビスマス、イリジウム、鉛あるいはオスミウムイ
オンが挙げられているが、六シアノ金属錯体の記載はな
い。以上の開示例には、遷移金属とともに配位子が粒子
中に取り込まれることを明瞭に示して、遷移金属化合物
の配位子の規定や効果を記載するものではなかった。
【0004】シアン化物イオンを含むドーパントについ
ては、特公昭48−35、373号に鉄の六シアノ金属
錯体である黄血塩および赤血塩が開示されているが、こ
の技術の効果は、2価鉄イオンを含有する場合にのみに
限られ、その配位子の種類に関してとくに示唆していな
い。この他には、米国特許第3、790、390号に
は、安定な化合物を形成することで鉄、コバルト、ニッ
ケル等の第4周期元素の単純塩並びにシアノ配位子を含
む六配位金属錯体、ルテニウム、ロジウム、パラジウ
ム、オスミウム、イリジウムの単純塩またはハロゲン化
物配位子のみを含有する六配位金属錯体を使用すること
が開示されている。ここでは、鉄(II)、鉄(II
I)、コバルト(III)の六シアノ錯体を含むハロゲ
ン化銀乳剤の記載がある。欧州特許第242、290号
には、3、4、5または6個のシアノ配位子を有するロ
ジウム(III)のうち1種以上の錯体の存在下で生成
するハロゲン化銀粒子からなるハロゲン化銀乳剤におい
て、高照度不軌の減少が開示されている。これらの開示
例では、配位子を含む金属イオンが粒子内に取り込まれ
ることを明瞭に示して、金属錯体の配位子を含めた効果
を記載するものではなかった。
【0005】特開平2−20、853号、同2−20、
854号には、少なくとも4つ以上のシアノ配位子を有
するレニウム、ルテニウム、オスミウム、またはイリジ
ウム錯体の存在下で粒子形成したハロゲン化銀乳剤が記
載されている。その効果は感度および階調の経時安定性
が優れ、かつ低照度不軌が改良されるなどとくに優れた
性能を示している。また、特開平2−20、852号、
同2−20、855号、同3−118、535号、同3
−118、536号には、シアノ配位子を架橋配位子の
一つとして効果のある配位子であるNO、NS、CO、
(O)2 等の配位子との併用できることを記載している。
これらの開示例では、六配位金属錯体が結晶内部の1個
の銀イオンと6個の隣接ハロゲン化物イオンの7個の空
格子点に置き変わることによりドープされる新しい概念
が提唱されており、単に金属イオンだけが銀イオンに置
き変わるという従来の金属ドープについての見解とは異
なっている。上述のように、シアノ金属錯体は優れた性
能を示している。特に六シアノ金属錯体は安定な化合物
として存在し、写真性能上重要な化合物である。
【0006】金属ドープ技術は当初新規ドーパントの発
見や探求に主眼がおかれていたが、特開平3−15、0
40号にはイリジウムイオンを含有する領域を粒子表面
下約1×10-7cmから粒子半径の約20%となる表面
下の距離までに制限した写真ハロゲン化銀乳剤、あるい
は粒子の表面上にイリジウムイオンが実質的に残存しな
いように銀塩添加を停止するかなり前にイリジウムイオ
ンの添加を停止することを含んでなる写真ハロゲン化銀
乳剤の調製方法が開示されている。
【0007】シアノ金属錯体の中で、4個以上6個以下
のシアン化物イオンを含む錯体をドープする技術につい
て、米国特許第5、132、203号および欧州特許第
508、911A2号にはハロゲン化銀粒子表面から2
0〜350オングストローム粒子内部の表面層に2×1
-3〜5×10-2モル%の高濃度のシアノ金属錯体をド
ープすることにより、増感しさらに分光増感感度も優れ
ていることが開示されている。これらの特許ではシアノ
金属錯体を粒子表面に存在させない方が効果が大きいこ
と教示するものであり、粒子表面そのものにシアノ金属
錯体が存在した場合に、高感度を得る方法については全
く開示されていない。
【0008】以上の開示例では、金属錯体をドープした
ハロゲン化銀粒子の形成時の保護コロイドは全て通常の
ゼラチンを使用している。金属錯体とゼラチンについ
て、ティー・エッチ・ジェームス(T.H.Jame
s)著「写真過程の理論(TheTheory of
the Photographic Proces
s)」、第4版、マクミラン(Macmillan)社
刊)の第2章(71−72頁)、エス・ガーラー(S.
Gahler)およびジー・レーバー(G.Roewe
r)著「第5回IAG会議講演要旨集(Proceed
ings of the Fifth IAG Con
ference)」93−121頁に記載されているよ
うに、ゼラチンはその構成アミノ酸や内在する不純物に
より、金、イリジウム、亜鉛等の重金属イオンまたは金
属錯体と相互作用することが示されている。具体的には
配位子置換してゼラチンとの錯体を形成したり、あるい
は金属イオンを酸化還元することが示されている。
【0009】上述の従来の金属錯体のドープ技術におい
ては金属錯体とゼラチンとの相互作用により金属錯体の
配位子置換や分解、金属イオンの酸化還元の効果を考慮
されておらず、それら置換分解生成物や金属イオンの酸
化還元体による写真性能上の悪影響を与えることを考慮
していない。ゼラチンは、現在の写真感光材料の安定的
な製造には不可欠な素材である。金属錯体をドープして
ハロゲン化銀粒子の写真特性を改善したとしても、その
後の工程で悪影響があると全体の効果は減少する。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、写真
効果の高い六シアノ金属錯体をドープする場合のゼラチ
ンと六シアノ金属錯体との写真性能上の悪影響を排除し
てシアノ金属錯体の効果を最大限に引き出すことによ
り、硬調であり、分光増感色素添加による固有減感が少
なく、分光感度が優れた製造安定性のよい、高感度なハ
ロゲン化銀感光材料を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記諸目的は、下記によ
って達成された。即ち、支持体上に少なくとも一層のハ
ロゲン化銀乳剤層を有するハロゲン化銀写真感光材料に
おいて、該ハロゲン化銀乳剤層の少なくとも一層に含ま
れるハロゲン化銀粒子が粒子中にハロゲン化銀1モル当
たり10-7〜10-2モルの量の六シアノ金属錯体を含有
し、かつ該六シアノ金属錯体の濃度が他の部分よりも1
0倍以上高い局在相を粒子体積の50%以下の表面相中
に有するものであり、乳剤の分散工程までに金を含有す
る少なくとも一種の化合物を添加する方法で製造された
ものであり特徴とするハロゲン化銀写真感光材料により
達成された。
【0012】このことにより、粒子形成中に六シアノ金
属錯体とゼラチンの相互作用により発生したシアンによ
る写真性能上の悪影響を最小限に抑え、六シアノ金属錯
体ドープ乳剤の効果を最大限に得ることができ、製造安
定性のよい、高感度なハロゲン化銀感光材料を提供する
ことができた。
【0013】以下に、本発明を詳細に説明する。本発明
に用いられる六シアノ金属錯体とは、下記一般式で表さ
れることを満足する六配位遷移金属錯体を含む塩であ
る。 一般式[M(CN)6n- 式中、Mは、元素の周期律表の第4周期、第5周期およ
び第6周期で、第5族、第6族、第7族、第8族、第9
族および第10族からなる遷移金属であり、好ましく
は、鉄、ルテニウム、オスミウム、コバルト、ロジウ
ム、イリジウム、レニウムおよびクロムである。nは、
3、4または5である。このとき、これら六シアノ金属
錯体は水溶液中でイオンの形で存在するので対陽イオン
は重要ではないが、ハロゲン化銀乳剤の沈澱操作に適合
しているアルカリ金属イオン、アンモニウムイオンがよ
り好ましい。
【0014】ここでいう表面相とは、いわゆるコア/シ
ェル構造のように、層をなして包み込む構造(連続層)
のシェル層部分だけでなく、いわゆる接合構造を有する
粒子の接合部(非連続層)である場合もある。接合構造
を有する粒子に関しては、特開昭59−133、540
号、同58−108、526号、欧州特許第199,2
90A2号、特公昭58−24772号、特開昭59−
16、254号等に開示されている。
【0015】従来の技術で述べたように金属錯体の中
で、シアノ金属錯体は優れた性能を示している。とくに
六シアノ金属錯体は安定な化合物として存在し、写真性
能上重要な化合物である。これら六シアノ金属錯体をハ
ロゲン化銀粒子にドープする場合、特開平4−208、
936号、特開平2−125、245号、特開平3−1
88、437号に開示されているように、粒子内部に均
一に存在させるより粒子表面相により高濃度のドープ層
がある方が効果が大きい。ハロゲン化銀1モル当たり1
-7〜10 -2モルの量の六シアノ金属錯体を含有し、か
つ該六シアノ金属錯体の濃度が他の部分よりも10倍以
上高い局在相を粒子体積の50%以下の表面相中に有す
る乳剤が、固有感度および分光感度的に最も効果があ
る。ドープ表面相の粒子体積は、好ましくは30%以下
がよく、より好ましくは20%以下が好ましい。また、
六シアノ金属錯体を含有する局在相での該錯体の濃度は
銀1モル当たり好ましくは10-5から10-1モルであ
り、より好ましくは10-4から10-2モルである。ドー
プ量はドープ相中の銀に対して10-4モル以上2×10
-3モル以下が好ましい。
【0016】光が粒子に吸収されるときに生じる光電子
と正孔が生成するが、六シアノ金属錯体をドープするこ
とにより、一時的な浅い電子トラップが生成することに
より光電子の寿命が延びることが知られており、それに
より潜像形成に寄与する確率が高くなり、写真感度が上
昇することができる。とくに、この効果は高照度露光を
おこなった場合顕著である。このように、六シアノ金属
錯体が一時的な浅い電子トラップを形成し電子を捕獲す
ることから、粒子内部に六シアノ金属錯体が存在すると
そこで潜像形成する可能性が高くなり、写真的には内部
感度が上昇し非効率が大きくなる。このため、内部に潜
像を作ることによる非効率をできるだけ減少させ、かつ
潜像形成確率を高めるためには、ハロゲン化銀粒子表面
層に多量に六シアノ金属錯体をドープすることが効果的
であることが著者らの研究で明らかになった。
【0017】六シアノ金属錯体をハロゲン化銀粒子表面
相に高濃度にドープを行うと、実施例で示したように、
硬調で相反則性がよくなり、特に高照度で効果が大き
い。また、色素による固有感度の減少が少なく、分光感
度が優れているなど写真的効果は大きい。
【0018】六シアノ金属錯体は、水または、水と混和
しうる適当な有機溶媒(例えば、アルコール類、エーテ
ル類、グリコール類、ケトン類、エステル類、アミド類
等)との混合溶媒に溶かして添加することができる。
【0019】六シアノ金属錯体のハロゲン化銀粒子中の
ドープ量およびドープ率は、ドープされた六シアノ金属
錯体の中心金属を原子吸光法、ICP法(Induct
ively Coupled Plasma Spec
trometry;誘導結合高周波プラズマ分光分析
法)およびICPMS法(Inductively C
oupled Plasma Mass Spectr
ometry;誘導結合プラズマ質量分析法)等を用い
