JPH06228888A - 忌避性繊維製品類及びその製造法 - Google Patents

忌避性繊維製品類及びその製造法

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JPH06228888A
JPH06228888A JP5037582A JP3758293A JPH06228888A JP H06228888 A JPH06228888 A JP H06228888A JP 5037582 A JP5037582 A JP 5037582A JP 3758293 A JP3758293 A JP 3758293A JP H06228888 A JPH06228888 A JP H06228888A
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repellent
fine particles
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fiber
binder
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JP5037582A
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English (en)
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Ryuichi Hoshikawa
隆一 星川
Hiroaki Ito
博明 伊藤
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Matsui Shikiso Chemical Co Ltd
Original Assignee
Matsui Shikiso Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 繊維製品類の風合い及び感触が損なわれず、
忌避剤含有微粒子が繊維製品類に強固に而も多量に固着
し、長期間有効な忌避効力を発する。 【構成】 繊維製品類に対し、高分子窒素カチオン化合
物含有液状体でカチオン化処理を行う工程と、高分子化
合物中に少なくとも有害動物に対する忌避剤を含有して
なる忌避剤含有微粒子を前記繊維製品類に固着させるた
めに、カチオン化処理された繊維製品類に対し、忌避剤
含有微粒子が分散した微粒子分散液状体で微粒子固着処
理を行う工程とを有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、有害な昆虫、爬虫類、
哺乳類等の有害動物に対しいわゆる忌避作用を発揮する
忌避性繊維製品類及びその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術及び解決しようとする課題】有害な昆虫
(例えば蚊、アブ、ブユ、蝿、ゴキブリ、ダニなどの吸
血性害虫、衛生害虫等)、爬虫類、哺乳類等の有害動物
に対する防除法の1つとして、殺虫剤、防虫剤、その他
有害動物が嫌う香料・薬剤等、有害動物に対する忌避作
用を有するいわゆる忌避剤を、皮膚に直接塗布する方法
や、繊維製品類等に塗布または含有させる方法が知られ
ている。
【0003】皮膚に直接塗布する方法は主として野外に
おける活動時に使用されているが、皮膚の不快感を伴な
ったり、また皮膚に刺激を与えることもあり常時使用に
は問題がある。しかも効力の持続時間においても2〜3
時間と短い。
【0004】一方、繊維製品類に対して忌避剤を加工す
る方法は、例えば、忌避剤を樹脂等と直接混合して含浸
または塗布する方法、及び忌避剤をマイクロカプセルに
内包して使用する方法等が知られている。この場合、前
者の方法では有効成分が揮発して失われる速度が速く、
商品として十分なものとはならない。
【0005】また後者の方法では、主として忌避剤内包
マイクロカプセルを合成樹脂とともに含んでなる分散液
を繊維製品類にパディングする手段が採られているが、
該マイクロカプセルが本来、繊維製品類に対する直接性
を有さないことから、該方法にては繊維製品類に固着さ
れるマイクロカプセルの量は極めて少ないものとなる。
また、これを多量に固着させようとすると、風合い、堅
牢度等が悪化し、いずれにしても商品として満足できる
ものとはならない。
【0006】一方、合成樹脂を多量に含有する捺染ペー
スト又はインク等に忌避剤内包マイクロカプセルを混入
したものを用いて繊維製品類を捺染、或いはそれらを繊
維製品類に塗布する方法も採られているが、繊維製品類
に対してそれらを極めて嵩高く印捺又は塗布しなければ
ならず、得られる繊維製品類の風合い及び感触が著しく
損なわれる。
【0007】そのため、繊維製品類に対するそれらの加
工は部分的、表面的なものとなり、当然その忌避効力は
乏しく、堅牢度においても商品として十分なものとはな
らない。この様に従来の方法にては、長期間有効な忌避
効力を有し、なおかつ風合い及び感触が損なわれない繊
維製品類をうることができなかった。
【0008】本発明は、従来技術に存した上記のような
問題点に鑑み行われたものであって、その目的とすると
ころは、繊維製品類の風合い及び感触が損なわれず、忌
避剤含有微粒子が繊維製品類に強固に而も多量に固着
し、長期間有効な忌避効力を発する忌避性繊維製品類及
びその製造法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の忌避性繊維製品類の製造法は、繊維製品類
に対し、高分子窒素カチオン化合物含有液状体でカチオ
ン化処理を行う工程と、高分子化合物中に少なくとも有
害動物に対する忌避剤を含有してなる忌避剤含有微粒子
を前記繊維製品類に固着させるために、カチオン化処理
された繊維製品類に対し、忌避剤含有微粒子が分散した
微粒子分散液状体で微粒子固着処理を行う工程とを有し
てなるものとしている。このような忌避剤含有微粒子は
本来繊維製品類に対し直接性を有さないが、本発明の製
造法では、繊維製品類を高分子窒素カチオン化合物でカ
チオン化させることによって、忌避剤含有微粒子に静電
的な親和力を付与し、忌避剤含有微粒子が繊維製品類に
強固に、而も多量に固着する。また、高分子窒素カチオ
ン化合物の使用により、忌避剤含有微粒子を繊維製品類
に物理的に接着する効果が高められると共に、カチオン
