JPH0621817U - せん断用カッタ−ブロック - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 十分な耐久性の確保できるせん断用カッタ−
ブロック。 【構成】 刃面12を傾斜させて、せん断力を分散させて
いる。また、刃面全体を同一の斜面としないで、ほぼ中
央で交差する互いに逆向きの斜面12a、12b を刃面12に設
けて、被加工物20の逃げを防止している。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、たとえば、ピストンの先端に設けた可動のカッタ−ブロックと、 ハウジング等の固定部材に設けた固定のカッタ−ブロックとの組み合わせによっ て鉄筋のような被加工物をせん断するせん断用カッタ−ブロックに関する。

【０００２】

【従来の技術】

鉄筋、鋼管や矩形断面の棒材等の切断治具としてカッタ−ブロックが利用され ている。カッタ−ブロックは２つ一組とされ、たとえば、一方がピストンのよう な可動部材に、他方がハウジングのような固定部材にボルト止め等によって刃面 を対向して取付けられる。そして、可動および固定のカッタ−ブロック間に被加 工物、たとえば、鉄筋が置かれ、ピストンを前進させて鉄筋をせん断（切断）し ている。

【０００３】 カッタ−ブロックを利用するカッタ−（せん断機械）は、たとえば、ピストン 先端に可動カッタ−ブロックを、ハウジングに固定カッタ−ブロックをそれぞれ 取付けてピストンを前進させれば足り、構造上比較的容易に小型軽量化できる。 また、シェアリング（せん断）による切断であるため、迅速、容易に切断でき、 効率のよい切断が行える。さらに、切粉も発生せず、切削油等を供給する必要も ないため、切粉、切削油による周囲の汚染を考慮する必要がない。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

通常、カッタ−ブロックは矩形とされ、その刃面は可動カッタ−ブロックの移 動方向と直交する方向に伸び、一対のカッタ−ブロックの刃面は互いに平行とさ れる。

【０００５】 たとえば、鉄筋、鋼管等の棒材のせん断において、図６(A) に示すように、カ ッタ−ブロックの刃面は、横断面において棒材の左右両端に点接触する。そして 、可動サイドのカッタ−ブロックの前進に伴って、接触面積が変化し、その接触 面積全体で棒材を同時にせん断する（図６(B) 参照）。

【０００６】 ここで、せん断に要するせん断応力は、被加工物の材質に関係する。そして、 せん断力は、せん断を生じている面積とせん断応力との積となり、この場合、接 触面積全体で同時にせん断しているため、必要なせん断力が必然的に大きくなる 。そのため、可動カッタ−ブロックのピストンを駆動するためのモ−タの小型化 が難しく、カッタ−の小型軽量化の障害となっている。

【０００７】 また、大きなせん断力を鉄筋に伝達する可動カッタ−ブロックにその反力が加 わるため、可動カッタ−ブロックが破損しやすい。また、鉄筋を介して固定カッ タ−ブロックにも同様に大きなせん断力が伝わるため、破損しやすい。このよう に、可動サイド、固定サイドのカッタ−ブロックがいずれも破損しやすく、十分 な耐久性が確保できない。

【０００８】 この考案は、十分な耐久性の確保できるせん断用カッタ−ブロックの提供を目 的としている。

【０００９】

【課題を解決するための手段】

この目的を達成するために、この考案では刃面を傾斜させて、せん断力を分散 している。また、刃面全体を同一の斜面としないで、ほぼ中央で交差する互いに 逆向きの斜面を刃面に設けて、被加工物の逃げを防止している。

【００１０】

【実施例】

以下、図面を参照しながらこの考案の一実施例について詳細に説明する。

【００１１】 図１(A)、(B)(C)に示すように、この考案のせん断用カッタ−ブロック10におい て、その刃面12は、たとえば、ほぼ中央で交差する互いに逆向きの斜面12a、12b を有して構成されている。このカッタ−ブロック10は、たとえば、刃面14が斜面 でない公知のカッタ−ブロック16（図２(A)、(B) 参照）と組み合わせて使用され る。なお、参照符号18は、ボルトの挿通される貫通孔を示す。

【００１２】 カッタ−ブロック10、16 によるせん断について説明すると、いずれか一方、た とえば、モ−タを内蔵した携帯用カッタ−（図示しない）のピストン先端にカッ タ−ブロック10が、ハウジングのような固定部材に他方のカッタ−ブロック16が 、それぞれボルト止めされる。

【００１３】 たとえば、被加工物である鉄筋20が、可動のカッタ−ブロック10、固定のカッ タ−ブロック16との間に置かれ、スイッチを操作してモ−タを起動させると、ピ ストンとともにカッタ−ブロック10が前進する（図３(A) 、図４参照）。

