JPH06256655A - 色調安定性ポリフェニレンスルフィド組成物 - Google Patents
色調安定性ポリフェニレンスルフィド組成物Info
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- JPH06256655A JPH06256655A JP7532993A JP7532993A JPH06256655A JP H06256655 A JPH06256655 A JP H06256655A JP 7532993 A JP7532993 A JP 7532993A JP 7532993 A JP7532993 A JP 7532993A JP H06256655 A JPH06256655 A JP H06256655A
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- pps
- sulfide
- thiophosphite
- polyphenylene sulfide
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 溶融加工時、高温での使用時、あるいは熱処
理時など高温条件に曝された場合における着色が低減な
いしは防止されたPPS組成物を提供すること。 【構成】 (A)ポリフェニレンスルフィドに、(B)
少なくとも1つの置換または未置換のフェニレンスルフ
ィド単位を有する化合物のチオ亜燐酸エステルを配合し
てなることを特徴とする色調安定性ポリフェニレンスル
フィド組成物。
理時など高温条件に曝された場合における着色が低減な
いしは防止されたPPS組成物を提供すること。 【構成】 (A)ポリフェニレンスルフィドに、(B)
少なくとも1つの置換または未置換のフェニレンスルフ
ィド単位を有する化合物のチオ亜燐酸エステルを配合し
てなることを特徴とする色調安定性ポリフェニレンスル
フィド組成物。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、色調安定性に優れたポ
リフェニレンスルフィド組成物に関し、さらに詳しく
は、溶融成形時や空気中で高温で使用する場合に、色調
の安定性に優れた成形物を与えることができるポリフェ
ニレンスルフィド組成物に関する。
リフェニレンスルフィド組成物に関し、さらに詳しく
は、溶融成形時や空気中で高温で使用する場合に、色調
の安定性に優れた成形物を与えることができるポリフェ
ニレンスルフィド組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリフェニレンスルフィド(以下、PP
Sと略記)は、耐熱性、機械的特性、耐薬品性、難燃
性、電気的特性などに優れたエンジニアリングプラスチ
ックであるため、繊維、シート、フィルム、その他の各
種成形品の材料として、電気・電子分野、自動車分野、
機械・精密機械分野など広範な分野に用いられている。
成形用途としては、例えば、ガラス繊維や無機充填材な
どで強化されたコンパウンドとして、射出成形用途など
に適用されている。
Sと略記)は、耐熱性、機械的特性、耐薬品性、難燃
性、電気的特性などに優れたエンジニアリングプラスチ
ックであるため、繊維、シート、フィルム、その他の各
種成形品の材料として、電気・電子分野、自動車分野、
機械・精密機械分野など広範な分野に用いられている。
成形用途としては、例えば、ガラス繊維や無機充填材な
どで強化されたコンパウンドとして、射出成形用途など
に適用されている。
【0003】PPSは、一般に、アルカリ金属硫化物と
ジハロベンゼンとを極性有機溶剤中で反応させることに
より製造されている。ところが、特公昭45−3368
号公報に開示された従前のPPSの製造方法によれば、
比較的低分子量のPPSしか得ることができず、成形用
途に適用するには、重合により得られたPPSを酸素の
存在下で熱処理(キュアー)し、架橋・分枝させて高分
子量化する必要があった。この熱処理の結果、PPS
は、濃茶褐色に着色した粉末として得られ、所望の色に
調色することができなかった。
ジハロベンゼンとを極性有機溶剤中で反応させることに
より製造されている。ところが、特公昭45−3368
号公報に開示された従前のPPSの製造方法によれば、
比較的低分子量のPPSしか得ることができず、成形用
途に適用するには、重合により得られたPPSを酸素の
存在下で熱処理(キュアー)し、架橋・分枝させて高分
子量化する必要があった。この熱処理の結果、PPS
は、濃茶褐色に着色した粉末として得られ、所望の色に
調色することができなかった。
【0004】近年、直鎖状で高分子量のPPSの製造方
法について、各種の提案がなされている(特公昭52−
12240号公報、特公昭63−33775号公報
等)。これらの方法によれば、熱処理により架橋・分枝
構造を導入することなく、溶融加工法により各種成形品
に成形可能な高分子量PPSを得ることができる。しか
しながら、直鎖状・高分子量PPSは、重合反応後に白
色ポリマーとして得ることができるものの、成形加工時
や成形物を高温で使用する際など、酸素の存在下、熱に
曝されると着色するという欠点を有している。したがっ
て、従来、PPSから着色のない成形品や所望の色に調
色した成形品を得ることが困難であった。
法について、各種の提案がなされている(特公昭52−
12240号公報、特公昭63−33775号公報
等)。これらの方法によれば、熱処理により架橋・分枝
構造を導入することなく、溶融加工法により各種成形品
に成形可能な高分子量PPSを得ることができる。しか
しながら、直鎖状・高分子量PPSは、重合反応後に白
色ポリマーとして得ることができるものの、成形加工時
や成形物を高温で使用する際など、酸素の存在下、熱に
曝されると着色するという欠点を有している。したがっ
て、従来、PPSから着色のない成形品や所望の色に調
色した成形品を得ることが困難であった。
【0005】従来、PPSの成形加工時の着色、あるい
はPPS成形物が熱に曝されたときの着色を防止する方
法として、各種安定剤を配合する方法が知られている。
例えば、PPSなどの芳香族スルフィド重合体に、トリ
イソオクチルホスファイト、ジステアリルペンタエリス
リトールジホスファイト等の亜燐酸エステル類、アミン
誘導体、フェノール誘導体、ハイドロキノン誘導体、カ
テコール誘導体、及びアルキルチオエーテルの中から選
ばれた少なくとも1種以上の変質防止剤を添加すること
により、加工時の溶融粘度上昇や着色を防止する方法
(特開昭59−213759)、PPSに、3,4,5
−ジベンゾ−1,2−オキサホスファン−2−オキサイ
ドを添加することにより、溶融成形時における色相の安
定化を図る方法(特開平2−123161)が提案され
ている。
はPPS成形物が熱に曝されたときの着色を防止する方
法として、各種安定剤を配合する方法が知られている。
例えば、PPSなどの芳香族スルフィド重合体に、トリ
イソオクチルホスファイト、ジステアリルペンタエリス
リトールジホスファイト等の亜燐酸エステル類、アミン
誘導体、フェノール誘導体、ハイドロキノン誘導体、カ
テコール誘導体、及びアルキルチオエーテルの中から選
ばれた少なくとも1種以上の変質防止剤を添加すること
により、加工時の溶融粘度上昇や着色を防止する方法
(特開昭59−213759)、PPSに、3,4,5
−ジベンゾ−1,2−オキサホスファン−2−オキサイ
ドを添加することにより、溶融成形時における色相の安
定化を図る方法(特開平2−123161)が提案され
ている。
【0006】また、PPSのキュアー・リターダー(キ
ュアー遅延剤)としてではあるが、PPSに、トリラウ
リル−トリチオホスファイト、トリフェニル−トリチオ
ホスファイト等のチオ亜燐酸エステル類を添加する方法
も知られている(米国特許第4,412,062号)。
ュアー遅延剤)としてではあるが、PPSに、トリラウ
リル−トリチオホスファイト、トリフェニル−トリチオ
ホスファイト等のチオ亜燐酸エステル類を添加する方法
も知られている(米国特許第4,412,062号)。
【0007】しかしながら、前記亜燐酸エステルやチオ
亜燐酸エステル、その他の各種安定剤は、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等の汎用ポリマー
の安定化のために開発された化合物をPPS用の安定剤
として転用したものが多く、汎用ポリマーと比べて溶融
加工温度がかなり高いPPSに対して添加すると、次の
ような問題点を生じる。第一に、従来の安定剤は、熱安
定性が不十分なものが多く、高温での成形加工中に変質
し易い。第二に、従来の安定剤は、比較的低分子量の化
合物が多く、PPSの加工温度で揮散し易い。第三に、