性界面活性剤等の低分子の場合と異なり、忌避剤含有微
粒子から放散した忌避剤により窒素カチオン化合物が分
解等の悪影響を受けることが回避される。
【0010】また本発明の忌避性繊維製品類は、高分子
窒素カチオン化合物含有液状体でカチオン化処理された
繊維製品類に、高分子化合物中に少なくとも有害動物に
対する忌避剤を含有してなる忌避剤含有微粒子が固着し
たものとしている。
【0011】繊維製品類 本発明の繊維製品類に用いられる繊維の例としては、木
綿,麻等のセルロース繊維、羊毛,絹などのタンパク繊
維、ビスコースレーヨンなどの再生繊維、アセテートな
どの半合成繊維、ポリアミド,ポリエステル,アクリ
ル,ポリウレタンなどの合成繊維等を挙げることができ
る。
【0012】本発明の繊維製品類としては、糸、スライ
バー、バラ毛、原綿、織物、編物、不織布、及びこれら
の織物、編物、不織布を用いた被服などの縫製品、ウレ
タンフォームなどの合成樹脂フォーム等を例示すること
ができる。縫製品の具体例としては、Tシャツ、トレー
ナー、ジャンパー、ジーンズ、靴下、パンティーストッ
キング、バッグ、帽子、シーツ、カーテン、カーペット
等を挙げることができる。本発明の繊維製品類は、単一
種類の繊維からなるものであることを要しない。例え
ば、糸は、上記のような繊維から選ばれた1種または2
種以上の繊維の混紡糸であってもよく、また織物は、2
種以上の糸の交織製品であってもよい。また、予め染色
等により着色されたものであってもよい。
【0013】高分子窒素カチオン化合物 本発明においては、窒素カチオン化合物と呼ばれるもの
のうち、高分子のものを使用する。そのような高分子窒
素カチオン化合物によって繊維製品類がカチオン化され
ることにより、忌避剤含有微粒子に対する静電的な親和
力が付与され、結果的に、かかる微粒子類が繊維製品類
に対して強固に、しかも多量に固着することとなる。更
に、その様に固着した忌避剤含有微粒子は、高分子窒素
カチオン化合物が有する接着作用によって、繊維製品類
に対する接着効果が高められ、諸堅牢度が大幅に向上す
る。これに対し、カチオン性界面活性剤等の低分子窒素
カチオン化合物を使用した場合、忌避剤含有微粒子に対
し、上記のような静電的親和力をある程度付与すること
はできるものの、忌避剤含有微粒子から放出される忌避
剤により分解等の悪影響を受けるため、高分子のものを
使用した場合の好適な接着効果を得ることは望めない。
即ち、高分子窒素カチオン化合物を使用することによ
り、低分子のものでは得られない特有の効果を得ること
ができる。本発明の高分子窒素カチオン化合物として
は、一般にジシアンジアミドタイプ、ポリアミンタイ
プ、ポリカチオンタイプ等と呼ばれるものを例示するこ
とができる。
【0014】高分子窒素カチオン化合物の具体例は次の
通りである。ジシアンジアミドのホルマリン縮合物、ポ
リアルキレンポリアミン、ポリアルキレンポリアミンと
グアニジン誘導体との縮合物、ポリエチレンイミン類、
【0015】ポリアミドポリアミン類、ポリ−4−ビニ
ルピリジン塩酸塩、特開昭54−64186号公報に開
示されているようなポリアクリロニトリルポリマーなど
の第3級アミンポリマー、特公昭43−243号公報に
開示されているようなジメチルアミン−エピクロルヒド
リン縮重合物、
【0016】特開昭57−112480号公報に開示さ
れているような2−メタクリルオキシプロピルトリメチ
ルアンモニウム塩ポリマー、特開昭55−76177号
公報に開示されているようなジメチルジアリルアンモニ
ウムクロライド系ポリマー、特開昭51−112987
号公報に開示されているようなポリエピクロルヒドリン
−トリメチルアミン反応物、特開昭57−210083
号公報に開示されているような1−ビニルイミダゾール
の4級化物重合体、特開昭60−9979号公報及び特
開昭60−9980号公報に記載されているようなポリ
アルキレンポリアミン類のエポキシ化合物による4級化
物のポリマー、
【0017】特開昭57−47309号公報記載のアク
リルアミド及びこれと共重合可能なカチオン性単量体の
共重合物、特開昭63−234007号公報記載の4級
アンモニウム塩基を有するカチオン性重合体、特開昭6
3−284225号公報記載のアミノアルキルアクリル
アミド系ポリマーの4級塩などの4級アンモニウム塩タ
イプのポリマー、特開昭56−128382号公報に開
示されている次式のモノマー単位からなるポリマー、
【0018】
【化1】
【0019】次式のモノマー単位からなるポリマー(商
品名:シャロールDCシリーズ、第一工業製薬社製)、
並びに、
【0020】
【化2】
【0021】これらの4級アンモニウム塩ポリマーと他
のビニル系ポリマーからなる共重合物などを挙げること
ができる。
【0022】そしてこれらの高分子窒素カチオン化合物
の中でも、4級アンモニウム塩タイプのポリマー及び4
級アンモニウム塩と他のビニル系モノマーとの共重合物
が、本発明には特に効果的である。
【0023】高分子窒素カチオン化合物含有液状体 高分子窒素カチオン化合物含有液状体としては、高分子
窒素カチオン化合物を含有する水溶液、水系分散液及び
高分子窒素カチオン化合物を含有する捺染ペースト等を
例示することができる。
【0024】カチオン化処理 カチオン化処理は、繊維製品類の一部又は全部に対し、
例えば、高分子窒素カチオン化合物を含有する水溶液又
は水系分散液に繊維製品類を浸漬した状態で行うことも
でき、そのような水溶液又は水系分散液を用いて繊維製
品類にパディングを施すことにより行うこともでき、そ
のような水溶液又は水系分散液を繊維製品類に霧状に吹
きかけて処理することもでき、高分子窒素カチオン化合
物を含有する捺染ペーストを繊維製品類に捺染して処理
することもできる。
【0025】忌避剤 本発明に用いることができる忌避剤としては、水不溶性
または水難溶性の、殺虫剤、防虫剤、その他有害動物が
嫌う香料・薬剤等を例示することができ、これらの忌避
剤は任意に組み合わせて用いることができる。
【0026】このような忌避剤の例としては、N,N−
ジエチル−m−トルアミド、カプリル酸ジエチルアミ
ド、N−プロピルアセトアニリド、N−ブチルアセトア
ニリド、フマル酸ジエチル、プロピルマンデレート、
【0027】プロピル−N,N−ジメチルサクシナメ−
ト、ジ−N−プロピルイソシンコメロネート、ジ−N−
