JPH06225457A - 電力系統の異常振動防止方式 - Google Patents

電力系統の異常振動防止方式

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JPH06225457A
JPH06225457A JP50A JP2714893A JPH06225457A JP H06225457 A JPH06225457 A JP H06225457A JP 50 A JP50 A JP 50A JP 2714893 A JP2714893 A JP 2714893A JP H06225457 A JPH06225457 A JP H06225457A
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vibration
power system
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Masahiro Takasaki
昌洋 高崎
Toshiyuki Hayashi
敏之 林
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Central Research Institute of Electric Power Industry
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Central Research Institute of Electric Power Industry
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 異常振動の防止を図りつつ、系統制御装置の
能力を最大限に活用できるようにする。 【構成】 電力系統を安定に運転できる運転制御方式
は、電源1、送電系統3等からなる電力系統と、運転状
態データ及び操作信号に基づいて運転制御信号を形成し
て前記電力系統の運転を行う系統制御装置40とからな
る。この運転制御方式に本発明の電力系統の異常振動防
止方式が適用される。この電力系統の異常振動防止方式
は、上記運転制御方式に振動抑制制御系7を付加してな
る。振動抑制制御系7は、上記電力系統の運転状態デー
タ(交流電圧、電流、及び直流電圧、電流)を取込み、
各運転状態データに固有値解析を適用し、その適用結果
の固有値によって異常振動の有無を判定し、かつ振動の
発生が予測されるときに振動抑制信号を変換器用制御系
40に与えて振動の発生を未然に抑える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電力系統の安定運用を
目指して設置される系統制御装置の運転制御方式に関す
る。更に詳述すると、本発明は、電力系統と系統制御装
置の間あるいは系統制御装置間の相互干渉による異常振
動の発生を未然に判断し、これを予防的に抑制できる電
力系統の異常振動防止方式に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、わが国における電力需要は、ます
ます増大している。このため、電源を確保することと、
電力輸送設備である送電系統の拡充を図ることが必要に
なってきている。
【0003】ところが、最近では、電源は大規模化、遠
隔地化する傾向にあるほか、送電線通過用地の確保がま
すます困難な状況になってきている。このため、既存の
電力系統を最大限有効に活用することが重要となってき
ている。
【0004】そこで、前記電力系統に各種の系統制御装
置を設置し、電力系統の安定運用を確保することが考え
られている。
【0005】この電力系統安定運用のための系統制御装
置としては、例えば発電機の励磁系に信号を付加する電
力系統安定化装置(PSS;Power System Stabilizer
)、変電所の系統電圧を維持しようとする静止形無効
電力補償装置(SVC;StaticVar Compensator)、交
流電力を直流電力に変換した後にさらに交流電力に逆変
換する直流連係等がある。
【0006】上記PSSによる電力系統の安定化は、電
力揺動を打ち消すように励磁電圧を制御するもので、電
力系統のある周波数成分の動揺に対しては有効に働く
が、複雑な電力系統では数多くの周波数成分を持つ動揺
となるため、逆の効果を生じることがある。
【0007】また、上記SVCによる電力系統の安定化
