JPH0622424Y2 - 混練機等の漏洩防止装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、ゴム、プラスチック等の粘性物を混練、混合
する混練、混練機における回転軸と容器貫通孔との間の
漏洩防止装置に関する。

混練、混合機は、第１図に示すように、容器１の側壁
２，２に貫通孔３，３を設けて回転軸４を貫通させ、こ
の回転軸４の容器内に撹拌羽根５を取付け、回転軸４の
外側に軸受６，６を設けて軸４を支持し、この軸４に歯
車７、クラッチ、変速機等８を設けて軸を回転駆動する
よう構成されており、更に加圧型混練機においては、容
器１に加圧蓋９を設けて加圧下に材料が混練される。

このような装置において貫通孔３，３における漏洩防止
は重要な問題であるが、従来の漏洩防止装置は、パッキ
ン室内にグランドパッキンをパッキン抑えにより詰め込
んで回転軸との間隙を封止する構造であって、これは回
転軸表面に沿って漏洩して来たものをグランドパッキン
で阻止するものであった。しかし、このような構造のも
のでは、パッキンを構成する繊維の間に被混練物が浸透
するので使用中に粘着性高粘性の被混練物がパッキン内
部に浸透してパッキンを変質させ、さらに、固定された
パッキン室と回転軸の間に挟まれているため短時間でパ
ッキンを構成する繊維が切断されてばらばらに損傷する
ため、しばしばパッキンを取替えなければならない欠点
があった。しかも従来のグランドパッキンを取替えるに
は、パッキンツールなどの工具を使用してもなお数時間
にわたる多大な労力を必要とするので装置の使用者にと
っては、このパッキン交換作業が非常に煩わしいもので
あった。

この従来技術の欠点を解決するため、本考案者は、特開
昭５７−１３０５３８号公報において新規な機構による
混練機等の漏洩防止装置を提供している。この新規な漏
洩防止装置は、ロータの撹拌羽根両端に段部平面を形成
し、この段部平面にプラスチック製円筒形パッキンを押
圧する構成である点で本願考案と共通しているが、円筒
形パッキン外周の例えば４個所に圧縮コイルばねを配設
し、コイルばねの復元力により円筒形パッキンを押圧す
る構成としているので、パッキンの摩耗量によっては押
圧力が減少し、そのため定期的にばね圧を調節しなけれ
ばならない欠点があった。

本考案の主たる目的は、上記欠点を解消し、漏洩防止部
が常に清潔に保たれて保守作業の労力が皆無ないし著し
く軽減され、パッキン交換作業がほとんど不要である混
練機等の漏洩防止装置を提供することにある。

本考案の他の目的は、パッキンに常に一定の押圧力が、
全面にわたって均等に作用し、しかも押圧装置の外観が
簡素な混練機等の漏洩防止装置を提供することにある。

本考案の漏洩防止装置は、回転軸に撹拌羽根が設けられ
た装置の上記側壁貫通孔における漏洩防止装置であっ
て、上記撹拌羽根の両端に上記容器側壁内面に対向して
回転軸よりも径が太くなる段部平面を形成するととも
に、容器側壁の貫通孔内周面に嵌合する円筒形パッキン
を設けて、そのパッキンの端面を上記段部平面に押圧す
ることにより容器内材料の漏洩を防止する装置におい
て、上記円筒形パッキンの外端よりも外側に、上記回転
軸の上記回転軸の外周を囲む円筒形内壁面とそれと同心
の円筒形外壁面をもつ円環状断面の１個の圧力室と、そ
の円環状断面内を摺動変位する１個のピストンを備えた
１個のアクチェータを設け、そのアクチェータのピスト
ンと一体に円筒形連結部材を設けるとともに、その円筒
形連結部材の先端に、上記円筒形パッキンの貫通孔外の
外周面の所定位置に固着される締付リングを設け、上記
アクチェータにより上記円筒形パッキンを上記段部平面
へ押圧するよう構成したことを特徴とする。

