JPH06256198A - 血中コレステロール上昇抑制剤 - Google Patents

血中コレステロール上昇抑制剤

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JPH06256198A
JPH06256198A JP4825493A JP4825493A JPH06256198A JP H06256198 A JPH06256198 A JP H06256198A JP 4825493 A JP4825493 A JP 4825493A JP 4825493 A JP4825493 A JP 4825493A JP H06256198 A JPH06256198 A JP H06256198A
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pectin
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cholesterol
blood
viscosity
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JP4825493A
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Setsuko Uchida
節子 内田
Satoshi Watabe
聡 渡部
Hiroshi Kojima
寛士 小島
Fumihide Yamaguchi
文秀 山口
Noriko Shimizu
典子 清水
Yoshikazu Takagi
義和 高木
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Japan Tobacco Inc
Original Assignee
Japan Tobacco Inc
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Abstract

(57)【要約】 【目的】低粘度で、且つ高溶解性でありながら血中コレ
ステロール上昇抑制作用もある程度併せ持つペクチンを
主成分とする血中コレステロール上昇抑制剤を提供する
こと。 【構成】ペクチンを加水分解することによって得られる
低粘度で、且つ高溶解性の分子量5万から20万のペク
チンを主成分とする血中コレステロール上昇抑制剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、血中のコレステロール
濃度の上昇を抑制する5万から20万の分子量を有する
ペクチンを有効成分とする血中コレステロール上昇抑制
剤に関する。
【0002】
【従来の技術】食物繊維は、人の消化酵素では消化され
ない食物中の難消化成分と定義付けられており、セルロ
ース、リグニン、ペクチン等の植物細胞壁成分のみなら
ず、広くキチンやキトサン等の不消化有機物を含むもの
である。近年、これらは、便通改善効果をはじめ、血中
コレステロール低下作用等の種々の作用を有し、成人病
の予防などにも重要な役割を果たしていることが明らか
になってきた。
【0003】これら食物繊維の中でも、ペクチンやペク
チン酸等のペクチン質は、食物繊維としての活性が強
く、便通改善、血中コレステロールレベルの上昇抑制効
果、胆石形成の抑制効果、高血圧抑制効果など種々の効
果が報告されている。
【0004】ペクチン質は、未熟の果実或いは植物体中
でセルロースと結合して、プロトペクチンという複合体
の形で存在し、特に、柑橘類、リンゴ、かりん等に多量
に含まれている。このプロトペクチンは、不溶解性であ
るが、果実が成熟すると加水分解されて可溶性のペクチ
ン又はペクチン酸を生じる。
【0005】このうち、ペクチンは、ガラクツロン酸の
ポリマーであるガラクツロナンを主成分とし、ラムノー
ス、アラビノース、キシロース、ガラクトースなどを微
量に含む分子量20万以上の多糖である。
【0006】ペクチンに対しては、例えばコレステロー
ルに対するペクチンの作用が研究され(例えば、Key,
A.,Diet and Cornary Heart Disease; Epidemiology of
Athe-roscleosis, pp.135-149, A Hoeber-Haper Book,
New York (1956); Key,A.,An-derson,J.T. 及びGrand
e,F.,J. Nutr., 70, 257 (1960); Key,A., Grande,F.