【００１４】 可動のカッタ−ブロック10は、鉄筋20を固定のカッタ−ブロック方向に鉄筋を 押しながら前進し、カッタ−ブロック16に鉄筋を押し付けるとせん断が開始され る（図３(B) 参照）。

【００１５】 通常、鉄筋20は、支持面にのせてせん断され、所定サイズの鉄筋を切断すると き、鉄筋が刃面12の中央に位置するように支持面の高さが決められる。そして、 所定サイズ以下の鉄筋20は、刃面12の中央より下でせん断される。

【００１６】 しかし、この考案では、所定サイズ以下の鉄筋20が刃面12の中央より下で刃面 12b に当接すると、鉄筋は刃面12b に沿って上に逃げ、刃面の中央に至ると、刃 面12a に妨げられて逃げが阻止され、刃面12a、12b の双方に当接する刃面の中央 でせん断が開始される。

【００１７】 また、支持面にのせないでせん断する場合でも、上または下への逃げが刃面の 中央で阻止され、鉄筋20は刃面の中央でせん断される。

【００１８】 このように、この考案では、斜面12a、12b の双方に当接する刃の中央で常にせ ん断される。そのため、逃げ防止のために鉄筋20を掴みながらせん断を行う必要 がなく、作業性が低下することもない。通常、斜面12a、12b の傾斜角φは、同一 とされるが、差異を付けてもよい。

【００１９】 ここで、刃面12が斜面となっているため、せん断力が斜面12a、12b に沿って分 散して作用し、せん断力の集中が避けられ、せん断が比較的小さなせん断力のも とでも円滑に行える。これは、ギロチン（首切り機）の刃面が傾斜していたり、 日本刀での戦いのとき、刃面を押して切らず滑らせて切ることからも容易に理解 できる。

【００２０】 このように、この考案では、せん断力が集中して作用せず、比較的小さなせん 断力のもとで鉄筋（被加工物）20をせん断できるため、可動サイド、固定サイド のカッタ−ブロック10、16 がいずれも破損し難く、十分な耐久性が確保される。

【００２１】 また、大きなせん断力が不要となり、可動サイドのカッタ−ブロック10のピス トンを駆動するためのモ−タのような駆動源が小型化され、カッタ−の小型軽量 化が可能となる。

【００２２】 さらに、この考案では、ただ単に刃面を傾斜させただけでなく、刃面12を同一 の斜面とせず、ほぼ中央で交差する互いに逆向きの斜面12a、12b を刃面に設けて いるため、せん断中における鉄筋（被加工物）20の逃げが阻止され、鉄筋を掴み ながらせん断する必要もない。

【００２３】 実施例では、この考案のカッタ−ブロックを可動サイドにのみ採用しているが 、固定サイドにのみ、または、双方に採用してもよい（図５参照）。

【００２４】 上述した実施例は、この考案を説明するものであり、この考案を何ら限定する ものでなく、この考案の技術範囲内で変形、改造等の施されたものも全てこの考 案に含まれることはいうまでもない。

【００２５】

【考案の効果】

上記のように、この考案では、せん断力が集中して作用せず、比較的小さなせ ん断力のもとでせん断できるため、可動および固定のカッタ−ブロックの破損が 防止され、良好な耐久性が確保される。

【００２６】 また、大きなせん断力が不要となるため、可動カッタ−ブロックのピストンを 駆動するためのモ−タが小型化でき、カッタ−の小型軽量化が可能となる。

【００２７】 さらに、ほぼ中央で交差する互いに逆向きの斜面を刃面に設けているため、せ ん断中における被加工物の逃げが阻止され、鉄筋を掴みながらせん断する必要も ない。

【図面の簡単な説明】

【図１(A)、(B)、(C) 】この考案に係るカッタ−ブロック
の左面図、正面図、右側面図である。

【図２(A)、(B) 】固定サイドの公知のカッタ−ブロック
の左側面図、正面図である。

【図３(A)、(B)、(C) 】この考案に係るカッタ−ブロック
による切断の工程図である。

【図４】一対のカッタ−ブロックの概略斜視図である。

【図５】別実施例における一対のカッタ−ブロックの概
略斜視図である。

【図６(A)、(B) 】公知のカッタ−ブロックの組み合わせ
による切断の工程図である。

【符号の説明】

10 可動のカッタ−ブロック 12 可動のカッタ−ブロックの刃面 12a、12b 斜面 14 固定のカッタ−ブロックの刃面 16 固定のカッタ−ブロック 18 貫通孔 20 鉄筋（被加工物） φ 傾斜角

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ほぼ中央で交差する逆向きの斜面を刃面
   に設けたせん断用カッタ−ブロック。