JPH06227820A - 新規マンガン酸化物及びその製造方法並びにその用途 - Google Patents
新規マンガン酸化物及びその製造方法並びにその用途Info
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- JPH06227820A JPH06227820A JP5185151A JP18515193A JPH06227820A JP H06227820 A JPH06227820 A JP H06227820A JP 5185151 A JP5185151 A JP 5185151A JP 18515193 A JP18515193 A JP 18515193A JP H06227820 A JPH06227820 A JP H06227820A
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Abstract
材、磁性材料への適用が期待できる新しいスピネル型、
層状型、及びスピネル型と層状型の両方の結晶構造を併
せ持つ結晶構造を示す新規なマンガン酸化物を提供し、
さらにこれらのマンガン酸化物の少くとも一種を正極に
用いることで、高出力、高エネルギー密度で、充放電の
サイクル可逆性が良好なリチウム二次電池を提供する。 【構成】一般式AxMn2O4・nH2O( ただし、AはZ
n,Mg,Ca,Coのいづれかであり、AがZnの場
合は、0<X<1でn=0,AがMg,Caの場合は、
0≦X≦1で0≦n≦5,AがCoの場合は0<X≦1
でn=0) で表せるスピネル型及び層状型、更にはスピ
ネル型と層状型の両方の結晶構造を併せ持つ結晶構造を
示す新規なマンガン酸化物とその製造方法及びこれらマ
ンガン酸化物の中の少なくとも1種を正極に用いるリチ
ウム二次電池。
Description
その製造方法及びこれを用いるリチウム二次電池に関す
るもので、更に詳しくは、一般式AxMn2O4・nH2O
( ただし、AはZn,Mg,Ca,Coのいづれかであ
り、AがZnの場合は、0<X<1でn=0,AがM
g,Caの場合は、0≦X≦1で0≦n≦20,AがC
oの場合は0<X≦1でn=0) で表せるスピネル型、
層状型、無定形型の結晶構造又はスピネル型と層状型の
両方を併せ持つ結晶構造を示す新規なマンガン酸化物と
その製造方法及びこれらマンガン酸化物の中の少なくと
も一種を正極に用いるリチウム二次電池に関するもので
ある。
ンガン酸化物は、結晶構造中にイオンが移動できる経路
を有することから、ホスト化合物としての機能が期待さ
れる。さらに、マンガン原子は連続的かつ可逆的な価数
変化が可能なことから、酸化還元能とホスト化合物とし
ての機能を併せ持つ有望な材料である。
電池活物質、触媒、吸着材、磁性材料としての適用が期
待される材料である。
ネルギー密度な電池としてその実用化が期待されている
新型二次電池である。
形態を持つ化合物である。例えば、二酸化マンガンにお
いてはα型、β型、γ型、λ型、δ型などの結晶形態を
示す。β型の二酸化マンガンでは、MnO6八面体が稜
を共有してC軸方向に3次元的につながった単鎖を形成
し、( 110) 方向に向って( 1×1) のトンネル構造
が発達している。これと同様に、γ型の二酸化マンガン
では、MnO6八面体が二重鎖をつくり、この二重鎖が
稜を共有してC軸方向に3次元的につながり、(11
0) 方向に沿った( 1×2) のトンネル構造を持ち、α
型の二酸化マンガンも( 2×2) や( 3×2) のような
2次元的に発達したトンネル構造を持つ。一方、λ型の
二酸化マンガンでは、( 1×1) のトンネルが3次元的
につながったトンネル構造を持ち、スピネル型結晶構造
に帰属される結晶形態を示す。
面体位置及び四面体位置にカチオンが入るサイトがあ
り、さらにこのサイトが三次元的に連なっている。
面体サイトをMn原子が占有して四面体サイトをZnが
占めている化合物である。この化合物からスピネル型結
晶構造を維持した状態でZnを除去することができれ
ば、結晶構造中にカチオンを収容できるサイトが形成
し、またMn原子は連続的かつ可逆的な価数変化が可能
である。従って、この化合物は、ホスト化合物として有
効な材料になる。
オンの収容できるサイトの2/3をマンガン原子が占有
し、残りの1/3のサイトが全て空の状態にある前述の
λ型二酸化マンガンとなり、外部から結晶構造中へ収容
できるカチオンの量が最大になる。
型結晶構造を維持したままでZnを除去することができ
なかったために、ZnMn2O4はそのままの状態で、例
えばフェライト用原料として用いられるのみに留まって
おり、ホスト化合物としての適用が成されていなかっ
た。
マンガン合成に関する種々の検討が成されてきたが、本
来の機能を十分に発揮できる材料にはなっていない。例
えば、これまでに提案されているスピネル型構造のλ型
二酸化マンガンは、高温で焼成したマンガンスピネル化
合物を酸処理する方法で合成されている。
駆体としてβ型二酸化マンガンとLi2CO3の粉末をL
i:Mn=1:2( モル比) で固相混合して、空気中で
850℃で焼成する方法で得られたLiMn2O4を、硫
酸処理することでLiを除去してスピネル型結晶構造の
二酸化マンガンを合成している。
ば、この方法で得られるスピネル型構造の二酸化マンガ
ンは、前駆体のLiMn2O4を硫酸処理することでLi
を除去しているために、得られる化合物は、Liとプロ
トンとがイオン交換した、プロトン型のスピネル型結晶
構造のマンガン酸化物である。従って、ホスト化合物と
しての本来の用途に対して極めて限られた分野への適用
のみに制限される化合物である。
化マグネシウム水溶液と塩化マンガン水溶液とをMg:
Mn=1:2( モル比) で混合し、混合液にアンモニア
を添加してMgとMnの混合水酸化物を生成させ、生成
物をろ過した後にこれを700℃で焼成する方法で得ら
れたMgMn2O4を硝酸で処理してMgを除去させる方
法で、スピネル型構造の二酸化マンガンを合成してい
る。しかし、LiMn2O4の場合と同様な理由から、ス
ピネル型構造の二酸化マンガンの持つ本来の機能を十分
に発揮できる材料にはなっていないという問題があっ
た。
稜を共有して2次元的につながった結晶形態を持ち、別
の見方をすると六方最密充填した酸素の一層おきにMn
原子が並んだ層状構造を示す。
ては、Birnessiteとして存在している。
Electroanal.Chem.Vol.222.