及びAnderson, J.T., Proc. Soc. Exp. Biol. med., 10
6, 555 (1961); 辻悦子及び辻啓介、栄養学雑誌、33、
51 (1975) 等)、ペクチンが血中コレステロールの上昇
を抑制することが示されている。
【0007】ペクチンは、上記のように分子量が20万
以上の高分子であるが、この分子量、あるいはその分子
量に起因する高粘度が、血中コレステロール上昇抑制作
用に必要であるとされている。
【0008】このことは、Well及びErshoff がペクチン
の構成糖であるガラクツロン酸では上記の血中コレステ
ロール上昇抑制作用がないこと、及びMokady等の報告し
た粘度に比例して血中コレステロール上昇抑制効果が強
くなる等のことから推定されている。しかしながら、少
なくともどの程度の分子量を有するペクチンが、血中コ
レステロールの上昇を抑制するかという報告はまだな
い。
【0009】一方、ペクチンは優れた血中コレステロー
ル上昇抑制効果を持つが、その難溶性及び高粘度のため
に使用が制限されていた。この難溶性を改善し、粘度を
低下するためには、ペクチンの分子量を低下させればよ
い。しかし、分子量の低下にともなって血中コレステロ
ールの上昇抑制効果も低下することが知られており、十
分な血中コレステロールの上昇抑制効果を有しながら、
且つ溶解性がよく、粘性の低下したペクチンを得るに
は、血中コレステロール上昇抑制効果をある程度保持で
きるペクチンの分子量を明らかにする必要がある。
【0010】更に、ペクチンは先述のように、溶解性が
低く、高粘度で、ゲル化能が強いという性質を有してい
る。従って、例えば、ペクチンは、安定剤、ゲル化剤と
して広く食品に使用する場合、食品に少量しか添加でき
ず、生理活性が期待できる程度の量を食品に含有させる
ことは困難であった。
【0011】本発明者らは、ペクチンの加水分解につい
て種々検討し、既にエンド型ポリガラクツロナーゼを用
い、これを分解限度まで作用させることによってペクチ
ンを分子量2万から8万の低分子量ペクチンへ分解でき
ることを見い出した(特願平4−27436)。しか
し、この低分子量ペクチンの血中コレステロール上昇抑
制作用については、まだ明らかではなかった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、低粘度で、且つ高溶解性でありながら血中コレステ
ロール上昇抑制作用もある程度併せ持つペクチンの分子
量を明らかにするとともに、該ペクチンを主成分とする
血中コレステロール上昇抑制剤を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意研究を重ねた結果、上記課題であ
る低粘度でかつ高溶解性でありながら血中コレステロー
ル上昇抑制作用もある程度併せ持つペクチンの分子量
は、 1)5万から20万であること、をつきとめた。
【0014】更に、本発明の血中コレステロール上昇抑
制剤は、 2)ペクチンを加水分解することによって上記5万から
20万の分子量を有するペクチンを主成分とすること、
によって提供される。
【0015】以下に本発明を更に詳細に説明する。
【0016】<ペクチンの加水分解>本発明の薬剤の主
成分となる高溶解性でありながら血中コレステロール上
昇抑制作用もある程度併せ持つペクチンは、どの程度の
分子量を有するものであるかを決定するために、約75
万の分子量を有するペクチン(市販品:以下高分子量ペ
クチンと称する)、約5万から約20万の分子量を有す
るペクチン(以下中分子量ペクチンと称する)、及び約
2万から約8万の分子量を有するペクチン(以下低分子
量ペクチンと称する)の3種類のペクチンを調製した。
【0017】上記中分子量ペクチン及び低分子量ペクチ
ンは、既に発明者らが得ているエンド型ポリガラクツロ
ナーゼ(クルイベロマイセス フラギリス(JTF−
1))を用い、ペクチンを加水分解することによって得
ることができる。
【0018】本発明に用いられるペクチンとしては、い
ずれのペクチンも原料とすることができ、その起源を制
限するものではない。従って、一般に知られているレモ
ンペクチンやリンゴペクチンなど多くの果実由来のもの
を用いることができる。
【0019】ペクチンにエンド型ポリガラクツロナーゼ
を作用させるにあたっては、精製物、培養上清(粗酵素
液)或いはその処理物のいずれを用いてもよい。
【0020】一般に、エンド型ポリガラクツロナーゼ
は、微生物、高等植物等に存在するが、これらのいずれ
