JPH06242775A - フルート等の管楽器のパッド及びその製造法 - Google Patents

フルート等の管楽器のパッド及びその製造法

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JPH06242775A JP5053200A JP5320093A JPH06242775A JP H06242775 A JPH06242775 A JP H06242775A JP 5053200 A JP5053200 A JP 5053200A JP 5320093 A JP5320093 A JP 5320093A JP H06242775 A JPH06242775 A JP H06242775A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 従来製品にみられない特性を有するフルート
等の管楽器のパッドを提供する。 【構成】 パッド本体が、ウレタンフォーム等の合成樹
脂含浸性の高分子化学製品の成型体から構成されたもの
であって、これに合成樹脂を含浸させてなるパッド本体
をスキンで包み込んだ構造に形成したフルート等の管楽
器におけるパッド。ウレタンフォーム等の成型シートを
パッドの寸法にパンチングして成型し、得られたパッド
本体に合成樹脂を含浸させた後、当該パッド本体をスキ
ンで包むことにより製造する。 【効果】 本発明のパッドは、適度な吸水特性を有し、
吸水による変形が全くなく、音孔との接触特性に優れて
おり、高度の組立調整技術を必要とすることなく簡便に
製造できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、フルート等の管楽器に
おけるパッドに関するものであり、更に詳しくは、本発
明は、パッドの本体を構成する材質、及びその構造を根
本的に改良し、当該パッドの最も重要な要素とされてい
る水分の吸収性、水分による変形性、音孔面に対する接
触特性、耐久性等の諸特性を根本的に改善すると共に、
従来製品にみられない優れた操作性、音響特性を発揮す
ることが可能で、かつ従来製品の場合のように高度の組
立調整技術を必要とすることなく、簡便に製作すること
が可能なフルート等の管楽器における新しいタイプのパ
ッドとその製造法、及び当該パッドを装着したフルート
等の管楽器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】フルート等の管楽器は、楽器本体に形成
された音孔をパッドで開閉する操作を連続的に繰り返す
ことにより、一定の音高を発生させるものであり、フル
ート等の管楽器にとって、当該パッドの品質及び特性
が、管楽器そのものの価値を左右するような極めて重要
な要素となるものであり、従来、種々のタイプの製品の
開発が試みられている。
【0003】それらのうち、従来のフルート等の管楽器
において広く使用されているパッドの構造として公知の
ものは、図1に示される如く、4のフェルトで構成され
るパッド本体の裏面に3の台紙を接着し、5の動物性薄
皮(以下スキンという)でこれを包み、更に接着するこ
とにより、パッドを形成し、しかる後、ネジ止用の孔を
パンチングして形成し、これを8のネジで鍵1に半田付
けされたパッドネジ受け6に固定させたものであると
か、あるいは、シリコンゴム等の合成ゴム単体、合成化
学製品等の可撓性の物質をパッドの形に成型したものを
そのまま鍵1に固定させたもの等があるが、これらの製
品は、いずれも以下のような欠点があるものであった。
【0004】すなわち、まず、前者のフェルトで構成さ
れるパッド本体をスキンで包んだものは、両物質ともに
湿気に対して極めて弱く、その使用時に、常に湿気を帯
びた息が吹込まれるフルート等の管楽器においては、パ
ッドが水分を吸収し過ぎて変形するために、その音孔を
安定して瞬時に、かつ連続的に完全に密閉し、開孔する
ように操作することを可能にするためには、高度の組立
調整技術が必要とされ、かかる上でもなお安定した良好
