JPH06242473A - エレクトロクロミック素子 - Google Patents

エレクトロクロミック素子

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JPH06242473A
JPH06242473A JP2570293A JP2570293A JPH06242473A JP H06242473 A JPH06242473 A JP H06242473A JP 2570293 A JP2570293 A JP 2570293A JP 2570293 A JP2570293 A JP 2570293A JP H06242473 A JPH06242473 A JP H06242473A
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Japan
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electrolyte
thin film
weight
refractive index
electrode
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Application number
JP2570293A
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English (en)
Inventor
Natsuko Oto
奈津子 大戸
Yuzo Izumi
祐三 出水
Keiichi Koseki
恵一 古関
Satoshi Sakurada
智 櫻田
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Tonen General Sekiyu KK
Original Assignee
Tonen Corp
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Publication date
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  • Electrochromic Elements, Electrophoresis, Or Variable Reflection Or Absorption Elements (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 屈折率が高分子多孔性薄膜の屈折率に近く、
さらに微調整も可能であり、またイオン伝導性が高くで
き、透明性も高く、常温常圧で蒸気圧が低い電解質溶媒
を用いたエレクトロクロミック素子を提供すること。 【構成】 エレクトロクロミック電極と対向電極との間
に電解質を介在させて成るエレクトロクロミック素子に
おいて、電解質として高分子多孔性薄膜の空孔中にイオ
ン導電体を充填した電解質薄膜を用い、イオン導電体が
溶媒として(A)DL−2−フェニルブチロニトリル及
び/又は4−フェニルブチロニトリル、及び(B)ポリ
アルキレングリコール又はそのエーテル化合物、好まし
くは更に(C)2,2−ジフェニルプロピオニトリルを
含み。好ましくは、成分(A)を20〜90重量%、成
分(B)を1〜0重量%、成分(C)を20〜65重量
%、電解質溶質を2〜18重量%含む。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は新規なエレクトロクロミ
ック素子、さらに詳しくは、電解質として、空孔中にイ
オン導電体を充填した光散乱の少ない高分子多孔性薄膜
を用いて成る調光素子や表示素子などとして好適なエレ
クトロクロミック素子に関する。
【0002】
【従来の技術】エレクトロクロミック(以下ECと略称
する)素子は、通常透明電極基板上にEC材料から成る
層(以下EC層と略称する)を有するEC電極と対向電
極との間に電解質を介在させた構造を有しており、両極
間に電圧を印加すると、電圧に応じて該EC層の色調が
可逆的に変化する性質を有している。
【0003】このようなEC素子は大面積表示が可能で
ある、駆動寿命が長い、応答速度が速い、着色効率が高
い、鮮やかな色が出せる、消色時の透過率が高いなどの
特徴を有することから、近年色調の変化を利用して表示
素子や調光素子に、あるいは適度の応答速度を利用した
防眩材料、メモリー性を利用した記憶センサーなどに用