従来の安定剤は、PPSとの相溶性に乏しいために、分
散不良になり易く、しかも成形後にブリードを起こし易
い。
亜燐酸エステル、その他の各種安定剤は、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等の汎用ポリマー
の安定化のために開発された化合物をPPS用の安定剤
として転用したものが多く、汎用ポリマーと比べて溶融
加工温度がかなり高いPPSに対して添加すると、次の
ような問題点を生じる。第一に、従来の安定剤は、熱安
定性が不十分なものが多く、高温での成形加工中に変質
し易い。第二に、従来の安定剤は、比較的低分子量の化
合物が多く、PPSの加工温度で揮散し易い。第三に、
従来の安定剤は、PPSとの相溶性に乏しいために、分
散不良になり易く、しかも成形後にブリードを起こし易
い。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、溶融
加工時、高温での使用時、あるいは熱処理時など高温条
件に曝された場合における着色が低減ないしは防止され
たPPS組成物を提供することにある。
加工時、高温での使用時、あるいは熱処理時など高温条
件に曝された場合における着色が低減ないしは防止され
たPPS組成物を提供することにある。
【0009】本発明者らは、前記従来技術の問題点を克
服するために鋭意研究した結果、少なくとも1つの置換
または未置換のフェニレンスルフィド単位を有する化合
物のチオ亜燐酸エステルがPPSの色調安定化効果を有
すると共に、PPSの溶融加工温度でも安定であり、分
解や揮散することがなく、しかもPPSとの相溶性が良
好であることを見いだした。この特定のチオ亜燐酸エス
テルを含むPPS組成物を用いて得られた成形物は、高
温での使用時や熱処理時における着色が大幅に低減され
る。本発明は、これらの知見に基づいて完成するに至っ
たものである。
服するために鋭意研究した結果、少なくとも1つの置換
または未置換のフェニレンスルフィド単位を有する化合
物のチオ亜燐酸エステルがPPSの色調安定化効果を有
すると共に、PPSの溶融加工温度でも安定であり、分
解や揮散することがなく、しかもPPSとの相溶性が良
好であることを見いだした。この特定のチオ亜燐酸エス
テルを含むPPS組成物を用いて得られた成形物は、高
温での使用時や熱処理時における着色が大幅に低減され
る。本発明は、これらの知見に基づいて完成するに至っ
たものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】かくして、本発明によれ
ば、(A)ポリフェニレンスルフィドに、(B)少なく
とも1つの置換または未置換のフェニレンスルフィド単
位を有する化合物のチオ亜燐酸エステルを配合してなる
ことを特徴とする色調安定性ポリフェニレンスルフィド
組成物が提供される。
ば、(A)ポリフェニレンスルフィドに、(B)少なく
とも1つの置換または未置換のフェニレンスルフィド単
位を有する化合物のチオ亜燐酸エステルを配合してなる
ことを特徴とする色調安定性ポリフェニレンスルフィド
組成物が提供される。
【0011】以下、本発明について詳述する。ポリフェニレンスルフィド(PPS) 本発明で使用するPPSは、一般式−Ar−S−(Ar
は、フェニレン基を示す)で表されるフェニレンスルフ
ィド繰り返し単位を含有するポリマーであり、p−フェ
ニレンスルフィド単位を50モル%以上含むポリマーが
好ましい。
は、フェニレン基を示す)で表されるフェニレンスルフ
ィド繰り返し単位を含有するポリマーであり、p−フェ
ニレンスルフィド単位を50モル%以上含むポリマーが
好ましい。
【0012】PPSの製造方法は、特に限定されない
が、代表的なPPSの製造方法としては、例えば、特公
昭45−3368号公報、特公昭52−12240号公
報、特公昭63−33775号公報等に開示された方
法、即ち、極性有機溶媒中で、アルカリ金属硫化物とジ
ハロ芳香族化合物とを反応させる方法を挙げることがで
きる。
が、代表的なPPSの製造方法としては、例えば、特公
昭45−3368号公報、特公昭52−12240号公
報、特公昭63−33775号公報等に開示された方
法、即ち、極性有機溶媒中で、アルカリ金属硫化物とジ
ハロ芳香族化合物とを反応させる方法を挙げることがで
きる。
【0013】アルカリ金属硫化物としては、例えば、硫
化リチウム、硫化ナトリウム、硫化カリウム、硫化ルビ
ジウム、硫化セシウム、及びこれらの混合物が挙げられ
る。これらのアルカリ金属硫化物は、水和物または水性
混合物として、あるいは無水の形で用いることができ
る。これらのアルカリ金属硫化物の中に微量含まれるこ
とがあるアルカリ金属重硫化物と反応させるために、小
量のアルカリ金属水酸化物を添加して、これをアルカリ
金属硫化物へ転換することができる。アルカリ金属硫化
物の前駆体として、重硫化リチウム、重硫化ナトリウ
ム、重硫化カリウム、重硫化ルビジウム、重硫化セシウ
ム、またはこれらの混合物を使用し、これらと等モル量
のアルカリ金属水酸化物とを同時に用いて、アルカリ金
属硫化物とすることができる。これらのアルカリ金属硫
化物及びアルカリ金属重硫化物の中では、特に、硫化ナ
トリウム、重硫化ナトリウムが安価であるため工業的に
は好ましい。
化リチウム、硫化ナトリウム、硫化カリウム、硫化ルビ
ジウム、硫化セシウム、及びこれらの混合物が挙げられ
る。これらのアルカリ金属硫化物は、水和物または水性
混合物として、あるいは無水の形で用いることができ
る。これらのアルカリ金属硫化物の中に微量含まれるこ
とがあるアルカリ金属重硫化物と反応させるために、小
量のアルカリ金属水酸化物を添加して、これをアルカリ
金属硫化物へ転換することができる。アルカリ金属硫化
物の前駆体として、重硫化リチウム、重硫化ナトリウ
ム、重硫化カリウム、重硫化ルビジウム、重硫化セシウ
ム、またはこれらの混合物を使用し、これらと等モル量
のアルカリ金属水酸化物とを同時に用いて、アルカリ金
属硫化物とすることができる。これらのアルカリ金属硫
化物及びアルカリ金属重硫化物の中では、特に、硫化ナ
トリウム、重硫化ナトリウムが安価であるため工業的に
は好ましい。
【0014】ジハロ芳香族化合物としては、p−ジフル
オロベンゼン、p−ジクロロベンゼン、p−ジブロモベ
ンゼン、p−ジヨードベンゼン等のp−ジハロベンゼ
ン、及びそれらの置換体;o−ジクロロベンゼン、m−
ジクロロベンゼン、2,5−ジクロロトルエン、1−メ
トキシ−2,5−ジクロロベンゼン、3,5−ジクロロ
安息香酸等のp−ジハロベンゼン以外のジハロベンゼン
類、及びジハロベンゼン置換体類;1,4−ジクロロナ
フタレン、2,6−ジクロロナフタレン等のジハロナフ
タレン類、及びそれらの置換体類;4,4′−ジクロロ
ベンゾフェノン等のジハロベンゾフェノン類及びそれら
の置換体類;4,4′−ジクロロジフェニルスルフォン
等のジハロフェニルスルフォン類及びそれらの置換体
類;4,4′−ジクロロジフェニルエーテル等のジハロ
ジフェニルエーテル類及びそれらの置換体類;4,4′
−ジクロロビフェニル等のジハロビフェニル類及びそれ
らの置換体類;4,4′−ジクロロジフェニルスルフォ
キシド等のジハロジフェニルスルフォキシド類及びそれ
らの置換体類;等が挙げられる。
オロベンゼン、p−ジクロロベンゼン、p−ジブロモベ
ンゼン、p−ジヨードベンゼン等のp−ジハロベンゼ
ン、及びそれらの置換体;o−ジクロロベンゼン、m−
ジクロロベンゼン、2,5−ジクロロトルエン、1−メ
トキシ−2,5−ジクロロベンゼン、3,5−ジクロロ
安息香酸等のp−ジハロベンゼン以外のジハロベンゼン
類、及びジハロベンゼン置換体類;1,4−ジクロロナ
フタレン、2,6−ジクロロナフタレン等のジハロナフ
タレン類、及びそれらの置換体類;4,4′−ジクロロ
ベンゾフェノン等のジハロベンゾフェノン類及びそれら
の置換体類;4,4′−ジクロロジフェニルスルフォン
等のジハロフェニルスルフォン類及びそれらの置換体
類;4,4′−ジクロロジフェニルエーテル等のジハロ
ジフェニルエーテル類及びそれらの置換体類;4,4′
−ジクロロビフェニル等のジハロビフェニル類及びそれ
らの置換体類;4,4′−ジクロロジフェニルスルフォ
キシド等のジハロジフェニルスルフォキシド類及びそれ
らの置換体類;等が挙げられる。
【0015】本発明で用いるPPSは、機械的性質、耐
熱性、耐薬品性、加工性等の諸物性からみて、p−フェ
ニレンスルフィド繰り返し単位を50モル%以上含むこ
とが好ましい。したがって、ジハロ芳香族化合物として
は、p−ジハロベンゼンを主成分として用いることが好
ましく、その中でもp−ジクロロベンゼンが安価に入手
できるので工業的には好ましい。p−ジハロベンゼン