は、系統電圧を維持することにより電力系統の安定度を
向上させるものであるが、制御定数の設定によっては、
電力系統との相互干渉による不安定振動が発生すること
がある。
【0008】さらに、上記直流連係による電力系統の安
定化は、非同期での運用が可能であるため、電力系統の
安定化効果は多大であるが、電源のタービン・発電機軸
系と交直変換器の相互干渉による軸ねじれ振動現象等が
発生している。
【0009】なお、上述した従来技術に関連するものと
しては、例えば、「L.Gerin-Lajoie他著『HYDRO-QUEEC
MULTIPLE SVC APPLICATION CONTROL STABILITY STUDY』
IEEE PES 1990 Winter Meeting, 90 WM 079-4, PWRD. 1
990 」、あるいは「R.J.Piwko 他著 『HVDC SYSTEM CO
NTROL FOR DAMPING OF SUBSYNCHRONOUS OSCILLATION 』
IEEE Trans. Vol.PAS-101, No.9 ,pp3117-3125 」に記
載されているものが挙げられる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
従来技術は、いずれも系統制御装置の制御定数を、電力
系統の運転状態にはよらず、しかも他の系統制御装置と
の関係について配慮せずに、事前に設定した値に固定し
ておく方式である。このため、各系統制御装置の制御定
数は、異常振動を防止するために極めて安定サイドに設
定される傾向にある。これは、全ての条件を網羅して系
統制御装置の制御安定性を設計することが不可能なこと
であるからである。したがって、上述した従来の各系統
制御装置では、本来の効果を十分発揮できないという問
題があった。
【0011】本発明は、電力系統の運転状態に応じて系
統制御装置のパラメータを決定することにより、異常振
動の防止を図りつつ、系統制御装置の能力を最大限に活
用できる電力系統の異常振動防止方式を提供することを
目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
め、本発明の電力系統の異常振動防止方式は、発電機、
送電線、及び変圧器等からなる電力系統と、電力系統の
状態データを取込みこの状態データ及び操作信号に基づ
いて運転制御信号を形成して電力系統の運転を行う系統
制御装置とを具備し、電力系統を安定に運転できる運転
制御方式において、電力系統の運転状態データを取込
み、各運転状態データに固有値解析を適用し、その適用
結果の固有値によって異常振動の有無を判定し、かつ振
動の発生が予測されるときに前記固有値を基に得た振動
抑制信号を系統制御装置に与える振動抑制制御手段を設
けるようにしている。
【0013】ここで、振動抑制制御手段は、電力系統の
運転状態データにより特性行列を演算し、この特性行列
の固有値を求めることにより、異常振動の発生の有無を
判別する固有値解析部と、この固有値解析部からの判定
信号を基に、固有値感度から安定化のパラメータの変化
量を演算するパラメータ演算部とから構成することが好
ましい。
【0014】
【作用】本発明では、電力系統の時々刻々の運転状態
を、振動抑制制御手段に取り込み、固有値解析部におい
て、特性方程式dX/dt=AX(ここに、Xは電力系
統と系統制御装置の状態変数ベクトル、Aは系統の持つ
定数等の特性行列、d/dtは微分演算子)を適用し、
これを解くことにより固有値を確定し、その固有値から
異常振動発生の有無を判定する。固有値は、特性行列A
の値によってとる値が変化し、この固有値が所定の値を
超えると系が不安定となって振動することになる。した
がって、固有値解析部では、この固有値を監視すること
で系の振動の有無を判定している。
【0015】また、固有値解析部において振動が発生す
ると判別されると、パラメータ演算部が起動されて、上
記固有値に基づいて、運転状態等のパラメータを演算
し、これで持って系統制御装置の制御パラメータを変更
することにより、異常振動を抑制して電力系統を安定化
させている。
【0016】
【実施例】以下、本発明の構成を図面に示す実施例に基
づいて詳細に説明する。
【0017】図1に本発明の電力系統の異常振動防止方
式を含む電力系統の一例を示す。この電力系統は、電源