からのものでも精製して用いることができる。すなわ
ち、上記微生物等の培養液から菌体を除去した培養上清
を硫安沈殿処理に供して蛋白質のみを塩析させ、これを
イオン交換体を用いて電荷により分離し、更にゲル濾過
によって分子量により分離するという一般の酵素精製工
程により精製する。
【0021】また市販のペクチナーゼを用いてもよい
が、この場合もペクチナーゼ中に存在するペクチンエス
テラーゼ及びヘミセルラーゼを除くために精製を要す
る。
【0022】ところで、本発明に使用される酵素を生産
するクルイベロマイセス属に属する酵母(クルイベロマ
イセス フラギリス(JTF−1))を用いると、精製
処理を施すことなくその培養上清を直接酵素反応に使用
できることがわかっている。クルイベロマイセス属に属
する酵母は、ペクチンを分解する酵素としては、エンド
型ポリガラクツロナーゼのみを菌体外に分泌する酵素で
あるので、これら酵母を用いると、その培養上清をその
まま粗酵素液として用いることができるのである。通
常、これらの酵母を寒天培地で種培養し、これを更に本
培養に供して大量培養し、得られた培養物を遠心分離
し、菌体を除去することによって培養上清が得られる。
【0023】このようなJTF−1は、微工研条寄第4
056号をもって、平成3年10月11日に工業技術院
微生物工業技術研究所に寄託されている。
【0024】また、前記培養上清に透析、限外濾過、イ
オン交換、又はゲル濾過などの簡単な処理を施すのみで
得られる透析処理培養上清を用いることはより好まし
い。これらの処理により、イースト臭が除去でき、かつ
液色を透明にすることができるからである。
【0025】このように、精製したエンド型ポリガラク
ツロナーゼ、或いは特定の酵母を用いて得られた培養上
清のいずれも用いることができるが、上記酵母を用いて
得られた培養上清は、酵素反応に直接用いることがで
き、これにより酵素精製工程の簡略化を図ることができ
るのでより好ましい。
【0026】また、JTF−1から得られる酵素は熱処
理によって容易に失活させることができるので一定の分
子量で反応を停止させることができるので好ましい。
【0027】以上のようにして得られた精製物、培養上
清、或いはその処理物を、ペクチンを酢酸等の緩衝液に
懸濁した懸濁液と反応させることにより中分子量ペクチ
ン及び低分子量ペクチンが得られる。
【0028】本発明に使用される酵素反応は種々の反応
条件下で行われる。
【0029】この酵素分解反応は、ペクチン1重量部に
対する酵母培養上清の量的割合が5〜20重量部の条件
下で行われることが好ましい。また、反応温度及びpH
は、反応が十分に進行し、かつエンド型ポリガラクツロ
ナーゼが失活しない温度及びpH、すなわち30〜60
℃、pH3.0〜5.0でそれぞれ行われることが好ま
しい。
【0030】本酵素分解反応は分解限度で行なうとペク
チンの分解は分子量2万程度まで減少するので、反応時
間等の反応条件を制御することが重要となる。従って、
中分子量ペクチン及び低分子量ペクチンを得るために
は、酵素分解反応の条件、特に反応時間を制御すること
が重要となる。JTF−1から得られた酵素を用いた場
合、中分子量ペクチンを得るための反応時間は約0.5
から約10時間が好ましい。一方、低分子量ペクチンを
得るための反応時間は約10時間から48時間が好まし
い。反応条件を選択することによって、目的の分子量を
有する中分子量ペクチン及び低分子量ペクチンを得るこ
とができる。
【0031】得られたペクチンの加水分解物は、そのま
ま乾燥して使用してもよく、また、更に処理を施しても
よい。
【0032】更に処理を施す場合は、分解物中のガラク
ツロン酸やそのオリゴ糖、及び酵素反応時の緩衝液とし
て使用した酢酸を除去するために透析、限外濾過などの
精製工程を施し、その後、エタノール、アセトンなどの
有機溶媒による沈殿工程、或いは凍結乾燥、噴霧乾燥な
どの乾燥工程により粉末化してもよい。
【0033】得られたペクチンの加水分解物の粘度は、
その分子量が低下するに従い低下する。本発明に使用さ
れる中分子量ペクチン及び低分子量ペクチンの粘度は、
溶解性等の面からそれぞれ2%溶液で約4から25c
P、及び約2から5cPが好ましい。
【0034】上述のように酵素を用いて得られた中分子
量ペクチン、低分子量ペクチンは、血中コレステロール
上昇抑制作用の検定試験に供し得る。試験に供する前に
夫々のペクチンの分子量及び粘度等の物性値を測定して
おく。