いられている。
【0004】このEC素子に用いられる電解質は液体電
解質と固体電解質に大別することができ、前者の液体電
解質はイオン電導度が大きいので応答性に優れているも
のの、液体であるため、素子の構造及び組み立て上、液
漏れ対策が必要であり、また液漏れ対策をしても破損に
より、あるいは使用中に液漏れが生じるおそれがあるな
どの欠点を有している。これに対し、通常の固体電解質
は前記のような問題はないものの、イオン電導度が小さ
いために、応答性が悪いという欠点がある。
【0005】そこで、本発明者らは、イオン電導度の大
きな固体電解質を開発するために鋭意研究を重ね、先に
高分子多孔性薄膜の空孔中にイオン電導体を充填して成
る高分子電解質薄膜が、全体として固体として取り扱う
ことができ、液漏れのおそれがない上、イオン導電性に
優れていることを見い出した。このような高分子電解質
薄膜をEC素子の電解質として用いる場合、電極形成後
に該薄膜を両極間に挟めばよく、したがって電極形成時
に該電解質を劣化させることがない上、合わせガラスの
プロセスでEC素子を製作しうるなどの利点がある。
【0006】他方、イオン電導度の高い固体電解質を両
極間に介在させる方法として、 TaO x などから成る薄膜
層を蒸着などにより形成させる方法が知られているが、
この方法においては、続いて電極形成工程が施されるた
め、該薄膜層は電極形成時に劣化が生じるのを免れない
という欠点がある。ところで、高分子多孔性薄膜の空孔
中にイオン導電体を充填して高分子電解質薄膜を作製す
る場合、該イオン導電体の溶媒として、通常プロピレン
カーボネート、ジメトキシエタン、r−ブチロラクト
ン、アセトニトリル、ポリエチレンオキシド、ポリプロ
ピレンオキシドなどが用いられる。しかしながら、これ
らの溶媒はいずれも屈折率(nD 20)が1.48以下であ
り、ポリエチレンやポリプロピレンなどの代表的な高分
子多孔性薄膜の屈折率よりも小さいことから、前記溶媒
を含有するイオン導電体を該多孔性薄膜に充填したもの
をEC素子の電解質として用いる場合、該薄膜に光散乱
が生じるため、このEC素子は表示素子やECウインド
ーなどの光学用途には使用しにくいという問題が生じ
る。また、電解質溶液の蒸発が強いことや化学反応し易
く素子としての安定性に問題がある。したがって、イオ
ン導電体に用いる有機溶媒の選択は極めて重要である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、このよ
うな事情のもとで、屈折率が高分子多孔性薄膜の屈折率
に近く、さらに微調整も可能であり、またイオン伝導性
が高くでき、透明性も高く、常温常圧で蒸気圧が低い電
解質溶媒を用いたエレクトロクロミック素子を提供する
ことを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するために、エレクトロクロミック電極と対向電極と
の間に電解質を介在させて成るエレクトロクロミック素
子において、該電解質として高分子多孔性薄膜の空孔中
にイオン導電体を充填した電解質薄膜を用い、該イオン
導電体が溶媒として(A)DL−2−フェニルブチロニ
トリル及び/又は4−フェニルブチロニトリル、及び
(B)ポリアルキレングリコール又はそのエーテル化合
物、好ましくは更に(C)2,2−ジフェニルプロピオ
ニトリルを含むことを特徴とするエレクトロクロミック
素子を提供する。
【0009】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の
EC素子においては、電解質として、高分子多孔性薄膜
の空孔中にイオン導電体を充填して成る高分子電解質薄
膜が用いられる。この電解質薄膜は全体として固体とし
て取り扱うことができるので、液漏れの心配がなく、し
かもイオン導電性に優れる上、薄膜化が可能であるなど
の長所を有している。
【0010】前記高分子多孔性薄膜としては、通常膜厚
0.1〜50μm、好ましくは1.0〜25μm、空孔率40〜90
%、好ましくは60〜90%、破断強度 200kg/cm2 以上、
好ましくは 500kg/cm2 以上及び平均貫通孔径 0.001〜
1.0μmのものが用いられる。該膜厚が0.1μm未満で
は支持膜としての機械的強度に劣り、かつ取り扱い性が
悪くて実用的でないし、50μmを超えると実効抵抗が高
くなり、好ましくない。該空孔率が40%未満では電解質