な状態を保つことは困難であるという問題点があった。
殊にパッド本体を構成するフェルトは、水分の吸排によ
って起す変形が著しいという問題点があった。
【0005】一方、後者の合成ゴム単体等の可撓性の物
質を成型したパッドにおいては、その物質の性質上かな
り撥水性に富んだものであるために、演奏時に、水滴が
パッドの表面に付着して音孔面の間に溜り、正しい音を
出すことが困難になったり、また、密閉性に富んでいる
ために、音孔を閉じた後、指を上げてもパッドが音孔に
貼りついてしまい音孔が瞬時に開かないといったことが
起こり易く、管楽器にとっては致命的となるような欠陥
を有するものであった。従って、このような状況から、
現在は、狂いは生じ易いという問題点を有するものでは
あるものの、フルート等の管楽器のパッドとしては、前
者のフェルトをスキンで包んだ構造のパッドが主流を占
めているのが現状である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】このような情勢を踏ま
え、本発明者は、現在、主流を占めている前記フェルト
をスキンで包んだ構造のパッドの有する前記問題点を根
本的に解消した高性能の新しいタイプのパッドを開発す
ることを目標として鋭意研究を積み重ねた結果、パッド
本体の材質に改良を加えてパッドの諸特性を改善すると
共に、当該材質の特性を生かして、パッドと音孔面との
接触特性を根本的に改善し得る構造上の改良を加えるこ
とにより、所期の目的を達成し得ることを見い出し、本
発明を完成するに至った。
【0007】
【課題を解決するための手段】このような目的を達成す
る本発明は、次の(1)〜(4)の技術的手段から構成
されるものである。 (1)パッド本体が、ウレタンフォーム等の合成樹脂含
浸性の高分子化学製品の成型体から構成されたものであ
って、これに合成樹脂を含浸させてなるパッド本体をス
キンで包み込んだ構造に形成したことを特徴とするフル
ート等の管楽器におけるパッド。
【0008】(2)ウレタンフォーム等の合成樹脂含浸
性の高分子化学製品の成型シートをパッドの形に成型し
てパッド本体を構成し、得られた当該パッド本体に合成
樹脂を含浸させた後、当該パッド本体をスキンで包んだ
構造に形成することを特徴とする前記(1)記載のフル
ート等の管楽器におけるパッドの製造法。
【0009】(3)パッド本体が、ウレタンフォーム等
の合成樹脂含浸性の高分子化学製品の成型体から構成さ
れたものであって、これに合成樹脂を含浸させてなるパ
ッド本体をスキンで包み込んだ構造に形成し、音孔と接
触するパッド面に当該音孔と一致する浅い溝を形成した
ことを特徴とするフルート等の管楽器におけるパッド。
【0010】(4)パッド本体が、ウレタンフォーム等
の合成樹脂含浸性の高分子化学製品の成型体から構成さ
れたものであって、これに合成樹脂を含浸させてなるパ
ッド本体をスキンで包み込んだ構造に形成したことを特
徴とする前記(1)記載のパッドを装着したことを特徴
とするフルート等の管楽器。
【0011】続いて、本発明のパッドの構造等につい
て、従来製品との対比において詳細に説明する。まず、
図1は、フルート等の管楽器のパッド及び音孔の部位の
部分的側断面図からなる説明図を示すものであり、パッ
ドは、従来製品を示す。図1において、符号の1は、パ
ッドの入る鍵であり、2は、パッドを入れた時の空間で
ある。3は、台紙であり、パッド本体のフェルトに接着
されている。4は、丸くパンチングされて成型されたフ
ェルトであり、パッドの本体を構成するものである。5
は、フェルトを包むスキンであり、通常、動物の腸皮を
薄くなめしたスキンが使用される。6は、パッド止めネ
ジ受けであり、鍵1に半田付けされている。7は、パッ
ド止め用ワッシャーを、8は、パッド止めネジを、9
は、フルート本体に開口する音孔を、それぞれ、示す。
【0012】次に、図2は、従来製品のパッドの鍵及び
パッドの平面図からなる説明図を示すものである。図2