【0035】検定試験は、中分子量ペクチン、低分子量
ペクチン、および市販の高分子量ペクチン(いずれも分
子量、粘度等を測定し、溶解性などを評価してあるも
の)の少なくとも3種類のペクチンを用いて行えばよ
い。これによって、血中コレステロール上昇抑制作用を
ある程度有し、且つ溶解性等の物性を満足するペクチン
のおおよその分子量を知ることができる。本発明におい
ては、中分子量ペクチン(分子量約20万)、低分子量
ペクチン(分子量約7万)および市販の高分子量ペクチ
ン(分子量約75万)の3種類のペクチンを使用した。
なお、ここで使用した中分子量ペクチンおよび低分子量
ペクチンは、本発明の血中コレステロール上昇抑制剤に
使用し得る十分な溶解性および粘度を有しているもので
あった。
【0036】試験は、コレステロールを含有する飼料、
および該コレステロール含有飼料に上記3種類のペクチ
ンをそれぞれ添加した飼料を調製し、各飼料をラットに
自由摂取させることによって行った。コレステロール上
昇抑制活性の評価は、肝臓の重量および血中の総コレス
テロール値を測定比較することによっておこなった。結
果は以下の通りであった。
【0037】1)高分子量ペクチンを添加した飼料を摂
取したラットは、肝臓重量及び血中総コレステロール値
とも、コレステロールのみを添加した飼料を摂取したラ
ットに対し有意に減少していた。
【0038】2)中分子量ペクチンを添加した飼料を摂
取したラットは、コレステロールのみを添加した飼料を
摂取したラットに対し、肝臓重量において有意な差は認
められなかったが、血中総コレステロール値は有意に減
少していた。
【0039】3)低分子量ペクチンを添加した飼料を摂
取したラットは、コレステロールのみを添加した飼料を
摂取したラットに対し、肝臓重量および血中総コレステ
ロール値はわずかに減少していたが、有意な差は認めら
れなかった。
【0040】以上のことから、血中コレステロール上昇
抑制作用をある程度有し、且つ溶解性等の物性を満足す
るペクチンのおおよその分子量は、約5万から約20万
であることがわかった。
【0041】従って、本発明の血中コレステロール上昇
抑制剤に使用し得るペクチンは、約5万から約20万の
分子量を有する中分子量ペクチンが好ましい。
【0042】<血中コレステロール上昇抑制剤>本発明
の血中コレステロール上昇抑制剤は、5万から20万の
分子量を有するペクチンを主成分とする。
【0043】本発明の薬剤中の中分子量ペクチンの濃度
は、0.1から100重量%の範囲が好ましい。
【0044】また、本発明の薬剤の単位投与量は、好ま
しくは1g/dayから30g/dayである。
【0045】本発明の薬剤には、中分子量ペクチン以外
の成分として、薬学的組成物を調製するために一般に使
用される通常の賦形剤および/または担体を含有し得
る。本薬剤において、該賦形剤および/または担体を含
有する場合、活性成分である中分子量ペクチンと賦形剤
および/または担体との比は通常1:10から100:
1の範囲が好ましい。
【0046】本発明の薬剤は、活性成分である中分子量
ペクチンのみで構成されていてもよい。
【0047】本発明の薬剤は、例えば、錠剤、コートさ
れた錠剤、カプセル、小包、溶液、懸濁液、乳剤、顆粒
剤、シロップ等のような文献で公知の通常の薬学的形態
で調製され得る。本発明の薬剤では、錠剤、溶液、シロ
ップのような薬学的形態が好ましい。また、本発明の薬
剤は、賦形剤および/または担体と中分子量ペクチンを
混合し、任意に補助剤および/または分散剤を添加する
ことによって通常の手段で調製され得る。補助剤および
/または分散剤を添加する場合の希釈剤としては水が使
用されるが、他の有機溶媒も補助剤の調製に使用し得
る。補助剤としては、例えば、水;パラフィンのような
非毒性の有機溶媒;植物油(ピーナッツオイル又はごま
油);アルコール(例えば、エタノール、グリセリ
ン);グリコール(プロピレングリコール、ポリエチレ
ングリコール);例えば天然鉱物粉(陶土、タルク)、
合成鉱物粉(例えばシリケート)のような固体担体;糖
質(例えばコーンシュガー);乳化剤(アルキルスルホ
ネート又はアリールスルホネート等);分散剤(例え
ば、リグニン、メチルセルロース、澱粉及びポリビニル
ピロリドン);及び潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグ
ネシウム、タルク、ステアリン酸、ラウリルスルホン酸
ナトリウム)を挙げることができる。
【0048】本発明の血中コレステロール上昇抑制剤
