JPH06238289A - 生物活性炭ろ過装置の洗浄装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明は、生物活性炭表面での微生物繁殖が進
みすぎて水中の溶存酸素の不足による塔内の嫌気化を防
ぎ、塔内微生物の活性を保つとともに、アンモニアの発
生を防止する生物活性炭ろ過装置を提供することにあ
る。 【構成】本発明は、粒状活性炭を収納した生物活性炭ろ
過槽によって水処理を行う生物活性炭ろ過装置の洗浄装
置において、前記生物活性炭ろ過槽からのろ過水の溶存
酸素を測定するセンサーと、前記センサーの測定値がろ
過水の溶存酸素の設定値以下になったことを条件に空気
洗浄時間を通常より長く制御するコントローラとを備え
ているので、生物活性炭表面の微生物量を適正な量に保
ち溶存酸素不足による塔内の嫌気化を防ぐとともに塔内
の微生物の活性を保ち、アンモニアの発生を防止でき
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は微生物の繁殖した粒状活
性炭によって水処理を行う生物活性炭ろ過装置の洗浄装
置に関する。

【０００２】

【従来の技術】粒状活性炭固定床方式と呼ばれる従来の
生物活性炭ろ過装置は、粒状活性炭を充填して活性炭層
を形成したろ過塔やろ過槽に被処理水を通過させること
によって水処理するろ過装置である。このような活性炭
層では、酸素の豊富な好気的環境が保たれ、水中の溶存
酸素により活性炭粒子の周りに好気性微生物が繁殖し、
この微生物により水中の有機物分解を図っている。この
ような生物活性炭ろ過装置では、通水時間の経過に伴い
被処理水中の懸濁物質が活性炭ろ過層に捕捉されるに従
い、活性炭ろ過層の圧損が増大するため、圧損上昇を検
知した場合または一定の通水時間が経過した場合に、空
気及び水による洗浄によって通水性を確保している。こ
のような洗浄により活性炭粒子の周りの微生物層も一部
洗い落とされるため活性炭ろ過層内の微生物量は、ある
程度適量に保たれることになる。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところで、生物活性炭
ろ過装置は、被処理水の温度や栄養分等の微生物生育条
件によっては、活性炭粒子表面の微生物の繁殖が異常に
進むことがある。このように微生物の繁殖が異常に進む
と、水中の溶存酸素の消費が大きくなり、水中の溶存酸
素が不足し、一部の微生物が死ぬことによってアンモニ
アが発生し、その結果ろ過水の水質悪化を招くという問
題がある。

【０００４】また、微生物が異常に繁殖した結果、活性
炭層内では、食物連鎖により細菌、原生動物の他に、輪
虫類、線虫類、貧毛類等の後生動物が繁殖してくること
になる。それらの繁殖が進むと、活性炭粒子の周りの微
生物層が厚くなり過ぎて剥離したり、運動性の高い後生
動物が自力でろ過層の下に這い出してくることにより、
処理水中への漏出が生じる。処理水は、後塩素で消毒し
ているが、後生動物の中には、通常の塩素消毒では不活
性化できないものがあったり、後生動物が細菌やウィル
スのキャリアとなって消毒が不完全となったりして、衛
生上の問題や飲料水としての美観を損なったりするとい
う問題がある。

【０００５】本発明は上記事情に鑑みてなされたもの
で、その目的は生物活性炭表面での微生物繁殖が進みす
ぎて水中の溶存酸素の不足による塔内の嫌気化を防ぎ、
塔内微生物の活性を保ちアンモニアの発生を防止すると
共に、生物活性炭ろ過装置の活性炭ろ過層内での後生動
物の繁殖を抑制し、処理水中への漏出を防止することに
より処理水の微生物汚染を回避し、給水の美観と衛生面
を確保する生物活性炭ろ過装置の洗浄装置を提供するこ
とにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の請求項１は、は粒状活性炭を収納した生物
活性炭ろ過槽によって水処理を行う生物活性炭ろ過装置
の洗浄装置において、前記生物活性炭ろ過槽からのろ過
水の溶存酸素を測定するセンサーと、前記センサーの測
定値がろ過水の溶存酸素の設定値以下になったことを条
件に空気洗浄時間を通常より長く制御するコントローラ
とを備えたことを特徴とする。また、請求項２は、粒状
活性炭を収納した生物活性炭ろ過槽によって水処理を行
う生物活性炭ろ過装置の洗浄装置において、オゾン発生
装置と、前記オゾン発生装置からのオゾン化空気を洗浄
空気ラインへ送り込む配管及び弁と、前記オゾン発生装
置からのオゾン化空気を洗浄水ラインへ送り込む配管・
弁及びエゼクタと、活性炭層内の残留溶存オゾンを検出
する溶存オゾンセンサーと、逆洗時のオゾン化空気注入
を自動で行うための洗浄工程シーケンス制御用コントロ
ーラとを備えたことを特徴とする。さらに請求項３は、
粒状活性炭を収納した生物活性炭ろ過槽によって水処理
を行う生物活性炭ろ過装置の洗浄装置において、生物活
性炭ろ過槽と、オゾン発生装置と、オゾン充てん容器と
セラミックフィルタと、処理槽と排オゾン分解塔とを備
え、前記生物活性炭ろ過槽から排出されたろ過水を前記
オゾン発生装置で発生したオゾン化空気により前記セラ
ミックフィルタで混合した後処理槽に流入し、さらに逆
洗タイプのストレーナによって死滅した微生物を除去す
ることを特徴とする。