は、単独で使用することができるが、他のジハロ芳香族
化合物の1種以上と共重合体を形成することができ、そ
の場合には、ランダム共重合体の他、ブロック共重合体
でありうる。ジハロ芳香族化合物の使用量は、アルカリ
金属硫化物1モル当たり通常0.90〜1.10モル、
好ましくは0.95〜1.05モルである。
熱性、耐薬品性、加工性等の諸物性からみて、p−フェ
ニレンスルフィド繰り返し単位を50モル%以上含むこ
とが好ましい。したがって、ジハロ芳香族化合物として
は、p−ジハロベンゼンを主成分として用いることが好
ましく、その中でもp−ジクロロベンゼンが安価に入手
できるので工業的には好ましい。p−ジハロベンゼン
は、単独で使用することができるが、他のジハロ芳香族
化合物の1種以上と共重合体を形成することができ、そ
の場合には、ランダム共重合体の他、ブロック共重合体
でありうる。ジハロ芳香族化合物の使用量は、アルカリ
金属硫化物1モル当たり通常0.90〜1.10モル、
好ましくは0.95〜1.05モルである。
【0016】なお、重合体の末端を形成させ、あるいは
分子量を調節する目的で、重合反応開始前、重合反応進
行中または重合反応終了後の適切な時期に、モノハロ化
合物(必ずしも芳香族化合物でなくてもよい)を添加す
ることができる。また、重合体に架橋または分枝構造を
導入する目的で、あるいは重合体の末端を形成させる目
的で、重合反応開始前、重合反応進行中または重合反応
終了後の適切な時期に、トリハロ以上のポリハロ化合物
(必ずしも芳香族化合物でなくてもよい)を添加するこ
とも可能である。
分子量を調節する目的で、重合反応開始前、重合反応進
行中または重合反応終了後の適切な時期に、モノハロ化
合物(必ずしも芳香族化合物でなくてもよい)を添加す
ることができる。また、重合体に架橋または分枝構造を
導入する目的で、あるいは重合体の末端を形成させる目
的で、重合反応開始前、重合反応進行中または重合反応
終了後の適切な時期に、トリハロ以上のポリハロ化合物
(必ずしも芳香族化合物でなくてもよい)を添加するこ
とも可能である。
【0017】PPSの重合に使用する重合溶媒として
は、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン、N
−メチルカプロラクタム、N−エチルカプロラクタム、
テトラメチル尿素、1,3−ジメチル−2−イミダゾリ
ジノン、ヘキサメチル燐酸トリアミド、ジメチルホルム
アミド等の極性有機溶媒、及びこれらの混合物を挙げる
ことができる。極性有機溶媒の使用量は、アルカリ金属
硫化物1モル当たり通常0.2〜2.0kg、好ましく
は0.3〜1.0kgである。PPSの重合の際、特公
昭52−12240号公報等に開示されている酢酸リチ
ウム、塩化リチウム、安息香酸ナトリウム等の重合助剤
を共存させておいてもよい。
は、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン、N
−メチルカプロラクタム、N−エチルカプロラクタム、
テトラメチル尿素、1,3−ジメチル−2−イミダゾリ
ジノン、ヘキサメチル燐酸トリアミド、ジメチルホルム
アミド等の極性有機溶媒、及びこれらの混合物を挙げる
ことができる。極性有機溶媒の使用量は、アルカリ金属
硫化物1モル当たり通常0.2〜2.0kg、好ましく
は0.3〜1.0kgである。PPSの重合の際、特公
昭52−12240号公報等に開示されている酢酸リチ
ウム、塩化リチウム、安息香酸ナトリウム等の重合助剤
を共存させておいてもよい。
【0018】重合方法については、前記したとおり従来
公知の方法を採用することができ、特に限定されない
が、具体例として、例えば、仕込みアルカリ金属硫化物
1モル当たり0.5〜2.4モルの水が存在する状態
で、150〜235℃の温度で反応を行って、ジハロ芳
香族化合物の転化率50〜98モル%まで反応させ、次
いで、仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たり2.5〜
7.0モルの水を反応系内に存在させ、245〜280
℃の温度に昇温して反応を継続する方法(特公昭63−
33775号公報)を挙げることができる。
公知の方法を採用することができ、特に限定されない
が、具体例として、例えば、仕込みアルカリ金属硫化物
1モル当たり0.5〜2.4モルの水が存在する状態
で、150〜235℃の温度で反応を行って、ジハロ芳
香族化合物の転化率50〜98モル%まで反応させ、次
いで、仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たり2.5〜
7.0モルの水を反応系内に存在させ、245〜280
℃の温度に昇温して反応を継続する方法(特公昭63−
33775号公報)を挙げることができる。
【0019】重合後のPPSの回収・後処理の方法につ
いては、特に限定されない。特に十分にアルカリ金属イ
オンを除去したい場合には、PPSを塩化アンモニウム
の水溶液等で洗浄してもよい(特開昭62−48728
号公報)。
いては、特に限定されない。特に十分にアルカリ金属イ
オンを除去したい場合には、PPSを塩化アンモニウム
の水溶液等で洗浄してもよい(特開昭62−48728
号公報)。
【0020】チオ亜燐酸エステル 本発明では、PPSの色調を安定化させるために、特定
のチオ亜りん酸エステル、即ち、少なくとも1つの置換
または未置換のフェニレンスルフィド単位を有する化合
物のチオ亜燐酸エステルを使用する。本発明で使用する
チオ亜燐酸エステルは、分子中に下記一般式〔I〕で表
される構造を含む化合物である。
のチオ亜りん酸エステル、即ち、少なくとも1つの置換
または未置換のフェニレンスルフィド単位を有する化合
物のチオ亜燐酸エステルを使用する。本発明で使用する
チオ亜燐酸エステルは、分子中に下記一般式〔I〕で表
される構造を含む化合物である。
【0021】
【化1】 一般式〔I〕中、aは、正の整数であり、通常1〜50
の範囲である。フェニレン基は、0−、m−またはp−
体を含み、また、アルキル基、アルコキシ基等の置換基
を持っていてもよい(以下の化学式においても同様であ
る)。
の範囲である。フェニレン基は、0−、m−またはp−
体を含み、また、アルキル基、アルコキシ基等の置換基
を持っていてもよい(以下の化学式においても同様であ
る)。
【0022】このようなチオ亜燐酸エステルは、例え
ば、(1)少なくとも一方の末端にチオール基(メルカ
プト基)を有するポリフェニレンスルフィドオリゴマー
とハロゲン化燐化合物とを反応させる方法、(2)ビス
(4−メルカプトフェニル)スルフィド、4−メルカプ
トジフェニルスルフィドなどの分子中にフェニレンスル
フィド基とチオール基とを有する有機化合物と、ハロゲ
ン化燐化合物とを反応させる方法により合成することが
できる。なお、チオール基(−SH)は、所望によりチ
オラート基(例えば、−SNa)になっていてもよい。
ば、(1)少なくとも一方の末端にチオール基(メルカ
プト基)を有するポリフェニレンスルフィドオリゴマー
とハロゲン化燐化合物とを反応させる方法、(2)ビス
(4−メルカプトフェニル)スルフィド、4−メルカプ
トジフェニルスルフィドなどの分子中にフェニレンスル
フィド基とチオール基とを有する有機化合物と、ハロゲ
ン化燐化合物とを反応させる方法により合成することが
できる。なお、チオール基(−SH)は、所望によりチ
オラート基(例えば、−SNa)になっていてもよい。
【0023】チオ亜燐酸エステルの合成方法は、例え
ば、R.A.ショウらの方法(R.A.Shaw an
d M.Woods,Phosphorus,197
1,Vol.1,pp.191−197)を準用するこ
とができる。
ば、R.A.ショウらの方法(R.A.Shaw an
d M.Woods,Phosphorus,197
1,Vol.1,pp.191−197)を準用するこ
とができる。
【0024】チオ亜燐酸エステルの合成に用いられるポ
リフェニレンスルフィドオリゴマー(PPSオリゴマ
ー)あるいは分子中にフェニレンスルフィド基とチオー
ル基とを有する有機化合物は、フェニレンスルフィド単
位を通常1〜50の範囲で含有するものである。フェニ
レンスルフィド単位が大きくなり過ぎると、チオ亜りん
酸エステル中の燐含有量が少なくなり過ぎて、色調安定
化剤としての効果が乏しくなる。分子中に一般式〔I〕
で表される構造を持つチオ亜燐酸エステルは、優れた着
色防止効果を示すだけでなく、PPSとの相溶性が良
く、PPSの溶融加工条件下でも揮散し難い。
リフェニレンスルフィドオリゴマー(PPSオリゴマ
ー)あるいは分子中にフェニレンスルフィド基とチオー
ル基とを有する有機化合物は、フェニレンスルフィド単
