JPH06248277A - 給送燃料油改質装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】給送燃料油改質装置において、反発磁場と吸着
磁場を錯綜的に作り出してこれを増幅的に燃料油に作用
させ、油分子の微粒化を促進し、燃焼効率の向上、燃焼
系のパワーアップ、燃料消費量の減少、窒素酸化物の低
減といった省エネルギーと公害防止の相反する要請を一
挙に解決すること。 【構成】一端に燃料油の入口を他端に同出口を備えた筒
状ケーシグ１１内の筒心に、燃料油の出入口に連通させ
て燃料油通過管２２を配設し、この燃料油通過管２２
に、一面がＮ極他面がＳ極を呈する複数の環状永久磁石
２１を反発関係にして隣接相互間に磁力線集積ヨーク２
３を介在させて複数組格別に相互密接させ、かつ各組磁
石Ｇ１，Ｇ２，Ｇ３…毎をスペーサ２４を介して吸着関
係にしたうえで嵌装固定し、燃料油通過管２２内には、
その軸方向中心に、磁場増強シャフト２５を配設する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、例えば、自動車、船舶
あるいはボイラ等におけるオイルタンク等の供給系とエ
ンジン等の燃焼系間に配設され、供給系からの燃料油を
磁界処理して燃焼系に給送するために用いられる給送燃
料油改質装置の改良に関する。

【０００２】

【従来の技術】一般に、オイルタンク等の供給系からエ
ンジン等の燃焼系に給送される燃料油は、粒径が５０μ
ないし１００μの油分子が相互に結合した状態の、いわ
ゆる未処理燃料油が使用されている。この未処理燃料油
は、粒径が大きく空気との接触面積が少ないため、これ
をそのまま燃焼系に使用した場合、不完全燃焼が生じ、
燃焼効率が悪くなり、ひいては燃料消費量の増大や窒素
酸化物（ＮＯｘ）の多量発生を招いている。

【０００３】このような問題を解決するため、従来か
ら、燃料油に磁気を作用させ、燃料油を構成する油分子
の相互結合を切断して微粒化し、燃焼効率の良い燃料油
を燃焼系に供給するための装置を得る試みが広く行なわ
れている。この様な試みの一つとして、本発明者は、既
に、特願昭６０−２６２０２２号として給送燃料油改質
装置（従来装置）を提案している。

【０００４】この燃料油改質装置は、一方端に油入口
を、他方端に油出口を備えた筒状ケーシング内に、複数
の環状永久磁石を反発関係で直列に相互密着させ、封入
固定してなっている。そして、反発相互密着構成の環状
永久磁石の作り出す反発磁場を燃料油の通路である内周
部内に及ぼし、この中を通過する燃料油の分子を微粒化
しようとするものである。

【０００５】

【発明が解決しようとする問題点】ところが上記従来装
置によると、環状永久磁石を相互に密着させてあるた
め、これにより作り出される反発磁場が減衰させられる
ことがあり、磁束密度に応じた十分な反発磁場を内周部
内に及ぼすことができなかった。その結果、未処理の燃
料油を燃焼系に供給するよりは、燃焼効率の向上や窒素
酸化物の低減等が図られるものの、満足し得る効果にま
では到らなかった。

【０００６】本発明は、上記実情に鑑みてなされたもの
で、反発磁場と吸着磁場を錯綜的に作り出してこれを増
幅的に燃料油に作用させ、油分子の微粒化を促進し、燃
焼効率の向上、燃焼系のパワーアップ、燃料消費量の減
少、窒素酸化物の低減といった省エネルギーと公害防止
の相反する要請を一挙に解決することを目的とするもの
である。

【０００７】

【問題点を解決するための手段】上記問題点を解決する
本発明の給送燃料油改質装置は、一端に燃料油の入口を
他端に同出口を備えた筒状ケーシング内の筒心に前記油
出入口に連通させて燃料油通過管を配置し、この燃料油
通過管に、一面がＮ極他面がＳ極を呈する複数の環状永
久磁石を反発関係にして隣接相互間に磁力線集積ヨーク
を介在させて複数組格別に相互密接させ、かつ各組磁石
毎をスペーサを介して吸着関係にしたうえで嵌装固定
し、前記燃料油通過管内にはその軸方向中心に磁場増強
シャフトを配設してなり、前記燃料油通過管内部に、反
発相互密接構成の前記環状永久磁石による生じる反発磁
場と吸着関係の組磁石相互間により生じる吸着磁場との
錯綜した磁場を前記磁力線集積ヨークと磁場増強シャフ
トとの共働により増幅して作り出し、前記燃料油通過管
に燃料油を通過させる際、前記増幅錯綜磁場を燃料油に
及ぼし、燃料油の油分子を微粒化することを特徴とす
る。