ブチルサクシネート、2−ブトキシエチル−2−フルフ
リデンアセテート、2−ブチル−2−エチル−1,3−
プロパンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオ
ール、
【0028】第2級ブチルスチリルケトン、ノニルスチ
リルケトン、2−ヒドロキシエチルオクチルサルファイ
ド、ジアリルジスルフィド、ビス(ジメチルチオカルバ
モイル)ジスルフィド、5−クロロ−4−アミノ−2,
6−ジメチルピリミジン、
【0029】N−(m−トルイル)−メチルピペリジ
ン、1−ヘキサノイル−ピペリジン、1−ペンタノイル
−2,6−ジメチルピペリジン、o−エチル−s−ター
シャリーブチル−スルフェニルキサントエート、1−ヘ
キサノイル−3−ピペコリン、1−ヘキサノイル−2−
ピペコリン、
【0030】4−ヘキサノイル−2,6−ジメチルモル
フォリン、1−オクタノイルピロリジン、m−トリル−
N−メチルカーバメート、2,3,4,5−ビス−(2
−ブチレン)−テトラヒドロフルフラール、オキサゾリ
ジン、フタール酸エステル、
【0031】o−アルキル(炭素数1乃至3)−N−フ
ェニルチオカーバメート、イソボニルチオシアノアセテ
ート(IBTA)及びその誘導体、p−メンタン誘導
体、テトラヒドロオキサジン誘導体、3(2H)イソチ
アゾロン誘導体、ナフトキノン、
【0032】ベンゾキノン、安息香酸エチル、ケイ皮ア
ルコール、ケイ皮アルデヒド、フェニルアセトアルデヒ
ド、ベンズアルデヒド、
【0033】β−ナフトール、パラジクロロベンゼン、
ナフタリン、樟脳、及び2,2−ジメチル3−(2−メ
チルプロペニル)シクロプロパンカルボン酸(3−フェ
ノキシフェニル)メチルエステル等が挙げれる。
【0034】また、本発明に用いる忌避剤は、必要に応
じ、その揮発性を抑制し得る物質、すなわち例えばワッ
クス類、高級脂肪酸及びその誘導体、熱可塑性合成樹脂
及び天然樹脂等を添加して用いることにより、忌避効果
の持続性を一層向上させることができる。このような揮
発性抑制物質としては、軟化点が150°C以下である
ものが好ましい。
【0035】更に、本発明に用いる忌避剤は、忌避剤に
添加して用いることにより忌避効力を増強させたり、持
続性を向上させ得る物質としての効力増強剤を必要に応
じ添加して用いることができる。
【0036】この効力増強剤の例としては、ピペロニル
ブトキサイド、オクタクロルジプロピルエーテル、N−
オクチル−ビシクロヘプテル・ジカルボキシイミド、及
びバニリン等が挙げられる。
【0037】更に、本発明に用いる忌避剤は、その忌避
剤の臭気を和らげたり、多様な芳香を発する繊維製品類
を得るために、必要に応じ香料類を添加して用いること
ができる。この香料としては、動物性天然香料、植物性
天然香料、精油類、テルペン系合成香料、芳香族系合成
香料及び脂環族系合成香料等を用いることができる。
【0038】忌避剤含有微粒子 忌避剤含有微粒子は、高分子化合物中に少なくとも上記
忌避剤を含有してなるものであり、機能的には、摩擦等
の外力によって破壊して忌避剤を放散するものと、忌避
剤を徐放するものとに大きく分けられるが、双方の機能
を併せ持つものもある。
【0039】忌避剤含有微粒子の構造的な例としては、
少なくとも忌避剤が合成樹脂マトリックス中に分散した
ものの微粒子(以下、忌避剤含有マトリックス微粒子と
いう。);高分子化合物中に少なくとも忌避剤を含有す
る固溶体の微粒子(以下、忌避剤含有固溶体微粒子とい
う。);高分子化合物製のマイクロカプセルにより少な
くとも忌避剤を内包したもの(以下、忌避剤内包マイク
ロカプセルという。);忌避剤含有マトリックス微粒
子、忌避剤含有固溶体微粒子、又は忌避剤内包マイクロ
カプセルを、それぞれ高分子化合物製のマイクロカプセ
ルにより更に1度以上内包したものなどが挙げられる。
例えば、徐放性の忌避剤含有微粒子を、摩擦等の外力に
よって比較的容易に破壊されるマイクロカプセルにより
内包したものであれば、摩擦等の外力により外層のマイ
クロカプセルが破壊して内側の徐放性の忌避剤含有微粒
子が露出した時点で忌避剤の徐放が開始されることとな
る。そしてこれらは、それぞれ公知の方法により製造し
得る。なお、忌避剤含有マトリックス微粒子の多くは、
一般に徐放性となる。
【0040】忌避剤含有微粒子の粒径は0.1乃至10
0μmであることが好ましい。0.1μmを下回ると、
外力によって破壊して忌避剤を放散するものの場合、繊
維製品類に固着した忌避剤微粒子の破壊が困難となり、
繊維製品類の通常の使用、例えば衣服の場合、着用中の
衣服の動きによつて忌避剤がほとんど放散しなくなるこ
とが多く、また徐放性のものの場合、必然的に忌避剤を
放散する表面積が大きくなるので、繊維製品類に固着し
た忌避剤微粒子が早期に忌避剤を放散し、長期に亙って
忌避効力を発揮し得ないものとなることが多い。
【0041】一方100μmを越えると、わずかな外力
によってほとんどの忌避剤含有微粒子が破壊され、製品
化の工程中に忌避剤が発散してしまうことが多くなる。
【0042】忌避剤含有微粒子のより好ましい粒径は1
乃至50μmである。一般に、この範囲であれば、摩擦
等の外力によって破壊して忌避剤を放散するものの場
合、忌避剤含有微粒子が固着した繊維製品類の通常の使
用によつて長期に亙り比較的コンスタントに適度な量の
忌避剤含有微粒子が破壊して適度な量の忌避剤を放散
し、忌避効果が持続する。また徐放性のものの場合も、
一般に前記範囲であれば、適度な表面積となって長期に
亙り適度な量の忌避剤を放散し、忌避効果が持続する。
一方、製品化の工程中における微粒子の破壊による忌避
剤の発散は生じ難いものとなる。忌避剤含有微粒子の材
料、強度、粒径等は、用途に応じて、適度な量の忌避剤
を放散することが可能なように、適宜選択することが必
要である。
【0043】上記合成樹脂マトリックスに利用できる合
成樹脂としては、ポリメチルメタクリレートのようなア
クリル系ポリマー、ポリスチレン、ABS樹脂のような
スチレン系ポリマー、ポリカーボネートのようなポリエ
ステル系ポリマー、ポリエチレンオキシドのようなポリ
エーテル系ポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレンの
ようなポリオレフィン系ポリマー、ポリビニルブチラー