位を通常1〜50の範囲で含有するものである。フェニ
レンスルフィド単位が大きくなり過ぎると、チオ亜りん
酸エステル中の燐含有量が少なくなり過ぎて、色調安定
化剤としての効果が乏しくなる。分子中に一般式〔I〕
で表される構造を持つチオ亜燐酸エステルは、優れた着
色防止効果を示すだけでなく、PPSとの相溶性が良
く、PPSの溶融加工条件下でも揮散し難い。
【0025】PPSオリゴマーは、例えば、(1)通常
のPPS重合反応条件で、仕込みモノマー比、即ち、ジ
ハロ芳香族化合物/硫化ナトリウム比を硫化ナトリウム
大過剰に設定することにより、任意の平均分子量を有す
るPPSオリゴマーを得る方法、(2)予め合成したP
PSを有機極性溶媒中でアルカリ金属硫化物と反応させ
て解重合する方法(特願平2−109479、特願平2
−109480等)等によって合成することができる。
このようにして得られたPPSオリゴマーは、フェニレ
ンスルフィドの繰り返し単位を有し、その一方または両
方の末端がチオール基またはチオラート基となってい
る。チオラート基は、酸で処理するとチオール基とな
る。PPSオリゴマーのフェニレンスルフィド繰り返し
単位の数は、通常、2〜50程度である。
のPPS重合反応条件で、仕込みモノマー比、即ち、ジ
ハロ芳香族化合物/硫化ナトリウム比を硫化ナトリウム
大過剰に設定することにより、任意の平均分子量を有す
るPPSオリゴマーを得る方法、(2)予め合成したP
PSを有機極性溶媒中でアルカリ金属硫化物と反応させ
て解重合する方法(特願平2−109479、特願平2
−109480等)等によって合成することができる。
このようにして得られたPPSオリゴマーは、フェニレ
ンスルフィドの繰り返し単位を有し、その一方または両
方の末端がチオール基またはチオラート基となってい
る。チオラート基は、酸で処理するとチオール基とな
る。PPSオリゴマーのフェニレンスルフィド繰り返し
単位の数は、通常、2〜50程度である。
【0026】分子中にフェニレンスルフィド基とチオー
ル基とを有する有機化合物としては、例えば、1,3−
ベンゼンジチオール、1,4−ベンゼンジチオール、ビ
ス(4−メルカプトフェニル)スルフィド、4−メルカ
プトジフェニルスルフィド、4−クロロ−4’−メルカ
プトジフェニルスルフィドなどを挙げることができる。
これらのフェニレンスルフィド単位とチオール基を有す
る化合物は、ハロゲン化燐化合物と反応させることによ
りチオ亜りん酸エステル結合が導入される。ハロゲン化
燐化合物としては、例えば、三塩化燐、三臭化燐、2−
クロロ−1,3,2−ジオキサホスホランなどを挙げる
ことができる。
ル基とを有する有機化合物としては、例えば、1,3−
ベンゼンジチオール、1,4−ベンゼンジチオール、ビ
ス(4−メルカプトフェニル)スルフィド、4−メルカ
プトジフェニルスルフィド、4−クロロ−4’−メルカ
プトジフェニルスルフィドなどを挙げることができる。
これらのフェニレンスルフィド単位とチオール基を有す
る化合物は、ハロゲン化燐化合物と反応させることによ
りチオ亜りん酸エステル結合が導入される。ハロゲン化
燐化合物としては、例えば、三塩化燐、三臭化燐、2−
クロロ−1,3,2−ジオキサホスホランなどを挙げる
ことができる。
【0027】チオ亜りん酸エステル化反応は、キシレ
ン、トルエンなどの有機溶媒中で行われる。この場合、
チオフェノールなどを存在させて、燐原子に結合する末
端または側鎖を形成してもよい。また、例えば、チオー
ル基を2個以上有する化合物と三塩化燐とを反応させる
と、ポリホスファイトを得ることができ、チオール基を
1個有する化合物と三塩化燐とを反応させると、モノホ
スファイトが得られる。一方、ハロゲン原子を1個有す
るハロゲン化燐化合物を使用すると、チオ亜りん酸エス
テル結合を末端部に有するモノホスファイトまたはジホ
スファイトが得られる。
ン、トルエンなどの有機溶媒中で行われる。この場合、
チオフェノールなどを存在させて、燐原子に結合する末
端または側鎖を形成してもよい。また、例えば、チオー
ル基を2個以上有する化合物と三塩化燐とを反応させる
と、ポリホスファイトを得ることができ、チオール基を
1個有する化合物と三塩化燐とを反応させると、モノホ
スファイトが得られる。一方、ハロゲン原子を1個有す
るハロゲン化燐化合物を使用すると、チオ亜りん酸エス
テル結合を末端部に有するモノホスファイトまたはジホ
スファイトが得られる。
【0028】本発明で使用するチオ亜燐酸エステルとし
ては、例えば、下記一般式〔II〕で表されるモノホス
ファイト、一般式〔III〕で表されるポリホスファイ
ト、あるいはこれらの混合物を挙げることができる。こ
れらの化合物は、いずれも前記一般式〔I〕で表される
構造を分子中に持っている。
ては、例えば、下記一般式〔II〕で表されるモノホス
ファイト、一般式〔III〕で表されるポリホスファイ
ト、あるいはこれらの混合物を挙げることができる。こ
れらの化合物は、いずれも前記一般式〔I〕で表される
構造を分子中に持っている。
【0029】
【化2】 一般式〔II〕中、各記号の意味は、次の通りである。 X:水素原子、SH基、またはハロゲン原子であり、X
がSH基の場合には、エンドキャップされていてもよ
い。 i:1〜50の整数である。好ましくは1〜30であ
る。 b:1〜3の整数である。 Y:酸素原子または硫黄原子である。 R:炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水
素基、またはそれらの有機基の置換体を表す。 同一分子内にX、YまたはRがそれぞれ複数個含まれる
場合には、各X、YまたはRは、それぞれ異なっていて
もよい。
がSH基の場合には、エンドキャップされていてもよ
い。 i:1〜50の整数である。好ましくは1〜30であ
る。 b:1〜3の整数である。 Y:酸素原子または硫黄原子である。 R:炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水
素基、またはそれらの有機基の置換体を表す。 同一分子内にX、YまたはRがそれぞれ複数個含まれる
場合には、各X、YまたはRは、それぞれ異なっていて
もよい。
【0030】
【化3】 一般式〔III〕中、各記号の意味は、次の通りであ
る。 X:水素原子、SH基、またはハロゲン原子であり、X
がSH基の場合には、エンドキャップされていてもよ
い。 j:0〜50の整数である。好ましくは0〜30であ
る。 k:1〜50の整数である。好ましくは1〜30であ
る。 Y:酸素原子または硫黄原子である。 R:炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水
素基、またはそれらの有機基の置換体を表す。 T:炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水
素基、それらの有機基の置換体、または−(Ph−S
−)j −Ph−X(ただし、Phは、置換または未置
換のフェニレン基を表す。j及びXは、前記と同じであ
る。)を表す。 n:正の整数(1、2、・・・、i、・・・)である。 c、d、f(i)、及びg:0〜2の整数。ただし、i
は、添数であり、i=1、2、・・・・、n(以下同
じ)。 e(i):1〜3の整数である。 ただし、c+d+e(1)=3、e(i)+f
(i)+e(i+1)=3、及びe(n)+f(n)
+g=3の3つの関係式を満足する。同一分子内にX、
Y、RまたはTがそれぞれ複数個含まれる場合には、各
X、Y、RまたはTは、それぞれ異なっていてもよい。
る。 X:水素原子、SH基、またはハロゲン原子であり、X
がSH基の場合には、エンドキャップされていてもよ
い。 j:0〜50の整数である。好ましくは0〜30であ
る。 k:1〜50の整数である。好ましくは1〜30であ
る。 Y:酸素原子または硫黄原子である。 R:炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水
素基、またはそれらの有機基の置換体を表す。 T:炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水
素基、それらの有機基の置換体、または−(Ph−S
−)j −Ph−X(ただし、Phは、置換または未置
換のフェニレン基を表す。j及びXは、前記と同じであ
る。)を表す。 n:正の整数(1、2、・・・、i、・・・)である。 c、d、f(i)、及びg:0〜2の整数。ただし、i
は、添数であり、i=1、2、・・・・、n(以下同
じ)。 e(i):1〜3の整数である。 ただし、c+d+e(1)=3、e(i)+f
(i)+e(i+1)=3、及びe(n)+f(n)
+g=3の3つの関係式を満足する。同一分子内にX、
