JPH06245775A - 蛋白質n−ミリストイル化方法 - Google Patents

蛋白質n−ミリストイル化方法

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JPH06245775A
JPH06245775A JP3030426A JP3042691A JPH06245775A JP H06245775 A JPH06245775 A JP H06245775A JP 3030426 A JP3030426 A JP 3030426A JP 3042691 A JP3042691 A JP 3042691A JP H06245775 A JPH06245775 A JP H06245775A
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JP
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nmt
coli
protein
plasmid
yeast
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JP3030426A
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Robert J Duronio
ジョセフ ドゥロニオ ロバート
Peter Olafs Olins
オラフス オリンズ ピーター
Jeffrey I Gordon
イバン ゴードン ジェフレイ
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University of Washington
Washington University in St Louis WUSTL
Original Assignee
University of Washington
Washington University in St Louis WUSTL
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Publication date
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    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N9/00Enzymes; Proenzymes; Compositions thereof; Processes for preparing, activating, inhibiting, separating or purifying enzymes
    • C12N9/10Transferases (2.)
    • C12N9/1025Acyltransferases (2.3)
    • C12N9/1029Acyltransferases (2.3) transferring groups other than amino-acyl groups (2.3.1)
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N9/00Enzymes; Proenzymes; Compositions thereof; Processes for preparing, activating, inhibiting, separating or purifying enzymes
    • C12N9/10Transferases (2.)
    • C12N9/12Transferases (2.) transferring phosphorus containing groups, e.g. kinases (2.7)

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Abstract

(57)【要約】 【目的】 大腸菌内においてN−ミリストイルトランス
フェラーゼとそのN−ミリストイルトランスフェラーゼ
に対する蛋白質基質を共発現させる方法において、
(A)イソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド
誘導性tacプロモーター、g10−Lリボソーム結合
部位、NMT遺伝子、カナマイシン抵抗性遺伝子および
p15A複製起源の作動可能な配列、ならびに(B)
ecAプロモーター、g10−Lリボソーム結合部位、
哺乳動物遺伝子、アンピシリン抵抗性遺伝子およびCo
lE1複製起源の作動可能な配列から構成される二相性
プラスミド系を大腸菌に導入する方法。 【構成】 哺乳動物N−ミリストイル化蛋白質またはミ
リステート類縁体が共有結合して含有させる物理化学的
性質を変化させた蛋白質の製造が可能になる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】発明の背景 本発明は、N−ミリストイル化蛋白質の製造方法に関
し、さらに詳しくはN−ミリストイルトランスフェラー
ゼ(NMT)およびその蛋白質基質の大腸菌内における
共発現に関する。
【0002】特定の真核生物蛋白質の脂肪酸アシル化は
確立された過程であり、便宜上2種類に分けることがで
きる。一方において、パルミテート(c16:0)が翻
訳後にエステルまたはチオエステル結合を介して膜蛋白
質に結合される。
【0003】他方では、ミリステート(c14:0)は
アミド結合を介して可溶性膜蛋白質に共有結合する。こ
れは翻訳と同時に起こる現象と考えられる。N−ミリス
トイル化蛋白質においては、アミノ末端グリシン残基が
アシル化部位であることが知られている。ミリストイル
CoA:プロテインN−ミリストイルトランスフェラー
ゼ(NMT,E.C.2.3.1.97)は、この翻訳
時修飾を触媒する。NMT構造遺伝子(NMT1)は最
近、ビール酵母菌(Saccharomyces ce
revisiae)からクローン化された(Duron
ioら:Science243:796〜800,19
89参照)。この遺伝子は455個のアミノ酸のポリペ
プチド(Mr=52,837)をコードしている。
【0004】多様なウイルスおよび細胞蛋白質が、その
アミノ端末におけるグリシンへのアミド結合を介して結
合したミリステートの共有結合的付着によって修飾され
ていることが明らかにされている。このような修飾は、
ある種のN−ミリストイル化蛋白質の生物学的機能の完
全な発現に必須である。最も徹底的に研究されているミ
リストイル化蛋白質の例にはラウス肉腫ウイルスの形質
転換蛋白質、p60V- src がある。そのN−末端グリシ
ンにミリステートの共有結合による付着がなければ、そ
のチロシンキナーゼ活性は正常に維持されているもの
の、その蛋白質には細胞の形質転換能はない。
【0005】
【0006】上述の蛋白質脂肪酸アシル化に関するその
他の背景情報については、Washington大学医
学部の関連研究者による以下の一連の論文が参考にな
る。 Towler & Glaser:Biochemis
try 25:878〜884(1986); Towler & Glaser:Proc.Nat
l.Acad.Sci.USA 83:2812〜28
16(1986); Towler ら:Proc.Natl.Acad.S
ci.USA 84:2708〜2712(198
7); Towler ら:J.Biol.Chem262
1030〜1036(1987); Towler ら:Ann.Rev.Biochim
57:69〜99(1988); Heuckeroth ら:Proc.Natl.Ac
ad Sci.USA 85:8795〜8799(1
988);および Heuckeroth & Gordon:Proc.
NatlAcad.Sci.USA 86:5262
〜5266(1989)
【0007】ミリストイル化酵素の基質として有用な、
比較的短いアミノ酸配列を有する独特な合成ペプチド
が、米国特許第4,740,588号および第4,77
8,878号に記載されている。このようなペプチドの
例には、
【化1】Gly-Asn-Ala-Ala-Ala-Ala-Arg-Arg および Gly-Asn-Ala-Ala-Ser-Tyr-Arg-Arg がある。
【0008】ある種の他の独特な合成ペプチドは、米国
特許第4,709,012号および第4,778,87
7号に記載にされているようなミリストイル化酵素のイ
ンヒビターである。Heuckerothら(前出);
Heuckeroth &Gordon(前出);Br
yantら(Proc.Natl.Acad.Sci.
USA 86:8655〜8659,1989);およ
びMumbyら(Proc.Natl.Acad.Sc
i.USA 87:728〜732,1990)は、抗
ウイルス剤、抗カビ剤および抗新生物剤として使用でき
る可能性がある。ミリストイル化酵素の新規な脂肪酸類
縁体基質を報告している。これらの基質化合物は、モノ
およびジヘテロ原子置換脂肪酸類縁体であって、ヘテロ
原子、酸素および/または硫黄がC13〜C14脂肪酸の脂
肪酸鎖における炭素位置4〜13のメチレン(−CH2
−)基を置換している。このような脂肪酸類縁体の例に
は、11−オキサミリスチン酸および13−オキサミリ
スチン酸がある。これらの脂肪酸類縁体のCoAエステ
ルは、NMTの基質であって、選択的に細胞またはウイ
ルスN−ミリストイル蛋白質のサブセットに転移され、
そこで蛋白質機能を変化させることができる。
【0009】
【発明の簡単な説明】本発明によれば、N−ミリストイ
ル−トランスフェラーゼ(NMT,E.C.2.3.
1.97)とその蛋白質基質を大腸菌内で共発現させる
新規な方法が提供される。二相性プラスミド系を使用し
て、NMT遺伝子と哺乳動物蛋白質をコードするcDN
Aを同時に発現させることにより、哺乳動物蛋白質のミ
リストイル化を大腸菌内で再構成することができる。
【0010】本発明の新規な方法は、蛋白質N−ミリス
トイル化の基質要求性および生物学的作用、ならびにN
MTの構造活性相関の研究のために新しいシステムを提
供する。本発明を例示すれば、内因性NMT活性をもた
ない細菌である大腸菌内での酵母NMT1遺伝子の発現
は、完全な53kDaのNMTポリペプチドと同時にそ
のNH2 末端39アミノ酸の蛋白分解除去に由来する截
頭ポリペプチドの産生を生じる。それぞれの大腸菌合成
NMT種は、酵素活性のin vitroアッセイで判
定して、ビール酵母菌から回収されたNMTの場合と識
別できない脂肪酸およびペプチド基質特異性を有し、こ
れはこの酵素のNH2 −末端ドメインはその触媒活性に
は必要でないことを示唆している。二相性プラスミド系
を用いて、酵母NMT1遺伝子と、cAMP依存性プロ
テインキナーゼ(PK−A)の触媒性(c)サブユニッ
トとコードするマウスcDNAを同時に発現させること
により、大腸菌内で哺乳動物蛋白質のN−ミリストイル
化が再構築された。代謝標識試験では、この系にN−メ
リストイル化の脂肪酸特異性が保存されていることを示
した。〔3 H〕ミリスチン酸はC−サブユニットのGl
1 残基に効率的に結合したが、〔3 H〕パルミテート
は結合しなかった。
【0011】本発明によればまた、疎水性は低下したが
同じ鎖長を有するヘテロ原子含有ミリスチン酸類縁体、
3 H〕10−(プロポキシ)デカン酸は、PK−Aの
C−サブユニットに取り込まれるNMTの有効な代替基
質であることが見出された。
【0012】このようなミリスチン酸のヘテロ原子含有
類縁体は最近、Bryantら(Proc.Natl.
