JPH0625367B2 - 熱割れ鉱石を使用した高炉操業方法 - Google Patents

熱割れ鉱石を使用した高炉操業方法

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JPH0625367B2
JPH0625367B2 JP4498488A JP4498488A JPH0625367B2 JP H0625367 B2 JPH0625367 B2 JP H0625367B2 JP 4498488 A JP4498488 A JP 4498488A JP 4498488 A JP4498488 A JP 4498488A JP H0625367 B2 JPH0625367 B2 JP H0625367B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は高炉装入原料中の鉱石類として熱割れ鉱石を使
用する高炉操業方法に関するものである。
〔従来の技術〕
近代製鉄業における高炉操業においては、鉄鉱石原料の
ほとんどが焼結鉱またはペレットとして使用されてい
る。
しかしながら、焼結鉱、ペレットは、その製造のために
大規模な設備建設ならびに多大のエネルギーを必要と
し、銑鉄製造コストを上昇させる結果になっている。し
たがって、事前処理を行わない塊鉱石を高炉原料として
少しでも多く使用すれば、それだけコストダウンにつな
がることになる。
一方、通常の高炉操業は周知のように炉頂より鉱石、焼
結鉱、ペレット等の原料とコークスを交互に装入し、高
炉下方の羽口より熱風を吹込み、前記原料を下方から予
熱、還元、溶解させながら上昇させ、一方溶解した原料
は溶銑となって炉底に溜り、炉底に溜った溶銑を出銑口
より取り出して行われる。
以上のごとき高炉操業方法において、生産性ならびに溶
銑の品質を高めるためには、装入原料の安定した降下と
安定したガス流れが要求される。
〔発明が解決しようとする課題〕 しかしながら、塊鉱石のうち劈開性を有する鉱石は、高
炉に装入され高温のガスで急激に加熱されると割れを生
じる(本明細書において熱割れ鉱石とは、このような性
質を有する鉱石をいう)。この熱割れ鉱石は低コストで
ある反面、高炉で使用すると、粒径の低下した熱割れ鉱
石が粗粒部の原料が形成する空間を埋める結果となり、
これによって層全体の空隙率を低下させるために、ガス
流れの半径方向分布が大幅に乱れ、通気性が悪化すると
いう欠点を生じていた。このために、熱割れ鉱石は低コ
ストであるにもかかわらず、その鉱石の種類によっては
全く使用されていなかったのである。
本発明は、斯かる実情に鑑み、従来、高炉での使用が困
難あるいは不可能とされていた低コストな熱割れ鉱石を
有効に利用することができる高炉操業方法を提供するこ
とを目的とするものである。
〔課題を解決するための手段〕
本発明の高炉操業方法は、前記目的を達成するために鉱
石類とコークスとを交互に所定割合で高炉内に層状装入
するに際して、前記鉱石類を熱割れ鉱石を含むものと、
含まないものに2分し、前者を炉壁部に後者を炉中心部
に装入することを特徴とするものである。
ただし、ここでいう熱割れ鉱石とは、厳密には700℃
の電気炉の中に500gの試料(粒径15〜20mm)を
入れた鉄箱を室温から投入して急加熱し、30分後に取
り出して冷却したものの粒度分布測定結果より粒径5mm
以上の重量率が90%以下のものを意味する。
〔作 用〕
以下、本発明を、その基礎となった各種の試験結果に基
づいて詳述する。
本発明者らは、第1図に示される試験条件、すなわち、
垂直ゾンデ測定結果に基づいて得た高炉内の炉壁部、炉
中間部、炉中心部に近似した温度およびガス組成下にお
いて、加熱還元により軟化するまでの間の鉄原料層およ
びコークス層の層厚、圧力損失の推移ならびに実験終了
後室温における鉄原料層の粉化状況を調査した。
通常の熱割れ試験は試料の入った鉄ボックスを電気炉内
へ入れて急熱(例えば室温から700℃に加熱)した
後、急冷して粒度分布を測定するものであるが、本試験
においては、高炉内各位置における熱割れの状況を比較
するために、第1図に示すような条件下で試験を行っ
た。
第2図および第3図は前記調査結果、すなわち炉壁部、
炉中間部、炉中心部の各条件下で通気抵抗の温度による
変化および実験終了後の粒度分布を調査した結果を示し
たものである。なお、ここで、第2図の通気抵抗は層全
体の圧力損失および層厚の測定結果に基づき次のように
して算出した。
ここで、 △P:圧力損失(kgf/m2) H:層高(m) ρ:ガスの密度(kg/m3) K:通気抵抗(SI単位) μ:ガスの粘性係数(kg/m・s) υ:ガスの空搭速度(m/s) β:ガス流れにより定まる定数(=0.2) 第2図におよび第3図において、aで示される線は炉壁
部での温度、ガス組成条件における圧力損失の変化およ
び粒度分布(篩上累積重量割合)を示し、b,cで示さ
れる線は、それぞれ炉中間部、炉中心部の条件における
圧力損失の変化(通気抵抗)および粒度分布(篩上累積
重量割合)を示している。
