JPH0621945Y2 - 土質サンプル採取装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、沈設した既製コンクリート杭の先端部におけ
る支持地盤を確認するたのために使用する土質サンプル
の採取装置に関する。

〔従来の技術〕

既製コンクリート杭の施工法には、予め地盤に杭建込用
の穴を掘削し、この穴に既製コンクリート杭を挿入した
後打撃又は根固め処理を行って杭基礎とするプレボーリ
ング工法、或いは既製コンクリート杭の中空部にオーガ
スクリーを挿入し、該オーガスクリーで先堀りを行いな
がら既製コンクリート杭を沈設する中堀り工法等があ
る。

この際、土質試験により作成された土質柱状図（地層の
層序、各層に含有される諸物質の状態、層厚等を縮尺し
て図に表したもの）により、支持地盤の深さを決定し、
その位置に支持層があるものと仮定して、地盤に埋設す
る杭の全数について杭の長さを決定している。

しかし、支持地盤が本当に有るか否かを確認するため、
従来はオーガスクリーを回転させるモータの電流値の変
動や、オーガスクリー或いはオーガヘッドに付着してい
る土砂を目で見て判断するしかなかった。

また、杭の支持力の発現をセメントミルクによる根固め
で行なった場合、該根固め部の混合液を採取し、その圧
縮強度を調査する必要があるが、従来はコアボーリング
マシン等でコアの採取を行い、圧縮試験用テストピース
を製作し実施しているのが現状である。

しかし、前記オーガスクリー或いはオーガヘッドに付着
した土砂による支持層の確認では、オーガシャフトを引
き上げる際に、オーガクリー或いはオーガヘッドに周辺
の土砂が付着したり、または最初に付着していた土砂が
途中で落下したりするために、オーガシャフトを引き上
げた時に付着している土砂がどの深度のものか判断する
ことは困難である。また、コアボーリングマシン等によ
る圧縮強度の確認方法は高価であり、全数の杭に行うこ
とは経済的に無理があった。

このような従来の欠点を解消したものとして、実開昭５
９−１２９９２５号広報には、オーガーヘッドの筒体下
部を土質サンプル収納室とした土質サンプラーが開示さ
れている。

〔考案が解決しようとする問題点〕

しかし、前記実開昭５９−１２９９２５号広報に開示さ
れた考案のものは、オーガーヘッド自体の下部を加工し
て土質サンプル収納室を形成する構成であるから、従来
のオーガーヘッドをそのまま使用出来ず汎用性がないこ
と、オーガーヘッドの構造強度が劣化する恐れがあるこ
と、土質サンプル収納室が小さく所望量の土質サンプル
を採取できない、といった諸問題点がある。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案は、上記のような従来の諸問題点を解決するため
に成されたものであり、その要旨は、掘削機の回転シャ
フトに着脱可能に嵌装する支軸筒の外側面に、中空直方
体形状のサンプル採集ケースを装着するとゝもに、該サ
ンプル採集ケースの天面部にはサンプル取込口を、側端
面部にはサンプル取出口蓋を備えたサンプル取出口を夫
々形成し、前記サンプル取込口に前記支軸筒とほゞ同心
円上をスライドする可動扉を装着したことを特徴とする
土質サンプル採取装置にある。

〔実施例〕

以下、本考案を第１図乃至第７図に示す実施例に基づい
て説明する。なお、第１図は本考案に係る土質サンプル
採取装置の斜視図で、第２図は同採取装置の平面図、第
３図は同側面図、第４図は同採取装置の要部拡大断面
図、第５図及び第６図は掘削機に本考案に係る土質サン
プル採取装置を装着した掘削中の状態を示す一部を切断
した側面図で、第７図（イ）（ロ）は同採取装置の作用
説明図である。

図において、１は後述する掘削機の回転シャフト（オー
ガスクリュー）２が挿入固定される６角形状の支軸筒
で、この支軸筒２の外周には円筒部材３が挿入固定され
ている。