Acad.Sci.USA 86:8655〜865
9,1989)により、ある種のレトロウイルスの複製
を阻害することが示された。これらのウイルスはそのg
agポリ蛋白質前駆体(たとえば、ヒト免疫不全ウイル
ス1;HIV−1のPr55gag )へのミリストイル基
の結合に依存しているのである。
【0013】本明細書に定義される細菌系が真核細胞系
に優る大きな利点は、内因性NMTおよび基質の不存在
下に、与えられた蛋白質のミリストイル化、類縁体置
換、および非ミリストイル化型を、それらの構造および
機能的性質の比較のために製造するさらに簡単な方法を
提供することにある。本方法は、酵素インヒビターなら
びにヘテロ原子含有類縁体のようなNMT代替基質につ
いて、特定の標的蛋白質にそれらが取り込まれる能力の
スクリーニングを容易にする。最後に、本方法はまた、
他の真核細胞蛋白質の大腸菌内での修飾の再現に有用で
あって、酵素およびそれらの基質の修飾の構造/活性相
関をより容易に評価できる。
【0014】大腸菌内での酵母NMT1の産生には、
MT1遺伝子を適当なプラスミド発現ベクター、たとえ
ばpMON5840中にクローン化できる。このプラス
ミドは、無関係な配列のほかに、recAプロモーター
(PrecA)およびバクテリオファーヂT7ファージ
遺伝子10リーダーRNA由来のリボソーム結合部位
(g10−LRBS)を含有するpMON5515の変
異体であって、さらにOlinsら(Gene 73
227〜235,1988,Olins & Rang
wala(J.BiolChem264:1697
3〜16976,1989)によって記載されているよ
うに、大腸菌内での外来性遺伝子の強力な発現に適して
いる。pMONー5840中のrecAプロモーターは
HpaIIフラグメントとして誘導され、Horiiら
Proc.Natl.Acad.Sci.USA
:313〜317,1980)によって報告された配
列のヌクレオチド63〜210に相当する。酵母NMT
遺伝子は親ベクター中にリゲートして、慣用の手順に
よりNMTの発現に使用できる。
【0015】とくに、酵母NMT1遺伝子は、そのイニ
シエーターMetコドンにおけるNco1部位を操作
し、そのDNAをpMON5840中にサブクローニン
グすることにより、g10−Lの下流に配置される。こ
の場合、NMTの転写は、pMON5840中g10−
L配列の上流に位置する大腸菌recAプロモーターの
制御下に置かれる。この組変えプラスミドをもつ大腸菌
JM101細胞を中対数期まで増殖させ、ついでナジル
キシン酸で処理してrecAプロモーターを誘導する。
【0016】上述のプラスミド系を用い、ついでNMT
を、細胞溶解質の連続的硫酸アンモニウム沈殿、DEA
E−SepharoseTMCL−6BおよびCoA−ア
ガロースアフィニティークロマトグラフィーによって約
750倍に精製した。NMT活性に対する結合in v
itroアッセイ(Towler & Glaser:
Proc.Natl.Acad.Sci.USA
:2812〜2816,1986)を用いることによ
り、部分精製大腸菌由来NMTは、様々なペプチド基質
に対して、酵母からの部分精製NMTプレパレーション
の場合とほぼ同一のKmおよびVmax値を示すことが明
らかにされた。
【0017】大腸菌内で酵母NMT1遺伝子と、Uhl
erら(Proc.Natl.Acad.Sci.US
83:1300〜1304,1986)によって記
載されたcAMP依存性プロテインキナーゼ(PK−
A)のマウスCα触媒サブユニットをコードするcDN
A(Cα)を共発現するために、二相性プラスミド系が
使用された。ひとつのプラスミドは、カナマイシン抵抗
性遺伝子およびp15A複製起源を含有するpACY1
77の誘導体であるpMON5839中に1.9kb
NcoI〜HindIII NMT1フラグメントをクロー
ニングすることによって構築された。もうひとつのプラ
スミドは、アンピシリン対抗性遺伝子およびColE1
複製起源を含有するpMON2670中に1.8kb
NdeI−KpnICα cDNAをクローニングすく
ことによって構築された。
【0018】NMTとその蛋白質基質の大腸菌内での共
発現はしたがって、NMT構造/活性相関の解析を容易
にし、N−ミリストイル化に必要なその蛋白質基質の構
造的特徴の同定を助け、各N−ミリストイル蛋白質の機
能におけるミリストイル残基の役割についての洞察を提
供する。特定のN−ミリストイル蛋白質をミリステート
のヘテロ原子含有類縁体で修飾することによる効果は、
大腸菌合成非アシル化、ミリストイル化、および類縁体
置換種の比較試験による直接評価が可能になる。脂肪酸
の代謝欠損大腸菌変異株(Silbert:Ann.R
ev.Biochem44:315〜339,197
5;Nunnら:J.Biol.Chem261:1
67〜171,1986)はとくに、外因性脂肪酸およ
びそれらの類縁体のアシル化装置への送達能を改善する
ことにより、これらの試験に有用である。最後に、NM
Tへのアシル−CoAの結合は各種のペプチド基質に対
する酵素の親和性に影響するとの観察(Heucker
othら:Proc.Natl.Acad.Sci.U
SA85:8795〜8799,1988)を考慮す
ると、大腸菌内におけるNMTとその蛋白質基質の共発
現は、与えられた標的蛋白質への様々な類縁体の取り込
みの相対的な効率のスクリーニングに良好な機能的検定
を提供できる。この意味で、ここに定義されるN−ミリ
スチル化系は、有用な抗腫瘍または抗ウイルス剤の同定
の助けになる。
【0019】上述の親プラスミドベクター、pMON2
670およびpMON5840は大腸菌JM101中に
それぞれ保持させて、American Type C
ulture Collection,Rockvil
le,Marylandに、それぞれ受入番号ATCC
68218およびATCC68220として寄託されて
いる。
【0020】 〔発明の詳細な説明〕本明細諸は、本発明を形成すると
みなされる主題を、特定的に指摘し、明確に請求した特
許請求の範囲をその結論とするが、本発明は添付された
図面との関連で以下に詳細に述べられる本発明の好まし
い態様の説明によってよりよく理解されるものと確信す
る。
【0021】図1は、本発明の例示的実施態様におい
て、大腸菌内で合成されたマウスcAMP依存性プロテ
インキナーゼ触媒(c)サブユニットのミリストイル化
を5つのパネル、A,B,C,DおよびEに示す。
【0022】図1A(パネルA)は、大腸菌内でのNM
T1およびCαDNAの発現に用いられたプラスミド構
築体を模式的に示す図である。
【0023】図1B,1Cおよび1D(パネルB,Cお
よびD)は、外因的に添加した〔3H〕ミリステート
(パネルB),〔3 H〕パルミテート(パネルC)およ
び〔3H〕10−(プロポキシ)デカノエート(パネル
D)で標識後、様々な組合せのプラスミドを含む大腸菌
形質転換体から調整された溶解質のゲルパターンを示し
ている。ついで、〔3 H〕溶解質蛋白質をSDS−PA
GEおよびフルオログラフィーに付した。矢印は精製さ
れたマウスC−サブユニットの移動位置を示す。パネル
BおよびCに示したゲルのフルオログラフィーの露出時
間は4日、一方、パネルDに示したゲルは15日間暴露
した。レーン1:大腸菌JM101株、プラスミドな
し;レーン2:JM101プラス親ベクター;レーン
3:JM101プラス組換えNMT1−およびCα含有
プラスミド、誘導せず;レーン4:JM101プラス
MT1およびCαプラスミド、誘導後;レーン5:JM
101プラスNMT1および変異体Ala 2 Cαプラス
ミド、誘導後;レーン6;JM101プラスNMT1
よびCα挿入体を欠く親ベクター、誘導後;レーン7:
JM101プラスCαおよびNMT1挿入体を欠く親ベ
クター、誘導後。
【0024】図1E(パネルE)は、野性型Gly2
C−サブユニットまたは変異体Ala2 −C−サブユニ
ットを含有をする大腸菌溶解質のウエスタンブロット解
析を示す。
【0025】図2は、図1に記載されたNMT1および
Cα遺伝子の発現プラスミドの構築に用いられた親プラ
スミドベクター,pMON5840、pMON2670
およびpMON5839を模式的に示す図である。
【0026】本発明をさらに詳細に例示するために、以
下の例示的な実験室的調整実験を実施した。
【0027】 材料および方法 大腸菌内でのNMT−1およびCαの産生に使用した親
発現ベクター :この例では、ColE1複製起源を有す
る2種のプラスミド、すなわち図2に模式的に例示した
pMON2670およびpMON5840を使用した。
これらのプラスミドを係留する大腸菌JM101株はA
TCCに寄託され,それぞれ受入番号ATCC6821
8およびATCC68220として利用できる。略述す
れば、これらのプラスミドはOlinsら(Gene
73:227〜235,1988)によって記載された
プラスミドpMON5515に基づくもので、アンピシ
リン抵抗性マーカー(AMPr )およびColE1レプ
リコン(ori−ColE1)、ナリジキシン酸誘導性
大腸菌recAプロモーターならびにg10−Lリボソ
ーム結合部位から構成される。さらに、pMON267
0はT7転写ターミネーター(T7ter)を有し、一
方、pMON5840はF1ファージからの一本鎖複製
起源(ori−F1)(Dente:Nucl.Aci
dsRes11:1645,1983)を含有し、こ
れはまた転写ターミネーターとしても働く。この2種の
プラスミドはまた、無関係なコード領域を(pMON2
670ではヒトproANF遺伝子、proANFの部
分、pMON5840ではヒトインターロイキン−1遺
伝子、hIL−1の部分)G10−1リボソーム結合部
位の下流に含有する。唯一のNcoI,NdeIおよび
HindIII 制限部位がこの無関係なコード領域の単純
な除去を可能にした。
【0028】大腸菌内でのNMT1の二相性プラスミド
発現には、pACYC177(Chang & Coh
en:J.Bacteriol134:1141〜1
156,1978)に基づくプラスミドベクターを、図
2に模式的に例示したように使用した。このプラスミ
ド、pMON5839を係留する大腸菌JM101株
は、p15複製起源(orip15A)と選択マーカー
としてカナマイシン抵抗性遺伝子(KANr )を含有す
る。このプラスミドは誘導可能なtacプロモーター
Ptac)(DeBoerら:DNA2:213〜2
35,1988)およびファージp22配列由来の転写
ターミネーター(P22ter)を含有する。このプラ
スミドはまた、g10−Lリボソーム結合部位の下流に
無関係なコード領域(細菌クロラムファニコールアセチ
ルトランスフェラーゼ遺伝子,cat)を含有するが、
これはNcoIおよびHindIII による切断で簡単に
除去できる。
【0029】大腸菌内でのビール酵母菌NMTの発現
2.1キロベース(kb)BamH1−HindIII ビ
ール酵母菌ゲノムNMT1フラグメントの780塩基対
領域(ヌクレオチド213〜993)(Duronio
ら:Science 245:796〜800,198
9)を、ポリメラーゼ連鎖反応(Saikiら:Sci
ence 239:487〜491,1988)と変異
体オリゴヌクレオチド(5´CGGTAGTAAACG
A−TCCATACCATGCAGAAGAGGA
TAAAGCGAAAAAAT3´)を用いて増幅し
た。これにより、NMT1のイニシェーターATGコド
ンにNcoI制限酵素部位の導入が機能になった。新し
いNcoI部位はまた、2つのNMT1のコドンをセリ
ンからアラニンに変化させた。増幅生成物をpBB10
5に再びサブクローニングして(Duronioら:前
出)、変化したNMT1対立遺伝子を発生させた。Nc
oI部位は、NMT1遺伝子の、大腸菌recAプロモ
ーター(Horiiら:Proc.Natl.Aca
d.Sci.USA 77:313〜317,198
0)およびファージT7(図1Aのg10−L)から得
られる翻訳エンハンサー要素への連絡を可能にした。こ
れは、新たに生成された1.9kb NcoI−Hin
dIII フラグメントを前述のようにNcoI−Hind
III 消化pMON5840にリゲーションして行われ
た。得られたプラスミド(pBB125)を用いて大腸
菌JM101株を形質転換した(Messing:Re
combinant DNA Tech,Bull.
:45〜48,1979)。形質転換体を、LB培地
+100μg/mlアンピシリン中、37℃で、OD600
が1.0になるまで振盪した。ナリジキシン酸を最終濃
度50μg/mlになるように添加してrecAプロモー
ターを誘導した(Fein−Steinら:Nucl.
