JPH06231744A - マンガン乾電池 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【構成】 キサンタンガムと糊剤とを含むペーストを塗
布したセパレータを備えたことを特徴とするマンガン乾
電池。 【効果】 漏液防止性に優れ、放電性能及びパルス放電
特性に優れたマンガン乾電池を提供できる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明はマンガン乾電池に関し、
とくに新規なセパレータを用いることによって、漏液防
止性が優れ、かつ放電特性の変化を制御したマンガン乾
電池に関する。

【０００２】

【従来の技術】正極活物質として二酸化マンガン、負極
活物質として亜鉛合金、電解液として塩化亜鉛を主成分
とする水溶液を用いたマンガン乾電池が知られている。
このようなマンガン乾電池は、亜鉛合金の反応面で電解
液を保持するために、セパレータに糊剤を塗布して、放
電性能の劣化を防止している。糊剤には、保液剤として
コーンスターチなどの天然デンプン類、又はこれらを加
工した架橋デンプンなどの加工デンプン、及び糊剤をセ
パレータ上に保持するための結着剤として水溶性バイン
ダーなどが配合されている。

【０００３】しかし、これらの糊剤は電解液保持量が十
分でなく、化学的に不安定であり、また均一性に欠ける
ために、漏液を生じたり、放電特性の低下及び放電中の
電池内部抵抗の上昇により、パルス放電特性が経時的に
悪くなるという問題点があった。

【０００４】このような現象は、近年、強く望まれてい
る電池の無公害化のために水銀化合物を正極合剤に添加
しない電池では、とくに顕著である。このようにパルス
放電特性が劣化することは、ポケットベル用の乾電池の
ような用途には非常に不利である。従来、糊剤には、ロ
ーカストビーンガムのような多糖類ガムが配合されてお
り、上記の問題点をある程度は解決しているが、最近の
マンガン乾電池に要求される厳しい放電特性について、
用途によっては完全に満足させるものではなかった。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
漏液を防止し、放電性能及びパルス放電特性の劣化を抑
制したマンガン乾電池を提供すること、とくに水銀無添
加のマンガン乾電池を提供することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明のマンガン乾電池
は、キサンタンガムを含む糊剤ペーストを塗布したセパ
レータを備えたことを特徴とする。

【０００７】本発明に用いられるキサンタンガムは、キ
ャベツより採取されたキサントモナス・カンペトリス菌
（Xanthomonas campestris）によって産出される多糖類
の一種（微生物ガム）であり、式（１）に示すように、
２個のＤ−グルコース単位、２個のＤ−マンノース単位
及び１個のグルクロン酸単位からなるブロックの反復で
構成されるアニオン性多糖類である。

【０００８】

【化１】

【０００９】キサンタンガムは、水系のレオロジー特性
に優れており、均一なゲルを形成して多量の電解液を保
持できる。また、pHや温度に対しても粘度の変化が少な
い。

【００１０】したがって、キサンタンガムを糊剤に混合
して得られるペーストを用いることにより、従来の糊剤
の特性を失うことなく、上記のキサンタンガムの保液
力、ゲル形成性及びpHや温度に対する粘度安定性を生か
して、良好なセパレータを形成することができる。

【００１１】本発明に用いられる糊剤中のデンプン又は
その誘導体としては、たとえばコーンスターチなどの天
然デンプン、及び／又はメチルデンプン、アリルデンプ
ン、カルボキシメチルデンプン、架橋エーテル化デンプ
ンなどのデンプン誘導体を主成分とするものなど、マン
ガン乾電池のセパレータ基材の表面に塗布される通常の
ものでよい。またバインダーとしては、ポリビニルアル
コールなどの水溶性バインダーを用いることができる。

【００１２】本発明のマンガン乾電池に用いられるセパ
レータは、上記のキサンタンガムを糊剤と混合し、ペー
ストとしたものを、通常の方法によりセパレータ基材に
塗布し、温風で乾燥して製造することができる。

【００１３】キサンタンガムの糊剤への配合量は、糊剤
ペースト１００重量部中、１〜２０重量部でよく、好ま
しくは２〜１０重量部である。

【００１４】本発明に用いられるセパレータ基材の材質
は、マンガン乾電池に通常用いられるものでよく、クラ
フト紙、たとえば厚さ５０〜１５０μm のクラフト紙が
例示される。

【００１５】前述の混合ペーストをセパレータ基材へ塗
布し、１００〜１１０℃で温風乾燥することにより、目
的のセパレータを作製することができる。糊剤の基材へ
の塗布量は、固形分として通常３０〜５０g/m²でよい。

