JPH0622770U - 多板型オイルクーラ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 組み立て及びろう付けし易く且つ耐圧性が高
く熱交換性能の良いオイルクーラを提供すること。 【構成】 皿状金属板外面の両端部に連通孔１が形成さ
れ、その孔縁部２が立ち上げられると共に、金属板３外
面に多数の小凸部４が突設され且つ、小凸部４に比べて
少数のスペーサ用凸部５が孔縁部２の立ち上がり高さと
同一高さに突設される。そして、小凸部４の高さが孔縁
部２の高さより小さく形成されたもの。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、車両用熱交換器に最適な量産性及び放熱性の高い多板型オイルクー ラに関する。さらに詳しくは、オイルクーラの各エレメント表面に凹凸部を形成 して熱交換媒体の攪拌を促進させたものに関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来、多板型オイルクーラとして、皿状に形成された一対の細長い金属板を互 いに逆向きに重ね合わせると共に、その両端部に連通孔を形成してエレメントが 構成されたものがある。そして複数のエレメントを積層し、積層方向最下端のエ レメントの下面側金属板の連通孔を閉塞すると共に、最上端のエレメント両端の 連通孔にボス部を配置し、一方の連通孔から他方の連通孔にオイルを導くもので ある。そして、各エレメントには内部にインナーフィンを配置し、オイルを攪拌 する構造のものが多い。 このインナーフィンの代わりにエレメントの内外面に凹凸部を設けたオイルク ーラも存在した。 又、この凹凸部の高さを各エレメント間の高さの半分とし、隣接するエレメン トの凸部どうしを接触するように積層したものも存在した。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

従来の多板型オイルクーラにおいて、エレメントを構成する金属板の内外面に 凹凸部を設けたものは、内部にインナーフィンを介装することができないため、 オイル側の攪拌能力に限界がある欠点があった。 又、金属板の外面にスペーサ用凸部を多数設けたものにおいては、エレメント 外面側に流通する冷却水等の流通を比較的阻害し易い欠点があった。 そこで本考案はこれらの欠点を取り除くと共に、多板型オイルクーラの最大の 長所である組み立てのし易さをさらに追求し且つ、ろう付けの際にもスペーサ等 の治具を不要とした量産性が高いと共に、熱交換性能の良いオイルクーラを提供 することを目的とし、その目的達成のために次の構成をとる。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

本発明の多板型オイルクーラは、長手方向両端部に連通孔１が形成されると共 に、各連通孔１の孔縁部２が外面側に突出された多数の皿状の金属板３を有する 。そして、この金属板３の表面に極めて多数の攪拌用小凸部４が前記外面側に前 記孔縁部２の突出量より低く分散的に形成される。さらに、孔縁部２の突出量と 同一高さに、金属板３の外面側に前記攪拌用小凸部４に比較して少数のスペーサ 用凸部５が分散的に配置される。そして孔縁部２及びスペーサ用凸部５が互いに 接触するように、夫々の金属板３が交互に逆向きに積層されて組み立てられ、そ の組み立て体が高温の炉内でその金属板３表面に被覆又は位置されたろう材又は ハンダ材により、一体的に接合されてなる。そして、皿状の金属板３の内面側に オイルが導かれると共に、外面側に冷却用熱交換媒体が導かれるものである。

【０００５】

【作用】

連通孔１の孔縁部２の高さとスペーサ用凸部５の高さとが一致しているため、 オイルクーラの各エレメントどうしは孔縁部２及びスペーサ用凸部５において互 いに接触し、耐圧性の高いオイルクーラとなる。 又、スペーサ用凸部５は比較的少数であり、多数の小凸部４がスペーサ用凸部 ５よりも低く突設されているため、各エレメント外面を流通する熱交換媒体の流 通を円滑にすると共に、それを攪拌して伝熱性を向上させる。 さらに、特別なスペーサ等の治具を不要とし、部品点数の少ない組み立て容易 でろう付けのための工数が少なく、量産性に優れたオイルクーラとなる。