Acids Res11:2927〜2941,19
83)。37℃で15〜20分間インキュベートしたの
ち、細胞を遠心分離によって収穫し、Power La
boratory Press(American I
nstrumentCo.)で加圧して(2000ポン
ド/平方インチ)破壊した。NMT種は以下に述べるよ
うにして精製した。
【0030】大腸菌内でのNMT1およびCαの発現の
ためのプラスミド:pBB131は、1.9kb Nc
oI−HindIII NMT1フラグメントを、pACY
C177(Chang & Cohen:J.Bac
134:1141〜1156,1978)の誘導
体、pMON5839中にクローニングして構築され
た。PK−Aの触媒性サブユニットをコードするCα
DNA(Uhlerら:Proc.Natl.Aca
d.Sci.USA 83:1300〜1304,19
86)は、上述するように、またLiら(J.Bio
l.Chem262:13773〜13779、19
87)の記載のようにして、pMON2670中に、
1.8kb NdeI−KpnIフラグメントとしてク
ローニングした。pBB132は野性型CαcDNAを
含有し(G.StanleyMcKnightより)、
これはその一次翻訳生成物の位置2のGlyを特定する
(位置1はイニシェーターMetで占められている)。
位置2がAlaの変異体CαcDNAはZoller
& Smithの改良操作(Nucl.Acids R
es10:6487〜6500,1982)を用いた
オリゴヌクレオチド特定部位の突然変異誘発によって作
成した。ウラシル含有一本鎖鋳型はRZ1032細胞
中、ファージミドpUC119/Cαから調整し(Ku
nkel:Proc.Natl.Acad.Sci.U
SA 32:488〜492,1985)、Gly2
Ala2 突然変異誘発はオリゴマー、5´−CATAT
GCCAACGCCGCC−3´によって実施した。
突然変異はジデオキシヌクレオチド配列決定法(San
gerら:Proc.Natl.Acad.Sci.U
SA 74:5463〜5467,1987)によって
確認した。大腸菌JM101株の形質転換pBB131
NMT1)およびpBB132(Gly2Cα)ま
たはpBB133(Ala2 Cα)を用いた。プラス
ミドDNAの制限解析により、アンピシリン/カナマイ
シン抵抗性大腸菌二重形質転換体内の構築体の同一性が
確認された。
【0031】大腸菌内で産生されたPK−A C−サブ
ユニットの〔3 H〕脂肪酸標識:二重形質転換体の培養
液4mlを、LB培地+100μg/mlアンピシリンおよ
び100μg/ml硫酸カナマイシン中37℃でOD600
が0.5に達するまで振盪した。ついでイソプロピル−
β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG)を最終濃
度1mM添加して、NMT産生を誘導した(以下の結果
の項参照)。培養液のOD600 が1.0に達したとき
(約40分後)、ナリジキシン酸を最終濃度50μg/
ml添加してC−サブユニットの産生を誘導した(以下の
結果の項参照)。〔3 H〕ミリステート(New En
gland Nuclear;39.3Ci/mmo
l、培養液1mlあたり113μCi添加)、〔3 H〕パ
ルミテート(New England Nuclea
r;30Ci/mmol;143μCi/ml)、または
3 H〕10−(プロボキシ)デカノエート(Heuc
keroth & Gordon:Proc.Nat
l.Acad.Sci.USA 86:5262〜52
66,1989)(31.7Ci/mmol,800μ
Ci/ml)をナリジキシン酸と同時に加えた。培養液を
さらに20分間37°で振盪し、細胞を遠心分離によっ
て収穫した。溶解質は、ペレット中に含まれる大腸菌
を、125mM Tris,pH8.0,4%SDS,
20%グリセロール,10%メルカプトエタノールおよ
び0.2Mジチオスレイトールの溶液40μl中で10
分間煮沸して調整した。細胞屑を遠心分離によって除去
し、上清の一部15μlをSDS−PAGE(Laem
mli:Nature 227:680〜685,19
70)に付し、ついでEN3 HANCE(New En
glandNuclear)オートラジオグラフィー・
エンハンサーを用いてフルオログラフィーに付した。ウ
エスタンブロット解析には、非標識大腸菌産生Gly2
−C−サブユニットまたはAla2 −C−サブユニット
から調整した還元、変性溶解質蛋白質50μgをSDS
/PAGEで分離し、ニトロセルロース上に電気ブロッ
トし(Burnette:AnalBiochem
112:195〜230,1981)、濾紙を、精製マ
ウスC−サブユニットに対するポリクローナル、単一特
異性ウサギ抗血清によって試験した。抗原−抗体複合体
125I−プロテインAで可視化した(Burnett
e:前出)。
【0032】NMT活性のin vitro検定システ
:大腸菌誘導ビール酵母菌NMTのペプチドおよびア
シル−CoA基質特異性を評価するためには、結合in
vitro検定システム(Towler & Gla
ser:Proc.Natl.Acad.Sci.US
83:2812〜2816,1986)に粗溶解質
または部分精製酵素プレパレーションを添加した。この
検定の第一工程は、シュードモナスアシル−CoAリガ
ーゼによる放射標識脂肪酸のそれらのCoAチオエステ
ルへの変換を包含する。このリガーゼは、脂肪酸基質に
対して大部分、非特異的である(Shimizuら:
nal:Biochem107:193〜198,1
980)。オクタペプチド基質およびNMTを次に加え
てアシルペプチドを生成させた。アシルペプチドをトリ
クロロ酢酸/メタノール沈殿および水中アセトニトリル
の直線勾配を用いたC18逆相HPLCによって反応混合
物から精製した(Towler & Glaser:
roc.Natl.Acad.Sci.USA 83
2812〜2816,1986)。
【0033】結果 大腸菌内で産生されたビール酵母菌NMTは、酵母酵素
標品と同一の基質特異性を有する :ビール酵母菌NMT
遺伝子は、455個のアミノ酸を有し、計算Mr5
2,837で、栄養細胞増殖に必須な蛋白質をコードす
る(Duronioら:Science 245:79
6〜800,1989)。このポリペプチドは、現在利
用可能なデータベースに登録された蛋白質と、同一とみ
なし得る有意な一次配列ホモロジーをもたない(Dur
onioら:同誌)。この酵母からの酵素の明らかに均
一なプレパレーションを得るには、4種の異なるクロマ
トグラフィーマトリックスを使用する6工程、11,0
00倍の精製が必要であった(Towlerら:Pro
c.Natl.Acad.Sci.USA 84:27
08〜2712,1987)。大腸菌溶解質は、この酵
素の感度のよいin vitro検定(Towler
&Glaser:Proc.Natl.Acad.Sc
i.USA 83:2812〜2816,1986)で
調べて、検地可能なNMT活性を含んでいない。すなわ
ち、この原核生物中での酵母NMTの発現は、その活性
を内因性ミリストイルトランスェラーゼの不存在下に測
定できる、大量の野性型(または変異性)蛋白質を得る
機会を提供する。
【0034】大腸菌内でのビール酵母菌NMTの発現は
pMONプラスミドベクターを用いて達成された。これ
らのベクターは、バクテリオファージT7のg10リー
ダー領域(g10−L)に由来する翻訳「エンハンサ
ー」(Olinsら:Gene73:227〜235,
1988)に融合した誘導可能なプロモーターを含有す
る。酵母NMT1遺伝子は、そのイニシェーターMet
コドンにおけるNcoI部位を操作し、そのDNAをp
MON5840中にサブクローニングすることによって
g10−Lの下流に直接接続して配置された。したがっ
て、NMT1の転写は、pMON5840中のg10−
Lの上流に位置する大腸菌recAプロモーター(Ho
riiら:前出;Olinsら:前出)の制御下に置か
れた。この組換えプラスミドをもつ大腸菌JM101株
を中対数期まで増殖させ、ついでナリジキシン酸で処理
してrecAプロモーターを誘導した(Feinste
inら:Nucl.Acids Res11:292
7〜2941,1983)。NMTを次に、誘導細胞溶
解液の一連の硫酸アンモニウム分画、DEAE−Sep
harose CL−6B、およびCoA−アガロース
アフィニティーカラムクロマトグラフィーによって約7
50に精製した(Towlerら:Proc.Nat
l.Acad.Sci.USA 84:2708〜27
12,1987)。上述のNMT活性の結合in vi
tro検定を用いて、部分精製大腸菌誘導酵母NMT
が、様々なオクタペプチド基質に対して、ビール酵母菌
からの部分精製NMTプレパレーションで測定した場合
とほぼ同じKmおよびVmax値を示すことが明らかに
された(Towlerら:Proc.Natl.Aca
d.Sci.USA 84:2708〜2712,19
87)(以下の表1参照)。たとえば、PK−AのC−
サブユニットのN−末端配列から得られた「親」オクタ
ペプチドGNAAAARR−NH2 の5位置へのセリン
残基の導入は、両NMTプレパレーションに対するその
見掛けのKm値を100倍以上低下させた。NH 2 末端
のGlyは絶対的に要求される。Gly1 残基のAla
2 による置換はこのペプチドを不活性基質に変換した
(表1)。NH2 末端Met残基の付加も不活性ペプチ
ドを発生し、これは大腸菌から部分的に精製された酵母
NMTが、ビール酵母菌から単離されたNMT(Tow
lerら:同誌)と同様、メチオニルアミンペプチダー
ゼ活性を伴わないことを示した。
【0035】大腸菌が完全な酵母NMTを産生している
ことを確証するため、CoA−アガロースカラムから1
00mMKClで溶出した蛋白質をSDS−PAGEで
分離し、ポリビニリデンジフルオリド膜(Millip
ore Corp.)に移した。455残基酵母NMT
の質量に相当する約53kDa ポリペプチド(Dur
onioら:Science 245:796〜80
0,1989)をこの膜から切り出し、Applied
Biosystems 470A型気相シクエンサー
を用い、エドマン分解に付した。NH2 末端配列は53
kDaポリペプチドが完全な酵母NMTに相当すること
を示した。
【0036】この酵素の均一なプレパレーションを得る
ために、大腸菌産生NMTをMonoS高速蛋白質液体
クロマトグラフィー(FPLC)によってさらに精製し
た。MonoSカラムの250mMNaCl溶出液のS
DS−PAGEゲルのクーマッシー青染色(Towle
rら:Proc.Natl.Acad.Sci.USA
84:2708〜2712,1987)によって、N
MT触媒活性と共溶出した約45kDaの付加的バンド
がさらに明らかにされた。この45kDaポリペプチド
のエドマン分解により、それはNMTのNH2 末端39
残基が失われていることがわかり、Lys39−Phe40
結合のようなポリペプチド鎖の部分が蛋白分解を受けや
すく、精製時または大腸菌内での合成直後に、急速に失
われることが示唆された。
【0037】MonoS精製45kDaNMT種は、ミ
リストイル−CoAとパルミトイル−CoAを容易に識
別子する能力を保持し、Ser5 置換GNAAAA−R
R−NH2 に対する見掛けのKmの100倍低下を示し