【００１６】このようにして得られたセパレータ２を、
たとえば図１に示すように、有底中空円筒状の亜鉛負極
１の内面に、糊剤層が亜鉛負極１に接するように設け、
該セパレータと炭素棒の間に、二酸化マンガン、微粉末
カーボン及び電解液を含む正極合剤３を満たし、円筒の
中心に炭素棒４をセットしてワッシャ５をかぶせ、これ
をトップ６、ボトム７、ジャケット８で構成される金属
缶に収容して、マンガン乾電池を作製することができ
る。

【００１７】

【発明の効果】キサンタンガムを従来の糊剤と併用して
得られるセパレータは、従来の糊剤の特性を失うことな
く、漏液防止効果ならびに放電性能及びパルス放電特性
が優れている。

【００１８】したがって、このようなセパレータを用い
ることにより、漏液防止性ならびに放電性能及びパルス
放電特性に優れたマンガン乾電池を提供することができ
る。

【００１９】本発明のマンガン乾電池は、通常の乾電池
の用途に広く使用でき、ポケットベル用乾電池のよう
な、パルス放電特性を長く持続することの必要な用途に
とくに好適である。

【００２０】

【実施例】以下、本発明を実施例及び比較例によって詳
細に説明する。本発明はこれらの実施例によって限定さ
れるものではない。なお、実施例および比較例におい
て、部は重量部を表す。

【００２１】実施例１ キサンタンガム５部、ポリビニルアルコール５部、架橋
エーテル化デンプン３５部及び水５５部を混合して、糊
剤ペーストを調製した。

【００２２】このようにして得られた糊剤ペーストをク
ラフト紙の片面に塗布し、１０５℃の熱風乾燥器中で１
時間乾燥して、処理クラフト紙を得た。これをセパレー
タ２として、亜鉛合金からなる負極１の内側に、処理面
を内表面にして巻き、正極合剤３として電解二酸化マン
ガン５０重量％、アセチレンブラック１０重量％及び電
解液（２６重量％の塩化亜鉛及び２重量％の塩化アンモ
ニウムを含有する水溶液）４０重量％からなる混合物を
用い、図１のように、水銀化合物を添加しないＲ２０型
マンガン乾電池を作成した。

【００２３】このようにして得られた電池を用いて、温
度４５℃において、２Ωの抵抗で１ヵ月の連続放電を行
ったときの漏液発生率を求めた。また、４５℃で３ヵ月
保存した後、３００Ωの一定の抵抗により、通常の連続
放電を行ったときの０．９Vまでの放電持続時間、及び
上記と同様の保存の後に、５００mAで５秒放電、２５０
秒休止のサイクルでパルス放電を行ったときの０．９V
までの放電持続時間を測定した。ただし、漏液発生率は
１００個の電池について実験を行って発生個数を求めた
もの、２種類の放電持続時間はそれぞれ１０個の電池に
ついての平均値である。その結果を表１に示す。

【００２４】実施例２ キサンタンガム１０部、ポリビニルアルコール５部、架
橋エーテル化デンプン３５部及び水５０部を混合して、
糊剤ペーストを調製した。この糊剤ペーストを用いて、
実施例１と同様の構成で電池を作製し、実施例１と同様
の測定を行った。この結果を表１に示す。

【００２５】比較例１ キサンタンガムを用いず、ローカストビーンガム１０
部、ポリビニルアルコール５部、架橋エーテル化デンプ
ン３５部及び水５０部を混合して、糊剤ペーストを調製
した。これを用いて実施例１と同様の構成で電池を作製
し、実施例１と同様の測定を行った。その結果を表１に
示す。

【００２６】比較例２ 多糖類ガムを用いず、ポリビニルアルコール５部、架橋
エーテル化デンプン３５部及び水６０部を混合して、糊
剤ペーストを調製した。これを用いて実施例１と同様の
構成で電池を作製し、実施例１と同様の測定を行った。
その結果を表１に示す。

【００２７】

【表１】

【００２８】乾電池を作成した後、保存を行わずに放電
実験を行った結果では、実施例の電池と比較例の電池と
の間に、顕著な差は現われない。しかし、保存後の放電
実験においては、表１に見られるように、両者の放電持
続時間の差は明瞭である。

【図面の簡単な説明】

【図１】マンガン乾電池の断面図である。

【符号の説明】

１ 亜鉛負極 ２ セパレータ ３ 正極合剤 ４ 炭素棒 ５ ワッシャ ６ 金属トップ ７ 金属ボトム ８ 金属ジャケット ９ 熱収縮チューブ

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 キサンタンガムを含む糊剤ペーストを塗
   布したセパレータを備えたことを特徴とするマンガン乾
   電池。