は、高コレステロール食を摂るとき、または高脂血症や
動脈硬化症等の患者に投与することができるが、高コレ
ステロール食を摂るときに投与することが好ましい。
【0049】
【実施例】以下に実施例をあげて本発明をさらに詳細に
説明する。
【0050】実施例1 粗酵素溶液の調製 クルイベロマイセス フラギリスJTF−1(微工研条
寄第4056号)を2%のショ糖を含有するジャガイモ
煎汁寒天斜面培地(pH5.0)において27℃で24時
間培養した。この後、菌体の1白金耳をブドウ糖5%、
リン酸アンモニウム0. 2%、リン酸1カリウム0. 1
%、硫酸マグネシウム0. 1%および酵母エキス0. 4
%を含有する培地50mlに接種し、さらに27℃で3
日間静置培養した。この培養物を同じ組成の1リットル
の培地に接種し、さらに27℃で3日間静置培養した。
得られた培養物を13,000rpm で10分間遠心分離
し、菌体を除去して培養上清を得た。
【0051】実施例2 レモンペクチンの低分子化 2. 5%のレモンペクチン(和光純薬工業)を含有する
4リットルの0. 025M酢酸緩衝液(pH4. 8)に、
実施例1で調製した培養上清1リットルを加え40℃で
反応させた。この反応液から経時的にサンプルを適量採
取し、100℃で10分間加熱することによって酵素を
失活させた。得られた試料について、TSK−gel
G4000PW(Toso)を用いてゲル濾過により分
子量を測定し、回転式粘度計(E型粘度計)により粘度
を測定した。結果を図1および図2に示す。
【0052】図1および図2から、分子量、粘度とも反
応開始後1時間までに急速に低下することがわかる。そ
の後は分子量、粘度とも緩やかに低下し、24時間後に
はほぼ定常に達した。
【0053】また図1および図2からからわかるよう
に、分子量が約20万(反応時間約1時間の時点)で粘
度は約10cPまで低下した。このように、ペクチンを分
解してその分子量を20万以下にすることによって、粘
度を著しく低下させることができる。
【0054】実施例3 実施例2の結果を基に2種の分子量の異なるペクチン
(分子量約7万の低分子量ペクチンおよび分子量約20
万の中分子量ペクチン)を調製し、その特性を分析し
た。ペクチンにはレモンペクチンを使用した。
【0055】1)低分子量ペクチンの調製 2. 5%のレモンペクチン(和光純薬工業)を含有する
4リットルの0. 025M酢酸緩衝液(pH4. 8)に、
実施例1で調製した培養上清1リットルを加え40℃で
24時間反応させた。得られた反応液をロータリーエバ
ポレーターで濃縮後、試料溶液の100倍量の脱イオン
水に対して一晩透析した。得られた溶液を凍結乾燥する
ことによって低分子量ペクチンを58. 34g 得た。
【0056】2)中分子量ペクチンの調製 2. 5%のレモンペクチン(和光純薬工業)を含有する
4リットルの0. 025M酢酸緩衝液(pH4. 8)に、
実施例1で製造した培養上清1リットルを加え40℃で
2時間反応させた。反応液を100℃で1時間加熱する
ことによって酵素を失活させた後、ロータリーエバポレ
ーターで濃縮した。濃縮物をその100倍量の脱イオン
水に対して一晩透析した。得られた溶液を凍結乾燥する
ことによって中分子量ペクチンを67. 65g 得た。
【0057】3)低分子量ペクチンおよび中分子量ペク
チンの分析 a)分子量の測定 分子量はプルラン(STANDARD P-82 、昭和電工)を標準
試料とし、TSK−gel G4000PWによるゲル
濾過で測定した。
【0058】b)ガラクツロン酸と中性糖の比 文献(S.Matsuhashi, S.Inoue,およびC.Hatanaka, Bios
ci. Biotech. Biochem.,56,1053-1057(1992))に従
い、ドリセラーゼによって完全に加水分解した後、Shod
ex SH-1821を用いたHPLC分析によって測定した。
【0059】c)粘度測定 粘度は、高分子量ペクチン1%溶液、中分子量ペクチン
および低分子量ペクチン5%溶液の粘度をE型粘度計に
より測定した。
【0060】a)からc)までの結果を表1にまとめて
示した。
【0061】
【表1】 実施例4 実施例3の1)および2)で得られたペクチンのコレス
テロール上昇抑制活性に関する検定試験を行った。コレ
ステロール上昇抑制活性は、肝臓の重量および血中の総
コレステロール値を測定することによって評価した。
【0062】なお、ここで使用した実施例3の1)およ