た(表1)。45kDa蛋白分解フラグメントはコア触
媒ドメインを維持するものと思われる。失われた39個
のアミノ酸の役割は不明であるが、NMTの酵母内での
補助的な因子との(必須の)相互作用またはその適当な
細胞内標識化に必要なのかもしれない。遺伝子操作され
た45kDaNMTがビール酵母菌の生存不能のNmt
- 表現型(Duronioら:前出)を救済できるかど
うかの決定がこれらの質問に解決を与える糸口になろ
う。大腸菌誘導NMTは酵母誘導NMTにきわめて近似
した速度論的性質を有することから、酵素のペプチドお
よび脂肪酸アシル−CoA基質特異な性は、真核細胞蛋
白質修飾または補助的な酵母特異的因子のいずれにも依
存しないことも結論できる。
【0038】大腸菌内における蛋白質N−ミリストイル
化の再構築:表1に記載したデータは、大腸菌内での酵
母NMTの発現が、その基質特異性のビール酵母菌から
単離されたNMTの場合と大部分区別できない点で、適
当にフォールディングされた酵素を生成したことを示し
ている。大腸菌内には内因性のNMT活性はないので、
この結果は、酵母NMTと真核細胞蛋白質基質の大腸菌
内での共発現が、明らかにもっぱら真核細胞のものであ
る蛋白質修飾の再生を、原核細胞内で可能にする可能性
を提起した。
【0039】CAMP依存性プロテインキナーゼ(PK
−A)は最も早期に発見されたプロテインキナーゼの1
種であり、また最もよく生化学的に理解されたものの1
種でもある(Taylor:J.Biol.Chem
264:8445〜8446,1989)。キナーゼは
細胞増殖および代謝の調節に関与し、その触媒(c)サ
ブユニットはN−ミリスチル化されることが示された最
初の蛋白質でもあった(Carrら:Proc.Nat
l.Acad.Sci.USA 79:6128〜61
31,1982)。マウスC−サブユニットをコードす
るcDNA(Cα)(Uhlerら:前出)の大腸菌内
での発現は、NH2 末端Glyにミリステートを欠くこ
の蛋白質の可溶性、活性型の単離を招いた(Slice
& Taylor:J.Biol.Chem26
:20940〜20946,1989)。マウスC−
サブユニットのNH2 末端から誘導されたオクタペプチ
ドが正常な(また截頭された)大腸菌誘導酵母NMTに
対しin vitroで良好な基質であった(表1)こ
とから、in vivo再構築試験のための典型的蛋白
質としてC−サブユニットを使用することに決定した。
図1Aに概略を示した二相性プラスミド系を酵母NMT
遺伝子とCαcDNAの共発現に使用した。ベクター
は、それぞれが(i)安定なエピゾームプラスミドとし
て同時に維持でき、(ii)それらの異種DNA配列の転
写の独立した誘導を支持できるように設計された。NM
T1の発現は、pACYC177(Messing,前
出)に基づくプラスミド中に含有されるイソプロピル−
β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG)誘導性の
tac(DeBoerら:DNA :231〜23
5,1985)プロモーターおよびg10−Lリボソー
ム結合部位(Olinsら:Gene 73:227〜
235,1988)の制御下に置かれた。このプラスミ
ドはp15A複製起源およびカナマイシン抵抗性遺伝子
を包含する。2種のCαcDNAの発現は、アンピシリ
ン抵抗性遺伝子とColE1複製起源を含有するプラス
ミド中に存在するrecAプロモーター(Horii
ら:前出)とg10−Lの制御下に置かれた。これらの
cDNAの一方はPK−Aの野性型40kDaC−サブ
ユニット(Gly2 )をコードし、他方はGly2 の代
わりにAla2 置換された変異体を産生した。この変異
体C−サブユニットはNMTの基質とはならない(表
1)。
【0040】親ベクターとそれらのNMT1およびCα
含有組換え誘導体の対合組合せを大腸菌JM101株に
トランスフェクションし、それらをアンピシリンおよび
カナマイシン選択によって維持した。対数的に増殖して
いる細胞の培養液を標識するために、酵母NMT1つい
でCαの連続的発現時に〔3 H〕ミリステートを使用し
た。この培養液から調整した溶菌液をSDS−PAGE
およびフルオログラフィーに付し、蛋白質中への放射標
識脂肪酸の取り込みを調べた。NMT1および野性型
α配列を大腸菌内で共発現させたところ、40kDa蛋
白質は培養培地に〔3 H〕ミリスチン酸の添加後に代謝
的に標識された(図1Bのレーン4)。この蛋白質は、
精製C−サブユニット標準と共移動した。40kDa蛋
白質の標識化はNMT1および野性型Cα両者の存在に
絶対的に依存した。NMT1を発現したがCαを欠く大
腸菌およびNMT1を欠くがCαを発現した大腸菌は、
いずれも40kDa蛋白質の〔3 H〕脂肪酸による標識
は生じなかった(それぞれパネルBのレーン6および
7)。さらに、40kDa蛋白質は、NMT1およびA
la2 置換C−サブユニットをコードする変異体Cα
DNAを発現した細胞内では標識されなかった(パネル
Bのレーン5)。マウスPK−AのC−サブユニットに
対するウサギポリクローナル抗血清を用いたウエスタン
ブロット解析により、野性型および変異体Cα組換えプ
ラスミドをそれぞれ含有する大腸菌JM101株から調
整された溶解質中に当量のGly2 −およびAla2
40kDa蛋白質の存在が確認された(図1E)。2種
のC−サブユニットの産生レベルは、ウエスタンブロッ
トに含有された精製C−サブユニット標品のシグナル強
度に基づいて総大腸菌蛋白質の0.1%と評価された。
NMTは誘導後、大腸菌蛋白質の約0.2%を示した。
この値は粗溶解質中のNMT活性および精製酵母NMT
の比活性(Towlerら:Proc.Natl.Ac
ad.Sci.USA 84:2708〜2712,1
987)から計算した。NMT1Cαの共発現は、誘
導期における大腸菌の増殖速度に悪影響を与えることは
なかった。
【0041】〔3 H〕ミリステート標識40kDa蛋白
質をSDS−ポリアクリルアミドゲルから切り出し、P
ronaseEで消化して脂肪酸アシル−蛋白質結合の
性質を検討した。C18逆相高速液体クロマトグラフィー
(HPLC)(Heuckeroth & Gordo
n:Proc.Natl.Acad.Sci.USA8
:5262〜5266,1989)上で化学的に合成
した〔3 H〕ミリストイルグリシン標品(Towler
& Glaser:Biochemistry
5:878〜884,1986)と共移動する標識生成
物が生成した。これらのデータを考え合わせると、
(i)PK−AのC−サブユニットは、酵母NMTを産
生する大腸菌細胞中でのみGly2 依存製の様式でミリ
ストイル化される、および(ii)大腸菌の内因製メチオ
ニルアミノペプチダーゼ活性(Shermanら:Bi
oEssays :27〜31,1985)はC−サ
ブユニットのイニシェータ−Metを除去することがで
きて、ミリステートのNMT触媒転移に対してそのGl
2 残基を暴露させるとの結論が支持された。この後者
の結果は、大腸菌内で合成されたC−サブユニットのN
2 末端配列をGly−Asn−Ala−Ala…とし
て同定した以前の結果(Slice & Toylo
r:前出)を確認するものである。
【0042】大腸菌内でのC−サブユニットに対するミ
リストイル基のNMT触媒結合の総効率は、以下の3種
のパラメーター、すなわち、(1)ウェスタンブロット
・ハイブリダイゼーション解析からの大腸菌溶解質中の
C−サブユニット濃度;(2)既知量の大腸菌溶解質蛋
白質を含有する、SDS−ポリアクリルアミドゲルから
のバンドを切り出したのち、蛋白質中に取り込まれる〔
3 H〕ミリステートの量;および(3)標識後大腸菌2
中の〔3 H〕ミリスチン酸の最終比活性(13μmCi
/nmol)(Silbertら:Biochemis
try 12:164〜171,1973)の測定によ
り、事実上100%と評価された。
【0043】大腸菌内での蛋白質N−ミリストイル化の
再構築は14炭素脂肪酸に特異的である:10−(プロ
ポキシ)デカン酸(11−オキサミリスチン酸)は、類
似の鎖長を有するが、炭化水素鎖の11位のメチレン基
が酸素原子で置換されたことにより疎水性が低下してい
る(デカン酸に匹敵する)ミリスチン酸の類縁体である
(Heuckerothら:Proc.Natl.Ac
ad.Sci.USA85:8795〜8799,19
88)。11−オキサミリステートをinvivoにお
いてp60v-src に取り込ませると、膜から細胞質分画
への蛋白質の有意な再分布を生じる。(Heucker
othら:Proc.Natl.Acad.Sci.U
SA 86:5262〜5266,1989)。上述し
たのと類似の〔3 H〕ミリスチン酸による代謝標識試験
では、NMT産生大腸菌細胞に外因性〔3 H〕11−オ
キサミリステートまたは〔3 H〕パルミテートを加えた
場合も、C−サブユニットは同様にGly2 依存性様式
で標識されることが示された(それぞれ図1のパネルD
およびC)。以前の研究では、パルミテートは代謝的に
ミリステートに変換されたのち、N−ミリストイル蛋白
質に取り込まれるに違いないことが示唆されている(H
euckerothら:Proc.Natl.Aca
d.Sci.USA 85:8795〜8799,19
88;Towler & Glaser:Bioche
mistry 25:878−884,1980;Ol
sonら:J.Biol.Chem260:3784
〜3790,1984)。〔3 H〕パルミテート標識C
−サブユニットをPronaseEで消化すると、C18
逆相HPLCで〔3 H〕ミリストイルグリシンと共移動
する生成物が得られた。すなわち、ビール酵母菌や哺乳
動物細胞で観察される脂肪酸アシル−CoA鎖長に対す
る顕著な特異性が、大腸菌における両者同時の発現によ
って再現される。
【0044】約45および55kDaの少なくとも2種
の蛋白質が、酵母NMTを発現する大腸菌株中で外因性
に添加された3種のすべての〔3 H〕脂肪酸を取り込ん
だ(図1のパネルB〜Dにおけるレーン3〜6)。プラ
スミドをもたない細胞(レーン1)またはNMT1を欠
く親ベクターを有する細胞(レーン2)は、これらの蛋
白質に標識を取り込まなかった。これらの蛋白質の見掛
けのMrは大腸菌内で産生さたNMTの2種の型と著し
く類似しているので、蛋白質−〔3 H〕脂肪酸結合の性
質が検討された。〔3 H〕ミリステートまたは〔3 H〕
パルミテートのいずれかで標識されたこれらの蛋白質の
PronaseE消化で、C18逆相HPLC上〔3 H〕
ミリストイルグリシンと共移動する生成物が生成した。
ミリストイルグリシンが検出されたという事実は、完全
な酵母NMTもその蛋白分解処理45kDa型もそのN
2 末端にはGlyを含まないとい所見とともに、これ
らの〔3 H〕蛋白質はNMT自体のN−ミリストイル化
によって生じたものではなく、内因性の大腸菌蛋白質の
ミリストイル化によって生成したとの結論を支持するも
のであった。しかしながら、一部のバンドの強度が〔3
H〕脂肪酸とNMT種の緊密な非共有結合的結合によっ
て生じたとの可能性は否定できない。MetGly…で
始まり、したがってNMTによってアシル化される可能
性のある大腸菌蛋白質配列をNBRF蛋白質データベー
ス(レリーズ19.0)について検索したが(Towl
erら:J.Biol.chem263:1784〜
1790,1988;Devereuxら:Nucl.