ることにより定量することができる。
【0020】本発明で用いられる六シアノ金属錯体はハ
ロゲン化銀粒子形成時に反応溶液中に直接添加するか、
ハロゲン化銀粒子を形成するためのハロゲン化物水溶液
中あるいはそれ以外の溶液中に添加して粒子形成を行う
ことにより含有させるのが好ましい。六シアノ金属錯体
をさらに種々の添加方法を組み合わせることもできる。
【0021】本発明で用いられる六シアノ金属錯体を添
加するときの反応液中の水素イオン濃度は、特に制限は
ないがpH3以上が好ましい。
【0022】ハロゲン化銀粒子形成または結晶成長の一
部または全てが保護コロイド性を有する合成高分子化合
物の存在下に調製された微小なハロゲン化銀粒子を含有
するハロゲン化銀乳剤を供給することによって行われる
場合においては、六シアノ金属錯体は微小なハロゲン化
銀粒子中にドープされてもよく、また反応容器中に単独
で供給されてもよい。
【0023】本発明でドープに用いる六シアノ金属錯体
は、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることが
できる。また、同時にハロゲン化銀粒子内にドープする
ことを目的として、他の鉛、カドミウムなどの典型金属
イオン、セリウム、ユーロピウムなどのランタニド金属
イオン、または六配位、四配位遷移金属錯体、パラジウ
ム、白金、銀、金等の二配位遷移金属錯体、硫黄、セレ
ンおよびテルル等と併用してハロゲン化銀粒子内にドー
プして用いることができる。このとき、対イオンとして
は、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、ア
ンモニウムイオン、酢酸イオン、硝酸イオン、硫酸イオ
ン、燐酸イオン、水酸イオンが好ましい。
【0024】六シアノ金属錯体を粒子形成中に添加して
用いた場合、従来の技術で述べたようなゼラチンとの相
互作用によりドーパントの金属錯体の配位子置換がおき
ると、遊離のシアンが放出することになる。実際ゼラチ
ン中で六シアノ金属錯体を加熱すると、高濃度のシアン
が発生することが著者らの研究で明らかになった。
【0025】そのために、粒子表面層に高濃度の六シア
ノ金属錯体をドープさせる目的で六シアノ金属錯体を粒
子形成中に添加すると、実施例に示したように金増感が
できなくなるなど写真性能上悪影響があった。
【0026】青酸カリ(KCN)を含む溶液で乳剤中の
金を除去することができることは、フォトグラフィック
・サイエンス・アンド・エンジニアリング(Photo
gr.Sci.Eng.)、19巻、322(197
5)やジャーナル・イメージング・サイエンス(J.I
maging Sci.)、32巻、28(1988)
で述べられている。このシアンの生成により金増感がで
きなくなるのは、化学増感剤として添加される金イオン
とシアンが安定な錯体(例えば、Au(CN)2 -)を形
成し、粒子表面に増感核を作らないためと考えられる。
つまり、六シアノ金属錯体とゼラチンの相互作用により
生じたシアンがハロゲン化銀粒子表面の銀イオンと安定
な配位結合をして吸着しており、その後の水洗工程で洗
い流されることなく存在し、化学増感時に添加された金
イオンとシアノ錯体を形成し分散媒に遊離したため、金
増感ができなくなったと考えられる。
【0027】このような機構を考えると、六シアノ金属
錯体をゼラチン溶液中に添加することにより生成したシ
アンを除去することにより金増感阻害を起こさない乳剤
を製造することができる。この場合、銀イオンに配位し
たシアン化物イオンを除去するには、シアン化物イオン
と安定な錯体を形成するような金を含む化合物を添加
し、あらかじめシアノ金錯体として遊離させ、その後の
水洗工程で系外に除去すればよいことが著者らの研究で
明らかになった。こうすることにより、シアンを除去で
きるばかりか、新たに生成した金シアノ錯体やその置換
配位子等の生成物を除去することができ、その後の悪影
響がなくなる。
【0028】このように、シアンを除去する目的で添加
する化合物はシアノ金属錯体を形成する金イオンが重要
であり、シアン化物イオンと置換可能であるなら配位子
に特別の制限はない。シアン化物イオンと置換可能な配
位子は単座配位子が好ましいが、その他の配位子が二座
以上の多座キレート配位子でも構わない。また、金イオ
ンは単核であることが好ましいが、複核以上の多核錯体
でも構わない。もちろん複核以上の多核錯体で、二座以
上の多座キレート配位子を含む金錯体でも構わない。
【0029】具体的な配位子は、単座の配位子としてハ
ロゲン化物イオン、アンモニア、水、シアン化物イオ
ン、チオシアン化物イオン、イソシアン化物イオン、セ
レノシアン化物イオン、テルルシアン化物イオン、アジ
化物イオン、カルボニル、ニトロシル、チオニトロシ
ル、亜硫酸イオン、亜硝酸イオン、炭酸イオン、酸化物
イオン、硫化物イオン、セレン化物イオン、テルル化物
イオン、燐酸イオン、亜燐酸イオン、酢酸イオンであ
る。この他に、有機配位子としてアセトニトリル、ピリ
ジンおよびその誘導体等の窒素配位子、酢酸およびその
誘導体、プロピオン酸およびその誘導体、燐酸およびそ
の誘導体等の酸素配位子等がある。
【0030】二座以上の多座キレート配位子として、エ
チレンジアミンとその誘導体、ジエチレントリアミンと
その誘導体、トリエチレンテトラアミンとその誘導体、
2、2’−ビピリジンとその誘導体、1,10−フェナ
ントロリンとその誘導体などの窒素配位子、イミノ二酢
酸とその誘導体、ニトリロ三酢酸とその誘導体などのア
ミノポリカルボン酸配位子、シュウ酸およびその誘導
体、フタル酸およびその誘導体、マレイン酸およびその
誘導体などの酸素配位子、ジチオ酢酸およびその誘導体
等の硫黄配位子、トリメチルホスフィンおよびその誘導
体、トリフェニルホスフィンおよびその誘導体等のリン
配位子、グリシンおよびその誘導体、システインおよび
その誘導体等の酸素、窒素または硫黄等のヘテロ原子配
位子等が挙げられる。
【0031】これら金錯体は無電荷でないことが好まし
いが、水または水と混和しうる適当な有機溶媒(例え
ば、アルコール類、エーテル類、グリコール類、ケトン
類、エステル類、アミド類等)との混合溶媒に可溶なら
ば、正電荷、無電荷または負電荷でも構わない。また、
同じ理由で対イオンは水または水と混和し得る適当な有
機溶媒に可溶なものなら制限はない。好ましくは、水素
イオン、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオ
ン、アンモニウムイオン、酢酸イオン、硝酸イオン、硫
酸イオン、燐酸イオン、水酸イオンである。
【0032】本発明の金を含有する化合物の具体例は、
「コンプリヘンシブ・コーディネーション・ケミストリ
ー(”Comprehensive Coordina
tion Chemistry”)」、5巻、p861
〜923(PergamonPress(1987))
に記載され、上述の配位子、溶解性を満たす金属錯体を
示す。その中の好ましい具体例をそれぞれ下記に示す
が、発明の化合物はこれに限定されるものではない。
【0033】(1) [AuCl2- (2) [AuBr2- (3) [AuI2- (4) AuCl(PPh3*1) (5) [Au(NH32+ (6) [Au(py)2+ *2) (7) [Au(NCCH32+ (8) AuCl(CO) (9) [AuCl4- (10) [AuBr4- (11) [AuI4- (12) AuCl3 (PPh3*1) (13) [AuBr4- (14) [Au(NH34- (15) [Au(H2 O)4- (16) Au2 Cl6 (17) Au4 Cl8 *1 Ph=フェニル *2 py=ピリジン
【0034】本発明のシアン除去を目的に添加する金化
合物は、水または、水と混和しうる適当な有機溶媒(例
えば、アルコール類、エーテル類、グリコール類、ケト
ン類、エステル類、アミド類等)との混合溶媒に溶かし
て添加することができる。
【0035】本発明の金を含有する化合物は、水洗終了
後、分散工程までに添加すればよい。しかしながら、こ
れら化合物のなかで、銀イオンとシアン化物イオンとの
結合を切断して、新たなシアノ錯体を形成する能力が大
きいほど好ましいが、小さいものでも添加量を多くした
り、反応温度や攪拌を増やすことによって補うことがで
きる。
【0036】六シアノ金属錯体をドープするときにゼラ
チンとの相互作用で生成するシアンをシアノ金錯体とし
て除去するのであるから、好ましくはハロゲン化銀粒子
形成後に本発明の金を含有する化合物を添加してシアン
を除去すると、生成したシアノ金属錯体が水洗工程で洗
い流され、後の工程でシアンや生成したシアノ金属錯体
による悪影響を考える必要がないので好ましい。また、
シアン生成を抑制することを目的に粒子形成前または粒
子形成中に本発明の化合物を添加することも好ましく用
いられる。
【0037】本発明のシアン除去を目的に添加する金を
含有する化合物の添加量は、ハロゲン化銀1モル当たり
10-8〜10モルであり、好ましくは、10-7〜10-1
モルであり、さらに好ましくは10-6〜10-3モルであ
る。
【0038】本発明に使用されるハロゲン化銀乳剤は、
臭化銀、ヨウ臭化銀、ヨウ塩化銀、塩臭化銀および塩化
銀のいずれのハロゲン化銀を用いてもよい。
【0039】本発明に使用されるハロゲン化銀粒子の粒
子サイズに特に制限はないが、0.05μmから10μ
m、好ましくは0.1μmから3μmである。本発明に
使用されるハロゲン化銀粒子の大きさは、温度やpAg
調節、溶剤の種類や量の選択、粒子成長時に用いる銀
塩、およびハロゲン化物の添加速度等をコントロールす
ることにより調製できる。
【0040】しばしば用いられるハロゲン化銀溶剤とし
ては、チオシアン酸塩、チオエーテル、チオ尿素類など
をあげることができるし、またアンモニアも悪影響を伴
わない範囲で併用することもできる。例えばチオシアン
酸塩(米国特許第2、222、264号、同第2、44
8、534号、同第3、320、069号等)、チオエ
ーテル化合物(米国特許第3、271、157号、同第
3、574、628号、同第3、704、130号、同
第4、297、439号、同4、276、347号
等)、チオン化合物(特開昭53−144、319号、
同53−82、408号、同55−77、737号
等)、アミン化合物(特開昭54−100、717号
等)等を用いることができる。
【0041】本発明によるハロゲン化銀粒子の形は六面
体、八面体、十二面体、十四面体、二重面体、四十八面
体のような規則的な結晶系(正常晶粒子)を有するもの
でもよく、球状やじゃがいも状などの不規則な結晶系の
ものでもよく、さらに双晶面を1枚以上持つ種々の形体
の粒子でもよい。本発明に使用されるハロゲン化銀乳剤
は、厚みが0.5ミクロン以下、好ましくは0.3ミク
ロン以下で径が好ましくは0.6ミクロン以上であり、
平均アスペクト比が3以上の粒子が全投影面積の50%
以上を占めるような平板粒子乳剤も好ましい。本発明に
使用されるハロゲン化銀乳剤は、統計学上の変動係数