ル、ポリビニルアルコール、エチルセルロース、ポリビ
ニルアセテート、ポリビニルクロライド、メラミン樹
脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂などを例示するこ
とができる。
【0044】上記忌避剤内包マイクロカプセルにおける
マイクロカプセル皮膜形成物質の好適な例としては、ポ
リ尿素皮膜を形成するための多価イソシアネートと多価
アミン、ポリアミド皮膜を形成するための多塩基酸クロ
ライドと多価アミン、ポリウレタン皮膜を形成するため
の多価イソシアネートとポリヒドロキシ化合物、ポリエ
ステル皮膜を形成するための多塩基酸クロライドとポリ
ヒドロキシ化合物、エポキシ樹脂皮膜を形成するための
エポキシ化合物と多価アミン、メラミン樹脂皮膜を形成
するためのメラミン・ホルマリンプレポリマー及び尿素
樹脂皮膜を形成するための尿素ホルマリンプレポリマ
ー、並びにエチルセルロース、ポリスチレン及びポリ酢
酸ビニル、並びにアニオン性高分子化合物、両性高分子
化合物などを挙げることができる。また、上記忌避剤含
有固溶体微粒子における高分子化合物を形成する物質の
例としても、これらと同様のものが挙げられる。
【0045】なお、忌避剤含有微粒子は、一般染顔料や
蛍光顔料等の着色剤により着色したものとして、忌避性
付与と同時に繊維製品類を着色するものとすることがで
きる。忌避剤含有微粒子の着色は、例えば製造の際に皮
膜形成物質に着色剤を混入することにより行い得る。
【0046】微粒子分散液状体 微粒子分散液状体としては、忌避剤含有微粒子が分散し
た水系分散液及び忌避剤含有微粒子が分散した捺染ペー
スト等を例示することができる。
【0047】微粒子固着処理 微粒子固着処理は、繊維製品類の一部又は全部に対し、
例えば、忌避剤含有微粒子が分散した水系分散液に繊維
製品類を浸漬した状態で行うこともでき、そのような水
系分散液を用いて繊維製品類にパディングを施すことに
より行うこともでき、そのような水系分散液を繊維製品
類に霧状に吹きかけて処理することもでき、忌避剤含有
微粒子が分散した捺染ペーストを繊維製品類に捺染して
処理することもできる。
【0048】製造工程例 本発明の忌避性繊維製品類を製造するには、例えば次の
ようにして行うことができる。
【0049】(1) 繊維製品類をまず精練して、糊や不
純物を取除く。勿論、清浄であれば精練する必要はな
い。
【0050】(2) 次に、適当な浸漬用バスに、その繊
維製品類に対して5〜50重量倍(好ましくは10〜3
0重量倍)の水と、繊維製品類に対して0.01〜20
重量%(好ましくは0.1〜5重量%)程度の高分子窒
素カチオン化合物を加える。これに対し更に、酢酸、酒
石酸、シュウ酸、りんご酸などの酸を加えてpHを酸性
サイドに調整したり、NaOHやNa2 CO3 等を加え
てpHをアルカリ性サイドに調整したり、高分子窒素カ
チオン化合物の繊維製品類への浸透性を向上させるため
に尿素、グリセリン、エチレングリコール、ポリエチレ
ングリコール、ジエチレングリコールなどの湿潤剤を必
要に応じて加えることもできる。
【0051】(3) 次に、(2) において得られた水溶液
(高分子窒素カチオン化合物含有液状体の一例)に(1)
の繊維製品類を浸漬し、常温乃至95℃程度の温度を3
〜60分間程度保持すると、その繊維製品類がカチオン
化される。
【0052】(4) (3) の繊維製品類を十分に濯ぎ、余
分の高分子窒素カチオン化合物やその他の添加剤を洗い
流した後、脱水する。
【0053】(5) 繊維製品類に対して5〜50重量倍
(好ましくは10〜30重量倍)の水に、上記のような
忌避剤含有微粒子を、繊維製品類に対して0.01〜5
0重量%(好ましくは0.1〜25重量%)程度加えて
分散させる。
【0054】(6) (5) の水系分散液(微粒子分散液状
体の一例)に、(4) の繊維製品類を浸漬した状態で、常
温及至95℃程度で3〜60分間程度処理すると、カチ
オン化された前記繊維製品類に忌避剤含有微粒子が完全
に吸尽される(微粒子固着処理)。この処理温度は、上
記忌避剤含有微粒子を10〜50重量%の高濃度で使用
する場合は50〜90℃程度が好ましい。
【0055】この処理によって、忌避剤含有微粒子は繊
維製品類に対し化学的なイオン結合及び物理的な吸着に
よって結合する。この処理を比較的高温で行うと、繊維
製品類に対する忌避剤含有微粒子の結合が促進される。
【0056】(7) (6) を経た繊維製品類を脱水及び乾
燥することにより、忌避剤含有微粒子は繊維製品類に強
固に固着する。固着をより強くするには、繊維製品類に
対し、乾燥後、80〜180℃程度で0.5〜10分程
度熱処理を施すことが好ましい。
【0057】このようにして得られた忌避性繊維製品類
は、多量の忌避剤含有微粒子が固着し、而も繊維製品類
の感触が損なわれず、風合も柔軟であり、洗濯堅牢度も
優れる。
【0058】なお、上記製造工程例及び下記の好適な製
造工程例において、次工程に移る前にほとんどの場合繊
維製品類の脱水・乾燥を行うが、それを省略し、順次次
工程の薬剤等を添加して全て同一浴で行うこともでき
る。
【0059】好適な製造工程 本発明の忌避性繊維製品類の製造法は、好ましくは、繊
維製品類に対する忌避剤含有微粒子の固着を強化するた
めに、その繊維製品類の風合い及び感触を損なわない量
のバインダーで繊維製品類に対しバインダー処理を行う
工程を有する。繊維製品類のカチオン化によりその繊維
製品類に忌避剤含有微粒子が強固に固着するので、繊維
製品類の風合い及び感触を損なわない程度の少量のバイ
ンダー使用量で十分に忌避剤含有微粒子の固着を強化す
ることができる。
【0060】上記バインダーの量は、バインダー固形分
においてその繊維製品類に対し一般的には0.01〜1
0重量%程度であり、好ましくは0.3〜5重量%であ
る。
【0061】バインダー処理を行う時期は、特に限定さ
れない。例えば、微粒子固着処理後に行うこともでき、
微粒子固着処理と同時に行うこともでき、カチオン化処
理と同時に行うこともできる。バインダー処理を複数回
行うこともできる。また、上記(6) の吸尽残液にバイン
ダーを加えてバインダー処理を行うこともできる。
【0062】またバインダー処理は、例えば、バインダ
ーを含む水溶液或は水系分散液に繊維製品類を浸漬した
状態で行うこともでき、バインダーを含む水溶液或は水