Y、RまたはTがそれぞれ複数個含まれる場合には、各
X、Y、RまたはTは、それぞれ異なっていてもよい。
【0031】さらに、チオ亜燐酸エステルがポリホスフ
ァイトである場合には、下記一般式〔IV〕または
〔V〕の繰り返し単位を有する化合物が含まれる。
ァイトである場合には、下記一般式〔IV〕または
〔V〕の繰り返し単位を有する化合物が含まれる。
【0032】
【化4】 一般式〔IV〕中、各記号の意味は、次の通りである。 q:1〜50の整数である。 Y及びT:前記一般式〔III〕におけるのと同じであ
る。 f:1 m:1〜50の整数である。 なお、このポリホスファイトの末端は、フェニル基等の
有機基で封鎖されていてもよい。
る。 f:1 m:1〜50の整数である。 なお、このポリホスファイトの末端は、フェニル基等の
有機基で封鎖されていてもよい。
【0033】
【化5】 一般式〔V〕中、各記号の意味は、次の通りである。 r:1〜50の整数である。 t:1〜50の整数である。 m:1〜50の整数である。 なお、このポリホスファイトの末端は、フェニル基等の
有機基で封鎖されていてもよい。
有機基で封鎖されていてもよい。
【0034】PPS組成物 チオ亜燐酸エステルの使用量は、PPS樹脂100重量
部に対し、通常0.01〜5重量部、好ましくは0.0
3〜3重量部、より好ましくは0.03〜1重量部であ
る。チオ亜燐酸エステルの配合割合が0.01重量部未
満では、色調の安定効果に乏しく、逆に、5重量部を越
えると経済的でなく、しかも成形物の物性が低下する等
の不都合が起きて好ましくない。チオ亜燐酸エステル
は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて
使用することができる。
部に対し、通常0.01〜5重量部、好ましくは0.0
3〜3重量部、より好ましくは0.03〜1重量部であ
る。チオ亜燐酸エステルの配合割合が0.01重量部未
満では、色調の安定効果に乏しく、逆に、5重量部を越
えると経済的でなく、しかも成形物の物性が低下する等
の不都合が起きて好ましくない。チオ亜燐酸エステル
は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて
使用することができる。
【0035】本発明の組成物の調製方法は、特に限定さ
れず、種々の公知の方法を採用することができる。例え
ば、成形加工前にチオ亜燐酸エステルとPPSを混合す
る方法がある。この方法は、特に、PPSの成形加工時
の熱酸化による色調の変化を防止する場合に有効であ
る。その他の方法として、チオ亜燐酸エステルを適当な
溶剤に溶かし、PPS成形加工物に塗布して含浸させ、
乾燥する方法もある。本発明のPPS組成物には、本発
明の目的を損なわない範囲で、機械的特性の向上、加工
性の向上などを目的として各種添加剤、充填剤を含有さ
せることができる。
れず、種々の公知の方法を採用することができる。例え
ば、成形加工前にチオ亜燐酸エステルとPPSを混合す
る方法がある。この方法は、特に、PPSの成形加工時
の熱酸化による色調の変化を防止する場合に有効であ
る。その他の方法として、チオ亜燐酸エステルを適当な
溶剤に溶かし、PPS成形加工物に塗布して含浸させ、
乾燥する方法もある。本発明のPPS組成物には、本発
明の目的を損なわない範囲で、機械的特性の向上、加工
性の向上などを目的として各種添加剤、充填剤を含有さ
せることができる。
【0036】本発明のPPS組成物は、さまざまな用途
に合わせて、成形・使用することができる。たとえば、
射出成形によって、電気・電子部品、自動車・機械部品
などの用途に使用される。また各種押し出し成形によ
り、ファイバー、フィルム、シート、パイプなどに成形
され、それぞれ工業用濾布、電子部品、多層配線基盤、
工業用配管などの材料として使用される。
に合わせて、成形・使用することができる。たとえば、
射出成形によって、電気・電子部品、自動車・機械部品
などの用途に使用される。また各種押し出し成形によ
り、ファイバー、フィルム、シート、パイプなどに成形
され、それぞれ工業用濾布、電子部品、多層配線基盤、
工業用配管などの材料として使用される。
【0037】
【実施例】以下に実施例及び比較例を挙げて、本発明に
ついてより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施
例のみに限定されるものではない。
ついてより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施
例のみに限定されるものではない。
【0038】[参考例1] (PPSの合成例)耐圧オートクレーブに、硫化ナトリ
ウム3800g(純度46.06%、22.43モ
ル)、及びN−メチル−2−ピロリドン(以下、NMP
と略記)6700gを仕込み、撹拌しながら200℃ま
で徐々に昇温し、水1561gとNMP916gを含む
溜出液2496gをオートクレーブから留去した。この
操作の結果、オートクレーブ内には、硫化ナトリウム2
1.90モル、水約27.2モル、及びNMP5784
gが残った。
ウム3800g(純度46.06%、22.43モ
ル)、及びN−メチル−2−ピロリドン(以下、NMP
と略記)6700gを仕込み、撹拌しながら200℃ま
で徐々に昇温し、水1561gとNMP916gを含む
溜出液2496gをオートクレーブから留去した。この
操作の結果、オートクレーブ内には、硫化ナトリウム2
1.90モル、水約27.2モル、及びNMP5784
gが残った。
【0039】次に、オートクレーブ内混合物に、p−ジ
クロロベンゼン3288g(22.36モル:以下、p
−DCBと略記)、水102g、及びNMP4071g
を添加し、220℃で4.5時間重合を行った。次い
で、オートクレーブ内混合物に、水986gを追加し、
255℃で5時間重合を行った。重合反応終了後、反応
混合物から粒状のPPSポリマーをステンレス製の10
0メッシュの篩を用いて回収した。このポリマーをアセ
トンで3回、水で3回洗浄した。引き続いて3%塩化ア
ンモニウム水溶液で1回洗浄した後、液が中性になるま
で水で洗浄した。こうして精製したポリマーを空気中、
105℃で16時間乾燥し、溶融粘度1400ポイズ
(310℃、剪断速度1200/sec)の顆粒状PP
Sを得た。
クロロベンゼン3288g(22.36モル:以下、p
−DCBと略記)、水102g、及びNMP4071g
を添加し、220℃で4.5時間重合を行った。次い
で、オートクレーブ内混合物に、水986gを追加し、
255℃で5時間重合を行った。重合反応終了後、反応
混合物から粒状のPPSポリマーをステンレス製の10
0メッシュの篩を用いて回収した。このポリマーをアセ
トンで3回、水で3回洗浄した。引き続いて3%塩化ア
ンモニウム水溶液で1回洗浄した後、液が中性になるま
で水で洗浄した。こうして精製したポリマーを空気中、
105℃で16時間乾燥し、溶融粘度1400ポイズ
(310℃、剪断速度1200/sec)の顆粒状PP
Sを得た。
【0040】[実施例1] (PPSオリゴマーの合成)耐圧オートクレーブに、硫
化ナトリウム1688.5g(純度46.22%、1
0.00モル)、及びNMP3500gを仕込み、撹拌
しながら200℃まで徐々に昇温して、水685.3g
とNMP789.1gを含む溜出液1480.6gをオ
ートクレーブから除去した。この操作の結果、オートク
レーブ内には硫化ナトリウム766.3g、水216.
2g、及びNMP2710.9gが残った。
化ナトリウム1688.5g(純度46.22%、1
0.00モル)、及びNMP3500gを仕込み、撹拌
しながら200℃まで徐々に昇温して、水685.3g
とNMP789.1gを含む溜出液1480.6gをオ
ートクレーブから除去した。この操作の結果、オートク
レーブ内には硫化ナトリウム766.3g、水216.
2g、及びNMP2710.9gが残った。
【0041】次に、オートクレーブ内混合物に、p−D
CB1010.4g(6.87モル)、水49.1g
(2.73モル)、及びNMP2198.8g(22.
18モル)を添加し、220℃で4時間重合した。重合
反応終了後、反応混合物をアセトンで希釈し、固体を濾
紙で濾取し、さらにアセトンで3回洗浄/濾取を繰り返
した。濾取した固体を水で希釈し、pH1になるように
35%塩酸水を加えた。濾取後、水で6回洗浄し洗浄水
のpHが中性になっていることを確認した。濾取した微
粉を100℃で16時間真空乾燥した。このようにし
て、平均重合度が約10で、両末端にチオール基を有す
るPPSオリゴマーを得た。
CB1010.4g(6.87モル)、水49.1g
(2.73モル)、及びNMP2198.8g(22.