(投影面積を円近似した場合の直径で表わした分布にお
いて、標準偏差Sを直径dで除した値S/d)が20%
以下である単分散乳剤がとりわけ特に好ましい。また、
乳剤を2種以上混合してもよい。
【0042】本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤の製
造はこれまで知られているあらゆる方法を用いることが
できる。すなわちゼラチン水溶液を有する反応容器に効
率よい攪拌のもとに銀塩水溶液およびハロゲン化物水溶
液を添加する。具体的方法としては、ピー・グラフキデ
(P.Glafkides)著、シミー・エ・フィジー
ク・フォトグラフィーク(Chimie et Phy
sique Photographeque)(ポール
モンテル社刊、1967年)、ジー・エフ・ダフィン
(G.F.Duffin)著、フォトフラフィック・エ
マルジョン・ケミストリー(Photographic
Emulsion Chemistry)(フォーカ
ルプレス刊、1966年)、ブイ・エル・ゼリクマン
(V.L.Zelikman)ら著、メーキング・アン
ド・コーティング・フォトグラフィック・エマルジョン
(Making and Coating Photo
graphic Emulsion)(フォーカルプレ
ス刊、1964年)などに記載された方法を用いて調製
することができる。すなわち、酸性法、中性法、アンモ
ニア法等のいずれでもよく、また可溶性銀塩と可溶性ハ
ロゲン化物を反応させる形式としては片側混合法、同時
混合法、それらの組合せなどのいずれを用いてもよい。
同時混合法の一つの形式としてハロゲン化銀の生成され
る液相中のpAgを一定に保つ方法、すなわちコントロ
ールド・ダブルジェット法を用いることもできる。ま
た、英国特許第1、535、016号、特公昭48−3
6、890号、同52−16、364号等に記載されて
いるように、硝酸銀やハロゲン化アルカリ水溶液の添加
速度を粒子形成速度に応じて変化させる方法や、米国特
許第4、242、445号、特開昭55−158、12
4号等に記載されているように水溶液濃度を変化させる
方法を用いて臨界過飽和度を越えない範囲において早く
成長させることが好ましい。これらの方法は、再核発生
を起こさず、ハロゲン化銀粒子が均一に成長するために
好ましく用いられる。
【0043】またこのハロゲン化銀粒子の形成時には粒
子の成長をコントロールするためにハロゲン化銀溶剤と
して例えばアンモニア、ロダンカリ、ロダンアンモン、
チオエーテル化合物(例えば米国特許第3、271、1
57号、同第3、574、628号、同第3、704、
130号、同第4、297、439号、同第4、27
6、374号など)、チオン化合物(例えば特開昭53
−144、319号、同53−82、408号、同55
−77、737号など)、アミン化合物(例えば特開昭
54−100、717号など)などを用いることができ
る。ハロゲン化銀粒子形成または物理熟成の過程におい
て、カドミウム塩、亜鉛塩、タリウム塩、鉄塩またはそ
の錯体、ルテニウム塩またはその錯塩、オスミウム塩ま
たはその錯塩、コバルト塩またはその錯塩、ロジウム塩
またはその錯塩、イリジウム塩またはその錯塩などを共
存させてもよい。
【0044】さらに本発明においては、種々の構造をも
った乳剤粒子を用いることができる。粒子の内部(コア
部)と外側(シェル部)からなる、いわゆる二重構造粒
子さらに、特開昭60−222、844に開示されてい
るような三重構造粒子やそれ以上の多層構造粒子が用い
られる。乳剤粒子の内部に構造を持たせるには上述のよ
うな包み込む構造だけでなく、いわゆる接合構造を有す
る粒子を作ることができる。これらの例は特開昭58−
108、526号、同59−133、540号、欧州特
許第199、290A2号、特公昭58−24、772
号、特開昭59−16、254号等に開示されている。
接合する結晶はホストとなる結晶と異なる組成をもって
ホスト結晶のエッジやコーナー部、あるいは面部に接合
して生成させることができる。このような接合結晶はホ
スト結晶がハロゲン組成に関して均一であっても形成さ
せることができる。接合構造の場合にはハロゲン化銀ど
うしの組合せは当然可能であるが、ロダン銀、炭酸銀な
どの岩塩構造でない銀塩化号物をハロゲン化銀と組合せ
接合構造をとることができる。またPbOのような非銀
塩化合物も接合構造が可能であれば用いてもよい。これ
らの構造を有するヨウ臭化銀粒子の場合、例えばコア−
シェル型の粒子においてコア部がヨウ化銀含有量が高
く、シェル部が高い粒子であってもよい。同様に接合構
造を有する粒子についてもホスト結晶のヨウ化銀含有率
が高く、接合結晶のヨウ化銀含有率が相対的に低い粒子
であっても、その逆の粒子であってもよい。また、これ
らの構造を有する粒子のハロゲン組成の異なる境界部分
は、明確な境界であっても、組成差により混晶を形成し
て不明確な境界であってもよく、また積極的に連続的な
構造変化をつけたものでもよい。本発明に用いるハロゲ
ン化銀乳剤は欧州特許96、727B1号、同64、4
12B1号等に開示されているような粒子に丸みをもた
らす処理、あるいはDE−2、306、447C2号、
特開昭60−221、320号に開示されているような
表面の改質を行ってもよい。本発明に用いるハロゲン化
銀乳剤は表面潜像型が好ましいが、特開昭59−13
3、542号に開示されているように現像液あるいは現
像の条件を選ぶことにより内部潜像型の乳剤も用いるこ
とができる。また、薄いシェルをかぶらせる浅内部潜像
型乳剤も目的に応じて用いることができる。
【0045】本発明においては、転位線を有するハロゲ
ン化銀粒子を用いることが好ましい。転位線をもった粒
子に関しては、米国特許第4、806、461号に開示
されている。
【0046】本発明の感光材料の乳剤層や中間層に用い
ることのできる結合剤または保護コロイドとしては、ゼ
ラチンを用いるのが有利であるが、それ以外の親水性コ
ロイドも用いることができる。例えばゼラチン誘導体、
ゼラチンと他の高分子とのグラフトポリマー、アルブミ
ン、カゼイン等の蛋白質;ヒドロキシエチルセルロー
ス、カルボキシメチルセルロース、セルロース硫酸エス
テル類等の如きセルロース誘導体、アルギン酸ソーダ、
澱粉誘導体などの糖誘導体;ポリビニルアルコール、ポ
リビニルアルコール部分アセタール、ポリ−N−ビニル
ピロリドン、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリ
アクリルアミド、ポリビニルイミダゾール、ポリビニル
ピラゾール等の単一あるいは共重合体の如き種々の合成
親水性高分子物質を用いることができる。ゼラチンとし
ては汎用の石灰処理ゼラチンのほか、酸処理ゼラチンや
日本科学写真協会誌(Bull.Soc.Phot.J
apan)、16巻、30(1966)に記載されたよ
うな酵素処理ゼラチンを用いても良く、またゼラチンの
加水分解物を用いることができる。
【0047】本発明の感光材料は、写真感光層あるいは
バック層を構成する任意の親水性コロイド層に無機ある
いは有機の硬膜剤を含有せしめてもよい。例えば、クロ
ム塩、アルデヒド塩(ホルムアルデヒド、グリオキザー
ル、グルタルアルデヒドなど)、N−メチロール系化合
物(ジメチロール尿素など)が具体例として挙げられ
る。活性ハロゲン化号物(2,4−ジクロル−6−ヒド
ロキシ−1,3,5−トリアジン及びそのナトリウム塩
など)および活性ビニル化合物(1,3−ビスビニルス
ルホニル−2−プロパノール、1,2−ビス(ビニルス
ルホニルアセトアミド)エタン、ビス(ビニルスルホニ
ルメチル)エーテルあるいはビニルスルホン基を側鎖に
有するビニル系ポリマーなど)は、ゼラチンなどの親水
性コロイドを早く硬化させ安定な写真特性を与えるので
好ましい。N−カルバモイルピリジニウム塩類((1−
モルホリノカルボニル−3−ピリジニオ)メタンスルホ
ナートなど)やハロアミジニウム塩類(1−(1−クロ
ロ−1−ピリジニメチレン)ピロリジニウムー2ーナフ
タレンスルホートなど)も硬化速度が早く優れている。
【0048】本発明に用いられるハロゲン化銀写真乳剤
は、メチン色素類その他によって分光増感されてもよ
い。用いられる色素には、シアニン色素、メロシアニン
色素、複合シアニン色素、複合メロシアニン色素、ホロ
ポーラーシアニン色素、ヘミシアニン色素、スチリル色
素およびヘミオキソノール色素が含有される。特に有用
な色素は、シアニン色素、メロシアニン色素、および複
合メロシアニン色素に属する色素である。これらの色素
類には、塩基性異節環核としてシアニン色素類に通常利
用される核のいずれをも適用できる。すなわち、ピロリ
ン核は、オキサゾリン核、チアゾリン核、ピロール核、
オキサゾール核、チアゾール核、セレナゾール核、イミ
ダゾール核、テトラゾール核、ピリジン核など;これら
の核に脂環式炭化水素環が融合した核;およびこれらの
核に芳香族炭化水素環が融合した核、すなわち、インド
レニン核、ベンズインドレニン核、インドール核、ベン
ズオキサドール核、ナフトオキサゾール核、ベンゾチア
ゾール核、ナフトチアゾール核、ベンゾセレナゾール
核、ベンズイミダゾール核、キノリン核などが適応でき
る。これらの核は炭素原子上に置換基を有していてもよ
い。メロシアニン色素または複合メロシアニン色素には
ケトメチレン構造を有する核としてピラゾリン−5−オ
ン核、チオヒダントイン核、2−チオオキサゾリジン−
2、4−ジオン核、チアゾリジン−2、4−ジオン核、
ローダニン核、チオバルビツール酸核などの5〜6員異
節環核を適用することができる。
【0049】これらの増感色素は単独に用いてもよい
が、それらの組合せを用いてもよく、増感色素の組合せ
は特に、強色増感の目的でしばしば用いられる。増感色
素とともに、それ自身分光増感作用を持たない色素ある
いは可視光を実質的に吸収しない物質であって、強色増
感を示す物質を乳剤中に含んでもよい。例えば、含窒素
異節環核基であって置換されたアミノスチルベンゼン化
合物(例えば米国特許第2、933、390号、同3、
635、721号に記載のもの)、芳香族有機酸ホルム
アルデヒド縮合物(例えば米国特許第3、743、51
0号に記載のもの)、カドミウム塩、アザインデン化合
物などを含んでもよい。米国特許第3、615、613
号、同3、615、641号、同3、617、295
号、同3、635、721号に記載の組合せは特に有用
である。
【0050】本発明において、硫黄増感、セレン増感、
テルル増感、貴金属増感および還元増感を単独あるいは
組み合わせて用いることもできる。
【0051】硫黄増感においては、銀イオンと反応して
硫化銀を生成しうるいわゆる不安定硫黄化合物を用いる
硫黄増感法があり、具体的にはP.Grafkides
著、Chimie et Physique Phot
ographique(Paul Montel社刊、
1987年、第5版)、リサーチ・ティクロージャー、
307105号、T.H.James編集、The T
heory of the Photographic