系分散液を用いて繊維製品類にパディングを施すことに
より行うこともでき、バインダーを含む水溶液或は水系
分散液を繊維製品類に霧状に吹きかけて処理することも
でき、バインダーを含む捺染ペーストを繊維製品類に捺
染して処理することもできる。
【0063】このバインダー処理を行う工程を経て得ら
れる繊維製品類は、忌避剤含有微粒子の繊維製品類に対
する固着が強化され、長期間有効な忌避効力を発し、洗
濯堅牢度が更に向上する。
【0064】使用し得るバインダーとしては、アクリル
酸エステル樹脂、メタクリル酸エステル樹脂、酢酸ビニ
ル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、スチレ
ンブタジエンラテックス、ポリオレフィン樹脂、ポリア
クリル酸、メタクリル酸、或はこれらの誘導体、又はこ
れらと他のビニル系ポリマーとの共重合物を例示するこ
とができる。本発明においては、これらの中でアクリル
酸エステル樹脂、ポリウレタン樹脂が特に好ましい。
【0065】また、高分子窒素カチオン化合物含有液状
体における高分子窒素カチオン化合物の少なくとも一部
を、高分子窒素カチオン化合物たるカチオン性のバイン
ダーとすることもできる。このカチオン性のバインダー
は、高分子窒素カチオン化合物との間に化学的に明確な
差異を有しないが、分子量がやや大きい。カチオン性の
バインダーを用いると、カチオン化処理とバインダー処
理とが実質上同時に行われ、カチオン化処理とバインダ
ー処理とを独立に施す場合と同程度のカプセル固着効果
を発揮する。
【0066】カチオン性のバインダーとしては、アクリ
ル酸エステル系エマルジョン(例えば、大日本インキ化
学工業社製のボンコート[商標]SFCシリーズ、カネ
ボーNSC社製のヨドゾール[商標]AFシリーズ、住
友化学工業社製のCGCシリーズ)、特開昭62−18
7702号公報開示のカチオン性エマルジョン、特開昭
62−131003号公報開示のカチオン性共重合体、
特開昭62−201914号公報開示のカチオン性ポリ
マー、特開昭62−263211号公報開示のカチオン
性ラテックス等を例示することができる。
【0067】以上に説明した本発明の忌避性繊維製品類
の製造法において、忌避剤含有微粒子が分散した微粒子
分散液状体に、一般染顔料、蛍光顔料、熱可逆変色性材
料、光可逆変色性材料等の着色剤を含有させて、忌避剤
含有微粒子の固着と同時にこれらの着色剤にて繊維製品
類に着色させることもできる。
【0068】これにより、忌避性付与と同時に、恒常的
な着色や温度変化や光照射の有無による可逆的な色彩変
化等を実現させることができる。
【0069】また更に、繊維製品類を予め着色してお
き、これに対して以上に説明した本発明の忌避性繊維製
品類の製造法を施すこともできる。
【0070】忌避剤含有微粒子の製造例 次に、忌避剤含有微粒子の製造例を挙げる。なお、以下
の記述においては「重量部」を「部」と略す。
【0071】製造例1 40℃に保った10%(w/w) ゼラチン30部及びアニオ
ン界面活性剤(花王社製、商品名:デモールN)2部の
混合液中に、N,N−ジエチル−m−トルアミド15部
を投入し、粒径が約20μm程度となるように撹拌速度
を調節して乳化した。続いてこの混合物に、同じく40
℃に保った10%(w/w) アラビヤゴム30部を加え、1
0分間撹拌を続けた。この混合物に40℃の水125部
を加え、更に酢酸を滴下してpHを4乃至4.3まで下
げた。その後、この混合物を5℃に冷却し、これに30
%(w/w) ホルマリン1部及び10%(w/w) 苛性ソーダ数
滴を加え、pHを9に調整した。その後、1分間に1℃
の割合で50℃まで昇温させ、この温度を1時間保った
後、放冷し、忌避剤内包マイクロカプセルが分散した分
散液約200部を得た。
【0072】製造例2 ジブチルフタレート85部に対してポリメチレンポリフ
ェニルイソシアネート40部を添加して溶解させた。こ
の溶液を、2%(w/w) ポリビニルアルコール水溶液30
0部中に加え、粒径が3μm程度となるよう撹拌速度を
調節して乳化した。水50部に対してジエチレントリア
ミン5部が溶解した水溶液を、前記乳化物に徐々に添加
した後、この混合液を80℃に昇温させた状態で約3時
間撹拌を続けると、徐放性の忌避剤含有固溶体微粒子が
分散した分散液約480部が得られた。
【0073】製造例3 製造例2で得られた忌避剤含有固溶体微粒子を水洗、乾
燥して得られた粒状物40部を、アニオン界面活性剤
(花王社製、商品名:デモールN)3部を含む水溶液3
00部中に投入し、更に20%(w/w) 酢酸溶液を滴下し
てpHを5に調整した。この混合液中に、37%(w/w)
ホルムアルデヒド30部とメラミン10部とを60℃で
10分間反応させて得られたメラミンのプレポリマーを
滴下した後、この混合液を80℃に昇温させた状態で3
0分間撹拌を続けると、徐放性の忌避剤含有固溶体微粒
子を更にマイクロカプセルに内包した徐放性忌避剤含有
固溶体微粒子内包マイクロカプセルが分散した分散液約
380部が得られた。
【0074】製造例4 融解状態のパラフィンワックス70部に、2,3,4,
5−ビス−(2ブチレン)−テトラヒドロフルフラール
20部及び合成香料(コトブキ香料社製、商品名:ジャ
スミン4315)10部を添加した。得られた混合液
を、3%(w/w) エチレン−無水マレイン酸共重合体水溶
液300部中に投入し、粒径が約3μmとなるように撹
拌速度を調整して乳化した。この混合液中に、37%(w
/w) ホルムアルデヒド30部とメラミン10部とを60
℃で10分間反応させて得られたメラミンのプレポリマ
ーを滴下した後、この混合液を80℃に昇温させた状態
で1時間撹拌を続けると、忌避剤内包マイクロカプセル
が分散した分散液約440部が得られた。
【0075】製造例5 カプリル酸ジエチルアミド75部、エポキシ樹脂(油化
シェルエポキシ社製、商品名:エピコート828)20
部、及びフタロシアニン(松井色素化学工業所社製、商
品名:フレックスブルーベース)2部の混合液を80℃
に保ちつつ、これを2%(w/w) ポリビニルアルコール水
溶液200部中に滴下し、粒径が約10μm程度となる
ように撹拌速度を調節して乳化した。次いでこの混合液
中に硬化剤(油化シェルエポキシ社製、商品名:エピキ
ュアU)15部を滴下し、撹拌・加熱を続けて約2時間
