JPH06233837A - 嵌め込み式打撃面を有するゴルフクラブのヘッド - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本体と、この本体の前部分に設けた凹部内に
配設される打撃面用挿入部材とを含み、この挿入部材
は、その内面と凹部の底部との間に介装される接着剤の
層によってこの凹部内に一体的に固定されるゴルフクラ
ブのヘッドにおける改良を提供する。 【構成】 上記内面（２０）と上記底部（４０）を、上
記凹部（４）内で挿入部材（２）の安定した支承部を構
成するよう、また内面（２０）と凹部（４）の底部（４
０）との間にほぼ一定の厚み（ｅ）の接着剤を配置する
ように、１または複数の支承手段（６０、６１、６２）
によって互いに距離を隔てて分離する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】この発明はゴルフクラブのヘッドの改良に
関し、より詳しくは、嵌め込み式のインパクト・フェイ
ス（打撃面）を持つ型式のクラブに関する。実際のプレ
イでは、プレイヤーはゴルフクラブを用いてボールを打
ち、ボールに推進力を与えることによってボールを飛ば
す。このゴルフクラブは、一般に英語で「シャフト」と
呼ばれる柄でできており、その下端にヘッドを含む。こ
れに対してその上端には握り部がついており、この部分
は英語でしばしば「グリップ」と呼ばれる。

【０００２】現在、「ティー」または出発地点でプレイ
ヤーが最初に使用するボール飛距離の長いクラブは「ウ
ッド」と呼ばれる。本来の「ウッド」は全体が柿の木や
それに類似した各種の木材で作られていた。この種のク
ラブは、常に多くのプレイヤー達の好評を得たが、使用
材の密度が低く、かつクラブヘッドのインパクト・フェ
イスの後ろ側における材料密度が一様に低いので、精度
の点で劣る。

【０００３】この欠点を緩和するために「ウッド／アイ
アン」クラブが登場した。このクラブは「ウッド」の形
をそのまま継承しているが、ヘッド部分全体が鋼ででき
ている。使用材料の密度が非常に高いこと、および重量
を抑制する必要に鑑み、このウッド／アイアン・クラブ
のヘッドは一般に内部を空洞にした鋼でできており、通
常ロストワックス鋳造法を採用する鋳造工場で製造され
る。この種の構成において、インパクト・フェイスの周
縁に主として配分される質量体は、従来の「ウッド」ク
ラブより可成り優れた精度をクラブに付与する。この精
度はボールの垂直軌道を画定するボールの射出角度にも
関係し、また、ボールの偏り、すなわち側方軌道にも関
係する。

【０００４】ウッド／アイアン・クラブの第一の欠点
は、打撃の際、インパクト・フェイスとボールとの金属
的な接触によりプレイヤーが不快感を感じることであ
る。

【０００５】別の欠点は、打撃時のショックに耐えるた
めに十分な厚みを必要とする鋼製のインパクト・フェイ
スの剛性が最適でないことに由来する。フェイスの剛性
を減らすことにより反発速度が増加し、したがって、更
に遠くまでボールを飛ばせることが明らかになる。とこ
ろで、インパクト・フェイスの剛性がその厚みと構成材
料の弾性係数に左右されることも明かである。したがっ
て、一定の弾性係数における剛性の減少は、インパクト
・フェイスの厚みの減少に直接つながる。そこで、ウッ
ド／アイアン・クラブのインパクト・フェイスに最適の
剛性を採用すると、フェイスの厚みが３ｍｍ未満と非常
に薄くなってしまい、不可逆的な変形を引き起こすこと
が今日明らかである。

【０００６】この欠点を除去するために、本出願人のフ
ランス特許出願第９１０９００１号明細書においては、
中空の金属製本体に複合材料製のインパクト・フェイス
用挿入部材を嵌め込むことが提案されている。

【０００７】フランス特許出願第９２０２５５４号明細
書においては、この挿入部材の厚みはほぼ一定で、かつ
接着により、ヘッドの水平方向の湾曲（バルジ）特性と
垂直方向の湾曲（ロール）特性を決定する幾何学的形状
の支承面を有するヘッド本体の凹所内に固定される。

【０００８】米国特許第４，９８４，８００号は、フェ
イス用プレートをこのプレートの後部と一体の芯部内に
形成した窪みと共働する複数の突起を介して該芯部に連
結することからなるクラブヘッドの特殊な製作方法に関
する。こうして形成されたサブアセンブリを鋳型内に配
設したのち、芯部を包み、かつフェイス用プレートと上
述の芯部との間に形成される空間を満たすエポキシ樹脂
を射出する。