18モル)を添加し、220℃で4時間重合した。重合
反応終了後、反応混合物をアセトンで希釈し、固体を濾
紙で濾取し、さらにアセトンで3回洗浄/濾取を繰り返
した。濾取した固体を水で希釈し、pH1になるように
35%塩酸水を加えた。濾取後、水で6回洗浄し洗浄水
のpHが中性になっていることを確認した。濾取した微
粉を100℃で16時間真空乾燥した。このようにし
て、平均重合度が約10で、両末端にチオール基を有す
るPPSオリゴマーを得た。
【0042】(チオ亜燐酸エステルの合成)ガラス製セ
パラブルフラスコに、チオフェノール24.24g
(0.22モル)及びo−キシレン300mlを仕込
み、撹拌、窒素ガス吹き込みを行いながら三塩化燐1
3.73g(0.1モル)を約20分かけて滴下した。
引き続き撹拌と窒素ガスの吹き込みを行いながら、徐々
に126℃まで昇温した。発生する塩酸ガスを水酸化ナ
トリウム水溶液で補集した。塩酸ガスの発生が止まるま
で約2時間この温度を保持し、塩酸ガスの発生が止まっ
た時点で反応液を冷却した。副生塩酸量は、ほぼ0.2
モルであった。
パラブルフラスコに、チオフェノール24.24g
(0.22モル)及びo−キシレン300mlを仕込
み、撹拌、窒素ガス吹き込みを行いながら三塩化燐1
3.73g(0.1モル)を約20分かけて滴下した。
引き続き撹拌と窒素ガスの吹き込みを行いながら、徐々
に126℃まで昇温した。発生する塩酸ガスを水酸化ナ
トリウム水溶液で補集した。塩酸ガスの発生が止まるま
で約2時間この温度を保持し、塩酸ガスの発生が止まっ
た時点で反応液を冷却した。副生塩酸量は、ほぼ0.2
モルであった。
【0043】次に、前記で得たPPSオリゴマー56g
(末端SH基量で0.1モル)を加えた後、撹拌、窒素
ガス吹き込みを続けながら徐々に140℃まで昇温し、
溶媒を還流させた。生成する塩酸ガスを前記と同様の方
法で補集し、塩酸ガスの発生が止むまで約3時間還流を
続けた。副生塩酸量は、ほぼ0.1モルであった。反応
混合物を冷却後、固体を濾紙で濾取し、アセトンで洗浄
後、室温で16時間真空乾燥した。生成化合物のIR吸
収スペクトルには、P−S結合による吸収が認められ、
P−Cl結合による吸収はほとんど認められなかった。
このようにして合成されたチオ亜燐酸エステルは、以下
の構造を持つジホスファイトである。
(末端SH基量で0.1モル)を加えた後、撹拌、窒素
ガス吹き込みを続けながら徐々に140℃まで昇温し、
溶媒を還流させた。生成する塩酸ガスを前記と同様の方
法で補集し、塩酸ガスの発生が止むまで約3時間還流を
続けた。副生塩酸量は、ほぼ0.1モルであった。反応
混合物を冷却後、固体を濾紙で濾取し、アセトンで洗浄
後、室温で16時間真空乾燥した。生成化合物のIR吸
収スペクトルには、P−S結合による吸収が認められ、
P−Cl結合による吸収はほとんど認められなかった。
このようにして合成されたチオ亜燐酸エステルは、以下
の構造を持つジホスファイトである。
【0044】
【化6】
【0045】(組成物の製造)参考例1で得られた顆粒
状PPS100重量部に、上記で得られたチオ亜燐酸エ
ステル1.0重量部を加え、ドライブレンドし、組成物
を調製した。この組成物を窒化鋼で被覆されたスクリュ
ーを備えた一軸押出機を用い、310℃の温度で混練、
押出し、ペレット化した。混練・押出時、押出ノズル部
分にチオ亜燐酸エステルの揮散蒸気は認められなかっ
た。
状PPS100重量部に、上記で得られたチオ亜燐酸エ
ステル1.0重量部を加え、ドライブレンドし、組成物
を調製した。この組成物を窒化鋼で被覆されたスクリュ
ーを備えた一軸押出機を用い、310℃の温度で混練、
押出し、ペレット化した。混練・押出時、押出ノズル部
分にチオ亜燐酸エステルの揮散蒸気は認められなかっ
た。
【0046】得られたペレットを厚さ1mmのステンレ
ス製金枠に入れ、高温プレスを用いて320℃にて1分
間予熱し、さらに320℃、100kg/cm2にて3
0秒間加圧し、これを急冷し、無定型シートを作成し
た。このシートを、空気循環式オーブン内で、150℃
の温度にて30分間処理し結晶化シートを作成した。こ
の結晶化シートのハンター白色度を測定したところ、5
3.8であった。また、この結晶化シートを再び空気循
環式オーブン内で200℃の温度にて2時間熱処理を
し、色調の変化を引き起こした後、再びハンター白色度
を測定したところ、27.3であった。
ス製金枠に入れ、高温プレスを用いて320℃にて1分
間予熱し、さらに320℃、100kg/cm2にて3
0秒間加圧し、これを急冷し、無定型シートを作成し
た。このシートを、空気循環式オーブン内で、150℃
の温度にて30分間処理し結晶化シートを作成した。こ
の結晶化シートのハンター白色度を測定したところ、5
3.8であった。また、この結晶化シートを再び空気循
環式オーブン内で200℃の温度にて2時間熱処理を
し、色調の変化を引き起こした後、再びハンター白色度
を測定したところ、27.3であった。
【0047】[比較例1]参考例1で得られた顆粒状P
PSにチオ亜燐酸エステルを添加しなかったこと以外
は、実施例1と全く同様に処理して、PPSシートのハ
ンター白色度を評価した。150℃/30分間結晶化処
理後のハンター白色度は、47.3であり、さらに20
0℃/2時間熱処理後のハンター白色度は、18.8で
あった。
PSにチオ亜燐酸エステルを添加しなかったこと以外
は、実施例1と全く同様に処理して、PPSシートのハ
ンター白色度を評価した。150℃/30分間結晶化処
理後のハンター白色度は、47.3であり、さらに20
0℃/2時間熱処理後のハンター白色度は、18.8で
あった。
【0048】[実施例2] (チオ亜燐酸エステルの合成)ガラス製セパラブルフラ
スコに実施例1で調製したPPSオリゴマー56g(末
端SH基量で約0.1モル)、トリエチルアミン10.
1g(0.1モル)、及びトルエン250mlを仕込ん
だ。撹拌、窒素の吹き込みを行いながらトルエン30m
lに2−クロロ−1,3,2−ジオキサホスホラン1
2.7g(0.1モル)を溶解したものを1時間15分
かけて滴下した。防湿下に徐々に90℃まで昇温し4時
間保持した。副生塩酸量は、ほぼ0.3モルであった。
スコに実施例1で調製したPPSオリゴマー56g(末
端SH基量で約0.1モル)、トリエチルアミン10.
1g(0.1モル)、及びトルエン250mlを仕込ん
だ。撹拌、窒素の吹き込みを行いながらトルエン30m
lに2−クロロ−1,3,2−ジオキサホスホラン1
2.7g(0.1モル)を溶解したものを1時間15分
かけて滴下した。防湿下に徐々に90℃まで昇温し4時
間保持した。副生塩酸量は、ほぼ0.3モルであった。
【0049】反応混合物を冷却した後、固体を濾紙で濾
取した。この固体をクロロホルムで3回洗浄/濾取を繰
り返し、室温で16時間真空乾燥した。生成化合物のI
R吸収スぺクトルには、P−S結合による吸収が認めら
れ、P−Cl結合による吸収はほとんど認められなかっ
た。このようにして合成したチオ亜燐酸エステルは、以
下の構造を持つポリホスファイトである。
取した。この固体をクロロホルムで3回洗浄/濾取を繰
り返し、室温で16時間真空乾燥した。生成化合物のI
R吸収スぺクトルには、P−S結合による吸収が認めら
れ、P−Cl結合による吸収はほとんど認められなかっ
た。このようにして合成したチオ亜燐酸エステルは、以
下の構造を持つポリホスファイトである。
【0050】
【化7】
【0051】(組成物の製造)参考例1で得られた顆粒
状PPS100重量部に、上記で得られたチオ亜燐酸エ
ステル1.0重量部を加え、ドライブレンドし、組成物
を調製した。以下、実施例1と同様に処理して、PPS
シートを作成し、ハンター白色度を評価した。150℃
/30分間結晶化処理後のハンター白色度は、51.2
であり、さらに200℃/2時間熱処理後のハンター白
色度は、24.6であった。混練・押出時、押出ノズル
部分にチオ亜燐酸エステルの揮散蒸気は認められなかっ
た。
状PPS100重量部に、上記で得られたチオ亜燐酸エ
ステル1.0重量部を加え、ドライブレンドし、組成物
を調製した。以下、実施例1と同様に処理して、PPS
シートを作成し、ハンター白色度を評価した。150℃
/30分間結晶化処理後のハンター白色度は、51.2
であり、さらに200℃/2時間熱処理後のハンター白
色度は、24.6であった。混練・押出時、押出ノズル
部分にチオ亜燐酸エステルの揮散蒸気は認められなかっ
た。
【0052】[実施例3] (チオ亜燐酸エステルの合成)ガラス製セパラブルフラ
スコに、チオフェノール33.05g(0.3モル)、
ビス(4−メルカプトフェニル)スルフィド75.12
g(0.3モル)、及びo−キシレン400mlを仕込
んだ。撹拌、窒素の吹き込みを行いながら三塩化燐4
1.20g(0.3モル)を40分間で滴下した。徐々
に昇温し、反応温度を136℃にした。この間に発生す
る塩酸ガスを水酸化ナトリウム水溶液で補集した。副生
