JPH06221841A - 積層体の膜評価法及びこれを用いた膜評価装置及び薄膜製造装置 - Google Patents
積層体の膜評価法及びこれを用いた膜評価装置及び薄膜製造装置Info
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- JPH06221841A JPH06221841A JP1046693A JP1046693A JPH06221841A JP H06221841 A JPH06221841 A JP H06221841A JP 1046693 A JP1046693 A JP 1046693A JP 1046693 A JP1046693 A JP 1046693A JP H06221841 A JPH06221841 A JP H06221841A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】より迅速かつ精度良く膜厚や密度,界面の状態
を非破壊的に評価できるX線反射率法による積層体評価
方法を提供すること。 【構成】積層体からのX線反射率曲線を20点以上の計
測点の均等平均を任意の回数繰り返すことにより求めた
ベースラインにより補正し振動成分のみを抽出した結果
を対象とする層の屈折率を用いて横軸を変換した後、フ
ーリエ変換し、その結果から膜厚を求める。 【効果】本発明により、迅速かつ精度良く薄膜の膜厚,
屈折率,ラフネスを評価することができる。さらに、本
手法を薄膜製造装置に導入することにより、不良品を除
去し、均質な製品を製造することができる。
を非破壊的に評価できるX線反射率法による積層体評価
方法を提供すること。 【構成】積層体からのX線反射率曲線を20点以上の計
測点の均等平均を任意の回数繰り返すことにより求めた
ベースラインにより補正し振動成分のみを抽出した結果
を対象とする層の屈折率を用いて横軸を変換した後、フ
ーリエ変換し、その結果から膜厚を求める。 【効果】本発明により、迅速かつ精度良く薄膜の膜厚,
屈折率,ラフネスを評価することができる。さらに、本
手法を薄膜製造装置に導入することにより、不良品を除
去し、均質な製品を製造することができる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】半導体や液晶ディスプレイ、ある
いは磁気ファイルの分野で、基板上に複数の層を積層し
た材料や素子において、各層の膜厚や密度,界面の状態
を非破壊的に評価するのに好適なX線反射率法による積
層体評価方法に関する。
いは磁気ファイルの分野で、基板上に複数の層を積層し
た材料や素子において、各層の膜厚や密度,界面の状態
を非破壊的に評価するのに好適なX線反射率法による積
層体評価方法に関する。
【0002】
【従来の技術】半導体を始め多くの分野で基板上に多数
の薄膜を積層した材料や素子が用いられている。形成さ
れた膜の膜厚や密度、あるいは界面の状態はしばしば特
性に影響を与えるため、精度良く制御することが重要で
あり、そのためにはこれらの正確な評価が必須である。
このため従来種々の方法で膜厚や膜質が評価されてきて
いる。例えば探針法,電子顕微鏡による断面観察観察や
エリプソメトリーなどの方法が一般には使用されてお
り、近年X線反射率から膜厚や膜質を評価する試みがな
されている。
の薄膜を積層した材料や素子が用いられている。形成さ
れた膜の膜厚や密度、あるいは界面の状態はしばしば特
性に影響を与えるため、精度良く制御することが重要で
あり、そのためにはこれらの正確な評価が必須である。
このため従来種々の方法で膜厚や膜質が評価されてきて
いる。例えば探針法,電子顕微鏡による断面観察観察や
エリプソメトリーなどの方法が一般には使用されてお
り、近年X線反射率から膜厚や膜質を評価する試みがな
されている。
【0003】この中でX線反射率を用いた方法は、大気
中でできること、光に対し透明性の無い系、例えばSi
基板やガラス基板上に金属膜を形成した系での膜厚や界
面状態の評価が可能であり、しかも試料を破壊しないと
いう利点がある。しかし、基板上に多層の薄膜が形成さ
れている場合にはX線反射率プロファイルは非常に複雑
になり膜厚を始め、密度や界面状態の正確な評価には反
射プロファイルの正確な解析が必要である。このため膜
厚の評価に関してはフーリエ解析が有効であることが論
文“K. Sakurai and A. Iida : Jpn.J.Appl.Phys. 31(1
992)L113”にて発表されており、また密度や界面状態の
評価に実験反射率と理論反射率とのカーブフィッティン
グを用いた方法が論文(例えば J. M. Baribeau:Appl.
Phys.Lett. 57(1990)1748)にて示されている。
中でできること、光に対し透明性の無い系、例えばSi
基板やガラス基板上に金属膜を形成した系での膜厚や界
面状態の評価が可能であり、しかも試料を破壊しないと
いう利点がある。しかし、基板上に多層の薄膜が形成さ
れている場合にはX線反射率プロファイルは非常に複雑
になり膜厚を始め、密度や界面状態の正確な評価には反
射プロファイルの正確な解析が必要である。このため膜
厚の評価に関してはフーリエ解析が有効であることが論
文“K. Sakurai and A. Iida : Jpn.J.Appl.Phys. 31(1
992)L113”にて発表されており、また密度や界面状態の
評価に実験反射率と理論反射率とのカーブフィッティン
グを用いた方法が論文(例えば J. M. Baribeau:Appl.
Phys.Lett. 57(1990)1748)にて示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上述したようにX線反
射率による薄膜評価はどんな対象にも適用でき、その解
析法としてのフーリエ変換法,カーブフィッティング法
とも膜厚などを求めるのに非常に有効である。これら解
析法のうち、フーリエ変換法においてはX線反射率に生
じている振動構造を正確に抽出することが最も重要であ
り、カーブフィッティング法においては正しい膜構造モ
デルで初期値としてできるだけ真値に近い値を設定する
と共に、任意のパラメータのみフィッティングできるよ
うにしておくことが重要である。しかし、従来法ではX
線反射率に生じている振動構造の抽出に、多項式等の関
数によりベースラインをあてはめ、これにより補正を行
っていた。このため用いる関数により必ずしも測定領域
全体にわたって良好なベースラインとなり得ないことが
あり、また時間もかかるという問題があった。また、従
来のカーブフィッティングは試行錯誤的にパラメータを
変えながら計算を行うため、非常に多くの時間がかかる
という問題があった。
射率による薄膜評価はどんな対象にも適用でき、その解
析法としてのフーリエ変換法,カーブフィッティング法
とも膜厚などを求めるのに非常に有効である。これら解
析法のうち、フーリエ変換法においてはX線反射率に生
じている振動構造を正確に抽出することが最も重要であ
り、カーブフィッティング法においては正しい膜構造モ
デルで初期値としてできるだけ真値に近い値を設定する
と共に、任意のパラメータのみフィッティングできるよ
うにしておくことが重要である。しかし、従来法ではX
線反射率に生じている振動構造の抽出に、多項式等の関
数によりベースラインをあてはめ、これにより補正を行
っていた。このため用いる関数により必ずしも測定領域
全体にわたって良好なベースラインとなり得ないことが
あり、また時間もかかるという問題があった。また、従
来のカーブフィッティングは試行錯誤的にパラメータを
変えながら計算を行うため、非常に多くの時間がかかる
という問題があった。
【0005】本発明の目的は、第1にフーリエ変換によ
り解析を行うに際し、振動構造を抽出するためのベース
ラインを、短時間でかつ解析者の判断を入れながら効率
良く求める方法を提供することであり、第2にカーブフ
ィッティングにより解析する際に、フィッティングパラ
メータを自由に選択して、信頼度の高い結果が得られる
ような解析法を提供することにある。
り解析を行うに際し、振動構造を抽出するためのベース
ラインを、短時間でかつ解析者の判断を入れながら効率
良く求める方法を提供することであり、第2にカーブフ
ィッティングにより解析する際に、フィッティングパラ
メータを自由に選択して、信頼度の高い結果が得られる
ような解析法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の本発明の解析法を以下に示す。
の本発明の解析法を以下に示す。
【0007】第1にフーリエ変換に先立つベースライン
の求め方においては、任意のベースの算出に際し、該点
の両側複数点の均等平均を計算して該点のベース値とし
これを計測点全てについて行う。端部では平均に用いる
計測点が不足するが、不足する点は除外して平均をとる
ことで行う。この処理を任意の回数だけ繰り返しできる
ようにしておくと共に、結果を1回毎もしくは所定の回
数処理する毎にディスプレイ上に表示して、解析者が更
に均等平均を行うかどうかの判断を加えることができる
ようなアルゴリズムにすることを特徴とする。
の求め方においては、任意のベースの算出に際し、該点
の両側複数点の均等平均を計算して該点のベース値とし
これを計測点全てについて行う。端部では平均に用いる
計測点が不足するが、不足する点は除外して平均をとる
ことで行う。この処理を任意の回数だけ繰り返しできる
ようにしておくと共に、結果を1回毎もしくは所定の回
数処理する毎にディスプレイ上に表示して、解析者が更
に均等平均を行うかどうかの判断を加えることができる
ようなアルゴリズムにすることを特徴とする。
【0008】第2のカーブフィッティング法において
は、あらかじめフーリエ解析により得られた値を初期値
にすると共に、フィッティングさせたいパラメータと固
定しておきたいパラメータとを解析者が任意に選択でき
るようなアルゴリズムにすることを特徴とする。
は、あらかじめフーリエ解析により得られた値を初期値
にすると共に、フィッティングさせたいパラメータと固
定しておきたいパラメータとを解析者が任意に選択でき
るようなアルゴリズムにすることを特徴とする。
【0009】本発明は、基板上に1層以上の膜を形成し
た積層体からのX線反射率から積層体各層の膜厚をフー
リエ変換法により求める解析法において、計測点の均等
平均を任意の回数繰り返すことにより求めたベースライ
ンにより補正し、振動成分のみを抽出した結果をフーリ
エ変換することを特徴とするX線反射率解析法である。
た積層体からのX線反射率から積層体各層の膜厚をフー
リエ変換法により求める解析法において、計測点の均等
平均を任意の回数繰り返すことにより求めたベースライ
ンにより補正し、振動成分のみを抽出した結果をフーリ
エ変換することを特徴とするX線反射率解析法である。
【0010】本発明は、基板上に1層以上の膜を形成し
た積層体からのX線反射率から積層体各層の膜厚をフー
リエ変換法により求める解析法において、計測値の任意
の1点を選び値を固定し、この点をスタート点として加
重平均を任意の回数繰り返すことにより求めたベースラ
インにより補正し、振動成分のみを抽出した結果をフー
リエ変換することを特徴とするX線反射率解析法であ
る。
た積層体からのX線反射率から積層体各層の膜厚をフー
リエ変換法により求める解析法において、計測値の任意
の1点を選び値を固定し、この点をスタート点として加
重平均を任意の回数繰り返すことにより求めたベースラ
インにより補正し、振動成分のみを抽出した結果をフー
リエ変換することを特徴とするX線反射率解析法であ
る。
【0011】本発明は、基板上に1層以上の膜を形成し