４，５は前記円筒部材３の外側面において、その直径線
上に設けられた左右一対のサンプル採集ケースで、第１
のサンプル採集ケース４は所定の高さを有し、平面視が
扇形形状の直方体で形成されている。すなわち、第１の
サンプル採集ケース４は、扇形状の天面部６及び底面部
７と、前記円筒部材３の外周から放射方向に延びた一対
の側端面部８，９と、円弧形状の外側面部１０とから夫
々構成されており、サンプル採集ケース４の天面部６に
は、一方の側端面部８からほゞ中央部まで延びた扇形状
のサンプル取込口１１が形成されている。また、外側面
部１０の上端の内側には天面部６の上面との間に周溝１
２が形成されており、したがって、この周溝１２は外側
面部１０と同一の曲率半径を有している。

１３は前記サンプル取込口１１を開閉する平面視が扇形
状の可動扉で、前記天面部６の上面に設けられており、
その外周縁は前記周溝１２に摺動自在に挿入され、内周
縁には前記円筒部材３の外周部を摺動する垂直部１３ａ
が連設されている。そして、前記可動蓋１３の先端部側
には垂直な駆動板１４が固定されている。

更に、前記サンプル取込口１１側の側端面部８は完全に
閉塞状態となっているが、反対側の側端面部９にはサン
プル取出口１５が開口しており、このサンプル取出口１
５にはサンプル取出口蓋１６がボルト１７により取外し
可能に固定されている。なお、前記円筒部材３と前記可
動扉１３の垂直部１３ａとの間には、図示しないが、オ
イルレスベアリングが介在されている。

１８は前記円筒部材３の上端部に形成したネジ部と螺合
し固定される止めナットで、この止めナット１８の下面
は、前記可動扉１３の垂直部１３ａの上面と摺動自在に
当接している。

一方、第２のサンプル採集ケース５は、上記の第１のサ
ンプル採集ケース４と同一の構成をしているが、サンプ
ル取込口１１及びサンプル取出口１５、サンプル取出口
蓋１６等が、前記第１のサンプル採集ケース４とは点対
称位置に形成されている。その他の点については、第１
のサンプル採集ケース４の場合と同様の構成である。

第５図及び第６図に示すものは、本案装置を装着する掘
削機で、その中空な回転シャフト２の中を空気連行剤を
混入した水が流通し、回転シャフト２の先端から噴射さ
れる。また、回転シャフト２の上端には、これを回転駆
動する駆動モータ等を具備した駆動部１９が設けられて
いる。

２０は既製コンクリート杭２１を打撃するためのインパ
クトランマで、前記回転シャフト２はこのインパクトラ
ンマ２０の中央部に回転及び上下動自在に挿通されてい
る。２２は回転シャフト２の先端部に付設されたオーガ
ヘッドで、２３は回転シャフト２に固定された攪拌羽、
２４は既製コンクリート杭２１の上端に装着されたキャ
ップ、２５は前記インパクトランマ２０とキャップ２４
との間に介装された排土用のスペーサであり、２６は地
盤、２７は既製コンクリート杭２１の支持層である。

次に、上記の実施例についてその作用を説明すると、ま
ず回転シャフト（オーガスクリュー）２の先端部上方に
支軸筒１を嵌挿し、前記円筒部材３の上端部に形成した
ネジ部と螺合している止めナット１８を締め付けること
により、本案装置を回転シャフト２に固定する。そし
て、回転シャフト２の先端にオーガヘッド２２を取付け
た後、掘削機の駆動部１９を起動して回転シャフト２を
正方向に回転させるとゝもに、前記オーガヘッド２２の
先端から空気連行剤入りの水を噴出させながら、オーガ
ヘッド２２により地中の土砂を掘削攪拌する。この土砂
の掘削攪拌にしたがって既製コンクリート杭２１はスム
ースにこの掘削穴内に貫入するとゝもに、掘削された土
砂は既製コンクリート杭２１の内部を上昇してスペーサ
２５から外部に排土される。