において、符号の1は、鍵のカップであり、5は、フェ
ルトをスキンで包んだパッドを示す。7は、パッド止め
用のワッシャーであり、8は、パッド止めネジを示す。
【0013】このような従来のパッド製品に対して、本
発明のパッドの構造は、図3、及び図4に示すような構
成上の特徴を有するものである。すなわち、図3は、フ
ルート等の管楽器のパッド及び音孔の部位の部分的側断
面図からなる説明図を示すものであり、パッドは、本発
明のパッドを示す。図3において、1′は、パッドの入
る鍵であり、2′は、パッドの歪みを押えるために使用
する平らな詰め物である。3′は、台紙であり、パッド
本体のウレタンフォームに接着されている。4′は、丸
くパンチングされて成型されたウレタンフォームのシー
トであり、合成樹脂を含浸させたパッドの本体である。
5′は、ウレタンフォームを包んだスキンである。スキ
ンとしては、通常、動物の腸皮を薄くなめしたスキンが
使用されるが、これに限らず、これと同効もしくは類似
のものが適宜使用される。6′は、パッド止めネジ受け
であり、1′に半田付けされている。7′は、パッド止
め用のワッシャーであり、8′は、パッド止めネジであ
る。9′は、フルート本体に開口する音孔を示す。1
0′は、音孔と完全に一致する形にパッドに形成された
極く浅い溝である。
【0014】次に、図4は、本発明のパッドを構成する
鍵及びパッドの平面図からなる説明図を示す。図4にお
いて、1′は鍵のカップであり、5′は、合成樹脂を含
浸させたウレタンフォームをスキンで包んだパッドを示
す。7′は、パッド止め用のワッシャーであり、8′
は、パッド止めネジを示す。10′は、音孔に完全に一
致する形にパッドに形成された極く浅い溝を示す。当該
浅い溝は、0.2ミリ以下に構成したものが好適なもの
として使用される。
【0015】前記したように、本発明のパッドは、従来
製品の有する問題点を根本的に解決することを目標とし
て開発されたものであり、本発明によるパッドは、パッ
ド本体として、フェルトを使用した従来製品、及び可撓
性の物質を使用した従来製品の前二者の欠陥をすべて克
服したものである。
【0016】すなわち、以下にその構造と利点を詳細に
説明すると、まず、図3の4′のウレタンフォーム等の
合成樹脂含浸性の高分子化学製品の成型シートをパッド
の寸法にパンチングして成型し、丸いブランクを形成
し、これを3′の台紙に接着する。この際、ウレタンフ
ォーム等の合成樹脂含浸性の高分子化学製品は、合成樹
脂を含浸させた後、5′のスキンで包んだ構造に形成
し、3′の台紙に接着し、しかる後、ネジ止め用の孔を
パンチングして使用する。
【0017】本発明のパッド本体を構成するウレタンフ
ォーム等の合成樹脂含浸性の高分子化学製品は、ウレタ
ンフォーム、すなわちポリウレタンが好適なものとして
使用されるが、これに限らず、合成樹脂含浸性の高分子
化学製品であればいかなるものであっても使用すること
ができる。とりわけ、ウレタンフォームとその特性が同
効もしくは類似な発泡構造を有する高分子化学製品の発
泡体からなるものであれば、好適なものとして使用する
ことが可能である。これらのウレタンフォーム等は、好
適には、ウレタンフォーム等の成型シートを使用し、こ
れを合成樹脂で含浸処理したものが使用される。更に、
含浸させる合成樹脂については、例えば、アクリル系、
シリコーン系、ウレタン系の合成樹脂が好適なものとし
て例示されるが、これらに限定されるものではなく、通
常の合成樹脂であって、ウレタンフォーム等との適合性
等の特性が優れているものであれば適宜使用することが
可能である。
【0018】また、合成樹脂の含浸処理は、ウレタンフ
ォーム等の成型シートをパッドの寸法に成型する前の工
程もしくは後の工程のいずれの工程において行っても良
く、特に制限されるものではないが、好適には、ウレタ
ンフォーム等の成型シートをパッドの寸法に成型した
後、適宜の濃度に調整した合成樹脂含浸溶液を使用し、
注入、浸漬、噴霧等の含浸方法により適宜含浸処理する
ことが好ましい。