第2図および第3図に示される結果によれば、炉中心部
Cでは実験開始後、直ちに圧力損失が上昇し、実験終了
後の粒径も小さいことから粉化が顕著に進行したことが
わかる。一方、炉壁部では、第2図aに見られるように
圧力損失は低く、粒径も第3図aに見られるように粉化
による細粒の少ないことがわかる。この相違は炉壁部で
の昇温速度が遅いことから、熱割れ現象を回避できたた
めと判断される。このために炉壁部においては、空隙が
確保され、圧力損失は炉中心部での実験結果に比べて低
下したものとなる。
以上の実験結果に基づけば、高炉へ装入する鉄鉱石のう
ち熱割れ鉱石を含むものを炉壁部に装入すれば、シャフ
ト部での粉化が回避され、これにより炉壁部のガス流れ
を確保しつつ炉壁への熱負荷を軽減し、かつ原料の降下
をスムーズにすることが明らかとなる。
〔実施例〕
本発明に係る熱割れ鉱石を使用した高炉操業方法におい
ては、第4図に示すごとく、含鉄原料を熱割れ鉱石を含
む原料2Aと熱割れ鉱石を含まない原料2Bとにあらか
じめ分けて準備しておく。そして、高炉への装入に際し
ては、コークス3を装入した後、熱割れ鉱石を含まない
原料2Bを炉壁1の近傍を除いて装入し、炉壁1近傍に
は熱割れ鉱石を含む原料2Aを装入する。
ここで熱割れ鉱石を含む原料2Aとは、熱割れ鉱石を一
部含むものの他、全部が熱割れ鉱石のものを含むもので
ある。熱割れ鉱石を一部含む場合、残りは焼結鉱、ペレ
ット、熱割れ鉱石以外の塊鉱石等を適宜配合したもので
ある。熱割れ鉱石の混合率の上限については、混入量が
増加すると焼結鉱の量が減少し、本来のガス通過特性に
影響をきたすことから総鉱石量(2A+2B)に対して
重量%で30%程度とすることが好ましい。
また熱割れ鉱石を含まない原料2Bとは、熱割れ鉱石を
実質的に含まないものを言い、大部分が焼結鉱、ペレッ
ト、熱割れ鉱石以外の塊鉱石等を適宜配合したものであ
る。
熱割れ鉱石を含む原料2Aと熱割れ鉱石を含まない2B
との装入量比率は、後述するように操業状態を管理しな
がら適宜決定される。
2種類の原料を炉中心部と炉壁とに分けて装入するに
は、炉径方向におけるコークス層と鉱石類層の分布を自
由に変えることができるムーバブルアーマや、ホッパー
内の装入物を炉頂部内中心部に送給する炉内装入用旋回
シュート(ムーバブルアーマおよび旋回シュートとも特
開昭61−227109号に開示)を有する装入装置を
用いればよい。
以上のようにして原料装入を行えば、熱割れ鉱石が昇温
速度の低い炉壁部に集中的に送給されることになるの
で、粒度の低下をきたすことなしに炉壁側のガス流れを
確保しながら通気抵抗を下げ、安定した原料の降下が得
られるようになる。
以上のごとき炉頂での原料装入の結果は4〜5時間で羽
口部にあらわれ、羽口部における送風圧が変化するか
ら、その結果に基づいて炉壁部に装入する熱割れ鉱石を
含む原料の量を調整することにより、炉壁側のガス状態
を常時良好に維持することができる。
次に、本発明の実施結果について詳述する。
内容積1850m3のベル式高炉で、焼結鉱とペレットの
合計量が原料総量の85重量%、残りの15重量%が塊
鉱石の原料を装入するにあたり、焼結鉱とペレットが9
6.4重量%、熱割れ鉱石以外の塊鉱石が3.5重量%
のものを炉中心側へ、焼結鉱とペレットが80.5重量
%、熱割れ鉱石が19.5重量%のものを炉壁側に装入
し、操業を行ったところ、大量の熱割れ鉱石を装入した
にもかかわらず長期にわたって安定した操業を継続する
ことができた。その操業結果を示すと第1表のようにな
る。
第1表から明らかなように、本発明によれば、熱割れ鉱
石を大量に装入しても、炉体熱損失、炉頂ガス成分、送
風圧ともに安定し、むしろ通気性(第1表では、高炉圧
損指数で表示)、ガス利用率の向上等を図ることがで
き、高炉操業を長期にわたって安定して操業することが
できるのである。
〔発明の効果〕
以上の説明から明らかなように、本発明は高炉装入原料
中の鉱石類を、高炉操業に悪影響を与えることなく熱割
れ鉱石に置換して使用することが可能になり、これによ
る操業コスト低減の効果は甚だ大きいものである。
【図面の簡単な説明】
第1図は高炉内各部に近似した温度およびガス組成等の
試験条件を示すグラフ、第2図は高炉内各部における各
温度毎の通気抵抗の変化を示すグラフ、第3図は高炉内
各部における篩目毎の篩上累積重量割合を示すグラフ、
第4図は本発明における高炉への原料装入方法を示す要
部模式図である。 図中、1:炉壁、2A:熱割れ鉱石を含む原料、2B:
熱割れ鉱石含まない原料。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】鉱石類とコークスとを交互に所定割合で高
    炉内に層状装入する際にして、前記鉱石類を熱割れ鉱石
    を含むものと、含まないものに2分し、前者を炉壁部に
    後者を炉中心部に装入することを特徴とする熱割れ鉱石
    を使用した高炉操業方法。
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