JPH0621648U - 医療用カテーテルチューブ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 一端を血管内に挿入し、他端を血液回路のチ
ューブに接続するカテーテルチューブで、血液回路や血
管に影響を与えることなく、繁雑な作業をなくして速や
かに、かつ安全、的確にガイドワイヤーの挿入・抜去
と、血管内への誘導をすることができる医療用カテーテ
ルを提供する。 【構成】 両端が開口した本体チューブ１の後端のコネ
クター３の近傍に、メインルーメン２に連通し、ガイド
ワイヤーを挿入するための枝管４を、後端側に５〜２０
度の角度で傾斜させて設ける。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、外科手術の施術時に使用する医療用具で、一端を血管内に挿入し、 他端は血液回路のチューブに接続して、血液の体外循環のために使用するカテー テルチューブである。

【０００２】

【従来の技術】

カテーテルチューブを血管内に挿入するためには、一般にガイドワイヤーによ って誘導する方法が行なわれるが、従来、ガイドワイヤーをメインルーメン（主 内孔）に通すものと、専用のサブルーメン（副内孔）に通すものの２種類が施術 者に提供されており、それぞれ以下の特徴を有している。

【０００３】 ガイドワイヤーをメインルーメンに直接通す方法の長所は、ガイドワイヤーが メインルーメンの中心に位置していて、カテーテルの的確な誘導が可能となり、 血管壁等に損傷を与える恐れがなく安全な誘導を行えるということであるが、欠 点としては、ガイドワイヤーをカテーテルに挿入・抜去する際に、血液回路のチ ューブに接続したコネクターを一旦外さなければならず、その際の作業が繁雑で 作業時間が長くなる点が挙げられる。

【０００４】 一方、ガイドワイヤーが専用孔を有している場合の長所は、血液や薬液の流路 となるメインルーメンにはなんら影響を与えないので、作業が速やかに行えると いうことであるが、欠点として、メインルーメンの断面積が減少し、血流量等が 減少することが挙げられる。また、ガイドワイヤーがカテーテルの先端部では中 心をはずれた部位より出てくるので、的確な誘導に支障をきたし、血液壁に損傷 を与える恐れもある。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

本考案は、カテーテルチューブを血管内に誘導し挿入する際の上記のような問 題点を解決するため、種々検討の結果なされたもので、その目的とするところは 、ガイドワイヤーの挿入・抜去の際の繁雑な作業をなくして、最小限の時間で操 作することができ、また、ガイドワイヤーによって血管に損傷を与えることなく 、安全かつ的確に血管内に誘導できると共に、メインルーメンの断面積をより大 きくしたカテーテルチューブ提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

上記の課題を解決するための本考案による医療用カテーテルは、長さ方向に貫 通したメインルーメンを有し後端にコネクター部を設けた本体チューブと、該本 体チューブの後端部近傍に後端側に傾斜して設けられ前記メインルーメンと連通 した、ガイドワイヤーを挿入するための枝管から成るカテーテルチューブであっ て、該枝管は本体チューブに対して５〜２０度の角度をなすと共に、その後端部 近傍にクランプを付設したことを特徴とするものである。

【０００７】 以下、図示した実施例に基づいて、本考案を詳細に説明する。 図１は本考案の一実施例となる医療用カテーテルチューブの断面図、図２は本考 案による医療用カテーテルチューブの他の実施例を示す。

【０００８】 本考案によるカテーテルの本体チューブ（１）は、長さ方向に貫通したメイン ルーメン（２）を有し、後端にはコネクター（３）が設けられている。本体チュ ーブの後端近傍には、後端部側に傾斜して設けられた枝管（４）が有り、メイン ルーメンに連通している。枝管（４）はガイドワイヤーをメインルーメン（２） 内に誘導するための入口となるものであり、その連接部（５）では枝管（４）と メインルーメン（２）とは出張りを生じないように滑らかに接合している。なお 、枝管（４）には血液の逆流防止のためのクランプ（６）が取り付けられている 。

【０００９】 本体チューブ（１）は、用途によっても異なるが、一般的には全長２０〜８０ cmで、太さは５〜２０mm、好ましくは６〜９mmの範囲の、適度な強度と柔軟性を 有する円筒形状であり、長さ方向に貫通したメインルーメン（２）を有していて 、このメインルーメン（２）は本体チューブ（１）の座屈等、強度不足による使 用上の不具合が生じない限り、内径の大きいことが十分な流路確保の点から望ま しい。その材質としては、例えば、塩化ビニール樹脂、ポリウレタン等の熱可塑 性樹脂や、シリコーンゴム、ラテックス等のエラストマー系のポリマーで構成さ れていることが望ましい。

【００１０】 本体チューブ（１）の側壁の肉厚を小さくしてメインルーメン（２）の内径の 増大、すなわち血流量の増大を図ると共に、本体チューブのキンク防止を図る方 法として、本体チューブの側壁内にスプリングコイル（１２）を埋込み内蔵させ るのも、望ましい構造の１つである。スプリングコイル（１２）がメインルーメ ン（２）の内壁面や外周面に影響を与えないように、本体チューブ（１）の側壁 内部にスプリングコイル（１２）を完全に埋め込んでしまうのがよい。スプリン グコイル（１２）の材質としては、錆等の生体への悪影響が生じないステンレス スチール、チタン等の金属、もしくはポリエチレン、ポリアミド樹脂などの高分 子樹脂を使用するのが望ましく、その形状と寸法は、丸線を用いる場合では線径 0.１〜１mm、好ましくは0.２〜0.３mmの範囲、平線を用いる場合では巾0.５〜５ mm、好ましくは１〜３mmで、厚みは0.１〜１mm、好ましくは0.３〜0.５mmの範囲 のものが望ましい。