1、直流送電系統3、受電系統5から成り、電源1で発
生した交流電力を直流送電系統3で直流に変換して送電
し、再び交流に変換して受電系統5に供給するように設
けられている。電源1としては例えばタービン発電機が
挙げられる。この電源1は直流送電系統3を介して受電
系統5に接続されている。また、電力系統に振動抑制制
御系7を設けて電力系統の異常振動防止方式を実現して
いる。この振動抑制制御系7は、例えば前記電源1から
出力される交流電圧、当該電源1から流出する交流電
流、直流送電系統3の入出力端部での直流電圧、直流電
流等からなる電力系統の運転状態データを取り込み、こ
れら電力系統の運転状態データに固有値解析を適用し、
その適用結果の固有値によって異常振動の発生の有無を
判定するとともに振動抑制信号を形成し、振動が発生す
ると未然に判明したときに、この振動抑制信号を直流送
電系統3に与えて振動を抑えられるようになっている。
【0018】電源1は、例えば高圧タービン11と、低
圧タービン12,13,14と、発電機15と、昇圧変
圧器16とからなる。高圧タービン11の回転軸は低圧
タービン12,13,14の回転軸と直結されている。
これら高圧タービン11及び低圧タービン12,13,
14の回転軸は、発電機15に回転軸に直結されてい
る。発電機15は、高圧タービン11及び低圧タービン
12,13,14によって回転駆動されることにより交
流電力を発生する。発電機15の出力端子は昇圧変圧器
16を介して直流送電系統3に接続されており、発電機
15で発生した交流電力を昇圧変圧器16で昇圧して直
流送電系統3に供給できるようになっている。
【0019】直流送電系統3は、交直順変換設備31
と、直流送電線32と、交直逆変換設備33とからな
る。ここで、交直順変換設備31は、母線35、交流フ
ィルタ36、変換器用変圧器37a,37b、交直変換
器38a,38b、直流リアクトル39a,39b、変
換器用制御系40からなる。また、交直変換器38a,
38bは直列接続されており、交直変換器38aの正極
が直流リアクトル39aを介して直流送電線32aに、
交直変換器38aの負極と交直変換器38bの正極の接
続部が直流送電線32cに、交直変換器38b負極側が
直流リアクトル39bを介して直流送電線32bに接続
されている。母線35に供給された交流電力を変換器用
変圧器37a,37bを介して交直変換器38a,38
bに取り込み、交直変換器38a,38bで直流に変換
して直流リアクトル39a,39bを介して直流送電線
32に送出できるようになっている。なお、変換器用制
御系40は、交直変換器38a,38bの順変換運転を
制御できるようになっている。
【0020】さらに、交直逆変換設備33は、母線4
5、交流フィルタ46、変換器用変圧器47a,47
b、直交変換器48a,48b、直流リアクトル49
a,49b、変換器用制御系41からなる。また、直交
変換器48a,48bは直列接続されており、直交変換
器48aの負極が直流リアクトル49aを介して直流送
電線32aに、直交変換器48aの正極と直交変換器4
8bの負極の接続部が直流送電線32cに、直交変換器
48b正極側が直流リアクトル49bを介して直流送電
線32bに接続されている。直流送電線32から送電さ
れてきた直流電力は、直流リアクトル49a,49bを
介して直交変換器48a,48bに取り込まれ、直交変
換器48a,48bで交流に変換され変換器用変圧器4
7a,47bを介して母線45に供給される。なお、変
換器用制御系41は、直交変換器48a,48bの直流
−交流変換運転を制御できるように構成されている。
【0021】振動抑制制御系7には、計器用変流器71
からの交流電流、計器用変成器72,73からの交流電
圧、直流電圧検出器74,75,76,77からの直流
電圧、及び直流電流検出器78,79,80,81から
の直流電流が入力される。計器用変流器71は、発電機
15から流れ出る交流電流を検出する。計器用変成器7
2は、発電機15から出力される交流電圧を検出する。
計器用変成器73は母線35の交流電圧を検出する。直
流電圧検出器74,76は直流リアクトル39a,39
bの出口部の直流電圧を、直流電圧検出器75,77は
直流リアクトル49a,49bの入口部分の直流電圧を
検出している。 直流電流検出器78,80は直流リア
クトル39a,39bの出口部分の直流電流を、直流電
流検出器79,81は直流リアクトル49a,49bの