【0019】本発明は、パッド本体の材質として合成樹
脂を含浸させたウレタンフォーム等を使用すると共に、
含浸処理した後に、合成樹脂の作用が終るまでの早い時
期にスキンで包み、当該パッドを音孔に接触させた状態
で一定時間そのまま置く工程を経由させることにより当
該音孔との接触性の調整を図ることが重要である。当該
工程を経由させることにより、パッド本体の合成樹脂含
浸ウレタンフォーム等の可撓性により、これを1′の鍵
に組込んで、9′の音孔に接触させた状態で一定時間そ
のまま置くだけで、粗悪な音孔面においても、図3、図
4の10′に示すように、音孔に好適に密着することが
可能な、例えば、0.2ミリ以下の浅い溝の形状を得る
ことができる。更に、本発明においては、この形状をウ
レタンフォーム等に含浸させた合成樹脂が固定させる作
用を有する。
【0020】このようにすることによって、従来、不可
避的に必要とされていた組立調整の高度な技術と手間が
省ける一方、音孔面との気密性を極めて良好なものにす
ることができると共に、水分の吸収も適度に受け入れる
特性を有し、かつパッドの変形が全くないため、パッド
の形態が長期に亘りその良好な状態が崩れることなく保
たれるという特性を有する本発明のパッドを製造するこ
とができる。また、当該パッドは、物理的衝撃などによ
り音孔とパッドがずれたりした場合においても、パッド
に対して合成樹脂の溶剤等の薬品による刺激を与えるこ
とにより、簡便に初めの形状を呼び戻すことができるた
め、その時点で再び音孔に接触させて、音孔との接触性
の調整を図ることにより、繰り返し使用可能なものにす
ることができるという従来製品にない特徴を有する。更
に、本発明のパッドは、フルート等の管楽器のパッドと
して広く使用することができるものであり、当該パッド
を装着する管楽器の種類は、特に限定されるものではな
い。
【0021】次に、本発明のパッド及び従来のパッド製
品について、湿気等に対する性能の比較試験(パッドの
吸水試験)を実施した結果を示す。
【0022】(1)供試材料 本発明のパッド(パッド本体として、ウレタンフォーム
にアクリル系合成樹脂を含浸させた製品)、及び従来製
品(パッド本体として、フェルトを使用した製品)を供
試材料として比較試験を実施した。
【0023】(2)試験方法 フルート等の管楽器に使用するパッドを供試材料とし
て、実際に演奏する際に問題となる湿気等の条件を再現
するために、25℃の微温湯をパッドの表面に一定量滴
下した後、一定時間経過後の水分の吸収によるパッドの
変化、すなわち湿気の及ぼすパッドへの影響について検
討した。すなわち、パッドの吸水特性については、滴水
後、室温(25℃)において、一定時間経過後にみられ
るパッド表面の水滴直径を計測することにより調査し
た。これと同時に、パッド自体の形態的変化、破損状
況、歪み、伸縮性等の変形状況、耐久性、音孔面との接
触特性等の項目について、本発明のパッドと従来のフェ
ルトを使用したパッド製品とを比較評価する形で調査し
た。
【0024】(3)評価結果 以上のようなパッドの吸水試験を実施した結果、従来の
パッド製品は、滴水後、約7分で水滴直径が大きくな
り、約45分で水分の吸込みがあり、55分で水分の全
面的な吸収、及び変形がみられるようになり、約3時間
で反り返える変形が起こり、全面的な変形がみられるよ
うになったが、本発明によるパッドでは、滴水後、約5
5分で水分の吸収はみられ、約24時間で水分は全て吸
収されたが変形は全くみられなかった。(本吸水試験の
結果を表1に示す。)
【0025】
【表1】
【0026】これは、パッド本体にフェルトを使用した
従来製品の場合、フェルトが水分を吸収することによっ
てその繊維が伸縮するために容易に変形を起こすことに
よるものであるが、パッド本体にウレタンフォームを使
用した本発明製品では、ウレタンフォームの発泡構造の
間に保水はするが、もともと撥水性物質であるために保
水によるそれ以上の変形は起こらないことによるもので
あるとみられる。