【０００８】

【作用】反発相互密接構成の複数の環状永久磁石により
作り出される反発磁場と、組磁石相互間から作り出され
る吸着磁場は、燃料油通過管内で入り乱れ、錯綜磁場を
作り出す。このとき、各環状永久磁石の磁力は磁力線集
積ヨークにより効率的に集められる。また、燃料油通過
管内の錯綜磁場は、磁場増強シャフトにより増幅され
る。これにより、燃料油は、燃料油通過管を通過する際
に増幅された強力な錯綜磁場に接し、十分な磁化作用を
効率的に受けてその油分子が微粒化され、燃焼系へと給
送されることになる。したがって、燃焼系では、燃焼効
率が高められ、燃料消費量が節減される。また、カーボ
ンの発生も抑制されるので、排気ガス中の窒素酸化物等
も低減される。

【０００９】

【実施例】以下、図示実施例につき本発明を説明する。
図中１１は、本発明装置である給送燃料油改質装置１０
の外殻をなすケーシングで、円筒状に成形されている。
ケーシング１１の素材は、鉄板、ステンレス等でも良い
が、内部に配設する環状永久磁石２１の磁気がケース外
に漏出するのを防ぎ、車両搭載の電子機器等に悪影響を
及ぼさない材質、例えばアルミニウム製等にするのが好
ましい。ケーシング１１の両端開口は、栓体１２により
機密に螺着され、その中心開口には、燃料油の出入口１
３の形成された接続口１４（１５）が螺合等により固着
されている。接続口１４（１５）は、一方が油入口、他
方が油出口となっており、一方が燃焼系１６側の給送管
１７に、他方がオイルタンク１８側の給送管１９に、そ
れぞれ接続できるようになっている。燃焼系１６は、例
えば、自動車のディーゼルまたはガソリンエンジン、ボ
イラー、船舶のディーゼルエンジン、冷暖房設備の燃焼
部等である。

【００１０】ケーシング１１の筒心一には、非磁性管等
で成形された燃料油通過管２２が油出入口１３と同心に
連通配設されている。そして、この燃料油通過管２２に
は、複数の環状永久磁石２１が直列状態で嵌装されてい
る。複数の環状永久磁石２１は、一面がＮ極、他面がＳ
極を呈するもので、ケーシング１１内に以下のような関
係で配置されている。すなわち、各極面が隣接相互で反
発しあうように、つまり、（Ｎ，Ｓ）、（Ｓ，Ｎ）、
（Ｎ，Ｓ）となるように各環状永久磁石２１を密接させ
てあり、隣接相互間で反発磁場を発生させるようにして
ある。そして、隣接相互の環状永久磁石２１，２１間に
は、同磁石２１の磁力線を効率的に集める磁力線集積ヨ
ーク２３が介在させてある。磁力線集積ヨーク２３は、
鉄、アルミニウム、真鍮製が好ましく、厚さ１．２ｍｍ
ないし３ｍｍ程の円環状に成形されている。また同ヨー
ク２３の外径および内径は、環状永久磁石２１のそれよ
り小寸法あるいは同寸法でもよいが、磁力線の集積力を
内周方向に高めるには、その内周端を環状永久磁石２１
内周端より燃料油通過管２２側に若干突出させるのが好
ましい。

【００１１】上記のように反発相互密接させた環状永久
磁石２１の複数は、それぞれが各組別に分けられてそれ
ぞれ組磁石Ｇ１，Ｇ２，Ｇ３…を構成しており、これら
各組磁石Ｇ１，Ｇ２，Ｇ３の隣接相互は、スペーサ２４
を介して吸着関係、すなわちＳ対Ｎの関係に保ってあ
る。したがって、燃料油通過管２２内には、上記反発磁
場とこの吸着磁場が錯綜して作用することとなる。

【００１２】さらに、燃料油通過管２２には、その軸方
向中心に、磁場増強シャフト２５が配設されている。こ
の磁場増強シャフト２５は、磁力線集積ヨーク２３と同
材質の中実棒状のもので、上記の錯綜した磁場を燃料油
通過管２２内で均一に増幅させる働きをする。

【００１３】なお、各組磁石Ｇ１，Ｇ２，Ｇ３…は、そ
れを構成する環状永久磁石２１を同数とするのが好まし
い。このようにすれば、燃料油通過管２２内に作用する
磁力に均一性が保たれ、燃料油の安定的な磁化を実現す
ることが可能となる。また、各環状永久磁石２１は、隣
接相互の反発密接による磁場を効果的に実現させるた
め、その磁束密度が１０００Ｇ以上のもの、好ましくは
４０００Ｇから８０００Ｇのものが用いられ、それらは
同一磁束密度とするのが好ましい。