た積層体からのX線反射率から積層体各層の膜厚をフー
リエ変換法により求める解析法において、初めに高速フ
ーリエ変換を用いて解析し、その結果から所望の領域で
詳細にフーリエ変換を行うことにより膜厚を求めること
を特徴とするX線反射率解析法である。
た積層体からのX線反射率から積層体各層の膜厚をフー
リエ変換法により求める解析法において、初めに高速フ
ーリエ変換を用いて解析し、その結果から所望の領域で
詳細にフーリエ変換を行うことにより膜厚を求めること
を特徴とするX線反射率解析法である。
【0012】本発明は、基板上に1層以上の膜を形成し
た積層体からのX線反射率から積層体各層の膜厚をフー
リエ変換法により求める解析法において、X線入射角度
の補正量、及びX線に対する屈折率の実部をパラメータ
にしてフーリエ変換を行い、フーリエ変換ピークの強度
を最大にするX線入射角度の補正値、及びX線に対する
屈折率の実部の組合せを求めることにより、X線入射角
度の補正値、及びX線に対する屈折率の実部の近似値を
求めることを特徴とするX線反射率解析法である。
た積層体からのX線反射率から積層体各層の膜厚をフー
リエ変換法により求める解析法において、X線入射角度
の補正量、及びX線に対する屈折率の実部をパラメータ
にしてフーリエ変換を行い、フーリエ変換ピークの強度
を最大にするX線入射角度の補正値、及びX線に対する
屈折率の実部の組合せを求めることにより、X線入射角
度の補正値、及びX線に対する屈折率の実部の近似値を
求めることを特徴とするX線反射率解析法である。
【0013】本発明は、基板上に1層以上の膜を形成し
た積層体からのX線反射率から積層体各層の物理パラメ
ータ(膜厚,X線に対する屈折率の実部,虚部、及び界
面ラフネス)を非線形最小二乗フィッティング法で最適
化することにより求める解析法において、パラメータの
初期値にフーリエ変換により求めた値を用いると共に、
各物理パラメータの初期値に最適化したいパラメータと
固定しておきたいパラメータを区別する符号を与え、か
つ最適化したいパラメータのみ順次番号付けをして並べ
替えて、これらのパラメータについてのみ非線形最小二
乗フィッティングを行うことを特徴としたX線反射率解
析法である。
た積層体からのX線反射率から積層体各層の物理パラメ
ータ(膜厚,X線に対する屈折率の実部,虚部、及び界
面ラフネス)を非線形最小二乗フィッティング法で最適
化することにより求める解析法において、パラメータの
初期値にフーリエ変換により求めた値を用いると共に、
各物理パラメータの初期値に最適化したいパラメータと
固定しておきたいパラメータを区別する符号を与え、か
つ最適化したいパラメータのみ順次番号付けをして並べ
替えて、これらのパラメータについてのみ非線形最小二
乗フィッティングを行うことを特徴としたX線反射率解
析法である。
【0014】物理パラメータの一覧をディスプレイ上に
表示しておき、最適化したいパラメータをディスプレイ
画面上で選択できるようにしたことを特徴とするX線反
射率解析法が好ましい。。
表示しておき、最適化したいパラメータをディスプレイ
画面上で選択できるようにしたことを特徴とするX線反
射率解析法が好ましい。。
【0015】計測されたX線反射率をR,X線の試料へ
の入射角度をθとしたとき、計測データの前処理により
f=θ4R を求め、fのフィッティングを行うことを特
徴とするX線反射率解析法が好ましい。
の入射角度をθとしたとき、計測データの前処理により
f=θ4R を求め、fのフィッティングを行うことを特
徴とするX線反射率解析法が好ましい。
【0016】本発明は、基板上に1層の膜を形成した被
検体の膜厚d及びX線に対する屈折率δを求めるX線反
射率解析法において、反射率に生ずる振動のピーク位置
θnを読み取り、d=f(θn,θn+m,m,δ),δ=
f′(θn,θn+m,m,d)の関係から、これら関係が
同時に成り立つようなd,δを繰り返し計算により求め
ることを特徴とするX線反射率解析法である。
検体の膜厚d及びX線に対する屈折率δを求めるX線反
射率解析法において、反射率に生ずる振動のピーク位置
θnを読み取り、d=f(θn,θn+m,m,δ),δ=
f′(θn,θn+m,m,d)の関係から、これら関係が
同時に成り立つようなd,δを繰り返し計算により求め
ることを特徴とするX線反射率解析法である。
【0017】本発明は、基板上に1層以上の膜を形成し
た積層体構造を形成する薄膜製造装置において、積層体
からのX線反射率測定結果をベースラインにより補正
し、振動成分のみを抽出した結果をフーリエ変換するX
線反射率解析により積層体各層の膜厚や膜質を評価する
手段、あるいは積層体からのX線反射率測定結果をカー
ブフィッティングにより積層体各層の膜厚や膜質を評価
する手段、あるいはフーリエ変換とカーブフィッティン
グを併用して積層体各層の膜厚や膜質を評価する手段を
備えていることを特徴とする薄膜製造装置である。
た積層体構造を形成する薄膜製造装置において、積層体
からのX線反射率測定結果をベースラインにより補正
し、振動成分のみを抽出した結果をフーリエ変換するX
線反射率解析により積層体各層の膜厚や膜質を評価する
手段、あるいは積層体からのX線反射率測定結果をカー
ブフィッティングにより積層体各層の膜厚や膜質を評価
する手段、あるいはフーリエ変換とカーブフィッティン
グを併用して積層体各層の膜厚や膜質を評価する手段を
備えていることを特徴とする薄膜製造装置である。
【0018】本発明は、基板上に1層以上の膜を形成し
た積層体構造を形成する薄膜製造装置において、ダミー
の積層体からのX線反射率測定結果をベースラインによ
り補正し、振動成分のみを抽出した結果をフーリエ変換
するX線反射率解析により積層体各層の膜厚や膜質を管
理する手段、あるいは積層体からのX線反射率測定結果
をカーブフィッティングにより積層体各層の膜厚や膜質
を管理する手段、あるいはフーリエ変換とカーブフィッ
ティングを併用して積層体各層の膜厚や膜質を管理する
手段を備えていることを特徴とする薄膜製造装置であ
る。
た積層体構造を形成する薄膜製造装置において、ダミー
の積層体からのX線反射率測定結果をベースラインによ
り補正し、振動成分のみを抽出した結果をフーリエ変換
するX線反射率解析により積層体各層の膜厚や膜質を管
理する手段、あるいは積層体からのX線反射率測定結果
をカーブフィッティングにより積層体各層の膜厚や膜質
を管理する手段、あるいはフーリエ変換とカーブフィッ
ティングを併用して積層体各層の膜厚や膜質を管理する
手段を備えていることを特徴とする薄膜製造装置であ
る。
【0019】本発明は、基板上に1層以上の膜を形成し
た積層体構造を形成する薄膜製造装置において、モデル
の積層体からのX線反射率測定結果をベースラインによ
り補正し、振動成分のみを抽出した結果をフーリエ変換
するX線反射率解析により積層体各層の膜厚や膜質を管
理する手段、あるいは積層体からのX線反射率測定結果
をカーブフィッティングにより積層体各層の膜厚や膜質
を管理する手段、あるいはフーリエ変換とカーブフィッ
ティングを併用して積層体各層の膜厚や膜質を管理する
手段を備えていることを特徴とする薄膜製造装置であ
る。
た積層体構造を形成する薄膜製造装置において、モデル
の積層体からのX線反射率測定結果をベースラインによ
り補正し、振動成分のみを抽出した結果をフーリエ変換
するX線反射率解析により積層体各層の膜厚や膜質を管
理する手段、あるいは積層体からのX線反射率測定結果
をカーブフィッティングにより積層体各層の膜厚や膜質
を管理する手段、あるいはフーリエ変換とカーブフィッ
ティングを併用して積層体各層の膜厚や膜質を管理する
手段を備えていることを特徴とする薄膜製造装置であ
る。
【0020】本発明は、X線反射率測定結果をベースラ
インにより補正し、振動成分のみを抽出した結果をフー
リエ変換するX線反射率解析により積層体各層の膜厚を
評価する手段、あるいは積層体からのX線反射率測定結
果をカーブフィッティングにより積層体各層の膜厚を評
価する手段、あるいはフーリエ変換とカーブフィッティ
ングを併用して積層体各層の膜厚を評価する手段を備え
たデータ処理部を装備していることを特徴とするX線反
射率測定装置である。
インにより補正し、振動成分のみを抽出した結果をフー
リエ変換するX線反射率解析により積層体各層の膜厚を
評価する手段、あるいは積層体からのX線反射率測定結
果をカーブフィッティングにより積層体各層の膜厚を評
価する手段、あるいはフーリエ変換とカーブフィッティ
ングを併用して積層体各層の膜厚を評価する手段を備え
たデータ処理部を装備していることを特徴とするX線反
射率測定装置である。
【0021】
【作用】本発明によれば次の作用により上記目的が達成
される。
される。
【0022】図1はフーリエ解析においてベースライン
を求め、これを用いてフーリエ変換するまでの手順であ
る。
を求め、これを用いてフーリエ変換するまでの手順であ
る。
【0023】また図2はベースラインを求める過程での
ディスプレイ上の結果である。1回目の段階ではベース
ラインにまだ振動構造が残存しており、ベースラインと
しては不適当であることが容易に分かる。更に均等平均
を繰り返し、3回目の段階ではベースラインは計測範囲
全体に渡って滑らかになっており、これで充分であるこ
とが分かる。この後、計測値をこのベースラインで補正
すれば、反射率プロファイル全体に渡って振動構造が抽
出でき、より正しいフーリエ変換が可能となる。
ディスプレイ上の結果である。1回目の段階ではベース
ラインにまだ振動構造が残存しており、ベースラインと
しては不適当であることが容易に分かる。更に均等平均
を繰り返し、3回目の段階ではベースラインは計測範囲
全体に渡って滑らかになっており、これで充分であるこ
とが分かる。この後、計測値をこのベースラインで補正
すれば、反射率プロファイル全体に渡って振動構造が抽
出でき、より正しいフーリエ変換が可能となる。
【0024】次に第2のカーブフィッティング法の手順
を図20に示す。初期値を設定するとき、膜に関するパ
ラメータは全て正であることを利用する。すなわち、固
定しておきたいパラメータの初期値には−符号を、また
フィッティングさせたいパラメータには+符号を付与し
ておく。解析プログラムでこれら初期値を読み込んだ
後、その正負を判定し、+符号のみ取り出して新たに番
号を付すと共に、順次並べ替えておく。この後、通常の
フィッティングプログラム、例えばマルカート法による
非線形最小二乗フィッティング法により、フィッティン
グパラメータのみの最適化が可能となる。
を図20に示す。初期値を設定するとき、膜に関するパ
ラメータは全て正であることを利用する。すなわち、固
定しておきたいパラメータの初期値には−符号を、また
フィッティングさせたいパラメータには+符号を付与し
ておく。解析プログラムでこれら初期値を読み込んだ
後、その正負を判定し、+符号のみ取り出して新たに番
号を付すと共に、順次並べ替えておく。この後、通常の
フィッティングプログラム、例えばマルカート法による
非線形最小二乗フィッティング法により、フィッティン
グパラメータのみの最適化が可能となる。
【0025】
実施例1 請求項1記載のX線反射率解析法の実施例として厚さ約
80nmの銅膜を蒸着法により表面に形成させた溶融石
英基板上にカーボン膜をスパッタ法により形成し、カー
ボン膜及び銅膜の膜厚を求めた。
80nmの銅膜を蒸着法により表面に形成させた溶融石
英基板上にカーボン膜をスパッタ法により形成し、カー
ボン膜及び銅膜の膜厚を求めた。
【0026】X線反射率の測定はX線源にCuターゲッ
トを用い、発生するX線Ge(111)分光結晶で分光、C
uKα1を取り出し入射X線とした。測定角度範囲は0.