p.101−117( 1987) にも記載されているよ
うに、Mn2+水溶液の水酸化ナトリウム中和により生成
した水酸化マンガンを、0℃付近の低温で通気酸化する
ことによって得られるナトリウムBirnessite
が知られている。この酸化物は、前述したように、六方
最密充填した酸素の一層おきにMn原子が並んだ層状構
造を持つ。Mn原子が空の層の酸素原子間での静電反発
によって層が形成され、通常この層の間にナトリウムな
どの+1価カチオンが入ることで、静電反発を打消して
結晶構造が安定化している。また、カチオン挿入の際
に、水和水として一部水分子も取込まれている。
は、酸素間の静電反発によって生じる層の間にカチオン
を取込むことが可能であり、さらに層状構造であること
から、可逆的な層間へのカチオンの挿入・脱離が可能と
考えられ、ホスト化合物としての応用が期待される材料
である。
に、0℃付近で合成することが必要であり、工業化に関
しては不利なプロセスであったことから、層状構造のマ
ンガン酸化物がホスト化合物として実用化されるまでに
は至っていなかった。
SP−4,520,005号では、合成時に、BiやP
bのイオンを溶液中にナトリウムイオンと共存させるこ
とで、常温でBiやPbが層間に挿入したBirnes
siteの合成を可能にしている。この特許は、Bir
nessiteのアルカリ二次電池正極活物質への応用
を目的にしたものであるが、高価なBiやPbを用いて
いるために、製造コストが上昇するといった問題があっ
た。
は、ホスト化合物としての応用が期待される材料であり
ながら、実用化までには至っていなかった。
が、前述のナトリウムBirnessiteのように層
状構造の発達したものではなく、層状構造を示す微結晶
の集合体と考えられている。δ型の二酸化マンガンは、
例えば、過マンガン酸カリウムと塩酸とを混合して得ら
れた沈殿を、250℃で焼成して得る方法の様な公知の
方法で製造される。しかしながら、公知の安定なδ型二
酸化マンガンは、Mnの酸化度が1.5から1.8程度
の狭い範囲にしか存在しない。従って、Mnの低い酸化
度は結晶構造から期待される機能の発揮を阻害する。
ない、小型、軽量で、エネルギー密度の高い二次電池の
開発が強く要望されている。
にリチウム又はリチウムを吸蔵・放出可能な物質を用い
るリチウム二次電池が提案されている。
デン、バナヂウム、ニオブ、チタン、ニッケル、コバル
トなどの酸化物及び硫化物が主に検討されているが、一
部を除き、実用化される段階までには至っていない。ま
た、マンガン酸化物も有望な正極材料として研究が進め
られているが、リチウム一次電池用正極への適用にとど
まっており、リチウム二次電池用正極としては実用化さ
れていない。
使用した場合、充放電によるリチウムイオンの結晶構造
中への進入・放出によって、結晶構造が膨張又は収縮す
る。これまでのリチウム一次電池に用いられてきた二酸
化マンガンでは、この結晶構造の膨張収縮の繰返しによ
って結晶構造が崩壊し、著しい放電容量の低下を招くた
め、二次電池化は困難である。従って、リチウムイオン
の結晶構造中への進入・放出のサイクルに対しても結晶
構造が崩壊しないマンガン酸化物が必要であった。
造や層状構造のような、結晶構造内にリチウムイオンが
収容できるサイトを有し、このサイトがトンネル状につ
ながった結晶構造のマンガン酸化物が検討されるように
なった。
しては、これまでにも種々の検討がなされており、例え
ば前述したようなLiMn2O4等が正極材料として提案
されている。しかし、本発明者らの検討によれば、これ
までに提案されているスピネル型結晶構造のマンガン酸
化物は、いづれも出力、利用率がともに低く、充放電の
可逆性が不十分という問題があることが分った。
のリチウムイオンの移動がより容易と考えられる層状構
造のマンガン酸化物やδ型結晶構造のマンガン酸化物に
関しての検討は、これまで二次電池正極材料として適当
な材料がなかったために、皆無に等しい状況である。
問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、ホス
ト化合物として、電池活物質、触媒、吸着材、磁性材料
への適用が期待できる新しいスピネル型、層状型、無定
形型結晶構造及びスピネル型と層状型の両方を併せ持つ
結晶構造を示す新規なマンガン酸化物とその製造方法を
提供し、さらにこれらの酸化物の少なくとも一種を正極
に用い、高出力、高エネルギー密度で、充放電のサイク
ル可逆性が良好なリチウム二次電池を提供することにあ
る。
を解決するために鋭意検討を重ねた結果、モル比でAの
水酸化物( Aは、Zn,Mg,Ca,Coのいづれか)
が1に対して水酸化マンガンを2含む混合物のアルカリ
水溶液を酸化し、また、得られた化合物を酸化処理する
ことによって、ホスト化合物として、電池活物質、触
媒、吸着材、磁性材料へ適用が可能な一般式AxMn2O
4・nH2O( ただし、AはZn,Mg,Ca,Coのい
づれかであり、AがZnの場合は、0<X<1でn=
0, AがMg,Caの場合は、0≦X≦1で0≦n≦
20,AがCoの場合は0<X≦1でn=0) で表せる
スピネル型、層状型、無定形型又はスピネル型と層状型
の両方を併せ持つ結晶構造を示す新規なマンガン酸化物
が提供でき、これらマンガン酸化物の中の少なくとも一
種を正極に用いた場合、高出力、高エネルギー密度であ
り、更に充放電のサイクル可逆性が良好なリチウム二次
電池が構成できることを見出し、本発明を完成するに至
った。
nMn2O4から酸化処理によってZnを除去すること
で、一般式ZnxMn2O4(0<X<1) で表せるスピ
ネル型結晶構造のマンガン酸化物を製造することができ
ることを見出し、このマンガン酸化物を正極に用いた場
合、高出力、高エネルギー密度であり、更に充放電のサ
イクル可逆性が良好なリチウム二次電池が構成できるこ
とを見出した。
のZnMn2O4を出発原料とした場合、従来の方法では
得ることができない、BET比表面積が100m2/g
以上のスピネル型結晶構造の二酸化マンガンが合成でき
ることを見出し、これを正極に用いた場合、高出力、高
エネルギー密度であり、更に充放電のサイクル可逆性が
良好なリチウム二次電池が構成できることを見出した。