【0027】また、従来のパッド製品は、スキンを二枚
重ねて使用しているが、これは、一枚が破れても下にも
う一枚あることで安全を確保できるという発想でとられ
ている方法である。しかしながら、実際には、パッド本
体のフェルトが水分を吸収するために、スキンが破れた
と気付く場合は殆ど下まで破れてしまうことが多く、ま
た、一枚が破れた場合であっても、それだけで音の響き
に多大の影響がでてくることになり、また、破れない場
合であっても、スキンを二枚重ねて使用した場合は、パ
ッドの歪みが起こり易く、その対策の如何が、パッドの
耐久性を向上させる上で、極めて重要な要素となるもの
であった。
【0028】このように、一般に、現在においては、ス
キンを二枚重ねたパッドが主流製品となっているが、こ
れはパッドの安全作用を考えて採用されたものであり、
このことが、かえってパッドの歪みの増大を招く要因と
もなっていた。すなわち、スキンの張力は、スキンの縦
方向と横方向では異なるものであり、また、接着する際
の引張り加減の違いによっても微妙に変化し歪みが起き
る要因となる。従って、二枚重ねは、かえって歪みを増
加させる結果となり、パッドの耐久性、変形特性等から
みると実際には逆効果となるものであると言えるが、こ
れを改善する有効な手だては、これまで何ら見い出され
ていない状況にあった。
【0029】一方、本発明のパッドは、この点において
は極めて優れたものであり、特に、含浸させた合成樹脂
が二枚目のスキンの役をなし、更に、一枚目のスキンを
音孔の形状にとどめることができるように音孔に対する
接触特性を著しく高める作用を有し、音孔に対して好適
な接触状態を得る役を果たすことが分った。本来、ウレ
タンフォーム等は、撥水性物質であることから保水力は
なく、このような機能を有してはいないが、ウレタンフ
ォーム等を合成樹脂で含浸加工を施す過程で、その発泡
構造の間に水分を吸収し保水力が発生するようになるも
のであることが分った。従って、水分を吸収しても、そ
れを保持しているだけでパッド自体には何らの変化を与
えることがないという特性を有するものであることが分
った。
【0030】以上のように、本発明のパッドは、従来製
品と比較して、吸水特性、変形状況、耐久性、音孔との
接触特性等のすべての項目において、極めて優れたもの
であることが分かると共に、従来製品の前記問題点を根
本的に解消し、かつ当該本発明のパッドを使用すること
により、高性能のフルート等の管楽器を高度の組立調整
技術を必要とすることなく簡便に製作することを可能に
するものであることが分った。
【0031】すなわち、組立調整の高度な技術と手間が
省ける一方、パッドと音孔との気密性が極めて良く、パ
ッド本体が、水分の吸収も適度に受け入れるに留まるた
めパッドの変形がなく、音孔面との良好な状態が崩れる
ことなく安定に保つことができる。一般に、パッドの品
質と特性との関係については、例えば、パッドが柔らか
過ぎると音がボケる反面、多少の隙間があっても音孔の
閉じは良くなると言う面があり、一方、パッドが硬過ぎ
ると音はハッキリしたものとなり立ち上がりが良くなる
反面、音孔との間隙のカバーが難しいと言う相関関係に
あり、従来、これら両者の特性を満たすような製品を開
発することは困難であるとみられていたが、本発明製品
は、このような両者の特性を高レベルに満たすものであ
る。
【0032】また、物理的衝撃事故等で音孔とパッドが
ずれたりした場合においても、溶剤等の薬品処理を施す
だけで初めの形状を呼び戻すことができるため、その時
点で再び音孔との接触性を調整することにより簡便に使
用可能な状態に再生できるというこれまでにない特性を
有する。
【0033】このように、本発明のパッドを使用するこ
とによって、楽器製作者は組立調整を簡便に実施するこ
とができると共にコストの軽減ができる一方、使用者に
おいては、パッドの狂いを気にかけることなく長期に亘
って安定的に響きの良い音を得ることができ、楽器製作
者及び使用者の双方において、相互の得る利益は著しく