塩酸量は、ほぼ0.9モルであった。
スコに、チオフェノール33.05g(0.3モル)、
ビス(4−メルカプトフェニル)スルフィド75.12
g(0.3モル)、及びo−キシレン400mlを仕込
んだ。撹拌、窒素の吹き込みを行いながら三塩化燐4
1.20g(0.3モル)を40分間で滴下した。徐々
に昇温し、反応温度を136℃にした。この間に発生す
る塩酸ガスを水酸化ナトリウム水溶液で補集した。副生
塩酸量は、ほぼ0.9モルであった。
【0053】減圧下(約22mmHg)、反応温度を1
20℃にし、o−キシレンと未反応のチオフェノール等
を減圧除去した。無色透明のアメ状物質が得られた。こ
れをトルエン(2回)、アセトン(3回)で洗浄/濾紙
による濾取を繰り返した。室温で真空乾燥し白色の固体
を得た。 生成化合物のIR吸収スぺクトルには、P−
S結合による吸収が認められ、P−Cl結合による吸収
はほとんど認められなかった。このようにして合成され
たチオ亜燐酸エステルは、以下の構造を持つポリフォス
ファイトである。
20℃にし、o−キシレンと未反応のチオフェノール等
を減圧除去した。無色透明のアメ状物質が得られた。こ
れをトルエン(2回)、アセトン(3回)で洗浄/濾紙
による濾取を繰り返した。室温で真空乾燥し白色の固体
を得た。 生成化合物のIR吸収スぺクトルには、P−
S結合による吸収が認められ、P−Cl結合による吸収
はほとんど認められなかった。このようにして合成され
たチオ亜燐酸エステルは、以下の構造を持つポリフォス
ファイトである。
【0054】
【化8】
【0055】(組成物の製造)参考例1で得られた顆粒
状PPS100重量部に、上記で得られたチオ亜燐酸エ
ステル1.0重量部を加え、ドライブレンドし、組成物
を調製した。以下、実施例1と同様に処理して、PPS
シートを作成し、ハンター白色度を評価した。150℃
/30分間結晶化処理後のハンター白色度は、50.5
であり、さらに200℃/2時間熱処理後のハンター白
色度は、24.7であった。混練・押出時、押出ノズル
部分にチオ亜燐酸エステルの揮散蒸気は認められなかっ
た。
状PPS100重量部に、上記で得られたチオ亜燐酸エ
ステル1.0重量部を加え、ドライブレンドし、組成物
を調製した。以下、実施例1と同様に処理して、PPS
シートを作成し、ハンター白色度を評価した。150℃
/30分間結晶化処理後のハンター白色度は、50.5
であり、さらに200℃/2時間熱処理後のハンター白
色度は、24.7であった。混練・押出時、押出ノズル
部分にチオ亜燐酸エステルの揮散蒸気は認められなかっ
た。
【0056】[実施例4] (チオ亜燐酸エステルの合成)ガラス製セパラブルフラ
スコに、o−キシレン300ml、及びビス(4−メル
カプトフェニル)スルフィド37.56g(0.15モ
ル)を仕込んだ。撹拌、窒素吹き込みを行いながら、三
塩化燐13.73g(0.1モル)を15分かけて滴下
した。徐々に昇温し、反応液を136℃にした。この間
に発生する塩酸ガスを水酸化ナトリウム水溶液で補集し
た。塩酸ガスの発生が止むまでo−キシレンの還流を続
けた(約30分間)。副生塩酸量は、ほぼ0.3モルで
あった。
スコに、o−キシレン300ml、及びビス(4−メル
カプトフェニル)スルフィド37.56g(0.15モ
ル)を仕込んだ。撹拌、窒素吹き込みを行いながら、三
塩化燐13.73g(0.1モル)を15分かけて滴下
した。徐々に昇温し、反応液を136℃にした。この間
に発生する塩酸ガスを水酸化ナトリウム水溶液で補集し
た。塩酸ガスの発生が止むまでo−キシレンの還流を続
けた(約30分間)。副生塩酸量は、ほぼ0.3モルで
あった。
【0057】反応液を冷却し、固体を濾紙で濾取し、ア
セトンで3回洗浄/濾取を繰り返した。得られた固体を
室温で16時間真空乾燥した。生成化合物のIR吸収ス
ペクトルには、P−S結合による吸収が認められ、P−
Cl結合による吸収はほとんど認められなかった。この
ようにして合成されたチオ亜燐酸エステルは、以下の構
造を持つポリフォスファイトである。
セトンで3回洗浄/濾取を繰り返した。得られた固体を
室温で16時間真空乾燥した。生成化合物のIR吸収ス
ペクトルには、P−S結合による吸収が認められ、P−
Cl結合による吸収はほとんど認められなかった。この
ようにして合成されたチオ亜燐酸エステルは、以下の構
造を持つポリフォスファイトである。
【0058】
【化9】
【0059】(組成物の製造)参考例1で得られた顆粒
状PPS100重量部に、上記で得られたチオ亜燐酸エ
ステル1.0重量部を加え、ドライブレンドし、組成物
を調製した。以下、実施例1と同様に処理して、PPS
シートを作成し、ハンター白色度を評価した。150℃
/30分間結晶化処理後のハンター白色度は、54.3
であり、さらに200℃/2時間熱処理後のハンター白
色度は、24.0であった。混練・押出時、押出ノズル
部分にチオ亜燐酸エステルの揮散蒸気は認められなかっ
た。
状PPS100重量部に、上記で得られたチオ亜燐酸エ
ステル1.0重量部を加え、ドライブレンドし、組成物
を調製した。以下、実施例1と同様に処理して、PPS
シートを作成し、ハンター白色度を評価した。150℃
/30分間結晶化処理後のハンター白色度は、54.3
であり、さらに200℃/2時間熱処理後のハンター白
色度は、24.0であった。混練・押出時、押出ノズル
部分にチオ亜燐酸エステルの揮散蒸気は認められなかっ
た。
【0060】[実施例5] (チオ亜燐酸エステルの合成)ガラス製セパラブルフラ
スコに、o−キシレン300ml、及び4−メルカプト
ジフェニルスルフィド65.5g(0.3モル)を仕込
んだ。撹拌、窒素吹き込みを行いながら、三塩化燐1
3.73g(0.1モル)を30分かけて滴下した。徐
々に昇温し、反応液を136℃にした。この間に発生す
る塩酸ガスを水酸化ナトリウム水溶液で補集した。塩酸
ガスの発生が止むまでo−キシレンの還流を続けた(約
45分間)。副生塩酸量は、ほぼ0.3モルであった。
スコに、o−キシレン300ml、及び4−メルカプト
ジフェニルスルフィド65.5g(0.3モル)を仕込
んだ。撹拌、窒素吹き込みを行いながら、三塩化燐1
3.73g(0.1モル)を30分かけて滴下した。徐
々に昇温し、反応液を136℃にした。この間に発生す
る塩酸ガスを水酸化ナトリウム水溶液で補集した。塩酸
ガスの発生が止むまでo−キシレンの還流を続けた(約
45分間)。副生塩酸量は、ほぼ0.3モルであった。
【0061】反応液を冷却し、固体を濾紙で濾取し、ア
セトンで3回洗浄/濾取を繰り返した。得られた固体を
室温で16時間真空乾燥した。生成化合物のIR吸収ス
ペクトルには、P−S結合による吸収が認められ、P−
Cl結合による吸収はほとんど認められなかった。この
ようにして合成されたチオ亜燐酸エステルは、以下の構
造を持つモノフォスファイトである。
セトンで3回洗浄/濾取を繰り返した。得られた固体を
室温で16時間真空乾燥した。生成化合物のIR吸収ス
ペクトルには、P−S結合による吸収が認められ、P−
Cl結合による吸収はほとんど認められなかった。この
ようにして合成されたチオ亜燐酸エステルは、以下の構
造を持つモノフォスファイトである。
【0062】
【化10】
【0063】(組成物の製造)参考例1で得られた顆粒
状PPS100重量部に、上記で得られたチオ亜燐酸エ
ステル1.0重量部を加え、ドライブレンドし、組成物
を調製した。以下、実施例1と同様に処理して、PPS
シートを作成し、ハンター白色度を評価した。150℃
/30分間結晶化処理後のハンター白色度は、53.8
であり、さらに200℃/2時間熱処理後のハンター白
色度は、24.7であった。混練・押出時、押出ノズル
部分にほとんどチオ亜燐酸エステルの揮散蒸気が認めら
れなかった。
状PPS100重量部に、上記で得られたチオ亜燐酸エ
ステル1.0重量部を加え、ドライブレンドし、組成物
を調製した。以下、実施例1と同様に処理して、PPS
シートを作成し、ハンター白色度を評価した。150℃
/30分間結晶化処理後のハンター白色度は、53.8
であり、さらに200℃/2時間熱処理後のハンター白
色度は、24.7であった。混練・押出時、押出ノズル
部分にほとんどチオ亜燐酸エステルの揮散蒸気が認めら
れなかった。
【0064】[比較例2]参考例1で得られた顆粒状P
PS100重量部に、トリフェニルトリチオホスファイ
ト1.0重量部を加え、ドライブレンドし、組成物を調
製した。以下、実施例1と同様に処理して、PPSシー
トを作成し、ハンター白色度を評価した。150℃/3
0分間結晶化処理後のハンター白色度は、54.7であ
り、さらに200℃/2時間熱処理後のハンター白色度
は、28.4であった。しかし、混練・押出時、押出ノ
ズル部分にかなりのトリフェニルチオホスファイトの揮
散蒸気が認められた。なお、トリフェニルトリチオホス
ファイトは、以下の構造を持つモノフォスファイトであ
る。
PS100重量部に、トリフェニルトリチオホスファイ