Process(Macmillan社刊、1977
年、第4版)、H.Frieser著、Die Gru
ndlagender Photographisch
en Prozess mit Silver−hal
ogeniden(Akademische Verl
agsgeselbshaft、1968年)などに記
載されている。硫黄増感剤について具体的には、チオ硫
酸塩(例えば、チオ硫酸ナトリウム、p−トルエンチオ
スルフォネート等)、チオ尿素類(例えば、アリルチオ
尿素、N,N’−ジフェニルチオ尿素、トリエチルチオ
尿素、アセチルチオ尿素、N−エチル−N’−(4−メ
チル−2−チアゾリル)チオ尿素等)、チオアミド類
(例えば、チオアセトアミド、N−フェニルチオアセト
アミド等)、ローダニン類(例えば、ローダニン、N−
エチルローダニン、5−ベンジリデンローダニン、5−
ベンジリデン−N−エチル−ローダニン、ジエチルロー
ダニン等)、の代表的化合物に加えて、更にチオヒダン
トイン類、4−オキソ−オキサゾリジン−2−チオン
類、ジポリスルフィド類、チオスルフォン酸類、システ
インなどのメルカプト化合物、ポリチオン酸塩、元素状
イオウ、硫化ナトリウムなどを用いることができる。
【0052】セレン増感においては、公知の不安定セレ
ン化合物について、具体的には、コロイド状金属セレン
や、特公昭44−15、748号、特公昭43−13、
489号、特願平2−130、976号、同2−22
9、300号、同2−272、879号、同3−53、
693号、同3−82、929号などに記載の化合物な
どが示されている。より具体的には、セレノ尿素類(例
えば、セレノ尿素、N,N−ジメチルセレノ尿素、N,
N−ジエチルセレノ尿素、テトラメチルセレノ尿素、等
の脂肪族セレノ尿素;N,N,N’−トリメチル−N’
−アセチルセレノ尿素、N,N,N’−トリメチル−
N’−ヘプタフルオロプロピルカルボニルセレノ尿素,
N,NN’−トリメチル−N’−4−クロロフェニルカ
ルボニルセレノ尿素、N,N,N’−トリメチル−N’
−4−ニトロフェニルカルボニルセレノ尿素、等の置換
セレノ尿素類等)、セレノアミド類(例えば、セレノア
セトアミド、N,N−ジメチルセレノベンズアミド
等)、セレノケトン類(例えば、セレノアセトン、セレ
ノアセトフェノン、ビス−(アダマンチル)セレノケト
ン等)、イソセレノシアネート類(例えば、アリルイソ
セレノシアネート等)、セレノカルボン酸およびエステ
ル類(例えば、セレノプロピオン酸、メチル−3−セレ
ノブチレート等)、セレナイド類(例えば、ジメチルセ
レナイド、ジエチルセレナイド、トリフェニルフォスフ
ィンセレナイド等)、 セレノフォスフェート類(例え
ば、トリ−p−トリルセレノフォスフェート等)、コロ
イド状金属セレニウム等を用いることができる。
【0053】テルル増感剤については、米国特許第1、
623、499号、同3、320、069号、同3、7
72、031号、英国特許第235、211号、同1、
121、496号、同1、295、462号、同1、3
96、696号、カナダ特許第800、958号、ジャ
ーナル・オブ・ケミカル・ソサイアティー・ケミカル・
コミュニケーション(J.Chem.Soc.,Che
m.Commun.)、635(1980)、同110
2(1979)、同645(1979)、ジャーナル・
オブ・ケミカル・ソサイアティー・パーキンソン・トラ
ンザクション(J.Chem.Soc.,Perki
n.Trans.)、2191(1980)、特願平
2−333、819号、同3−131、598号等に記
載の化合物等を用いることができる。より具体的には、
コロイド状テルル、テルロ尿素類(例えばアリルテルロ
尿素、N,N−ジメチルテルロ尿素、テトラメチルテル
ロ尿素、N−カルボキシエチル−N’,N’−ジメチル
テルロ尿素、N,N’−ジメチルエチレンテルロ尿素、
N,N’−ジフェニルエチレンテルロ尿素)、イソテル
ロシアナート類(例えばアリルイソテルロシアナー
ト)、テルロケトン類(例えばテルロアセトン、テルロ
アセトフェノン)、テルロアミド類(例えばテルロアセ
トアミド、N,N−ジメチルテルロベンズアミド)、テ
ルロヒドラジド(例えばN,N’,N’−トリメチルテ
ルロベンズヒドラジド)、テルロエステル(例えばt−
ブチル−t−ヘキシルテルロエステル)、ホスフィンテ
ルリド類(例えばトリブチルホスフィンテルリド、トリ
シクロヘキシルホスフィンテルリド、トリイソプロピル
ホスフィンテルリド、ブチル−ジイソプロピルホスフィ
ンテルリド、ジブチルフェニルホスフィンテルリド)、
他のテルル化合物(例えば英国特許第1,295,46
2号記載の負電荷のテルライドイオン含有ゼラチン、ポ
タシウムテルリド、ポタシウムテルロシアネート、テル
ロペンタチオネートナトリウム塩、アリルテルロシアネ
ート)等を用いることができる。
【0054】貴金属増感においては、前述のP.Gra
fkides著、Chimie et Physiqu
e Photographique(Paul Mon
tel社刊、1987年、第5版)、リサーチ・ティク
ロージャー、307105号等に記載されている金、白
金、パラジウム、イリジウムなどの貴金属増感剤を併用
することができる。この場合特に、金増感剤を併用する
ことが好ましく、具体的には、塩化金酸、カリウムクロ
ロオーレート、カリウムオーリチオシアネート、硫化
金、金セレナイドに加えて米国特許第2、642、36
1号、同第5、049、484号、同第5、049、4
85号等に記載されている金化合物を用いることができ
る。
【0055】還元増感においては、前述のP.Graf
kides著、Chimie etPhysique
Photographique(Paul Monte
l社刊、1987年、第5版)、リサーチ・ティクロー
ジャー、307、307105号等に記載されている公
知の還元性化合物を用いることができる。具体的には、
アミノイミノメタンスルフィン酸(別名、二酸化チオ尿
素)、ボラン化合物(例えば、ジメチルアミンボラ
ン)、ヒドラジン化合物(例えば、ヒドラジン、p−ト
リルヒドラジン)、ポリアミン化合物(例えば、ジエチ
レントリアミン、トリエチレンテトラミン)、塩化第1
スズ、シラン化合物、レダクトン類(例えば、アスコル
ビン酸)、亜硫酸塩、アルデヒド化合物、水素ガス等を
用いることができる。
【0056】これらの化学増感は単独でも2種以上を組
み合わせてよいが、組合せの時は特にカルコゲン増感と
金増感の組合せが好ましい。また還元増感はハロゲン化
銀粒子の形成時に施すのが好ましい。本発明で用いられ
るカルコゲン増感剤の使用量は、使用するハロゲン化銀
粒子、化学増感条件などにより変わるが、ハロゲン化銀
1モル当たり10-8〜10-2モル、好ましくは10-7
5×10-3モル程度を用いる。本発明で用いられる貴金
属増感剤の使用量は、ハロゲン化銀1モル当たり10 -7
〜10-2モル程度を用いる。本発明における化学増感の
条件としては、特に制限はないが、pAgとしては6〜
11、好ましくは7〜10であり、pHとしては4〜1
0、温度としては40〜95℃、好ましくは45〜85
℃である。
【0057】本技術に用いられるハロゲン化銀写真乳剤
は、感光材料の製造行程、保存中あるいは写真処理中の
かぶりを防止し、あるいは写真性能を安定化されるなど
の目的で、種々の化合物を含有させることができる。す
なわちアゾール類、例えばベンゾチアゾリウム塩、ニト
ロイミダゾール類、ニトロベンズイミダゾール類、クロ
ロベンズイミダゾール類、ブロモベンズイミダゾール
類、メルカプトチアゾール類、メルカプトベンズチアゾ
ール類、メルカプトベンズイミダゾール類、メルカプト
チアジアゾール類、アミノトリアゾール類、ベンゾトリ
アゾール類、ニトロベンゾトリアゾール類、メルカプト
テトラゾール類(特に1−フェニル−5−メルカプトテ
トラゾール)など;メルカプトピリミジン類;メルカプ
トトリアジン類;例えばオキサドリンチオンのようなチ
オケト化合物;アザインデン類、例えばトリアザインデ
ン類、テトラアザインデン類(特に4−ヒドロキシ置換
(1、3、3a、7)テトラアザインデン類)、ペンタ
アザインデン類など;ベンゼンチオスルフォン酸、ベン
ゼンスルフィン酸、ベンゼンスルフォン酸アミド等のよ
うなかぶり防止剤または安定剤として知られた、多くの
化合物を加えることができる。
【0058】本発明の感光材料は塗布助剤、帯電防止、
スベリ性改良、乳化分散、接着防止および写真特性改良
(例えば現像促進、硬調化、増感)などの種々の目的で
一種以上の界面活性剤を含んでもよい。
【0059】本発明を用いてつくられた感光材料は、フ
ィルター染料として、またはイラジェーションもしくは
ハレーション防止その他種々の目的のために浸水性コロ
イド層中に水溶性染料を含有してもよい。このような染
料として、オキソノール染料、ヘミオキソノール染料、
スチリル染料、メロシアニン染料、アントラキノン染
料、アゾ染料が好ましく使用され、この他にシアニン染
料、アゾメチン染料、トリアリールメタン染料、フタロ
シアニン染料も有用である。油溶性染料を水中油適分散
法により乳化して浸水性コロイド層に添加することもで
きる。
【0060】本発明は支持体上に少なくとも2つの異な
る分光感度を有する多層多色写真材料に適用できる。多
層天然色カラー写真材料は、通常支持体上に赤感性乳剤
層、緑感性乳剤層および青感性乳剤層をそれぞれ少なく
とも一つ有する。これらの層の配列順序は必要に応じて
任意にえらべる。好ましい層配列は支持体側から赤感
性、緑感性および青感性の順、青感層、緑感層および赤
感層の順または青感性、赤感性および緑感性の順であ
る。また任意の同じ感色性の乳剤層を感度の異なる2層
以上の乳剤層から更正して到達感度を向上してもよく、
3層構成としてさらに粒状性を改良してもよい。また同
じ感色性をもつ2つ以上の乳剤層の間に非感光性層が存
在していてもよい。ある同じ感色性の乳剤層の間に異な
った感色性の乳剤層が挿入される構成としてもよい。高
感度層特に高感度青感層の下に微粒子ハロゲン化銀など
の反射層を設けて感度を向上してもよい。赤感性乳剤層
にシアン形成カプラーを、緑感性乳剤層にマゼンタ形成
カプラーを、青感性乳剤層にイエロー形成カプラーをそ
れぞれ含むのが一般的であるが、場合により異なる組合
せをとることもできる。たとえば赤外感光性の層を組み
合わせて疑似カラー写真や半導体レーザ露光用としても
よい。
【0061】本発明の写真材料には種々のカラーカプラ
ーを使用することができ、その具体例は前出のリサーチ
・ディスクロージャー、176、17643号(197
8)のVII−C〜G項に記載された特許に記載されて
いる。イエローカプラーとしては、例えば米国特許第
3、933、501号、同第4、022、620号、同
第4、326、024号、同第4、401、752号、
特公昭58−10739号、英国特許第1、425、0
20号、同第1、476、760号に記載のものが好ま
しい。
【0062】マゼンタカプラーとしては5−ピラゾロン