に対して水酸化マンガンを2含む混合物を、アルカリ水
溶液中で酸化することで、常温で、MgとMnとからな
る酸化物であって、Mg:Mnモル比が1:2の酸化物
としては、これまでに示されていない新規な面間隔を有
する新しい層状構造のマンガン酸化物が合成できること
を見出した。なお、面間隔は、X線回折角からブラッグ
の式を用いて容易に求めることができる。
ことで、一般式MgxMn2O4・nH2O(0<X<1,
0≦n≦20) で表せる層状構造のマンガン酸化物を製
造することができることを見出し、これを正極に用いた
場合、高出力、高エネルギー密度であり、更に充放電の
サイクル可逆性が良好なリチウム二次電池が構成できる
ことを見出した。
対して水酸化マンガンを2含む混合物を、アルカリ水溶
液中で酸化することで、CaとMnとからなる酸化物で
あって、Ca:Mnモル比が1:2の酸化物としては、
これまでに示されていない無定形型である結晶構造を示
す新しいマンガン酸化物が合成できることを見出した。
ことで、一般式CaxMn2O4・nH2O(0<X<1,
0≦n≦20) で表せるδ型結晶構造のマンガン酸化物
を製造することができることを見出し、これを正極に用
いた場合、高出力、高エネルギー密度であり、更に充放
電のサイクル可逆性が良好なリチウム二次電池が構成で
きることを見出した。
して水酸化マンガンを2含む混合物を、アルカリ水溶液
中で酸化することで、CoとMnとからなる酸化物であ
って、Co:Mnモル比が1:2の酸化物としては、こ
れまでに示されていない層状型とスピネル型の結晶構造
からなる新しいマンガン酸化物が合成できることを見出
した。さらに、酸化処理によってCoを除去すること
で、一般式CoxMn2O4(0<X<1) で表せる層状
型とスピネル型二酸化マンガンからなる新しいマンガン
酸化物を製造することができることを見出し、これを正
極に用いた場合、高出力、高エネルギー密度であり、更
に充放電のサイクル可逆性が良好なリチウム二次電池が
構成できることを見出した。
O4・nH2O( ただし、Aは Zn,Mg,Ca,Co
のいづれかであり、AがZnの場合は、0<X<1でn
=0,AがMg,Caの場合は、0≦X≦1で0≦n≦
20,AがCoの場合は0<X≦1でn=0) で表わさ
れ、スピネル型、層状型結晶構造及びスピネル型と層状
型の両方を併せ持つ結晶構造を有する新規なマンガン酸
化物とその製造方法及びこれらマンガン酸化物の中の少
なくとも一種を正極に用いるリチウム二次電池に関する
ものである。
O( ただし、AはZn,Mg,Ca,Coのいづれかで
あり、AがZnの場合は、0<X<1でn=0,AがM
g,Caの場合は、0≦X≦1で0≦n≦20,AがC
oの場合は0<X≦1でn=0) で表せることを特徴と
するマンガン酸化物は、結晶構造内にイオンの移動経路
と収容サイトを有し、ホスト化合物としての機能が期待
される。さらに、マンガン原子は連続的かつ可逆的な価
数変化が可能なことから、酸化還元能とホスト化合物と
しての機能を併せ持つ有望な材料である。
<X<1) で表されるスピネル型結晶構造のマンガン酸
化物は、ZnMn2O4で表されるスピネル型結晶構造の
マンガン酸化物から、酸化処理によってZnを除去する
ことにより得られる。
のZnMn2O4を用いた場合には、これまで得られてい
ないBET比表面積が100m2/g以上のスピネル型
結晶構造に帰属されるλ型の二酸化マンガンが得られ
る。
通のスピネル型結晶構造のマンガン酸化物であり、最密
充填した酸素の八面体位置にMn原子が入り、四面体位
置にZn原子が入った結晶構造を持つものである。
方法において、アルカリ水溶液中におけるMnとZnの
混合水酸化物を通気酸化し、得られるZnMn2O4を酸
化処理することが重要である。
比で2:1の割合で溶解している水溶液に等量以上のア
ルカリ溶液を加えた後、生じた水酸化物を通気酸化する
方法で得られたZnMn2O4を、Mnを+4価までに酸
化できる方法で酸化処理することで達成される。なお、
ここで得られたZnMn2O4は、加熱処理によって結晶
性を向上させてもよい。その通気酸化は、空気及び/又
は酸素を溶液中に吹き込む方法で行う。
しては、例えば、化学的に又は電気化学的に酸化するこ
とが挙げられ、具体的には、Mnを+4価までに酸化で
きる酸化剤を少なくとも一種類以上溶解した溶液でZn
Mn2O4を処理する方法、アノード室とカソード室を分
離した電解槽のアノード側にZnMn2O4を懸濁させた
溶液を配し、アノード電極上で酸化する方法等が例示さ
れる。
+4価までに酸化できる機能を有するものであれば特に
限定されるものではなく、例えば、過硫酸ナトリウム,
過硫酸カリウム,過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩、
過酸化水素、塩素等が例示される。
理することでZnを除去する方法が検討されているが、
この方法では、Znの除去以外にMnの溶解が起り、ス
ピネル型結晶構造が維持されず、γ型の二酸化マンガン
になる。或いは、一部、Znが除去された場合でも、Z
nの代りにH+が導入された、プロトン型のスピネル型
結晶構造となり、本発明で目指しているような、ホスト
化合物として機能する化合物にはならない。
4価までに酸化できる方法で処理した場合、Mnの酸化
とZnの除去が同時に進行し、Znが除去されたスピネ
ル型結晶構造のマンガン酸化物が得られる。特に、BE
T比表面積が10m2/g以上のZnMn2O4を用いた
場合には、BET比表面積が100m2/g以上のスピ
ネル型結晶構造に帰属されるλ型の二酸化マンガンが得
られる。
0≦n≦20) で表される、モル比でMg:Mn比が
1:2の酸化物はこれまで確認されていない結晶構造を
持つ酸化物である。
しては、MgMn2O4組成のスピネル型結晶構造のマン
ガン酸化物が唯一知られているだけである。
ル型結晶構造ではなく、ナトリウムBirnessit
eに類似し、7.14オングストロームを初めとして種
々の面間隔からなる層状構造のマンガン酸化物である。
層状構造においては、六方最密充填した酸素の一層おき
にMn原子が並んでいる。
層状マンガン酸化物は、モル比で水酸化マグネシウムが
1に対して水酸化マンガンを2含む混合物を、アルカリ