反応させ、青色に着色された忌避剤内包マイクロカプセ
ルが分散した、分散液約320部を得た。
【0076】製造例6 粒径が約20μm程度となるように粉砕したナフタリン
50部、及びポリメチレンポリフェニルイソシアネート
30部を、2%(w/w) ポリビニルアルコール水溶液25
0部中に投入し撹拌した。得られた混合液に、水45部
に対してジエチレントリアミン5部が溶解した水溶液を
徐々に添加し、この混合液を80℃に昇温させた状態で
約3時間撹拌を続けると、徐放性の忌避剤含有固溶体微
粒子約350部が得られた。
【0077】
【発明の効果】本発明の製造法により得ることができる
本発明の忌避性繊維製品類は、忌避剤含有微粒子が強固
に且つ多量に固着しているにもかかわらず、繊維製品類
の風合及び感触が損なわれず、且つ、忌避剤含有微粒子
の繊維製品類に対する固着劣化が回避され、而も、洗濯
による忌避剤含有微粒子の脱落がきわめて少ない。そし
て、使用による摩擦等の外力によって長期に亙り比較的
コンスタントに適度な量の忌避剤含有微粒子が破壊して
適度な量の忌避剤を放散することにより、或は長期に亙
り徐々に忌避剤を放散することにより、忌避効果が持続
する。
【0078】また、風合い及び感触を損なわない量のバ
インダーによって処理された忌避性繊維製品類は、繊維
製品類に対する忌避剤含有微粒子の固着が強化され、忌
避剤放散による忌避作用は、バインダー処理が行われな
いものとほとんど変わらず、長期に亙って維持される。
【0079】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明するが、勿論、
本発明はこれらに限定されるものではない。
【0080】実施例1 まず綿Tシャツ(天竺120部)を精練して糊や不純物
を取り除いた。次に、水2400部(浴比 1:2
0)、次式のモノマー単位からなる高分子窒素カチオン
化合物5部
【0081】
【化3】
【0082】及びエチレングリコール10部からなる高
分子窒素カチオン化合物含有水溶液に前記の精錬したT
シヤツを浸漬し、徐々に昇温して70℃で15分間処理
した。
【0083】続いてTシャツを水でよくすすいで余分な
高分子窒素カチオン化合物やその他の添加物を取り除い
た後、脱水した。次に、製造例1で得た忌避剤内包マイ
クロカプセル分散液10部を水2400部中に分散した
分散液中に、脱水されたTシャツを浸漬し、その液温を
徐々に昇温させて70℃で15分間処理することによ
り、忌避剤内包マイクロカプセルがTシャツに吸尽され
た。
【0084】続いてこのTシャツを水でよくすすぎ、脱
水した後自然乾燥し、次いでタンブラー乾燥機により1
30℃で2分間の熱処理を行なった。このようにして得
られたTシャツは、風合い及び感触が損なわれておら
ず、着用中の軽い動作によって忌避効力を発し、蚊等の
害虫を寄せ付けなかった。そしてこの機能はTシャツを
繰り返し洗濯しても失われることがなかった。
【0085】実施例2 綿Tシャツ120部に忌避剤内包マイクロカプセルを吸
尽させ、このTシャツをすすぎ、脱水するまでの工程
は、実施例1と同様に行なった。
【0086】次いで、水2400部及びアクリル酸エス
テル系樹脂エマルジョンバインダー(松井色素化学工業
所社製、商品名:マツミンゾールMR−10)6部(固
形分:約1.8部)の混合液中に脱水されたTシャツが
浸漬された状態で、その液を徐々に昇温させ、70℃で
15分間処理した後、Tシャツを脱水乾燥した。
【0087】このようにして得られたTシャツは、実施
例1と同様の機能を示し、感触及び風合いも実施例1と
ほとんど遜色なく良好で、而も耐洗濯性は更に向上にし
た。
【0088】実施例3 製造例1で得た忌避剤内包マイクロカプセル分散液10
部を水2400部中に分散した分散液中に、感温変色性
色素(松井色素化学工業所社製、クロミカラーアクアラ
イトインキファーストブルーAQ−27)15部を更に
分散させ、綿シャツに対して忌避剤内包マイクロカプセ
ルと感温変色性色素を同時に吸尽させること以外は実施
例1と同様に処理した。
【0089】このようにして得られたTシャツは、風合
い及び感触が損なわれておらず、着用時の軽い動作によ
って忌避効力を発し蚊等の害虫を寄せ付けず、また、体
温によるTシャツの温度の上昇につれて青色から白色へ
と変化した。そしてこのような忌避作用及び可逆変色機
能は、Tシャツを繰り返し洗濯しても失われることがな
かった。
【0090】実施例4 まず開反していない綿織物40部を裏返し、水及び精練
剤と共に容量1000リットルの液流染色機に投入し、
精錬して糊や不純物を取り除いた。水ですすいで、排水
した後、綿織物収容のこの液流染色機内に水800部を
投入し(浴比1:20)、更に実施例1と同様の高分子
窒素カチオン化合物2部を徐々に加え、この混合液を昇
温して70℃で15分間処理した。
【0091】続いてこの綿織物を水でよくすすいで余分
な高分子窒素カチオン化合物やその他の添加物を取り除
いた後、排水した。次に、綿織物収容のこの液流染色機
内に水800部を加え、更に製造例1で得た忌避剤内包
マイクロカプセル分散液5部及びアクリル酸エステル系
樹脂エマルジョンバインダー(松井色素化学工業所社
製、商品名:マツミンゾールMR−C)2部を徐々に添
加して分散させた後、昇温させて70℃で15分間処理
した。
【0092】続いてこの綿織物を水でよくすすぎ、排水
した後、プレス乾燥機で乾燥した。この綿織物を縫製し
て得られたTシャツは、元の綿織物の風合い及び感触が
損なわれておらず、着用中の軽い動作によって忌避効力
を発し、蚊等の害虫を寄せ付けなかった。そしてこのよ
うな機能はTシャツを繰り返し洗濯しても失われること
がなかった。
【0093】実施例5 ポリエステル/綿混紡織物30部を水及び精練剤と共に
容量1000リットルの液流染色機内に投入して精練
し、糊や不純物を取り除いた後、水ですすぎ、排水し
た。次に、前記混紡織物収容のこの液流染色機内に水6
00部を投入し、更に次式のモノマー単位からなる高分
子窒素カチオン化合物
【0094】
【化4】
【0095】1部を徐々に加え、これを60℃で15分
間処理した後、前記混紡織物をよくすすぎ、排水した。
次に、この混紡織物を収容した液流染色機内に水600
部を注ぎ、製造例3で得られた徐放性忌避剤含有固溶体
微粒子内包マイクロカプセルの分散液10部を加えて分