系及びピラゾロアゾール系の化合物が好ましく、例えば
米国特許第4、310、619号、同第4、351、8
97号、欧州特許第73、636号、米国特許第3、0
61、432号、同第3、725、067号、リサーチ
・ディスクロージャー、24220号(1984)、特
開昭60−33、552号、リサーチ・ディスクロージ
ャー、24、230号(1984)、特開昭60−4
3、659号、米国特許第4、500、630号、同
4、540、654号に記載のものが好ましい。シアン
カプラーとしては、フェノール系およびナフトール系カ
プラーが挙げられ、例えば米国特許第4、052、21
2号、同第4、146、396号、同第4、228、2
33号、同第4、296、200号、同第2、369、
929号、同第2、801、171号、同第2、77
2、162号、同第2、895、826号、同第3、7
72、002号、同第3、758、309号、同第4、
334、011号、同第4、327、173号、西独特
許公開第3、329、729号、欧州特許第121、3
65A号、米国特許第3、446、622号、同第4、
333、999号、同第4、451、559号、同第
4、427、767号、欧州特許第161、626A号
に記載のものが好ましい。
【0063】発色色素の不要吸収を補正するためのカラ
ード・カプラーは、例えば前述のリサーチ・ディスクロ
ージャー、176、17643号(1978)のVII
−G項、米国特許第4、163、670号、特公昭57
−39413号、米国特許第4、004、926号、同
第4、138、258号、英国特許第1、146、36
8号に記載のものが好ましい。
【0064】発色色素が適度な拡散性を有するカプラー
としては、例えば米国特許第4、366、237号、英
国特許第2、125、570号、欧州特許第96、57
0号、西独特許(公開)第3、234、533号に記載
のものが好ましい。
【0065】ポリマー化された色素形成カプラーの典型
例は、米国特許第3、451、820号、同第4、08
0、211号、同第4、367、282号、英国特許第
2、102、173号等に記載されている。
【0066】カップリングに伴って写真的に有用な残基
を放出するカプラーもまた本発明で好ましく使用でき
る。現像抑制剤を放出するDIRカプラーは、前述のリ
サーチ・ディスクロージャー、176、17643号
(1978)のVII−F項に記載された特許、特開昭
57−151、944号、同57−154、234号、
同60−184、248号、米国特許第4、248、9
62号に記載されたものが好ましい。現像時に画像状に
造核剤もしくは現像促進剤を放出するカプラーとして
は、例えば英国特許第2、097、140号、同第2、
131、188号、特開昭59−157、638号、同
59−170、840号に記載のものが好ましい。
【0067】その他、本発明の感光材料に用いることの
できるカプラーとしては、例えば米国特許第4、13
0、427号等に記載の競争カプラー、米国特許第4、
283、472号、同第4、338、393号、同第
4、310、618号等に記載の多当量カプラー、特開
昭60−185、950号、特開昭50−24、252
号等に記載のDIRレドックス化合物もしくはDIRカ
プラー放出カプラー、欧州特許第173、302A号に
記載の離脱後復色する色素を放出するカプラー、リサー
チ・ディスクロージャー、11449号、同24241
号、特開昭61−201、247号等に記載の漂白促進
剤放出カプラー、米国特許第4、553、477号等に
記載のリガンド放出カプラー等が挙げられる。
【0068】本発明にしようするカプラーは、種々の公
知分散方法により感光材料に導入できる。水中油滴分散
法に用いられる高沸点溶媒の例は米国特許第2、32
2、027号などに記載されている。水中油滴分散法に
用いられる常圧での沸点が175℃以上の高沸点有機溶
剤の具体例としては、フタル酸エステル類(例えば、ジ
ブチルフタレート、シシクロヘキシルフタレート、ジ−
2−エチルヘキシルフタレート、デシルフタレート、ビ
ス(2、4−ジ−t−アミルフェニル)フタレート、ビ
ス(2、4−ジ−t−アミルフェニル)イソフタレー
ト、ビス(1、1−ジエチルプロピル)フタレート)、
リン酸またはホスホン酸のエステル類(例えば、トリフ
ェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、2−
エチルヘキシルジフェニルホスフェート、トリシクロヘ
キシルホスフェート、トリ−2−エチルヘキシルホスフ
ェート、トリドデシルホスフェート、トリブトキシエチ
ルホスフェートとトリクロロプロピルホスフェート、ジ
−2−エチルヘキシルフェニルホスフェート)、安息香
酸エステル類(例えば、2−エチルヘキシルベンゾエー
ト、ドデシルベンゾエート,2−エチルヘキシル−p−
ヒドロキシベンゾエート)、アミド類(例えば、N,N
−ジエチルドデカンアミド、N,N−ジエチルラウリル
アミド、N−テトラデシルピロリドン)、アルコール類
またはフェノール類(例えば、イソステアリルアルコー
ル、2、4−ジ−tert−アミルフェノール)、脂肪族カ
ルボン酸エステル類(例えば、ビス(2−エチルヘキシ
ル)セバケート、ジオクチルアゼレート、グリセロール
トリブチレート、イソステアリルラクテート、トリオク
チルシトレート)アニリン誘導体(例えば、N,N−ジ
ブチル−2−ブトキシ−5−tert−オクチルアニリ
ン)、炭化水素類(例えば、パラフィン、ドデシルベン
ゼン、ジイソプロピルナフタレン)などが挙げられる。
また補助溶剤としては、沸点が約30℃以上、好ましく
は50℃以上約160℃以下の有機溶剤などが使用で
き、典型例としては酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオ
ン酸エチル、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、
2−エトキシエチルアセテート、ジメチルホルムアミド
などが挙げられる。
【0069】ラテックス分散法の行程、効果および含浸
用のラテックスの具体例は、米国特許第4、199、3
63号、西独特許出願(OLS)第2、541、274
号および同第2、541、230号などに記載されてい
る。
【0070】本発明の写真感光材料において写真乳剤層
その他の層は写真感光材料に通常用いられているプラス
チックフィルム、紙、布などの可撓性支持体またはガラ
ス、登記、金属などの剛性の支持体に塗布される。可撓
性支持体として有用なものは、硝酸セルロース、酢酸セ
ルロース、酢酸酪酸セルロース、ポリスチレン、ポリ塩
化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネ
ート等の半合成または合成高分子からなるフィルム、バ
ライタ層またはα−オレフィンポリマー(例えばポリエ
チレン、ポリプロピレン、エチレン/ブテン共重合体)
等を塗布またはラミネートした紙等である。支持体は染
料や顔料を用いて着色されてもよい。遮光の目的で黒色
にしてもよい。これらの支持体の表面は一般に、写真乳
剤層との接着をよくするために、下塗処理される。支持
体表面は下塗処理の前または後に、グロー放電、コロナ
放電、紫外線照射、火焔処理などを施してもよい。
【0071】写真乳剤層その他の親水性コロイド層の塗
布には、例えばディップ塗布法、ローラー塗布法、カー
テン塗布法、押し出し塗布法などの公知の種々の塗布法
を利用することができる。必要に応じて米国特許第2、
681、294号、同第2、761、791号、同第
3、526、528号および同第3、508、947号
等に記載された塗布法によって、多層を同時に塗布して
もよい。
【0072】本発明は種々のカラーおよび白黒の感光材
料に適用することができる。一般用もしくは映画用のカ
ラーネガフィルム、スライド用もしくはテレビ用のカラ
ー反転フィルム、カラーペーパー、カラーポジフィルム
およびカラー反転ペーパー、カラー拡散転写型感光材料
および熱現像型カラー感光材料などを代表例として挙げ
ることができる。リサーチ・ディスクロージャー、17
123号(1978)などに記載の三色カプラー混合を
利用することにより、または米国特許第4、126、4
61号および英国特許第2、102、136号などに記
載されて黒発色カプラーを利用することにより、X線用
などの白黒感光材料にも本発明を適用できる。リスフィ
ルムもしくはスキャナーフィルムなどの製版用フィル
ム、直接・間接医療用もしくは工業用のX線フィルム、
撮影用ネガ白黒フィルム、白黒印画紙、COM用もしく
は通常マイクロフィルム、銀塩拡散転写型感光材料およ
びプリントアウト型感光材料にも本発明を適用できる。
【0073】本発明の写真要素をカラー拡散転写写真法
に適用するときには、剥離(ピールアパート)型あるい
は特公昭46−16、356号、同48−33、697
号、特開昭50−13、040号および英国特許第1、
330、524号に記載されているような剥離不要型の
フィルムユニットの剛性をとることができる。上記いず
れの型のフォーマットにおいても中和タイミング層によ
って保護されたポリマー酸層を使用することが、処理温
度の許容幅を広くする上で有利である。カラー拡散転写
写真法に使用する場合も、感材中のいずれの層に添加し
て用いてもよいし、あるいは、現像液成分として処理液
容器中に封じこめて用いてもよい。
【0074】本発明の感光材料には種々の露光手段を用
いることができる。感光材料の感度波長に相当する輻射
線を放射する任意の光源を照射光源または書き込み光源
として使用することができる。自然光(太陽光)、白熱
電灯、ハロゲン原子封入ランプ、水銀灯、蛍光灯および
ストロボもしくは金属燃焼フラッシュバルブなどの閃光
光源が一般的である。紫外から赤外域にわたる波長域で
発光する、気体、染料溶液もしくは半導体のレーザー、
発光ダイオード、プラズマ光源も記録用光源に使用する
ことができる。また、電子線などによって励起された蛍
光体から放出される蛍光面(CRTなど)、液晶(LC
D)やランタンをドープしたチタンジルコニウム酸鉛
(PLZT)などを利用したマイクロシャッターアレイ
に線状もしくは面状の光源を組み合わせた露光手段も使
用することができる。必要に応じて色フィルターで露光
に用いる分光分布を調整できる。
【0075】本発明の感光材料の現像処理に用いる発色
現像液は、好ましくは芳香族第一級アミン系発色現像主
薬を主成分とするアルカリ性水溶液である。この発色現
像主薬としては、アミノフェノール系化合物も有用であ
るが、p−フェニレンジアミン系化合物が好ましく使用
され、その代表例として3−メチル−4−アミノ−N,
N−ジエチルアニリン、3−メチル−4−アミノ−N−
エチル−N−β−ヒドロキシエチルアニリン、3−メチ
ル−4−アミノ−N−エチル−N−β−メタンスルホン
アミドエチルアニリン、3−メチル−4−アミノ−N−
エチル−N−β−メトキシエチルアニリンおよびこれら
の硫酸塩、塩酸塩もしくはp−トルエンスルホン酸塩な