【００１１】 本体チューブ（１）の先端部は、図１に示したようにそのまゝ開口してもよく 、また、図２の例のように、先端から５cm以内の位置にメインルーメン（２）に 連通した１個ないしは複数個の側孔（１１）を設けてもよい。また、その後端に はメインルーメン（２）と連接し、血液回路のチューブに接続できる構造をもつ コネクター（３）が設けられており、その形状はルアー型、竹の子型など種類・ 形状は問わないが、血液回路（ビニルチューブ、コネクターなど）への接続が容 易であり、できるだけコネクターの内径が大きく血流や薬液の流れを妨げない構 造のものを用いることが望ましい。

【００１２】 枝管（４）は、ガイドワイヤーをメインルーメン（２）に挿入・抜去するため のもので、その長さは２〜１０cmの範囲とするのが適切であり、ガイドワイヤー の挿入がし易いように、勾配の緩やかな円錐形状、もしくは円筒形状をなしてい る。内径は使用するガイドワイヤーによってほゞ決まってくるが、通常は１〜３ mmの範囲内にあることが望ましい。また、枝管（４）の取り付ける位置は、本体 チューブ（１）の後端から２〜１０cm、好ましくは２〜５cmの範囲で、手技の妨 げにならない位置で取り付け角度はガイドワイヤーがメインルーメン（２）に挿 入しやすい角度、即ち本体チューブ（１）の後端側に５〜４０度、好ましくは５ 〜２０度の範囲で傾斜していることが望ましい。傾斜が５度より小さいときは、 ガイドワイヤーの挿脱はスムーズで好ましいが、枝管の本体チューブへの取りつ け、接合が難かしくなり、また、クランプ（５）の操作に支障を生じ易い。一方 、４０度より傾斜が大きくなると、枝管（４）と本体チューブ（１）の連接部（ ５）でガイドワイヤーが大きく屈曲することになり、ガイドワイヤーが連接部（ ５）のエッジに当たり挿脱がスムーズに行なえない。従って、連接部（５）の特 にチューブ先端側のエッジは滑らかに仕上げることが肝要である。

【００１３】 また、枝管（４）には血流逆流防止のためのクランプ（６）を取り付ける。そ の種類としては、板クランプやロバートクランプ等のクランプ類の他、２方活栓 、３方活栓等の活栓類や、蓋付きコネクター等でも良いが、その位置として枝管 （４）の後端近傍にあることが望ましい。また、枝管（４）は、ガイドワイヤー を抜去した後、圧力センサー、温度センサー等のセンサー類を挿入するための側 孔としても利用することが出来る。

【００１４】 ガイドワイヤーの挿入に用いる枝管（４）の他に、図２に示したように、薬液 注入口もしくはサンプル採取口としての機能を持つ、第２の枝管（７）を設ける ことができる。枝管（７）を設ける位置は、本体チューブ（１）の後端から２〜 １０cmの範囲が好ましく、その角度についてはさ程大きな制約はないが、本体チ ューブ（１）後端側に５〜 175度、好ましくは薬液の注入や血液の採取が容易と なるように、２０〜９０度の範囲とするのが望ましい。また、第２の枝管（７） を設ける位置は、チューブ（１）の後端より２〜１０cmの範囲とするのが好まし く、その数は１本に限定されるものではなく、目的に応じて複数本数設けてもよ い。また、逆流防止用具は、その性質上２方活栓もしくは３方活栓（８）を使用 することが望ましい。

【００１５】

【考案の効果】

以上のように本考案の医療用カテーテルチューブを用いることで、血液回路に 影響を与えることなく、術中に自由にかつ速やかにガイドワイヤーの挿入・抜去 ができ、最大限の血流量の確保もできる。また、ガイドワイヤーはカテーテルチ ューブ先端の中心から出るので、カテーテルチューブの通過性及び血管への挿入 ・誘導の際の安定性が向上し、血管壁面へ損傷を与えることなく、安全で的確に カテーテルチューブを血管内に誘導することが出来る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例となる医療用カテーテルチュ
ーブの構成を示す概略図である。

【図２】本考案の医療用カテーテルチューブの他の実施
例を示す概略図である。

【符号の説明】

１ 本体チューブ ２ メインルーメン ３ コネクター ４、７ 枝管 ５ 連接部 ６ クランプ ８ 活栓 １１ 側孔 １２ スプリングコイル

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 長さ方向に貫通したメインルーメンを有
   し後端にコネクター部を設けた本体チューブと、該本体
   チューブの後端部近傍に後端側に傾斜して設けられ前記
   メインルーメンと連通した、ガイドワイヤーを挿入する
   ための枝管から成るカテーテルチューブであって、該枝
   管は本体チューブに対して５〜２０度の角度をなすと共
   に、その後端部近傍にクランプを付設したことを特徴と
   する医療用カテーテルチューブ。
2. 【請求項２】 請求項１記載のカテーテルチューブの本
   体チューブ外周面に、前記枝管と別個に前記メインルー
   メンと連接した１個もしくは複数個の第２の枝管が設け
   られており、該第２の枝管は本体チューブに対して２０
   〜９０度の角度をなすと共に、その後端部には２方活栓
   もしくは３方活栓を付設したことを特徴とする医療用カ
   テーテルチューブ。
3. 【請求項３】 請求項１もしくは請求項２記載のカテー
   テルチューブの本体チューブ側壁内に、スプリングコイ
   ルを埋込み内臓させたことを特徴とする医療用カテーテ
   ルチューブ。