入口部分の直流電流を選出している。
【0022】図2に変換器用制御系の変換制御部の一部
をブロック図で示す。この変換器用制御系40では、直
流電流検出値は直流電流指令値と比較されて、伝達関数
Kc/(1+Tc S)〔ここで、Kcは定電流制御ゲイ
ンを、Tc は時定数を、Sはラプラス演算子を表してい
る〕の定電流制御ブロック401で定電流指令となる。
また、直流電圧検出値は直流電圧指令と比較されて、定
電圧制御ブロック402で定電圧指令となる。また、定
余裕角制御ブロック403で余裕角指令がでる。これら
は、選択回路404に入力される。選択回路404で
は、最もよい指令値を選択して、リミッタ405をかけ
て制御角α指令値として交直変換器38a,38bに与
える。
【0023】図3に本発明の電力系統の異常振動防止方
式の実施例を実現する振動抑制制御系の構成例をブロッ
ク図で示す。この振動抑制制御系7は、交流データ計算
部82、直流データ計算部83、高速演算装置84から
なる。そして、交流データ計算部82は、上述したよう
に取り込んだ交流電圧、交流電流を、図示しないアナロ
グ/デジタル(A/D)変換器でデジタル交流電圧Va
c、交流電流Iacのデータとし、かつこれらデータから
交流有効電力Pac、交流無効電力Qac、及び交流の周波
数fを得る装置である。直流データ計算部83は、上述
したように取り込んだ直流電圧、直流電流を、図示しな
いアナログ/デジタル(A/D)変換器でデジタル直流
電圧Vdc、交流電流Idcのデータとし、かつこれらデー
タから直流電力Pdcを得る装置である。これら交流デー
タ計算部82、直流データ計算部83からのデータ及び
制御角は、高速演算装置84に入力される。高速演算装
置84は、まず、これらデータから特性行列Aを求め、
かつ上述した特性方程式を解いて固有値を求めることに
より、例えば軸ねじれ振動の発生を予測する固有値解析
部841と、この固有値解析部841からの判定信号を
基に、固有値感度に基づき安定化のパラメータの変化量
を演算し、例えばゲイン・時定数設定値変更、直流電圧
・電流設定値変更、及び制御角リミット値変更の各指令
を出力するパラメータ演算部842とからなる。このパ
ラメータ演算部842からの各ゲイン・時定数設定値変
更、直流電圧・電流設定値変更、及び制御角リミット値
変更の各指令は、変換器用制御系40に入力されるよう
になっている。
【0024】上述した構成の実施例の作用を図1〜図3
を基に図4を参照して以下に説明する。
【0025】まず、電源1及び直流送電系統3の一般的
動作を説明する。発電機15は、高圧タービン11及び
低圧タービン12,13,14により回転駆動されて交
流電力を発生する。この交流電力は、昇圧変圧器16に
より昇圧されて、母線35、変換器用変圧器37a,3
7bを介して交直変換器38a,38bに入力される。
この交流電力は、主に、交直変換器38a,38b及び
直流リアクトル39a,39b等からなる交直順変換設
備31により直流電力に変換され、直流送電線32a,
32b,32cにより送電される。この直流電力は、主
に、交直変換器48a,48b、直流リアクトル49
a,49b等からなる交直逆変換設備33により再び交
流電力に逆変換され受電系統5に供給されることにな
る。
【0026】ここで、直流送電系統3の運転平面による
タービン発電機の機械系と変換器用制御系の相互干渉に
よる軸ねじれ振動の発生について図4を参照して説明す
る。
【0027】上述の直流送電系統3による電力系統の安
定化は、非同期での運用が可能であるという利点がある
ものの、電源1のタービン・発電機軸系と交直順変換設
備31の変換器用制御系40との相互干渉による軸ねじ
れ振動現象等が発生するという不都合があることは既に
説明したとおりである。
【0028】このような振動現象は、次のような現象を
意味する。すなわち、タービン発電機の機械系には、高
圧タービン11、低圧タービン12,13,14、発電
機15の質点数をn(この場合、n=5となる)とする
と、n−1個のねじれ固有振動モードが存在する。ま
た、タービン発電機の電気系にも発電機15の負荷のイ
ンダクタンス、キャパシタンス要素や制御によるゆらぎ
により生じるさまざまな振動モードが存在する。これら
機械系の振動モードと電気系の振動モードの共振により
軸のねじれ振動が漸次増大する不安定現象のことであ
る。
【0029】このような現象は次のような原因によって