どが挙げられる。これらのジアミン類は遊離状態よりも
塩の方が一般に安定であり、好ましく使用される。
【0076】発色現像液は、アルカリ金属の炭酸塩、ホ
ウ酸塩もしくはリン酸塩のようなpH緩衝剤、臭化物、
ヨウ化物、ベンズイミダゾール類、ベンゾチアゾール類
もしくはメルカプト化合物のような現像抑制剤またはか
ぶり防止剤などを含むのが一般的である。また必要に応
じて、ヒドロキシルアミンまたは亜硫酸塩のような保恒
剤、トリエタノールアミン、ジエチレングリコールのよ
うな有機溶剤、ベンジルアルコール、ポリエチレングリ
コール、四級アンモニウム塩、アミン類のような現像促
進剤、色素形成カプラー、競争カプラー、ナトリウムボ
ロンハイドリドのような造核剤、1−フェニル−3−ピ
ラゾリドンのような補助現像薬、粘性付与剤、アミノポ
リカルボン酸、アミノポリホスホン酸、アルキルホスホ
ン酸、ホスホノカルボン酸に代表されるような各種キレ
ート剤、西独特許出願(OLS)第2、622、950
剛に記載の酸化防止剤などを発色現像液に添加してもよ
い。
【0077】反転カラー感光材料の現像処理では、通常
白黒現像を行ってから発色現像する。この白黒現像液に
は、ハイトロキノンなどのジヒドロキシベンゼン類、1
−フェニル−3−ピラゾリドンなどの3−ピラゾリドン
類またはN−メチル−p−アミノフェノールなどのアミ
ノフェノール類など公知の白黒現像薬を単独であるいは
組み合わせて用いることができる。
【0078】発色現像後の写真乳剤層は通常漂白処理さ
れる。漂白処理は定着処理と同時に行われてもよいし、
個別に行われてもよい。更に処理の迅速化を計るため、
漂白処理後、漂白定着処理する処理方法でもよい。漂白
剤としては例えば鉄(III)、コバルト(III)、
クロム(IV)、銅(II)などの多価金属の化合物、
過酸類、キノン類、ニトロン化合物等が用いられる。代
表的漂白剤としてはフェリシアン化物;重クロム酸塩;
鉄(III)もしくはコバルト(III)の有機錯塩、
例えばエチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン
五酢酸、ニトリロ三酢酸、1,3−ジアミノ−2−プロ
パノール四酢酸などのアミノポリカルボン酸もしくはク
エン酸、酒石酸、リンゴ酸などの有機酸の錯塩;過硫
酸;マンガン酸塩;ニトロソフェノールなどを用いるこ
とができる。これらのうちエチレンジアミン四酢酸鉄
(III)塩、ジエチレントリアミン五酢酸(III)
および過硫酸塩は迅速処理と環境汚染の観点から好まし
い。さらにエチレンジアミン四酢酸鉄(III)錯塩は
独立の漂白液においても、一浴漂白定着液においても特
に有用である。
【0079】漂白液、漂白定着液およびそれらの前浴に
は、必要に応じて漂白促進剤を使用することができる。
有用な漂白促進剤の具体例は、次の明細書に記載されて
いる:米国特許第3、893、858号、西独特許第
1、290、812号、同第2、059、988号、特
開昭53−32、736号、同53−57、831号、
同37−418号、同53−65、832号、同53−
72、623号、同53−95、630号、同53−9
5、631号、同53−104、232号、同53−1
24、424号、同53−141、623号、同53−
28、426号、リサーチ・ディスクロージャー、17
129号(1978)などに記載のメルカプト基または
ジスルフィド基を有する化合物;特開昭50−140、
129号に記載されている如きチアゾリジン誘導体;特
公昭45−8、506号、特開昭52−20、832
号、同53−32、735号、米国特許第3、706、
561号に記載のチオ尿素誘導体;西独特許第1、12
7、715号、特開昭58−16、235号に記載のヨ
ウ化物;西独特許第966、410号、同第2、74
8、430号に記載のポリエチレンオキサイド類;特公
昭45−8、836号に記載のポリアミン化合物;その
他特開昭49−42、434号、同49−59、644
号、同53−94、927号、同54−35、727
号、同55−26、506号および同58−163、9
40号記載の化合物およびヨウ素化物、臭素化物イオン
も使用できる。なかでもメルカプト基またはジスルフィ
ド基を有する化合物が促進効果が大きい観点で好まし
く、特に米国特許第3、893、858号、西独特許第
1、290、812号、特開昭53−95、630号に
記載の化合物が好ましい。更に、米国特許第4、55
2、834号に記載の化合物も好ましい。これらの漂白
促進剤は感剤中に添加してもよい。撮影用のカラー感光
材料を漂白定着するときに、これら漂白促進剤は特に有
効である。定着剤としてはチオ硫酸塩、チオシアン酸
塩、チオエーテル系化合物、チオ尿素類、多量のヨウ化
物等をあげることができるが、チオ硫酸塩の使用が一般
的である。漂白定着液や定着液の保恒剤としては、亜硫
酸塩や重亜硫酸塩あるいはカルボニル重亜硫酸付加物が
好ましい。
【0080】漂白定着処理もしくは定着処理の後は通
常、水洗処理および安定化処理が行われる。水洗処理行
程および安定化行程には、沈澱防止や、節水の目的で、
各種の公知化合物を添加してもよい。例えば沈澱を防止
するためには、無機リン酸、アミノポリカルボン酸、有
機アミノポリホスホン酸、有機リン酸等の硬水軟化剤、
各種のバクテリアや藻やカビの発生を防止する殺虫剤や
防バイ剤、マグネシウム塩やアルミニウム塩、ビスマス
塩に代表される金属塩、あるいは乾燥負荷やムラを防止
するための界面活性剤、および各種硬膜剤等を必要に応
じて添加することができる。あるいはウエスト著、フォ
トグラフィック・サイエンス・アンド・エンジニアリン
グ誌(L.E.West,Phot.Sci.En
g.)、第6巻、344(1965)等に記載の化合物
を添加してもよい。特に、キレート剤や防バイ剤の添加
が有効である。
【0081】水洗工程は2層以上の漕を向流水洗にし、
節水するのが一般的である。更には、水洗工程のかわり
に特開昭57−8、543号記載のような多段向流安定
化処理工程を実施してもよい。本工程の場合には2〜9
漕の向流浴が必要である。本安定化浴中には前述の添加
剤以外に画像を安定化する目的で各種化合物が添加され
る。例えば膜pHを調整する(例えばpH3〜9)ため
の各種の緩衝剤(例えば、ホウ酸塩、メタホウ酸塩、ホ
ウ砂、リン酸塩、炭酸塩、水酸化カリウム、水酸化ナト
リウム、アンモニア水、モノカルボン酸、ジカルボン
酸、ポリカルボン酸などを組み合わせて使用)やホルマ
リンなどのアルデヒドを代表例として挙げることができ
る。その他、必要に応じてキレート剤(無機リン酸、ア
ミノポリカルボン酸、有機リン酸、有機ホスホン酸、ア
ミノポリホスホン酸、ホスホノカルボン酸など)、殺虫
剤(ベンゾイソチアゾリノン、イリチアゾロン、4−チ
アゾリンベンズイミダゾール、ハロゲン化フェノール、
スルファニルアミド、ベンゾトリアゾールなど)、界面
活性剤、蛍光増白剤、硬膜剤などの各種添加剤を使用し
てもよく、同一もしくは異種の目的の化合物を二種以上
併用してもよい。
【0082】また、処理後の膜pH調整剤として塩化ア
ンモニウム、硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、リ
ン酸アンモニウム、亜硫酸アンモニウム、チオ硫酸アン
モニウム等の各種アンモニウム塩を添加するのが好まし
い。また撮影用カラー感剤では、通常行われている定着
後の(水洗−安定)工程を前述の安定化工程および水洗
工程(節水処理)におきかえることもできる。この際、
マゼンタカプラーが2当量の場合には、安定浴中のホル
マリンは除去してもよい。本発明の水洗および安定化処
理時間は、感材の種類、処理条件によって相違すること
が通常20秒〜10分であり、好ましくは20秒〜5分
である。
【0083】本発明のハロゲン化銀カラー感光材料には
処理の簡略化および迅速化の目的でカラー現像主薬を内
蔵してもよい。内蔵するためには、カラー現像主薬の各
種プレカーサーを用いるのが好ましい。例えば米国特許
第3、342、592号記載のインドアニリン系化合
物、同第3、342、599号、リサーチ・ディスクロ
ージャー、14850号および15159号記載のシッ
フ塩基型化合物、同No.13924記載のアルドール
化合物、米国特許第3、719、492号記載の金属錯
塩、特開昭53−135、628号記載のウレタン系化
合物をはじめとして、特開昭56−6、235号、同5
6−16、133号、同56−59、232号、同56
−67、842号、同56−83、734号、同56−
83、735号、同56−83、736号、同56−8
9、735号、同56−81、837号、同56−5
4、430号、同56ー106、241号、同56−1
07、236号、同57−97、531号および同57
−83、565号等に記載の各種塩タイプのプレカーサ
ーを挙げることができる。本発明のハロゲン化銀カラー
感光材料は、必要に応じて、カラー現像を促進する目的
で、各種の1−フェニル−3−ピラゾリドン類を内蔵し
てもよい。典型的な化合物は特開昭56−64、339
号、同57−144、547号、同57−211、14
7号、同58−50、532号、同58−50、536
号、同58−50、533号、同58−50、534
号、同58−50、535号および同58−115、4
38号などに記載されている。
【0084】本発明における各種処理液は10〜50℃
において使用される。33℃ないし38℃の温度が標準
的であるが、より高温にして処理を促進し処理時間を短
縮したり、逆により低温にして画質の向上や処理液の安
定性の改良を達成することができる。また、感光材料の
節銀のため西独特許第2、226、770号または米国
特許第3、674、499号に記載のコバルト補力もし
くは過酸化水素補力を用いた処理を行ってもよい。各種
処理浴内には必要に応じて、ヒーター、温度センサー、
液面センサー、循環ポンプ、フィルター、浮きブタ、ス
クイジーなどを設けてもよい。また、連続処理に際して
は、各処理液の補充液を用いて、液組成の変動を防止す
ることによって一定の仕上がりが得られる。補充量は、
コスト低減などのため標準補充量の半分あるいは半分以
下に下げることもできる。本発明の感光材料がカラーペ
ーパーの場合はきわめて一般的に、また撮影用カラー写
真材料である場合も必要に応じて漂白定着処理すること
ができる。
【0085】
【実施例】以下に、本発明を具体例により詳細に説明す
るが、本発明はこれに限定されるものではない。 実施例1 「乳剤A:臭化銀八面体種晶乳剤」75°Cに保ったゼ
ラチン813.6gと臭化カリウム5.65gを含むp
H5.0の水溶液20900mlに、攪拌しながら硝酸
銀水溶液(AgNO310.8g)813.6mlと臭
化カリウム水溶液(KBr8.5g)813.6mlを
10分間で添加し、続いて同濃度の硝酸銀水溶液および
臭化カリウム水溶液をそれぞれ4027.3mlを7.
5分間でそれぞれダブルジェット法で添加した。臭化カ
リウム31.6gを追加添加した後、硝酸銀水溶液(A
gNO33093.7g)20289mlを最初40.