ト1.0重量部を加え、ドライブレンドし、組成物を調
製した。以下、実施例1と同様に処理して、PPSシー
トを作成し、ハンター白色度を評価した。150℃/3
0分間結晶化処理後のハンター白色度は、54.7であ
り、さらに200℃/2時間熱処理後のハンター白色度
は、28.4であった。しかし、混練・押出時、押出ノ
ズル部分にかなりのトリフェニルチオホスファイトの揮
散蒸気が認められた。なお、トリフェニルトリチオホス
ファイトは、以下の構造を持つモノフォスファイトであ
る。
【0065】
【化11】
【0066】[比較例3]参考例1で得られた顆粒状P
PS100重量部に、トリラウリルトリチオホスファイ
ト1.0重量部を加え、ドライブレンドし、組成物を調
製した。以下、実施例1と同様に処理して、PPSシー
トを作成し、ハンター白色度を評価した。150℃/3
0分間結晶化処理後のハンター白色度は、56.1であ
り、さらに200℃/2時間熱処理後のハンター白色度
は、29.6であった。しかし、混練・押出時・押出ノ
ズル部分にかなりのトリラウリルトリチオホスファイト
の揮散蒸気が認められた。なお、トリラウリルトリチオ
ホスファイトは、以下の構造を持つモノフォスファイト
である。
PS100重量部に、トリラウリルトリチオホスファイ
ト1.0重量部を加え、ドライブレンドし、組成物を調
製した。以下、実施例1と同様に処理して、PPSシー
トを作成し、ハンター白色度を評価した。150℃/3
0分間結晶化処理後のハンター白色度は、56.1であ
り、さらに200℃/2時間熱処理後のハンター白色度
は、29.6であった。しかし、混練・押出時・押出ノ
ズル部分にかなりのトリラウリルトリチオホスファイト
の揮散蒸気が認められた。なお、トリラウリルトリチオ
ホスファイトは、以下の構造を持つモノフォスファイト
である。
【0067】
【化12】
【0068】[比較例4]参考例1で得られた顆粒状P
PS100重量部に、ジステアリルペンタエリスリトー
ルジホスファイト1.0重量部を加え、ドライブレンド
し、組成物を調製した。以下、実施例1と同様に処理し
て、PPSシートを作成し、ハンター白色度を評価し
た。150℃/30分間結晶化処理後のハンター白色度
は、55.1であり、さらに200℃/2時間熱処理後
のハンター白色度は、29.3であった。しかし、混練
・押出時、押出ノズル部分にかなりのジステアリルペン
タエリスリトールジホスファイトの揮散蒸気が認められ
た。なお、ジステアリルペンタエリスリトールジホスフ
ァイトは、以下の構造を持つジホスファイトである。
PS100重量部に、ジステアリルペンタエリスリトー
ルジホスファイト1.0重量部を加え、ドライブレンド
し、組成物を調製した。以下、実施例1と同様に処理し
て、PPSシートを作成し、ハンター白色度を評価し
た。150℃/30分間結晶化処理後のハンター白色度
は、55.1であり、さらに200℃/2時間熱処理後
のハンター白色度は、29.3であった。しかし、混練
・押出時、押出ノズル部分にかなりのジステアリルペン
タエリスリトールジホスファイトの揮散蒸気が認められ
た。なお、ジステアリルペンタエリスリトールジホスフ
ァイトは、以下の構造を持つジホスファイトである。
【0069】
【化13】
【0070】
【発明の効果】本発明によれば、溶融成形時の変色が無
く、色調の安定化された、任意の調色可能なPPS組成
物が提供される。このPPS組成物を用いた成形物は、
空気の存在下、高温で使用しても変色しにくい。本発明
で使用する特定のチオ亜燐酸エステルは、耐熱安定性に
優れているので、PPSの溶融成形温度でも熱分解しな
い。また、本発明で使用する特定のチオ亜燐酸エステル
は、PPSとの相溶性が良いので、それを含むPPS組
成物の溶融成形時に揮散したり、PPS組成物を用いた
成形物の使用時にブリードすることもない。本発明のこ
のような効果は、チオ亜燐酸エステルが高分子量化する
程顕著である。
く、色調の安定化された、任意の調色可能なPPS組成
物が提供される。このPPS組成物を用いた成形物は、
空気の存在下、高温で使用しても変色しにくい。本発明
で使用する特定のチオ亜燐酸エステルは、耐熱安定性に
優れているので、PPSの溶融成形温度でも熱分解しな
い。また、本発明で使用する特定のチオ亜燐酸エステル
は、PPSとの相溶性が良いので、それを含むPPS組
成物の溶融成形時に揮散したり、PPS組成物を用いた
成形物の使用時にブリードすることもない。本発明のこ
のような効果は、チオ亜燐酸エステルが高分子量化する
程顕著である。
Claims (4)
- 【請求項1】 (A)ポリフェニレンスルフィドに、
(B)少なくとも1つの置換または未置換のフェニレン
スルフィド単位を有する化合物のチオ亜燐酸エステルを
配合してなることを特徴とする色調安定性ポリフェニレ
ンスルフィド組成物。 - 【請求項2】 前記チオ亜燐酸エステルが、少なくとも
一方の末端にチオール基を有するポリフェニレンスルフ
ィドオリゴマーとハロゲン化燐化合物との反応生成物で
ある請求項1記載の色調安定性ポリフェニレンスルフィ
ド組成物。 - 【請求項3】 前記チオ亜燐酸エステルが、ビス(4−
メルカプトフェニル)スルフィドとハロゲン化燐化合物
とを反応させて得られるポリホスファイトである請求項
1記載の色調安定性ポリフェニレンスルフィド組成物。 - 【請求項4】 前記チオ亜燐酸エステルが、4−メルカ
プトジフェニルスルフィドとハロゲン化燐化合物とを反
応させて得られるモノホスファイトである請求項1記載
の色調安定性ポリフェニレンスルフィド組成物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7532993A JPH06256655A (ja) | 1993-03-09 | 1993-03-09 | 色調安定性ポリフェニレンスルフィド組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7532993A JPH06256655A (ja) | 1993-03-09 | 1993-03-09 | 色調安定性ポリフェニレンスルフィド組成物 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06256655A true JPH06256655A (ja) | 1994-09-13 |
Family
ID=13573117
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP7532993A Pending JPH06256655A (ja) | 1993-03-09 | 1993-03-09 | 色調安定性ポリフェニレンスルフィド組成物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH06256655A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
MY119704A (en) * | 1999-04-23 | 2005-06-30 | Borden Chem Inc | Phenol-novolacs with improved optical properties |
KR20140146767A (ko) * | 2013-06-18 | 2014-12-29 | 주식회사 엘지화학 | 폴리페닐렌 설파이드 수지의 명도 조절 겸용 개질제, 이를 이용한 제조 방법 및 폴리페닐렌 설파이드 수지 |
WO2022080731A1 (ko) * | 2020-10-12 | 2022-04-21 | 주식회사 엘지화학 | 폴리아릴렌설파이드 수지 조성물, 및 폴리아릴렌설파이드 수지의 성형성을 향상시키는 방법 |
-
1993
- 1993-03-09 JP JP7532993A patent/JPH06256655A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
MY119704A (en) * | 1999-04-23 | 2005-06-30 | Borden Chem Inc | Phenol-novolacs with improved optical properties |
KR20140146767A (ko) * | 2013-06-18 | 2014-12-29 | 주식회사 엘지화학 | 폴리페닐렌 설파이드 수지의 명도 조절 겸용 개질제, 이를 이용한 제조 방법 및 폴리페닐렌 설파이드 수지 |
WO2022080731A1 (ko) * | 2020-10-12 | 2022-04-21 | 주식회사 엘지화학 | 폴리아릴렌설파이드 수지 조성물, 및 폴리아릴렌설파이드 수지의 성형성을 향상시키는 방법 |
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