【００１４】以下に、上記構成の本発明装置の作用を説
明する。本装置は、燃焼系１６とオイルタンク１８の間
に取り付けられるもので、接続口１４（１５）を、それ
ぞれ給送管１７（１９）に接続して用いられる。オイル
タンク１８から未処理燃料油がケーシング１１内の燃料
油通過管２２に送り込まれると、燃料油は、相互反発密
接構成の環状永久磁石２１の作り出す反発磁場と、隣接
する各組磁石Ｇ１，Ｇ２，Ｇ３…相互の作り出す吸着磁
場との錯綜する磁場に晒される。その際、環状永久磁石
２１の磁力線は磁力線集積ヨーク２２によって効率的に
捕捉されるので、減衰することなく磁束密度に応じた反
発磁場が生じる。さらに、この反発磁場と上記吸着磁場
は、磁場増強シャフト２５によって均一に増幅されるた
め、燃料油には、強力で安定的な錯綜磁場が作用するこ
とになる。

【００１５】錯綜磁場は、燃料油通過管２２内で複雑か
つ均一で多量に生じており、この磁場の斥力と引力によ
り、燃料油中の油分子同士はその結合力が切断され、そ
れぞれの小分子に分離する傾向を示す。油分子は、雑然
とした状態でそれぞれの磁性に相応した方向への整列の
ため混乱を呈し、さらに磁気による攪拌作用を受けて分
子間の相互摩擦により切断されて微粒化されていく。そ
して、上記作用の繰り返しにより、油分子の粒径は、未
処理時の５０μから１００μのものが、２０μ程にまで
微粒化される。そして、このように改質された燃料油が
燃焼系１６へと送られる。燃焼系１６では、改質燃料油
の霧化分散が容易に行なわれるので、拡散高温燃焼とな
り、完全燃焼に近い燃焼が得られる。したがって、燃焼
効率が向上し、燃料消費量が軽減される。また、低酸素
燃焼も可能となるので、同時に窒素酸化物も低減され
る。

【００１６】

【発明の効果】以上説明したように、本発明装置によれ
ば、燃焼系へ給送中の燃料油に反発磁場と吸着磁場との
錯綜磁場を強力で均一、かつ安定的に作用させるので、
燃料油の油分子を微粒化することができる。よって、燃
焼系では、燃焼効率の向上、燃料消費量の減少および燃
焼系のパワーアップを図ることができ、その結果、窒素
酸化物の低減をも実現させることができる。

【００１７】

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明による給送燃料油改質装置の一実施例を
示す断面図である。

【図２】図１の部分拡大断面図である。

【図３】本装置の配置状態を示す概念図である。

【００１８】

【符号の説明】

１０ 給送燃料油改質装置 １１ ケーシング １２ 栓体 １３ 出入口 １４，１５ 接続口 １６ 燃焼系 １７，１９ 給送管 １８ オイルタンク ２１ 環状永久磁石 ２２ 燃料油通過管 ２３ 磁力線集積ヨーク ２４ スペーサ ２５ 磁場増強シャフト

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】一端に燃料油の入口を他端に同出口を備え
   た筒状ケーシング内の筒心に前記油出入口に連通させて
   燃料油通過管を配設し、この燃料油通過管に、一面がＮ
   極他面がＳ極を呈する複数の環状永久磁石を反発関係に
   して隣接相互間に磁力線集積ヨークを介在させて複数組
   格別に相互密接させ、かつ各組磁石毎をスペーサを介し
   て吸着関係にしたうえで嵌装固定し、前記燃料油通過管
   内にはその軸方向中心に磁場増強シャフトを配設してな
   り、 前記燃料油通過管内部に、反発相互密接構成の環状永久
   磁石による生じる反発磁場と吸着関係の組磁石相互間に
   より生じる吸着磁場との錯綜した磁場を前記磁力線集積
   ヨークと磁場増強シャフトとの共働により増幅して作り
   出し、前記燃料油通過管に燃料油を通過させる際、前記
   増幅錯綜磁場を燃料油に及ぼし、燃料油の油分子を微粒
   化することを特徴とする給送燃料油改質装置。
2. 【請求項２】磁力線集積ヨークは、少なくともその内周
   端が前記永久磁石の内周端よりも突出している請求項１
   に記載の給送燃料油改質装置。