1°〜1.1°とし、角度のステップは0.001°、計
測点数は1001点とした。図1に本手法のデータ処理
手順の一例を表したフローチャートを示した。図3に計
測したX線反射強度を全反射強度で規格化した反射率の
角度依存性曲線1を示す。
トを用い、発生するX線Ge(111)分光結晶で分光、C
uKα1を取り出し入射X線とした。測定角度範囲は0.
1°〜1.1°とし、角度のステップは0.001°、計
測点数は1001点とした。図1に本手法のデータ処理
手順の一例を表したフローチャートを示した。図3に計
測したX線反射強度を全反射強度で規格化した反射率の
角度依存性曲線1を示す。
【0027】図3の反射率曲線1は数1により近似でき
る。
る。
【0028】
【数1】
【0029】数1からX線反射率曲線にはカーボン膜,
銅膜、及びカーボン膜+銅膜の層構造に起因する振動成
分が重畳する。これらの振動成分の周期には各層の厚み
dと屈折率δが寄与する。
銅膜、及びカーボン膜+銅膜の層構造に起因する振動成
分が重畳する。これらの振動成分の周期には各層の厚み
dと屈折率δが寄与する。
【0030】フーリエ変換によりこれらの振動成分を解
析する上で、振動成分以外の構造は解析上の妨害となる
ため、振動成分以外の成分をベースライン補正により除
去する。
析する上で、振動成分以外の構造は解析上の妨害となる
ため、振動成分以外の成分をベースライン補正により除
去する。
【0031】ここで反射率曲線1の実測値をN点のデー
タセット{θn ,R(θn )、ただしn=1,N}で表現
する。X線反射率曲線R(θn)に対するベースライン曲
線B(θn)を数2の様にR(θn)を均等平均して求める。
タセット{θn ,R(θn )、ただしn=1,N}で表現
する。X線反射率曲線R(θn)に対するベースライン曲
線B(θn)を数2の様にR(θn)を均等平均して求める。
【0032】
【数2】
【0033】数2ではLを大きく取ることにより、平滑
化の効率を高めることができる半面、理論的に計算量が
増えることになるが、加重平均でなく均等平均を採用す
ることにより、数3の関係式が利用でき、効率化を図れ
るため、極めて迅速にB(θn)を得ることができる。
化の効率を高めることができる半面、理論的に計算量が
増えることになるが、加重平均でなく均等平均を採用す
ることにより、数3の関係式が利用でき、効率化を図れ
るため、極めて迅速にB(θn)を得ることができる。
【0034】
【数3】
【0035】なお、数2においてn<L及びn>N−L
となる端点付近でのB(θn)の計算においては平均に用
いる前後各L個のR(θn+a)が揃わないため、(2L+
1)点で均等平均を取ることができない。そこで、本実
施例では足りない分は除外して平均を取ることとした。
すなわち、n=1及びn=N−Lの端点ではB(θn)を
(L+1)個のデータの平均で求める。なお、この他に
も端点の先にL個の値を補填して全領域で(2L+1)
点での均等平均を取る手法を用いることも可能である。
となる端点付近でのB(θn)の計算においては平均に用
いる前後各L個のR(θn+a)が揃わないため、(2L+
1)点で均等平均を取ることができない。そこで、本実
施例では足りない分は除外して平均を取ることとした。
すなわち、n=1及びn=N−Lの端点ではB(θn)を
(L+1)個のデータの平均で求める。なお、この他に
も端点の先にL個の値を補填して全領域で(2L+1)
点での均等平均を取る手法を用いることも可能である。
【0036】さて、B(θ)はベースラインであるので、
解析上有用な周期構造の情報が含まれることは望ましく
ない。しかし現実的には、一回の均等平均計算では、周
期構造がB(θ)に残ってしまうことが少なくない。そこ
で、数4のように、ベースライン曲線B(θ)の均等平均
を取ることを繰り返し、周期構造の含まれないベースラ
インを算出する。
解析上有用な周期構造の情報が含まれることは望ましく
ない。しかし現実的には、一回の均等平均計算では、周
期構造がB(θ)に残ってしまうことが少なくない。そこ
で、数4のように、ベースライン曲線B(θ)の均等平均
を取ることを繰り返し、周期構造の含まれないベースラ
インを算出する。
【0037】
【数4】
【0038】図4にL=12で25点の均等平均した例
を示す。図4中のベースライン2,3,4はそれぞれ繰
り返し回数mが3,6,9のときのベースラインで、ベ
ースライン3,4は意図的に下にずらして表示してい
る。このような途中経過のベースラインのプロファイル
を図2に示したように画面上でX線反射率測定結果に重
ねて表示し、ベースラインとして充分であるかオペレー
タに問い合わせる。この際、その段階でのベースライン
で補正した結果も判断基準として表示することも可能で
ある。図2の第1段階ではまだ周期構造が残存している
ため、ベースラインが充分か否かという問いかけに対し
オペレータはNOを入力し、均等平均を続行させる。こ
れを繰り返し、第3段階に達したときベースラインは計
測範囲全体に渡って滑らかになっているので、このとき
オペレータがYESを入力すれば、数5により補正が行
われ、振動構造が抽出される。
を示す。図4中のベースライン2,3,4はそれぞれ繰
り返し回数mが3,6,9のときのベースラインで、ベ
ースライン3,4は意図的に下にずらして表示してい
る。このような途中経過のベースラインのプロファイル
を図2に示したように画面上でX線反射率測定結果に重
ねて表示し、ベースラインとして充分であるかオペレー
タに問い合わせる。この際、その段階でのベースライン
で補正した結果も判断基準として表示することも可能で
ある。図2の第1段階ではまだ周期構造が残存している
ため、ベースラインが充分か否かという問いかけに対し
オペレータはNOを入力し、均等平均を続行させる。こ
れを繰り返し、第3段階に達したときベースラインは計
測範囲全体に渡って滑らかになっているので、このとき
オペレータがYESを入力すれば、数5により補正が行
われ、振動構造が抽出される。
【0039】
【数5】
【0040】数5でlog 値を取っているのは1つには純
粋に振動成分を抽出する目的から、振動構造の中心をゼ
ロレベルに近付けるためである。
粋に振動成分を抽出する目的から、振動構造の中心をゼ
ロレベルに近付けるためである。
【0041】なお、あらゆる系にフレキシブルな対応が
できるようオペレータの判断を要求する例を示したが、
求めたベースラインの妥当性をコンピュータにより判断
させこの操作を自動化することも勿論可能である。ベー
スラインの妥当性の判定基準として例えばベースライン
自身に含まれる振動成分の度合い、均等平均の繰り返し
によるベースラインの変化の度合いなどがある。
できるようオペレータの判断を要求する例を示したが、
求めたベースラインの妥当性をコンピュータにより判断
させこの操作を自動化することも勿論可能である。ベー
スラインの妥当性の判定基準として例えばベースライン
自身に含まれる振動成分の度合い、均等平均の繰り返し
によるベースラインの変化の度合いなどがある。
【0042】ここで、フーリエ変換による解析には全領
域のデータが使用できるわけではない。臨界角θc より
小さなθには周期構造が生じていないし、θが大きくな
れば反射率が減少し、構造が雑音に埋もれてしまってお
り、これらも含めてフーリエ変換をかけることは精度を
落す原因となる。そこで、精度良く解析を行うためにフ
ーリエ変換する領域を指定する。
域のデータが使用できるわけではない。臨界角θc より
小さなθには周期構造が生じていないし、θが大きくな
れば反射率が減少し、構造が雑音に埋もれてしまってお
り、これらも含めてフーリエ変換をかけることは精度を
落す原因となる。そこで、精度良く解析を行うためにフ
ーリエ変換する領域を指定する。
【0043】実際の手順としてディスプレイ上に図5の
ように補正したプロファイル5を表示し、オペレータに
キーボードやマウスを用いて、フーリエ変換に使用する
θの上限と下限とを指定させる。
ように補正したプロファイル5を表示し、オペレータに
キーボードやマウスを用いて、フーリエ変換に使用する
θの上限と下限とを指定させる。
【0044】ここで、オペレータが図5の領域6を指定
したとする。
したとする。
【0045】解析に当ってまず、カーボン膜に着目す
る。このとき数6によりΘを定義する。
る。このとき数6によりΘを定義する。
【0046】
【数6】
【0047】このときδとしてカーボン膜のδの値を用
いる。これによりカーボン膜に起因する周期成分は数7
で表され、横軸をΘに変換することにより、カーボン膜
に起因する周期構造の周期が完全に一定値になる。
いる。これによりカーボン膜に起因する周期成分は数7
で表され、横軸をΘに変換することにより、カーボン膜
に起因する周期構造の周期が完全に一定値になる。
【0048】
【数7】
【0049】この様な条件下でフーリエ解析が真に有効
になる。ただしこのとき、δはカーボン膜の値を使用し
ているので銅膜の周期構造に関しては周期が一定になら
