JPH0623557Y2 - 連続溶融メツキ装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、連続溶融メッキプロセスにおいて、たとえば
ＺｎメッキからＺｎ−Ａｌ合金メッキのような異種メッ
キ金属のメッキへ容易に切り替えることができる連続溶
融メッキ装置に関する。

（従来の技術） ストリップ或はワイヤの連続溶融メッキは、一般に、酸
洗工程等の前処理工程で表面を清浄にされた材料を連続
的にメッキ金属浴内に通過させ、メッキ金属が過剰に材
料表面に付着した場合は、空気、不活性ガス等のジェッ
トによってメッキ金属を吹拭して所定のメッキ金属付着
量となるように調整するプロセスによってなされてい
る。

このような連続溶融メッキプロセスとして、たとえば実
公昭59−19721号公報或いは実公昭60−36593号公報に開
示されているような、酸化炉および還元炉を溶融金属メ
ッキ槽の前段に設けたゼンジミア式連続溶融メッキプロ
セスが知られまた、広く採用されている。ゼンジミア式
連続メッキプロセスは、均一なメッキ製品を多量生産す
るのに適したプロセスである。

一方、最近自動車用素材或は建築用材料として、一段と
耐食性に優れた溶融メッキ鋼板が要求されるようにな
り、従来Ｚｎ単一メッキからたとえばＺｎ−Ａｌ合金メ
ッキ、Ｚｎ−Ｎｉ合金メッキ、Ｚｎ−Ｍｎ合金メッキさ
らには、これら合金メッキを積層した複層メッキを施し
た各種のメッキ鋼板が開発され、製品化されて市場に供
給されている。

しかしながら、前記ゼンジミア式連続溶融メッキプロセ
スにおいては、１基の溶融金属メッキ槽で各種のメッキ
鋼板を製造するため、従来、現用の溶融メッキ金属を溶
融金属メッキ槽から汲み出した後、新たに異種金属地金
を溶融金属メッキ槽に装入しつつ溶解し、所定の組成の
メッキ金属に切り替える作業をメッキ金属組成が変更さ
れる度ごとに行っていた。このようなメッキ金属組成の
切り替えには長時間を要し、この間メッキ作業が中断さ
れてラインの操業率を低下せしめ多量生産における隘路
となっている。

（考案が解決しようとする課題） 本考案は、異種合金メッキ作業へ切り替えるに際し、既
存の連続溶融メッキラインを大きく改造することなくま
た、大きなスペースを要することなくメッキ金属の切り
替えを短時間で行い、メッキ金属の切り替えに起因する
連続メッキラインの休止時間を大きく短縮することを、
考案における技術的課題としている。

（課題を解決するための手段） 本考案は、連続して走行する鋼ストリップを前処理して
溶融メッキする連続溶融メッキラインにおいて、溶融金
属メッキ槽中の溶融メッキ金属を受納する可動（可搬）
式溶融金属受入槽と、槽壁にヒータを内蔵する可動（可
搬）式溶融金属溶解槽を付帯せしめた構成によって特徴
づけられる。

以下、本考案を図面を参照しながら詳細に説明する。

(1)は連続焼鈍炉（或は連続焼ならし炉）である。連続
焼鈍炉(1)は、予熱酸化炉(2)および還元焼鈍炉(3)から
構成されている。

(4)は鋼およびストリップであって、炭素鋼板、ステン
レス鋼板等メッキされる鋼のストリップである。(5)は
溶融金属メッキ槽であり、鋼ストリップの走行ライン内
に設けられまた、側壁および／または底壁にヒータが付
設され、Ｚｎ、Ａｌ等の溶融メッキ金属(6)を収納す
る。

(8)はスナウトであって、その上端は連続焼鈍炉(1)の鋼
ストリップ出側に接続されまた、下端は溶融金属メッキ
槽(5)内の溶融メッキ金属中に浸漬する如く設けられ
る。(9)はハースローである。(10)はターンロールであ
り、溶融金属メッキ槽(5)内の溶融メッキ金属中に位置
する如く架設される。即ち、表面清浄処理された鋼スト
リップ(4)が、連続焼鈍炉(1)から溶融金属メッキ槽(5)
内の溶融メッキ金属中を通過しメッキされる如く構成さ
れる。