【０００６】

【実施例】

次に、図面に基づいて本考案の実施例につき説明する。 図１は本オイルクーラの要部縦断面図であって、図２のＩ−Ｉ矢視略図である 。図２は同オイルクーラの平面図、図３は同正面図である。 この実施例のオイルクーラは、全体の平面形状が図２に示す如く、細長い皿状 に形成された金属板３を図１に示す如く、互いに逆向きに積層してなるものであ る。なお、下面側に位置する金属板３は上面側のそれよりも板厚分だけ外周が大 きく形成されている。そして、上面側の金属板３の外周縁が下面側の金属板３の 内周縁に嵌着する。この金属板３の外面には図１及び図２に示す如く、多数の小 凸部４が突設されていると共に、少数のスペーサ用凸部５が分散的に突設されて いる。又、金属板３の長手方向両端部には連通孔１が形成され、その連通孔１の 孔縁部２が外面側に突出され、その開口に内フランジ部が僅かに形成されている 。この内フランジまでの突出高さは、スペーサ用凸部５の突出高さと同一である 。そしてその内フランジの開口縁に嵌着用のバーリング部が僅かに突出されてい る。なお、下面側に位置する金属板３には嵌着用バーリング部は存在せず、その 嵌着用バーリング部の外直径より僅かに大きな開口が形成されている。

【０００７】 このような多数の金属板３のうち最上端に位置する連通孔１には、ボス部６が 配置される。このボス部６には図１及び図３に示す如く、締結用のスタッドボル ト７が植設固定されている。積層方向の最下端に位置する金属板３には、連通孔 １が穿設されていない。そして、夫々の金属板３は交互に逆向きに重ね合わされ ると共に、それらの間にインナーフィン８が介装される。 なお、このインナーフィン８は各種条件によりフィンピッチ及び配置向きが異 なることがある。又、各金属板３の内外面には予めろう材が被覆されている。多 数の金属板３を図１の如く積層すると、スペーサ用凸部５の外面どうしが接触す ると共に、連通孔１の孔縁部２の上端の内フランジ面どうしが接触し、何れか一 方の金属板３の外周縁が他方の内周縁に嵌着する。 このように積層された組み立て体を高温の炉内に挿入し、予め内外面に被覆又 は配置されたろう材又はハンダ材を溶融し、次いでそれを固化することによりオ イルクーラを完成する。そして、ボス部６を介し図示しないオイルとパイプの先 端と本オイルクーラとが連結される。そして、一方の連通孔１から流入したオイ ルがエレメントの長手方向に流通して他方の連通孔１から流出する。又、各エレ メントの外周には冷却用熱交換媒体として冷却水等が流通し、高温のオイルを冷 却する。このときオイルは、各エレメント内のインナーフィン８により攪拌され る。又、冷却水は小凸部４及びスペーサ用凸部５の存在により攪拌され、熱交換 が促進される。

【０００８】

【考案の効果】

本考案の多板型オイルクーラは、 連通孔１の孔縁部２の高さとスペーサ用凸 部５の高さとが一致しているため、オイルクーラの各エレメントどうしは孔縁部 ２及びスペーサ用凸部５において互いに接触し、耐圧性の高いオイルクーラとな る。 又、スペーサ用凸部５は比較的少数であり多数の小凸部４がスペーサ用凸部５ よりも低く突設されているため、各エレメント外面を流通する熱交換媒体の流通 を円滑にすると共に、それを攪拌して伝熱性を向上させる。 さらに、特別なスペーサ等の治具を不要とし、部品点数の少ない組み立て容易 でろう付けのための工数が少なく、量産性に優れたオイルクーラとなる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案のオイルクーラの要部縦断面図であっ
て、図２のＩ−Ｉ矢視断面略図。

【図２】同オイルクーラの平面図。

【図３】同オイルクーラの正面図。

【符号の説明】

１ 連通孔 ２ 孔縁部 ３ 金属板 ４ 小凸部 ５ スペーサ用凸部 ６ ボス部 ７ スタッドボルト ８ インナーフィン

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 長手方向両端部に連通孔１が形成される
   と共に、該連通孔１の孔縁部２が外面側に突出された多
   数の皿状の金属板３を有し、前記金属板３の表面に極め
   て多数の攪拌用小凸部４が前記外面側に前記孔縁部２の
   突出量より低く分散的に形成されると共に、前記孔縁部
   ２の前記突出量と同一高さに前記金属板３の外面側に突
   出した比較的少数のスペーサ用凸部５が分散的に配置さ
   れ、前記孔縁部２及び前記スペーサ用凸部５が互いに接
   触するように、夫々の前記金属板３が交互に逆向きに積
   層されて組み立てられ、その組み立て体が高温の炉内で
   前記金属板３表面に被覆又は位置されたろう材により、
   一体的に接合されてなり、前記皿状の金属板３の内面側
   にオイルが導かれると共に、外面側に冷却用熱交換媒体
   が導かれる多板型オイルクーラ。