散させた。そして徐々に昇温して15分間処理した後、
この混紡織物をよくすすいで脱水した。
【0096】次いで、前記混紡織物収容の液流染色機内
に水600部とポリウレタン樹脂エマルジョンバインダ
ー(大日本インキ化学工業社製、商品名:ハイドランA
P−20)3部を加えて溶解させ、この溶液を徐々に昇
温して70℃で15分間処理した後、混紡織物をすす
ぎ、乾燥させた。
【0097】この混紡織物を縫製して得られたシーツ
は、睡眠時の寝返り等の圧力及び摩擦により忌避剤内包
マイクロカプセルが破壊されて忌避効力を発し、使用者
は蚊等の害虫に安眠を妨害されることなく熟睡すること
ができた。シーツの感触、風合い及び耐洗濯性は何れも
良好であった。
【0098】実施例6 アクリル製シャツ(120部)を精練し、糊や不純物を
取り除いた。次に、水2400部(浴比1:20)と、
実施例1と同様の高分子窒素カチオン化合物4部とから
なる水溶液中に、前記の精練したシャツを浸漬し、水溶
液を徐々に昇温して60℃で15分間処理した。続いて
シャツをよくすすいで余分な高分子窒素カチオン化合物
やその他の添加物を取り除いた後、脱水した。
【0099】次に、水2400部、製造例1で得た忌避
剤内包マイクロカプセル分散液10部、及びアクリル酸
エステル系樹脂エマルジョンバインダー(松井色素化学
工業所社製、商品名:マツミンゾールMR−C)12部
の混合分散液に、脱水したシャツを浸漬し、分散液を徐
々に昇温して70℃で15分間処理した。
【0100】続いてこのシャツをよくすすぎ、脱水した
後自然乾燥し、次いでタンブラー乾燥機により140℃
で1分間の熱処理を行なった。このようにして得られた
シャツは、着用中の軽い動作によって忌避効力を発し、
その機能はシャツを繰り返し洗濯しても失われることは
なかった。また、シャツの風合い及び感触は良好であっ
た。
【0101】実施例7 水2400部、実施例1と同様の高分子窒素カチオン化
合物3部、及びアクリル酸エステル系樹脂エマルジョン
バインダー(松井色素化学工業所社製、商品名:マツミ
ンゾールMR−C)15部からなる水溶液中に、一般の
捺染インキを用いてスクリーン型にて花柄模様が印捺さ
れた綿Tシャツ(120部)を浸漬し、液温を徐々に昇
温して70℃で15分間処理した。続いてこのTシャツ
をすすぎ、脱水した。
【0102】次に、水2400部及び製造例4で得た忌
避剤内包マイクロカプセル分散液20部からなる分散液
中に脱水したTシャツが浸漬された状態で、徐々に液温
を昇温し、80℃で15分間処理した。
【0103】このようにして得られたTシャツは、着用
中の軽い動作によってマイクロカプセルが破壊されて、
有効且つ持続的な忌避効力を発すると同時に、花の香り
が辺りに広がった。而もこれらの機能はTシャツを繰り
返し洗濯しても失われなかった。またTシャツの感触及
び風合いは良好であった。
【0104】実施例8 水800部、実施例5と同様の高分子窒素カチオン化合
物2部及びエチレングリコール5部の混合液に、精練し
た原綿40部を浸漬し、液温を徐々に昇温して70℃で
15分間処理した後、原綿を水でよくすすぎ、脱水し
た。
【0105】次に、水800部と製造例2で得られた徐
放性の忌避剤含有固溶体微粒子の分散液12部からなる
分散液中に前記原綿が浸漬された状態で、この分散液を
徐々に昇温して70℃で15分間処理した。次に、この
原綿をよくすすぎ、脱水した後十分乾燥した。
【0106】このようにして得られた原綿を敷布団の中
綿に使用したところ、長期に亙って有効な防虫効果及び
害虫忌避効果を発した。
【0107】実施例9 製造例2で得られた徐放性の忌避剤含有固溶体微粒子に
代えて製造例6で得られた徐放性の忌避剤含有固溶体微
粒子を用いると共に、原綿を軟質のポリウレタンフォー
ムに代えて、実施例8と同様に処理した。このようにし
て得られたポリウレタンフォームは防虫作用及び害虫忌
避作用を有するクッション材として利用でき、その忌避
効力は長期に亙って維持された。
【0108】実施例10 実施例8における原綿を不織布40部に代えて、実施例
8と同様に処理した。このようにして得られた不織布を
衣服芯地として使用したところ、長期に亙って有効な防
虫効果及び害虫忌避効果を発した。
【0109】実施例11 精練された綿織物100部に対し、実施例5と同様の高
分子窒素カチオン化合物2部の1000倍希釈水溶液を
噴霧し、次いでその綿織物に対し70℃で15分間の蒸
熱処理を行なった後、余分な窒素カチオン化合物を取り
除いて脱水した。
【0110】別に、アクリル酸エステル共重合物(固形
分:38%(w/w) )12部及びヒドロキシエチルセルロ
ース1%(w/w) を含有する水中油滴型エマルジョン6
6.5部、トリメチルメチロールメラミン樹脂水溶液1
部及び塩化アンモニウム30%(w/w) 水溶液0.5部の
混合物に、製造例5で得た青色着色の忌避剤内包マイク
ロ微粒子分散液状体25部を混合して、青色捺染ペース
トを得た。
【0111】次に、上記のカチオン化された綿織物に対
し、スクリーン型を使用して上記捺染ペーストにて市松
模様を印捺し、60℃で3分間温風乾燥した後、150
℃で30秒間乾熱処理を行なった。このようにして得ら
れた綿織物を縫製して得られた綿シャツは、その模様部
分から忌避効力を発し、繰り返し洗濯してもその効力は
失われなかった。また、綿シャツの風合い及び感触は良
好であった
【0112】比較例1 製造例1で得た忌避剤内包マイクロカプセル分散液に代
え、界面活性剤を含む水185部中にN,N−ジエチル
−m−トルアミド15部を乳化した乳化液10部を使用
する以外は、実施例1と同様にして綿Tシャツを処理し
た。
【0113】得られた綿Tシャツは、乾燥工程中に忌避
剤成分が失われてしまい、ほとんど忌避作用を示さなか
った。
【0114】比較例2 高分子窒素カチオン化合物を用いないこと以外は全て実
施例1と同様にして綿Tシャツを処理した。このように
して得られたTシャツは、忌避剤内包マイクロカプセル
が、Tシャツにほとんど吸着しないため、実質上忌避作
用を示さないものであった。
【0115】比較例3 実施例1におけるものと同様のTシャツを同じく精練し
て糊や不純物を取り除いた。次いで、水2400部、製
造例1で得た忌避剤内包マイクロカプセル分散液100
部、アクリル酸エステル系樹脂エマルジョンバインダー
(松井色素化学工業所社製、商品名:マツミンゾールM