68ml/minの流速から加速して70分間で添加
し、同時に臭化カリウム水溶液(163.6g/l)を
ダブルジェット法で銀電位0mV(対飽和カロメル電
極)に保つようにコントロールして添加した。添加終了
後35°Cまで降温し、通常の沈降法により可溶性塩類
を除去した後、再び40°Cに昇温し、ゼラチンを追添
して溶解し、pH6.5になるように調整した。得られ
た粒子は投影面積径0.70μmの単分散臭化銀八面体
粒子(変動係数15%)であった。
【0086】「乳剤B−1:臭化銀八面体乳剤」50°
Cに保った臭化カリウム0.4gを含む水溶液1189
mlに、乳剤Aを572g添加し溶解させる。この溶液
に攪拌しながら硝酸銀水溶液(AgNO 311.1g)
192mlを12分間添加し、同時に臭化カリウム水溶
液(KBr41g/l)をダブルジェット法で銀電位0
mVに保つようにコントロールして添加した。4分後、
硝酸銀水溶液(AgNO335.5g)408mlを3
4分間添加し、同時に臭化カリウム水溶液(KBr1
2.4g)408mlを定量添加し、さらに同時に臭化
カリウム(KBr41g/l)をトリプルジェット法で
銀電位0mVに保つようにコントロールして添加した。
添加終了5分後硝酸カリウム(50g)添加して35°
Cまで降温し、通常の沈降法により可溶性塩類を除去し
た後、再び40°Cに昇温し、ゼラチンを追添して溶解
し、pH6.5になるように調整した。得られた粒子は
投影面積径0.82μmの単分散臭化銀八面体粒子(変
動係数20%)であった。
【0087】「乳剤B−2〜B−4:六シアノ金属錯体
を表面層にドープした臭化銀八面体乳剤」(比較例) 乳剤B−1の粒子形成の最後に定量添加に使われる臭化
カリウム水溶液(KBr12.4g)408mlに銀1
モル当たり1×10-3モルの下記の六シアノ金属錯体
(18)、(19)および(20)をそれぞれ含む以外
は、乳剤Bとまったく同様にして得られる乳剤B−2、
B−3およびB−4をそれぞれ調製した。
【0088】 (18) K4 [Fe(CN)6 ]・3H2 O (19) K3 [Fe(CN)6 ] (20) K3 [Ru(CN)6
【0089】「乳剤C−1:ハロゲン化銀粒子形成後シ
アン除去を目的にした本発明の化合物を粒子形成後に添
加した臭化銀八面体」(比較例) 乳剤B−1の硝酸銀水溶液および臭化カリウム水溶液添
加をすべて終了した2分後に、本発明の化合物である四
塩化金(III)酸(9)を銀1モルあたり2.5×1
-5添加し、さらに5分間50°Cに保ち攪拌したこと
以外は、乳剤B−1とまったく同様にして、乳剤C−1
を得た。
【0090】「乳剤C−2〜C−4:ハロゲン化銀粒子
形成後シアン除去を目的にした本発明の化合物を粒子形
成後に添加し、六シアノ金属錯体を表面層にドープした
臭化銀八面体」(本発明) 乳剤B−2〜B−4の硝酸銀水溶液および臭化カリウム
水溶液添加をすべて終了した2分後に、本発明の化合物
である四塩化金(III)酸(9)を銀1モルあたり
2.5×10-5添加し、さらに5分間50°Cに保ち攪
拌したこと以外は、乳剤B−2〜B−4とまったく同様
にして、乳剤C−2〜C−4をそれぞれ得た。
【0091】つぎに、乳剤B−1〜B−4およびC−1
〜C−4に、銀1モル当たりそれぞれチオ硫酸ナトリウ
ムを1.44×10-5モル、塩化金酸カリウムを8.7
0×10-6モルおよびチオシアン酸カリウムを4.09
×10-4モルをそれぞれ添加し60°Cで最適な金およ
び硫黄で化学増感を施した。
【0092】これら乳剤にゼラチン、ドデシルベンゼン
スルホン酸ナトリウムを加えて、下塗層を有するトリア
セチルセルロースフィルム支持体上に、ゼラチン、ポリ
メチルメタクリレート粒子、2,4−ジクロロ−6−ヒ
ドロキシ−s−トリアジンナトリウム塩を含む保護層と
共に押し出し法でそれぞれ銀量2g/m2 で塗布し、乳
剤名と同じ塗布試料B−1〜B−4およびC−1〜C−
4をそれぞれ得た。
【0093】また、乳剤B−1〜B−4およびC−1〜
C−4を上記化学増感を施した後で、塗布直前に下記に
示される分光増感色素を銀1モルあたり1.98×10
-4モル添加して、40°C、20分間加熱攪拌してハロ
ゲン化銀粒子にそれぞれ吸着させ、上記と同様な方法で
塗布し、塗布試料D−1〜D−4およびE−1〜E−4
をそれぞれ得た。
【0094】
【化1】
【0095】これら試料に、BPN−42フィルター
(420nm以上の光を遮断)を通してセンシトメトリ
ー用露光(1秒および10-3秒)を光学楔を介して与え
たあと、下記処方のMAA−1現像液で、20°Cで1
0分間現像したあと常法により停止、定着、水洗、乾燥
し、光学濃度を測定した。被りは、試料の最小光学濃度
で求めた。感度は、カブリ+0.1の光学濃度を得るの
に必要な露光量の逆数で表し、試料B−1での値を10
0とする相対値として表した。階調は特性曲線部分の傾
きを表し、大きいほど硬調となる。
【0096】
【表1】
【0097】また、色素を添加したことによる固有減感
幅を、露光量の逆数の対数値(−logE)で表し、表
2にまとめた。この値が大きいほど固有減感が大きいこ
とを示す。
【0098】
【表2】
【0099】MAA−1現像液 メトール 2.5g L−アスコルビン酸 10.0g ナボックス 35.0g KBr 1.0g 水を加えて 1リットル
【0100】表1および表2より明らかなように、六シ
アノ金属錯体をハロゲン化銀粒子表面層にドープした乳
剤では、硬調でかつ色素を添加した系での固有減感幅が
小さいという特長があるが、青色露光の固有感度がかな
り低い。これは、六シアノ金属錯体とゼラチンとの相互
作用によって生じたシアンが金増感を阻害していること
が著者らの研究で明きらかになっている。また、金増感
阻害であるので、未後熟や硫黄増感単独ではもちろん青
色露光の固有感度は非ドープ乳剤に比べて同等であるこ
とも著者らの研究で明きらかになっている。そこで、本
発明の化合物である四塩化金(III)酸(9)を粒子
形成終了後に添加して、水洗を行うと被りを抑えた状態
で固有感度が回復し、なお硬調で色素による固有減感幅
が小さい特長を合わせ持つことが明らかになった。非ド
ープ乳剤でも若干の効果が見られるが、これらの効果は
高照度でより顕著にみられる。
【0101】塗布試料D−1〜D−4およびE−1〜E
−4について、SC−60フィルター(600nm以下
の光を遮断)を通してセンシトメトリー用露光(1秒お
よび10-3秒)を光学楔を介して与えたあと、上記処方
のMAA−1現像液で、20°Cで10分間現像したあ
と常法により停止、定着、水洗、乾燥し、光学濃度を測
定した。被りは、試料の最小光学濃度で求めた。感度
は、カブリ+0.1の光学濃度を得るのに必要な露光量
の逆数で表し、試料D−1での値を100とする相対値
として表した。階調は特性曲線部分の傾きを表し、大き
いほど硬調となる。
【0102】
【表3】
【0103】表3より明らかなように、六シアノ金属錯
体をハロゲン化銀粒子表面層にドープした乳剤では、硬
調でかつ色増感を施したときの感度が高いという特長が
ある。これは、シアンによる金増感阻害が起きている状
態ですでに高いのであるが、本発明の化合物である四塩
化金(III)酸(9)を粒子形成後添加して、水洗す
ると色増感感度は被りを抑えた状態でさらに高感とな
る。非ドープ乳剤でも若干の効果が見られるが、これら
の効果は高照度でより顕著にみられる。
【0104】実施例2 「乳剤F−1:臭化銀立方体乳剤」870mlの水に3
6gの脱イオンゼラチンと0.25gの臭化カリウムを
加えて溶解した。75°Cに保ったこのゼラチン水溶液
中に攪拌しながら0.088Mの硝酸銀水溶液(溶液
1)36mlと0.088Mの臭化カリウム水溶液(溶
液2)36mlを10分間で添加し、続いて溶液1と溶
液2の各々176mlを7分間で通常のダブルジェット
で添加した。その後、0.82Mの硝酸銀水溶液(溶液
3)1010mlを最初1.8ml/minの流速から
流量を加速してして78分間で添加し、同時に0.90
Mの臭化カリウム水溶液(溶液4)を銀電位+100m
V(対飽和カロメル電極)に保つようにコントロールし
て添加した。さらに0.51Mの硝酸銀水溶液(溶液
5)を578mlと、0.51Mの臭化カリウム水溶液
(溶液6)を24分間で+100mVにコントロールし
て添加した。この後乳剤を35°Cまで降温し、通常の
沈澱法により可溶性塩類を除去した後、再び40°Cに
してゼラチン50gと水420mlを添加して溶解後、
pH6.3に調整した。得られた粒子は辺長0.65μ
mの単分散臭化銀立方体であり、そのサイズの変動係数
は10%であった。
【0105】「乳剤F−2〜F−6:六シアノ金属錯体
を表面層にドープした臭化銀立方体乳剤」(比較例) 乳剤F−1の溶液6にそれぞれ(18)、(19)およ
び(20)と下記に示した(21)および(22)を5
×10-4M溶解させた以外は乳剤F−1と全く同様にし
て得られる乳剤、F−2、F−3、F−4、F−5およ
びF−6をそれぞれ調製した。
【0106】(21) K3 [Co(CN)6 ] (22) K3 [Ir(CN)6
【0107】「乳剤G−1:ハロゲン化銀粒子形成後シ
アンを除去を目的にした本発明の化合物を粒子形成後に
添加した臭化銀立方体乳剤」乳剤F−1の硝酸銀水溶液
および臭化カリウム水溶液添加を終了した5分後に、本
発明の化合物である四塩化金(III)酸(9)を銀1
モルあたり2×10 -5モル添加し、さらに5分間75°
Cに保ち攪拌したこと以外は、乳剤F−1とまったく同
様にして、乳剤G−1を得た。
【0108】「乳剤G−2〜G−6:ハロゲン化銀粒子
形成後シアン除去を目的にした本発明の化合物を粒子形
成後に添加し、六シアノ金属錯体を表面層にドープした
臭化銀立方体乳剤」(本発明) 乳剤F−2〜F−6の硝酸銀水溶液(溶液5)および臭
化カリウム水溶液(溶液6)添加を終了した5分後に、
本発明の化合物である四塩化金(III)酸(9)を銀
1モルあたり2×10-5モル添加し、さらに5分間75
°Cに保ち攪拌したこと以外はまったく同様にして、乳
剤G−2〜G−6をそれぞれ得た。
【0109】つぎに、乳剤F−1〜F−6およびG−1
〜G−6に銀1モルあたり9.2×10-6モルのチオ硫
酸ナトリウム、2.1×10-6モルの塩化金酸カリウム
および2.5×10-4モルのチオシアン酸カリウムをそ
れぞれ添加して60°Cにて最適に化学増感した。その
後それらの乳剤をそれぞれ透明ベース上に2g/m2
塗布した。得られた塗布試料をそれぞれ乳剤名と同じF
−1〜F−6、G−1〜G−6とした。
【0110】これら乳剤にゼラチン、ドデシルベンゼン
スルホン酸ナトリウムを加えて、下塗層を有するトリア
セチルセルロースフィルム支持体上に、ゼラチン、ポリ
メチルメタクリレート粒子、2,4−ジクロロ−6−ヒ
ドロキシ−s−トリアジンナトリウム塩を含む保護層と
共に押し出し法でそれぞれ銀量2g/m2 で塗布し、乳
剤名と同じ塗布試料F−1〜F−6およびG−1〜G−
6をそれぞれ得た。
【0111】また、乳剤F−1〜F−6およびG−1〜
G−6を上記化学増感を施した後で、塗布直前に前記分
光増感色素を銀1モルあたり3.8×10-4モルモル添
加して、40°C、20分間加熱攪拌してハロゲン化銀
粒子にそれぞれ吸着させ、上記と同様な方法で塗布し、
塗布試料H−1〜H−6およびI−1〜I−6をそれぞ
れ得た。
【0112】これら試料に、BPN−42フィルター
(420nm以上の光を遮断)を通してセンシトメトリ
ー用露光(1秒および10-3秒)を光学楔を介して与え
たあと、上記処方のMAA−1現像液で、20℃で10
分間現像したあと常法により停止、定着、水洗、乾燥
し、光学濃度を測定し結果を表4にまとめた。 被り
は、試料の最小光学濃度で求めた。感度は、カブリ+
0.1の光学濃度を得るのに必要な露光量の逆数で表
し、試料F−1での値を100とする相対値として表し
た。階調は特性曲線の直線部分の傾きを表し、大きいほ
ど硬調となる。
【0113】
【表4】
【0114】また、色素を添加したことによる固有減感
幅を、色素を含有する試料と含有しない試料に固有域で
露光し、その感度差を露光量の逆数の対数値(−log
E)で表し、表5にまとめた。この値が大きいほど固有
減感が大きいことを示す。
【0115】
【表5】
【0116】表4および5より明らかなように、六シア
ノ金属錯体をハロゲン化銀粒子表面層に添加した立方体
乳剤でも、硬調でかつ色素を添加した系での固有減感幅