【０００７】

【作用】本発明の請求項１の生物活性炭ろ過装置の洗浄
装置によると、生物活性炭表面の微生物量を適正な量に
保ち溶存酸素不足によるろ過装置内の嫌気化を防ぐとと
もにろ過装置内の微生物の活性を保ち、アンモニアの発
生を防止できるので、生物活性炭処理性能が安定化す
る。また、本発明の請求項２によると、微生物の増殖の
速さ表わす倍加時間は、細菌３３分，原生動物５〜１０
時間，後生動物２．３日といわれているため後生動物を
増殖させない洗浄周期は１０時間〜２日の範囲の周期で
洗浄を行うものとする。洗浄工程を起動すると、まずオ
ゾン化空気を注入しながら空気洗浄を行い、溶存オゾン
が設定値以上になったらオゾン化空気の注入を停止す
る。次に、オゾン化空気を注入しながら水洗浄を行い、
溶存オゾンが設定値以上になったらオゾン化空気の注入
を停止する。空気洗浄時のオゾン注入もしくは水洗浄時
のオゾン注入については、いずれか一方をコントローラ
内の設定変更により休止させている。さらに、請求項３
によると、セラミックフィルタを通して生物活性炭ろ過
水へ導入されるオゾン化空気によって漏出微生物の不活
性化が図られ、自動逆洗タイプストレーナによって、間
断なく処理水を送水しながら漏出微生物を除去し、洗浄
水は原水槽へ戻すことができる。

【０００８】

【実施例】以下、本発明の実施例を図を参照して説明す
る。図１は本発明の一実施例の構成図である。同図にお
いて、１は生物活性炭２及び支持材３を充填してある生
物活性炭ろ過槽である。４はろ過水の溶存酸素を測定す
る溶存酸素センサー、５はろ過層の圧力損失上昇を検知
するろ過層圧損センサー、６は被処理水槽１１の水を生
物活性炭ろ過槽１へ送る移送ポンプ、７は処理水槽１２
の水を用いて生物活性炭ろ過槽１を洗浄する洗浄ポン
プ、８はろ過水を通すろ過弁、９は洗浄工程の最初に洗
浄用の空気を通す空洗弁、１０は空気による洗浄に引き
つづき、水による洗浄を行なう際に洗浄水を通す水洗
弁、１３は洗浄空気源用のコンプレッサ、１４はコント
ローラである。

【０００９】次に、本実施例の作用を図２のフローチャ
ートにより説明する。まず、コントローラ１４により活
性炭ろ過層の圧力損失上昇、一定時間通水継続またはろ
過水溶存酸素減少を検知すると、洗浄工程が起動される
が、ろ過水溶存酸素減少を検知した場合は、空洗（空気
洗浄）時間の延長を行い、さらに水洗よりなる洗浄工程
を実施する。一方、活性炭ろ過層の圧力損失上昇や一定
時間通水継続では、通常の空洗と水洗よりなる洗浄工程
を実施する。

【００１０】本実施例によると、ろ過水の溶存酸素が減
少した場合、活性炭ろ過層の圧力損失上昇や一定時間通
水継続した場合よりは時間を延長した空洗が実施される
ので、余分に増殖した微生物をはがし取り、ひきつづき
行われる水洗によって洗い流すことができる。したがっ
て、生物活性炭表面の微生物量を適正な量に保ち、溶存
酸素不足による微生物の死を防止するとともにろ過槽内
の嫌気化を防ぎ、ろ過槽内の微生物の活性を保ち、アン
モニアの発生を防止できる。

