JPH0624563B2 - 床擦れ防止用マツト - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、床擦れの予防並びに治療機能を備えた床擦れ
防止用マットに関するものである。

（従来の技術） 長期間病床に臥していると、寝具にあたる部分が無意識
の内に圧迫されて血行障害を起こし、褥瘡、所謂床擦れ
症状が現れて病人に致命的な害を及ぼすということが屡
々見受けられ、病院や家庭においてはその治療対策に苦
慮しているのが現状である。

この床擦れ症を予防或は治療を行うには、局所の長期間
の圧迫を避けること、就寝体位を変換させることが肝要
とされ、柔軟なクッション性のベッドを使用し、看護者
の手によって或は特殊なローリングベッドを使用して病
人の体位を変えるという方法が採られている。しかし乍
ら、この方法は床擦れの予防としては有効であるが、既
に床擦れを生じている場合には左程効果がなく、柔軟な
クッション性の寝具を使用している場合はむしろ逆効果
を呈する。これらの事情を考慮して本発明者は先に実公
昭５２−４３１９５号公報或は特公昭６１−４５２４号
公報に開示されているように空気の流出による床擦れ防
止並びに床擦れ治療を行うに好適なマットを提供した。

（発明が解決しようとする問題点） ところが上記実公昭５２−４３１９５号公報記載のマッ
トにあっては、空気マットの内部から連続して微量の空
気が洩出されるため床擦れの予防或は治療に有効である
が、反面において身体の支持力に乏しく、マット内を過
大の空気圧に保持しなければならないという難点を有し
ている。また上記特公昭６１−４５２４号公報記載のマ
ットにおいては、過大の空気圧は不要であり僅かの空気
量を効果的に活用できるという利点を有しているが、マ
ットの製作コストが嵩むことから一般家庭用としては必
ずしも適切なものではなく、手軽に利用できしかも床擦
れの防止や治療に好都合なマットが要望されているのが
現状である。

（問題点を解決するための手段） 本発明は上記した従来のこの種のマットの種々な不都合
を改善することを目的としてなされたものであって、中
央部分に通気性生地が配され、その他の部分を非通気性
生地となした部分通気シートと、非通気性シートとから
なり、前記部分通気シートを上側に、非通気性シートを
下側にして重ね合わせると共に、上下両シートの周縁部
どうしを気密に接着シールして該両シート間に空隙を形
成し、かつこの空隙に空気を送入するための給気口を設
けてなり、給気口から送入した空気が前記通気性生地部
分から漏洩するように構成してなるものである。

通気性生地としては織地や編地が適用でき、望ましくは
吸湿性の糸による平織物がよい。また非通気性生地とし
ては、細い合成繊維糸の高密度織物に樹脂加工を施した
柔軟な生地が好適である。更に非通気性シートは空気圧
により変形しないように、やや硬質で十分な保形性を備
えた、所謂腰のある非通気性生地が好適である。

（作用） 上記構成の床擦れ防止用マットは敷布団や空気マット等
の寝具上に敷いて使用され、上面の部分通気シートと下
面の非通気性シートとの間の空隙に送気ファンを用いて
空気を送入すると、送入された空気は通気性生地の部分
から常時外側に漏出して就寝者の背部や腰部に作用し、
身体と寝具との間の湿気の滞留をなくし、床擦れ症の発
生の防止或は床擦れ症の治療作用を奏する。

（実施例） 以下本発明の実施例を示した図面に基づいて説明する。
第１図及び第２図に示した床擦れ防止用マットは、矩形
状に形成した部分通気シート(1) と非通気性シート(2)
とを用い、該部分通気シート(1) を上側に、非通気性シ
ート(2) を下側にして重ね合わせてあり、例えば敷布団
や空気マットのような寝具(3) 上に敷いて使用される。

前記部分通気シート(1) はその中央部分(4) に粗目平織
の通気性生地(5) を備え、その他の部分は細い合成繊維
の高密度織物に樹脂加工を施してなる柔軟な非通気性生
地(6) でもって構成されており、例えば該通気性生地
(6) の中央部分(4) を切り抜いて、この切抜き部に前記
通気性生地(5) を接着乃至縫合して形成される。尚通気
性生地(5) が設けられる中央部分(4) の幅寸法は、例え
ば通常の体格の成人が仰臥してやや余裕がある程度に、
また長さ寸法は少なくとも背部から腰部に亙る長さ以上
に設定される。このように部分通気シート(1) の中央部
分(4) に通気性生地(5) を配すると、後記する小型の送
気ファンでもって、患者の身体部に効果的に空気の洩出
を行うことができる。