【０００９】米国特許第３，８６３，９３２号は、比較
的深い空洞部を備える、バランスウエイト付きのクラブ
ヘッドに関し、この空洞部の底部には密度の高い金属で
できたディスクが接着されている。このディスクは、一
方では、接着剤が入った貯留部に隣接し、また他方で
は、この空洞部を満たす透明なプラスチック材料で被覆
されている。このプラスチック材料は空洞部内に流し込
まれ、次いで過剰分は研摩、機械加工、あるいは他のあ
らゆる手段によって取り除かれる。

【００１０】オーストリー特許出願第３０３５３／９２
号は、フェイス用挿入部材が嵌め込まれる凹部を備えた
本体を含む幅広のクラブヘッドに関するものである。該
凹部内での挿入部材の一体的固定は、この凹部の縁に設
けた幅の狭い周辺貯留部を満たす接着剤のビードによっ
て実現される。

【００１１】いずれの場合にも、該凹部内におけるフェ
イス用挿入部材の位置決めは、フェイスの正確で再現性
のある幾何学的諸特性を得るために極めて重要である。
しかしながら、ヘッドの製作時には、非常に多くの場
合、位置決めならびに接着がなおざりにされている。す
なわち、凹部内に注入される接着剤の量が正しく制御さ
れず、ヘッド毎に異なっている。該凹部内に挿入部材を
押しつけることによって、側部に多少とも接着剤がはみ
出し、かつ残存する接着剤の厚みにはむらがある。ま
た、接着剤の流動特性のため、凹部内での該挿入部材の
固定の度合いが異なる。ヘッドの幾何学的諸特性はヘッ
ド毎に大きく異なり、これは望ましいことではない。

【００１２】本発明は、これらの欠点を解消することを
目的とする。本発明は、一般に、ヘッド本体に設けた凹
部に嵌め込まれて接着されるフェイス用挿入部材を備え
るあらゆる種類のヘッドの改良に関する。

【００１３】従って、本発明の目的の１つは、満足でき
るとともに、再現できるように接着されたフェイス用挿
入部材を備えたクラブヘッドを提案することにある。更
に、本発明に基づくヘッドの着想により、全くむらのな
い接着剤層を得ることができ、また、接着を行うために
使用する接着剤の量を制御することができる。もう１つ
の目的は、凹部内のフェイス用挿入部材の「経験に基づ
く」測定、制御、および加工修正を全く必要としない完
全な固定を可能にすることである。

【００１４】このために、本発明は、本体と、周縁部に
よって画定される凹部内に配設され、かつ本体の前部分
に設けたフェイス用挿入部材とを含み、この挿入部材
は、その内面と凹部の底部との間に介装される接着剤の
層によって該凹部内に一体固定されるクラブヘッドに関
する。内面と底部は、該凹部内で挿入部材の安定した支
承部を構成するよう、また内面と凹部の底部との間にほ
ぼ一定の厚みの接着剤を配置するように、１（または複
数）の支承手段により互いに距離を隔てて分離される。

【００１５】一実施態様において、この支承手段（単数
または複数）は、挿入部材の内面の構成部分を成し、底
部で支承される。

【００１６】また他の実施態様において、この支承手段
（単数または複数）は、ヘッドの凹部の底部の構成部分
を成し、かつ挿入部材の内面に支承される。

【００１７】これらの支承手段は、凹部内にある可能な
唯一の位置で挿入部材を不動に固定するよう、支持用三
角形の頂点を構成する均一に配分された３のボスによっ
て構成してもよい。

【００１８】また、これら支承手段は、一様に配分する
か、または交差させた不連続のリブで構成してもよい。
さらに、支承用の周囲縁取り部であってもよい。

【００１９】凹部内の接着剤の厚みは０．１ｍｍ〜０．
４ｍｍの範囲内にあるのが好ましい。

【００２０】本発明の他の特徴ならびに利点は、非限定
的な例としてのみ示す添付図を参照して以下の説明を読
むことにより明らかとなろう。

【００２１】図１および図２は従来技術によるゴルフク
ラブのヘッドを示す。このヘッドは本体１を含み、この
本体は、場合により中空で、かつ複数の周囲壁の集合体
で構成してもよく、あるいは、図示のように中実であっ
てもよい。この本体はネック３を介して延び出ることが
できる。本体は、その一部に、本体の凹部４に位置する
嵌め込み式挿入部材２を備えている。この凹部４は底部
４０と周囲内壁４１とを含む。挿入部材はこの凹部に嵌
め込まれ、接着剤の層５によって底部４０に固定され
る。