【００１１】図３は本発明の他の実施例の構成図であ
る。同図において、１は生物活性炭２及び支持材３を充
填してある生物活性炭ろ過槽である。６は被処理水槽１
１の水を生物活性炭ろ過槽１へ送る移送ポンプ、７は処
理水槽１２の水を用いて生物活性炭ろ過槽１を洗浄する
洗浄ポンプ、８はろ過水を通し処理水槽１２へ流すため
のろ過弁、９は洗浄工程の最初に洗浄用の空気を通す空
洗弁、１０は空気による洗浄に引きつづき，水による洗
浄を行なう際に洗浄水を通す水洗弁である。１３は洗浄
空気源用のコンプレッサ、１４は洗浄工程自動シーケン
ス制御を行うコントローラである。１６はオゾン発生装
置１５からのオゾン化空気を空気洗浄時に洗浄用空気に
混入するためのオゾン空洗弁、１７はオゾン化空気の流
量を調節する手動弁である。１８はオゾン発生装置１５
からのオゾン化空気を水洗浄時に洗浄水に混入するため
のエゼクタ、１９はその際に開きオゾン化空気を流すた
めのオゾン水洗弁、２０はオゾン化空気の流量を調節す
る手動弁である。２１は溶存オゾンセンサーである。

【００１２】次に、本実施例の作用を図４のフローチャ
ートにより説明する。洗浄工程は、水抜，空洗，水洗，
沈静工程よりなる。今、コントローラ内部の洗浄タイマ
（設定値例：４８時間）がカウントアップすると、まず
水抜工程に入り、一定時間水抜弁を開き、生物活性炭ろ
過槽１内の水位を下げる。次に、空洗工程に入りオゾン
空洗弁１６および空洗弁９を開き、一定時間空気洗浄を
行う。空気洗浄中に、溶存オゾンセンサー２１で検知し
た溶存オゾンが設定値以上になった場合は、オゾン空洗
弁１６を閉じる。

【００１３】次に、水洗工程に入りオゾン水洗弁１９お
よび水洗弁１０を開き、洗浄ポンプ７を運転し、一定時
間水洗浄を行う。水洗浄中に溶存オゾンセンサー２１で
検知した溶存オゾンが設定値以上になった場合は、オゾ
ン水洗弁１９を閉じる。

【００１４】水洗完了後は、沈静工程に入り、一定時間
ろ過弁を開き、生物活性炭ろ過槽１内の水位を洗浄後の
初期水位まで下げる。沈静後、移送ポンプ６を運転し、
ろ過運転を再開する。

【００１５】本実施例によると、後生動物の倍加時間以
内でオゾンを含む洗浄空気及びオゾンを含む洗浄水で洗
浄しているため効果的に後生動物の増殖を抑制すること
ができ、処理水への後生動物の漏出を防止することがで
きる。

【００１６】図５は、本発明のさらに他の実施例の構成
図であり、図６は図５のＡ−Ａ千に槽断面図である。こ
れらの図において、１は生物活性炭２を充てんしてある
生物活性炭ろ過槽、１５はオゾン発生装置、２２はオゾ
ン発生装置１５からのオゾン化空気を充てんするオゾン
充てん容器、２３はオゾン化空気を水中へ細かい気泡と
して導入するためのセラミックフィルタ、２４は処理水
槽、２５は残ったオゾンを分解するための排オゾン分解
塔、２６は処理水送水ポンプ、２７は自動逆洗タイプス
トレーナ、２８は自動逆洗タイプストレーナ２７からの
逆洗排水を原水槽へ戻すための逆洗排水戻り配管、２９
は原水槽である。

【００１７】次に、本実施例の作用を説明する。生物活
性炭ろ過槽１からのろ過水はセラミックフィルタ２３の
内側を処理水槽２４へ向かって移動する。一方、オゾン
充てん容器２２内で圧力のかかったオゾン化空気はセラ
ミックフィルタ２３を通って、気泡として水中へ押し出
されるとともに、オゾン化空気と直角方向に移動するろ
過水によって切り取られることにより、細かい気泡のま
ま処理水槽２４へ送られ、水中への溶解が促進される。
処理水槽２４で溶解しきれずに水面まで上昇したオゾン
化空気は、排オゾン分解塔２５によって分解され、無害
なものとして大気中へ放出される。生物活性炭ろ過水中
に漏出した微生物は、水中に溶けたオゾンによって死滅
する。

【００１８】さらに、処理水送水ポンプ２６によって送
られる処理水が自動逆洗タイプストレーナ２７を通る際
に、目に見える微生物の死骸は全て除去される。また、
自動逆洗タイプストレーナ２７の出側水の一部は逆洗水
として使用され、逆洗水によって自動逆洗タイプストレ
ーナ２７に引掛かった固形物は洗い落とされ、その洗浄
排水は、逆洗排水戻り配管２８を通して原水槽２９へ送
られる。この間、給水はとぎれることなく送水される。