(11)は可動（可搬）式溶融金属受入槽である。可動（可
搬）式溶融金属受入槽(11)は、溶融金属メッキ槽(5)内
の溶融メッキ金属を受納すべく機能し、吊上げ式或は台
車式等で移動または搬送可能に構成される。また、可動
（可搬）式溶融金属受入槽(11)の側壁には、必要に応じ
てヒータ(12)が設けられる。

(13)は可動（可搬）式メッキ金属溶解槽であって、側壁
および／または底壁にヒータを内蔵し、吊上げ式或は台
車式等で移動または搬送可能に構成される。(15)は溶融
メッキ金属排出孔であり、必要に応じて可動（可搬）式
メッキ金属溶解槽(13)の底部に設けられる。(16)は開閉
弁であって、溶融メッキ金属排出孔(15)に設けられる。

而して、前述のように構成された連続溶融メッキ装置に
おいては、溶融金属メッキ槽(5)におけるメッキ金属浴
中に鋼ストリップ(4)を連続的に通過させることによっ
て溶融メッキが遂行される。

処で、たとえばＺｎ或はＡｌという単一金属メッキから
Ｚｎ−Ｎｉ或はＺｎ−Ｍｎといった異種金属メッキに切
り替える必要が生じた場合は、溶融メッキ金属槽(5)内
のＺｎ或はＡｌといった溶融メッキ金属をポンプまたは
該槽底部に設けた排出孔から可動式溶融金属受入槽(11)
に排出し、しかる後可動式溶融金属溶解槽(13)で予め地
金を溶解し所定のメッキ金属組成に調整しておいたＺｎ
−Ｎｉ或はＺｎ−Ｍｎといった異種溶融メッキ金属を溶
融メッキ金属槽(5)にたとえば樋を介して供給する。そ
の後、Ｚｎ−Ｎｉ或はＺｎ−Ｍｎといった異種溶融メッ
キ金属浴中に鋼ストリップ(4)を通過させて溶融メッキ
する。なお、本考案において、メッキ金属の溶解や搬送
に際しては、槽に蓋を設けて熱放散を防ぐのが良い。

（実施例） 連続式溶融亜鉛メッキラインにおけるメッキ槽内から85
トンの溶融亜鉛を汲み出して可動（可搬）式溶融金属受
入槽に移し他方、可動（可搬）式の異種メッキ金属溶解
槽において溶解および組成を調整した同量の別種の亜鉛
を溶融金属メッキ槽に供給しメッキ金属の交換を行っ
た。メッキ金属交換のためのライン休止時間を比較して
表に示す。

表から明らかなように、本考案によれば、メッキ金属の
交換時間を大幅に短縮することができる。

（考案の効果） 以上の説明から明らかな如く、本考案により大規模な設
備改造或は大きなスペースを要することなく、連続溶融
亜鉛メッキラインにおける生産品種の切り替えを、極め
て短時間に行うことが可能となり、ライン休止を大幅に
短縮化することができ、設備生産性を大きく向上せしめ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案の一実施例を示す図である。 １：連続焼鈍炉（または連続焼ならし炉）、２：予熱酸
化炉、３：還元焼鈍炉、４：鋼ストリップ、５：溶融金
属メッキ槽、６：溶融メッキ金属、７：ヒータ、８：ス
ナウト、９：ハースロール、１０：ターンロール、１
１：可動式溶融金属受入槽、１２：ヒータ、１３：可動
式異種メッキ金属溶解槽、１４：ヒータ、１５：溶融メ
ッキ金属排出孔、１６：開閉弁。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 深町 譲治 福岡県北九州市八幡東区枝光１−１−１ 新日本製鐵株式会社八幡製鐵所内 (72)考案者 安部 博明 福岡県北九州市戸畑区牧山１−１−36 濱 田重工株式会社内 (72)考案者 酒井 成之 福岡県北九州市戸畑区牧山１−１−36 濱 田重工株式会社内 (56)参考文献 特公 昭38−10016（ＪＰ，Ｂ２)

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】連続して走行する鋼ストリップを前処理し
   て溶融メッキする連続溶融メッキ装置において、溶融金
   属メッキ槽中の溶融メッキ金属を受納する可動式溶融金
   属受入槽と、槽壁にヒータを内蔵する可動式異種メッキ
   金属溶解槽を付設せしめたことを特徴とする連続溶融メ
   ッキ装置。