R−10)120部の混合液にて、2Dip2Nip方
式により、カチオン化処理されていない前記Tシャツを
処理した。このようにして得られたTシャツは、ほとん
ど忌避作用を示さず、而もごわごわした感触で、商品価
値のないものであった。
【0116】[忌避効果比較試験]実施例1、比較例
1、比較例2及び比較例3において得られた製品を半円
形に裁断してそれぞれ試験区Aとし、実施例1において
用いた綿Tシャツと同様の綿生地に対して精練のみ施し
たものを半円形に裁断して無処理区Bとし、各試験区A
と無処理区Bとを軽く縫合して図1に示されるような直
径9cmの円形の試験布を4種類作成した。この試験布
を内径9cmのシャーレ内に敷き、コナヒョウヒダニを
用いて忌避効果試験を行なった。
【0117】試験方法 作成後24時間経過した各試験布を、試験を行う直前に
5秒間肌で摩擦した後、シャーレ内に敷き、試験布上に
約100匹のコナヒョウヒダニを入れ、シャーレの上部
開口をガーゼで覆って室温30℃の恒温室内で30分間
放置した後、忌避率を求めた。
【0118】忌避率は、 [(無処理区B上のダニ数−試験区A上のダニ数)/全
ダニ数]×100% として求め、0以下の値は全て0%とした。また、試験
布上の死亡個体は忌避されたものとみなし、上記式中の
無処理区B上のダニ数に加えた。
【0119】試験1 上記試験方法により、摩擦回数毎に忌避率を求めたとこ
ろ、実施例1による製品は摩擦回数が100回を越えて
も90%以上の忌避率を示した。比較例1による製品
は、ほとんど忌避作用を示さなかった。比較例2及び比
較例3による製品は、それぞれ摩擦回数が少ない場合に
おいてのみわずかに忌避作用を示したが、摩擦回数が1
0回を越えると忌避作用を示さなくなった。試験1の結
果を表1に示す。
【0120】
【表1】
【0121】試験2 試験布を繰り返し洗濯し、洗濯回数毎に上記試験方法に
より忌避率を求めた。実施例1による製品は、洗濯を繰
り返しても忌避効力は低下せず、常に90%以上の高い
忌避率を示した。比較例1による製品は、ほとんど忌避
作用を示さなかった。比較例2及び比較例3による製品
は、それぞれ最初においてのみわずかに忌避作用を示し
たが、洗濯を繰り返すと忌避率が低下し、洗濯回数が1
0回を越えると忌避作用を示さなくなった。試験2の結
果を表2に示す。
【0122】
【表2】
【0123】忌避効果比較試験の結果及び製品の感触・
風合いをまとめると表3のようになる。表中の○は良好
であることを示し、×は不良であることを示す。
【0124】
【表3】
【図面の簡単な説明】
【図1】試験布の平面図である。
【符合の説明】 A 試験区 B 無処理区
フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 7199−3B D06M 21/04

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】繊維製品類に対し、高分子窒素カチオン化
    合物含有液状体でカチオン化処理を行う工程と、高分子
    化合物中に少なくとも有害動物に対する忌避剤を含有し
    てなる忌避剤含有微粒子を前記繊維製品類に固着させる
    ために、カチオン化処理された繊維製品類に対し、忌避
    剤含有微粒子が分散した微粒子分散液状体で微粒子固着
    処理を行う工程とを有してなる忌避性繊維製品類の製造
    法。
  2. 【請求項2】繊維製品類に対する忌避剤含有微粒子の固
    着を強化するために、その繊維製品類の風合い及び感触
    を損なわない量のバインダーで繊維製品類に対しバイン
    ダー処理を行う工程を有する請求項1記載の忌避性繊維
    製品類の製造法。
  3. 【請求項3】カチオン化処理とバインダー処理を実質上
    同時に行う請求項2記載の忌避性繊維製品類の製造法。
  4. 【請求項4】高分子窒素カチオン化合物含有液状体にお
    ける高分子窒素カチオン化合物の少なくとも一部がカチ
    オン性バインダーである請求項3記載の忌避性繊維製品
    類の製造法。
  5. 【請求項5】微粒子固着処理とバインダー処理を実質上
    同時に行う請求項2記載の忌避性繊維製品類の製造法。
  6. 【請求項6】忌避剤含有微粒子が着色剤により着色され
    たものである請求項1、請求項2、請求項3、請求項4
    又は請求項5記載の忌避性繊維製品類の製造法。
  7. 【請求項7】微粒子分散液状体が着色剤を含有するもの
    である請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求
    項5又は請求項6記載の忌避性繊維製品類の製造法。
  8. 【請求項8】高分子窒素カチオン化合物含有液状体でカ
    チオン化処理された繊維製品類に、高分子化合物中に少
    なくとも有害動物に対する忌避剤を含有してなる忌避剤
    含有微粒子が固着した忌避性繊維製品類。
  9. 【請求項9】繊維製品類の風合い及び感触を損なわない
    量のバインダーによって処理されることにより忌避剤含
    有微粒子の繊維製品類に対する固着が強化された請求項
    8記載の忌避性繊維製品類。
  10. 【請求項10】忌避剤含有微粒子が着色剤により着色さ
    れたものである請求項8又は請求項9記載の忌避性繊維
    製品類。
  11. 【請求項11】カチオン化処理された繊維製品類に、忌
    避剤含有微粒子と共に着色剤が固着した請求項8、請求
    項9又は請求項10記載の忌避性繊維製品類。
JP5037582A 1993-02-01 1993-02-01 忌避性繊維製品類及びその製造法 Pending JPH06228888A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008537028A (ja) * 2005-04-22 2008-09-11 ウニベルシダージ ド ミーニョ 繊維に結合する反応性官能基を有するマイクロカプセル及びその使用方法
JP2016077201A (ja) * 2014-10-15 2016-05-16 株式会社Toscom 害虫忌避衣類及びその製造方法

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