水溶液中で酸化する方法で合成することが重要である。
アルカリ水溶液中で酸化することによって、層状構造の
モル比でMg:Mn比が1:2の酸化物が合成できる。
らに、常温で合成できることから、低い製造コストで層
状のマンガン酸化物が合成できる。
ち、空気及び/又は酸素を溶液中に吹込むことで水酸化
マンガンが酸化されて、Mgと複合化した層状構造のマ
ンガン酸化物が得られる。
≦n≦20) で表される、層状構造のマンガン酸化物
の、層間のMg原子の一部又は全部を除去したものが、
本発明の一般式MgxMn2O4・nH2O( 0≦X<1、
0≦n≦20) で表せる層状構造のマンガン酸化物であ
る。
n2O4・nH2O( 0≦x<1,0≦n≦20) で表さ
れるマンガン酸化物は、一般式MgMn2O4・nH2O
( 0≦n≦20) のマンガン酸化物から、層間のMg原
子の一部又は全部を除去したものであり、層間にカチオ
ンの入る空のサイトを有する構造を有する。
からのMgの除去は、一般式ZnxMn2O4(0<X<
1) で表されるスピネル型結晶構造のマンガン酸化物の
製造と同様な方法で達成される。即ち、Mnを+4価ま
でに酸化できる方法で酸化処理することで達成される。
いるが、この方法では、層間のカチオンとプロトンとが
交換したプロトン型の層状マンガン酸化物となるため
に、幅広い分野で活用できる材料にはならない。
0≦n≦20) で表される、モル比でCa:Mn比が
1:2の酸化物ではこれまで確認されていない結晶構造
を持つ酸化物である。
しては、CaMn2O4組成のスピネル型結晶構造に帰属
されるマンガン酸化物が知られているだけである。
ル型結晶構造ではなく、面間隔が4.8オングストロー
ムと3.1オングストロームに対応するX線回折位置付
近に、極めて弱くブロードなX線回折ピークを示す以外
は回折ピークを持たず、特定の結晶対称性を示すことの
ない無定形の結晶構造を有する酸化物である。なお、前
述したように、面間隔は、X線回折ピークの位置からブ
ラッグの式を用いて容易に求めることができる。
無定形のマンガン酸化物を得る為には、モル比で水酸化
カルシウムが1に対して水酸化マンガンを2含む混合物
を、アルカリ水溶液中で酸化することが重要である。
物をアルカリ水溶液中で酸化することによって、Ca:
Mnモル比が1:2で無定形の酸化物が合成できる。
≦n≦20) で表される層状構造のマンガン酸化物の合
成と同様に、その酸化は通気により実施される。即ち、
空気及び/又は酸素を溶液中に吹込むことで、その水酸
化物が酸化され、Caと複合化された無定形構造のマン
ガン酸化物が得られる。
20) で表される、無定形のマンガン酸化物の、Ca原
子の一部又は全部を除去したものが、本発明の一般式C
axMn2O4・nH2O( 0≦X<1、0≦n≦20) で
表せるδ型構造のマンガン酸化物である。
の無定形型マンガン酸化物からのCaの除去は、一般式
ZnxMn2O4(0<X<1) で表されるスピネル型結
晶構造のマンガン酸化物の製造と同様な方法で達成され
る。即ち、Mnを+4価までに酸化できる方法で酸化処
理により実施される。
CaMn2O4・nH2O( 0≦n≦20) のマンガン酸
化物のCa原子の一部または全部を除去することで、結
晶構造が無定形から未発達な層状ではあるが、層間にカ
チオンの入る空のサイトを持つδ型構造に変化する。
つ層状構造であり、Caを一部又は全部除去した場合も
同様に層間にカチオンの入る空のサイトが形成されてい
ると考えられる。
法が用いられていたが、Caを十分に除去するためには
酸濃度の高い鉱酸を用いる必要があり、一方、酸濃度の
高い鉱酸を用いた場合には、Mn原子の不均化反応が促
進され、結晶構造がδ型からγ型へと変化してしまうた
めに、δ型結晶構造を維持した状態でCaを十分に除去
することができなかった。
とプロトンとが交換したプロトン型の層状マンガン酸化
物となるために、その化合物はホスト化合物として使用
されず、使用範囲が限られる。
モル比が1:2で、層状型とスピネル型の結晶構造から
なる酸化物は、これまでに確認されていない。
複酸化物としては、CoMn2O4組成のスピネル型結晶
構造のマンガン酸化物が唯一知られているだけである。
これに対して、本発明のマンガン酸化物は、スピネル型
結晶構造だけではなく、ナトリウムBirnessit
eに類似した、7.25オングストロームを初めとして
種々の面間隔からなる層状構造との複合結晶構造のマン
ガン酸化物である。本発明のモル比でCo:Mn比が
1:2の層状型とスピネル型の結晶構造からなるマンガ
ン酸化物は、モル比で水酸化コバルトが1に対して水酸
化マンガンを2含む混合物を、アルカリ水溶液中で酸化
する製造することが重要である。
アルカリ水溶液中で酸化することによって、層状型とス
ピネル型の両方の結晶構造を示し、モル比でCo:Mn
比が1:2の複酸化物が製造できる。
n2O4・nH2O( 0≦n≦20)の層状構造のマンガン
酸化物の製造と同様に、通気する方法で実施される。即
ち、空気及び/又は酸素を溶液中に吹込むことで、Co
と複合化した層状型とスピネル型の両方の結晶構造を示
すマンガン酸化物が得られる。
され、層状型とスピネル型構造の両方の結晶構造を有す
る本発明のマンガン酸化物は、一般式CoMn2O4で表
され、層状型とスピネル型の両方の結晶構造を有し、酸
素の静電反発によって形成される2次元層間と、最密充
填の酸素により形成される3次元トンネル中に、カチオ
ンが移動できる経路とカチオンの収容サイトを有するマ
ンガン酸化物からCo原子の一部又は全部を除去するこ
とにより得られる。
のような特徴的な機能を有する。
発によって形成された層状構造中にカチオンが挿入され
た場合、カチオンの持つ電荷によって酸素の静電反発が
抑制され層間距離は縮む。逆に、カチオンが脱離される
と酸素の静電反発が強まり層間距離が伸びる。
最密充填酸素によって形成される3次元トンネルに、カ
チオンが挿入された場合、カチオンの持つイオンの大き
さによって最密充填酸素の結合距離が伸びる。逆にカチ
オンが脱離されると、もとの最密充填酸素の結合距離に
もどる。
は、カチオンの挿入と脱離による結晶構造の膨張収縮が
ちょうど逆になる。従って、両方の結晶構造が共存す
る、本発明の一般式CoxMn2O4(0≦X<1) で表