が小さいという特長があるが青色露光の固有感度がかな
り減感している。これについても、実施例1で示したよ
うに、六シアノ金属錯体とゼラチンとの相互作用によっ
て生じたシアンが金増感を阻害しているためで、この効
果がハロゲン化銀粒子の晶癖によらないことを示してい
る。また、未後熟および硫黄増感単独でも硬調でかつ色
素を添加した系での固有減感幅が小さいなど効果が大き
いことが著者らの研究で明らかになっている。本発明の
化合物である四塩化金(III)酸(9)を添加するこ
とにより、被りを抑えた状態で固有感度が非ドープ乳剤
とほぼ変わらない感度まで回復し、なお硬調で固有減感
幅が小さい特徴を立方体粒子でもあわせ持っている。こ
のように、ハロゲン化銀粒子の形にかかわらず、本発明
の化合物を添加することにより、階調、固有感度が高
く、固有減感幅が小さい乳剤を製造でき、六シアノ金属
錯体ドープ乳剤の特徴を最大限に生かすことができた。
【0117】塗布試料H−1〜H−6およびI−1〜I
−6について、SC−60フィルター(600nm以下
の光を遮断)を通してセンシトメトリー用露光(1秒お
よび10-3秒)を光学楔を介して与えたあと、上記処方
のMAA−1現像液で、20°Cで10分間現像したあ
と常法により停止、定着、水洗、乾燥し、光学濃度を測
定し、表6にまとめた。被りは、試料の最小光学濃度で
求めた。感度は、カブリ+0.1の光学濃度を得るのに
必要な露光量の逆数で表し、試料H−1での値を100
とする相対値として表した。階調は特性曲線の直線部分
の傾きを表し、大きいほど硬調となる。
【0118】
【表6】
【0119】表6より明らかなように、ハロゲン化銀粒
子が立方体でも六シアノ金属錯体をハロゲン化銀粒子表
面層に添加した乳剤では、色増感を施したときの感度が
高く、硬調という特長がある。これは、シアンによる金
増感阻害が起きている状態で高いのだが、本発明の化合
物である四塩化金(III)酸(9)を添加することに
より色増感感度はさらに高くなる。このように、立方体
粒子においても階調および色増感感度が高い乳剤を製造
でき、六シアノ金属錯体ドープ乳剤の特徴を最大限に生
かすことができた。
【0120】実施例3 「乳剤J−1:ヨウ臭化銀平板状粒子乳剤」40°Cに
保った0.05M臭化カリウムを含む0.8%低分子量
(分子量1万)のゼラチン溶液1500mlに、0.5
Mの硝酸銀溶液(溶液1)と0.5Mの臭化カリウム溶
液(溶液2)を15mlづつ攪拌しながらダブルジェッ
ト法で15秒間添加した。この時ゼラチン溶液のpHは
5.0であった。添加後、75°Cに昇温した。10%
脱イオンゼラチン溶液220mlを添加後、乳剤を20
分間熟成した。その後0.47Mの硝酸銀溶液(溶液
3)を80ml添加した。さらに10分間熟成をした後
60分間かけて150gの硝酸銀(溶液4)とpBrを
2.55に保つようにしてヨウ化カリウムを5モル%含
む臭化カリウム溶液(溶液5)が加速された流量の(終
了時の流量が開始時の流量の19倍)ダブルジェット法
で銀電位0mVに保つようにコントロールして添加し
た。添加終了後、10%ヨウ化カリウム溶液(溶液6)
を30ml添加した。その後、1N水酸化ナトリウムを
添加して乳剤のpHを7.2にした後、0.5Mの硝酸
銀溶液(溶液7)327mlと0.5Mの臭化カリウム
溶液(溶液8)を20分間で銀電位0mVでコントロー
ルしたダブルジェット法で添加した。その後、乳剤を3
5°Cまで冷却し、通常のフロキュレイション法で水洗
し、40°Cにて脱イオンされたゼラチン80gを添
加、溶解し、pHを6.5、pAgを8.6に調製後、
冷暗所に保存した。この平板状粒子は、その投影面積円
相当直径(以後、円相当径という)の変動係数が15%
で、円相当径は1.2μm、平均の厚みは0.18μm
で、ヨウ化銀を5.7モル%含むヨウ臭化銀乳剤であっ
た。
【0121】「乳剤J−2〜J−4:六シアノ金属錯体
を表面層にドープした乳剤」(比較例) 乳剤R−1において、最後のダブルジェット添加(シェ
ル形成)において0.5Mの臭化カリウム溶液(溶液
8)に、上記(18)、(19)および(20)の10
-2M溶液を16.4ml添加した以外は乳剤J−1と全
く同様にして乳剤J−2、J−3およびJ−4をそれぞ
れ調製した。
【0122】「乳剤K−1:ハロゲン化銀粒子形成後シ
アンを除去を目的にした本発明の化合物を粒子形成後に
添加したヨウ臭化銀平板乳剤」乳剤J−1の硝酸銀水溶
液(溶液7)および臭化カリウム水溶液(溶液8)添加
を終了した5分後に、本発明の化合物である四塩化金
(III)酸(9)を銀1モルあたり1×10-5モル添
加し、さらに5分間75°Cに保ち攪拌したこと以外
は、乳剤J−1とまったく同様にして、乳剤K−1を得
た。
【0123】「乳剤K−2〜K−4:ハロゲン化銀粒子
形成後シアン除去を目的にした本発明の化合物を粒子形
成後に添加し、六シアノ金属錯体を表面層にドープした
ヨウ臭化銀平板乳剤」(本発明) 乳剤J−2〜J−4の硝酸銀水溶液(溶液7)および臭
化カリウム水溶液(溶液8)添加を終了した5分後に、
本発明の化合物である四塩化金(III)酸(9)を銀
1モルあたり1×10-5モル添加し、さらに5分間75
°Cに保ち攪拌したこと以外はまったく同様にして、乳
剤K−2〜K−4をそれぞれ得た。
【0124】次に、乳剤J−1〜J−4およびK−1〜
K−4を、60°Cでチオ硫酸ナトリウム、塩化金酸カ
リウムおよびチオシアン酸カリウムを用い最適に化学増
感を施した。また、上記乳剤を化学増感を施した後に、
塗布直前に下記増感色素を銀1モルあたり2.4×10
-4モル添加し、40°Cで20分間ハロゲン化銀粒子に
吸着された。
【0125】
【化2】
【0126】下塗り層をもうけてある三酢酸セルロース
フィルム支持体上に下記の条件で乳剤および保護層を塗
布し、塗布試料を作成した。 [乳剤塗布条件] (1)乳剤層 ・乳剤 各種の乳剤 (銀:3.6×10-2モル/m2 ) ・下記に示すカプラー (1.5×10-3モル/m2 ) ・トリクレジルフォスフェート (1.10 g/m2 ) ・ゼラチン (2.30 g/m2 ) (2)保護層 ・2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジンナトリウム塩 (0.08 g/m2 ) ・ゼラチン (1.80 g/m2 ) これらの試料を40°C、相対湿度70%の条件下に1
4時間放置した後、イエローフィルターと連続ウエッジ
を通して1/100秒間露光し、下記のカラー現像を行
った。
【0127】
【化3】
【0128】 [カラー現像] 行程 処理時間 処理温度 発色現像 2分00秒 40°C 漂白定着 3分00秒 40°C 水洗(1) 20秒 35°C 水洗(2) 20秒 35°C 安定 20秒 35°C 乾燥 50秒 65°C 次に、処理液の組成を示す。
【0129】 (発色現像) (単位g) ジエチレントリアミン五酢酸 2.0 1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジスルホン亜硫酸ナトリウム 4.0 炭酸カリウム 30.0 臭化カリウム 1.4 ヨウ化カリウム 1.5mg ヒドロキシアミン硫酸 2.4 4−(N−エチル−N−β−ヒドロキシエチルアミノ)− 2−メチルアニリン硫酸塩 4.5 水を加えて 1.0リットル pH 10.05 (漂白定着液) エチレンジアミン四酢酸アンモニウム二水塩 90.0 エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩 5.0 亜硫酸ナトリウム 12.0 チオ硫酸アンモニウム水溶液(70%) 260.0ml 酢酸(98%) 5.0ml 下記に示す漂白促進剤 0.01モル 水を加えて 1.0リットル pH 6.0
【0130】
【化4】
【0131】(水洗液)水道水をH型カチオン交換樹脂
(ロームアンドハース社製アンバーライトIR−120
B)と、OH型アニオン交換樹脂(同アンバーライトI
R−400)を充填した混床式カラムに通水してカルシ
ウムおよびマグネシウムイオン濃度を3mg/リットル
以下に処理し、続いて二塩化イソシアヌール酸ナトリウ
ム20mg/リットルと硫酸ナトリウム1.5g/リッ
トルを添加した。この液のpHは6.5〜7.5の範囲
にある。
【0132】 (安定液) (単位mg) ホルマリン(37%) 2.0ml ポリオキシエチレン−p−モノフェニルエーテル (平均重合度 10) 0.3 エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム 0.05 水を加えて 1.0リットル pH 5.0〜8.0
【0133】分光増感感度は、被り+0.1の光学濃度
を与える露光量の逆数の体数の相対値で表示し、乳剤J
−1を100とした。階調は、得られた特性曲線の直線
部の傾きを表した。数字が大きいほど硬調となる。
【0134】圧力特性については、下記試験法によって
圧力特性の試験を行った。その後、センシトメトリー用
の露光を与え、前記のカラー現像を行った。 [試験法]相対湿度55%の雰囲気下に3時間以上置い
た後、同雰囲気下で太さ0.1mmφの針で4gの荷重
を加え、1cm/秒の速さで乳剤面を引っかく試験法。
【0135】現像したサンプルを5μm×1mmの測定
スリットで、圧力のかかった部分と圧力のかかっていな
い部分の濃度を測定した。未露光部には圧力被りが生
じ、高露光部には圧力減感が生じた。感度および圧力減
感の結果を表8に示す。
【0136】圧力減感の程度を乳剤J−1を100とし
て相対値で表した。数字が小さいほど圧力減感が小さい
ことを示す。
【0137】
【表7】
【0138】表7の結果から明らかなように、乳剤J−
2〜J−4までの六シアノ金属錯体を表面層にドープし
た乳剤では、階調と圧力減感は乳剤J−1に比べて改良
されているが、感度の増加はごくわずかである。それに
比べて本発明の四塩化金(III)酸(9)を添加した
乳剤K−2〜K−4は分光増感感度が乳剤P−1より高
く、かつ乳剤J−2〜J−4で得られている階調と圧力
減感の特徴が同等に保持されていた。これら本発明によ
る効果は、六シアノ金属錯体がドープされるときにゼラ
チンとの相互作用で生じたシアンが本発明の化合物で効
果的に除去されたことを示しており、ハロゲン化銀の組
成や晶癖によらないことが明らかになった。
【0139】
【発明の効果】実施例から明らかなように、本発明を適
用することにより、六シアノ金属錯体ドープ乳剤の性能
を最大限生かすことができ、製造安定性のよい高感度ハ
ロゲン化銀感光材料を提供することができる。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体上に少なくとも一層のハロゲン化
    銀乳剤層を有するハロゲン化銀写真感光材料において、
    該ハロゲン化銀乳剤層の少なくとも一層に含まれる乳剤
    のハロゲン化銀粒子が粒子中にハロゲン化銀1モル当た
    り10-7〜10-2モルの量の六シアノ金属錯体を含有
    し、かつ該六シアノ金属錯体の濃度が他の部分よりも1
    0倍以上高い局在相を粒子体積の50%以下の表面相中
    に有するものであり、乳剤の分散工程までに金を含有す
    る少なくとも一種の化合物を添加する方法で製造された
    もであることを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料
JP4385793A 1993-03-04 1993-03-04 ハロゲン化銀写真感光材料 Pending JPH06258754A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5759758A (en) * 1995-04-10 1998-06-02 Fuji Photo Film Co., Ltd. Silver halide photographic material

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US5759758A (en) * 1995-04-10 1998-06-02 Fuji Photo Film Co., Ltd. Silver halide photographic material

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