【００２２】図３は、凹部４内における挿入部材２の位
置決め不良を示す。すなわち、挿入部材の後部に配分し
た接着剤の厚みが均一ではない（ｅ１＞ｅ２）。該凹部
内に挿入するとき、この挿入部材に加わる圧力の配分が
悪いため、下方部分は、凹部に部分的にしか挿入されな
い上方部分よりも多く押し込まれることになる。挿入部
材を配置する際、接着剤は流動性を有するので、この接
着剤が部分的に上方へ移動している。接着剤の硬化後、
Ｉ−Ｉの線に沿って前部分を加工することにより、ヘッ
ドを修正しなければならない。最終的には厚みが一定で
なくなり、このことは一般にクラブにとって不利であ
る。

【００２３】図４は、凹部４の底部４０に、ボス６０、
６１、６２の形をした３個の支承手段を設けることによ
る単純な解決法を提案している。これら３個の手段は、
挿入部材が該凹部内の可能な唯一の位置で不動に固定さ
れるよう、支持用三角形Ｔの頂点を形成する。該挿入部
材の外面２１は、凹部の周縁部４２の表面と同じ高さに
なるのが好ましい（図５）。

【００２４】挿入作業に先立って、少なくともボス６
０、６１、６２の奥行きＰに等しい厚みの接着剤を凹部
に塗る。取付時に、余剰の接着剤は、それぞれのボスに
支承される挿入部材の各側部からはみ出る。挿入部材の
内面２０と凹部の底部４０との間の厚みｅはほぼ一定で
あり、この結果、該挿入部材の後部において接着剤の均
一な配分が得られる。クラブのヘッドの再加工は全く必
要なくなり、これによりフェイスの製作段階で、例えば
一連の平行な外側溝２１０を設けることにより、フェイ
スにその最終構造を付与することができる。

【００２５】本発明の特徴によれば、接着剤は、凹部の
広い表面上に配分される。特に、接着剤の分布面は支承
手段の被覆面よりも広い。これにより挿入部材のあらゆ
る部分で均一かつ堅固な接着が得られる。

【００２６】金属製あるいは射出成形したプラスチック
材料製の本体の場合、ボスは本体の鋳造成形時に設ける
ことができる。他の場合には、ねじ止め、溶着、あるい
は接着のような手段でこれらのボスを底部４０に付け加
えて一体的に固定するようにしてもよい。

【００２７】図６において、ボス６００、６１０、６２
０は、挿入部材の内面２０の一部を成す。同様に、挿入
部材と支承手段は、好ましくは、金属またはプラスチッ
ク材料の鋳造成形による単一体として製作するか、ある
いはまた、なんらかの適宜な手段により内面２０に付け
加えて一体固定することができる。

【００２８】図７において、支承手段は底部４０あるい
は挿入部材の内面２０に対して突出したリブ６３から成
る。これらのリブは不連続で、かつ互いに一様に交差し
ている。

【００２９】また、この支承手段を、例えば複数の直線
状不連続リブ６４によって構成し、かつこれらを凹部の
底部４０上あるいは挿入部材の内面２０上に複数の列に
均一に配分してもよい（図８）。

【００３０】図９および図１０は、もう１つの実施態様
を示す。この場合、支承手段は、凹部の底部４０内に設
けられた周囲縁取り部６５であり、挿入部材の縁がこの
縁取り部上に支承されるようになる。

【００３１】以上で説明したすべての場合において、接
着剤の厚みは完全な接着を保証するのに十分なものでな
ければならない。

【００３２】厚みｅは、０．１ｍｍから０．４ｍｍの範
囲内であることが好ましい。

【００３３】当然のことながら、接着剤の種類は、本体
１と挿入部材の材料に対して良好な接着性を有するもの
を選ぶ。

【００３４】例として、金属製の本体と繊維強化エポキ
シ樹脂製の挿入部材とを接着するためには、エポキシ系
接着剤が使用されることを挙げておこう。

【００３５】本発明は、上で例として記載し、かつ図示
した実施態様のみに限定されるものではなく、すべての
同等技術ならびにそれらの組み合わせをも含む。従っ
て、挿入部材の形状や寸法は、図示したものに限定され
るものではなく、極めて特殊な寸法や形状を考えること
ができる。例えば、支承手段はヘッド本体の凹部内に配
置されるボールの形状とすることもできる。