前記部分通気シート(1) の下面側に重ね合わされた非通
気性シート(2) はやや硬質で十分な保形性を備えた、所
謂腰のある非通気性生地、例えばやや厚手の帆布に樹脂
加工を施してなる生地が好適である。この非通気性シー
ト(2) と前記部分通気シート(1) とが互いに対向する周
縁部どうしは気密的に接着シール(7) されていて、両シ
ート(1)(2)間の空隙(8) に空気を送入するための給気口
(9) が設けられる。

そして、給気口(9) から空隙(8) に送入された空気圧に
よって該空隙(8) が膨張して、主に柔軟な部分通気シー
ト(1) 側が膨隆変形する。また寝具(3) と対接する非通
気性シート(2) は僅かに変形するだけであり、使用時に
おけるマットの不都合な変形が防止される。また非通気
性シート(2) の下面と部分通気シート(1) とは、通気性
生地(5) を囲んで互いに間隔を置いて位置する箇所(10)
…で部分的に接着乃至縫合されており、このように両シ
ート(1)(2)を部分的に接着乃至縫合することにより、前
記空隙(8) への空気送入時における部分通気シート(1)
の膨らみが適正に整えられるのである。

更に前記空隙(8) には部分通気シート(1) の中央部分
(4) と重なる位置に通気性良好な弾性部材(11)が必要に
応じて介装され、この弾性部材(11)の介在により使用時
において、空隙(8) が就寝者の体重によって圧迫されて
も空気の流通を良好ならしめるためのものである。尚通
気性の弾性部材(11)は背部や腰部に接して違和感や不快
感を生じない程度のクッション性を備えた発泡性樹脂
や、やゝ太目の繊維を集合し扁平になしたものなどが好
適である。

またマット主体(1) とシート(2) との空隙(8) への送気
量は１０〜３０／分程度あればよく、空気の洩出は実
感として肌に感じるか、感じないか程度の微風の空気量
でよい。従って小型の送気ファン(12)が使用できるから
装備費が極めて安価となる。なお送気ファン(12)の使用
に際しては送気側にフィルター(13)を設けて清浄な空気
を送るようにすることが望ましい。

（発明の効果） このように本発明による床擦れ防止用マットは、中央部
分(4) に通気性生地(5) が配されその他の部分が非通気
性生地(6) となした部分通気シート(1) と、非通気性シ
ート(2) とを用い、前記部分通気シート(1) を上側に、
非通気性シート(2) を下側にして重ね合わされ、上下両
シート(1)(2)の周縁部どうしが気密に接着シール(7) さ
れ、且つ前記両シート(1)(2)間に空気を送入するための
給気口(9) が設けられてなるものであり、布団や空気マ
ット等の寝具の上に敷いて使用することにより、寝具の
もつ柔軟なクッションによって療養者の局所圧迫を回避
し、給気口(9) から常時緩やかに空気を送入することに
より部分通気シート(1) の通気性生地(5) から絶えず就
寝者に向かって空気が流出し、その空気が任意のシーツ
を通過して就寝者の身体周辺を極くゆるやかな微風とし
て流動し、就寝者の背部や腰部に生じがちな皮膚湿潤を
除いて床擦れの発生を防止し、同時に既に床擦れ症を呈
している患者には有効な治療作用を奏することができ、
長期間病床に就く患者用として極めて有益である。また
部分通気シート(1) の中央部分(4) に通気性生地(5) を
配しているので、患者の身体部に効果的に空気の洩出を
行うことができる。更に前記の如く寝具上に敷いて手軽
に使用できるものであり乍ら、不使用時にはコンパクト
に折畳めるので嵩張らず、しかも低廉なコストで製作で
きる。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の実施例を示しているものであって、第１
図は斜視図、そして第２図は第１図のＡ−Ａ線断面図で
ある。 (1) ……部分通気シート、(2) ……非通気性シート、
(4) ……部分通気シートの中央部分、(5) ……通気性生
地、(6) ……非通気性生地、(7) ……接着シール、(9)
……給気口。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】中央部分(4) に通気性生地(5) が配され、
   その他の部分を非通気性生地(6) となした部分通気シー
   ト(1) と、非通気性シート(2) とからなり、前記部分通
   気シート(1) を上側に、非通気性シート(2) を下側にし
   て重ね合わされ、上下両シート(1)(2)の周縁部どうしが
   気密に接着シール(7) され、且つ前記両シート(1)(2)間
   に空気を送入するための給気口(9) が設けられているこ
   とを特徴とする床擦れ防止用マット。