本考案に用いる円筒形パッキンは、混合、混練の際、材
料から発する熱及びパッキンに作用する押圧力により、
実用性を損う程度に塑性変形しないプラスチック材料か
らなり、さらに、被混合材料により変質しない化学的安
定性、長年月の使用に耐える耐候性、耐摩耗性、摩擦係
数が小さいという諸特性を有することが好ましい。

本考案のパッキン材料として好ましいものを具体的に例
示すると、フェノール系樹脂、ユリヤ系樹脂、ポリエス
テル系樹脂、メラミン系樹脂、シリコン系樹脂等のプラ
スチックス、これらのプラスチックの混合材料、又はこ
れらプラスチック或いはこれらプラスチックの混合材料
を繊維、編物等に含浸させたもの、又は、いわゆるエン
ジニアリングプラスチックと呼ばれるプラスチックが適
用される。

以下、本考案の実施例を図面とともに説明する。

第２図に本考案実施例の縦断面図を示す。容器側壁２の
貫通孔３に回転軸４が貫通し、回転軸４の容器内には撹
拌羽根５が設けられている。この撹拌羽根５の端面は、
容器側壁の内面に近接し、かつ回転軸と垂直な平面であ
って回転軸よりも径が太くなる段部平面１４を形成して
いる。この段部平面１４の後述するパッキン１６が当る
部分には超耐摩耗材料のリング１８が埋設されている。
この超耐摩耗材料として、例えば、炭化ケイ素、超硬合
金、セラミックなどが用いられる。

貫通孔３の内面には、円筒形のパッキン１６が遊合又は
滑合状態に嵌合されている。貫通孔３とパッキン１６の
外径を遊合又は滑合状態に嵌合保持する理由は、パッキ
ン１６を貫通孔３を密着させて固定しながら、摩耗に応
じてきわめて徐々に軸方向にのみ摺動変位することを許
容するためである。パッキン１６を貫通孔３に嵌合保持
する結果、パッキン１６の内径と回転軸４の間に空隙間
部３１が形成される。この空隙間部３１が存在する結
果、パッキン１６の内面と回転軸４との間に被混練材料
の漏洩物を一時的に受け容れることができ、漏洩物がパ
ッキン１６と回転軸４との間に存在しても不測の事態を
引き起さぬようになっている。このパッキン１６は前述
した材料からなり、その端面１６１にはパッキン１６と
同一断面形状寸法の円筒耐１６２が結合されて、これら
が貫通孔３の外側まで突出している。この円筒体１６２
の外周には締付けリング１７が固着されている。このリ
ング１７は１個所が割れたΩ字形であって、締付けボル
ト１８１を緩めることによりパッキン１６に対し摺動さ
せることができる。

円筒形体１６２の外端１６３よりも外側にはアクチェー
タ１９が基板２０に固定されている。このアクチェータ
１９は、回転軸の外周を空隙をへだてて囲む円筒形内壁
面２１と、それと同心の円筒形外壁面２２をもつ円環状
断面の圧力室２３と、その円環状断面内を摺動変位する
ピストン２４を具備し、圧縮空気を導入又は排出する管
２５，２６が接続されている。そして、ピストン２４と
一体の円筒形連結部材２７が上記した締付リング１７に
固着されている。パッキン１６には回り止めピン等の回
転規制機構が設けられており、従ってパッキン１６およ
び１６２が回転することはない。また、圧縮空気を導入
する管３０がパッキン１６及び円筒体１６２の内面空隙
部３１に導入されており、円筒体１６２の底部に空気を
排出するための通気孔３２が穿たれている。

このような構成において、アクチェータ１９に圧縮空気
を送り込んでピストン２４を所定の力で押圧し、円筒形
パッキン１６の内側端面を段部平面１４に所定の力で押
圧する。パッキンの摩耗量は長時間にわたり僅小である
が、随時必要により締付けリング１７の位置を変えるこ
とができる。