向上する等の従来製品にみられない特有の効果が得られ
る。
【0034】
【発明の効果】以上詳述したとおり、本発明は、パッド
本体の材質としてウレタンフォーム等の合成樹脂含浸性
を有する高分子化学製品の成型シートを使用し、合成樹
脂を含浸させ、スキンで包んだ構造に形成することを特
徴とするフルート等の管楽器におけるパッドに係るもの
であり、本発明によれば、従来製品にみられる高い吸水
性と、吸水によるパッドの変形、歪み、スキンの破損等
の問題点を根本的に解決し得ると共に、適度の吸水性を
有し、耐久性が高く、かつ音孔に対する接触特性等が著
しく改善され、音孔に対する優れた接触特性を有し、演
奏時の操作性が優れている等の特性を有する高品質のパ
ッドを提供することができる。
【0035】また、当該特性を有する本発明のパッド
は、更に、その加工特性についても極めて優れたもので
あり、特に音孔に対する接触特性に優れている製品を高
度の組立調整技術を必要とすることなく簡便、かつ効率
よく製造することを可能とするものである。
【0036】更に、本発明によれば、従来、演奏時にみ
られたパッドの狂いをほとんど生じることがなく、長期
に亘って安定、かつ確実に良好な音色を保持することが
可能なフルート等の管楽器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のフルート等の管楽器のパッドの部分的側
断面図からなる説明図を示す。
【図2】従来のパッドの鍵及びパッドの平面図からなる
説明図を示す。
【図3】本発明のパッドを装着したフルート等の管楽器
の部分的側断面図からなる説明図を示す。
【図4】本発明のパッドの鍵及びパッドの平面図からな
る説明図を示す。
【符号の説明】
1 パッドの入る鍵のカップ 2 空間 3 台紙 4 パッドの本体 5 スキン 6 パッド止めネジ受け 7 パッド止め用ワッシャー 8 パッド止めネジ 9 音孔 1′ パッドの入る鍵のカップ 2′ パッドの歪みをおさえるための平らな詰め物 3′ 台紙 4′ ウレタンフォームに合成樹脂を含浸させたパッド
の本体 5′ ウレタンフォームを包んだスキン 6′ パッド止めネジ受け 7′ パッド止め用ワッシャー 8′ パッド止めネジ 9′ 音孔 10′パッドに形成された極く浅い溝

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 パッド本体が、ウレタンフォーム等の合
    成樹脂含浸性の高分子化学製品の成型体から構成された
    ものであって、これに合成樹脂を含浸させてなるパッド
    本体をスキンで包み込んだ構造に形成したことを特徴と
    するフルート等の管楽器におけるパッド。
  2. 【請求項2】 ウレタンフォーム等の合成樹脂含浸性の
    高分子化学製品の成型シートをパッドの形に成型してパ
    ッド本体を構成し、得られた当該パッド本体に合成樹脂
    を含浸させた後、当該パッド本体をスキンで包んだ構造
    に形成することを特徴とする請求項1記載のフルート等
    の管楽器におけるパッドの製造法。
  3. 【請求項3】 パッド本体が、ウレタンフォーム等の合
    成樹脂含浸性の高分子化学製品の成型体から構成された
    ものであって、これに合成樹脂を含浸させてなるパッド
    本体をスキンで包み込んだ構造に形成し、音孔と接触す
    るパッド面に当該音孔と一致する浅い溝を形成したこと
    を特徴とするフルート等の管楽器におけるパッド。
  4. 【請求項4】 パッド本体が、ウレタンフォーム等の合
    成樹脂含浸性の高分子化学製品の成型体から構成された
    ものであって、これに合成樹脂を含浸させてなるパッド
    本体をスキンで包み込んだ構造に形成したことを特徴と
    する請求項1記載のパッドを装着したことを特徴とする
    フルート等の管楽器。
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