としてのイオン導電性が不充分であるし、90%を超える
と支持膜としての機械的強度が低下し、実用的でなくな
る。
【0011】また、該破断強度が 200kg/cm2 未満では
支持膜として実用的でない。さらに、平均貫通孔径につ
いては、空孔中にイオン導電体を固定化しうる孔径であ
ればよく、特に制限されず、高分子薄膜の材質や孔の形
状により適宜選ばれるが、通常 0.001〜1.0μmの範囲
である。本発明で用いる高分子多孔性薄膜は、このよう
にイオン導電体の支持体としての機能をもち、かつ機械
的強度の優れた高分子材料から成っている。このような
高分子材料としては、例えばポリオレフィン、ポリカー
ボネート、ポリエステル、ポリメタクリレート、ポリア
セタール、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデ
ン、ポリテトラフルオロエチレンなどが挙げられるが、
化学的安定性の点から、ポリオレフィン、ポリフッ化ビ
ニリデン及びポリテトラフルオロエチレンが好ましく用
いられる。さらにこれらの中で、多孔構造の形成や薄膜
化の容易さ及び機械的強度の点から、特に重量平均分子
量が5×105 以上の、好ましくは1×106 〜1×107
ポリオレフィンが好適である。
【0012】該ポリオレフィンとしては、例えばエチレ
ン、プロピレン、ブテン−1、4−メチルペンテン−1
などのα−オレフィンの単独重合体又は共重合体から成
る結晶性のポリオレフィン、具体的にはポリエチレン、
ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリ
ブテン−1、ポリ4−メチルペンテン−1などが好まし
く用いられる。これらの中で、特に重量平均分子量が5
×105 以上のポリエチレン及びポリプロピレンが好適で
ある。
【0013】これらの高分子多孔薄膜は、通常、屈折率
が1.48〜1.56程度である。本発明の電解質は特にこのよ
うな屈折率を有する高分子多孔薄膜に好適に使用され
る。本発明の溶媒の屈折率は一般的に 1.500〜1.57の範
囲であり、例えば、DL−2−フェニルブチロニトリル
はnD 20=1.5086、4−フェニルブチロニトリルはnD
20=1.5143、2,2−ジフェニルプロピオニトリルはn
D 20=1.5720である。さらに、本発明では、成分(A)
(B)(C)の混合比及び成分(B)の種類、分子量な
どを変えて溶媒(電解質)の屈折率を微調整することが
可能である。例えば、ポリエチレン微多孔膜を使用する
場合でヘイズ率を3%以下にするためには電解質溶液の
屈折率を1.523 〜1.564 程度にする必要がある。好まし
くは、高分子多孔質薄膜の屈折率との屈折率差が0.01以
下である。
【0014】本発明は、電解液の溶媒として、(A)D
L−2−フェニルブチロニトリル及び/又は4−フェニ
ルブチロニトリル、及び(B)ポリアルキレングリコー
ル又はそのエーテル化合物、好ましくは更に(C)2,
2−ジフェニルプロピオニトリルを含む溶媒を用いるこ
とを特徴としている。電解質の溶媒として上記成分
(A),(B)を用いることにより、支持塩のアルカリ
金属塩等の溶解度が大きく、高いイオン伝導度が得ら
れ、また溶媒の混合比を変えることにより屈折率の調整
が容易であり、化学的にも安定な電解質ができること、
さらに成分(C)を添加することにより屈折率の調節が
さらに容易になり、また電気化学的安定性が増加するこ
とが見い出された。
【0015】DL−2−フェニルブチロニトリルは下記
構造を有する化合物である。
【0016】
【化1】
【0017】2,2−ジフェニルプロピオニトリルは下
記構造を有する化合物である。
【0018】
【化2】
【0019】ポリアルキレングリコール又はそのエーテ
ル化合物は下記一般式で表される化合物である。
【0020】
【化3】
【0021】で表されるポリエーテルとの混合溶媒が用
いられる。前記一般式〔I〕におけるR1 及びR3 は、
それぞれ水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基であ
り、それらは同一であってもよいし、たがいに異なって
いてもよい。該アルキル基としてはメチル基、エチル
基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、
イソブチル基、sec−ブチル基及びt−ブチル基が挙
げられる。R2 は炭素数2〜4のアルキレン基であり、