Acids Res12:387〜395,198
4)、適当な分子量のものは見出せなかった。これらの
2種の「内因性」蛋白質基質があっても、細菌系が真核
細胞系に優る大きな利点は、内因性NMT活性および基
質の両者が存在しないことである。NMTに付する代替
基質たとえばヘテロ原子含有類縁体の試験は、真核細胞
中におけるよりもはるかに簡易化される。
【0045】
【表1】 表1.大腸菌誘導ビール酵母菌NMTのペプチドおよび
アシル−CoA基質特異性
【0046】上記表1に示したペプチドKmおよびVm
ax値は4または5点ラインウィーバー・バークのプロ
ットから得られた平均である。これらのプロットは少な
くとも3回の独立のin vitroアッセイで得られ
たデータを用いて作成された。ペプチドの濃度を変動さ
せ、15μMのミリステートを用いて検定を行い、ペプ
チドのKmおよびVmax値を求めた。脂肪酸アシル−
CoA KmおよびVmax値は、脂肪酸の濃度を変動
させ60μM GNAAAARR(すなわちそのKm濃
度でのペプチド)を用いたほかは同様にして得られた。
酵母NMTは570倍精製プレパレーションである(T
owlerら:Proc.Natl.Acad.Sc
i.USA 84:2708〜2712,1987)。
合成ペプチド基質は慣用の一文字アミノ酸記号で示す。
Vmax値は、ペプチドおよびアシル−CoA基質とし
てそれぞれGNAAAARRおよびミリストイル−Co
Aを用いた場合の値の百分率として表す。(−−)は、
正確にKmを決定するのに必要な酵素の量が禁制的に大
きいことを示す。「基質でない」と表示されたペプチド
はVmaxが<1%であった。NDは測定していないこ
とを意味する。以上の開示を読んだ後には、本技術分野
の熟練者には本発明の精神および範囲から逸脱すること
なく様々な他の例が明らかであろう。このような他の例
はすべて、特許請求の範囲に包含されるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、FIG.1Aであり、本発明による大
腸菌内でのNMT1およびCαDNAの発現に用いられ
るプラスミド構築体を示す。
【図2】図2は、FIG.1B〜1Dであって、様々な
プラスミドを含む大腸菌形質転換体からの溶解質蛋白質
のゲルパターンを示す図であり、B1,1Cおよび1D
はそれぞれ、外因的に〔3 H〕ミリステート、〔3 H〕
パルミテートおよび〔3H〕10−(プロポキシ)デカ
ノエートが添加されている。
【図3】図3は、FIG.1Eであり、野性型Gly2
−C−サブユニットまたは変異体Ala2 −C−サブユ
ニットを含有する大腸菌の溶解質のウェスタンブロット
を示す。
【図4】図4は、FIG.2であり、FIG.1Aに記
載された発現プラスミドの構築に用いられた親プラスミ
ドを示す。
【手続補正書】
【提出日】平成6年3月2日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】発明の詳細な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【発明の詳細な説明】
【0001】発明の背景 本発明は、N−ミリストイル化蛋白質の製造方法に関
し、さらに詳しくはN−ミリストイルトランスフェラー
ゼ(NMT)およびその蛋白質基質の大腸菌内における
共発現に関する。
【0002】特定の真核生物蛋白質の脂肪酸アシル化は
確立された過程であり、便宜上2種類に分けることがで
きる。一方において、パルミテート(c16:0)が翻
訳後にエステルまたはチオエステル結合を介して膜蛋白
質に結合される。
【0003】他方では、ミリステート(c14:0)は
アミド結合を介して可溶性膜蛋白質に共有結合する。こ
れは翻訳と同時に起こる現象と考えられる。N−ミリス
トイル化蛋白質においては、アミノ末端グリシン残基が
アシル化部位であることが知られている。ミリストイル
CoA:プロテインN−ミリストイルトランスフェラー
ゼ(NMT,E.C.2.3.1.97)は、この翻訳
時修飾を触媒する。NMT構造遺伝子(NMT1)は最
近、ビール酵母菌(Saccharomyces ce
revisiae)からクローン化された(Duron
ioら:Science243:796〜800,19
89参照)。この遺伝子は455個のアミノ酸のポリペ
プチド(Mr=52,837)をコードしている。
【0004】多様なウイルスおよび細胞蛋白質が、その
アミノ端末におけるグリシンへのアミド結合を介して結
合したミリステートの共有結合的付着によって修飾され
ていることが明らかにされている。このような修飾は、
ある種のN−ミリストイル化蛋白質の生物学的機能の完
全な発現に必須である。最も徹底的に研究されているミ
リストイル化蛋白質の例にはラウス肉腫ウイルスの形質
転換蛋白質、p60v−srcがある。そのN−末端グ
リシンにミリステートの共有結合による付着がなけれ
ば、そのチロシンキナーゼ活性は正常に維持されている
ものの、その蛋白質には細胞の形質転換能はない。
【0005】
【0006】上述の蛋白質脂肪酸アシル化に関するその
他の背景情報については、Washington大学医
学部の関連研究者による以下の一連の論文が参考にな
る。 Towler & Glaser:Biochemis
try 25:878〜884(1986); Towler & Glaser:Proc.Nat
l.Acad.Sci.USA 83:2812〜28
16(1986); Towler ら:Proc.Natl.Acad.S
ci.USA 84:2708〜2712(198
7); Towler ら:J.Biol.Chem262
1030〜1036(1987); Towler ら:Ann.Rev.Biochim
57:69〜99(1988); Heuckeroth ら:Proc.Natl.Ac
ad Sci.USA85:8795〜8799(19
88);および Heuckeroth & Gordon:Proc.
NatlAcad.Sci.USA 86:5262
〜5266(1989)
【0007】ミリストイル化酵素の基質として有用な、
比較的短いアミノ酸配列を有する独特な合成ペプチド
が、米国特許第4,740,588号および第4,77
8,878号に記載されている。このようなペプチドの
例には、
【化1】 がある。
【0008】ある種の他の独特な合成ペプチドは、米国
特許第4,709,012号および第4,778,87
7号に記載にされているようなミリストイル化酵素のイ
ンヒビターである。Heuckerothら(前出);
Heuckeroth &Gordon(前出);Br
yantら(Proc.Natl.Acad.Sci.
USA 86:8655〜8659,1989);およ
びMumbyら(Proc.Natl.Acad.Sc
i.USA 87:728〜732,1990)は、抗
ウイルス剤、抗カビ剤および抗新生物剤として使用でき
る可能性がある。ミリストイル化酵素の新規な脂肪酸類
縁体基質を報告している。これらの基質化合物は、モノ
およびジヘテロ原子置換脂肪酸類縁体であって、ヘテロ
原子、酸素および/または硫黄がC13〜C14脂肪酸
の脂肪酸鎖における炭素位置4〜13のメチレン(−C
−)基を置換している。このような脂肪酸類縁体の
例には、11−オキサミリスチン酸および13−オキサ
ミリスチン酸がある。これらの脂肪酸類縁体のCoAエ
ステルは、NMTの基質であって、選択的に細胞または
ウイルスN−ミリストイル蛋白質のサブセットに転移さ
れ、そこで蛋白質機能を変化させることができる。
【0009】本発明によれば、N−ミリストイル−トラ
ンスフェラーゼ(NMT,E.C.2.3.1.97)
とその蛋白質基質を大腸菌内で共発現させる新規な方法
が提供される。二相性プラスミド系を使用して、NMT
遣伝子と哺乳動物蛋白質をコードするcDNAを同時に
発現させることにより、哺乳動物蛋白質のミリストイル
化を大腸菌内で再構成することができる。
【0010】本発明の新規な方法は、蛋白質N−ミリス
トイル化の基質要求性および生物学的作用、ならびにN
MTの構造活性相関の研究のために新しいシステムを提
供する。本発明を例示すれば、内因性NMT活性をもた
ない細菌である大腸菌内での酵母NMT1遺伝子の発現
は、完全な53kDaのNMTポリペプチドと同時にそ
のNH末端39アミノ酸の蛋白分解除去に由来する截
頭ポリペプチドの産生を生じる。それぞれの大腸菌合成
NMT種は、酵素活性のin vitroアッセイで判
定して、ビール酵母菌から回収されたNMTの場合と識
別できない脂肪酸およびペプチド基質特異性を有し、こ
れはこの酵素のNH−末端ドメインはその触媒活性に
は必要でないことを示唆している。二相性プラスミド系
を用いて、酵母NMT1遺伝子と、cAMP依存性プロ
テインキナーゼ(PK−A)の触媒性(c)サブユニッ
トとコードするマウスcDNAを同時に発現させること
により、大腸菌内で哺乳動物蛋白質のN−ミリストイル
化が再構築された。代謝標識試験では、この系にN−メ
リストイル化の脂肪酸特異性が保存されていることを示
した。〔H〕ミリスチン酸はC−サブユニットのG1
残基に効率的に結合したが、〔H〕パルミテート
は結合しなかった。
【0011】本発明によればまた、疎水性は低下したが
同じ鎖長を有するヘテロ原子含有ミリスチン酸類縁体、
H〕10−(プロポキシ)デカン酸は、PK−Aの
C−サブユニットに取り込まれるNMTの有効な代替基
質であることが見出された。
【0012】このようなミリスチン酸のヘテロ原子含有
類縁体は最近、Bryantら(Proc.Natl.
Acad.Sci.USA 86:8655〜865
9,1989)により、ある種のレトロウイルスの複製
を阻害することが示された。これらのウイルスはそのg
agポリ蛋白質前駆体(たとえば、ヒト免疫不全ウイル
ス1;HIV−1のPr55gag)へのミリストイル
基の結合に依存しているのである。
【0013】本明細書に定義される細菌系が真核細胞系
に優る大きな利点は、内因性NMTおよび基質の不存在
下に、与えられた蛋白質のミリストイル化、類縁体置
換、および非ミリストイル化型を、それらの構造および
機能的性質の比較のために製造するさらに簡単な方法を
提供することにある。本方法は、酵素インヒビターなら
びにヘテロ原子含有類縁体のようなNMT代替基質につ
いて、特定の標的蛋白質にそれらが取り込まれる能力の
スクリーニングを容易にする。最後に、本方法はまた、
他の真核細胞蛋白質の大腸菌内での修飾の再現に有用で
あって、酵素およびそれらの基質の修飾の構造/活性相
関をより容易に評価できる。
【0014】大腸菌内での酵母NMT1の産生には、
MT1遺伝子を適当なプラスミド発現ベクター、たとえ
ばpMON5840中にクローン化できる。このプラス
ミドは、無関係な配列のほかに、recAプロモーター
(PrecA)およびバクテリオファーヂT7ファージ
遺伝子10リーダーRNA由来のリボソーム結合部位
(g10−LRBS)を含有するpMON5515の変
異体であって、さらにOlinsら(Gene 73
227〜235,1988,Olins & Rang
wala(J.BiolChem264:1697
3〜16976,1989)によって記載されているよ
うに、大腸菌内での外来性遺伝子の強力な発現に適して
いる。pMON−5840中のrecAプロモーターは
HpaIIフラグメントとして誘導され、Horiiら
Proc. Natl.Acad.Sci.USA7
:313〜317,1980)によって報告された配
列のヌクレオチド63〜210に相当する。酵母NMT
遺伝子は親ベクター中にリゲートして、慣用の手順に
よりNMTの発現に使用できる。
【0015】とくに、酵母NMT1遺伝子は、そのイニ
シエーターMetコドンにおけるNcol部位を操作
し、そのDNAをpMON5840中にサブクローニン
グすることにより、g10−Lの下流に配置される。こ
の場合、NMTの転写は、pMON5840中g10−
L配列の上流に位置する大腸菌recAプロモーターの
制御下に置かれる。この組変えプラスミドをもつ大腸菌
JM101細胞を中対数期まで増殖させ、ついでナジル
キシン酸で処理してrecAプロモーターを誘導する。
【0016】上述のプラスミド系を用い、ついでNMT
を、細胞溶解質の連続的硫酸アンモニウム沈殿、DEA
E−SepharoseTMCL−6BおよびCoA−
アガロースアフィニティークロマトグラフィーによって
約750倍に精製した。NMT活性に対する結合in