せる層状型とスピネル型の両方の結晶構造を示すマンガ
ン酸化物では、カチオンの挿入と脱離による結晶の膨張
収縮が極めて小さく、単独の結晶構造の場合に比べ、ホ
スト化合物として用いた場合、より安定に可逆的な機能
を示すと考えられる。
一般式ZnxMn2O4(0<X<1)で表されるスピネル
型結晶構造のマンガン酸化物の合成と同様な方法で達成
される。即ち、Mnを+4価までに酸化できる方法で酸
化処理することで達成される。
はZn,Mg,Ca,Coのいづれかであり、AがZn
の場合は、0<X<1でn=0,AがMg,Caの場合
は、0≦X≦1で0≦n≦20,AがCoの場合は0<
X≦1でn=0) で表される本発明のマンガン酸化物の
少なくとも一種をリチウム二次電池の正極として用いる
ことにより、高出力、高エネルギー密度で、充放電のサ
イクル可逆性が良好なリチウム二次電池が提供できる。
は、リチウム又は/及びリチウムを吸蔵放出可能な物質
を用いる。例えば、リチウム金属、リチウム/アルミ合
金、リチウム/ズズ合金、リチウム/鉛合金、電気化学
的にリチウムイオンをドープ脱ドープする炭素系材料等
が例示される。
電解質としては、特に制限されないが、例えば、カーボ
ネート類、スルホラン類、ラクトン類、エーテル類等の
有機溶媒中にリチウム塩を溶解させたものや、リチウム
イオン導電性の固体電解質を用いることができる。
はZn,Mg,Ca,Coのいづれかであり、AがZn
の場合は、0<X<1でn=0,AがMg,Caの場合
は、0≦X≦1で0≦n≦20,AがCoの場合は0<
X≦1でn=0)で表せることを特徴とする本発明のマ
ンガン酸化物の中の少なくとも一種を正極に用いた3極
式セルを図1に示す。
定されるものではない。
線回折パターン測定は、以下の条件で行った。
以下の方法で行った。
15ミリリットル)で40分間250℃にて処理した
後、自動表面積測定装置(ASA−2000型、柴田科
学機器工業株式会社製)にて測定した。
で表されるスピネル型結晶構造のマンガン酸化物を以下
の方法により作成した。
dm3の硫酸マンガンと0.26mol/dm3の硫酸亜
鉛とを含む水溶液に窒素ガスを十分に吹き込んだ後、こ
の溶液1リットルに2.67mol/dm3の水酸化ナ
トリウム2リットルを毎分10ミリリットルの速度で添
加し、次いでこの溶液に毎分25ミリリットルの速度で
三日間空気を吹き込んだ。得られた沈殿を水洗後ろ過
し、次いで70℃で一昼夜乾燥した。得られた化合物の
X線回折から、この化合物はZnMn2O4であることが
分った。図2にX線回折図を示す。さらに、BET比表
面積が42m2/gであることが分った。
0.042mol/dm3の過硫酸アンモニウム水溶液
250mlに、上記方法で得られたZnMn2O4粉末を
5g加えて70℃で4時間撹拌した後、水洗後ろ過して
70℃で一昼夜乾燥した。得られた化合物のX線回折及
び組成分析から、この化合物はスピネル型結晶構造のZ
n0.67Mn2O4であることが分った。図3にX線回折図
を示し、表1に組成分析結果を示す。
造のマンガン酸化物と導電材のカーボン粉末及び結着剤
のポリテトラフルオロエチレン粉末を、重量比で88:
7:5の割合で混合した。この混合物の75mgを2t
on/cm2の圧力で、8mmφのペレットに成形し
た。このペレットを250℃で2時間乾燥した後、試験
極2として用いて、対極4としてリチウム箔を用いて、
参照極3としてリチウム箔リチウム箔から切り抜いたリ
チウム片を用いて、電解液には過塩素酸リチウムを1m
ol/dm3濃度で溶解したプロピレンカーボネートを
用いて、図1に示すような3極セルを構成した。
5mV/secの電位走査速度で、参照極に対する試験
極の電極電位が0.75Vから5.0Vの範囲で酸化還
元を繰返すサイクリックボルタンメトリーを行った。表
2に10サイクル目のサイクリックボルタモグラムから
得られた還元容量(放電容量と等価)、ピーク電流値及
び平均出力を示す。
ウムを用いた以外は、実施例1と同様にしてZnxMn2
O4を作成した。得られた化合物のX線回折及び組成分
析から、この化合物はスピネル型結晶構造のZn0.33M
n2O4であることが分った。図4にX線回折図を示し、
表1に組成分析結果を示す。
た以外は実施例1と同様な3極式セルを構成し、実施例
1と同様にしてサイクリックボルタンメトリーを行っ
た。その結果を表2に示す。
を用いた以外は、実施例1と同様にしてZnxMn2O4
を作成した。得られた化合物のX線回折及び組成分析か
ら、この化合物はスピネル型結晶構造のZn0.10Mn2
O4であることが分った。図5にX線回折図を示し、表
1に組成分析結果を示す。
た以外は実施例1と同様な3極式セルを構成し、実施例
1と同様にしてサイクリックボルタンメトリーを行っ
た。その結果を表2に示す。
を用いた以外は、実施例1と同様な処理を行った。得ら
れた化合物のX線回折及び組成分析から、この化合物は
スピネル型結晶構造の二酸化マンガンであることが分っ
た。図6にX線回折図を示し、表1に組成分析結果を示
す。また、BET比表面積152m2/gであった。
た以外は実施例1と同様な3極式セルを構成し、実施例
1と同様にしてサイクリックボルタンメトリーを行っ
た。その結果を表2に示す。
ンと0.26mol/dm3の硝酸亜鉛とを含む水溶液
を用いた以外は、実施例1と同様な方法でZnMn2O4
を作成した。得られた化合物のX線回折から、この化合
物はZnMn2O4であることが分った。図7にX線回折
図を示す。さらに、BET比表面積が12m2/gであ
ることが分った。
モニウム水溶液を用いた以外は、実施例1と同様な方法
で酸化処理を行った。得られた化合物のX線回折及び組
成分析から、この化合物はスピネル型結晶構造のZn
0.10Mn2O4であることが分った。図8にX線回折図を
示し、表1に組成分析結果を示す。
た以外は実施例1と同様な3極式セルを構成し、実施例
1と同様にしてサイクリックボルタンメトリーを行っ
た。その結果を表2に示す。
を用いた以外は、実施例5と同様な処理を行った。得ら
れた化合物のX線回折及び組成分析から、この化合物は
スピネル型結晶構造の二酸化マンガンであることが分っ
た。図9にX線回折図を示し、表1に組成分析結果を示