ず、少しずつ周期がずれていることは明白である。
になる。ただしこのとき、δはカーボン膜の値を使用し
ているので銅膜の周期構造に関しては周期が一定になら
ず、少しずつ周期がずれていることは明白である。
【0050】実際の測定ではθを等間隔に変化させ、デ
ータサンプリングしているため、Θの測定値は等間隔に
はならない。フーリエ変換は数値積分であり、横軸が等
間隔で並んでいることが計算上望ましい。特に高速フー
リエ変換のアルゴリズムを利用する際には横軸のデータ
が等間隔に並んでいる必要が有る。また、高速フーリエ
変換を前提とする場合、データ点数は2のべき乗個であ
る必要が有る。
ータサンプリングしているため、Θの測定値は等間隔に
はならない。フーリエ変換は数値積分であり、横軸が等
間隔で並んでいることが計算上望ましい。特に高速フー
リエ変換のアルゴリズムを利用する際には横軸のデータ
が等間隔に並んでいる必要が有る。また、高速フーリエ
変換を前提とする場合、データ点数は2のべき乗個であ
る必要が有る。
【0051】したがって、Θを等間隔で変化させながら
2のべき乗個、I(Θ)を測定できれば、解析上都合がよ
いが現実的にはそのようなスキャンは不可能である。そ
こで、図5で指定した周期構造が明瞭に観察されている
任意のθ区間6について、θからΘに横軸を変換し、指
定された区間を等分割してデータ点数が2のべき乗個と
なるようにΘを再設定し、I(Θ)をデータ補間法により
計算することとした。補間アルゴリズムとしては様々な
ものが存在するが本実施例では補間するθ′値に最も近
い実測データの組み合わせ{Θ,I(Θ)}三組からI
(Θ)を二次関数の形で決定し、等間隔で設定したΘに対
応するI(Θ)を算出する手法を用いた。
2のべき乗個、I(Θ)を測定できれば、解析上都合がよ
いが現実的にはそのようなスキャンは不可能である。そ
こで、図5で指定した周期構造が明瞭に観察されている
任意のθ区間6について、θからΘに横軸を変換し、指
定された区間を等分割してデータ点数が2のべき乗個と
なるようにΘを再設定し、I(Θ)をデータ補間法により
計算することとした。補間アルゴリズムとしては様々な
ものが存在するが本実施例では補間するθ′値に最も近
い実測データの組み合わせ{Θ,I(Θ)}三組からI
(Θ)を二次関数の形で決定し、等間隔で設定したΘに対
応するI(Θ)を算出する手法を用いた。
【0052】このとき、カーボン膜の屈折率δが必要に
なるが、図2左下の拡大図に見られる反射率が激減する
角度θc はカーボン膜表面で全反射が起こる臨界角であ
る。この臨界角θc と屈折率δとの間には数8が成立す
る。
なるが、図2左下の拡大図に見られる反射率が激減する
角度θc はカーボン膜表面で全反射が起こる臨界角であ
る。この臨界角θc と屈折率δとの間には数8が成立す
る。
【0053】
【数8】
【0054】カーボンの臨界角θc は図3から読み取っ
て約0.21° であるので、屈折率δは数8から約0.00
000672の近似値が得られる。こうして得られた屈折率を
用いて横軸をΘに変換し、さらに上述した補間法により
Θが等間隔なデータセットに変換した後、フーリエ変換
した結果を図6の実線に示す。
て約0.21° であるので、屈折率δは数8から約0.00
000672の近似値が得られる。こうして得られた屈折率を
用いて横軸をΘに変換し、さらに上述した補間法により
Θが等間隔なデータセットに変換した後、フーリエ変換
した結果を図6の実線に示す。
【0055】ピークは周期成分を示しており、チャンネ
ル数xから数9を用いて膜厚が換算される。
ル数xから数9を用いて膜厚が換算される。
【0056】
【数9】
【0057】なお、ここでは数値積分によるフーリエ変
換を用いた結果を示したが、高速フーリエ変換のアルゴ
リズムを用いることも当然可能である。その時にはΘを
等間隔にして、補間をするときにデータ数を2のべき乗
個にすると便利である。
換を用いた結果を示したが、高速フーリエ変換のアルゴ
リズムを用いることも当然可能である。その時にはΘを
等間隔にして、補間をするときにデータ数を2のべき乗
個にすると便利である。
【0058】ピーク7とピーク8は数9からそれぞれ3
4.7nmと89.8nmの膜厚に相当する。試料の作成
条件からピーク8は銅膜のものと考えられ、ピーク7が
カーボン膜のものと推察される。
4.7nmと89.8nmの膜厚に相当する。試料の作成
条件からピーク8は銅膜のものと考えられ、ピーク7が
カーボン膜のものと推察される。
【0059】つぎに銅膜に着目し、解析する。銅の臨界
角θc は図3において明確に得られていない。この様な
場合には、数10によってδを近似できる。
角θc は図3において明確に得られていない。この様な
場合には、数10によってδを近似できる。
【0060】
【数10】
【0061】銅の比重は8.93 であり、原子番号は2
9、原子量は63.546であることからδとして0.0000261
の近似値が得られる。この屈折率の値を用い、カーボン
膜に着目したときと同様に横軸を変換し、フーリエ変換
した結果を図6点線に示した。ピーク9とピーク10は
それぞれ数9から28.1nmと78.0nmの膜厚に相
当する。ピーク10はピーク8と同様、銅膜によるもの
と考えられ、銅膜の屈折率をΘの補正に用いたピーク1
0でフーリエ変換強度は大きくなっている。一方、ピー
ク7とピーク9はカーボン膜によるものであるので、カ
ーボン膜の屈折率をΘの補正に用いているピーク7でフ
ーリエ変換強度が大きくなっている。
9、原子量は63.546であることからδとして0.0000261
の近似値が得られる。この屈折率の値を用い、カーボン
膜に着目したときと同様に横軸を変換し、フーリエ変換
した結果を図6点線に示した。ピーク9とピーク10は
それぞれ数9から28.1nmと78.0nmの膜厚に相
当する。ピーク10はピーク8と同様、銅膜によるもの
と考えられ、銅膜の屈折率をΘの補正に用いたピーク1
0でフーリエ変換強度は大きくなっている。一方、ピー
ク7とピーク9はカーボン膜によるものであるので、カ
ーボン膜の屈折率をΘの補正に用いているピーク7でフ
ーリエ変換強度が大きくなっている。
【0062】各層の膜厚決定にはそれぞれの膜の屈折値
を用いる必要があり、その屈折率の妥当性はフーリエ変
換強度に反映される。本例ではピーク7とピーク10が
有効であり、カーボン膜は34.7nm、銅膜は78.0
nmであると評価できる。
を用いる必要があり、その屈折率の妥当性はフーリエ変
換強度に反映される。本例ではピーク7とピーク10が
有効であり、カーボン膜は34.7nm、銅膜は78.0
nmであると評価できる。
【0063】以上説明した様に20点以上の均等平均を
繰り返すことによりベースラインが迅速に得られ、実測
値から容易に周期成分を抽出でき、フーリエ変換による
効率の良い膜厚評価を実現できる。
繰り返すことによりベースラインが迅速に得られ、実測
値から容易に周期成分を抽出でき、フーリエ変換による
効率の良い膜厚評価を実現できる。
【0064】実施例2 請求項2記載のX線反射率解析法の実施例として実施例
1と同一試料,測定データを用いてカーボン膜及び銅膜
の膜厚を求める。
1と同一試料,測定データを用いてカーボン膜及び銅膜
の膜厚を求める。
【0065】図7に本手法のデータ処理手順の一例を表
したフローチャートを示した。本手法では振動の周期構
造を抽出するためのベースラインを任意の1点をスター
ト点として加重平均を繰り返して求める。図8に求めた
ベースライン(実線)と実測値(点線)を示した。図8
の実線はスタート点として入射角0.42° を指定し、
7点加重平均を1200回繰り返して得たベースライン
である。こうして得られたベースラインにより補正した
結果を図9に示す。この手法によれば特に小入射角での
ベースラインの歪みが小さいという利点がある。なお、
任意の1点を固定しその点から均等平均をとることを繰
り返しベースラインを求める手段や一部を加重平均,残
りを均等平均をとることを繰り返すことで求める手段も
データのプロファイルに応じて使いわけることも当然可
能である。
したフローチャートを示した。本手法では振動の周期構
造を抽出するためのベースラインを任意の1点をスター
ト点として加重平均を繰り返して求める。図8に求めた
ベースライン(実線)と実測値(点線)を示した。図8
の実線はスタート点として入射角0.42° を指定し、
7点加重平均を1200回繰り返して得たベースライン
である。こうして得られたベースラインにより補正した
結果を図9に示す。この手法によれば特に小入射角での
ベースラインの歪みが小さいという利点がある。なお、
任意の1点を固定しその点から均等平均をとることを繰
り返しベースラインを求める手段や一部を加重平均,残
りを均等平均をとることを繰り返すことで求める手段も
データのプロファイルに応じて使いわけることも当然可
能である。
【0066】こうして得られた補正値から実施例1と同
様の手法,範囲でフーリエ変換に使用するθの上限と下