直鎖状のものであってもよいし、分枝鎖を有するもので
あってもよい。該アルキレン基としてはエチレン基、直
鎖状若しくは分枝鎖を有するプロピレン基及び直鎖状若
しくは分枝鎖を有するブチレン基が挙げられる。また、
このポリエーテルは、1分子中に2種以上のアルキレン
基を有していてもよい。さらにnは1〜100の範囲の
整数である。
【0022】このようなポリエーテルとしては、例えば
ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、
ポリブチレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキ
シプロピレングリコール、ポリオキシエチレンモノメチ
ルエーテル、ポリオキシエチレンジメチルエーテル、ポ
リオキシエチレンモノエチルエーテル、ポリオキシエチ
レンジエチルエーテル、ポリオキシエチレンモノプロピ
ル(n−又はイソ)エーテル、ポリオキシエチレンジプ
ロピル(n−又はイソ)エーテル、ポリオキシプロピレ
ンモノメチルエーテル、ポリオキシプロピレンジメチル
エーテル、ポリオキシプロピレンモノエチルエーテル、
ポリオキシプロピレンジエチルエーテル、ポリオキシプ
ロピレンモノプロピル(n−又はイソ)エーテル、ポリ
オキシプロピレンジプロピル(n−又はイソ)エーテ
ル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンモノメチ
ルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン
ジメチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロ
ピレンモノエチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオ
キシプロピレンジエチルエーテル、ポリオキシエチレン
ポリオキシプロピレンモノプロピル(n−又はイソ)エ
ーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンジプ
ロピル(n−又はイソ)エーテル、ポリオキシエチレン
モノブチル(n−、イソ、sec−又はt−)エーテ
ル、ポリオキシエチレンジブチル(n−、イソ、sec
−又はt−)エーテル、ポリオキシブチレンモノメチル
エーテル、ポリオキシブチレンジメチルエーテルなどが
挙げられるが、もちろんこれらに限定されるものではな
い。これらのポリエーテルは1種用いてもよいし、2種
以上を組み合わせて用いてもよいが、これらの中で、特
にポリオキシエチレンジメチルエーテル、ポリオキシプ
ロピレンジメチルエーテルなどが好適である。
【0023】ポリアルキレングリコール又はそのエーテ
ル化合物の平均分子量は100〜800が適当である。
平均分子量が100より低い場合はエレクトロクロミッ
ク層のサイクル試験が良好でない。また平均分子量が8
00より大きい場合は電解質溶液の低温でのイオン伝導
性が良好でないため、素子の応答性が特に低温で遅くな
いこと及び低温保存下での溶液の塩溶解性が低下するた
め溶質の析出が生ずる。
【0024】これらの成分の混合量としては、成分
(A)は20〜90重量%、成分(B)は1〜30重量
%、成分(C)は20〜65重量%の範囲内が好まし
い。成分(A)が20重量%より少ないとイオン伝導率
が低くなり、90重量%より多いと屈折率が低くなりヘ
イズ率が増大する。成分(B)が1重量%より少ないと
リチウム塩等の電解質物質が融解しにくく、30重量%
より多いと屈折率が小さすぎる。成分(C)が20重量
%より少ないと屈折率が小さく、65重量%より多いと
イオン伝導率が小さく、また電解質が融解しにくい。
【0025】なお、本発明の混合溶媒において、本発明
の目的を損なわない範囲で他の溶媒を混合してもよい。
そのような溶媒としては、例えば、プロピレンカーポネ
ート、ビメトキシエタン、γ−プチロラクトン、アセト
ニトリル、ベンゾニトリル、ベンズアルデヒド、サリチ
ル酸メチル、ベンズアルコール、3−クロロベンズニト
リル、α−トリニトリルなどを1種又は2種以上用いる
ことができる。
【0026】本発明で用いられるイオン導電体の溶質に
ついては、前記溶媒に可溶な電解質であればよく、特に
制限されず、例えばアルカリ金属塩、アルカリ土類金属
塩、プロトン酸などが用いられる。これらの溶質の陰イ
オンとしては、例えばハロゲンイオン、硫酸イオン、リ