【図面の簡単な説明】

【図１】従来技術によるフェイス用挿入部材を備えたゴ
ルフクラブのヘッドを示す正面図である。

【図２】図１のＡ−Ａ’線に沿って見たヘッドの断面図
である。

【図３】図２の詳細を示す拡大図である。

【図４】本発明によるヘッドの分解斜視図である。

【図５】図４のヘッドの詳細を示す、Ｂ−Ｂ’線に沿っ
て見た断面図である。

【図６】特定の一実施態様によるフェイス用挿入部材の
斜視図である。

【図７】他の実施態様による挿入部材の斜視図である。

【図８】他の変形実施態様による挿入部材の斜視図であ
る。

【図９】一変形実施態様によるヘッド本体の正面図であ
る。

【図１０】一変形実施態様を示す、図５と同じ断面図で
ある。

【符号の説明】

１ （ヘッ
ドの）本体 ２ 挿入部
材 ４ 凹部 ５ 接着剤
の層 ４０ （凹部
の）底部 ４２ 周辺縁
部 ６０、６１、６２、６００、６１０、６２０ ボス ６３ 突状リ
ブ ６４ 不連続
直線状リブ ６５ 周辺縁
取り部

Claims (9)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 本体（１）と、周縁部（４２）によって
   画定される凹部（４）内に配設され、かつ前記本体の前
   部分に設けた凹部内に設けられる打撃面用挿入部材
   （２）とを含み、前記挿入部材は、その内面（２０）と
   前記凹部（４）の底部（４０）との間に介装される接着
   剤の層（５）によって前記凹部内に一体的に固定される
   ゴルフクラブのヘッドにおいて、 前記内面（２０）と前記底部（４０）が、前記凹部
   （４）内に前記挿入部材（２）の安定した支承部を構成
   するよう、また前記内面（２０）と前記凹部（４）の底
   部（４０）との間にほぼ一定の厚み（ｅ）の接着剤を配
   置するように、１または複数の支承手段（６０、６１、
   ６２、６３、６４、６５）によって互いに距離を隔てて
   分離されることを特徴とするゴルフクラブのヘッド。
2. 【請求項２】 前記挿入部材の外表面（２１）が前記凹
   部（４）の周縁部（４２）の表面とほぼ同じ水準にある
   ことを特徴とする請求項１によるゴルフクラブのヘッ
   ド。
3. 【請求項３】 前記支承手段（６００、６１０、６２
   ０、６３、６４）が内面の構成部分を成し、かつ底部
   （４０）に対して支承されることを特徴とする請求項１
   または２によるゴルフクラブのヘッド。
4. 【請求項４】 前記支承手段（６０、６１、６２、６
   ５）が前記底部（４０）の構成部分を成し、かつ前記挿
   入部材の内面（２０）に対して支承されることを特徴と
   する請求項１または２によるゴルフクラブのヘッド。
5. 【請求項５】 前記支承手段が均一に配分され、かつ可
   能な唯一の位置で前記凹部（４）内の挿入部材（２）を
   不動に固定するよう、保持用三角形（Ｔ）の頂点となる
   ３のボス（６０、６００、６１、６１０、６２、６２
   ０）で構成されることを特徴とする請求項３または４に
   よるゴルフクラブのヘッド。
6. 【請求項６】 前記支承手段が不連続で、かつ交差する
   突状リブ（６３）で構成されることを特徴とする請求項
   ３または４によるゴルフクラブのヘッド。
7. 【請求項７】 前記支承手段が不連続の直線状で、かつ
   均一の複数列に配分された突状リブ（６４）で構成され
   ることを特徴とする請求項３または４によるゴルフクラ
   ブのヘッド。
8. 【請求項８】 前記支承手段が周囲縁取り部（６５）に
   より構成されることを特徴とする請求項３または４によ
   るゴルフクラブのヘッド。
9. 【請求項９】 接着剤の厚み（ｅ）が０．１ｍｍないし
   ０．４ｍｍの範囲にあることを特徴とする請求項１ない
   し８のいずれか１によるゴルフクラブのヘッド。