限とを指定し、更に実施例1と同様カーボン膜,銅膜両
方の屈折率δを用いて横軸を変換し、Θを等間隔にして
補間を行う、フーリエ変換した結果を図10に示す。実
線はカーボン膜、点線は銅膜の屈折率を用いた結果であ
る。
様の手法,範囲でフーリエ変換に使用するθの上限と下
限とを指定し、更に実施例1と同様カーボン膜,銅膜両
方の屈折率δを用いて横軸を変換し、Θを等間隔にして
補間を行う、フーリエ変換した結果を図10に示す。実
線はカーボン膜、点線は銅膜の屈折率を用いた結果であ
る。
【0067】ピーク11とピーク12は数9からそれぞ
れ34.7nmと89.8nmの膜厚に相当する。試料の
作成条件からピーク12は銅膜のものと考えられ、ピー
ク11がカーボン膜のものと推察される。ピーク13と
ピーク14はそれぞれ数9から28.1nmと78.0n
mの膜厚に相当する。ピーク12とピーク14は銅膜に
よるものであるので、銅膜の屈折率をΘの補正に用いた
ピーク14でフーリエ変換強度は大きくなっている。一
方、ピーク11とピーク13はカーボン膜によるもので
あるので、カーボン膜の屈折率をΘの補正に用いている
ピーク11でフーリエ変換強度が大きくなっている。
れ34.7nmと89.8nmの膜厚に相当する。試料の
作成条件からピーク12は銅膜のものと考えられ、ピー
ク11がカーボン膜のものと推察される。ピーク13と
ピーク14はそれぞれ数9から28.1nmと78.0n
mの膜厚に相当する。ピーク12とピーク14は銅膜に
よるものであるので、銅膜の屈折率をΘの補正に用いた
ピーク14でフーリエ変換強度は大きくなっている。一
方、ピーク11とピーク13はカーボン膜によるもので
あるので、カーボン膜の屈折率をΘの補正に用いている
ピーク11でフーリエ変換強度が大きくなっている。
【0068】各層の膜厚はそれぞれの膜の屈折率を用い
て行う必要があることからピーク11とピーク14が本
例では有効であり、カーボン膜は34.7nm、銅膜は
78.0nm であると評価できる。
て行う必要があることからピーク11とピーク14が本
例では有効であり、カーボン膜は34.7nm、銅膜は
78.0nm であると評価できる。
【0069】このように任意の1点を選び値を固定し、
この点をスタート点として加重平均を繰り返すことによ
り小入射角で歪の小さいベースラインを得ることがで
き、実測値から容易に周期成分を抽出でき、フーリエ変
換による効率の良い膜厚評価を実現できる。
この点をスタート点として加重平均を繰り返すことによ
り小入射角で歪の小さいベースラインを得ることがで
き、実測値から容易に周期成分を抽出でき、フーリエ変
換による効率の良い膜厚評価を実現できる。
【0070】実施例3 請求項3記載のX線反射率解析法の実施例として実施例
1と同一試料,測定データを用いてカーボン膜及び銅膜
の膜厚を求める場合を考える。図11にそのフローチャ
ートの一例を示した。
1と同一試料,測定データを用いてカーボン膜及び銅膜
の膜厚を求める場合を考える。図11にそのフローチャ
ートの一例を示した。
【0071】実施例1に示した様に均等平均の繰返しに
より求めたベースラインで補正を行い、横軸をΘに変換
し、等間隔にデータが並ぶよう補間したものをフーリエ
変換し、ピークから膜厚を評価する際、まず全周期成分
を高速に計算できる高速フーリエ変換のアルゴリズムで
フーリエ変換する。このときには補間データ点数は2の
べき乗個になるように間隔を区切った。その結果を図1
2の高速フーリエ変換結果の様に画面に表示する。この
際、ベースライン補正には実施例2に示した加重平均を
繰り返す方法を用いることも当然可能である。
より求めたベースラインで補正を行い、横軸をΘに変換
し、等間隔にデータが並ぶよう補間したものをフーリエ
変換し、ピークから膜厚を評価する際、まず全周期成分
を高速に計算できる高速フーリエ変換のアルゴリズムで
フーリエ変換する。このときには補間データ点数は2の
べき乗個になるように間隔を区切った。その結果を図1
2の高速フーリエ変換結果の様に画面に表示する。この
際、ベースライン補正には実施例2に示した加重平均を
繰り返す方法を用いることも当然可能である。
【0072】オペレータは画面上のピークの内、より詳
細にフーリエ変換したいピークもしくは領域を指定し、
指定のピーク付近もしくは領域を数値積分によるフーリ
エ変換でより詳細にフーリエ変換を行い、その結果を画
面に表示する。例えば図12の高速フーリエ変換結果で
はチャンネル数xが15付近で大きなピークが見られ
る。そこでチャンネル数15付近を図12の20倍細分
化して数値積分によりフーリエ変換した結果を求め、図
13の様に表示した。図13の実線は詳細に数値積分に
よりフーリエ変換した結果で、点線は高速フーリエ変換
の結果である。
細にフーリエ変換したいピークもしくは領域を指定し、
指定のピーク付近もしくは領域を数値積分によるフーリ
エ変換でより詳細にフーリエ変換を行い、その結果を画
面に表示する。例えば図12の高速フーリエ変換結果で
はチャンネル数xが15付近で大きなピークが見られ
る。そこでチャンネル数15付近を図12の20倍細分
化して数値積分によりフーリエ変換した結果を求め、図
13の様に表示した。図13の実線は詳細に数値積分に
よりフーリエ変換した結果で、点線は高速フーリエ変換
の結果である。
【0073】数値積分によるフーリエ変換は詳細な解析
が可能であるが、計算時間が非常に多く掛かるため広い
周期領域を計算するには不利である。一方、高速フーリ
エ変換は迅速に全領域を計算できるので、どの領域にピ
ークがあるかの見当を付けるのには適しているが、詳細
な解析には使用できない。そこで、本手法のように最初
に高速フーリエ変換し、全周期領域のプロファイルを求
めておき、必要なピークをピックアップし、その部分の
みの詳細なフーリエ変換を行うことにより、迅速かつ効
率的に解析が可能になる。
が可能であるが、計算時間が非常に多く掛かるため広い
周期領域を計算するには不利である。一方、高速フーリ
エ変換は迅速に全領域を計算できるので、どの領域にピ
ークがあるかの見当を付けるのには適しているが、詳細
な解析には使用できない。そこで、本手法のように最初
に高速フーリエ変換し、全周期領域のプロファイルを求
めておき、必要なピークをピックアップし、その部分の
みの詳細なフーリエ変換を行うことにより、迅速かつ効
率的に解析が可能になる。
【0074】実施例4 請求項4記載のX線反射率解析法の実施例として実施例
1と同一試料,測定データを用いて銅膜の屈折率を求め
た例を示す。
1と同一試料,測定データを用いて銅膜の屈折率を求め
た例を示す。
【0075】図14に本手法のデータ処理手順の一例を
表したフローチャートを示した。
表したフローチャートを示した。
【0076】屈折率δの値を変化させながら実施例1と
同様の手順でフーリエ変換し、銅膜に起因するピークの
フーリエ変換強度を求め、屈折率δと銅膜に起因するピ
ークのフーリエ変換強度の相関を求めた結果を図15に
示す。δ=0.000024でフーリエ変換強度が最大となるこ
とから銅膜のδは0.000024であることが本手法によりわ
かる。また、このδを用いたときの銅膜の膜厚は79.
9nm である。屈折率δが明確に分からない場合は数
8や数10により近似できるが、本手法によって、より
正確な値を得ることができる。また、本手法により定ま
る屈折率δと数10を用いれば極薄膜の密度ρの簡易な
評価が可能である。
同様の手順でフーリエ変換し、銅膜に起因するピークの
フーリエ変換強度を求め、屈折率δと銅膜に起因するピ
ークのフーリエ変換強度の相関を求めた結果を図15に
示す。δ=0.000024でフーリエ変換強度が最大となるこ
とから銅膜のδは0.000024であることが本手法によりわ
かる。また、このδを用いたときの銅膜の膜厚は79.
9nm である。屈折率δが明確に分からない場合は数
8や数10により近似できるが、本手法によって、より
正確な値を得ることができる。また、本手法により定ま
る屈折率δと数10を用いれば極薄膜の密度ρの簡易な
評価が可能である。
【0077】本手法を用いたもう一例としてシリコン基
板上の屈折率δ,膜厚d共に未知な有機膜を評価した例
を示す。図16にこの試料の実測したX線反射率曲線を
示した。X線反射率測定条件は測定範囲が入射角0.2
5〜1.0°であることを除けば、実施例1と同一であ
る。有機物の屈折率δは通常、0.000004〜0.000006の範
囲にある。図17にδとして0.0000045 を仮定し、実施
例1と同じ計算手順でもとめたフーリエ変換結果を示
す。チャンネル数x=16付近にピークが観察され、試
料が単層膜であることからこれが有機膜によるものと考
えられる。屈折率δを変化させながらこのピークのフー
リエ変換強度を求め、それらの相関をとったものを図1
8に示した。この結果から有機膜の屈折率は約0.000004
8、膜厚は94.3nm であることがわかった。こうし
て求めたδと数10からこの有機膜の密度ρは大体1.