vitroアッセイ(Towler & Glase
r:Proc.Natl.Acad.Sci.USA
83:2812〜2816,1986)を用いることに
より、部分精製大腸菌由来NMTは、様々なペプチド基
質に対して、酵母からの部分精製NMTプレパレーショ
ンの場合とほぼ同一のKmおよびVmax値を示すこと
が明らかにされた。
【0017】大腸菌内で酵母NMT1遺伝子と、Uhl
erら(Proc.Natl.Acad.Sci.US
83:1300〜1304,1986)によって記
載されたcAMP依存性プロテインキナーゼ(PK−
A)のマウスCα触媒サブユニットをコードするcDN
A(Cα)を共発現するために、二相性プラスミド系が
使用された。ひとつのプラスミドは、カナマイシン抵抗
性遺伝子およびp15A複製起源を含有するpACY1
77の誘導体であるpMON5839中に1.9kb
NcoI〜HindIIINMT1フラグメントをクロ
ーニングすることによって構築された。もうひとつのプ
ラスミドは、アンピシリン対抗性遺伝子およひColE
1複製起源を含有するpMON2670中に1.8kb
NdeI−KpnICα cDNAをクローニングす
くことによって構築された。
【0018】NMTとその蛋白質基質の大腸菌内での共
発現はしたがって、NMT構造/活性相関の解析を容易
にし、N−ミリストイル化に必要なその蛋白質基質の構
造的特徴の同定を助け、各N−ミリストイル蛋白質の機
能におけるミリストイル残基の役割についての洞察を提
供する。特定のN−ミリストイル蛋白質をミリステート
のヘテロ原子含有類縁体で修飾することによる効果は、
大腸菌合成非アシル化、ミリストイル化、および類縁体
置換種の比較試験による直接評価が可能になる。脂肪酸
の代謝欠損大腸菌変異株(Silbert:Ann.R
ev.Biochem.44:315〜339,197
5;Nunnら:J.Biol.Chem261:1
67〜171,1986)はとくに、外因性脂肪酸およ
びそれらの類縁体のアシル化装置への送達能を改善する
ことにより、これらの試験に有用である。最後に、NM
Tへのアシル−CoAの結合は各種のペプチド基質に対
する酵素の親和性に影響するとの観察(Heucker
othら:Proc.Natl.Acad.Sci.U
SA85:8795〜8799,1988)を考慮す
ると、大腸菌内におけるNMTとその蛋白質基質の共発
現は、与えられた標的蛋白質への様々な類縁体の取り込
みの相対的な効率のスクリーニングに良好な機能的検定
を提供できる。この意味で、ここに定義されるN−ミリ
スチル化系は、有用な抗腫瘍または抗ウイルス剤の同定
の助けになる。
【0019】上述の親プラスミドベクター、pMON2
670およびpMON5840は大腸菌JM101中に
それぞれ保持させて、American Type C
ulture Collection,Rockvil
le,Marylandに、それぞれ受入番号ATCC
68218およびATCC68220として寄託されて
いる。
【0020】本明細諸は、本発明を形成するとみなされ
る主題を、特定的に指摘し、明確に請求した特許請求の
範囲をその結論とするが、本発明は添付された図面との
関連で以下に詳細に述べられる本発明の好ましい態様の
説明によってよりよく理解されるものと確信する。
【0021】図1は、木発明の例示的実施態様におい
て、大腸菌内で合成されたマウスcAMP依存性プロテ
インキナーゼ触媒(c)サブユニットのミリストイル化
を5つのパネル、A,B,C,DおよびEに示す。
【0022】図1A(パネルA)は、大腸菌内でのNM
T1およびCαDNAの発現に用いられたプラスミド構
築体を模式的に示す図である。
【0023】図1B,1Cおよび1D(パネルB,Cお
よびD)は、外因的に添加した〔H〕ミリステート
(パネルB),〔H〕パルミテート(パネルC)およ
び〔H〕10−(プロポキシ)デカノエート(パネル
D)で標識後、様々な組合せのプラスミドを含む大腸菌
形質転換体から調整された溶解質のゲルパターンを示し
ている。ついで、〔H〕溶解質蛋白質をSDS−PA
GEおよびフルオログラフィーに付した。矢印は精製さ
れたマウスC−サブユニットの移動位置を示す。パネル
BおよびCに示したゲルのフルオログラフィーの露出時
間は4日、一方、パネルDに示したゲルは15日間暴露
した。レーン1:大腸菌JM101株、プラスミドな
し;レーン2:JM101プラス親ベクター;レーン
3:JM101プラス組換えNMT1−およびCα含有
プラスミド、誘導せず;レーン4:JM101プラス
MT1およびCαプラスミド、誘導後;レーン5:JM
101プラスNMT1および変異体Ala Cαプラス
ミド、誘導後;レーン6;JM101プラスNMT1
よびCα挿入体を欠く親ベクター、誘導後;レーン7:
JM101プラスCαおよびNMT1挿入体を欠く親ベ
クター、誘導後。
【0024】図1E(パネルE)は、野性型Gly
C−サブユニットまたは変異体Ala−C−サブユニ
ットを含有をする大腸菌溶解質のウエスタンブロット解
析を示す。
【0025】図2は、図1に記載されたNMT1および
Cα遺伝子の発現プラスミドの構築に用いられた親プラ
スミドベクター,pMON5840、pMON2670
およびpMON5839を模式的に示す図である。
【0026】本発明をさらに詳細に例示するために、以
下の例示的な実験室的調整実験を実施した。
【0027】 材料および方法 大腸菌内でのNMT−1およびCαの産生に使用した親
発現ベクター :この例では、ColE1複製起源を有す
る2種のプラスミド、すなわち図2に模式的に例示した
pMON2670およびpMON5840を使用した。
これらのプラスミドを係留する大腸菌JM101株はA
TCCに寄託され,それぞれ受入番号ATCC6821
8およびATCC68220として利用できる。略述す
れば、これらのプラスミドはOlinsら(Gene
73:227〜235,1988)によって記載された
プラスミドpMON5515に基づくもので、アンピシ
リン抵抗性マーカー(AMP)およびColE1レプ
リコン(ori−ColE1)、ナリジキシン酸誘導姓
大腸菌recAプロモーターならびにg10−Lリボソ
ーム結合部位から構成される。さらに、pMON267
0はT7転写ターミネーター(T7ter)を有し、一
方、pMON5840はF1ファージからの一本鎖複製
起源(ori−F1)(Dente:Nucl.Aci
dsRes11:1645,1983)を含有し、こ
れはまた転写ターミネーターとしても働く。この2種の
プラスミドはまた、無関係なコード領域を(pMON2
670ではヒトproANF遺伝子、proANFの部
分、pMON5840ではヒトインターロイキン−1遺
伝子、hIL−1の部分)G10−1リボソーム結合部
位の下流に含有する。唯一のNCoI,NdeIおよび
HindIII制限部位がこの無関係なコード領域の単
純な除去を可能にした。
【0028】大腸菌内でのNMT1の二相性プラスミド
発現には、pACYC177(Chang & Coh
en:J.Bacteriol134:1141〜1
156,1978)に基づくプラスミドベクターを、図
2に模式的に例示したように使用した。このプラスミ
ド、pMON5839を係留する大腸菌JM101株
は、p15複製起源(orip15A)と選択マーカー
としてカナマイシン抵抗性遺伝子(KAN)を含有す
る。このプラスミドは誘導可能なtacプロモーター
Ptac)(DeBoerら:DNA2:213〜2
35,1988)およびファージp22配列由来の転写
ターミネーター(P22ter)を含有する。このプラ
スミドはまた、g10−Lリボソーム結合部位の下流に
無関係なコード領域(細菌クロラムファニコールアセチ
ルトランスフェラーゼ遣伝子,cat)を含有するが、
これはNCoIおよびHindIIIによる切断で簡単
に除去できる。
【0029】大腸菌内でのビール酵母菌NMTの発現
2,1キロベース(kb)BamHl−HindIII
ビール酵母菌ゲノムNMT1フラグメントの780塩基
対領域(ヌクレオチド213〜993)(Duroni
oら:Science 245:796〜800,19
89)を、ポリメラーゼ連鎖反応(Saikiら:Sc
ience 239:487〜491,1988)と変
異体オリゴヌクレオチド(5′CGGTAGTAAAC
A−TCCATACCATGCAGAAGAGG
ATAAAGCGAAAAAAT3′)を用いて増幅し
た。これにより、NMT1のイニシェーターATGコド
ンにNcoI制限酵素部位の導入が機能になった。新し
いNcoI部位はまた、2つのNMT1のコドンをセリ
ンからアラニンに変化させた。増幅生成物をpBB10
5に再ひサブクローニングして(Duronioら:前
出)、変化したNMT1対立遺伝子を発生させた。Nc
oI部位は、NMT1遺伝子の、大腸菌recAプロモ
ーター(Horiiら:Proc.Nat1,Aca
d. Sci.USA 77:313〜317,198
0)およびファージT7(図1Aのg10−L)から得
られる翻訳エンハンサー要素への連絡を可能にした。こ
れは、新たに生成された1.9kb NcoI−Hin
dIIIフラグメントを前述のようにNcoI−Hin
dIII消化pMON5840にリゲーションして行わ
れた。得られたプラスミド(pBB125)を用いて大
腸菌JM101株を形質転換した(Messing:
ecombinant DNA Tech,Bull.
:45〜48,1979)。形質転換体を、LB培地
+100μg/mlアンピシリン中、37℃で、OD
600が1.0になるまで振盪した。ナリジキシン酸を
最終濃度50μg/mlになるように添加してrecA
プロモーターを誘導した(Fein−Steinら:
ucl.Acids Res11:2927〜294
1,1983)。37℃で15〜20分間インキュベー
トしたのち、細胞を遠心分離によって収穫し、Powe
r Laboratory Press(Americ
an Instrument Co.)で加圧して(2
000ポンド/平方インチ)破壊した。NMT種は以下
に述べるようにして精製した。
【0030】大腸菌内でのNMT1およびCαの発現の
ためのプラスミド:pBB131は、1.9kb NC
oI−HindIIINMT1フラグメントを、pAC
YC177(Chang & Cohen:J.Bac
134:1141〜1156,1978)の誘導
体、pMON5839中にクローニングして構築され
た。PK−Aの触媒性サブユニットをコードするCα
DNA(Uhlerら:Proc Natl.Aca
d.Sci・USA 83:1300〜1304,19
86)は、上述するように、またLiら(J.Bio
l.Chem262:13773〜13779、19
87)の記載のようにして、pMON2670中に、
1.8kb NdeI−KpnIフラグメントとしてク
ローニングした。pBB132は野性型CαcDNAを
含有し(G.Stanley McKnightよ
り)、これはその一次翻訳生成物の位置2のGlyを特
定する(位置1はイニシェーターMetで占められてい
る)。位置2がAlaの変異体CαcDNAはZoll
er & Smithの改良操作(Nucl.Acid
s Res10:6487〜6500,1982)を
用いたオリゴヌクレオチド特定部位の突然変異誘発によ
って作成した。ウラシル含有一本鎖鋳型はRZ1032
細胞中、ファージミドpUC119/Cαから調整し
(Kunkel:Proc.Natl.Acad.Sc
i.USA 32:488〜492,1985)、Gl
→Ala突然変異誘発はオリゴマー、5′−CA
TATGGCCAACGCCGCC−3′によって実施
した。突然変異はジデオキシヌクレオチド配列決定法
(Sangerら:Proc.Natl.Acad.S
ci.USA 74:5463〜5467,1987)
によって確認した。大腸菌JM101株の形質転換pB
B131(NMT1)およびpBB132(Gly
Cα)またはpBB133(AlaCα)を用い
た。プラスミドDNAの制限解析により、アンピシリン
/カナマイシン抵抗性大腸菌二重形質転換体内の構築体
の同一性が確認された。
【0031】大腸菌内で産生されたPK−A C−サブ
ユニットの〔H〕脂肪酸標識:二重形質転換体の培養
液4mlを、LB倍地+100μg/mlアンピシリン
および100μg/ml硫酸カナマイシン中37℃でO
600が0.5に達するまで振盪した。ついでイソプ
ロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG)
を最終濃度1mM添加して、NMT産生を誘導した(以
下の結果の項参照)。培養液のOD600が1.0に達
したとき(約40分後)、ナリジキシン酸を最終濃度5
0μg/ml添加してC−サブユニットの産生を誘導し
た(以下の結果の項参照)。〔H〕ミリステート(N
ew England Nuclear;39.3Ci
/mmol、培養液1mlあたり113μCi添加)、
H〕パルミテート(New England Nu
clear;30Ci/mmol;143μCi/m
l)、または〔H〕10−(プロボキシ)デカノエー
ト(Heuckeroth & Gordon:Pro
c.Natl.Acad.Sci.USA 86:52
62〜5266,1989)(31.7Ci/mmo
l,800μCi/ml)をナリジキシン酸と同時に加
えた。培養液をさらに20分間37°で振盪し、細胞を
遠心分離によって収穫した。溶解質は、ペレット中に含
まれる大腸菌を、125mM Tris,pH8.0,
4%SDS,20%グリセロール,10%メルカプトエ
タノールおよび0.2Mジチオスレイトールの溶液40
μl中で10分間煮沸して調整した。細胞屑を遠心分離
によって除去し、上清の一部15μlをSDS−PAG
E(Laemmli:Nature227:680〜6
85,1970)に付し、ついでENHANCE(N
ew England Nuclear)オートラジオ
グラフィー・エンハンサーを用いてフルオログラフィー
に付した。ウエスタンブロット解析には、非標識大腸菌
産生Gly−C−サブユニットまたはAla−C−
サブユニットから調整した還元、変性溶解質蛋白質50
μgをSDS/PAGEで分離し、ニトロセルロース上
に電気ブロットし(Burnette:AnalBi
ochem112:195〜230,1981)、濾
紙を、精製マウスC−サブユニットに対するポリクロー
ナル、単一特異性ウサギ抗血清によって試験した。抗原
−抗体複合体は125I−プロテインAで可視化した
(Burnette:前出)。
【0032】NMT性けのin vitro検定システ
:大腸菌誘導ビール酵母菌NMTのペプチドおよびア
シル−CoA基質特異性を評価するためには、結合in
vitro検定システム(Towler & Gla
ser:Proc.Natl.Acad.Sci.US
83:2812〜2816,1986)に粗溶解質
または部分精製酵素プレパレーションを添加した。この
検定の第一工程は、シュードモナスアシル−CoAリガ
ーゼによる放射標識脂肪酸のそれらのCoAチオエステ
ルへの変換を包含する。このリガーゼは、脂肪酸基質に
対して大部分、非特異的である(Shimizuら:
nal:Biochem107:193〜198,1
980)。オクタペプチド基質およびNMTを次に加え
てアシルペプチドを生成させた。アシルペプチドをトリ
クロロ酢酸/メタノール沈殿および水中アセトニトリル
の直線勾配を用いたC18逆相HPLCによって反応混
合物から精製した(Towler & Glaser:
Proc.Natl.Acad.Sci.USA
:2812〜2816,1986)。
【0033】結果 大腸菌内で産生されたビール酵母菌NMTは、酵母酵素
標品と同一の基質特異性を有する :ビール酵母菌NMT
遺伝子は、455個のアミノ酸を有し、計算Mr5
2,837で、栄養細胞増殖に必須な蛋白質をコードす
る(Duronioら:Science 245:79
6〜800,1989)。このポリペプチドは、現在利
用可能なデータベースに登録された蛋白質と、同一とみ
なし得る有意な一次配列ホモロジーをもたない(Dur
onioら:同誌)。この酵母からの酵素の明らかに均
一なプレパレーションを得るには、4種の異なるクロマ
トグラフィーマトリックスを使用する6工程、11,0
00倍の精製が必要であった(Towlerら:Pro
c.Natl.Acad.Sci.USA 84:27
08〜2712,1987)。大腸菌溶解質は、この酵
素の感度のよいin vitro検定(Towler
&Glaser:Proc.Natl.Acad.Sc
i.USA 83:2812〜2816,1986)で
調べて、検地可能なNMT活性を含んでいない。すなわ
ち、この原核生物中での酵母NMTの発現は、その活性
を内因性ミリストイルトランスェラーゼの不存在下に測
定できる、大量の野性型(または変異性)蛋白質を得る
機会を提供する。
【0034】大腸菌内でのビール酵母菌NMTの発現は
pMONプラスミドベクターを用いて達成された。これ
らのベクターは、バクテリオファージT7のg10リー
ダー領域(g10−L)に由来する翻訳「エンハンサ
ー」(Olinsら:Gene73:227〜235,
1988)に融合した誘導可能なプロモーターを含有す
る。酵母NMT1遺伝子は、そのイニシェーターMet
コドンにおけるNcoI部位を操作し、そのDNAをp
MON5840中にサブクローニングすることによって
g10−Lの下流に直接接続して配置された。したがっ
て、NMT1の転写は、pMON5840中のg10−
Lの上流に位置する大腸菌recAプロモーター(Ho
riiら:前出;Olinsら:前出)の制御下に置か
れた。この組換えプラスミドをもつ大腸菌JM101株
を中対数期まで増殖させ、ついでナリジキシン酸で処理
してrecAプロモーターを誘導した(Feinste
inら:Nucl.Acids Res11:292
7〜2941,1983)。NMTを次に、誘導細胞溶
解液の一連の硫酸アンモニウム分画、DEAE−Sep
harose CL−6B、およびCoA−アガロース
アフィニティーカラムクロマトグラフィーによって約7
50に精製した(Towlerら:Proc.Nat
l.Acad.Sci.USA 84:2708〜27
12,1987)。上述のNMT活性の結合in vi
tro検定を用いて、部分精製大腸菌誘導酵母NMT
が、様々なオクタペプチド基質に対して、ビール酵母菌
からの部分精製NMTプレパレーションで測定した場合
とほぼ同じKmおよびVmax値を示すことが明らかに
された(Towlerら:Proc.Natl.Aca
d.Sci.USA 84:2708〜2712,19
87)(以下の表1参照)。たとえば、PK−AのC−
サブユニットのN−末端配列から得られた「親」オクタ
ペプチドGNAAAARR−NHの5位置へのセリン
残基の導入は、両NMTプレパレーションに対するその
見掛けのKm値を100倍以上低下させた。NH末端
のGlyは絶対的に要求される。Gly残基のAla
による置換はこのペプチドを不活性基質に変換した
(表1)。NH末端Met残基の付加も不活性ペプチ
ドを発生し、これは大腸菌から部分的に精製された酵母
NMTが、ビール酵母菌から単離されたNMT(Tow
lerら:同誌)と同様、メチオニルアミンペプチダー
ゼ活性を伴わないことを示した。
【0035】大腸菌が完全な酵母NMTを産生している
ことを確証するため、CoA−アガロースカラムから1
00mMKClで溶出した蛋白質をsDs−PAGEで
分離し、ポリビニリデンジフルオリド膜(Millip
ore Corp.)に移した。455残基酵母NMT
の質量に相当する約53kDa ポリペプチド(Dur
onioら:Science 245:796〜80
0,1989)をこの膜から切り出し、Applied
Biosystems 470A型気相シクエンサー
を用い、エドマン分解に付した。NH末端配列は53
kDaポリペプチドが完全な酵母NMTに相当すること
を示した。
【0036】この酵素の均一なプレパレーションを得る
ために、大腸菌産生NMTをMonoS高速蛋白質液体
クロマトグラフィー(FPLC)によってさらに精製し
た。MonoSカラムの250mMNaCl溶出液のS
DS−PAGEゲルのクーマッシー青染色(Towle
rら:Proc.Natl.Acad.Sci.USA
84:2708〜2712,1987)によって、N
MT触媒活性と共溶出した約45kDaの付加的バンド
がさらに明らかにされた。この45kDaポリペプチド
のエドマン分解により、それはNMTのNH末端39
残基が失われていることがわかり、Lys39−Phe
40結合のようなポリペプチド鎖の部分が蛋白分解を受
けやすく、精製時または大腸菌内での合成直後に、急速
に失われることが示唆された。
【0037】MonoS精製45kDaNMT種は、ミ
リストイルーCoAとパルミトイル−CoAを容易に識
別子する能力を保持し、Ser置換GNAAAA−R
R−NHに対する見掛けのKmの100倍低下を示し
た(表1)。45kDa蛋白分解フラグメントはコア触
媒ドメインを維持するものと思われる。失われた39個
のアミノ酸の役割は不明であるが、NMTの酵母内での
補助的な因子との(必須の)相互作用またはその適当な
細胞内標識化に必要なのかもしれない。遺伝子操作され
た45kDaNMTがビール酵母菌の生存不能のNmt
表現型(Duronioら:前出)を救済できるかど
うかの決定がこれらの質問に解決を与える糸口になろ
う。大腸菌誘導NMTは酵母誘導NMTにきわめて近似
した速度論的性質を有することから、酵素のペプチドお
よび脂肪酸アシル−CoA基質特異な性は、真核細胞蛋
白質修飾または補助的な酵母特異的因子のいずれにも依
存しないことも結論できる。
【0038】大腸菌内における蛋白質N−ミリストイル
化の再構築:表1に記載したデータは、大腸菌内での酵
母NMTの発現が、その基質特異性のビール酵母菌から
単離されたNMTの場合と大部分区別できない点で、適
当にフォールディングされた酵素を生成したことを示し
ている。大腸菌内には内因性のNMT活性はないので、
この結果は、酵母NMTと真核細胞蛋白質基質の大腸菌
内での共発現が、明らかにもっぱら真核細胞のものであ
る蛋白質修飾の再生を、原核細胞内で可能にする可能性
を提起した。
【0039】CAMP依存性プロテインキナーゼ(PK
−A)は最も早期に発見されたプロテインキナーゼの1
種であり、また最もよく生化学的に理解されたものの1
種でもある(Taylor:J.Biol.Chem
264:8445〜8446,1989)。キナーゼは
細胞増殖および代謝の調節に関与し、その触媒(c)サ
ブユニットはN−ミリスチル化されることが示された最
初の蛋白質でもあった(Carrら:Proc.Nat
l.Acad.Sci.USA 79:6128〜61
31,1982)。マウスC−サブユニットをコードす
るcDNA(Cα)(Uhlerら:前出)の大腸菌内
での発現は、NH末端Glyにミリステートを欠くこ
の蛋白質の可溶性、活性型の単離を招いた(Slice
&Taylor:J.Biol.Chem264
20940〜20946,1989)。マウスC−サブ
ユニットのNH末端から誘導されたオクタペプチドが
正常な(また截頭された)大腸菌誘導酵母NMTに対し
in vitroで良好な基質であった(表1)ことか
ら、in vivo再構築試験のための典型的蛋白質と
してC−サブユニットを使用することに決定した。図1
Aに概略を示した二相性プラスミド系を酵母NMT1
伝子とCαcDNAの共発現に使用した。ベクターは、
それぞれが(i)安定なエピゾームプラスミドとして同
時に維持でき、(ii)それらの異種DNA配列の転写
の独立した誘導を支持できるように設計された。NMT
の発現は、pACYC177(Messing,前
出)に基づくプラスミド中に含有されるイソプロピル−
β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG)誘導性の
tac(DeBoerら:DNA :231〜23
5,1985)プロモーターおよびg10−Lリボソー
ム結合部位(Olinsら:Gene 73:227〜
235,1988)の制御下に置かれた。このプラスミ
ドはp15A複製起源およびカナマイシン抵抗性遺伝子
を包含する。2種のCαcDNAの発現は、アンピシリ
ン抵抗性遺伝子とColE1複製起源を含有するプラス
ミド中に存在するrecAプロモーター(Horii
ら:前出)とg10−Lの制御下に置かれた。これらの
cDNAの一方はPK−Aの野性型40kDaC−サブ
ユニット(Gly)をコードし、他方はGlyの代
わりにAla置換された変異体を産生した。この変異
体C−サブユニットはNMTの基質とはならない(表
1)。
【0040】親ベクターとそれらのNMT1およびCα
含有組換え誘導体の対合組合せを大腸菌JM101株に
トランスフェクションし、それらをアンピシリンおよび