す。また、BET比表面積113m2/gであった。
た以外は実施例1と同様な3極式セルを構成し、実施例
1と同様にしてサイクリックボルタンメトリーを行っ
た。その結果を表2に示す。
ミリリットルを用いた以外は、実施例1と同様にな処理
を行った。得られた化合物のX線回折及び組成分析か
ら、この化合物はγ型結晶構造のマンガン酸化物である
ことが分った。図10にX線回折図を示し、表1に組成
分析結果を示す。
た。
8gと酸化亜鉛(ZnO)粉末8.1gをメノウ乳鉢で
十分に混合した後、この混合粉末を大気開放型電気炉を
用いて850℃で20時間焼成した。得られた化合物の
X線回折と組成分析の結果から、この化合物はZnMn
2O4であることが分った。図11にX線回折図を示し、
表1に組成分析結果を示す。
た。
ZnxMn2O4を作成した。得られた化合物のX線回折
と組成分析の結果から、この化合物はスピネル型結晶構
造のZn0.9 Mn2O4であることが分った。図12にX
線回折図を示し、表1に組成分析結果を示す。
った。
た以外は実施例1と同様な3極式セルを構成し、実施例
1と同様にしてサイクリックボルタンメトリーを行っ
た。その結果を表2に示す。
として、LiMn2O4を以下の方法で作成した。
8gと酸化リチウム(Li2O)粉末1.5gとをメノ
ウ乳鉢で十分に混合した後、この混合粉末を大気開放型
電気炉を用いて、850℃で20時間焼成した。得られ
た化合物は、X線回折及び組成分析の結果から、LiM
n2O4(リチウムマンガンスピネル)であることが分っ
た。
た以外は、実施例1と同様な3極セルを構成し、実施例
1と同様にしてサイクリックボルタンメトリーを行っ
た。結果を表2に示す。
X≦1、0≦n≦20)で表されるマンガン酸化物を以
下の方法で合成した。
0)の作成]0.52mol/dm3の硫酸マンガンと
0.26mol/dm3の硫酸マグネシウムとを含む水
溶液に窒素ガスを充分吹き込んだ後、この溶液1リット
ルに2.67mol/dm3の水酸化ナトリウム2リッ
トルを毎分10ミリリットルの速度で添加し、モル比で
水酸化マグネシウムが1に対して水酸化マンガンを2含
む混合物のアルカリ水溶液を得た。
三日間空気を吹き込んだ。得られた沈殿を水洗後ろ過
し、その後70℃で一昼夜乾燥した。
物にはモル比でMgとMnが1:2の割合で含まれ、M
nの酸化度がMnOx換算でX=1.79の酸化度を持
つ、組成式MgMn2O4・16H2Oで表されるマンガ
ン酸化物であることが分った。
化合物のX線回折測定を行ったところ、2.43,2.
51,3.56,5.00,7.14及び9.23オン
グストロームの面間隔を有する層状構造のマンガン酸化
物であることが分った。このマンガン酸化物のX線回折
図を図13に示す。また、表3には、この化合物のX線
回折パターンを示す。なお、参考として、ASTMカー
ド記載のMgMn2O4のX線回折パターンを併記する。
れたマンガン酸化物は、既知のスピネル型のMgMn2
O4とは全く異なる新規な物質である。
0≦X<1、0≦n≦20)の作成]次に、0.5mo
l/dm3の過硫酸アンモニウム水溶液250mlに、
得られたMgMn2O4・16H2Oの粉末5gを加え
て、70℃で4時間撹拌した後、水洗ろ過して、70℃
で一昼夜乾燥した。得られた化合物の組成分析を行った
ところ、この化合物はMg0.08Mn2O4・H2Oである
ことが分った。また、Mnの価数評価から、この化合物
中のMnの酸化度がMnOx換算でX=1.95であっ
た。
合物は、もとのMgMn2O4・16H2Oの結晶構造を
維持した層状構造を示すことが分った。図14にX線回
折図を示す。
0.08Mn2O4・H2Oを試験極2に用いた以外は、実施
例1と同様な3極式セルを構成し、実施例1と同様にし
てサイクリックボルタンメトリーを行った。表4に10
サイクル目のサイクリックボルタモグラムから得られた
還元容量(放電容量と等価)、ピーク電流値及び平均出
力を示す。
ンと0.26mol/dm3の硝酸マグネシウムを用い
て、空気の代りに酸素を吹き込んだ以外は、実施例7と
同様にしてマンガン酸化物を合成した。
物にはモル比でMgとMnが1:2の割合で含まれ、M
nの酸化度がMnOx換算でX=1.79の酸化度を持
つ、組成式MgMn2O4・14H2Oで表されるマンガ
ン酸化物であることが分った。
化合物のX線回折測定を行ったところ、2.43,2.
51,3.56,5.00,7.14及び9.23の面
間隔を有する層状構造のマンガン酸化物であることが分
った。このマンガン酸化物のX線回折図を図15に示
す。また、表3には、この化合物のX線回折パターンを
示す。表3から明らかなように、本実施例で得られたマ
ンガン酸化物は、既知のスピネル型のMgMn2O4とは
全く異なる新規な物質である。
末5gを用いた以外は、実施例7と同様な処理を行っ
た。この処理で得られた化合物は、組成式Mg0.06Mn
2O4・0.8H2Oで表され、Mnの酸化度がMnOx換
算でX=1.95の層状構造を示すマンガン酸化物であ
ることが分った。図16にX線回折図を示す。
2Oを試験極2に用いた以外は、実施例1と同様な3極
式セルを構成し、実施例1と同様にしてサイクリックボ
ルタンメトリーを行った。表4に結果を示す。
ssiteを次の方法で合成した。0.52mol/d
m3の硝酸マンガンを含む水溶液を0℃に冷却した後
に、窒素ガスを充分に吹き込んだ。冷却した状態で、こ
の溶液1リットルに2.67mol/dm3の水酸化ナ
トリウム2リットルを毎分10ミリリットルの速度で添
加し、次いでこの溶液に毎分25ミリリットルの速度で
三日間空気を吹き込んだ。得られた沈殿を水洗後ろ過
し、その後70℃で一昼夜乾燥した。得られた化合物の
組成分析及びX線回折測定の結果から、得られた化合物
は層状構造を示す、合成ナトリウムBirnessit
e(Na4Mn14O27・9H2O)であることを確認し
た。図17にX線回折パターンを示す。
酸水溶液2リットルに加えて、70℃で16時間撹拌し
た後、水洗後ろ過して、70℃で一夜昼乾燥した。得ら
れた化合物の組成分析及びX線回折測定の結果から、得
られた化合物は層状構造を示す、ナトリウムフリーのB
irnessite(Mn7O13・5H2O)であること