パッキン１６の外周面は側壁の貫通孔３に密着している
が、内周面と回転軸４の間には空隙３１が形成されてい
るので、段部平面１４とパッキン１６の押圧部から漏れ
た漏洩物があっても、乾燥した粉末状になる。従って、
管３０から圧縮空気を送入することにより、漏洩物を飛
散させることができる。

本考案によれば、回転軸の外周を囲む円筒形内壁面とそ
れと同心の円筒形外壁面をもつ円環状断面の１個の圧力
室と、その円環状断面内を摺動変位する１個のピストン
を備えた１個のアクチェータを設け、そのアクチェータ
のピストンと一体に円筒形連結部材を設けるとともに、
その円筒形連結部材の先端に、締付リングを設け、この
締付リングにより円筒形パッキンを加圧しているので、
円筒形パッキンの全端面が長年月にわたり常に所定の圧
力で全円周が均一に加圧され、しかも構成部品点数が少
なく構成が簡素化される効果がある。

本考案において、パッキン材料として、フェノール樹脂
とフッソ樹脂の混合樹脂をコットンクロスに含浸させて
成形したものを用いて混練機を１年間稼動させたとこ
ろ、パッキンが６mm摩耗し、段部平面の超硬材料が0.2m
m摩耗した。使用中、漏洩封止効果はきわめて良好で、
しかも、軸とパッキンの間の空隙部は乾燥して清潔に保
たれていた。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る混練機を示す縦断面図、第２図は
本考案要部の実施例を示す縦断面図である。 １……容器、２……側壁 ３……貫通孔、４……回転軸 ５……撹拌羽根、１４……段部平面 １６……パッキン、１７……締付けリング １９……アクチェータ、２１……円筒形内壁面 ２２……円筒形外壁面、２３……圧力室 ２４……ピストン、２７……円筒形連結部材

Claims (4)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】混練、混合容器の側壁を貫通する回転軸に
   撹拌羽根が設けられた装置の上記側壁貫通孔における漏
   洩防止装置であって、上記撹拌羽根の両端に上記容器側
   壁内面に対向して回転軸よりも径が太くなる段部平面を
   形成するとともに、容器側壁の貫通孔内周面に嵌合し軸
   方向長さが貫通孔の長さよりも長い円筒形パッキンを設
   けて、そのパッキンの端面を上記段部平面に押圧するこ
   とにより容器内材料の漏洩を防止する装置において、上
   記円筒形パッキンの外端よりも外側に、上記回転軸の外
   周を囲む円筒形内壁面とそれと同心の円筒形外壁面をも
   つ円環状断面の１個の圧力室と、その円環状断面内を摺
   動変位する１個のピストンを備えた１個のアクチェータ
   を設け、そのアクチェータのピストンと一体に円筒形連
   結部材を設けるとともに、その円筒形連結部材の先端
   に、上記円筒形パッキンの貫通孔外の外周面の所定位置
   に固着される締付リングを設け、上記アクチェータによ
   り上記円筒形パッキンを上記段部平面へ押圧するよう構
   成したことを特徴とする混練機等の漏洩防止装置。
2. 【請求項２】上記アクチェータが空気圧で作動するもの
   である、実用新案登録請求の範囲第１項記載の混練機等
   の漏洩防止装置。
3. 【請求項３】上記円筒形パッキンの端面に、そのパッキ
   ンと同一断面形状の円筒体を結合させ、上記連結装置の
   先端をその円筒体外周に挟着してなる実用新案登録請求
   の範囲第１項記載の混練機等の漏洩防止装置。
4. 【請求項４】上記段部平面と上記円筒形パッキンの接触
   部位に圧搾空気を噴きつける手段を備えた実用新案登録
   請求の範囲第１項記載の混練機等の漏洩防止装置。