ン酸イオン、過塩素酸イオン、チオシアン酸イオン、ト
リフッ化メタンスルホン酸イオン、ホウフッ化イオンな
どが挙げられる。該溶質の具体例としては、フッ化リチ
ウム、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、過塩素酸リ
チウム、チオシアン酸ナトリウム、トリフッ化メタンス
ルホン酸リチウム、ホウフッ化リチウム、ヘキサフッ化
リン酸リチウム、リン酸、硫酸、トリフッ化メタンスル
ホン酸、テトラフッ化エチレンスルホン酸、ヘキサフッ
化ブタンスルホン酸などが挙げられ、これらは1種用い
てもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0027】イオン導電体の溶質は2〜18重量%の範
囲内が好ましい。イオン導電体の溶質が2重量%より少
ないとイオン伝導率が小さくなり、18重量%より多い
と塩が溶解しにくく、かつ膜への含浸がしにくい。高分
子多孔性薄膜の空孔に、前記イオン導電体を充填する方
法については、特に制限はなく、例えば浸漬、塗布、ス
プレーなどの方法の中から任意の方法を選択して用いる
ことができる。
【0028】本発明のEC素子はこのようにして得られ
た空孔中にイオン導電体を充填して成る高分子多孔性薄
膜を、EC電極と対向電極との間に介在させたものであ
って、該EC電極は、透明電極基板上にEC層を設ける
ことにより製造することができる。また、透明電極基板
としては、通常ガラス板や透明フィルムなどの透明基板
上に、酸化インジウムスズや酸化スズなどの透明導電膜
を有するものが用いられる。
【0029】次に、本発明EC素子の1例について添付
図面に従って説明すると、図1は反射型表示素子として
用いる場合の本発明EC素子の1例の断面図であって、
基板1上に、対向電極2、背景板3、高分子電解質薄膜
4、EC電極を構成するEC層5と透明導電膜6、及び
透明基板7が順次積層された構造を示す。この表示素子
は反射モードであるので、基板1は必ずしも透明体であ
る必要がなく、不透明板であってもよい。
【0030】対向電極2は水素や酸素の発生が少なく、
かつ電気化学的酸化還元反応に対して可逆性の良い電気
容量の大きな材料が用いられる。このような材料として
は、例えばカーボン、遷移金属化合物とカーボンとの複
合材、金属酸化物とカーボンとの複合材などが挙げられ
る。この対向電極2の厚さは、通常1000Åないし10μm
の範囲で選ばれる。
【0031】背景板3は、通常白色背景材、例えばアル
ミナ粉末をバインダーとともに混練してシート成形した
ものなどが用いられるが、対向電極2が兼ねることも可
能である。高分子電解質薄膜4としては、前記のように
して調製された空孔中にイオン導電体を充填して成る高
分子多孔性薄膜が用いられる。EC層5に用いられるE
C材料は、還元着色するカソーディック材料と酸化着色
するアノーディック材料の2種類に大別することができ
るが、ここでは代表的な還元着色材であるWO3 を用い
る。このWO3 は、例えば電解質からH+ ,Li +などイ
オン半径の小さなカチオンと電源から電子が注入される
と青色に着色してくる。プロトン酸及びリチウム塩を電
解質として用いた場合を例にすると、それぞれ WO3 (無色)+xH+ +xe- = HWO3 (青色) WO3 (無色)+xLi+ +xe- = Lix WO
3 (青色) で示される反応を行う。この反応は可逆的であるが Hx
WO3 又はLix WO3 の状で電源回路を開放すると、青色
(還元状態)は長時間保持される。このような還元着色
剤としては、該WO3 のほか、例えばMoO3,MoS3,V2O5
MgWO4 ,TiO2,W4O6(C2O4)xなどを用いることができ
る。
【0032】このEC層5は 500〜1500Å程度の厚さで
あり、透明導電膜6上に形成される。透明導電膜6は集
電電極であり、通常酸化インジウムスズや酸化スズなど
で形成され、その厚さは一般的に1000〜5000Å程度であ
る。この透明導電膜6は透明基板7上に形成されるが、
基板7は反射モードであるので透明でなければならな
い。
【0033】EC層5と透明導電膜とで構成されるEC
電極と対向電極2との間に電圧を印加するが、WO3 の還
元時には負の電圧を通常1.3〜1.9V程度印加すればよ
い。本発明のエレクトロクロミック素子は図1の反射型
表示素子のほか、透過型調光素子等としても応用でき
る。
【0034】
【実施例】