を確認した。図18にX線回折パターンを示す。
試験極2に用いた以外は、実施例1と同様な3極式セル
を構成し、実施例1と同様にしてサイクリックボルタン
メトリーを行った。表4に結果を示す。
X≦1、0≦n≦20)で表されるマンガン酸化物を以
下の方法で合成した。
0)の作成]0.52mol/dm3の硫酸マンガンと
0.26mol/dm3の硝酸カルシウムとを含む水溶
液に窒素ガスを充分吹き込んだ後、この溶液1リットル
に2.67mol/dm3の水酸化ナトリウム2リット
ルを毎分10ミリリットルの速度で添加し、モル比で水
酸化カルシウムが1に対して水酸化マンガンを2含む混
合物のアルカリ水溶液を得た。
の速度で三日間空気を吹き込んだ。得られた沈殿を水洗
後ろ過し、その後70℃で一昼夜乾燥した。
物にはモル比でCaとMnが1:2の割合で含まれ、M
nの酸化度がMnOx換算でX=1.75の酸化度を持
つ、組成式CaMn2O4・3H2Oで表されるマンガン
酸化物であることが分った。また、X線源にCuのKα
線を用いてこの化合物のX線回折測定を行ったところ、
面間隔を示すd値が4.8オングストロームと3.1オ
ングストロームであることに対応するX線回折角付近に
ブロードで極めて弱いX線回折ピークを示す以外は、回
折ピークを示さない無定形のマンガン酸化物であること
が分った。このマンガン酸化物のX線回折図を図19に
示す。また、表5には、この化合物のX線回折パターン
を示す。なお、参考として、ASTMカード記載のCa
Mn2O4のX線回折パターンを併記する。
れたマンガン酸化物は、既知のスピネル型のCaMn2
O4とは全く異なる新規な物質である。
0≦X<1、0≦n≦20)の作成]次に、0.5mo
l/dm3の過硫酸アンモニウム水溶液250ミリリッ
トルに、得られたCaMn2O4・3H2Oの粉末5gを
加えて、70℃で4時間撹拌した後、水洗ろ過して、7
0℃で一昼夜乾燥した。得られた化合物の組成分析を行
ったところ、この化合物はCa0.19Mn2O4・0.4H
2Oであることが分った。また、Mnの価数評価から、
この化合物中のMnの酸化度がMnOx換算でX=1.
80であった。
合物は、δ型の結晶構造を示すことが分った。図20に
X線回折図を示す。
a0.19Mn2O4・0.4H2Oを試験極2に用いた以外
は、実施例1と同様な3極式セルを構成し、実施例1と
同様にしてサイクリックボルタンメトリーを行った。表
6に10サイクル目のサイクリックボルタモグラムから
得られた還元容量(放電容量と等価)、ピーク電流値及
び平均出力を示す。
ガンと0.26mol/dm3の硝酸マグネシウムを用
いて、空気の代りに酸素を吹き込んだ以外は、実施例9
と同様にしてマンガン酸化物を合成した。
物にはモル比でCaとMnが1:2の割合で含まれ、M
nの酸化度がMnOx換算でX=1.75の酸化度を持
つ、組成式CaMn2O4・2.3H2Oで表されるマン
ガン酸化物であることが分った。
化合物のX線回折測定を行ったところ、面間隔を示すd
値が4.8オングストロームと3.1オングストローム
であることに対応するX線回折角付近にブロードで極め
て弱いX線回折ピークを示す以外は、回折ピークを示さ
ない無定形のマンガン酸化物であることが分った。この
マンガン酸化物のX線回折図を図21に示す。また、表
5には、この化合物のX線回折パターンを示す。表5か
ら明らかなように、本実施例で得られたマンガン酸化物
は、既知のスピネル型のCaMn2O4とは全く異なる新
規な物質である。
粉末5gを用いた以外は、実施例9と同様な処理を行っ
た。この処理で得られた化合物は、組成式Ca0.10Mn
2O4・0.3H2Oで表され、Mnの酸化度がMnOx換
算でX=1.95のδ型結晶構造を示すマンガン酸化物
であることが分った。図22にX線回折図を示す。
・0.3H2Oで表されるマンガン酸化物を試験極2に
用いた以外は、実施例1と同様な3極式セルを構成し、
実施例1と同様にしてサイクリックボルタンメトリーを
行った。表6に結果を示す。
以下の方法で作成した。2mol/dm3の過マンガン
酸カリウム水溶液1リットルに1mol/dm3の塩酸
水溶液1リットルを添加して、2時間撹拌した。次い
で、この溶液をろ過した後に洗液が中性になるまで水洗
し、赤褐色の粉末を得た。
らに250℃で20時間、大気雰囲気で加熱処理した。
から、得られた化合物はδ型結晶構造のMnO1.83であ
ることが分った。図23にX線回折パターンを示した。
は、実施例9と同様な酸化処理を行ったところ、γ型結
晶構造を示す通常のマンガン酸化物が得られた。
されるマンガン酸化物を以下の方法で合成した。
dm3の硫酸マンガンと0.26mol/dm3の硫酸コ
バルトとを含む水溶液に窒素ガスを充分吹き込んだ後、
この溶液1リットルに2.67mol/dm3の水酸化
ナトリウム2リットルを毎分10ミリリットルの速度で
添加し、モル比で水酸化カルシウムが1に対して水酸化
マンガンを2含む混合物のアルカリ水溶液を得た。
三日間空気を吹き込んだ。得られた沈殿を水洗後ろ過
し、その後70℃で一昼夜乾燥した。
物にはモル比でCoとMnが1:2の割合で含まれ、組
成式CoMn2O4で表されるマンガン酸化物であること
が分った。
合物は層状型とスピネル型の両方の結晶構造を示すこと
が分った。このマンガン酸化物のX線回折図を図24に
示す。 [Caの除去/CaxMn2O4(0<X<1)
の作成]次に、0.5mol/dm3の過硫酸アンモニ
ウム水溶液250ミリリットルに、得られたCoMn2
O4の粉末5gを加えて、70℃で4時間撹拌した後、
水洗ろ過して、70℃で一昼夜乾燥した。得られた化合
物の組成分析を行ったところ、この化合物はCo0.80M
n2O4であることが分った。また、X線回折測定の結果
から、この化合物は層状構造と、スピネル型構造に帰属
されるλ型結晶構造の両方の結晶構造を示すことが分っ
た。図25にX線回折図を示す。
ル型構造に帰属されるλ型結晶構造の両方の結晶構造を
示すCo0.80Mn2O4を試験極2に用いた以外は、実施
例1と同様な3極式セルを構成し、実施例1と同様にし
てサイクリックボルタンメトリーを行った。表7に10
サイクル目のサイクリックボルタモグラムから得られた
還元容量(放電容量と等価)、ピーク電流値及び平均出