カナマイシン選択によって維持した。対数的に増殖して
いる細胞の培養液を標識するために、酵母NMT1つい
でCαの連続的発現時に〔H〕ミリステートを使用し
た。この培養液から調整した溶菌液をSDS−PAGE
およびフルオログラフィーに付し、蛋白質中への放射標
識脂肪酸の取り込みを調べた。NMT1および野性型
α配列を大腸菌内で共発現させたところ、40kDa蛋
白質は培養培地に〔H〕ミリスチン酸の添加後に代謝
的に標識された(図1Bのレーン4)。この蛋白質は、
精製C−サブユニット標準と共移動した。40kDa蛋
白質の標識化はNMT1および野性型Cα両者の存在に
絶対的に依存した。NMT1を発現したがCαを欠く大
腸菌およびNMT1を欠くがCαを発現した大腸菌は、
いずれも40kDa蛋白質の〔H〕脂肪酸による標識
は生じなかった(それぞれパネルBのレーン6および
7)。さらに、40kDa蛋白質は、NMT1およびA
la置換C−サブユニットをコードする変異体Cα
DNAを発現した細胞内では標識されなかった(パネル
Bのレーン5)。マウスPK−AのC−サブユニットに
対するウサギポリクローナル抗血清を用いたウエスタン
ブロット解析により、野性型および変異体Cα組換えプ
ラスミドをそれぞれ含有する大腸菌JM101株から調
整された溶解質中に当量のGly−およびAla
40kDa蛋白質の存在が確認された(図1E)。2種
のC−サブユニットの産生レベルは、ウエスタンブロッ
トに含有された精製C−サブユニット標品のシグナル強
度に基づいて総大腸菌蛋白質の0.1%と評価された。
NMTは誘導後、大腸菌蛋白質の約0.2%を示した。
この値は粗溶解質中のNMT活性および精製酵母NMT
の比活性(Towlerら:Proc.Natl.Ac
ad.Sci.USA 84:2708〜2712,1
987)から計算した。NMT1Cαの共発現は、誘
導期における大腸菌の増殖速度に悪影響を与えることは
なかった。
【0041】〔H〕ミリステート標識40kDa蛋白
質をsDs−ポリアクリルアミドゲルから切り出し、P
ronaseEで消化して脂肪酸アシル−蛋白質結合の
性質を検討した。C18逆相高速液体クロマトグラフィ
ー(HPLC)(Heuckeroth & Gord
on:Proc,Natl.Acad.Sci.USA
86:5262〜5266,1989)上で化学的に
合成した〔H〕ミリストイルグリシン標品(Towl
er & Glaser:Biochemistry
25:878〜884,1986)と共移動する標識生
成物が生成した。これらのデータを考え合わせると、
(i)PK−AのC−サブユニットは、酵母NMTを産
生する大腸菌細胞中でのみGly依存製の様式でミリ
ストイル化される、および(ii)大腸菌の内因製メチ
オニルアミノペプチダーゼ活性(Shermanら:
ioEssays :27〜31,1985)はC−
サブユニットのイニシェータ−Metを除去することが
できて、ミリステートのNMT触媒転移に対してそのG
ly残基を暴露させるとの結論が支持された。この後
者の結果は、大腸菌内で合成されたC−サブユニットの
NH末端配列をGly−Asn−Ala−Ala…と
して同定した以前の結果(Slice & Toylo
r:前出)を確認するものである。
【0042】大腸菌内でのC−サブユニットに対するミ
リストイル基のNMT触媒結合の総効率は、以下の3種
のパラメーター、すなわち、(1)ウェスタンブロット
・ハイブリダイゼーション解析からの大腸菌溶解質中の
C−サブユニット濃度;(2)既知量の大腸菌溶解質蛋
白質を含有する、SDS−ポリアクリルアミドゲルから
のバンドを切り出したのち、蛋白質中に取り込まれる〔
H〕ミリステートの量;および(3)標識後大腸菌
中の〔H〕ミリスチン酸の最終比活性(13μmCi
/nmol)(Silbertら:Biochemis
try 12:164〜171,1973)の測定によ
り、事実上100%と評価された。
【0043】大腸菌内での蛋白質N−ミリストイル化の
再構築は14炭素脂肪酸に特異的である:10−(プロ
ポキシ)デカン酸(11−オキサミリスチン酸)は、類
似の鎖長を有するが、炭化水素鎖の11位のメチレン基
が酸素原子で置換されたことにより疎水性が低下してい
る(デカン酸に匹敵する)ミリスチン酸の類縁体である
(Heuckerothら:Proc.Natl.Ac
ad.Sci.USA85:8795〜8799,19
88)。11−オキサミリステートをinvivoにお
いてp60v−srcに取り込ませると、膜から細胞質
分画への蛋白質の有意な再分布を生じる。(Heuck
erothら:Proc.Natl.Acad.Sc
i.USA 86:5262〜5266,1989)。
上述したのと類似の〔H〕ミリスチン酸による代謝標
識試験では、NMT産生大腸菌細胞に外因性〔H〕1
1−オキサミリステートまたは〔H〕パルミテートを
加えた場合も、C−サブユニットは同様にGly依存
性様式で標識されることが示された(それぞれ図1のパ
ネルDおよびC)。以前の研究では、パルミテートは代
謝的にミリステートに変換されたのち、N−ミリストイ
ル蛋白質に取り込まれるに違いないことが示唆されてい
る(Heuckerothら:Proc.Natl.A
cad.Sci.USA 85:8795〜8799,
1988;Towler & Glaser:Bioc
hemistry 25:878−884,1980;
Olsonら:J.Biol.Chem260:37
84〜3790,1984)。〔H〕パルミテート標
識C−サブユニットをPronaseEで消化すると、
18逆相HPLCで〔H〕ミリストイルグリシンと
共移動する生成物が得られた。すなわち、ビール酵母菌
や哺乳動物細胞で観察される脂肪酸アシル−CoA鎖長
に対する顕著な特異性が、大腸菌における両者同時の発
現によって再現される。
【0044】約45および55kDaの少なくとも2種
の蛋白質が、酵母NMTを発現する大腸菌株中で外因性
に添加された3種のすべての〔H〕脂肪酸を取り込ん
だ(図1のパネルB〜Dにおけるレーン3〜6)。プラ
スミドをもたない細胞(レーン1)またはNMT1を欠
く親ベクターを有する細胞(レーン2)は、これらの蛋
白質に標識を取り込まなかった。これらの蛋白質の見掛
けのMrは大腸菌内で産生さたNMTの2種の型と著し
く類似しているので、蛋白質−〔H〕脂肪酸結合の性
質が検討された。〔H〕ミリステートまたは〔H〕
パルミテートのいずれかで標識されたこれらの蛋白質の
PronaseE消化で、C18逆相HPLC上
H〕ミリストイルグリシンと共移動する生成物が生
成した。ミリストイルグリシンが検出されたという事実
は、完全な酵母NMTもその蛋白分解処理45kDa型
もそのNH末端にはGlyを含まないとい所見ととも
に、これらの〔H〕蛋白質はNMT自体のN−ミリス
トイル化によって生じたものではなく、内因性の大腸菌
蛋白質のミリストイル化によって生成したとの結論を支
持するものであった。しかしながら、一部のバンドの強
度が〔H〕脂肪酸とNMT種の緊密な非共有結合的結
合によって生じたとの可能性は否定できない。MetG
ly…で始まり、したがってNMTによってアシル化さ
れる可能性のある大腸菌蛋白質配列をNBRF蛋白質デ
ータベース(レリーズ19.0)について検索したが
(Towlerら:J.Biol.chem263
1784〜1790,1988;Devereuxら:
Nucl.Acids Res12:387〜39
5,1984)、適当な分子量のものは見出せなかっ
た。これらの2種の「内因性」蛋白質基質があっても、
細菌系が真核細胞系に優る大きな利点は、内因性NMT
活性および基質の両者が存在しないことである。NMT
に付する代替基質たとえばヘテロ原子含有類縁体の試験
は、真核細胞中におけるよりもはるかに簡易化される。
【0045】
【表1】
【0046】上記表1に示したペプチドKmおよびVm
ax値は4または5点ラインウィーバー・バークのプロ
ットから得られた平均である。これらのプロットは少な
くとも3回の独立のin vitroアッセイで得られ
たデータを用いて作成された。ペプチドの濃度を変動さ
せ、15μMのミリステートを用いて検定を行い、ペプ
チドのKmおよびVmax値を求めた。脂肪酸アシル−
CoA KmおよびVmax値は、脂肪酸の濃度を変動
させ60μM GNAAAARR(すなわちそのKm濃
度でのペプチド)を用いたほかは同様にして得られた。
酵母NMTは570倍精製プレパレーションである(T
owlerら:Proc.Natl.Acad.Sc
i.USA 84:2708〜2712,1987)。
合成ペプチド基質は慣用の一文字アミノ酸記号で示す。
Vmax値は、ペプチドおよびアシル−CoA基質とし
てそれぞれGNAAAARRおよびミリストイル−Co
Aを用いた場合の値の百分率として表す。(−−)は、
正確にKmを決定するのに必要な酵素の量が禁制的に大
きいことを示す。「基質でない」と表示されたペプチド
はVmaxが<1%であった。NDは測定していないこ
とを意味する。以上の開示を読んだ後には、本技術分野
の熟練者には本発明の精神および範囲から逸脱すること
なく様々な他の例が明らかであろう。このような他の例
はすべて、特許請求の範囲に包含されるものである。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図面の簡単な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明による大腸菌内でのNMT1お
よびCαDNAの発現に用いられるプラスミド構築体を
示す。
【図2】図2は、様々なプラスミドを含む大腸菌形質転
換体からの溶解質蛋白質のゲルパターンを示す図であ
り、B,CおよびDはそれぞれ、外因的に〔H〕ミリ
ステート、〔H〕パルミテートおよび〔H〕10−
(プロポキシ)デカノエートが添加されている。
【図3】図3は、野性型Gly−C−サブユニットま
たは変異体Ala−C−サブユニットを含有する大腸
菌の溶解質のウェスタンブロットを示す。
【図4】図4は、図1に記載された発現プラスミドの構
築に用いられた親プラスミドを示す。
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正内容】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // C12P 21/00 C 8214−4B (C12P 21/00 C12R 1:19) (72)発明者 ジェフレイ イバン ゴードン アメリカ合衆国ミズリー州オリベット,ス テイシィ ドライブ 12

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 大腸菌内においてN−ミリストイルトラ
    ンスフェラーゼとそのN−ミリストイルトランスフェラ
    ーゼに対する蛋白質基質を共発現させる方法において、
    (A)インプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド
    誘導性tacプロモーター、g10−Lリボソーム結合
    部位、NMT遺伝子、カナマイシン抵抗性遺伝子および
    p15A複製起源の作動可能な配列、ならびに(B)
    ecAプロモーター、g10−Lリボソーム結合部位、
    哺乳動物遺伝子、アンピシリン抵抗性遺伝子およびCo
    l E1複製起源の作動可能な配列から構成される二相
    性プラスミド系を大腸菌内に導入する方法。
  2. 【請求項2】 NMT遺伝子は酵母NMT1ゲノムDN
    Aである「請求項1」記載の方法
  3. 【請求項3】 哺乳動物遺伝子はcAMP依存性プロテ
    インキナーゼの野性型40kDa触媒性サブユニットを
    コードするCαcDNAである「請求項1」記載の方法
  4. 【請求項4】 NMT遺伝子は酵母NMT1ゲノムDN
    Aであり、哺乳動物遺伝子はcAMP依存性プロテイン
    キナーゼの野生型40kDa触媒性サブユニットをコー
    ドするCαcDNAである「請求項1」記載の方法。
  5. 【請求項5】 プラスミドpBB131。
  6. 【請求項6】 プラスミドpBB132。
  7. 【請求項7】 プラスミドpBB133。
  8. 【請求項8】 プラスミドpBB135。
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