(例1)高分子多孔性薄膜の製造 重量平均分子量(Mw)2×106 のポリエチレン4.0重量
%を含む流動パラフィン(64cSt /40℃)混合液 100重
量部に2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール 0.125
重量部とテトラキス(メチレン−3−(3,5−ジ−t
−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネー
ト)メタン0.25重量部を、酸化防止剤として加えて混合
した。この混合液を攪拌機付のオートクレーブに充填
し、 200℃まで加熱して90分間攪拌し均一な溶液とし
た。
【0035】この溶液を加熱した金型に充填し、50℃ま
で急冷してゲル状シートを得た。このゲル状シートを塩
化メチレン中に60分間浸漬したのち、平滑板にはり付け
た状態で塩化メチレンを蒸発乾燥し、原反シートを得
た。得られた原反シートそれぞれを 115〜 130℃の温度
で同時二軸延伸を行い、得られた延伸膜を塩化メチレン
で洗浄して残留する流動パラフィンを抽出除去した後、
乾燥して多孔性薄膜を得た。
【0036】ポリエチレン多孔性薄膜の膜厚20μm、空
孔率60%、平均孔径 200Å及び屈折率1.540 であった。エレクトロクロミック素子の製造 イオンプレーティングでITO(酸化インジウム/酸化
錫)を1600Å厚製膜した100 mm角、1.1mm 厚のノンアル
カリガラス上にNiアルコキシドNi(OC2H4OEt)2のトルエ
ン溶液 0.9mol/kgを1次回転数700 回/分、2次回転数
1600回/分でスピンコートし、昇温速度1℃/分で350
℃まで加熱後、3保持し、1℃で降温し、3500Å厚の酸
化ニッケルエレクトロクロミック電極を得た。
【0037】イオンプレーティングでITOを1600Å厚
製膜した100 mm角、1.1mm 厚のノンアルカリガラス上に
酸化タングステン(高純度化学製)を3600Å厚にイオン
プレッティングして、酸化タングステン電極を得た。二
軸延伸して得た25μm 厚のポリエチレン微多孔膜(空孔
率56%)にDL−2−フェニルブチロニトリル38重量
%、2,2−ジフェニルプロピオニトリル38重量%、ポ
リエチレングリコールジメチルエーテル19重量%、過塩
素酸リチウム5重量%からなる電解質溶液(電解質溶液
A)を真空含浸させて固体高分子電解質薄膜を作製し
た。
【0038】電極Iと電極IIの間に上記固体高分子電解
質薄膜を挟み、エポキシ接着剤でシールしてエレクトロ
クロミック素子を製作した。酸化タングステン電極/酸
化ニッケル間に−1.2 V及び+1.2 Vのステップ電圧
(各10秒間)を印加するステップサイクルを100 回行っ
た後、測定した注入電荷量は2.7mC/cmであった。
【0039】また、このエレクトロクロミック素子の2
極式サイクリックポルタモグラムを−1.2 V及び+1.2
Vの電圧(各20秒間)で測定した結果、電流量は消色サ
イドで最大 567μA が得られ、酸化ニッケル側に0.2 V
印加することで注入した電荷量は完全に放出可能であっ
た。電解質溶液の特性測定 上記と同じ組成のDL−2−フェニルブチロニトリル38
重量%、2,2−ジフェニルプロピオニトリル38重量
%、ポリエチレングリコールジメチルエーテル19重量
%、過塩素酸リチウム5重量%からなる電解質溶液(電
解質溶液A)と、DL−2−フェニルブチロニトリル28
重量%、2,2−ジフェニルプロピオニトリル48重量
%、ポリエチレングリコールジメチルエーテル19重量
%、過塩素酸リチウム5重量%からなる電解質溶液(電
解質溶液B)について、屈折率とイオン伝導率を測定し
た。
【0040】イオン伝導率の測定は複素インピーダンス
法(掃引周波数0.1 〜100kHz) で2枚の平行白金黒電極
よりなる伝導度セルを用いたコールコールプロットから
評価した。その結果を表1に示す。イオン伝導度のレベ
ルは4〜6×10-4S/cmであった。 透明性測定 2枚のガラス板(厚さ 1.1mm)を重ねて光透過率及びヘ
イズ率を測定したところ、それぞれ 92.60%及び1.17%
であった。
【0041】上記と同じ組成の電解液をポリエチレン微
多孔膜(空孔率54%、厚さ25μm)の空孔中に含浸した
固体高分子電解質膜を作成し、この電解質膜を上記のガ
ラス板の間に挾持して透過率及びヘイズ率を測定したと
ころ、それぞれ92.11 %及び2.83%であった。 (例2)例1と同様にして、4−フェニルブチロニトリ