力を示す。
ガンと0.26mol/dm3の硝酸コバルトを用いた
以外は、実施例11と同様にしてマンガン酸化物を合成
した。
物にはモル比でCoとMnが1:2の割合で含まれ、組
成式CoMn2O4で表されるマンガン酸化物であること
が分った。
物は層状構造とスピネル型構造の両方の結晶構造を示す
ことが分った。図26にX線回折図を示す。
用いた以外は、実施例11と同様な処理を行った。この
処理で得られた化合物は、組成式Co0.70Mn2O4で表
されることが分った。また、X線回折測定の結果から、
この化合物は層状構造とスピネル型構造に帰属されるλ
型結晶構造の両方の結晶構造を示すことが分った。図2
7にX線回折図を示す。
されるλ型結晶構造の両方の結晶構造を示すCo0.70M
n2O4で表されるマンガン酸化物を試験極2に用いた以
外は、実施例1と同様な3極式セルを構成し、実施例1
と同様にしてサイクリックボルタンメトリーを行った。
表7に結果を示す。
た。
8gと塩基性炭酸コバルト(2CoCO3・3Co(O
H)2)粉末10.3gをメノウ乳鉢で十分に混合した
後、この混合粉末を大気開放型電気炉を用いて900℃
で20時間焼成した。得られた化合物のX線回折と組成
分析の結果から、この化合物はスピネル型結晶構造を示
すCoMn2O4であることが分った。
て、従来にはない、ホスト化合物として電池活物質、触
媒、吸着材、磁性材料への適用が期待できる新しいスピ
ネル型、層状型、及びスピネル型と層状型の両方の結晶
構造を併せ持つ結晶構造を示す新規なマンガン酸化物が
提供可能になる。
一種を正極に用いることで、高出力、高エネルギー密度
で、充放電のサイクル可逆性が良好なリチウム二次電池
が構成可能になる。
示す断面図である。
を示す。
折図を示す。
折図を示す。
折図を示す。
化マンガンのX線回折図を示す。
を示す。
折図を示す。
化マンガンのX線回折図を示す。
酸化物のX線回折図を示す。
図を示す。
回折図を示す。
OのX線回折図を示す。
OのX線回折図を示す。
OのX線回折図を示す。
H2OのX線回折図を示す。
siteのX線回折図を示す。
nessiteのX線回折図を示す。
のX線回折図を示す。
4H2OのX線回折図を示す。
H2OのX線回折図を示す。
0.3H2OのX線回折図を示す。
1.83のX線回折図を示す。
折図を示す。
線回折図を示す。
折図を示す。
線回折図を示す。
Claims (16)
- 【請求項1】一般式AxMn2O4・nH2O( ただし、A
はZn,Mg, Ca,Coのいづれかであり、AがZ
nの場合は、0<X<1でn=0,Aが Mg,Caの
場合は、0≦X≦1で0≦n≦20,AがCoの場合は
0<X≦1でn=0) で表せることを特徴とするマンガ
ン酸化物。 - 【請求項2】請求項1に記載のマンガン酸化物におい
て、AがZn,Mg、Ca、Coのいづれかであり、0
<X<1であることを特徴とするマンガン酸化物。 - 【請求項3】請求項1に記載のマンガン酸化物におい
て、AがZnであり、かつ結晶構造がスピネル型である
ことを特徴とするマンガン酸化物。 - 【請求項4】請求項1に記載のマンガン酸化物におい
て、AがMg,X=1であり、かつ以下の面間隔を有す
る層状型マンガン酸化物。 面 間 隔 ( オングストローム) 9.23±0.05 7.14±0.05 5.00±0.05 3.56±0.05 2.51±0.05 2.43±0.05 - 【請求項5】請求項1に記載のマンガン酸化物におい
て、AがMg,0≦X<1であり、かつ結晶構造が層状
型であることを特徴とするマンガン酸化物。 - 【請求項6】請求項1に記載のマンガン酸化物におい
て、AがCa,X=1であり、かつ結晶構造が無定形型
であることを特徴とするマンガン酸化物。 - 【請求項7】請求項1に記載のマンガン酸化物におい
て、AがCa,0≦X<1であり、かつ結晶構造がδ型
結晶構造であることを特徴とするマンガン酸化物。 - 【請求項8】請求項1に記載のマンガン酸化物におい
て、AがCo,X=1であり、かつ層状型及びスピネル
型の両結晶構造からなることを特徴とするマンガン酸化
物。 - 【請求項9】請求項1に記載のマンガン酸化物におい
て、AがCo,0<X<1であり、かつ層状型及びスピ
ネル型の結晶構造からなることを特徴とするマンガン酸
化物。 - 【請求項10】モル比でAの水酸化物( Aは、Zn,M
g,Ca,Coのいづれか) が1に対して水酸化マンガ
ンを2含む混合物のアルカリ水溶液を酸化した後、酸化
処理してAを除去することを特徴とする請求項2に記載
のマンガン酸化物の製造方法。 - 【請求項11】モル比で水酸化マグネシウムが1に対し
て水酸化マンガンを2含む混合物のアルカリ水溶液を酸
化することを特徴とする請求項4記載のマンガン酸化物
の製造方法。 - 【請求項12】モル比で水酸化カルシウムが1に対して
水酸化マンガンを2含む混合物のアルカリ水溶液を酸化
することを特徴とする請求項6記載のマンガン酸化物の
製造方法。 - 【請求項13】モル比で水酸化コバルトが1に対して水
酸化マンガンを2含む混合物のアルカリ水溶液を酸化す
ることを特徴とする請求項8記載のマンガン酸化物の製
造方法。 - 【請求項14】BET比表面積が10m2/g以上のZ
nMn2O4を出発原料とし、酸化処理によってZnを除
去することを特徴とする請求項3記載のマンガン酸化物
の製造方法。 - 【請求項15】100m2/g以上BET比表面積及び
X=0である組成を有するスピネル型結晶を有し、請求
項11に記載の製造方法により得られる二酸化マンガ
ン。 - 【請求項16】請求項3,5,7,9,15に記載の少
なくとも一種類以上からなるマンガン酸化物及び/又は
二酸化マンガンを正極に用いるリチウム二次電池。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP18515193A JP3232790B2 (ja) | 1992-07-29 | 1993-07-27 | 新規マンガン酸化物及びその製造方法並びにその用途 |
Applications Claiming Priority (13)
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