50と見積もられる(Z/Aは0.5に概ね近似でき
る)。さらに、試料の設置に関し、入射角に微妙なずれ
が生じていることが予測されるが、そのずれの値を評価
することは困難である。しかし、そのずれを横軸変換
(θ→Θ)において考慮して本解析を行うことにより可
能である。図18に入射角の補正値Δθを変えたときの
フーリエ変換強度のプロファイルを示したもので、この
プロファイルから本測定データにおける入射角のずれは
約0.008° であり、この値を用いて入射角のずれを
補正することにより解析の精度を高めることができる。
板上の屈折率δ,膜厚d共に未知な有機膜を評価した例
を示す。図16にこの試料の実測したX線反射率曲線を
示した。X線反射率測定条件は測定範囲が入射角0.2
5〜1.0°であることを除けば、実施例1と同一であ
る。有機物の屈折率δは通常、0.000004〜0.000006の範
囲にある。図17にδとして0.0000045 を仮定し、実施
例1と同じ計算手順でもとめたフーリエ変換結果を示
す。チャンネル数x=16付近にピークが観察され、試
料が単層膜であることからこれが有機膜によるものと考
えられる。屈折率δを変化させながらこのピークのフー
リエ変換強度を求め、それらの相関をとったものを図1
8に示した。この結果から有機膜の屈折率は約0.000004
8、膜厚は94.3nm であることがわかった。こうし
て求めたδと数10からこの有機膜の密度ρは大体1.
50と見積もられる(Z/Aは0.5に概ね近似でき
る)。さらに、試料の設置に関し、入射角に微妙なずれ
が生じていることが予測されるが、そのずれの値を評価
することは困難である。しかし、そのずれを横軸変換
(θ→Θ)において考慮して本解析を行うことにより可
能である。図18に入射角の補正値Δθを変えたときの
フーリエ変換強度のプロファイルを示したもので、この
プロファイルから本測定データにおける入射角のずれは
約0.008° であり、この値を用いて入射角のずれを
補正することにより解析の精度を高めることができる。
【0078】実施例5 厚さ約80nmの銅膜を蒸着法により表面に形成させた
溶融石英基板上にカーボン膜をスパッタ法により形成
し、銅及びカーボンの膜厚,カーボン表面及びカーボン
層と銅層との界面のラフネスをX線反射率プロファイル
の最小二乗フィッティング法を適用して求めた。
溶融石英基板上にカーボン膜をスパッタ法により形成
し、銅及びカーボンの膜厚,カーボン表面及びカーボン
層と銅層との界面のラフネスをX線反射率プロファイル
の最小二乗フィッティング法を適用して求めた。
【0079】X線反射率の測定はX線源にCuターゲッ
トを用い、発生するX線Ge(111)分光結晶で分光、C
uKα1を取り出し入射X線とした。測定角度範囲は0.
1°≦θ≦1.1°とし、角度のステップは0.001
°,計測点数は1001点とした。X線反射率のプロフ
ァイルには基板及び各膜の以下の物理パラメータが影響
を与える。
トを用い、発生するX線Ge(111)分光結晶で分光、C
uKα1を取り出し入射X線とした。測定角度範囲は0.
1°≦θ≦1.1°とし、角度のステップは0.001
°,計測点数は1001点とした。X線反射率のプロフ
ァイルには基板及び各膜の以下の物理パラメータが影響
を与える。
【0080】石英基板 :屈折率の実部及び虚部,銅/
石英基板界面のラフネス 銅膜 :屈折率の実部及び虚部,膜厚,カーボン膜
/銅膜界面のラフネス カーボン膜:屈折率の実部及び虚部,膜厚,カーボン膜
表面のラフネス 実験反射率と理論反射率とをフィッティングするために
は、上記物理パラメータの外に実験上のパラメータであ
るX線入射角度のゼロ点補正量,強度のスケール因子に
ついてもフィッティングする必要がある。即ち、パラメ
ータの数は13になる。これらを同時にフィッティング
することは非常に難しく、たとえある値に収束しても得
られた値の確かさには疑問が残る。また溶融石英基板や
Cuの屈折率のようによく調べられている物質のパラメ
ータ、あるいは軽元素で構成された物質の屈折率の虚部
のように一般に非常に小さくその変化は反射率には殆ど
影響を及ぼさないパラメータは固定した方がより正しい
結果に導かれると考えられる。
石英基板界面のラフネス 銅膜 :屈折率の実部及び虚部,膜厚,カーボン膜
/銅膜界面のラフネス カーボン膜:屈折率の実部及び虚部,膜厚,カーボン膜
表面のラフネス 実験反射率と理論反射率とをフィッティングするために
は、上記物理パラメータの外に実験上のパラメータであ
るX線入射角度のゼロ点補正量,強度のスケール因子に
ついてもフィッティングする必要がある。即ち、パラメ
ータの数は13になる。これらを同時にフィッティング
することは非常に難しく、たとえある値に収束しても得
られた値の確かさには疑問が残る。また溶融石英基板や
Cuの屈折率のようによく調べられている物質のパラメ
ータ、あるいは軽元素で構成された物質の屈折率の虚部
のように一般に非常に小さくその変化は反射率には殆ど
影響を及ぼさないパラメータは固定した方がより正しい
結果に導かれると考えられる。
【0081】そこで本実施例では、求めたい量である銅
及びカーボンの膜厚,カーボン表面及びカーボンと銅と
の界面のラフネス、さらに作製条件により膜質が変化す
ると考えられるカーボンの屈折率の実部をフィッティン
グすべき物理パラメータとし、これらに実験上の2つの
パラメータを加えて非線形最小二乗フィッティングを行
うことにした。その他の物理パラメータは従来から知ら
れている値に固定した。フィッティングの手順を図20
に、フィッティングのための初期値を表1に示す。
及びカーボンの膜厚,カーボン表面及びカーボンと銅と
の界面のラフネス、さらに作製条件により膜質が変化す
ると考えられるカーボンの屈折率の実部をフィッティン
グすべき物理パラメータとし、これらに実験上の2つの
パラメータを加えて非線形最小二乗フィッティングを行
うことにした。その他の物理パラメータは従来から知ら
れている値に固定した。フィッティングの手順を図20
に、フィッティングのための初期値を表1に示す。
【0082】
【表1】
【0083】カーボンおよび銅の膜厚はフーリエ変換に
より求めた値を初期値にし、ラフネスは不明のためいず
れも6.0Å に設定した。初期値を読み込む際、固定す
べきパラメータにはー符号を、フィッティングすべきパ
ラメータには+符号を付し、プログラムの中でパラメー
タの正負を判定、正のパラメータのみ1より順次番号付
けをする共に番号順に並べ替えて最小二乗フィッティン
グを行った。最小二乗による最適化は一般によく知られ
ているマルカート法を用いた。またフィッティングは高
角度側での実験結果を有効に反映させるため、反射率の
対数を取った量で行った。フィッティング後得られた各
パラメータの最適値を表2に示す。
より求めた値を初期値にし、ラフネスは不明のためいず
れも6.0Å に設定した。初期値を読み込む際、固定す
べきパラメータにはー符号を、フィッティングすべきパ
ラメータには+符号を付し、プログラムの中でパラメー
タの正負を判定、正のパラメータのみ1より順次番号付
けをする共に番号順に並べ替えて最小二乗フィッティン
グを行った。最小二乗による最適化は一般によく知られ
ているマルカート法を用いた。またフィッティングは高
角度側での実験結果を有効に反映させるため、反射率の
対数を取った量で行った。フィッティング後得られた各
パラメータの最適値を表2に示す。
【0084】
【表2】
【0085】図21,図22はフィッティング前後の結
果を示した物である。点線は実測反射率であり、図21
中の実線はフィッティング前のパラメータ、即ち初期値
を用いて計算した反射率であり、図22中の実線はフィ
ッティング後の値を用いて計算した反射率である。フィ
ッティング前では振動の周期は高角度側でわずかにずれ
が見られるもののかなり良く一致しているが、振幅につ
いては大きなずれが認められる。振動の周期が良く一致
していることは初期値にフーリエ変換結果を用いたこと
により、また振幅の大きなずれは表面や界面のラフネ
ス、あるいはカーボン膜の屈折率の値が正しくないため
である。一方、フィッティング後は実測反射率と計算反
射率は非常に良く一致しており、フィッティングパラメ
ータの最適化が正しく行われていることを示している。
上記の様な結果に対し、銅及び溶融石英の屈折率の実部
を、表1に示した値とは異なった値を初期値にしてフィ
ッティングパラメータに加えたところ、ここで用いたマ
ルカート法では発散してしまい収束しなかった。
果を示した物である。点線は実測反射率であり、図21
中の実線はフィッティング前のパラメータ、即ち初期値
を用いて計算した反射率であり、図22中の実線はフィ
ッティング後の値を用いて計算した反射率である。フィ
ッティング前では振動の周期は高角度側でわずかにずれ
が見られるもののかなり良く一致しているが、振幅につ
いては大きなずれが認められる。振動の周期が良く一致
していることは初期値にフーリエ変換結果を用いたこと
により、また振幅の大きなずれは表面や界面のラフネ
ス、あるいはカーボン膜の屈折率の値が正しくないため
である。一方、フィッティング後は実測反射率と計算反
射率は非常に良く一致しており、フィッティングパラメ
ータの最適化が正しく行われていることを示している。
上記の様な結果に対し、銅及び溶融石英の屈折率の実部
を、表1に示した値とは異なった値を初期値にしてフィ
ッティングパラメータに加えたところ、ここで用いたマ
ルカート法では発散してしまい収束しなかった。
【0086】上記実施例に示した様に本方法によれば、
X線反射率に影響するパラメータは物理パラメータが1
1,実験上のパラメータが2の合計13であるが、フィ
ッティングパラメータを選択できるようにしたことによ