び2)で得られたペクチンは、本発明の血中コレステロ
ール上昇抑制剤に使用するのに十分な溶解性および粘度
を有していた。
【0063】3週齢SD系雄性ラットを一週間市販の固
形飼料(オリエンタル酵母固形飼料MF)で予備飼育
後、体重の平均がほぼ一定になるように5群(一群6匹
(但し低分子量ペクチン飼料群は9匹))に分け、下記
表2に記載の組成を有する精製飼料を各群に割り当てて
27日間飼育した。飼料の調製はオリエンタル酵母に委
託した。試験期間中の飼料および水は自由摂取とした。
【0064】
【表2】 試験期間中は尾静脈から採血を行った。ただし、最終日
には6時間の絶食後、腹大静脈から採血を行った。ま
た、屠殺後に肝臓を摘出し、生理的リン酸緩衝液で還流
後、重量を測定し冷凍保存した。採取した血液は室温で
1時間放置した後、遠心分離によって沈殿を除去し、血
清とした。得られた血清の総コレステロール量を「デタ
ミナーTC5(協和メデックス)」を用いて測定した。
【0065】体重、飼料摂取量、および肝臓重量の変化
を表3に示した。
【0066】
【表3】 体重および飼料摂取量は各群とも同様に増加し、大きな
違いはなかった。飼料効率もほぼ同じ値を示した。コレ
ステロールを添加することによる肝臓重量の増加は、コ
レステロールの他に高分子量ペクチンを添加した飼料で
は有意に抑制された。しかし、コレステロールの他に中
分子量ペクチンを添加した飼料および低分子量ペクチン
を添加した飼料では、コレステロールのみを添加した飼
料に比べ、肝臓重量の増加は減少しているものの有意な
差は認められなかった。
【0067】次に血中コレステロール濃度について述べ
る。
【0068】表4に各群の血中のコレステロール濃度の
変動を示した。コレステロールを添加することによる血
中のコレステロール濃度の上昇は、ペクチン、中分子量
ペクチン、および低分子量ペクチンを添加した各群で抑
制された。コレステロール値の低下は、分子量が低いも
のほど弱く、低分子量ペクチンを含有する飼料ではわず
かな減少が見られるにすぎなかった。
【0069】
【表4】 以上の結果より、ペクチンのコレステロール上昇抑制効
果にはある程度の分子量(約5万程度と考えられる)が
必要であると考えられる。
【0070】実施例5 本発明のコレステロール上昇抑制効果を有する中分子量
ペクチンは種々の形態で製剤化することができるが、以
下にその1製剤例を示す。
【0071】錠剤化の例 本発明のコレステロール上昇抑制剤50部、乳糖25
部、コーンスターチ25部、ステアリン酸マグネシウム
2部を混合し、錠剤形成機で一錠あたり約500mgの
錠剤とする。
【0072】
【発明の効果】本発明の5万〜20万の分子量を有する
ペクチンは、低粘度であるため溶解性が高く、且つ血中
コレステロールの上昇を抑制する活性も保持しており、
高脂血症や動脈硬化症等の予防および治療に用いること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】2%ペクチン溶液の酵素分解過程における分子
量と分解時間の関係を表わした図。
【図2】2%ペクチン溶液の酵素分解過程における粘度
と分解時間の関係を表わした図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山口 文秀 神奈川県横浜市緑区梅が丘6番地2 日本 たばこ産業株式会社食生活研究所内 (72)発明者 清水 典子 神奈川県横浜市緑区梅が丘6番地2 日本 たばこ産業株式会社食生活研究所内 (72)発明者 高木 義和 神奈川県横浜市緑区梅が丘6番地2 日本 たばこ産業株式会社食生活研究所内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ペクチンを加水分解することによって得
    られる5万から20万の分子量を有するペクチンを主成
    分とすることを特徴とする血中コレステロール上昇抑制
    剤。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20200247912A1 (en) * 2017-10-23 2020-08-06 Nutrileads B.V. Method of producing a pectic polysaccharide isolate enriched in rhamnogalacturonan-i

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