ル57重量%、2,2−ジフェニルプロピオニトリル19重
量%、ポリエチレングリコールジメチルエーテル(分子
量 250)19重量%、過塩素酸リチウム5重量%からなる
電解質溶液を作成し、屈折率及びイオン伝導度を測定し
た。結果は下記の通りであった。
【0042】屈折率(20℃) 1.5143 屈折率(25℃) 1.5166 イオン伝導度 1.17mS/cm (例3)例1と同様にして、4−フェニルブチロニトリ
ル85.5重量%、ポリエチレングリコールメチルエーテル
9.5重量%及び過塩素酸リチウム5重量%からなる電解
質溶液を作成し、屈折率とイオン伝導度を測定した。結
果は下記の通りであった。
【0043】屈折率(20℃) 1.5088 屈折率(25℃) 1.5103 イオン伝導度 0.99mS/cm
【0044】
【発明の効果】本発明によれば、電解質の溶媒として
(A)DL−2−フェニルブチロニトリル及び/又は4
−フェニルブチロニトリル、及び(B)ポリアルキレン
グリコール又はそのエーテル化合物、好ましくは更に
(C)2,2−ジフェニルプロピオニトリルを用いるこ
とにより、屈折率が高分子多孔性薄膜の屈折率に近く、
さらに微調整も可能であり、またイオン伝導性が高くで
き、透明性も高く、常温常圧で蒸気圧が低い電解質溶媒
を用いたエレクトロクロミック素子を提供することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、反射型表示素子として用いる場合の本
発明EC素子の1例の断面図である。
【符号の説明】
1…基板 2…対向電極 3…背景板 4…高分子電解質薄膜 5…EC層 6…透明導電膜 7…透明基板
フロントページの続き (72)発明者 櫻田 智 埼玉県入間郡大井町西鶴ヶ岡1丁目3番1 号 東燃株式会社総合研究所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エレクトロクロミック電極と対向電極と
    の間に電解質を介在させて成るエレクトロクロミック素
    子において、該電解質として高分子多孔性薄膜の空孔中
    にイオン導電体を充填した電解質薄膜を用い、該イオン
    導電体が溶媒として(A)DL−2−フェニルブチロニ
    トリル及び/又は4−フェニルブチロニトリル及び
    (B)ポリアルキレングリコール又はそのエーテル化合
    物を含むことを特徴とするエレクトロクロミック素子。
  2. 【請求項2】 前記イオン導電体が溶媒として更に
    (C)2,2−ジフェニルプロピオニトリルを含む請求
    項1記載のエレクトロクロミック素子。
JP2570293A 1992-12-28 1993-02-15 エレクトロクロミック素子 Pending JPH06242473A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002526801A (ja) * 1998-10-06 2002-08-20 バイエル アクチェンゲゼルシャフト プロトンによりエレクトロクロミック的に切り替わるポリ−(3,4−ジオキシチオフェン)誘導体に基く装置
KR100765120B1 (ko) * 2005-01-13 2007-10-08 주식회사 엘지화학 광산란이 감소된 전기변색 장치 및 그 제조방법

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2002526801A (ja) * 1998-10-06 2002-08-20 バイエル アクチェンゲゼルシャフト プロトンによりエレクトロクロミック的に切り替わるポリ−(3,4−ジオキシチオフェン)誘導体に基く装置
JP4759139B2 (ja) * 1998-10-06 2011-08-31 エイチ・シー・スタルク・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシュレンクテル・ハフツング プロトンによりエレクトロクロミック的に切り替わるポリ−(3,4−ジオキシチオフェン)誘導体に基く装置
KR100765120B1 (ko) * 2005-01-13 2007-10-08 주식회사 엘지화학 광산란이 감소된 전기변색 장치 및 그 제조방법

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