り、必要かつ重要な7つのパラメータのみフィッティン
グするだけですみ、フィッティング時間の短縮と共に非
線形最小二乗法でしばしば発生する数値上のオーバフロ
ーも生ぜず安定したフィッティングプロセスが得られる
という効果がある。またパラメータの数を減らすことに
より得られた値の信頼性も高くなるという効果がある。
X線反射率に影響するパラメータは物理パラメータが1
1,実験上のパラメータが2の合計13であるが、フィ
ッティングパラメータを選択できるようにしたことによ
り、必要かつ重要な7つのパラメータのみフィッティン
グするだけですみ、フィッティング時間の短縮と共に非
線形最小二乗法でしばしば発生する数値上のオーバフロ
ーも生ぜず安定したフィッティングプロセスが得られる
という効果がある。またパラメータの数を減らすことに
より得られた値の信頼性も高くなるという効果がある。
【0087】実施例6 実施例1ではフィッティングさせたいパラメータと固定
しておきたいパラメータを、初期値に符号を付して区別
した。本実施例ではこの区別をより視覚的に、しかもよ
り簡単に行おうとするものである。即ち、反射率に影響
する物理パラメータの一覧をディスプレイ上に表示して
おき、最適化したいパラメータをディスプレイ画面上で
選択できるようにしたものである。一例を図23に示
す。第1カラムは被検体の表面から番号付けした膜番号
であり、第2,第3,第4カラムはそれぞれ屈折率の実
部,虚部,膜厚及び膜上面のラフネスである。それぞれ
初期値を与えておき、最適化したい項目のみ選択、枠で
囲み表示する。カラーディスプレイであれば色により表
示しても良い。選択後、結果をコンピュータで読み取
り、選択されたパラメータに番号を付すと共に番号順に
並べ替え、図1に示した手順により最適化を図る。
しておきたいパラメータを、初期値に符号を付して区別
した。本実施例ではこの区別をより視覚的に、しかもよ
り簡単に行おうとするものである。即ち、反射率に影響
する物理パラメータの一覧をディスプレイ上に表示して
おき、最適化したいパラメータをディスプレイ画面上で
選択できるようにしたものである。一例を図23に示
す。第1カラムは被検体の表面から番号付けした膜番号
であり、第2,第3,第4カラムはそれぞれ屈折率の実
部,虚部,膜厚及び膜上面のラフネスである。それぞれ
初期値を与えておき、最適化したい項目のみ選択、枠で
囲み表示する。カラーディスプレイであれば色により表
示しても良い。選択後、結果をコンピュータで読み取
り、選択されたパラメータに番号を付すと共に番号順に
並べ替え、図1に示した手順により最適化を図る。
【0088】本実施例に依れば、最適化したいパラメー
タと固定しておきたいパラメータとを視覚的に区別する
ことができ、より容易に間違いのない手順を提供するこ
とができる。
タと固定しておきたいパラメータとを視覚的に区別する
ことができ、より容易に間違いのない手順を提供するこ
とができる。
【0089】実施例7 基板上に1層の膜が形成されている場合、X線反射率は
単純な振動パターンになる。このような単純な場合に
は、膜厚及び膜の屈折率の実部は反射率に生じている振
動ピークの角度から簡単に求めることができる。即ち、
反射強度が1より十分小さい角度領域ではn番目のピー
クの角度をθn とすれば、良い精度で次式が成り立つ。
単純な振動パターンになる。このような単純な場合に
は、膜厚及び膜の屈折率の実部は反射率に生じている振
動ピークの角度から簡単に求めることができる。即ち、
反射強度が1より十分小さい角度領域ではn番目のピー
クの角度をθn とすれば、良い精度で次式が成り立つ。
【0090】
【数11】
【0091】ここで、dは膜厚、δは膜の屈折率の実
部、λは入射X線の波長である。数11よりd及びδを
求めるためにはピークの次数nを正確に求める必要があ
る。しかし、一般に振動構造は膜の全反射角度近傍から
生ずること、また基板の全反射角度が膜のそれより大き
い場合には、この角度の近傍で反射強度は複雑な挙動を
する等のためnを正確に決めることは非常に難しい。
部、λは入射X線の波長である。数11よりd及びδを
求めるためにはピークの次数nを正確に求める必要があ
る。しかし、一般に振動構造は膜の全反射角度近傍から
生ずること、また基板の全反射角度が膜のそれより大き
い場合には、この角度の近傍で反射強度は複雑な挙動を
する等のためnを正確に決めることは非常に難しい。
【0092】そこで本実施例では、ピーク角度の差を利
用する。即ち、ピークに仮の番号を付し、n番目のピー
クの角度をθn,n+m番目のピークの角度をθn+mとす
るとき、d及びδはそれぞれ次式で表すことができる。
用する。即ち、ピークに仮の番号を付し、n番目のピー
クの角度をθn,n+m番目のピークの角度をθn+mとす
るとき、d及びδはそれぞれ次式で表すことができる。
【0093】
【数12】
【0094】
【数13】
【0095】上式よりmを適宜設定、初期値d0及びδ0
を適宜与え繰り返し計算することにより数12,数13
を同時に満たすd及びδを決めることができる。以下で
は本方法を隣接ピーク法と呼ぶことにする。
を適宜与え繰り返し計算することにより数12,数13
を同時に満たすd及びδを決めることができる。以下で
は本方法を隣接ピーク法と呼ぶことにする。
【0096】本実施例では上記隣接ピーク法をガラス上
に非晶質Siを形成した系に適用した。X線反射率はC
uKα1を用い0.001°ステップで計測した。表3は
読み取った10本のピークからm=2,3,4と変化さ
せ繰り返し計算させたて得られた結果である。
に非晶質Siを形成した系に適用した。X線反射率はC
uKα1を用い0.001°ステップで計測した。表3は
読み取った10本のピークからm=2,3,4と変化さ
せ繰り返し計算させたて得られた結果である。
【0097】
【表3】
【0098】相互にかなり良い精度で一致しており、隣
接ピーク法によりd及びδが正しく求められていること
を示している。
接ピーク法によりd及びδが正しく求められていること
を示している。
【0099】本方法によればデータ処理のために特別な
システムを準備する必要はなく、ピークの位置を読み取
るだけですみ、非常に簡単に求められるという効果があ
る。 実施例8 上記積層体解析法を用い薄膜デバイスの製造ラインに適
用した。薄膜デバイスの製造ラインにおいて製品をX線
反射率測定装置に搬送・セットする機構を設け、X線反
射率測定を行う。さらに測定データに実施例1〜7記載
のデータ処理を施し、デバイスの各層の膜厚,屈折率,
ラフネス等をモニタし、それらの値が規定値から大きく
外れる場合には不良品として除いた。これにより品質の
揃った薄膜デバイスの製造が可能になった。また、成膜
条件を変えながら上記の手段でデバイスの各層の膜厚,
屈折率,ラフネス等をモニタし、その結果を成膜条件に
フィードバックすることにより、迅速なプロセス制御が
可能になった。上記の様に本法により精度の良い薄膜製
造装置が実現できる。また、オンラインで全製品を評価
するのでなく、何点か毎にダミー製品を抜き出し、評価
すること、あるいは薄膜デバイスの製造時にダミー基板
を設置しておき、ダミー基板の膜質を評価して薄膜デバ
イスの品質をロット毎に管理することも可能となり、こ
の場合、評価時間が短縮できることから製品のスループ
ットを大きくすることができる。さらに、一個もしくは
数個のモデル製品を本手法により正確に膜厚,屈折率,
ラフネス等を評価しておき、この評価済みの製品を他の
測定がより簡易な評価手段,例えば吸収分光法で評価
し、その結果とあらかじめ評価しておいた膜厚,屈折
率,ラフネス等との相関から検量線を作成、その検量線
から膜質を評価することも可能となり、より簡易なモニ
タ手段を実現することができる。
システムを準備する必要はなく、ピークの位置を読み取
るだけですみ、非常に簡単に求められるという効果があ
る。 実施例8 上記積層体解析法を用い薄膜デバイスの製造ラインに適
用した。薄膜デバイスの製造ラインにおいて製品をX線
反射率測定装置に搬送・セットする機構を設け、X線反
射率測定を行う。さらに測定データに実施例1〜7記載
のデータ処理を施し、デバイスの各層の膜厚,屈折率,
ラフネス等をモニタし、それらの値が規定値から大きく
外れる場合には不良品として除いた。これにより品質の
揃った薄膜デバイスの製造が可能になった。また、成膜
条件を変えながら上記の手段でデバイスの各層の膜厚,
屈折率,ラフネス等をモニタし、その結果を成膜条件に
フィードバックすることにより、迅速なプロセス制御が
可能になった。上記の様に本法により精度の良い薄膜製
造装置が実現できる。また、オンラインで全製品を評価
するのでなく、何点か毎にダミー製品を抜き出し、評価
すること、あるいは薄膜デバイスの製造時にダミー基板
を設置しておき、ダミー基板の膜質を評価して薄膜デバ
イスの品質をロット毎に管理することも可能となり、こ
の場合、評価時間が短縮できることから製品のスループ
ットを大きくすることができる。さらに、一個もしくは
数個のモデル製品を本手法により正確に膜厚,屈折率,
ラフネス等を評価しておき、この評価済みの製品を他の
測定がより簡易な評価手段,例えば吸収分光法で評価
し、その結果とあらかじめ評価しておいた膜厚,屈折
率,ラフネス等との相関から検量線を作成、その検量線
から膜質を評価することも可能となり、より簡易なモニ
タ手段を実現することができる。
【0100】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
迅速かつ精度良く薄膜の膜厚,屈折率,ラフネスを評価
することができる。また、薄膜の密度の簡易な評価もで
き、試料設置のずれも評価できる。
迅速かつ精度良く薄膜の膜厚,屈折率,ラフネスを評価