この際、一対のサンプル採集ケース４，５は回転シャフ
ト２と一体に正方向に回転する。その結果、第７図
（イ）に示すように、可動扉１３に装着した駆動板１４
が土砂の抵抗を受け、該可動扉１３は天面部６上を回転
シャフト２の回転方向とは逆方向に夫々摺動してサンプ
ル取込口１１を閉塞する。従って、サンプル採集ケース
４，５内には土砂が侵入しない。

そして、既製コンクリート杭２１の先端が支持層２７の
中まで貫入したならば、回転シャフト２の回転を停止し
た後逆方向に回転すると、第７図（ロ）に示すように、
駆動板１４が土砂の抵抗を受けるので、該可動扉１３は
天面部６上を正方向に摺動してサンプル取込口１１を開
成するとゝもに、周囲の土砂はこのサンプル取込口１１
からサンプル採集ケース４，５内に夫々取込まれる。

ついで、回転シャフト２を正方向に数回転すると、上述
したように、可動扉１３の移動によりサンプル取込口１
１が閉塞される。そこで、回転シャフト２の回転を停止
した後、１〜２ｍ引上げて固定し、次いで、インパクト
ランマ２０を起動させて設計支持力が得られるまで既製
コンクリート杭２１の頭部に打撃を与える。

上記のようにして採取された支持層２７の土砂は、比較
検討され、または根固め部の混合液で供試体を製作して
圧縮強度を測定する。更に支持層２７までの深度は、回
転シャフト２の掘削長さにより正確に確認することがで
きる。なお、前記実施例では、支軸筒１を中心としてそ
の左右の対称位置に一対のサンプル採集ケース４，５を
装着した構成のもので説明したが、何れか一方のみでも
もよいことは勿論である。

〔考案の効果〕

本考案に係る土質サンプル採取装置は、上記のように、
掘削機の回転シャフトに着脱可能に嵌装する支軸筒の外
側面に、中空直方体形状のサンプル採集ケースを装着す
るとゝもに、該サンプル採集ケースの天面部にはサンプ
ル取込口を、側端面部にはサンプル取出口蓋を備えたサ
ンプル取出口を夫々形成し、前記サンプル取込口に前記
支軸筒とほゞ同心円上をスライドする可動扉を装着した
構成であるから、他の地盤の土砂を含まない支持層だけ
の土質サンプルを大量に採集できるとゝもに、前記サン
プル取込口は採集ケースの天面部に形成されているため
サンプルの取込もスムーズであり、且つ採集ケースの天
面部には土砂による大きな抵抗も掛からないので、回転
シャフトの回転方向と逆方向にスライドしてサンプル取
込口を開閉する可動扉の損傷も少なく耐久性が向上す
る。又、従来の掘削機に簡単に取り付けることができる
ため汎用性があり、廉価に提供することが出来るといっ
た諸効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る土質サンプル採取装置の斜視図、
第２図は同採取装置の平面図、第３図は同側面図、第４
図は同採取装置の要部の拡大断面図、第５図及び第６図
は掘削機に本考案に係る土質サンプル採取装置を装着し
た掘削中の状態を示す一部を切断した側面図、第７図
（イ）（ロ）は同採取装置の作用説明図である。 １……支軸筒、２……回転シャフト、３……円筒部材、
４，５……サンプル採集ケース、６……天面部、８，９
……側端面部、１０……外側面部、１１……サンプル取
込口、１２……周溝、１３……可動扉、１４……駆動
板、１５……サンプル取出口、１６……サンプル取出口
蓋。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】掘削機の回転シャフトに着脱可能に嵌装す
   る支軸筒の外側面に、中空直方体形状のサンプル採集ケ
   ースを装着するとゝもに、該サンプル採集ケースの天面
   部にはサンプル取込口を、側端面部にはサンプル取出口
   蓋を備えたサンプル取出口を夫々形成し、前記サンプル
   取込口に前記支軸筒とほゞ同心円上をスライドする可動
   扉を装着したことを特徴とする土質サンプル採取装置。