生じている。すなわち、軸系の固有振動と共振する電気
系の振動モードは、変換器用制御系40における定電流
制御に起因して生じている。これは、変換器用制御系4
0の定電流制御により電力系統の電圧、電流変動が、発
電機15内に流入し発電機15の電気出力(つまり、機
械的トルク)を変動させ、これが軸ねじれ振動を励振す
る原因となる。
【0030】具体的には、図4に示すように、定電流制
御ブロック401における定電流制御ゲインKcを大き
くとる程、すなわちKc=5.4よりもKc=9.6の
方が軸ねじれ振動の発生領域が広く、そのKc=9.6
よりもKc=12.7の方が軸ねじれ振動の発生領域が
広くなる。つまり、Kcの値が大きい程、軸ねじれ振動
が発生し易いことを表している。
【0031】そこで、本発明では、上記運転状態データ
を振動抑制制御系7に取り込み、振動の有無を未然に検
出し、振動の発生が予測される場合に、あるいは系統状
態が瞬時に大きく変動するなどして実際に振動が発生し
たときでも、そのごく初期の段階で将来さらに不安定に
なることが予測される場合に、固有値感度から抑制信号
を形成し、これで変換器用制御系40のパラメータを予
防的に制御することにより軸ねじれ振動の発生を抑制し
ている。
【0032】上述したように計器用変流器71、計器用
変成器72,73で検出した交流電流、交流電圧は、交
流データ計算部82に入力されると、図示しないアナロ
グ/デジタル(A/D)変換器でデジタル交流電圧Va
c、交流電流Iacのデータとされる。また、交流データ
計算部82では、これらデータから交流有効電力Pac、
交流無効電力Qac、及び交流の周波数fを得る。このよ
うにして得られた交流電圧Vac、交流電流Iac、交流有
効電力Pac、交流無効電力Qac、及び交流の周波数f
は、高速演算装置84の固有値解析部841に入力され
る。
【0033】同様に、直流電圧検出器74,75,7
6,77、直流電流検出器78,79,80,81で検
出された直流電圧、直流電流は、直流データ計算部83
に入力される。これら直流電圧、直流電流は、図示しな
いアナログ/デジタル(A/D)変換器でデジタル直流
電圧Vdc、交流電流Idcのデータとされる。また、直流
データ計算部83は、これらデータから直流電力Pdcを
得る。これら直流電圧Vdc、交流電流Idc、直流電力P
dcは、高速演算装置84の固有値解析部841に入力さ
れる。
【0034】固有値解析部841は、これらデータから
特性行列Aを求め、かつ特性方程式(dX/dt=A
X)を解いて固有値を求める。この固有値により、上記
変換器用制御系40を含めた系が安定か否かが判別でき
るため、固有値解析部841は、この固有値をもって例
えば軸ねじれ振動の発生を予測している。
【0035】この固有値解析部841では、次のように
振動発生を予測している。この固有値解析部841で取
り扱われる固有値は複素数であり、その実部が減衰率
(この実部が負の場合が安定であり、この実部の符号を
反転した値を減衰率としている)を表し、かつその虚部
が周波数を表している。また、この固有値の実部が正と
なると不安定な状態を示すことになる。そこで、固有値
解析部841では、固有値(特に実部)を時々刻々と監
視し、その実部が所定のしきい値以上となったときに、
振動が将来発生する可能性が高いと判定している。ここ
で、固有値解析部841で使用するしきい値としては、
例えば−0.01〜−0.05[1/秒]を採用してい
る。
【0036】ここで、固有値解析部841において軸ね
じれ振動の発生が予測されるときに、パラメータ演算部
842を起動する。パラメータ演算部842は、変換器
用制御系40のパラメータ(制御定数;ゲイン、時定
数)や直流系統の運転状態(電圧、電流)を変化させた
ときに、各固有値の減衰率や、周波数がどの程度変化す
るかを示す固有値感度について、上記各データから算出
する。そして、パラメータ演算部842は、この固有値
感度に基づいて、安定化するためのパラメータ変化量を
演算する。すなわち、この場合、パラメータ演算部84
2は、ゲイン・時定数設定値変更、直流電圧・電流設定
値変更及び制御角リミット値変更のいずれか、あるいは
これらの組合わせを算出して変換器用制御系40に与え
る。
【0037】変換器用制御系40では、前記ゲイン・時
定数設定値変更の指令により定電流制御ブロック401