することができる。また、薄膜の密度の簡易な評価もで
き、試料設置のずれも評価できる。
【0101】さらに、本手法を薄膜製造装置に導入する
ことにより、不良品を除去し、均質な製品を製造するこ
とができる。
ことにより、不良品を除去し、均質な製品を製造するこ
とができる。
【図1】本発明のX線反射率解析の手順を示したフロー
チャート図である。
チャート図である。
【図2】本発明において求めたベースラインの表示の説
明図である。
明図である。
【図3】実施例として測定したX線反射率実測値を示し
た図である。
た図である。
【図4】ベースライン途中経過の説明図である。
【図5】ベースライン補正結果及び領域設定の説明図で
ある。
ある。
【図6】フーリエ変換結果を示した図である。
【図7】本発明のX線反射率解析の手順を示したフロー
チャート図である。
チャート図である。
【図8】求めたベースラインの説明図である。
【図9】ベースライン補正結果の説明図である。
【図10】フーリエ変換結果を示した図である。
【図11】本発明のX線反射率解析の手順を示したフロ
ーチャート図である。
ーチャート図である。
【図12】高速フーリエ変換結果を示した図である。
【図13】詳細フーリエ変換結果を示した図である。
【図14】本発明のX線反射率解析の手順を示したフロ
ーチャート図である。
ーチャート図である。
【図15】屈折率δとフーリエ変換強度の相関を表わし
た図である。
た図である。
【図16】シリコン上有機膜のX線反射率の実測値を示
した図である。
した図である。
【図17】図16のデータを処理してフーリエ変換した
結果を示した図である。
結果を示した図である。
【図18】屈折率δとフーリエ変換強度の相関を表わし
た図である。
た図である。
【図19】入射角補正値Δθとフーリエ変換強度の相関
を表わした図である。
を表わした図である。
【図20】本発明のフィッティングの手順を示したフロ
ーチャート図である。
ーチャート図である。
【図21】フィッティング前の計算値と実測値を表わし
た図である。
た図である。
【図22】フィッティング前の計算値と実測値を表わし
た図である。
た図である。
【図23】本発明における最適化パラメータの選択の説
明図である。
明図である。
1…実測したX線反射率曲線、2…ベースラインの途中
経過(繰り返し回数3回のもの)、3…ベースラインの
途中経過(繰り返し回数6回のもの)、4…ベースライ
ンの途中経過(繰り返し回数9回のもの)、5…ベース
ライン補正した結果、6…フーリエ変換に使用する領
域、7…カーボン膜によるピーク(カーボン膜のδを使
用)、8…銅膜によるピーク(カーボン膜のδを使
用)、9…カーボン膜によるピーク(銅膜のδを使
用)、10…銅膜によるピーク(銅膜のδを使用)、1
1…カーボン膜によるピーク(カーボン膜のδを使
用)、12…銅膜によるピーク(カーボン膜のδを使
用)、13…カーボン膜によるピーク(銅膜のδを使
用)、14…銅膜によるピーク(銅膜のδを使用)。
経過(繰り返し回数3回のもの)、3…ベースラインの
途中経過(繰り返し回数6回のもの)、4…ベースライ
ンの途中経過(繰り返し回数9回のもの)、5…ベース
ライン補正した結果、6…フーリエ変換に使用する領
域、7…カーボン膜によるピーク(カーボン膜のδを使
用)、8…銅膜によるピーク(カーボン膜のδを使
用)、9…カーボン膜によるピーク(銅膜のδを使
用)、10…銅膜によるピーク(銅膜のδを使用)、1
1…カーボン膜によるピーク(カーボン膜のδを使
用)、12…銅膜によるピーク(カーボン膜のδを使
用)、13…カーボン膜によるピーク(銅膜のδを使
用)、14…銅膜によるピーク(銅膜のδを使用)。
Claims (12)
- 【請求項1】基板上に1層以上の膜を形成した積層体か
らのX線反射率から積層体各層の膜厚をフーリエ変換法
により求める解析法において、計測点の均等平均を任意
の回数繰り返すことにより求めたベースラインにより補
正し、振動成分のみを抽出した結果をフーリエ変換する
ことを特徴とするX線反射率解析法。 - 【請求項2】基板上に1層以上の膜を形成した積層体か
らのX線反射率から積層体各層の膜厚をフーリエ変換法
により求める解析法において、計測値の任意の1点を選
び値を固定し、この点をスタート点として加重平均を任
意の回数繰り返すことにより求めたベースラインにより
補正し、振動成分のみを抽出した結果をフーリエ変換す
ることを特徴とするX線反射率解析法。 - 【請求項3】基板上に1層以上の膜を形成した積層体か
らのX線反射率から積層体各層の膜厚をフーリエ変換法
により求める解析法において、初めに高速フーリエ変換
を用いて解析し、その結果から所望の領域で詳細にフー
リエ変換を行うことにより膜厚を求めることを特徴とす
るX線反射率解析法。 - 【請求項4】基板上に1層以上の膜を形成した積層体か
らのX線反射率から積層体各層の膜厚をフーリエ変換法
により求める解析法において、X線入射角度の補正量、
及びX線に対する屈折率の実部をパラメータにしてフー
リエ変換を行い、フーリエ変換ピークの強度を最大にす
るX線入射角度の補正値、及びX線に対する屈折率の実
部の組合せを求めることにより、X線入射角度の補正
値、及びX線に対する屈折率の実部の近似値を求めるこ
とを特徴とするX線反射率解析法。 - 【請求項5】基板上に1層以上の膜を形成した積層体か
らのX線反射率から積層体各層の物理パラメータ(膜
厚,X線に対する屈折率の実部,虚部、及び界面ラフネ
ス)を非線形最小二乗フィッティング法で最適化するこ
とにより求める解析法において、パラメータの初期値に
フーリエ変換により求めた値を用いると共に、各物理パ
ラメータの初期値に最適化したいパラメータと固定して
おきたいパラメータを区別する符号を与え、かつ最適化
したいパラメータのみ順次番号付けをして並べ替えて、
これらのパラメータについてのみ非線形最小二乗フィッ
ティングを行うことを特徴としたX線反射率解析法。 - 【請求項6】請求項5において、物理パラメータの一覧
をディスプレイ上に表示しておき、最適化したいパラメ
ータをディスプレイ画面上で選択できるようにしたこと
を特徴とするX線反射率解析法。 - 【請求項7】請求項5において、計測されたX線反射率
をR,X線の試料への入射角度をθとしたとき、計測デ
ータの前処理によりf=θ4R を求め、fのフィッティ
ングを行うことを特徴とするX線反射率解析法。 - 【請求項8】基板上に1層の膜を形成した被検体の膜厚
d及びX線に対する屈折率δを求めるX線反射率解析法
において、反射率に生ずる振動のピーク位置θn を読み
取り、d=f(θn,θn+m,m,δ),δ=f′(θn,
θn+m,m,d)の関係から、これら関係が同時に成り
立つようなd,δを繰り返し計算により求めることを特
徴とするX線反射率解析法。 - 【請求項9】基板上に1層以上の膜を形成した積層体構
造を形成する薄膜製造装置において、積層体からのX線
反射率測定結果をベースラインにより補正し、振動成分
のみを抽出した結果をフーリエ変換するX線反射率解析
により積層体各層の膜厚や膜質を評価する手段、あるい
は積層体からのX線反射率測定結果をカーブフィッティ
ングにより積層体各層の膜厚や膜質を評価する手段、あ
るいはフーリエ変換とカーブフィッティングを併用して
積層体各層の膜厚や膜質を評価する手段を備えているこ
とを特徴とする薄膜製造装置。 - 【請求項10】基板上に1層以上の膜を形成した積層体
構造を形成する薄膜製造装置において、ダミーの積層体
からのX線反射率測定結果をベースラインにより補正
し、振動成分のみを抽出した結果をフーリエ変換するX
線反射率解析により積層体各層の膜厚や膜質を管理する
手段、あるいは積層体からのX線反射率測定結果をカー
ブフィッティングにより積層体各層の膜厚や膜質を管理
する手段、あるいはフーリエ変換とカーブフィッティン
グを併用して積層体各層の膜厚や膜質を管理する手段を
備えていることを特徴とする薄膜製造装置。 - 【請求項11】基板上に1層以上の膜を形成した積層体
構造を形成する薄膜製造装置において、モデルの積層体
からのX線反射率測定結果をベースラインにより補正
し、振動成分のみを抽出した結果をフーリエ変換するX
線反射率解析により積層体各層の膜厚や膜質を管理する
手段、あるいは積層体からのX線反射率測定結果をカー
ブフィッティングにより積層体各層の膜厚や膜質を管理
する手段、あるいはフーリエ変換とカーブフィッティン
グを併用して積層体各層の膜厚や膜質を管理する手段を
備えていることを特徴とする薄膜製造装置。 - 【請求項12】X線反射率測定結果をベースラインによ
り補正し、振動成分のみを抽出した結果をフーリエ変換
するX線反射率解析により積層体各層の膜厚を評価する
手段、あるいは積層体からのX線反射率測定結果をカー
ブフィッティングにより積層体各層の膜厚を評価する手
段、あるいはフーリエ変換とカーブフィッティングを併
用して積層体各層の膜厚を評価する手段を備えたデータ
処理部を装備していることを特徴とするX線反射率測定
装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP01046693A JP3293211B2 (ja) | 1993-01-26 | 1993-01-26 | 積層体の膜評価法及びこれを用いた膜評価装置及び薄膜製造装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP01046693A JP3293211B2 (ja) | 1993-01-26 | 1993-01-26 | 積層体の膜評価法及びこれを用いた膜評価装置及び薄膜製造装置 |
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