【００１９】本実施例によると、生物活性炭ろ過水中に
導入されたオゾンによって、生物活性炭ろ過水中に漏出
した微生物を死滅させるとともに、自動逆洗タイプスト
レーナ９によって目に見える微生物の死骸は全て除去
し、給水の美観と衛生面を確保することができる。

【００２０】

【発明の効果】以上説明したように、本発明の生物活性
炭ろ過装置の洗浄装置によると、生物活性炭表面の微生
物量を適正な量に保ち、溶存酸素不足による微生物の死
を防止するとともにろ過装置内の嫌気化を防いで、ろ過
装置内微生物の活性を保ち、アンモニアの発生を防止で
きるので、生物活性炭処理性能が安定化する。また、オ
ゾンを利用した洗浄により後生動物の増殖を効果的に抑
制し、処理水への後生動物の漏出を防止することができ
る。さらに、生物活性炭ろ過水中に漏出してくる微生物
があれば、それを死滅させると共に死骸を除去し、給水
の美観と衛生面を確保することができる。しかも、消毒
剤としてオゾンを使用することにより、他の薬品に見ら
れるような多量投入による異臭味を生じることはなく、
快適な飲料水を給水できる、という優れた効果を奏す
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例の構成図。

【図２】図１の作用を説明するためのフローチャート。

【図３】本発明の他の実施例の構成図。

【図４】図３の作用を説明するためのフローチャート。

【図５】本発明のさらに他の実施例の構成図。

【図６】図５のＡ−Ａ線に沿う断面図。

【符号の説明】

１…生物活性炭ろ過槽、２…生物活性炭、３…支持材、
４…溶存酸素センサー、５…ろ過層圧損センサー、６…
移送ポンプ、７…洗浄ポンプ、８…ろ過弁、９…空洗
弁、１０…水洗弁、１１…被処理水槽、１２…処理水
槽、１３…コンプレッサ、１４…コントローラ、１５…
オゾン発生装置、１６…オゾン空洗弁、１７…オゾン流
量調節用手動弁（空洗用）、１８…エゼクタ、１９…オ
ゾン水洗弁、２０…オゾン流量調節用手動弁（水洗
用）、２１…溶存オゾンセンサー、２２…オゾン充てん
容器、２３…セラミックフィルタ、２４…処理水槽、２
５…排オゾン分解塔、２６…処理水送水ポンプ、２７…
自動逆洗タイプストレーナ、２８…逆洗排水戻り配管、
２９…原水槽。

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 粒状活性炭を収納した生物活性炭ろ過槽
   によって水処理を行う生物活性炭ろ過装置の洗浄装置に
   おいて、前記生物活性炭ろ過槽からのろ過水の溶存酸素
   を測定するセンサーと、前記センサーの測定値がろ過水
   の溶存酸素の設定値以下になったことを条件に空気洗浄
   時間を通常より長く制御するコントローラとを備えたこ
   とを特徴とする生物活性炭ろ過装置の洗浄装置。
2. 【請求項２】 粒状活性炭を収納した生物活性炭ろ過槽
   によって水処理を行う生物活性炭ろ過装置の洗浄装置に
   おいて、オゾン発生装置と、前記オゾン発生装置からの
   オゾン化空気を洗浄空気ラインへ送り込む配管及び弁
   と、前記オゾン発生装置からのオゾン化空気を洗浄水ラ
   インへ送り込む配管・弁及びエゼクタと、活性炭層内の
   残留溶存オゾンを検出する溶存オゾンセンサーと、逆洗
   時のオゾン化空気注入を自動で行うための洗浄工程シー
   ケンス制御用コントローラとを備えたことを特徴とする
   生物活性炭ろ過装置の洗浄装置。
3. 【請求項３】 粒状活性炭を収納した生物活性炭ろ過槽
   によって水処理を行う生物活性炭ろ過装置の洗浄装置に
   おいて、生物活性炭ろ過槽と、オゾン発生装置と、オゾ
   ン充てん容器とセラミックフィルタと、処理槽と排オゾ
   ン分解塔とを備え、前記生物活性炭ろ過槽から排出され
   たろ過水を前記オゾン発生装置で発生したオゾン化空気
   により前記セラミックフィルタで混合した後処理槽に流
   入し、さらに逆洗タイプのストレーナによって死滅した
   微生物を除去することを特徴とする生物活性炭ろ過装置
   の洗浄装置。