のKc、Tcが変更され、直流電圧・電流設定値変更の
指令により定電流制御ブロック401及び定電圧制御ブ
ロック402の直流電圧・直流電流の設定値が変更さ
れ、及び制御角リミット値変更の指令によりリミッタ4
05の制限値(リミッタの幅)が変更される。
【0038】変換器用制御系40では、上述のように各
定電流制御ブロック401、定電圧制御ブロック402
が制御されて制御角αに関する指令を出力するが、これ
らの内の一つが選択回路404で選択されて、制御され
たリミッタ405で出力信号にリミッタがかけられた後
に、交直変換器38a,38bに入力されることにな
る。
【0039】交直変換器38a,38bは、前記制御角
α指令によって所定の順変換動作が行なわれることによ
り、タービン発電機軸系と、交直順変換設備31との相
互干渉による軸ねじれ振動が適正に抑制されることにな
る。
【0040】上述した実施例によれば、電力系統と変換
器用制御系40との相互干渉による異常振動がオンライ
ンで抑制できるので、変換器用制御系40が本来もって
いる系統安定化効果を十分発生させることができる。
【0041】尚、上述の実施例は本発明の好適な実施の
一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の
要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能であ
る。例えば、本実施例では、タービン・発電機軸系(1
1〜15)と交直順変換設備31との軸ねじれ振動を抑
制する動作について説明したが、本発明は、これに限ら
ず電力系統と系統制御装置との相互干渉による異常振動
現象に適用しても同様の作用効果を奏することができ
る。
【0042】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、電
力系統と系統制御装置との相互干渉による異常振動をオ
ンラインで抑制できるため、系統制御装置が本来持って
いる系統安定化の能力を十分に発揮させることができ
る。
【0043】また、本発明によれば、系統制御装置の持
つ能力を十分発揮させることにより既設設備を有効に利
用できることから、電力系統の輸送力増強が可能になる
という利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電力系統の異常振動防止方式の実施例
を含む系統の説明図である。
【図2】図1の実施例で使用する変換器用制御系を示す
ブロック図である。
【図3】図1の電力系統の異常振動防止方式の振動抑制
制御系を示すブロック図である。
【図4】図1の変換器用制御系の制御ゲインと軸ねじれ
振動発生についての説明図である。
【符号の説明】
1 電源 3 直流送電系統 5 受電系統 7 振動抑制制御系 40 変換器用制御系 82 交流データ計算部 83 直流データ計算部 84 高速演算装置 841 固有値解析部 842 パラメータ演算部

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 発電機、送電線、及び変圧器等からなる
    電力系統と、前記電力系統の状態データを取込み、この
    状態データ及び操作信号に基づいて運転制御信号を形成
    して前記電力系統の運転を行う系統制御装置とを具備
    し、前記電力系統を安定に運転できる運転制御方式にお
    いて、前記電力系統の運転状態データを取込み、各運転
    状態データに固有値解析を適用し、その適用結果の固有
    値によって異常振動の有無を判定し、かつ振動の発生が
    予測されるときに前記固有値を基に得た前記振動抑制信
    号を前記系統制御装置に与える振動抑制制御手段を設け
    たことを特徴とする電力系統の異常振動防止方式。
  2. 【請求項2】 前記振動抑制制御手段は、前記電力系統
    の運転状態データにより特性行列を演算し、この特性行
    列の固有値を求めることにより、異常振動の発生の有無
    を判別する固有値解析部と、この固有値解析部からの判
    定信号を基に、固有値感度から安定化のパラメータの変
    化量を演算するパラメータ演算部とから構成したことを
    特徴とする請求項1記載の電力系統の異常振動防止方
    式。
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